【文献】
CAMPAS CLARA,ACADESINE ACTIVATES AMPK AND INDUCES APOPTOSIS IN B-CELL CHRONIC LYMPHOCYTIC LEUKEMIA CELLS BUT NOT IN T LYMPHOCYTES,BLOOD,2003年 5月,V101 N9,P3674-3680
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2A】HepG2細胞で行われたFACSベースのAMPK活性化の結果を示すグラフである。
【
図2B】HepG2細胞で行われたFACSベースのAMPK活性化の結果を示すグラフである。
【
図3】ヒト全血を用いたpAMPK FACSアッセイの結果を示す図である。結果は、リンパ球に関する7倍のウィンドウを示している。
【
図4】ヒトおよびマウス全血におけるpAMPK FACSアッセイの結果を示す図である。プロトコルは、
図3に示されたデータに使用されたものと同じであった。結果は、リンパ球におけるロバストなウィンドウを示している。対照ピークは、各グラフの各々の左側であり、化合物2のピークは右側である。
【
図5】マウス全血を用いたpAMPK FACSアッセイの結果を示す図である。AMPKの公知の調節因子、化合物2が試験化合物として使用される。
【
図6】pACCについて得られたEC
50データが、pAMPKのEC
50データと相関することを示すFACSアッセイの結果を示す図である。
【
図7】pAMPKヒト全血FACSアッセイが異なるドナーにおいて高度に特異的であり、異なる抗体が極めて類似した結果を提供することを示す一連のグラフである。
【
図8A】2つのAMPK活性化因子を用いたpAMPKおよびpACC刺激には、ドナーによって低い変動性があることを示す表である。
【
図8B】
図8Aの表に提示されたデータの分析を示すグラフである。
【
図8C】
図8Aの表に提示されたデータの分析を示すグラフである。
【
図9】AMPKの公知の調節因子、化合物2のEC50に対するインキュベーション時間の影響を示す一連のグラフである。
【
図10】ヒト白血球を用いたpAMPKアッセイとHepG2細胞を用いたpAMPKアッセイの間の相関を示す散布図である。200化合物が試験された。
【
図11】ヒト白血球を用いたpAMPKとpACCとの間の相関を示す散布図である。
【
図13】AMPKの公知の調節因子、化合物2による処理後のAMPKリン酸化は、インビボでのマウスにおいて用量依存的であることを示す一連のグラフである。
【
図14】AMPKの公知の調節因子、化合物2は、マウス血液リンパ球におけるAMPKリン酸化を増加させることを示す2つの棒グラフを示す図である。
【
図15】脾臓細胞および化合物2を用いたpAMPK FACSアッセイの結果を示す棒グラフを示す図である。
【
図16A】pAMPKの最大刺激レベルは、給餌し肥満したマウスと比べて絶食させ痩せたマウスで著しく高いが、非刺激レベルは変わらないままであることを示すグラフのパネルである。
【
図16B】pAMPKの最大刺激レベルは、給餌し肥満したマウスと比べて絶食させ痩せたマウスで著しく高いが、非刺激レベルは変わらないままであることを示すグラフのパネルである。
【
図17B】OGTTとPK/PDとの結果の間に妥当な相関があることを示す図である。
【0009】
定義
用語「生物学的試料」は本明細書で使用されるとき、生きた材料を含有するまたは生きた材料から作られる任意の試料を指す。生物学的試料は、多細胞生物から得られたインタクトな細胞を含有することができる。生物学的試料は、個体(例えば軟組織もしくは体液)から、またはインビトロで増殖される細胞培養物から単離することができる。生物学的試料は、脳、副腎、皮膚、肺、脾臓、腎臓、肝臓、脾臓、リンパ節、骨髄、膀胱、胃、小腸、大腸また筋肉等などの軟組織から作ることができる。体液には、血液、血漿、唾液、粘液、痰、脳脊髄液(cerebral spinal fluid)、胸膜液、涙液、乳糜管液(lactal duct fluid)、リンパ液、喀痰、脳脊髄液(cerebrospinal fluid)、滑液、尿、羊水、および精液等が含まれる。生物学的試料には、インビトロでの培養下で増殖された細胞も含まれる。
【0010】
用語「インタクトな細胞」には、固定および/または透過処理された細胞が含まれる。溶解および/または切片化された細胞は、インタクトな細胞ではない。ウェスタンブロット、および細胞溶解物のタンパク質または抗体のタンパク質のどちらかが固体担体(例えば、ELISA)に付着されるアッセイは、インタクトな細胞を含まない。
【0011】
用語「血液試料」またはこの文法的同等物は、全血の試料または全血中の細胞の亜集団の試料を指す。全血中の細胞の亜集団には、血小板、赤血球(red blood cell)(赤血球(erythrocyte))、血小板および白血球(すなわち、好中球、リンパ球、好酸球、好塩基球および単球から構成される末梢血白血球)が含まれる。これらの5種類の白血球は、さらに、2つのグループ、顆粒球(多形核白血球としても知られ、好中球、好酸球および好塩基球が含まれる)および単核白血球(単球およびリンパ球が含まれる)に分類することができる。リンパ球は、さらに、T細胞、B細胞およびNK細胞に分類することができる。末梢血細胞は、血液の循環プールにおいて見出され、リンパ系、脾臓、肝臓、または骨髄内に隔離されない。血液を最初に薬剤と接触させ、次いで該血液の試料をアッセイで使用する場合、接触させた血液の一部または全部をアッセイで使用してもよい。
【0012】
用語「捕捉剤」は、薬剤が標的分子を結合し、異なる分子の均一混合物から濃縮するのを可能にするのに十分な相互作用を介して、標的分子を結合する薬剤を指す。結合相互作用は、典型的には捕捉剤の親和性領域により媒介される。典型的な捕捉剤は、標的分子に特異的に結合することができるいずれかの部分を含む。ある実施形態において、ポリペプチド、例えば、抗体が使用されてもよい。
【0013】
用語「抗体」は、抗体の少なくとも1つのエピトープ結合ドメインを有する捕捉剤を指すのに本明細書において使用される。抗体の種類には、モノクローナル抗体が含まれ、この抗原結合断片(例えば、Fab断片、Fv断片、scFv断片、およびFd断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体等)が知られており、これ以上詳細に記載される必要はない。
【0014】
捕捉剤は、標的分子を「特異的に結合」する。したがって、用語「捕捉剤」は、他の分子に著しく結合することなく、約10
−6M未満(例えば、約10
−7M未満、約10
−8M未満、約10
−9M未満、約10
−10M未満、約10
−11M未満、約10
−12M未満、10
−16Mの低さまで)の解離定数(K
D)で標的分子、例えば、リン酸化ポリペプチドを特異的に結合することができる分子または多分子複合体を指す。用語「特異的結合」は、異なる標的分子の均一混合物中に存在する特定の標的分子に優先的に結合する捕捉剤の能力を指す。特異的結合相互作用は、試料中の望ましい(例えば、リン酸化)標的分子と望ましくない(例えば、非リン酸化)標的分子を、典型的には約10超から100倍以上(例えば、約1000超または10,000倍)識別するであろう。
【0015】
本明細書で使用されるとき、用語「フローサイトメトリー」は、試料の個々の細胞がレーザー光線を通って一列に狭い流れの中を通過するとき、該細胞がこの光学特性(例えば、光吸収、光散乱および蛍光特性等)により分析される方法を指す。フローサイトメトリー方法には、特定の光学特性を有する細胞の集団が他の細胞から分離される蛍光活性化細胞選別(FACS)方法が含まれる。
【0016】
本明細書で使用されるとき、用語「標識(labeling)」には直接標識および間接標識が含まれる。抗体は、フルオロフォアまたは量子ドット(この多くが知られている)で蛍光標識することができる。
【0017】
用語「所定の」は、使用前に同一性が知られているエレメントを指す。エレメントは、名称、配列、分子量、この機能、量、光学特性、またはいずれか他の属性もしくは識別子により知ることができる。
【0018】
用語「混合物」は本明細書で使用されるとき、散在しているが任意の特定の順序にはないエレメント(例えば、細胞)の組み合わせを指す。混合物は均一であり、異なる構成素に空間的に分離されない。エレメントの混合物の例には、空間的にむき出しの様式で同じ水溶液中に存在する幾つかの異なる細胞が含まれる。
【0019】
「単離された」または「精製された」は、物質が存在する試料のかなりの割合(例えば、2%を超える、5%を超える、10%を超える、20%を超える、50%を超える、またはより多い、通常は最大約90%〜100%)を構成するように、物質(化合物、ポリヌクレオチド、タンパク質、ポリペプチド、ポリペプチド組成物)を単離することを指す。実質的に精製された成分は、試料の少なくとも50%、80%〜85%、または90〜95%を構成する。
【0020】
用語「査定(assessing)」には測定の任意の形態が含まれ、およびエレメントが存在するか否かの判定が含まれる。用語「判定(determining)」、「測定(measuring)」、「評価(evaluating)」、「査定(assessing)」および「アッセイ(assaying)」は、互換的に使用され、定量的および/または定性的判定を含み得る。査定は、相対的または絶対的であってもよい。「存在の査定」には、存在している何かの量の判定、および/または有無の判定が含まれる。
【0021】
用語「使用(using)」は従来の意味を有し、そのため、目的を達成するための方法または組成物の使用(employing)、例えば利用(putting into service)を意味する。例えば、ファイルを作成するのにプログラムが使用される場合、ファイルを作るのにプログラムが実行され、ファイルは通常、プログラムのアウトプットである。別の例では、コンピュータファイルが使用される場合、コンピュータファイルは通常、アクセスされ、読み取られ、目的を達成するために使用されるファイルに情報が記憶される。同様に固有の識別子、例えばバーコードが使用される場合、固有の識別子は通常、例えば、固有の識別子に関連した物体またはファイルを識別するのに読み取られる。
【0022】
本明細書で使用されるとき、用語「幾何平均」は、n個の数の積のn乗根として表されるn個の数の平均を指す。
【0023】
本明細書で使用されるとき、用語「インビボで」は、丸ごとの生きた生物(例えば、生きた哺乳動物)の身体を指す。
【0024】
本明細書で使用されるとき、用語「エクスビボで」は、丸ごとの生きた生物(例えば、生きた哺乳動物)の身体から除去された生きた組織を指す。哺乳動物から採取され、および生細胞を含有する血液の試料は、エクスビボ試料の例である。
【0025】
本明細書で使用されるとき、用語「インビトロで」は、培養下で増殖された細胞を指す。
【0026】
本明細書で使用されるとき、用語「AMPK」または「AMP活性化タンパク質キナーゼ」は、アルファ触媒サブユニット、ならびに非触媒ベータおよびガンマサブユニットから構成されるヘテロ三量体キナーゼを指す。AMPKは、細胞のエネルギー状態を監視する重要なエネルギー感知酵素である。細胞の代謝ストレスに応答して、AMPKが活性化され、ならびに脂肪酸およびコレステロールのデノボ生合成の制御に関与する主要な酵素、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)およびベータ−ヒドロキシベータ−メチルグルタリルCoAレダクターゼ(HMGCR)のほか、代謝に関与する他のタンパク質をリン酸化および不活化する。AMPKおよびエネルギーセンサーとしてのこの役割は、Kempら(Trends Biochem. Sci. 1999 24:22〜5頁)、Hardieら(Bioessays. 2001 23:1112〜9頁)、Musiら(Curr. Drug Targets Immune Endocr. Metabol. Disord. 2002 2:119〜27頁)、Musiら(Biochem. Soc. Trans. 2003 31:191〜5頁)およびHardie(Endocrinology. 2003 144:5179〜83頁)およびAschenbach(Sports Med. 2004 34:91〜103頁)を含むさまざまな刊行物において総説されており、これらの刊行物は参照により組み込まれる。
【0027】
本明細書で使用されるとき、用語「ホスホ−AMPK」または「p−AMPK」は、αサブユニットが172位にリン酸化スレオニンを有するAMPKの一形態を指す。この位置のリン酸化は、上流のAMKPキナーゼ(AMPKK)により行われる。この位置のリン酸化は、該キナーゼに下流の標的をリン酸化させる。ホスホ−AMPKの1つの下流の標的は、ACC(アセチルCoAカルボキシラーゼ)であるが、多くの他の標的がある。
【0028】
本明細書で使用されるとき、用語「AMPK活性化」は、AMPKまたはこの直接の標的のリン酸化状態を指す。AMPKは、AMPKの上流のタンパク質(例えば、アディポネクチン受容体、レプチン受容体、αアドレナリン受容体、またはインスリン受容体等)の調節、またはAMPK自体により活性化され得る。AMPK活性化は、AMPK自体またはAMPKの下流の標的をアッセイして判定することができる。
【0029】
ホスホ−AMPKまたはこのリン酸化標的に特異的な抗体は、これらのタンパク質のリン酸化形態を特異的に結合するが、これらのタンパク質の非リン酸化形態は特異的に結合しない。
【0030】
用語の他の定義は、本明細書を通して現れる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明がより詳細に記載される前に、本発明は記載された特定の実施形態に限定されず、そのため、当然ながら変わり得ることが理解されるべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることから、本明細書に使用される用語法は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、限定されるものではないことも理解されるべきである。
【0032】
値の範囲が示されている場合、文脈が別途明確に指示しない限り下限の単位の10分の1まで、この範囲の上限と下限との間の各介在値、およびこの規定範囲にある任意の他の規定値または介在値は、本発明の範囲内に包含されることが理解される。
【0033】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の任意の方法および材料もまた、本発明の実践または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料が、これより記載される。
【0034】
本明細書に引用された全ての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許が、参照により組み込まれることを具体的および個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれ、ならびに刊行物が引用される関連での方法および/または材料を開示および記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。いかなる刊行物の引用も、出願日前のこの開示のためであり、先行発明を理由として、本発明がこのような刊行物に先行する権利を有さないことの承認として解釈されるべきではない。さらに、示された刊行物の日付は、実際の刊行日とは異なる可能性があり、独自に確認される必要があり得る。
【0035】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことが留意されなければならない。特許請求の範囲は、いかなる随意的な要素も排除するように起草され得ることがさらに留意される。そのため、この記載は、請求項要素の列挙に関連した、「〜だけ(solely)」、「〜のみ(only)」等のような排他的用語の使用、または「否定的」限定の使用のための先行詞としての役割を果たすことが意図される。
【0036】
本開示を読むと当業者に明らかになるように、本明細書に記載および図示された個々の実施形態はそれぞれ、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、いずれの他の幾つかの実施形態の特徴からも容易に区別され得る、または組み合わされ得る個別の構成要素および特徴を有する。いずれの列挙された方法も、列挙されたイベントの順、または論理的に可能ないずれか他の順に行うことができる。
【0037】
試料分析方法
下記の方法は、血液の試料を使用する。しかし、血液は、該方法において使用することができる多くの生物学的試料の1つにすぎない。他の実施形態において、他の組織(例えば、肝臓または脾臓等などの他の軟組織)由来のインタクトな細胞、または組織培養で増殖された細胞が使用されてもよい。フローサイトメトリーに適した細胞懸濁液を提供するための、このような組織の処理方法が知られている。ひとたび作製されると、細胞懸濁液は、下記の方法と類似した方法で使用することができる。
【0038】
大まかに言えば、主題の方法は、a)ホスホ−AMPKまたはこのリン酸化標的に特異的に結合する抗体を用いて血液試料の細胞を標識して、標識試料を作製するステップ、およびb)フローサイトメトリーを用いて標識試料の血液細胞の集団による抗体結合を測定し、これにより血液細胞の集団におけるAMPK活性化の評価を得るステップを伴う。血液から得られた結果がエネルギー消費と関連する組織(例えば、筋肉または肝臓)から得られた結果とよく相関したことから、血液中のAMPK活性化の評価は、血液が得られた被験者におけるAMPK活性化の評価を提供するまでに拡大することができる。
【0039】
方法は全血で行われてもよいが、特定の実施形態において、分析される血液細胞の集団は、白血球またはこの亜集団(例えば、リンパ球集団または顆粒球集団)であってもよい。特定の実施形態において、血液は、エクスビボで(すなわち、被験者から採取された血液を用いて)またはインビボで(例えば、試験薬剤を哺乳動物に投与して)試験薬剤と接触させてもよく、およびアッセイからの結果は、血液試料が得られた被験者におけるAMPK活性化に対する該化合物の影響を判定するために、血液細胞の参照試料(例えば、試験薬剤または異なる量の試験薬剤と接触していない血液細胞)から得られた結果と比較してもよい。
【0040】
影響は、ある場合には、血液細胞の集団の幾何平均蛍光および血液細胞の参照試料の幾何平均蛍光の差を計算して測定することができる。明らかとなるように、ある実施形態において、接触させるステップは、試験薬剤を被験者に投与するステップ、および次いで一定期間後に被験者から血液を採取するステップを伴い得る。他の実施形態において、接触させるステップは、被験者から血液を採取するステップ、および次いで採取された血液と薬剤を一定期間接触させるステップを伴い得る。試験薬剤は、AMPK経路の公知の調節因子であってもなくてもよい。特定の実施形態において、参照試料は、試験血液試料と同じ個体から得られた血液細胞を含有してもよい。参照試料は、試験薬剤と接触させていてもいなくてもよい。特定の場合において、該方法から得られたデータは、
図2に図示の通り、試料の数の蛍光の幾何平均のグラフとして表されてもよい。このようなグラフは、例えば、時間的経過、または試験薬剤の異なる用量間の差を示すことができる。
【0041】
図1に図示の通り、AMPKは、グルコースの細胞取り込み、脂肪酸のβ酸化、ならびにグルコーストランスポーター4(GLUT4)およびミトコンドリアの生合成を含む幾つかの細胞内系(intracellular system)を制御する代謝のマスタースイッチの役割を果たす。AMPKのエネルギー感知能力は、安静時および運動(筋肉刺激)時に起こるAMP:ATP比の変動を検出および反応するAMPKの能力に起因し得る。筋肉刺激時に、AMPが増加する一方でATPは減少し、これがAMPKを上流のキナーゼ複合体、AMPKKを介した活性化の良好な基質に変化させ、あるいは、AMPの結合が、Thr−172でリン酸化された活性化AMPKをタンパク質ホスファターゼ2Cαにとってより悪い基質にする。AMPKKは、3つのタンパク質、STE関連アダプター(STRAD)、マウスタンパク質25(MO25)、およびLKB1(セリン/スレオニンキナーゼ)の複合体である。ひと運動中、筋肉細胞がATPに対する極端な細胞の需要によりもたらされる代謝ストレスを経験する間に、AMPK活性は増加する。活性化すると、AMPKは、同化エネルギー消費経路(脂肪酸合成、タンパク質合成等)の阻害、およびエネルギー産生異化経路(脂肪酸酸化、グルコース輸送等)の刺激により、細胞のエネルギーレベルを増加させる。
【0042】
AMPKの活性化の誘発は、2つの条件が満たされることを条件として行われ得る。第一に、AMPKのγサブユニットは、αサブユニット上の活性部位(Thr−172)を露出するようなコンフォメーション変化を受けなければならない。AMPKのγサブユニットのコンフォメーション変化は、AMPの増加した濃度下で達成され得る。AMPの増加した濃度は、2つのAMPがAMPKのγサブユニット上に位置する2つのBatemanドメインを結合させるとき、AMPKのγサブユニット上にコンフォメーション変化を引き起こす。αサブユニット上の活性部位(Thr−172)を露出するのは、AMPの増加した濃度によりもたらされるこのコンフォメーション変化である。AMPのこの役割は、よく知られた5−アミノ−4−イミダゾールカルボキサミドリボシド(AICAR)に由来するAMP類似体5−アミノ−4−イミダゾールカルボキサミドリボチド(ZMP)を介したAMPK活性化を実証する実験においてさらに立証される。満たされなければならない第二の条件は、上流のキナーゼ(AMPKK)によりもたらされる、αサブユニットのThr−172での活性化ループにおけるAMPKのリン酸化、およびその結果としての活性化である。LKB1(STK11)、マウスタンパク質25(MO25)、および偽キナーゼSTE関連アダプタータンパク質(STRAD)間に形成される複合体は、Thr−172での活性化ループにおけるAMPKのリン酸化に関与する主要な上流のキナーゼとして最近同定された。AMPKは、LKB1/MO25/STRAD複合体によりリン酸化されなければならないが、アロステリック調節因子により制御することもできる。アロステリック調節因子は、全般的なAMPK活性を直接増加させ、およびAMPKを修飾してこれをAMPKKに対してはより良好な基質、ホスファターゼに対してはより悪い基質にする。3−ホスホグリセリン酸(解糖中間体)は、AMPKKを介したAMPK活性化をさらに顕著にするように作用することが最近見出された。
【0043】
CaMKKも、上流のAMPKKとして同定されている。CaMKKは、AMP非依存的にAMPKをリン酸化および活性化し、代わりにこれは、細胞内Ca2+濃度の上昇により誘発される。CaMKKがAMPKKの役割を果たしているという発見は、AMP対ATP比の増加に加えて、AMPKが、栄養素、薬物、または生理学的刺激に応答した細胞内Ca
2+濃度の上昇によっても活性化され得ることを示すものである。
【0044】
AMPKの幾つかの下流の標的が
図1に図示されている。図示の通り、AMPKの下流の標的には、炭水化物代謝(例えば、GEF、MEF、グリコーゲン合成酵素、PFK2およびTORC2)、脂質代謝(例えば、HMGCoAR、ACC、HNF−4、SREBP−1およびHSL)、細胞増殖およびアポトーシス(eNOS、p53、HrRおよびeEF2K)およびタンパク質代謝を制御するタンパク質が含まれる。AMPKの1つの例示的な下流の標的は、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)である。アセチルCoAカルボキシラーゼは、アセチルCoAの不可逆的カルボキシル化を触媒して、この2つの触媒活性、ビオチンカルボキシラーゼ(BC)およびカルボキシルトランスフェラーゼ(CT)を通じてマロニルCoAを産生する、ビオチン依存性酵素である。ACCは、ほとんどの真核生物の小胞体におけるマルチサブユニット酵素である。ACCの最も重要な機能は、脂肪酸の生合成にマロニルCoA基質を提供することである。ACCの活性は、転写レベルでコントロールされ得るほか、小分子モジュレーターおよび共有結合修飾によりコントロールされ得る。ヒトゲノムは、2つの異なるACC、すなわち、ACACAおよびACACBに対する遺伝子を含有する。
【0045】
AMPKのリン酸化は、ホルモンのグルカゴンまたはエピネフリンが細胞表面受容体に結合するときに生じるが、リン酸化の主な原因は、AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)の活性化をもたらす、細胞のエネルギー状態が低いときのAMPレベルの上昇による。AMPKは、ACCの両方のアイソフォーム上の幾つかのセリン残基をリン酸化することができる、ACCの主要なキナーゼ制御因子である。ACC1において、AMPKは、Ser79、Ser1200、およびSer1215をリン酸化する。ACC2において、AMPKは、Ser218をリン酸化する。タンパク質キナーゼAもACCをリン酸化する能力を有し、ACC1よりACC2をリン酸化する能力がはるかに大きい。しかし、ACCの制御におけるタンパク質キナーゼAの生理学的重要性は、現在知られていない。インスリンが細胞膜上の受容体に結合すると、ホスファターゼを活性化して該酵素を脱リン酸化し、これにより阻害効果を除去する。
【0046】
AMPKおよびこの標的は概して細胞内にある。そのため、方法は概して、血液細胞を透過処理するステップ、および次いで、ホスホ−AMPKまたはこのリン酸化標的に特異的に結合する抗体を用いて透過処理された細胞を標識するステップを伴う。このような細胞内標識方法の正確なステップは大きく異なり得るが、これらは概して、細胞を透過処理するステップ、標識抗体を用いて細胞を標識するステップ、および次いで、この後の操作の間に細胞の内容物がインタクトなままであるように、染色された細胞を固定するステップを伴う。細胞が、細胞内タンパク質に特異的な蛍光抗体を用いて標識され得る例示的な方法は、これらの方法の開示のため参照により組み込まれる、Lazarusら(Cytometry.1998 32:206〜13頁)、Sartorら(Cytometry.1994 18:119〜22頁)、Gadolら(Cytometry 1994 15:359〜70頁)およびFarら(Cytometry.1994 15:327〜34頁)を含むさまざまな刊行物に記載されている。FACS分析のために細胞を細胞内標識するキットには、Orion BioSolutions,Inc(ヴィスタ、CA)によるINTRACYTE(商標)細胞内FACSキット、Becton Dickinson(フランクリンレイク、NJ)によるINTRASURE(商標)またはFASTIMMUNE(商標)キット、およびPharMingen(サンディエゴ、CA)によるCYTOFIX(商標)またはCYTOPERM(商標)Plusキットが含まれる。使用される方法に応じて、試料の赤血球は、白血球の透過処理および標識の前に溶解され得る。このような溶解技法は、一般に血液分析に使用されるものから適合されてもよい。
【0047】
血液細胞の集団の個々の細胞による抗体結合は、フローサイトメトリーを用いて測定される。このような方法は公知であり、これらの方法の開示のため全てが本明細書に参照により組み込まれる、Brownら(Clin Chem.2000 46:1221〜9頁)、McCoyら(Hematol.Oncol.Clin.North Am.2002 16:229〜43頁)およびScheffold J.Clin.Immunol.2000 20:400〜7頁)を含むさまざまな刊行物、ならびにCareyら(Flow Cytometry in Clinical Diagnosis、第4版ASCP Press、2007)、Ormerod(Flow Cytometry−A practical approach 第3版.Oxford University Press、Oxford、UK2000)、Ormerod(Flow Cytometry 第2版.BIOS Scientific Publishers、Oxford、UK1999)およびOrmerod(Flow Cytometry−A basic introduction2009Cytometry Part A75A、2009)などの書籍においてレビューされている。
【0048】
特定の場合において、蛍光の測定ごとにイベント数を提供するために、単一試料のデータが処理されてもよい。
図3に示されている通り、データは、ある場合には、蛍光単位をx軸に、細胞計数をy軸に示す単一パラメータヒストグラムとして表すことができる。蛍光は対数値であってもよく、ある場合には絶対値(例えば、生の値)または正規化された値の対数であってもよい。ヒストグラムのピークは、血液試料が得られた被験者におけるAMPK活性化の評価を提供する。ヒストグラムのピークは、蛍光値の幾何平均であってもよいが、類似の結果を得るために他の統計分析が使用されてもよい。血液細胞のさまざまな亜集団(すなわち、赤血球、血小板、ならびに好中球、リンパ球、単球、好酸球、および好塩基球から構成される白血球)は、フローサイトメトリーを用いて容易に識別できることから、血液細胞の任意の亜集団におけるAMPK活性化の評価を提供するためにデータを分析してもよい。1つの実施形態において、リンパ球におけるAMPK活性化の評価を提供するためにデータを分析してもよい。さらなる実施形態において、血液細胞は二次抗体、例えば細胞表面抗体で標識してもよく、二次抗体で標識した細胞におけるAMPK活性化を評価するためにデータを分析してもよい。
【0049】
本明細書に記載された方法は、概して、任意の適切なフローサイトメーターで使用することができる。この例は当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第5,378,633号、5,631,165号、6,524,858号、5,266,269号、5,017,497号および6,549,876号、PCT公開WO99/54494、ならびに米国特許出願公開US20080153170、20010006787、US20080158561、US20100151472、US20100099074、US20100009364、US20090269800、US20080241820、US20080182262、US20070196870およびUS20080268494に記載されており、この各々が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0050】
細胞を標識するのに使用される抗体は、天然の(すなわち、折り畳まれた)ホスホ−AMPKまたはこのリン酸化標的に特異的に結合することができるべきである。特定の場合において、抗体は、はるかに減少した(すなわち、少なくとも2、5、10、50または100倍)親和性で線形(すなわち、折り畳まれていない、変性した)形態のタンパク質に結合することができる。このような抗体が結合する構造は、該タンパク質において隣接しないアミノ酸を含有し得る。換言すれば、ある場合にはポリペプチドへのこのような抗体の結合は、特定の三次元コンフォメーションに折り畳まれたポリペプチドに依存し得る。
【0051】
このような抗体は、免疫応答を生成するのに適した、当技術分野でよく知られた任意の技法を用いて、適切な動物、例えば温血動物、特にウサギ、マウス、ラット、ラクダ、ヒツジ、ウシもしくはブタなどの哺乳動物、またはニワトリもしくは七面鳥などの鳥を、折り畳まれたホスホ−AMPKまたはこの下流の標的で例えば免疫して作ることができる。動物を免疫する手順は、当技術分野でよく知られており、Harlow(Antibodies:A Laboratory Manual、第1版(1988)Cold Spring Harbor、N.Y.)およびWeir(Handbook of 実験的Immunology第4巻、Blackwell Scientific Publishers、Oxford、英国、1986年)に記載されている。当業者に理解されるように、免疫原は、免疫応答を増加させるために、アジュバントもしくはハプテン(例えば、完全もしくは不完全フロインドアジュバントまたは脂質Aアジュバント)、またはキーホールリンペットヘモシニアン(KLH)などの担体と混合されてもよい。
【0052】
ひとたび適切な動物が免疫され、および抗原に対する免疫応答が動物により確立されると、所望の活性を有する抗体を産生する細胞を同定するために、該動物由来の抗体産生細胞がスクリーニングされる。幾つかの実施形態において、これらの方法は、免疫された動物の脾臓由来の細胞が、適切な不死細胞と融合されてハイブリドーマ細胞を産生するハイブリドーマ技術を使用することができる。これらのハイブリドーマ細胞由来の上清はスクリーニングすることができ、および陽性クローンが標準的手順(HarlowらAntibodies:A Laboratory Manual、第1版(1988)Cold spring Harbor、N.Y.;およびSpieker−Poletら、上記参照)により増殖される。
【0053】
抗体は、天然のコンフォメーションに折り畳まれたリン酸化AMPKまたはこのリン酸化標的への結合についてスクリーニングすることができる(例えば、これらのタンパク質のリン酸化形態に特異的であるような抗体を同定するための細胞染色により)。特定の実施形態において、適切な抗体を同定するために市販の抗体がスクリーニングされてもよい。
【0054】
代替の実施形態において、ファージディスプレイ抗体が使用されてもよく、この作製方法はよく知られている(例えば、ScottらScience 1990 249:386;Devlinら、Science 1990 249:404;例えば、米国特許第5,223,409号、5,733,731号、5,498,530号、5,432,018号、5,338,665号、および5,922,545号を参照のこと)。
【0055】
特定の場合において、AMPKまたはこの下流の標的に特異的な抗体ではなく、上記および下記の方法は、AMPKα1およびAMPKα2に密接に関連したリン酸化AMPK関連キナーゼ(例えば、BRSK1、BRSK2、NUAK1、NUAK2、QIK、QSK、SIK、MARK1、MARK2、MARK3、MARK4、MELK、またはSNARK;Manningら、Science 2002 298:1912〜1934頁)に特異的な抗体を用いて行われてもよい。リン酸化AMPK関連キナーゼの幾つかは、エネルギー恒常性にも関与していた(Kohら PNAS2010 107:15541〜15546頁)。
【0056】
代替の実施形態において、定量的ウェスタンブロッティング方法(例えば、Cell Bioscences CB1000 machineなどのキャピラリーベースのシステムを用いる)が使用されてもよい。あるいは、質量分析またはマスサイトメトリーが使用されてもよい。ある場合には、アッセイは、例えば、96または384ウェルプレートを用いてハイスループットフォーマットで行うことができる。
【0057】
有用性
上記の方法は、例えば、AMPK活性化を調節する化合物の同定、投与された化合物が所望の効果を有しているかどうかの判定、または化合物の最適用量がAMPK活性化を調節することが知られていることの判定に使用することができる。これらの実施形態において、上述の方法を用いて得られた測定は、血液の参照試料から得られた結果と比較することができる。上述の通り、血液の試験試料は、試験薬剤とエクスビボまたはインビボで接触させることができる。血液の参照試料は、例えば、試験薬剤と接触させていなくてもよく、または異なる量の試験薬剤と接触させていてもよい。1つの実施形態において、試験試料および参照試料はいずれも、同じ量の試験化合物と、ただし、異なる回数または異なる期間接触させていることができる。試験試料および参照試料は、同じ被験者、または異なる被験者から得ることができる。被験者は、少なくとも8〜12時間絶食していてもよく、または、ある場合には、方法は運動前、運動中または運動後に行うことができる。方法は、被験者の健康の評価を提供するために、コレステロール試験(すなわち、脂質パネル)または血糖試験などの他の医学的試験と併用することができる。試験薬剤の標的は、AMPKの上流であってもよく、AMPK自体またはAMPKの下流であってもよい。幾つかの場合において、試験薬剤の作用機序は未知である場合がある。
【0058】
1つの例示的な実施形態において、同じ個体由来の血液の個別のアリコートは、AMPK活性化を調節することが知られている試験薬剤の2つ以上の量と接触される。接触された血液は、上記の方法を用いてアッセイすることができ、試験薬剤の有効量が判定され得る。
【0059】
別の例示的な実施形態において、同じ個体由来の血液の個別のアリコートは、a)AMPK活性化を調節することが知られていない試験薬剤、およびb)試験薬剤を含有しない対照溶液と接触させる。接触させた血液は、上記の方法を用いてアッセイすることができ、AMPK活性化に対する化合物の影響が判定される。
【0060】
これらの実施形態において、試験試料および対照試料が異なる程度は、例えば、試験試料から得られた結果の幾何平均を、参照試料から得られた結果の幾何平均と比較して判定することができる。幾何平均間のより大きな差は、薬剤がAMPK活性化に対しより大きな影響を有することを示している。例えば、
図3に図示の通り、化合物1は、顆粒球よりリンパ球においてAMPK活性化に対するより大きな影響を有する。化合物と接触させなかった試料の幾何平均蛍光に比べて、AMPK活性化を調節する化合物は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、または少なくとも50%、幾何平均蛍光を変える可能性がある。特定の実施形態において、化合物は、幾何平均蛍光における少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも70%、または少なくとも80%の減少をもたらす可能性がある。他の実施形態において、化合物は、幾何平均蛍光における少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも100%、または少なくとも200%、または少なくとも500%以上の増加をもたらす可能性がある。
【0061】
上述の通り、試験薬剤はインビボで投与することができ、この場合、接触させるステップは、試験薬剤を被験者に投与するステップと、次いで、フローサイトメトリーによる分析の前の一定期間(例えば、5分から1時間、1時間から12時間、12時間から24時間、または24時間から1週間以上)後に被験者から血液を採取するステップとを含み得る。エクスビボでの適用において、接触させるステップは、被験者から血液を採取するステップと、次いで、フローサイトメトリーによる分析の前の一定期間(例えば、5分から1時間、1時間から12時間、12時間から24時間、または24時間から1週間以上)、採取された血液と試験薬剤を接触させるステップとを含み得る。
【0062】
1つのインビボでの実施形態において、ある量のAMPK調節因子を被験者に投与し得、一定期間後に、血液を被験者から採取し得、上記の方法を用いてアッセイし得る。アッセイの結果に基づき、AMPK調節因子の第2の量を被験者に投与し得、一定期間後に、血液が被験者から採取し得、上記の方法を用いてアッセイし得る。これらのステップは、所望の効果(例えば、AMPK活性化の所望の安定なレベルをもたらすAMPK調節因子の用量)が得られるまで反復することができる。この方法は、特定の被験者に対するAMPK調節因子の投与量を最適化するのに使用することができる。
【0063】
大まかに言えばアッセイで使用される血液は、肉食目(例えば、イヌおよびネコ)、ネズミ目(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、およびサル目(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む任意の哺乳動物被験者から得ることができる。幾つかの実施形態において、被験者はヒトであってもよい。被験者は、健康であってもよく、あるいは幾つかの場合において癌、炎症性疾患、または肥満もしくは糖尿病などの代謝疾患を有してもよい。特定の実施形態において、被験者は、ストレス、過体重、座りがちな生活様式、加齢、冠動脈心疾患、慢性心不全、リポジストロフィー、統合失調症、末梢動脈疾患、神経変性疾患、筋萎縮/筋力低下/筋疾患、腎臓疾患、慢性閉塞性肺疾患、加齢黄斑変性症、またはリウマチ疾患などの代謝症候群に対する1つまたは複数のリスク要因を有し得る。例えば、被験者は、空腹時高血糖(例えば、2型糖尿病またはインスリン抵抗性に起因した)、高血圧、中心性肥満、HDLコレステロールの低下および/またはトリグリセリドの上昇を有し得る。
【0064】
幾つかの実施形態において、試験薬剤は、AMPK活性化に影響を与えることが知られている場合がある。このような薬剤は公知であり、メトホルミン、シロスタゾール、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオシド(AICAR)、2−デオキシグルコース、トログリタゾン(troglitzone)、ロシグリタゾン、レスベラトール、およびピオグリタゾンなどのチアゾリジンジオン、ならびにPCT公開WO08/083124、WO09/065131、WO09/076631、WO09/132136、およびWO10/088392、米国特許出願公開US20100009992、US20090253764、US20090105293、US20090094709、US20080221088、US20070244202、US20070054965、US20070015665、US20060287356、US20060134240、US20050038068および米国特許第7,119,205号に記載されているさまざまな他の化合物を含み、この開示は、これらの化合物の一般的開示および特定の開示のため参照により組み込まれる。
【0065】
他の実施形態において、AMPK活性化に対する試験薬剤の効果は未知である場合がある。このような薬剤は、任意の化学的クラスからであってもよく、ある場合には合成、半合成、または自然発生の無機または有機分子であってもよい。試験薬剤は、合成または天然化合物の大きなライブラリーにおいて見出されるものが含まれる。例えば、合成化合物ライブラリーは、Maybridge Chemical Co.(Trevillet、コーンウォール、UK)、ComGenex(サウスサンフランシスコ、CA)、およびMicroSource(ニューミルフォード、CT)から市販されている。あるいは、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態での天然化合物のライブラリーは、Pan Labs(ボセル、WA)から利用可能であり、または容易に生成可能である。
【0066】
試験薬剤は、50を超え、約2,500Da未満である分子量を有する小さな有機または無機化合物であってもよい。試験薬剤は、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合に必要な官能基を含んでもよく、少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシル、またはカルボキシル基を含んでもよく、官能化学基の少なくとも2つを含有してもよい。候補薬剤は、上述の官能基の1つまたは複数と置換された環状炭素もしくは複素環構造および/または芳香族もしくは多環芳香族構造を含んでもよい。候補薬剤はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体またはこの組み合わせを含む生体分子の中にも見出される。
【0067】
試験薬剤は、合成または天然化合物のライブラリーを含む多様な源から得ることができる。例えば、多くの手段が、ランダム化オリゴペプチドの発現を含む、多様な有機化合物および生体分子のランダムおよび指向性合成に利用可能である。あるいは、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態での天然化合物のライブラリーが利用可能であり、または容易に生成される。さらに、天然のまたは合成的に生成されたライブラリーおよび化合物は、従来の化学的、物理的および生化学的手段を通じて容易に修飾され、およびコンビナトリアルライブラリーを生成するのに使用することができる。公知の薬理学的薬剤は、構造類似体を生成するために、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化等などの指向性化学的修飾またはランダム化学的修飾に供することができる。新たな潜在的治療剤も、合理的な薬物設計またはコンピュータモデリングなどの方法を用いて作製することができる。
【0068】
スクリーニングは、公知の薬理学的に活性な化合物およびこの化学的類似体、または合理的な薬物設計を通じて作製されるものなど未知の特性を有する新たな薬剤を対象にすることができる。
【0069】
被験者は、候補薬剤と接触させてもよく、例えば、薬剤を、経口(例えば、強制経口投与)、静脈内、筋肉内、鼻内、皮下、胃内等を含むがこれらに限定されない任意の許容可能な投与経路、例えば任意の腸内または非経口経路により、動物に投与する。単回投与を投与する、または一定期間にわたって複数回投与を投与する。
【0070】
本明細書に提示されたスクリーニング方法により同定された薬剤を含む、医薬製剤を含む製剤が提供される。製剤は、薬剤の有効量を含む。「有効量」は、所望の結果をもたらすのに十分な投与量を意味する。
【0071】
使用される投与量は、達成されるべき臨床目標に応じて変わるであろうが、適切な投与量範囲は、所望の結果をもたらし、単回投与で投与することができる、約1μg〜約1,000μgまたは約1μg〜約10,000μgまでの薬剤を提供するものである。あるいは、所望の結果をもたらす薬剤の標的投与量は、薬剤の投与後最初の24〜48時間以内に採取された宿主血液の試料中、約0.1〜1000μΜ、約0.5〜500μΜ、約1〜100μΜ、または約5〜50μΜの範囲にあると見なされ得る。
【0072】
当業者は、用量レベルが、特定の化合物、症状の重症度および副作用に対する被験者の感受性に応じて変わり得ることを容易に理解するであろう。任意の化合物の好ましい投与量は、さまざまな手段により当業者により容易に判断することができる。
【0073】
特定の実施形態において、主題の方法は、グルコースまたはコレステロール試験と類似の方法で被験者の代謝的健康の読み取り情報を提供するのに使用することができる。主題の方法は単独で、または他の臨床的技法(例えば、理学的検査または別の血液検査)と併用して行われてもよい。例えば、被験者アッセイから得られた結果は、他の情報、例えば、血糖レベル、体重、または個体の代謝的健康を示す他のタンパク質性血液マーカーに関する情報と組み合わせることができる。
【0074】
1つの例示的な実施形態において、方法は、細胞の標識の前に、哺乳動物に生活様式の変化(例えば、食事または運動量の変化)を経験させるステップと、この後に分析される哺乳動物由来の血液試料を得るステップとを含んでもよい。評価は、血液細胞の参照試料から得られた結果と比較することができ、これにより哺乳動物のAMPK活性化に対する生活様式の変化の影響を判定する。
【0075】
1つの実施形態において、試料は、最初の場所、例えば、病院または診療所などの臨床現場で患者から回収されてもよく、試料は、第2の場所、例えば、試料が処理され、および報告書を作成するために上記方法が実施される試験所に送られてもよい。本明細書に記載された「報告書」は、試験結果(試験から得られた幾何平均、および例えば、「正常」と見なされる幾何平均の範囲を含み得る)を提供する報告要素を含む電子または有形文書である。作成されると、報告書は別の場所(最初の場所と同じ場所であり得る)に送られ得、医療専門家(例えば、臨床医、検査技師、または腫瘍専門医、外科医、病理医などの医師)により臨床診断の一環として解釈され得る。
【実施例】
【0076】
以下の例は、本発明をどのように行いおよび使用するかの完全な開示および記載を当業者に提供するために提示されるものであり、発明者らが自らの発明と見なすものの範囲を限定するものではない。使用される数(例えば量、温度等)に関して正確さを確保するための努力がなされたが、いくらかの実験誤差および偏差は考慮されるべきである。別途指示されない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、および圧力は大気圧または大気圧近傍である。
【0077】
3つの異なるAMPK活性化因子が下記の例において使用された。化合物1はPCT公開WO10/088392に記載され、化合物2はPCT公開WO09/065131に記載されている。
【0078】
(実施例1)
MEFまたはC2C12細胞をDMSOまたは化合物2で処理し、Cell Signaling抗pAMPK抗体を用いたウェスタンブロッティングにより調べた。抗体はpAMPKのみを認識し、他のバンドは観察されない。同じ抗体をこの後の実験におけるFACSに使用した。
【0079】
HepG2ヒト肝臓癌細胞をトリプシン処理し、1ml当たり2×10
6細胞で完全培地に再懸濁し、ディープウェルの丸底96ウェルプレートに播種した(1ウェル当たり100μl)。化合物を1μlのDMSO中で細胞懸濁液に添加し、混合し、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、900μlのlyse−fix溶液(BD)を添加し、プレートを37℃でさらに10分間インキュベートし、5分間回転させ、上清を除去した。細胞ペレットを250μlの氷冷メタノールに再懸濁し、4℃で30分間インキュベートした。標準の96ウェル丸底プレートに移した後、細胞を5分間スピンダウンさせ、2%のFCSを含有する250μlのPBS(PBS2)中で洗浄し、1:100希釈のpACC抗体(Millipore)を含有する100μlのPBS2に再懸濁した。懸濁液を、振とう機で一晩、室温でインキュベートした。翌朝、細胞をPBS2で1回洗浄し、室温で1時間、1:200希釈で、アレクサ488にコンジュゲートした二次ヤギ抗ウサギ抗体と共にインキュベートした。1回の洗浄後、細胞をBD FACS選別装置で選別した。定量はFlowjoソフトウェアを用いて行った。生細胞ゲートに対するアレクサ488シグナルの幾何平均を用いて結果をプロットし、matlabにおいてEC
50を判定した。
【0080】
結果を
図2に示す。FACSにより得られたEC
50は、同じエピトープに対するin−cellウェスタンのEC
50と強く相関し、FACSベースのアプローチの正当性を立証している。
【0081】
(実施例2)
ヒト全血を、丸底プレートに1ウェル当たり100μlで等分し、1μlの1uM化合物1/DMSO溶液またはDMSO単独を添加し、混合し、37℃で1時間インキュベートし、次いで900μlのlyse−fix溶液(BD)を添加した。手順の残りは、1:100希釈のpAMPKウサギ抗体(Cell Signaling)を一次としてpACCの代わりに使用をした以外は、上述のHepG2細胞に関する記載の通りに行った。リンパ球および顆粒球を示されているようにゲートした。
【0082】
結果を
図3に示す。4〜7倍大きいシグナルウィンドウは、ロバストな血液ベースのアッセイの作製を可能にする。
【0083】
(実施例3)
ヒト全血およびマウス全血を、丸底プレートに1ウェル当たり100μlで等分し、1μlの1uM化合物1DMSO溶液またはDMSO単独を添加し、混合し、37℃で1時間インキュベートし、次いで900μlのlyse−fix溶液(BD)を添加した。手順の残りは、1:100希釈のpAMPKウサギ抗体(Cell Signaling)を一次としてpACCの代わりに使用をした以外は、上述のHepG2細胞に関する記載の通りに行った。結果を
図4に示す。抗体は、ヒトおよびげっ歯類血液を用いて両方とも機能する。
【0084】
(実施例4)
pAMPKについて染色した、ゲートされたヒトまたはマウスリンパ球および顆粒球に関するFL−1チャネルヒストグラムを比較した。両方の種においてリンパ球は、顆粒球より良好なウィンドウを一貫して示した。IL−2の存在下で増殖された精製T細胞は、刺激の極めて狭いウィンドウのため、全血の代わりとしては不足であることを証明した。この結果、全ての追跡実験はWBリンパ球を用いてEC50を生成した。
【0085】
(実施例5)
インビトロで増殖されたヒトT細胞ならびにヒトおよびマウス血液細胞における、化合物2によるAMPKリン酸化の刺激に関するEC50判定。結果を
図5に示す。精製T細胞のウィンドウは、恐らく細胞ストレスにより誘導されたAMPKリン酸化の高いバックグラウンドレベルのため極めて狭い。マウス血液のEC50は、ヒトのEC50より著しく(平均で約10倍)高い。ヒトおよびマウスEC50は両方とも、HepG2の対応するEC50より著しく高い(最大数百倍)。
【0086】
(実施例6)
マウス血液におけるAMPKリン酸化に対する飢餓の影響。C57B1/6Jオスマウスは、採血の前に14時間絶食させるか、または普通に給餌した。化合物2および化合物1によるAMPK刺激は、50μlで1時間、エクスビボで行った。染色手順は、一次および二次抗体の両方に1:500希釈を使用した以外は、HepG2に関してと同じであった。絶食させた動物におけるAMPKリン酸化の最大レベルは、給餌した動物と比べた場合、一貫してほぼ2倍高かったが、バックグラウンドレベルは元の状態のままであった。
【0087】
(実施例7)
マウス血液におけるAMPKによるACCリン酸化に対する飢餓の影響。AMPKリン酸化に関する全ての観察は、同様にpACC染色に関連する。結果を
図6に示す。両方のタンパク質のEC50は、同じ化合物を使用する場合、予想通り同一である。
【0088】
(実施例8)
抗pAMPKウサギモノクローナルおよびポリクローナル抗体を用いた染色は、高度に特異的であり、ドナー依存性である。2名のヒトドナー由来の全血試料を用いて、AMPKリン酸化を誘導する化合物2 10μMの非存在下(青いプロフィール)および存在下(赤いプロフィール)でpAMPKを染色した。抗体は両方とも、化合物2処理をした際のAMPKリン酸化の類似の増加をロバストに検出し、染色選択性を裏付けた。
【0089】
(実施例9)
リンパ球の染色に2つの異なる抗体を用いた場合、2名の異なるドナー由来のヒト全血における化合物2のEC50は同一であった。結果を
図7に示す。モノクローナルウサギ抗体を用いた場合、ウィンドウは著しく良好であった。
【0090】
(実施例10)
全血中の化合物をエクスビボで滴定した後、pAMPに関して血液細胞を染色して得られた曲線は、顆粒球ゲートよりリンパ球ゲートを用いた場合に再現性がより高いが、両方の方法により得られたEC50は、抗体、細胞型またはドナーにかかわりなく本質的に同じである。
【0091】
(実施例11)
pAMPKアッセイの一貫性および安定性。同じドナーの血液を用いて異なる週に得られた化合物1および化合物2の滴定曲線およびEC50。最終EC50は互いに密接に一致する。
図8A〜8Cは、2つのAMPK活性化因子を用いたpAMPKおよびpACC刺激には、ドナーによって低い変動性があることを示している。
【0092】
(実施例12)
WBアッセイでの得られたEC50に対する、化合物とのインキュベーション時間の影響。単一のドナー由来のヒト全血を、37℃で一定期間、さまざまな量の化合物1により処理した。血液を標準的方法により処理して、FACSによりAMPKリン酸化を検出した。EC
50はmatlabにより判定した。結果を
図9に示す。リンパ球に対する影響はほとんど観察されなかった(右の2つのパネル)。EC50の著しい変化をもたらさないにもかかわらず(左の2つのパネル)、顆粒球は、検出されたpAMPKのベースラインレベルにおける著しいおよび着実な上昇のため、インキュベーション時間に極めて感受性である。故に、インキュベーション時間が長いほど、アッセイのウィンドウおよび全般的ロバスト性を予想外に減少させる。両方の細胞型において、化合物2は、AMPK活性化の極めて速い動態を示す−5分間隔で、化合物の飽和濃度で該キナーゼの完全な刺激を見ることができる。最大活性化レベルは同じままであり、非刺激レベルはわずかに上昇する。
【0093】
(実施例13)
図10は、HepG2細胞においてpACC in−cell−western(ICW)により得られたEC50(X軸)と、ヒト全血においてpAMPK FACSにより得られたEC50(Y軸)との間の強い線形相関を示す。両方の軸に対数目盛を用いた。恐らく試験化合物の、高いタンパク質結合および赤血球への高レベルの分布(高VSS)の組み合わせのため、化合物の大多数が、HepG2細胞と比べて血液における有効性の著しい喪失(最大100倍)を示す。
【0094】
(実施例14)
図11は、試験化合物に関するヒト全血におけるpACC EC50とpAMPK FACS EC50(Y軸)との間の極めて良好な線形相関を示している。ACCは、AMPKの下流の標的であり、AMPKは、ACC上の阻害性リン酸化部位を標的にする唯一のキナーゼである。
【0095】
インビボでの血液バイオマーカーとしてのpAMPK。
図12は、インビボ試験でのAMPK活性化に対する化合物2の影響の概略を示している。
図13は、化合物2の単回経口投与後のマウス血液におけるpAMPK染色の1次元FACSプロットを示している。細胞のpAMPK陽性集団の明らかな増加は、化合物2のより高い用量で観察される。
【0096】
(実施例15)
インビボでの血液バイオマーカーとしてのpAMPK。結果を
図14に示す。上、5および20mg/kgで化合物2を単回投与により、または示されているようにビヒクル対照により処理したマウスの血液由来リンパ球におけるpAMPKシグナルの幾何平均。処理前に採取した血液試料からのpAMPKレベルの測定結果を青で示し、処理1時間後に採取した対応する測定結果を赤で示す。下、同じ動物群に関する、処理前1時間でのシグナル幾何平均対処理前0.5時間のシグナル幾何平均の比。シグナルの明らかな用量依存的増加が、化合物2で処理した動物由来の血液試料に関して観察される。
【0097】
(実施例16)
図15は、FACSベースのpAMPKアッセイが、血液以外の組織に対する化合物の影響を検出するのに使用できることを示している。化合物2(上)またはR043(下)で処理した動物由来の脾臓を、単細胞懸濁液にホモジナイズし、得られた試料を血液と同じ方法で処理し、pAMPKについて染色した。上、ビヒクル処理(右)または化合物2処理(左)した動物由来の試料の幾何平均(ビヒクル対照と比較した倍)。非刺激、いずれの追加処理もせずに処理した試料。刺激、懸濁液中の細胞に関する最大AMPK刺激レベルを判定するための処理の前に、37℃で5分間、3.2uM化合物1で処理した試料。
【0098】
下、経口投与後、示された用量および時点でビヒクルまたは化合物3で処理した動物由来の脾臓試料のpAMPK幾何平均(0.5時間時点でのビヒクル対照と比較した倍)
【0099】
結論:同じ方法は、脾臓および肝臓などの、単細胞懸濁液処理に修正可能な固体組織におけるpAMPKレベルを査定するのに使用することができる。
【0100】
(実施例17)
図16Aおよび16Bは、pAMPKの最大刺激レベルは、給餌し肥満したマウスと比べて絶食させ痩せたマウスで著しく高いが、非刺激レベルは変わらないままであることを示している。
図15Aは、いずれの試験化合物のEC50も、満腹度に依存しなかったことを示している。AMPKおよびACCリン酸化の両方のベースラインレベルは両群で変わらないままであったが、両方についての最大刺激レベルは絶食群で著しく高かった。
図15Bの上のパネルは、化合物1によるエクスビボ刺激の前後の肥満したマウスおよび痩せたマウスの血液におけるpAMPKレベルを示している。
図15Bの下のパネルは、R283によるエクスビボ刺激の前後の肥満したマウスおよび痩せたマウスの脾臓細胞におけるpAMPKレベルを示している。
【0101】
図17Aは実験計画を示し、
図17Bは、OGTTとPK/PDとの結果の間に妥当な相関があることを示している。
【0102】
本明細書に引用された全ての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許が、参照により組み込まれることを具体的および個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。いかなる刊行物の引用も、出願日前のこの開示のためであり、先行発明を理由として、本発明がこのような刊行物に先行する権利を有さないことの承認として解釈されるべきではない。
【0103】
本発明は、この特定の実施形態を参照して記載されてきたが、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更が行われ得ること、および同等物が代用され得ることが当業者により理解されるべきである。さらに、特定の状況、材料、物質の組成、工程、工程ステップまたはステップを本発明の目的、趣旨および範囲に適合させるために、多くの改変が行われ得る。全てのこのような改変は、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。