特許第6088897号(P6088897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088897
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】グロープラグ
(51)【国際特許分類】
   F23Q 7/00 20060101AFI20170220BHJP
【FI】
   F23Q7/00 605H
   F23Q7/00 605M
   F23Q7/00 V
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-88257(P2013-88257)
(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公開番号】特開2014-211277(P2014-211277A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100167232
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 みな
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 勝照
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−63078(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/049578(WO,A1)
【文献】 特開2010−181068(JP,A)
【文献】 特開平9−280563(JP,A)
【文献】 米国特許第5589091(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第2092670(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23Q 7/00
F02P 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁部と該絶縁部内に形成された導電部とを備えて前記導電部に通電することにより発熱し、軸線方向に延出する形状を有するヒータ素子であって、前記導電部の第1の電位側の端部と第2の電位側の端部のうちの、少なくとも前記第1の電位側の端部が前記ヒータ素子の後端部において露出するヒータ素子と、導電性材料により形成された中軸と、前記ヒータ素子の後端部と前記中軸の先端部とが内部に嵌め込まれるリングであって、前記ヒータ素子における前記リングに嵌め込まれた部分の側面で露出する前記導電部の第2の電位側の接続端子を介して、前記導電部と前記中軸とを電気的に接続させるリングと、を備えるグロープラグにおいて、
前記リング内で対向する前記ヒータ素子の後端部と前記中軸の先端部の少なくとも一方に、凹部形状または凸部形状が形成されており、
前記ヒータ素子の後端部のうちの前記導電部の前記第1の電位側の端部を除く領域と前記中軸の先端部とが接触すると共に、前記導電部の前記第1の電位側の端部が、前記中軸から離間していることを特徴とする
グロープラグ。
【請求項2】
請求項1記載のグロープラグであって、
前記中軸の先端部に前記凹部形状が形成されており、
前記導電部の前記第1の電位側の端部が、前記中軸の先端部に前記凹部形状が形成された領域と、軸線方向に重なる位置に形成されていることを特徴とする
グロープラグ。
【請求項3】
請求項1記載のグロープラグであって、
前記中軸の先端部に前記凸部形状が形成されており、
前記中軸は、前記凸部形状の最先端において前記ヒータ素子の後端部と接触しており、
前記導電部の前記第1の電位側の端部が、前記中軸の前記凸部形状のうちの前記最先端とは異なる部位と軸線方向に重なる位置に形成されていることを特徴とする
グロープラグ。
【請求項4】
請求項1記載のグロープラグであって、
前記ヒータ素子の後端部に前記凹部形状が形成されており、
前記ヒータ素子は、前記凹部形状の最後端において前記中軸の先端部と接触しており、
前記導電部の前記第1の電位側の端部が、前記ヒータ素子の前記凹部形状のうちの前記最後端とは異なる位置に形成されていることを特徴とする
グロープラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グロープラグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の圧縮着火方式の内燃機関では、始動時の補助熱源としてグロープラグが使用される。従来、グロープラグの構造としては種々のものが知られている。例えば、通電することにより発熱するヒータ素子と、導電性材料により形成されて後端部に外部端子が取り付けられる中軸と、ヒータ素子の後端部と中軸の先端部とが内部に嵌め込まれるリングとを備える構成が知られている。上記ヒータ素子としては、ヒータ素子内に設けられて通電される導電部が、第1の電位側(マイナス側)の接続端子と第2の電位側(プラス側)の接続端子を備え、各々の接続端子がヒータ素子の側面に露出する構成のものが知られている。そして、このようなヒータ素子の後端部がリング内に嵌め込まれることによって、第2の電位側の接続端子と中軸とが、上記リングを介して電気的に接続される。このようなヒータ素子としては、その製造方法に起因して、導電部の第1の電位側の端部が、ヒータ素子の後端で露出する形状を有する素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−63078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなヒータ素子を用いるグロープラグでは、ヒータ素子の後端で露出する第1の電位側の端部と中軸との間にギャップを設ける構成が採用されている。
【0005】
しかしながら、このような構成において、ヒータ素子の後端と中軸の先端との間の距離が近すぎる場合には、導電部の第1の電位側の端部と中軸の間が短絡する可能性が高まるため、ヒータ素子の後端と中軸の先端との間の距離を精度良く調節する必要が生じる。また、上記距離が遠すぎる場合には、グロープラグの軸線方向のサイズの大型化を招く。さらに、上記距離が遠すぎる場合には、リング内にヒータ素子が嵌め込まれたときに、リングとヒータ素子とが重なる軸線方向の長さ、あるいはリングと中軸とが重なる軸線方向の長さが、より短くなり、ヒータ素子および中軸とリングとの結合の強度が低下する。その結果、グロープラグの製造工程において、ヒータ素子および中軸をリング内に嵌め込んだ部材の取り扱いが困難化する可能性がある。このような事態を避けるために、リングの軸線方向の長さを大きくする方策も考えられるが、このようにすると、例えばヒータ素子や中軸を圧入によってリング内に嵌め込む場合には、圧入時の荷重が大きくなってしまい採用し難い場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、絶縁部と該絶縁部内に形成された導電部とを備えて前記導電部に通電することにより発熱し、軸線方向に延出する形状を有するヒータ素子であって、前記導電部の第1の電位側の端部と第2の電位側の端部のうちの、少なくとも前記第1の電位側の端部が前記ヒータ素子の後端部において露出するヒータ素子と、導電性材料により形成された中軸と、前記ヒータ素子の後端部と前記中軸の先端部とが内部に嵌め込まれるリングであって、前記ヒータ素子における前記リングに嵌め込まれた部分の側面で露出する前記導電部の第2の電位側の接続端子を介して、前記導電部と前記中軸とを電気的に接続させるリングと、を備えるグロープラグが提供される。このグロープラグは、前記リング内で対向する前記ヒータ素子の後端部と前記中軸の先端部の少なくとも一方に、凹部形状または凸部形状が形成されており、前記ヒータ素子の後端部のうちの前記導電部の前記第1の電位側の端部を除く領域と前記中軸の先端部とが接触すると共に、前記導電部の前記第1の電位側の端部が、前記中軸から離間している。
この形態のグロープラグによれば、中軸の先端とヒータ素子の後端とをリング内で接触させても、第1の電位側の端部と中軸の間の短絡を抑えることができる。そのため、リングの軸線方向の長さを抑えても、リングとヒータ素子の間を固定する力、およびリングと中軸の間を固定する力を、より大きく確保することができる。また、リングの軸線方向の長さを抑えることができるため、ヒータ素子および中軸をリング内に圧入する際の圧入荷重を低減することができる。さらに、中軸をリング内に嵌め込む際に、特別な位置制御を行なう必要がないため、グロープラグの組付けを容易化することができる。
【0008】
(2)上記形態のグロープラグにおいて、前記中軸の先端部に前記凹部形状が形成されており、前記導電部の前記第1の電位側の端部が、前記中軸の先端部に前記凹部形状が形成された領域と、軸線方向に重なる位置に形成されていることとしてもよい。
この形態のグロープラグによれば、中軸の先端部に上記した凹部形状を形成することによって、導電部の第1の電位側の端部と中軸とが離間する状態を確保することができる。
【0009】
(3)上記形態のグロープラグにおいて、前記中軸の先端部に前記凸部形状が形成されており、前記中軸は、前記凸部形状の最先端において前記ヒータ素子の後端部と接触しており、前記導電部の前記第1の電位側の端部が、前記中軸の前記凸部形状のうちの前記最先端とは異なる部位と軸線方向に重なる位置に形成されていることとしてもよい。
この形態のグロープラグによれば、中軸の先端部に上記した凸部形状を形成することによって、導電部の第1の電位側の端部と中軸とが離間する状態を確保することができる。
【0010】
(4)上記形態のグロープラグにおいて、前記ヒータ素子の後端部に前記凹部形状が形成されており、前記ヒータ素子は、前記凹部形状の最後端において前記中軸の先端部と接触しており、前記導電部の前記第1の電位側の端部が、前記ヒータ素子の前記凹部形状のうちの前記最後端とは異なる位置に形成されていることとしてもよい。
この形態のグロープラグによれば、ヒータ素子の後端部に上記した凹部形状を形成することによって、導電部の第1の電位側の端部と中軸とが離間する状態を確保することができる。
【0011】
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、グロープラグ用のヒータ素子、グロープラグ用の中軸、あるいは、グロープラグの製造方法などの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】グロープラグの概略構成を表わす断面模式図である。
図2】ヒータ素子の後端部と中軸の先端部とが接する部位を含む領域の様子を表わす説明図である。
図3】中軸とヒータ素子を構成する各部の位置関係および大きさを示す説明図である。
図4】実施形態のグロープラグの製造方法を表わす工程図である。
図5】第2の実施形態のグロープラグの概略構成を表わす断面模式図である。
図6】第3の実施形態のグロープラグの概略構成を表わす断面模式図である。
図7】第4の実施形態のグロープラグの概略構成を表わす断面模式図である。
図8】本発明の変形例のグロープラグの概略構成を表わす断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.第1の実施形態:
図1は、本発明の第1の実施形態としてのグロープラグ10の概略構成を表わす断面模式図である。本実施形態のグロープラグ10は、ディーゼルエンジンを始めとする内燃機関に取り付けられて、内燃機関の始動時における点火を補助する熱源として機能する。グロープラグ10は、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)の再活性バーナーシステムにおいて用いることもできる。図1に示すように、グロープラグ10は、主な構成要素として、主体金具20と、外筒30と、ヒータ素子40と、中軸50と、リング60と、を備えている。なお、本明細書では、図1におけるグロープラグ10の軸線O方向の下方側をグロープラグ10の「先端側」と呼び、上方側を「後端側」と呼んで説明する。
【0014】
主体金具20は、軸線Oに沿って延びる略円筒状の部材であり、本実施形態では、炭素鋼によって形成されている。主体金具20の内部には、軸線Oに沿って主体金具20を貫通する軸孔21が形成されている。また、主体金具20の後端側の外周面には、雄ネジ部22が形成されている。この雄ネジ部22が、内燃機関のシリンダヘッド(図示せず)のプラグ取り付け孔に形成された雌ネジに螺合することによって、グロープラグ10が内燃機関に固定される。
【0015】
外筒30は、軸線Oに沿って延びる略円筒状の金属製部材である。外筒30の内部には、軸線Oに沿って外筒30を貫通する軸孔31が形成されている。軸孔31の内径は、ヒータ素子40の外径と同等、あるいはヒータ素子40の外径に比べて若干小さく形成されており、軸孔31内にヒータ素子40が嵌め込まれる。外筒30の後端部は、主体金具20の軸孔21の先端部に嵌め込まれ、主体金具20の先端において、主体金具20と外筒30とが溶接される。
【0016】
ヒータ素子40は、軸線Oに沿って延びる略円柱状の部材であり、絶縁部41と、導電部42とを備えている。ヒータ素子40は、その中ほどの部位において外筒30内の軸孔31内に嵌め込まれている。ヒータ素子40において、上記中ほどの部位よりも先端側の部分は、外筒30の先端から突出している。上記中ほどの部位よりも後端側の部分は、主体金具20の軸孔21内に収容されている。ヒータ素子40は、電力が供給されることによって発熱する。
【0017】
絶縁部41は、絶縁性のセラミックによって形成されている。本実施形態では、絶縁部41は窒化珪素によって形成されている。ただし、絶縁部41は、窒化珪素に限らず、例えば、アルミナやサイアロン等の他の絶縁性のセラミックによって形成されていてもよい。この絶縁部41は、ヒータ素子40の基体を成す部位である。
【0018】
導電部42は、絶縁部41の内部に埋設されており、軸線O方向に伸長すると共に先端側を頂点にして折り曲げられたU字状の構造であり、通電によって抵抗発熱する導電性のセラミックによって形成されている。本実施形態では、導電部42は、タングステンカーバイドによって形成されている。ただし、導電部42は、タングステンカーバイドに限らず、例えば、二珪化モリブデンや二珪化タングステン等の他の導電性のセラミックによって形成されていてもよい。
【0019】
U字状に形成された導電部42の両端部は、ヒータ素子40の後端部の外表面において露出する。一方の端部が第1の電位側の端部(マイナス側端部)43であり、他方の端部が、一方の端部よりも高電位になる第2の電位側の端部(プラス側端部)44である。また、導電部42には、上記第2の電位側の端部(プラス側端部)44の近傍において、ヒータ素子40の側面で露出する第2の電位側の接続端子(プラス側接続端子)46が形成されている。さらに導電部42には、上記第1の電位側の端部(マイナス側端部)43の近傍であって、上記第2の電位側の接続端子46よりも先端側の位置に、ヒータ素子40の側面で露出する第1の電位側の接続端子(マイナス側接続端子)45が形成されている。導電部42の第1の電位側の接続端子(マイナス側接続端子)45は、ヒータ素子40が外筒30内の軸孔31内に嵌め込まれることにより、軸孔31の内壁に接触し、外筒30と電気的に接続される。なお、本実施形態では、第1の電位側の接続端子45および第2の電位側の接続端子46は、導電部42の他の部位と同じ材料で形成されており、導電部42の一部として形成されている。ただし、第1の電位側の接続端子45および第2の電位側の接続端子46は、導電部42の他の部位と別体で形成されていてもよい。
【0020】
中軸50は、軸線Oに沿って延びる形状を有し、導電性材料によって形成される棒状の部材であり、主体金具20の軸孔21内において、ヒータ素子40の後端側に配置されている。中軸50は、例えば、SUS430等の金属材料によって形成することができる。中軸50の外径は、主体金具20の軸孔21の内径よりも小さく形成されており、中軸50と軸孔21の内壁との間には、両者を電気的に絶縁する空隙が形成される。本実施形態では、中軸50の先端部がヒータ素子40の後端部に接しており、中軸50の先端部の構造に特徴があるが、中軸50の先端部とヒータ素子40の後端部が接する様子、および、中軸50の先端部の構造の詳細については後に詳述する。
【0021】
リング60は、導電材料で形成された円筒状部材であり、主体金具20の軸孔21の内部で、中軸50とヒータ素子40との間に組み付けられる。具体的には、ヒータ素子40の後端部と、中軸50の先端部とが、リング60の内部に嵌め込まれる。ヒータ素子40の後端部がリング60に嵌め込まれることにより、ヒータ素子40の側面に露出する第2の電位側の接続端子(プラス側接続端子)46がリング60の内壁に接する。これにより、ヒータ素子40の導電部42の第2の電位側の接続端子(プラス側接続端子)46が、リング60を介して中軸50に電気的に接続される。リング60は、例えば、SUS410、SUS630等の金属材料によって形成することができる。
【0022】
グロープラグ10では、さらに、中軸50の後端部において、金属製の端子金具70が加締め固定されている。
【0023】
また、主体金具20の後端部には、主体金具20の軸孔21の内壁と中軸50の間、および、主体金具20の後端と端子金具70の間に介在するように、円筒状の絶縁部材72が配置されている。絶縁部材72は、中軸50を主体金具20内で位置決めすることによって、中軸50と主体金具20との間を電気的に絶縁する空隙を形成すると共に、端子金具70と主体金具20との間を電気的に絶縁する。絶縁部材72は、絶縁性および使用環境に応じた耐熱性を有する材料、例えば、ナイロン(登録商標)やPPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)等の絶縁性樹脂によって形成することができる。
【0024】
主体金具20の軸孔21の内壁と中軸50の間において、絶縁部材72よりも先端側には、円筒状の封止部材74が配置されている。封止部材74は、中軸50、絶縁部材72および主体金具20の各々に密着することによって、主体金具20の内部を密閉する。封止部材74は、絶縁性、弾性、および使用環境に応じた耐熱性を有する材料、例えば、フッ素ゴムやシリコーンゴム等の弾性体によって形成することができる。
【0025】
以上のように構成されたグロープラグ10では、端子金具70から電力が供給されると、中軸50、リング60および第2の電位側の接続端子46を通じて導電部42に電力が供給され、ヒータ素子40が発熱する。このとき、導電部42の第1の電位側の接続端子45は、外筒30、主体金具20、および内燃機関のシリンダヘッドを通じて接地される。
【0026】
図2は、ヒータ素子40の後端部と中軸50の先端部とが接する部位を含む領域の様子を表わす説明図である。具体的には、図2(A)は、図1において領域Xとして破線で囲んだ領域の構成を拡大して示す断面模式図である。また、図2(B)は、図2(A)における2−2断面の様子を表わす断面図である。なお、図2では、図1の領域X内における主体金具20については記載を省略している。
【0027】
中軸50の先端部には、凹部形状52が形成されている。具体的には、凹部形状52は、軸線Oに垂直方向の面(以下、横断面と呼ぶ)の外周が円形に形成されると共に、横断面の外周が中軸50の先端部の横断面の外周と同心円となるように形成されている。凹部形状52は、例えば、中軸50となる金属製の棒状部材の先端部を切削加工することにより形成すればよい。あるいは、鍛造によって、凹部形状52を有する中軸50を作製することとしてもよい。このような凹部形状52が形成されることにより、中軸50の先端部の横断面では、中軸50の外壁を含む部分がリング状に形成される。リング60内において、中軸50の先端(最先端)は、ヒータ素子40の後端部と接触している。なお、本明細書において説明する各部の形状、具体的には、円形、同心円、径が一定等の形状は、各部を備える部材を製造する際に生じる誤差等に起因する公差による歪みや変形を有する形状を含んでいる。
【0028】
図3は、中軸50の先端部とヒータ素子40の後端部とを離間して示すことにより、両者を構成する各部の位置関係および大きさを示す説明図である。凹部形状52は、中軸50の最先端から後端側に向かう所定の範囲にわたって、横断面の径が一定の長さとなるように形成されている。凹部形状52における横断面の径が一定である部分を、軸線Oに垂直な面に投影したときの範囲を、図3において範囲Yとして示す。また、ヒータ素子40の後端部において露出する第1の電位側の端部43を、軸線Oに垂直な面に投影したときの範囲を、図3において範囲Zとして示す。図3に示すように、範囲Zは、範囲Yの外周から離間した状態で範囲Yと重なっている。すなわち、導電部42の第1の電位側の端部43は、中軸50の先端部に凹部形状52が形成された領域と、軸線O方向に重なる位置に形成されている。
【0029】
図3では、凹部形状52の横断面の径が一定である部分の中軸50の肉厚(中軸50の先端部における横断面がリング状に形成された部分の厚み)を厚みaとして示している。この厚みaは、中軸50をリング60内に圧入する動作を行なうために十分な強度を中軸50が有することになる値であればよく、例えば50μm以上とすることが望ましい。さらに、図3では、中軸50の先端部の内壁と、ヒータ素子40の後端部で露出する導電部42の第1の電位側の端部(マイナス側端部)43との距離をb1として示している。この距離b1は、第1の電位側の端部43と、中軸50の先端部の内壁と、の間の短絡を抑えるためには、0.12mm以上とすることが好ましく、0.2mm以上とすることがさらに好ましい。また、上記した距離b1は、グロープラグ10の横断面の径の大型化を抑えるためには、1mm以下とすることが好ましく、0.8mm以下とすることがさらに好ましい。
【0030】
また、図3では、中軸50の先端部に設けた凹部形状52において、横断面の径が一定の長さとなるように形成されている部分の軸線Oに平行な方向の長さを、凹部深さc1として示している。この凹部深さc1は、第1の電位側の端部43と中軸50との短絡を抑えるためには、0.2mm以上とすることが好ましく、0.5mm以上とすることがさらに好ましい。なお、凹部形状52は、中軸50において、より深く形成することも可能であり、例えば、端子金具70が嵌め込まれる位置の手前まで、凹部形状52を形成することとしてもよい。すなわち、中軸50において、主体金具20内に収納される部位は、凹部形状52が軸線O方向に延出して形成された中空の構造を有することとしてもよい。
【0031】
なお、中軸50の最先端の近傍の外壁において、中軸50の先端側に向かって次第に縮径するテーパを形成してもよい。これにより、中軸50の先端部をリング60内に嵌め込む動作を容易化することができる。
【0032】
また、本実施形態では、中軸50には、先端部近傍の外壁に、後端側に向かって急激に外径が拡大する鍔状の段差部54が形成されている(図2および図3参照)。中軸50は、この段差部54において、リング60の後端と接している。
【0033】
図4は、本発明の第1の実施形態のグロープラグ10の製造方法を表わす工程図である。グロープラグ10を製造する際には、まず、リング60の後端側から先端側へとヒータ素子40の先端を挿入し、リング60内にヒータ素子40を圧入する(ステップS100)。これにより、導電部42のプラス側接続端子46がリング60の内壁に接触して、導電部42とリング60とが電気的に接続される。このとき、ヒータ素子40がリング60内に圧入されることで、プラス側接続端子46とリング60の内壁との密着状態が高められ、導電部42とリング60とが電気的に接続される際の抵抗が十分に抑えられる。
【0034】
その後、外筒30内に、軸孔31の後端側からヒータ素子40を圧入し、外筒30の先端からヒータ素子40の先端部を突出させる(ステップS110)。これにより、導電部42のマイナス側接続端子45が軸孔31の内壁面に密着され、導電部42と外筒30とが電気的に接続される。
【0035】
次に、リング60の後端側に、中軸50の先端部を圧入し、溶接により両者を固定する(ステップS120)。既述したように、中軸50をリング60内に嵌め込んだときには、中軸50は段差部54においてリング60の後端と接すると共に、中軸50の先端(最先端)が、ヒータ素子40の後端部(後端面)に接触する。リング60と中軸50との溶接は、リング60の後端と段差部54とが接する位置(図2において矢印W1で示す)において行なえばよい。なお、本実施形態では、ヒータ素子40が嵌め込まれたリング60の後端側に中軸50を圧入する前に、外筒30内にヒータ素子40を圧入したが、このステップS110とステップS120の順序は逆であってもよい。
【0036】
次に、主体金具20の軸孔21内に中軸50を挿入して、外筒30の後端部に主体金具20の先端部を組み付ける(ステップS130)。このとき、外筒30と主体金具20の間は、溶接により固定する。
【0037】
その後、主体金具20および中軸50の後端部に、封止部材74、絶縁部材72、および端子金具70を取り付けて(ステップS140)、グロープラグ10を完成する。
【0038】
以上のように構成された本実施形態のグロープラグ10によれば、中軸50の先端部に凹部形状52を設けることにより、導電部42の第1の電位側の端部(マイナス側端部)43と中軸50とが離間されている。そのため、中軸50の先端部とヒータ素子40の後端部とをリング60内で接触させても、第1の電位側の端部43と中軸50の間の短絡を抑えることができる。第1の電位側の端部43と中軸50とを短絡させることなく中軸50の先端部とヒータ素子40の後端部とを接触させることができるため、リング60の軸線O方向の長さを大きくしなくても、リング60とヒータ素子40の間を固定する力、およびリング60と中軸50の間を固定する力を、より大きく確保することができる。そのため、グロープラグ10の製造工程において、リング60にヒータ素子40を嵌め込んだ部材、あるいは、さらに中軸50を嵌め込んだ部材の取り扱いが、より容易になる。
【0039】
また、上記のようにリング60の軸線O方向の長さを抑えることができるため、ヒータ素子40および中軸50をリング60内に圧入する際の圧入荷重を低減することができる。圧入荷重が過剰であると、例えば、中軸50の圧入時にリング60が軸線O方向にスライドして、リング60とヒータ素子40および中軸50との相対的な位置が、所望の位置からずれる可能性がある。リング60がスライドすると、例えば第2の電位側の接続端子(プラス側接続端子)46とリング60との接触が十分に確保できなくなる可能性が生じるが、電極圧入荷重を抑えることで、このような不都合を抑えることができる。あるいは、圧入荷重が過剰であると、中軸50の圧入時に中軸が変形する可能性がある。中軸50が変形すると、グロープラグ10内で中軸50が主体金具20の軸孔21の内壁面に接触して短絡する可能性があるが、圧入荷重を低減することで、このような不都合を抑制することができる。
【0040】
また、中軸50の先端部とヒータ素子40の後端部とを接触させることができるため、グロープラグ10の軸線方向の長さをより短くすることができる。さらに、中軸50をリング60内に圧入する際には、中軸50の先端部がヒータ素子40の後端部に接するまで嵌め込めばよく、特別な位置制御を行なう必要がないため、グロープラグ10の組付けの動作を容易化することができる。
【0041】
さらに、本実施形態では、中軸50の先端部に凹部形状52を設けているため、導電部42のマイナス側端部43と中軸50とを離間させるための構造を、容易に形成することができる。すなわち、切削などの簡易な加工により、あるいは、鍛造により中軸50を形成する際に同時に、中軸50の先端部に凹部形状52を設けることができる。
【0042】
B.第2の実施形態:
図5は、第2の実施形態のグロープラグ110の概略構成を表わす断面模式図である。第2の実施形態において、第1の実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して詳しい説明は省略する。第2の実施形態のグロープラグ110は、中軸50に代えて中軸150を備え、ヒータ素子40に代えてヒータ素子140を備えること以外は、第1の実施形態のグロープラグ10と同様の構成を有している。図5では、図2と同様にして、ヒータ素子140の後端部と中軸150の先端部とが接する部位を含む領域のみを拡大して示している。
【0043】
グロープラグ110における中軸150の先端部には、軸線O方向に垂直な平坦面が形成されている。これに対してヒータ素子140の後端部には、凹部形状147が形成されている。凹部形状147は、ヒータ素子140の後端部において、外周から中心に向かって次第に軸線O方向に深くなる形状に形成されている。そのため、ヒータ素子140は、凹部形状147の最後端において中軸150の先端部に接している。また、導電部42の第1の電位側の端部43は、ヒータ素子140の凹部形状147のうちの最後端とは異なる位置に形成されている。なお、第1の電位側の端部43と中軸150の後端部との間の軸線O方向の距離c2(図5参照)は、両者の絶縁性を確保するために、例えば、0.2mm以上とすることが好ましく、0.5mm以上とすることがさらに好ましい。このような凹部形状147は、例えば、第1の実施形態のヒータ素子40と同様に後端部が平坦な素子を作製した後に、その後端部を研磨することにより形成することができる。
【0044】
このような凹部形状147をヒータ素子140の後端部に設けることで、ヒータ素子140の後端部と中軸150の先端部とをリング60内で接触させても、導電部42の第1の電位側の端部(マイナス側端部)43と中軸150との間を絶縁することができ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
C.第3の実施形態:
図6は、第3の実施形態のグロープラグ210の概略構成を表わす断面模式図である。第3の実施形態において、第1の実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して詳しい説明は省略する。第3の実施形態のグロープラグ210は、中軸50に代えて中軸250を備えること以外は、第1の実施形態のグロープラグ10と同様の構成を有している。図6では、図2と同様にして、ヒータ素子40の後端部と中軸250の先端部とが接する部位を含む領域のみを拡大して示している。
【0046】
グロープラグ210の中軸250には、その先端部において、先端側に突出する凸部形状256が形成されている。凸部形状256は、横断面の外周が円形に形成されると共に、凸部形状256の横断面の外周がリング60の横断面の内周と同心円になる形状に形成されている。中軸250が凸部形状256の最先端においてヒータ素子40の後端部に接することで、リング60内では、中軸250の先端部の外壁とリング60の内壁とヒータ素子40の後端面との間に、空間152が形成される。ヒータ素子40の後端面において、導電部42の第1の電位側の端部(マイナス側端部)43と、凸部形状256の外周とは、軸線Oに垂直な方向に距離b2だけ離間している。すなわち、第1の電位側の端部43は、中軸250における凸部形状256のうちの最先端とは異なる部位と、軸線O方向に重なる位置に形成されている。なお、第1の電位側の端部43と中軸250の後端部との間の軸線O方向の距離c3(図6参照)、すなわち凸部形状256の高さは、第1の電位側の端部43と中軸250の絶縁性を確保するために、例えば、0.2mm以上とすることが好ましく、0.5mm以上とすることがさらに好ましい。このような凸部形状256は、例えば、中軸250となる金属製の棒状部材の先端部を切削加工することにより形成すればよい。あるいは、鍛造によって、凸部形状256を有する中軸250を作製することとしてもよい。
【0047】
このような凸部形状256を中軸250の先端部に設けることで、ヒータ素子140の後端部と中軸250の先端部とをリング60内で接触させても、導電部42の第1の電位側の端部(マイナス側端部)43と中軸250との間を絶縁することができ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
なお、グロープラグ210において、中軸250の外壁とリング60の内壁との重なり部分の軸線O方向の長さd(図6参照)は、グロープラグ210の製造工程において、取り扱い上の支障が無い程度の強度で両者を固定できる長さであればよい。例えば、リング60に中軸250を嵌め込んだ後に直ちに溶接にて両者を固定する場合には、中軸250の外壁とリング60の内壁との重なりを設けず、上記長さdを0としてもよい。
【0049】
D.第4の実施形態:
図7は、第4の実施形態のグロープラグ310の概略構成を表わす断面模式図である。第4の実施形態において、第1の実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して詳しい説明は省略する。第4の実施形態のグロープラグ310は、中軸50に代えて、第2の実施形態と同様の中軸150を備え、ヒータ素子40に代えてヒータ素子340を備えること以外は、第1の実施形態のグロープラグ10と同様の構成を有している。図7では、図2と同様にして、ヒータ素子40の後端部と中軸250の先端部とが接する部位を含む領域のみを拡大して示している。
【0050】
グロープラグ310の中軸150の先端部には、軸線O方向に垂直な平坦面が形成されている。これに対してヒータ素子340の後端部には、凸部形状348が形成されている。凸部形状348は、ヒータ素子340の外周から中心に向かって次第に軸線O方向に突出する形状に形成されている。ヒータ素子340が凸部形状348の最先端において中軸150の先端部に接することで、リング60内では空間347が形成される。なお、第1の電位側の端部43と中軸150の後端部との間の軸線O方向の距離c4(図7参照)は、両者の絶縁性を確保するために、例えば、0.2mm以上とすることが好ましく、0.5mm以上とすることがさらに好ましい。このような凸部形状348は、例えば、第1の実施形態のヒータ素子40と同様に後端部が平坦な素子を作製した後に、その後端部を研磨することにより形成することができる。
【0051】
このような凸部形状348をヒータ素子340の後端部に設けることで、ヒータ素子340の後端部と中軸150の先端部とをリング60内で接触させても、導電部42の第1の電位側の端部(マイナス側端部)43と中軸150との間を絶縁することができ、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
E.変形例:
・変形例1(凹部形状および凸部形状の変形):
上記各実施形態では、中軸の先端部とヒータ素子の後端部のいずれか一方に、凹部形状または凸部形状を設けたが、異なる構成としてもよい。例えば、中軸の先端部とヒータ素子の後端部の両方に凸部形状を設けてもよく、中軸の先端部とヒータ素子の後端部の両方に凹部形状を設けてもよい。いずれの場合であっても、中軸の先端部とヒータ素子の後端部とを接触させたときに、ヒータ素子の後端部のうちの第1の電位側の端部を除く領域と中軸の先端部とが接触し、導電部の第1の電位側の端部(マイナス側端部)が中軸から離間していればよい。
【0053】
また、上記各実施形態において、中軸の先端部あるいはヒータ素子の後端部に設けた凹部形状や凸部形状は、種々の変形が可能である。いずれの凹部形状も、図2の凹部形状52のように、一定の深さまでは横断面の径が一定となるように形成してもよく、図5の凹部形状147のように、深くなるに従って次第に縮径するように形成してもよい。また、いずれの凸部形状も、図6の凸部形状256のように、横断面の径が一定となるように形成してもよく、図7の凸部形状348のように、高くなるに従って次第に縮径するように形成してもよい。また、上記各実施形態では、中軸の先端部あるいはヒータ素子の後端部に設けた凹部形状や凸部形状は、横断面が円形となるように形成したが、異なる構成としてもよい。凹部形状および凸部形状は、これを設けることにより、導電部の第1の電位側の端部と中軸との間が離間する形状であればよい。
【0054】
・変形例2(プラス側端部の位置関係の変形):
上記各実施形態では、ヒータ素子の後端部において露出する導電部の第2の電位側の端部(プラス側端部)も、第1の電位側の端部(マイナス側端部)と同様に、中軸から離間しているが、第2の電位側の端部は、中軸と接していても差し支えない。ただし、ヒータ素子の導電部と中軸との間の所望の導通状態を十分に確保するには、第2の電位側の端部と中軸との接触により導通を確保するのではなく、第2の電位側の接続端子46とリングとの間で導通を確保することが望ましい。すなわち、圧入による接触の確保のような密着状態によって導電部とリングとを接続して、十分に接触抵抗を抑えることが望ましい。
【0055】
また、ヒータ素子後端部において、導電部の露出部である第2の電位側の端部44を設けないこととしてもよい。第1の電位側の端部が後端部で露出するヒータ素子を用いるならば、本発明を適用することにより、各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
・変形例3(中軸の先端部近傍の形状の変形):
上記各実施形態では、中軸の先端部近傍の外壁に、後端側に向かって急激に外径が拡大し、リングの後端と接する段差部54を設けたが、このような段差部を設けないこととしてもよい。以下に、一例として、中軸に段差部54を設けない構成を第1の実施形態に適用した例を変形例として示す。
【0057】
図8は、本発明の変形例としてのグロープラグ410の概略構成を表わす断面模式図である。本変形例において、第1の実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して詳しい説明は省略する。本変形例のグロープラグ410は、中軸50に代えて中軸450を備えること以外は、第1の実施形態のグロープラグ10と同様の構成を有している。図8では、図2と同様にして、ヒータ素子40の後端部と中軸450の先端部とが接する部位を含む領域のみを拡大して示している。中軸450の先端部には、第1の実施形態と同様の凹部形状52が形成されている。ただし、中軸450の先端部近傍の外壁には、段差部54が設けられておらず、中軸450の外径は、リング60の後端と接する位置から後端側に向かって、次第に縮径している。なお、グロープラグ410では、中軸450とリング60との溶接は、リング60の後端と中軸450の外表面とが接する位置(図8において矢印W2で示す)において行なえばよい。
【0058】
このようなグロープラグ410では、リング60内にヒータ素子40の後端部を先に嵌め込んだ場合には、中軸450の先端部がヒータ素子40の後端部に当接するまでリング60内への中軸450の嵌め込みを行なえばよい。そのため、段差部54を設けなくても、さらに、中軸450の嵌め込み位置の特別な制御を行なわなくても、中軸450をリング60内に嵌め込む動作を容易に行なうことができる。また、中軸の嵌め込み位置に対応して十分な精度が要求される段差部54を形成する必要が無いため、中軸の製造工程を簡素化することができる。なお、中軸に段差部54を設けない構成は、中軸の先端部およびヒータ素子の後端部における凹凸形状が異なる場合、例えば第2ないし第4の実施形態において、同様に適用してもよい。
【0059】
・変形例4(リングと中軸の組付け方法の変形):
上記各実施形態では、中軸の先端部をリングの後端部に圧入した後に、中軸の先端部とリングの後端部とを溶接したが、異なる構成としてもよい。例えば、中軸の先端部をリングの後端部に圧入した後に、溶接を行なわないこととしてもよい。あるいは、中軸の先端部の外径をリングの後端部の内径よりも小さく形成し、中軸の先端部をリング内に単に挿入することによって、リングへの中軸の嵌め込みを行ない、その後両者を溶接してもよい。また、中軸の先端部をリング内に挿入した後に、リングの外側から加締めることによって、中軸とリングとを固定してもよい。なお、中軸の先端部の外径をリングの後端部の外径よりも小さくし、中軸の先端部に凹部形状を設ける場合には、中軸の先端部における凹部形状が形成された部分の側面は、リングの内壁から離間していてもよい。このような場合であっても、中軸の先端部とヒータ素子の後端部とを接触させたときに、ヒータ素子の後端部のうちの第1の電位側の端部を除く領域と中軸の先端部とが接触していればよい。
【0060】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
10,110,210,310,410…グロープラグ
20…主体金具
21…軸孔
22…雄ネジ部
30…外筒
31…軸孔
40,140,340…ヒータ素子
41…絶縁部
42…導電部
43…第1の電位側の端部(マイナス側端部)
44…第2の電位側の端部(プラス側端部)
45…第1の電位側の接続端子(マイナス側接続端子)
46…第2の電位側の接続端子(プラス側接続端子)
50,150,250,450…中軸
52…凹部形状
54…段差部
60…リング
70…端子金具
72…絶縁部材
74…封止部材
147…凹部形状
152…空間
256…凸部形状
347…空間
348…凸部形状
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8