特許第6088902号(P6088902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088902
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】ペレット供給装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/20 20060101AFI20170220BHJP
   B29C 31/06 20060101ALN20170220BHJP
【FI】
   B22D17/20 H
   B22D17/20 Z
   !B29C31/06
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-102919(P2013-102919)
(22)【出願日】2013年5月15日
(65)【公開番号】特開2014-223636(P2014-223636A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】東芝機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】黒川 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】大沼 勇
(72)【発明者】
【氏名】工藤 淳一
(72)【発明者】
【氏名】及川 文博
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−110924(JP,A)
【文献】 特開2000−000650(JP,A)
【文献】 米国特許第05988461(US,A)
【文献】 米国特許第04801210(US,A)
【文献】 特開平06−143286(JP,A)
【文献】 実開昭62−153487(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 9/00
B22D 17/20
B29C 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレットを射出スリーブの注湯口に供給するペレット供給装置であって、
前記ペレットとペレット移送用のエアが流入する流入室を有するボディと、
前記ボディの側部に形成され、前記流入室と連通しかつペレット移送管が接続される第1の接続孔と、
前記ボディの上部に形成され、前記流入室と連通しかつエア供給管が接続される第2の接続孔と、
前記ボディの底部に形成され、前記流入室と連通しかつペレット出口部を有する第3の接続孔と、
前記ボディの周壁に形成され、前記流入室と連通するエア放出用開口と、
前記エア放出用開口を覆って前記ボディに取付けられ、前記第1の接続孔から前記流入室に供給されたペレットとエアのうちエアの流通を許容しペレットの通過を阻止する通気孔群を有した通気部材と、
前記第3の接続孔に設けられ、流路断面積が前記流入室の流路断面積よりも小さい絞り部と、
を具備したことを特徴とするペレット供給装置。
【請求項2】
前記第2の接続孔に、前記第1の接続孔から前記流入室に流入したエアとペレットが前記エア供給管に向かうことを阻止する逆止弁と、前記エア供給管から前記流入室に供給されるエアの速度を制御する制御弁とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のペレット供給装置。
【請求項3】
前記通気部材が前記通気孔群を有するパンチングメタルからなり、該通気部材が前記ボディの前記周壁の外面に対応して湾曲した形状をなし、該通気部材の両端がそれぞれ緊縛用バンドによって前記ボディに固定されたことを特徴とする請求項1または2に記載のペレット供給装置。
【請求項4】
前記第3の接続孔と前記射出スリーブの前記注湯口との間に、前記流入室内のペレットが前記注湯口に向かって落下することを案内しかつ前記絞り部としても機能するペレットガイド管を有し、該ペレットガイド管の流路断面積が前記流入室の前記流路断面積よりも小さく、かつ、前記エア供給管から前記流入室に供給されたエアの一部が前記ペレットガイド管を通ることにより前記ペレットガイド管が冷却されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のペレット供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカスト成形機の射出スリーブの注湯口に潤滑剤等のペレットを供給するためのペレット供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイカスト成形機の一例であるコールドチャンバ方式のダイカスト成形機は、ラドルによって汲み取られた金属の溶湯を射出スリーブ(ショットスリーブとも称される)に供給したのち、射出スリーブ内の溶湯をプランジャの先端(ショットピストンあるいはプランジャチップとも称される)によって金型内のキャビティに高圧で射出するようになっている。
【0003】
このようなダイカスト成形機では、射出スリーブの内面とプランジャとの摺動部分を潤滑するために、適宜のタイミングで射出スリーブ内に潤滑剤が供給されている。油性の潤滑剤(液状潤滑剤)の場合には、供給ポンプや配管系を介して潤滑剤が射出スリーブの注湯口から射出スリーブ内に供給されていた。しかし油性の潤滑剤はダイカスト成形機の周囲を汚しやすく、作業環境上も好ましくないため、最近ではペレット状の固形潤滑剤の使用が推奨されている。
【0004】
固形潤滑剤のペレットを射出スリーブ内に一定量ずつ供給するためには、計量されたペレットを射出スリーブの注湯口へ移送するペレット供給装置が不可欠である。例えば下記の特許文献1や特許文献2に開示されているように、計量されたペレットをエアによって射出スリーブの注湯口に移送するための装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−240041号公報
【特許文献2】特開2012−110924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、計量されたペレットを圧縮エアによって被供給部(射出スリーブの注湯口)に送る供給装置は、供給管の先端開口からペレットがエアと共に噴出する際に、エアの勢いなどによって、ペレットの一部が被供給部に入らずに周囲に散らばるという問題があった。特許文献2のペレット供給装置は、ペレット吐出部に金網あるいはパンチングメタルからなるカバー部材が設けられていることにより、ペレットの一部がエアの勢いによって射出スリーブの注湯口付近に散らばることを防止できる。しかしペレット吐出部が射出スリーブの熱を受けるなどしてペレットの一部がペレット吐出部の前記カバー部材などに付着して目詰まりを生じることが考えられた。
【0007】
従って本発明の目的は、潤滑剤のペレットを射出スリーブの注湯口に確実に供給できるとともに、ペレットが通気部材に付着してもエアによって除去することができるペレット供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの実施形態は、ペレットを射出スリーブの注湯口に供給するペレット供給装置であって、前記ペレットとペレット移送用のエアが流入する流入室を有するボディと、前記ボディの側部に形成され前記流入室と連通しかつペレット移送管が接続される第1の接続孔と、前記ボディの上部に形成され前記流入室と連通しかつエア供給管が接続される第2の接続孔と、前記ボディの底部に形成され前記流入室と連通しかつペレット出口部を有する第3の接続孔と、前記ボディの周壁に形成され前記流入室と連通するエア放出用開口と、前記エア放出用開口を覆って前記ボディに取付けられ、前記第1の接続孔から前記流入室に供給されたペレットとエアのうちエアの流通を許容しペレットの通過を阻止する通気孔群を有した通気部材と、前記第3の接続孔に設けられ流路断面積が前記流入室の流路断面積よりも小さい絞り部とを具備している。
【0009】
この実施形態において、前記第2の接続孔に、前記第1の接続孔から前記流入室に流入したエアとペレットが前記エア供給管に向かうことを阻止する逆止弁と、前記エア供給管から前記流入室に供給されるエアの速度を制御する制御弁とを備えていてもよい。前記通気部材の一例は、前記通気孔群を有するパンチングメタルからなり、該通気部材が前記ボディの前記周壁の外面に対応して湾曲した形状をなし、該通気部材の両端がそれぞれ緊縛用バンドによって前記ボディに固定されている。
【0010】
また、前記第3の接続孔と前記射出スリーブの前記注湯口との間に、前記流入室内のペレットが前記注湯口に向かって落下することを案内するペレットガイド管を有していてもよい。このペレットガイド管の流路断面積は前記流入室の前記流路断面積よりも小さく、かつ、前記エア供給管から前記流入室に供給されたエアの一部が前記ペレットガイド管を通ることにより前記ペレットガイド管が冷却される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ペレットを射出スリーブの注湯口に供給するペレット供給装置において、吐出ユニットのボディの流入室内に供給されたペレットとペレット移送用エアのうちのエアのみを通気部材を経て吐出ユニットの外部に放出させることができるため、流入室内のペレットをエアの勢いに影響されることなく射出スリーブの注湯口に供給することができる。このため、注湯口の周囲にペレットが散らばるなどの不具合を回避することができる。また、流入室に供給されたペレットの一部が通気部材の通気孔に引っ掛かるなどして目詰まりを生じても、エア供給管から流入室に供給されるインラインエアパージ用のエアの圧力によって、通気孔に詰まっているペレットを除去することができ、清掃機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係るペレット供給装置を備えたダイカスト成形機を一部断面で模式的に示す側面図。
図2図1に示されたダイカスト成形機の一部とペレット供給装置の吐出ユニットを示す斜視図。
図3図2に示された吐出ユニットの側面図。
図4図3に示された吐出ユニットの一部を拡大した側面図。
図5図4に示された吐出ユニットの一部の断面図。
図6図5中のF6−F6線に沿う吐出ユニットの断面図。
図7図4に示された吐出ユニットの通気部材の斜視図。
図8】第2の実施形態に係るペレット供給装置の吐出ユニットの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の第1の実施形態について、図1から図7を参照して説明する。
図1は、ダイカスト成形機の一例であるコールドチャンバ方式のダイカスト成形機10を模式的に示している。このダイカスト成形機10は、固定ダイプレート11と、移動ダイプレート12と、互いに平行に延びるタイバー13,14(4本のうち2本を示す)と、ダイプレート駆動機構15と、溶湯供給装置16と、離型剤供給系17と、ペレット供給装置18と、制御手段として機能するコントロールユニット19などを含んでいる。
【0014】
固定ダイプレート11に固定側金型20が取付けられている。移動ダイプレート12に移動側金型21が取付けられている。ダイプレート駆動機構15は、移動ダイプレート12をタイバー13,14に沿って水平方向に移動させる機能を有している。金型20,21が閉じると、金型20,21の内面20a,21a間にダイカスト製品(成形品)のためのキャビティ22が形成される。キャビティ22には、溶湯通路としての湯口23が連通している。
【0015】
溶湯供給装置16は、射出スリーブ26と、プランジャ27と、プランジャ27を軸線X1方向に移動させる駆動ユニット28などを含んでいる。駆動ユニット28の一例は、油圧回路28aによって駆動される油圧シリンダである。射出スリーブ26は、湯口23を介してキャビティ22に連通している。
【0016】
プランジャ27の先端にプランジャチップ27aが設けられている。プランジャチップ27aは射出スリーブ26内に挿入されている。射出スリーブ26の注湯口26aの近傍に、溶湯供給手段として機能するラドル29が配置されている。金型20,21が閉じてプランジャチップ27aが後退した状態において、溶融金属が注湯口26aから射出スリーブ26内に供給され、プランジャチップ27aが前進することにより、溶融金属がキャビティ22に供給されダイカスト製品が成形される。
【0017】
図2は、ダイカスト成形機10の一部と、ペレット供給装置18の一部を示している。ペレット供給装置18については、後に詳しく説明する。図2はラドル29に収容された溶融金属を射出スリーブ26の注湯口26aに注ぐ状態を示している。このときプランジャチップ27aは、注湯口26aが開口する位置に後退している。ラドル29は支持部材30に取付けられており、注湯口26aに対して矢印X2で示す方向に移動可能である。このラドル29は、溶融金属を注湯口26aに注ぐ際に、図2に示す位置まで前進するとともに、軸30aを中心に回動することにより、ラドル29内の溶融金属を注湯口26aに注ぐように構成されている。
【0018】
このダイカスト成形機10は、制御手段として機能するコントロールユニット19によって制御される。コントロールユニット19の一例は、ダイプレート駆動機構15や溶湯供給装置16、離型剤供給系17、ペレット供給装置18などを制御する機能を有している。このコントロールユニット19には、以下に説明する型開閉動作や成形動作、離型剤の噴霧動作、ペレットの供給動作等を制御するためのコンピュータプログラムとメモリ等が組込まれている。
【0019】
離型剤供給系17は、図1に示すロボット31と、ロボット31のアーム31aに取付けられたノズルユニット32と、ノズルユニット32に離型剤を供給する離型剤供給機構33などを含んでいる。離型剤供給機構33に、離型剤供給源34と、圧縮エアの供給源35などが接続されている。離型剤供給機構33は、コントロールユニット19からの指令に基いて、離型剤やエアをノズルユニット32に圧送する機能を有している。図1中の矢印Aは離型剤が流れる方向を示している。ノズルユニット32は、金型20,21に向けて離型剤を噴霧する。
【0020】
次にペレット供給装置18について説明する。
ペレット供給装置18は、図1に示すペレット計量部40と、ペレット移送管41と、吐出ユニット42と、ペレット計量部40の動作をつかさどる制御手段であるシーケンサなどを含んでいる。シーケンサは、ダイカスト成形機10のコントロールユニット19に組込まれていてもよい。
【0021】
このペレット供給装置18は、潤滑剤成分を有するペレットをエアによって射出スリーブ26の注湯口26aに供給する機能を有している。ペレットの一例はワックスと黒鉛を含む固形潤滑剤であり、注湯口26aから射出スリーブ26内に供給されることにより、射出スリーブ26とプランジャチップ27aとの摺動部を潤滑するとともに、プランジャチップ27aのかじりを防止するようにしている。ペレットの粒径が大きくなると、射出スリーブ26内でペレットが溶融するのに要する時間が長くなる。このため離型剤の粒径は、溶融しやすさを考慮すると1mm以下が推奨される。しかしこれ以外の粒径であってもよい。
【0022】
ペレット計量部40は、ホッパ45に収容されたペレットを計量するための計量機構46と、計量されたペレットを圧縮エアの供給源35から供給されるペレット移送用のエアによって、ペレット移送管41を介して吐出ユニット42に圧送する機能を有している。ペレット移送管41の一端41aは計量機構46に接続されている。ペレット移送管41の他端41bは吐出ユニット42に接続されている。図1中の矢印Bは、ペレット移送管41内をペレットP(図4に示す)が流れる方向を示している。
【0023】
図2に吐出ユニット42が示されている。図3には、ダイカスト成形機10の一部と、吐出ユニット42が示されている。図3に示されるように吐出ユニット42は、例えば固定ダイプレート11側の部材11aにクランプ部47によって支持されている。
【0024】
図4は、吐出ユニット42を拡大して示す側面図である。吐出ユニット42は、ボディ50を備えている。ボディ50は、管継手として利用されるT形の「チー」と呼ばれる鋳物製品であり、三方に分岐する継手口51,52,53を一体に有している。ボディ50の内部には、空洞からなる流入室55が形成されている。
【0025】
図5は、ボディ50の軸線Zに沿う方向の断面を示している。図6は、前記軸線Zと直角な方向の断面を示している。図5において、第1の継手口51はボディ50の側部に形成されている。第2の継手口52は、ボディ50の上部に形成されている。第3の継手口53はボディ50の底部に形成されている。
【0026】
第1の継手口51に、第1の接続孔61が形成されている。第2の継手口52に、第2の接続孔62が形成されている。第3の継手口53に、第3の接続孔63が形成されている。これら接続孔61,62,63は、いずれも流入室55と連通している。各接続孔61,62,63の内面には、それぞれ雌ねじ61a,62a,63aが形成されている。図5に示されるように、第1の接続孔61は、ボディ50の軸線Zと実質的に直角をなす方向に延びている。第2の接続孔62と第3の接続孔63とは、ボディ50の軸線Z方向に関して互いに対向している。
【0027】
図4に示されるように、第1の継手口51には、継手部材65によってペレット移送管41が接続されている。ペレット移送管41の内部の流路は流入室55と連通している。第2の継手口52には、継手部材66によって、インラインエアパージ用のエア供給管70とエア制御ユニット71が接続されている。エア供給管70の内部の流路はエア制御ユニット71を介して流入室55と連通している。図1中の矢印Cは、エア供給管70内をインラインエアパージ用のエアが流れる方向を示している。
【0028】
エア制御ユニット71は、逆止弁72と、エアの速度を制御する制御弁73とを含んでいる。逆止弁72は、エア供給管70から流入室55に向かうエアの流れを許容するが、流入室55内のエアとペレットがエア供給管70に向かうことを阻止する。制御弁73は、エア供給管70から流入室55に供給されるエアの速度を制御する。制御弁73を通るエアの速度は、操作部73aを操作することによって調整することが可能である。
【0029】
第3の継手口53に、継手部材67によってペレットガイド管75が接続されている。ペレットガイド管75の内部の流路は流入室55と連通している。ペレットガイド管75の一端75aは、継手部材67を介してボディ50の第3の継手口53の接続孔63に接続されている。第3の接続孔63の上端は、流入室55に供給されたペレットを落下させるための漏斗状のペレット出口部77として開口している。ペレットガイド管75の他端はペレット吐出口75bをなしている。このペレット吐出口75bは、射出スリーブ26の注湯口26aの真上において開口している。
【0030】
ペレットガイド管75は例えば外径10mm、厚さ0.8mm程度の銅管、あるいは蛇腹管のように、必要に応じて手で曲げることが可能(曲げ成形可能)な適度な剛性を有している。このペレットガイド管75は、ラドル29との干渉を避けるために、給湯時に移動するラドル29の移動軌跡を避ける形状に曲げられている。吐出ユニット42はクランプ部47(図3に示す)によって所定位置に取付けられているため、予め所定の形状に曲げられたペレットガイド管75は、ダイカスト成形機10の成形動作にかかわらず、ペレット吐出口75bが注湯口26aに対して常に一定の位置となるように保持されている。
【0031】
ペレットガイド管75の流路断面積は、流入室55の流路断面積よりも小さい。このためペレットガイド管75は絞り部として機能する。ここで流入室55の流路断面積とは、第2の接続孔62から第3の接続孔63に向かってエアが流れる流入室55の軸線Zと直角な方向の断面積である。例えば図6に示すように流入室55の流路断面が円形の場合、流入室55の内径R1よりもペレットガイド管75の内径R2の方が小さい。
【0032】
ボディ50の周壁には、第1の接続孔61と対向する位置にエア放出用開口80が形成されている。このエア放出用開口80を覆って通気部材81がボディ50に取付けられている。通気部材81は多数の通気孔82からなる通気孔群を有している。通気孔82は円形以外でもよく、あるいは多数のスリットからなる通気孔群であってもよい。
【0033】
通気部材81の一例は、ステンレス鋼などからなる薄い金属板にプレスによって円形の多数の孔を開けたパンチングメタルであるが、パンチングメタル以外にも、例えば金網等のメッシュ部材や、フォトエッチングによって形成された極薄い多孔板などでもよい。要するにペレットPの粒径よりも小さな開口寸法の通気孔82からなる通気孔群を有し、かつ、第1の接続孔61から流入室55内に供給されるエアの圧力によって変形しない剛性を有している部材であればよい。
【0034】
図7は通気部材81の一例を示す斜視図である。この通気部材81は、内径がφ1mm以下の多数の通気孔82を有するパンチングメタルからなる。この通気部材81は、ボディ50の周壁の外面に沿って円弧状に湾曲した形状をなし、エア放出用開口80を外側から覆うようにして、一対の緊縛用バンド部材85,86によってボディ50に固定されている。
【0035】
緊縛用バンド部材85,86は、それぞれ、ねじ部材87,88によって径を変化させることができるバンド本体85a,86aを有し、バンド本体85a,86aを広げた状態でボディ50の第2の継手口52と第3の継手口53に装着し、ねじ部材87,88によってバンド本体85a,86aの径を狭めることにより、通気部材81の両端がボディ50に固定される。
【0036】
このような構成の通気部材81を採用したことにより、流通孔82が小さくかつ板厚が薄い通気部材81であっても成形が容易となり、板厚が薄くてもボディ50に固定された状態において通気部材81の形状が容易に保持されるため、粒径が小さいペレットPにも十分対応することが可能となった。
【0037】
次に、ダイカスト製品の成形工程と、離型剤およびペレット(潤滑剤)Pの供給工程等について説明する。コントロールユニット19は、メモリに格納されたコンピュータプログラムに基いて、ダイカスト製品の成形プロセスを実行する。さらに成形プロセスの1サイクル毎に、以下に述べる離型剤の塗布工程と、ペレットの供給工程が行なわれる。離型剤の塗布は、図1に示すように金型20,21が開いた状態で行なわれる。ペレットの供給は、金型20,21が閉じた状態で行なわれる。
【0038】
図1に示すように、ロボット31によって金型20,21間にノズルユニット32が挿入される。この状態のもとで、金型20,21の種類や成形条件等に応じて、ノズルユニット32から金型20,21の内面20a,21aに向けて離型剤を噴霧したり、エアを噴出したりする。例えば金型20,21にエアを吹付けることにより、鋳ばり等が除去されるとともに、金型20,21の内面20a,21aの清掃がなされる。金型20,21の内面20a,21aに塗布された離型剤は、成形された製品が金型20,21に固着することを防止する。
【0039】
ペレット計量部40によって計量された所定量のペレットPは、圧縮エアの供給源35から供給されるペレット移送用のエアによって、ペレット移送管41内を吐出ユニット42に向かって移動し、流入室55に圧送される。流入室55に供給されたペレットPとエアは、第1の接続孔61から流入室55内に噴出するとともに、エア放出用開口80に向かって移動することにより、通気部材81に衝突する。
【0040】
通気部材81に衝突したエアとペレットPのうち、エアは通気部材81の通気孔82を通り抜けてボディ50の外部に放出される。通気部材81に衝突したペレットPは、通気孔82を通り抜けることができないため、通気部材81の内面に衝突したのち、自重により下方に落ちる。下方に落ちたペレットPは、ボディ50の底部に形成された第3の接続孔63のペレット出口部77からペレットガイド管75に入り込んで下方に向かい、ペレットガイド管75の最下端のペレット吐出口75bから射出スリーブ26の注湯口26aに供給される。
【0041】
射出スリーブ26内に供給されたペレットPは、射出スリーブ26の熱によって気化し、射出スリーブ26の内面に潤滑剤成分が付着することにより、射出スリーブ26とプランジャ27およびプランジャチップ27aとの摺動部分の潤滑をなすことができる。
【0042】
通気部材81は多数の通気孔82からなる通気孔群を有しているため、通気部材81に衝突したペレットPの粒径がばらついていると、ペレットPの粒径が通気孔82の内径よりも僅かに大きいものは通気孔82に丁度はまってしまい、通気孔82に付着することがある。
【0043】
そこで、ペレットの供給工程が終了した後に、エア供給管70からインラインエアパージ用のエアを一定時間(例えば4〜5秒程度)だけ流入室55に供給する。流入室55に連通するペレットガイド管75の流路断面積は、流入室55の流路断面積よりも小さいため、このペレットガイド管75が絞り部として機能する。このため、流入室55に供給されたエアの一部は、エア放出用開口80から通気部材81を経て通気部材81の外側へと流れる。このエアの圧力によって、通気孔82に挟まっているペレットを通気部材81の外部に排出することができる。すなわち通気部材81の清掃をなすことができる。
【0044】
また、エア供給管70から流入室55に供給されたエアの一部は、ペレットガイド管75の上端側のペレット出口部77からペレットガイド管75内に入り、ペレットガイド管75の下端側のペレット吐出口75bから出てゆく。このエアの流れによって、ペレットガイド管75を冷却することができるため、射出スリーブ26の近くに位置するペレットガイド管75が高温になることを抑制でき、ペレットガイド管75の内面にペレットが溶けて付着してしまうといった目詰まりの原因を防止することができるものである。
【0045】
エア供給管70から流入室55に供給する単位時間当りのエアの供給量は、エアの速度を制御する制御弁73の操作部73aを操作することによって調整することができる。このためエア供給管70から流入室55に供給されるエアのうち、通気部材81に向かう清掃用エアの量と、ペレットガイド管75に向かう冷却用エアの量とが適度にバランスして分配されるように、操作部73aによって制御弁73を調整する。この制御弁73は、ペレット移送管41とは独立したインラインエアパージ用のエア供給管70に設けられており、しかも流入室55内のペレットがエア供給管70に向かって逆流することを逆止弁72によって防いでいるため、エアを制御するための制御弁73が設けられていても、ペレットの移送を問題なく行なうことができる。
【0046】
ペレットの供給工程が終了し、射出スリーブ26内に供給されたペレットPが溶融したのち、ダイカスト成形機10の成形サイクルの一環として、注湯工程においてラドル29によって溶湯が注湯口26aから射出スリーブ26内に供給される。さらに駆動ユニット28によってプランジャ27が前進することにより、射出スリーブ26内の溶湯がキャビティ22に供給される。キャビティ22内に射出された溶湯は、保圧されかつ冷却されることにより固化し、キャビティ22に応じた形状の成形品となる。
【0047】
成形品が固化したのち、移動側の金型21がダイプレート駆動機構15によって固定側の金型20から離される。こうして金型20,21が開くと、成形品は移動側の金型21に付着した状態となっている。成形品取り出し工程では、移動側の金型21に付着している成形品がエジェクタピン(図示せず)によって移動側の金型21から押し出されるとともに、ロボットによって成形品が移動側の金型21から取り出されて、1回の成形サイクルが終了となる。
【0048】
図8は、第2の実施形態に係る吐出ユニット42Aを示している。この吐出ユニット42Aは、ボディ50の底部に形成された第3の接続孔63のペレット出口部77に、絞り部として機能する絞り部材100を備えている。絞り部材100の流路断面積は、流入室55の流路断面積よりも小さい。そしてこの吐出ユニット42Aは、ペレット出口部77が射出スリーブ26の注湯口26aの真上に位置する前進位置と、ペレット出口部77が注湯口26aの上方から退避する後退位置とにわたって、例えばエアシリンダ等の駆動機構によって矢印Y1,Y2で示す方向に移動させることができるように構成されている。
【0049】
この吐出ユニット42Aは、ペレットPを注湯口26aに投入する際にはペレット出口部77を注湯口26aの真上に位置させ、ラドルによって溶融金属を注湯する際には、ペレット出口部77が注湯口26aから退避するように移動する。それ以外の構成と作用および効果については、前記第1の実施形態の吐出ユニット42と共通であるため、両者に共通の符号を付して説明を省略する。
【0050】
なお本発明を実施するに当たって、ペレット供給装置の具体的な構成をはじめとして、ダイカスト成形機を構成する種々の要素の具体的な態様を必要に応じて変更して実施できることは言うまでもない。またペレットは、潤滑剤成分と離型剤成分との双方を含有する多機能複合ペレットであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
10…ダイカスト成形機、18…ペレット供給装置、19…コントロールユニット(制御手段)、20…固定側金型、21…移動側金型、26…射出スリーブ、26a…注湯口、27…プランジャ、29…ラドル、41…ペレット移送管、42,42A…吐出ユニット、50…ボディ、55…流入室、61…第1の接続孔、62…第2の接続孔、63…第3の接続孔、70…エア供給管、71…エア制御ユニット、72…逆止弁、73…制御弁、75…ペレットガイド管、77…ペレット出口部、80…エア放出用開口、81…通気部材、85,86…緊縛用バンド。
図1
図2
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図6
図7
図8