(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6088977
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】エレベータの安全回路とエレベータの安全回路の動作不具合の識別方法
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20170220BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20170220BHJP
G01R 31/02 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B3/00 U
G01R31/02
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-541392(P2013-541392)
(86)(22)【出願日】2011年11月24日
(65)【公表番号】特表2014-502242(P2014-502242A)
(43)【公表日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】FI2011000049
(87)【国際公開番号】WO2012072859
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年11月20日
(31)【優先権主張番号】20106264
(32)【優先日】2010年12月1日
(33)【優先権主張国】FI
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591159044
【氏名又は名称】コネ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】KONE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079991
【弁理士】
【氏名又は名称】香取 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】カッタイネン、 アリ
(72)【発明者】
【氏名】ホビ、 アンッティ
(72)【発明者】
【氏名】ヨキネン、 リスト
【審査官】
三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−095342(JP,A)
【文献】
特開平06−300808(JP,A)
【文献】
特表2002−538061(JP,A)
【文献】
特開2009−186352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 3/00
G01R 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセージをノードAにおいて形成する方法において、
エレベータの安全回路の動作を試験する試験フィールドを前記メッセージに付加し、
前記試験フィールドを含むメッセージを二重化構造のノードAから前記エレベータの安全回路の二重化構造の通信バスに送信し、
前記試験フィールドを含むメッセージは、前記二重化構造の通信バスから二重化構造のノードBで受信され、
前記受信したメッセージの前記試験フィールドと該メッセージの残りの部分とに基づき、前記エレベータの安全回路の動作不具合を識別することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記受信したメッセージの前記試験フィールドと該メッセージの残りの部分とに基づき、前記エレベータの安全回路の動作不具合としてノードBの接続ミスおよび/または配線ミスを識別することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記エレベータの安全回路の動作不具合を表示する信号を形成することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法において、
前記エレベータの安全回路の動作不具合を診断する前記試験フィールドの一つまたはそれ以上の参照信号をノードBのメモリに記録することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記受信したメッセージの試験フィールドは、ノードBのメモリに記録された試験フィールドの1つ、またはそれ以上の参照信号と比較され、
前記受信したメッセージの試験フィールドと前記メモリに記録された1つ、またはそれ以上の参照信号との比較に基づき前記エレベータの安全回路の動作不具合を識別することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の方法において、
前記参照信号により示される動作不具合の重症度についての情報をノードBのメモリの試験フィールドの、1つ、またはそれ以上の参照信号に関連させることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
ノードBにおいて、前記安全回路の検出された動作不具合の最大の重症度を示す信号を形成することを特徴とする方法。
【請求項8】
二重化構造の通信バスと、
該二重化構造の通信バスに接続された二重化構造のノードと、
安全回路の機能状態に関係し、さらに前記ノードに接続されたセンサおよび/またはアクチュエータとを含むエレベータの安全回路において、
前記通信バスに接続されたノードの1つまたはそれ以上は、マイクロプロセッサと、実行されるプログラムを格納するメモリとを含み、
前記マイクロプロセッサは、請求項1ないし7に記載の方法のいずれかを実行して該エレベータの安全回路の動作不具合を識別するように構成されて
いることを特徴とするエレベータの安全回路。
【請求項9】
請求項8に記載の安全回路において、該安全回路は、少なくとも2つのノード、AおよびB、を含んでいることを特徴とするエレベータの安全回路。
【請求項10】
請求項8または9に記載の安全回路において、前記通信バスは、直列インターフェイスバスであることを特徴とするエレベータの安全回路。
【請求項11】
請求項8ないし10のいずれかに記載の安全回路において、ノードは、エレベータの動作不具合を表示する手段を含んでいることを特徴とするエレベータの安全回路。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、エレベータの安全回路での動作不具合の識別に関する。
【0002】
エレベータの安全回路に関する設計指示および設計規則は、特にマイクロプロセッサ技術およびソフトウェア技術の発展の結果として変遷してきている。新しい設計指示および設計規則の結果として、エレベータの安全回路は、マイクロプロ
セッサ制御およびデータバスアーキテクチャに基づいて設計できる。たとえばエレベータの運行を測定する多数のセンサが同じデータバスに接続され、エレベータの運行はデータバスに接続された別の電子監視ユニットによってモニタすることができる。
【0003】
エレベータの安全回路の目的は、すべての運行状態においてエレベータシステムの安全運行を確実に行なうことにある。これに関連してマイクロプロセッサ制御の監視ユニット、データバス、センサその他に対して、高度な、通常少なくともSIL2もしくはSIL3の安全度水準が要求される。適切な安全性水準を達成するために装置およびデータバスは、しばしば2重にしなければならない。その一方、2重にすることは必要とする部品、回路および配線の量を増加させることになる。
【0004】
回路や配線が増加すると、接続ミス、配線ミス、データバスの信号線への誤った電圧接続等のリスクもまた増加する。データ転送バスへ接続される装置に対する動作電圧は、しばしば信号線と同じケーブルで送られる。導体の絶縁破壊はショートや信号線への動作電圧接続を引きおこす。
【0005】
したがって、エレベータの安全回路は、フェイルセーフに設計して安全回路の不良状態では常にエレベータの使用を除外するようにしなければならない。結局、できるだけ早い段階、せいぜいエレベータを設置したらすでに不良状態を確実に識別して位置を特定し、その場合、どのような不良状態でもできるだけエレベータの運行を阻害しないようにする必要がある。
【0006】
本発明の目的は、エレベータの安全回路の診断法を改善させることである。この目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載された方法と、また請求項
8に記載されたエレベータの安全回路とを開示している。本発明の好適な実施形態は、従属請求項に記載されている。発明の実施形態およびいくつかの実施形態の組合せ発明は、本願の詳細な説明および図面にも提示されている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の方法では、メッセージがノードAで形成され、エレベータの安全回路の動作を試験するための試験フィールドがメッセージに付加される。前述の試験フィールドを含むメッセージは、ノードAからエレベータの安全回路の通信バスに送信される。本発明の好適な実施形態において、前述の試験フィールドを含んだメッセージは、エレベータの安全回路の通信バスからノードBで受信され、エレベータの安全回路の動作不具合は、受信された試験フィールドに基づきノードBで識別される。本発明の好適な実施形態において、ノードBの接続ミスおよび/または配線ミスは、この場合受信した試験フィールドに基づき識別される。本発明の最も好適な実施形態において、通信バスの極性間違いは、この場合ノードBの接続ミスとして識別される。
【0008】
本発明の好適な実施形態において、エレベータの安全回路の動作不具合を表示する信号がノードBで形成される。前述のエレベータの安全回路の動作不具合は、この場合好ましくはノードBの接続ミスおよび/または配線ミスである。この信号を形成する本発明の1つの実施形態において、ノードBでの手段を制御してエレベータの動作不具合を表示する。本発明の1つの実施形態において、形成された信号は、通信バスを通してこの通信バスに接続された第2のノードに送られ、動作不具合を表示する。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、試験フィールドの1つまたはそれ以上の参照信号は、エレベータの安全回路の動作不具合を識別するためにノードBのメモリに記録され、受信した試験フィールドはノードBのメモリに記録された前述の試験フィールドの1つまたはそれ以上の参照信号と比較され、エレベータの安全回路の動作不具合は、受信した試験フィールドとメモリに記録された前述の試験フィールドの1つまたはそれ以上の参照信号との比較に基づき識別される。
【0010】
1つの実施形態において、問題の参照信号により示される動作不具合の重症度についての情報は、ノードBのメモリ中の試験フィールドの1つまたはそれ以上の参照信号と関連づけられ、またノードBでは、安全回路の同時に検出された動作不具合の最大の重症度を示す信号を形成する。このように、不良を探すことに加えて、エレベータの安全回路の動作状態をよりよく診断することもできる。
【0011】
本発明によるエレベータの安全回路は、通信バスと、通信バスに接続されたノードと、安全回路の機能状態に関係するセンサおよび/またはアクチュエータとを含み、このセンサはノードに接続されている。通信バスに接続された前述のノードの1つまたはそれ以上は、マイクロプロセッサと、実行されるプログラムが格納されるメモリとを含む。前述のマイクロプロ
セッサは、上記の方法のいずれかを実行してエレベータの安全回路の動作不具合を識別するように構成されている。本発明の好ましい実施形態では、安全回路は、少なくとも2つのノード、AおよびB、を含んでいる。ノードAは、好ましくはエレベータの安全回路の電子監視ユニットであり、監視ユニットは、通信バスに接続された他のノードから受信した測定データに基づきエレベータの運行状況を判定するよう構成され、電子監視ユニットはまた、エレベータの動作不具合を検知すると、機械的ブレーキを駆動し、エレベータモータへの給電を止め、エレベータが新たに始動することを防止するよう構成されている。
【0012】
前述の通信バスは、好ましくは直列インターフェイスバスである。本発明の最も好ましい実施形態において、通信バスに伝送される信号は差動信号であり、ノードBは、受信した試験フィールドを基にしてノードBに接続された差動信号の極性の不正を識別するように構成されている。
【0013】
前述のノードBは、好ましくはエレベータの動作不具合を表示する手段を含んでいる。一つの実施形態においてエレベータの動作不具合を表示する手段は、ノードBにLED部品を含み、ノードBのLED部品は、マイクロプロ
セッサにより、パルス状の制御信号で制御し、そのパルスの周波数、持続時間および発生頻度は、検知された動作不具合のタイプおよび/もしくは重症度の視覚情報をLED部品の点滅によって与えるように選択される。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、検知されたエレベータの安全回路の動作不具合についての情報は、データ転送リンクを通してサービスセンタに送られる。このようにして、エレベータの診断は、特にエレベータの遠隔監視/遠隔運行に関してさらに改善できる。前述のデータ転送リンクは、たとえば、インターネット接続もしくは同様の有線接続でよく、データ転送リンクは、たとえばGSM接続で、または電磁放射に基づく同等のデータ転送接続で、ワイヤレスとして実現できる。
【0015】
本発明によれば、エレベータの安全回路の動作不具合、特に通信バスの配線ミス/接続ミスは、確実に識別することができる。さらに、本発明によれば、不良の発生場所は、速やかにかつ的確に探し出すことができ、また探し出した発生場所を不良修理作業者に示すことができ、もしくはサービスセンタへ送信することができる。これらすべてがエレベータの安全回路の診断を改善し、その一方で、不良によって、またエレベータの動作に関して起きるどのような障害も最低限となるように、できるだけ早急に修理することを可能とする。
【0016】
上述した概要は、以下に提示される本発明のさらなる特徴および利点とともに、本発明のいくつかの実施形態についての以下の記載からより良く理解されるが、この記載は、本願発明の適用分野を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本発明による1つのエレベータの安全回路を表すブロック図である。
【
図3】本発明によるいくつかの試験フィールド参照信号を示す。
【0018】
図2によれば、エレベータの安全回路は、通信バス6に接続されたノードA、B、Cを含んでいる。ノードA、B、Cは、通信バス6を通して相互に通信する。通信バス6のメッセージ1は、信号転送用の2本の平行信号線15A、15Bを使用した差動モード直列通信信号として転送される。この理由により、ノードA、B、Cはそれぞれ、差動信号用の、好ましくは、RS485信号で非同期のいわゆるUARTプロトコル用の送受信回路14A、14Bを有している。送受信回路14A、14Bは、平行信号線15A、15Bで同じ信号を互いに反転させた差動信号を同時に通信バス6に送信する。通信バス6から上述の信号を受信すると、送受信回路14A、14Bは、それに応じて平行信号線15A、15B間の差分を差動信号から読み取る。
【0019】
図2によれば、エレベータの安全回路は、安全度水準SIL3に合致するよう設計され、そのため通信バス6および通信バスに接続されたノードA、B、Cはその構造が二重化されている。この二重化構造は、二重化通信バス6の両差動データ転送チャネル15A、15Bにおけるデータ転送が他のチャネルと独立して生ずるような冗長性がある。ノードA、B、Cは、各ノードごとに2つのマイクロプロ
セッサ13A、13Bと、このマイクロプロ
セッサに接続された送受信回路14A、14Bとを含んでいる。第2図によれば、第1の送受信回路14Aは、第1の差動データ転送チャネル15A、15Bに、そして第2の送受信回路14Bは、第2の差動データ転送チャネル15A、15Bに接続されている。エレベータの電子監視ユニットはノードAとして機能し、電子監視ユニットは、ノードB、Cに接続されたセンサから通信バス6を通してデータを受信し、もし必要ならばエレベータの安全ブレーカ12を制御する。安全ブレーカ12はリレーであり、その接点はリレーの制御コイルの電気供給を中断したとき開放される。安全ブレーカ12のリレーの接点は、エレベータの安全回路に接続され、安全ブレーカ12のリレーの接点が開くと、エレベータかごを動かすエレベータの巻上げ機(
図2には示さず)の機械的ブレーキの電磁石への電気供給を中断し、機械的ブレーキが始動する。同じ関連で、巻上げ機の電気モータへの電流供給も切断される。エレベータの電子監視ユニットAは、エレベータの安全が危険にさらされると検知したとき安全ブレーカ12のリレーの接点を開くように制御する。通信バス6には様々な数のノードA、B、Cを接続させることができる。1つのノードBは、エレベータかご(
図2には示さず)に、好ましくは、エレベータかごの屋根に固定させることができ、その場合に、エレベータ昇降路(
図2には示さず)でのエレベータかご位置を測定するセンサ11およびエレベータかごのドアの位置を測定するセンサがノードBに接続できる。1つのノードCは、エレベータの昇降路(
図2には示さず)に取り付けることができ、エレベータ昇降路の終端近くにおいてのエレベータかごの動きの許容限界を決めるセンサ(
図2には示さず)、乗降ドアの位置/係止を検出するセンサ10等は、このノードに取り付けることができる。あるノードは、機械室、または機械室なしのエレベータシステムのエレベータ昇降路の上部(
図2には示さず)に取り付けることができ、たとえば、過速度調速機の動作を測定するセンサをこのノードに接続させることができる。本発明の1つの実施形態において、通信バス6では時分割プロトコルが使用され、電子監視ユニットAは通信バス6を通してノードB、Cにメッセージ1を送信し、ノードB、Cのそれぞれは個々の時間窓内でメッセージ1に応答する。
図2によるエレベータの安全回路における1つの問題は、必要な配線、接続および部品の量が多いことであり、そのせいで様々な接続ミス/配線ミスを診断するための従来技術よりも良い解決策が必要である。
【0020】
図1にメッセージ構造を示すが、それはたとえば、エレベータの安全回路の動作不具合を識別するための
図2によるエレベータの安全回路で使用することができる。メッセージ1は、同期フィールド3を有し、メッセージ1を受信するノードはそれに基づきメッセージに同期してこれを受信する。さらに、メッセージ1は、パリティ/チェックサムなどの検査フィールド5を有し、それに基づき受信ノードはデータフィールド4の受信データの正確さを検査する。以上に加えて、またはこれとは異なり、メッセージ1は他のフィールドを、たとえば、メッセージ1を受信する宛先ノードが記載されたアドレスフィールドを可変的に含むことができ、1つの考えられるフィールドはメッセージの終わりを示すエンドフィールド等である。本発明の好ましい実施形態において、エレベータの安全回路の動作を試験するための試験フィールド2がメッセージ1の最初に加えられている。次に、試験フィールド2を使用してエレベータの安全回路の動作不具合を識別できる方法を説明する。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、ノードA、B、Cは、
図1によるメッセージ1を一つずつ通信バス6に送信し、バス上の各ノードは通信バス6からメッセージを受信する。
図3に示す試験フィールドの参照信号9A、9B、9Cは、エレベータの安全回路の動作不具合を識別するためのノードA、B、Cのメモリ回路に記録されている。メッセージ1に属している試験フィールド2を受信した後に、ノードA、B、Cのマイクロプロ
セッサは、受信した試験フィールドとメモリの試験フィールドの参照信号とを比較し、受信した試験フィールド2とメモリに記録された試験フィールドの参照信号9A、9B、9Cとの比較に基づいてエレベータの安全回路の動作不具合を識別する。最も簡単にいえば、試験フィールドは、受信する試験フィールドの電圧信号レベルもしくは電流信号レベルなどの信号レベルが試験フィールドの全期間中不変であるように設計されている。本発明の好ましい実施形態において、
図3のグラフ9Aは、エレベータの安全回路が作動している状態にあるときの試験フィールドの参照信号を示している。この場合、ノードA、B、Cのマイクロプロ
セッサ13A、13Bによって受信された信号は、試験フィールド2の期間中は論理「1」状態を保持している。もし、受信した信号が
図3のグラフ9Bに示すように試験フィールド2の期間中論理「0」状態を保持しているならば、ノードA、B、Cの送受信回路14A、14Bに接続された信号線は、交差している。
図3のグラフ9Cは、信号線15A、15BをノードA、B、Cに接続しないままの状態を示す。この場合、メッセージ1の残りの部分は、試験フィールド2と同様、論理「1」状態のままである。
【0022】
また、メッセージ1は、試験フィールド2を一つ以上含むことができる。さらに、試験フィールド2のパルスパターンは、したがって試験フィールドの参照信号も、以上の記載と異なってよい。また、試験フィールド2のパルスパターン/参照信号は、それぞれのノードA、B、Cと、両データ転送チャネル15A、15Bとで異なってよく、その場合、試験フィールド2と試験フィールドの参照信号とを比較することによって、異なるノードやデータ伝送チャネルの間の配線ミス/接続ミスがあればそれを推測できる。
【0023】
ノードA、B、Cのマイクロプロ
セッサは、制御パルスでLED8を制御し、その生起幅および周波数でどのタイプの不良が生じているかを判定できる。各ノードA、B、Cは、両データ転送チャネル15A、15Bの診断のため、それぞれのLED8/マイクロプロ
セッサ13A、13Bを持ち、欠陥のあるデータ転送チャネル15A、15BはLEDの点滅によって見つけることができる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態において、問題の参照信号9A、9B、9Cにより示される動作不具合の重症度についての情報は、試験フィールドの参照信号9A、9B、9Cに関連して記録されている。たとえば、
図3において参照信号9Cにより示される不良の重症度は、参照信号9Bにより示される不良の重症度よりも大きくなるよう決めることができる。この場合、もしノードA、B、Cでの試験フィールドが異なる多数の不良をいっせいに示したならば、LEDの制御は、問題のノードにおいて常に重症度が最大の不良を示すように選択される。
【0025】
本発明において、動作不具合を示す手段は、LEDに加えて、またはこれに代わり、たとえばスピーカとすることができる。この場合動作不具合は、音声信号として示すことができる。また、上述の手段は、表示装置とすることができ、その場合動作不具合は、たとえば記号、数字または文章形式で示すことができる。
【0026】
先の実施形態において、本発明はエレベータの安全回路に関して記載されているが、本発明は、たとえばエスカレータや動く歩道の安全回路の診断に使用するのにも適している。
【0027】
本発明は、上記のように実施形態の少しの例を挙げて記載されている。本発明が上記の実施形態のみに限定されず、請求の範囲で定義される発明概念の範囲内において、他の多くの応用が可能であることは、当業者にとって明らかである。