【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、
気液混合流体が供給されるノズル本体の中心軸線に沿った主流路の噴射側の中心に噴射側前端に向けて細くなる円錐形状の主孔を連通して設けると共に、該主孔の幅方向の両側に一対の
長孔形状の副孔を前記主流路および前記主孔と連通させて設け、
かつ、前記ノズル本体の噴射側端面に前記副孔の長寸方向と同方向の直径方向で且つ該両側の副孔と干渉させない幅で切り込みを入れ、該切り込みで前記主孔の先端円弧部を切り欠いて噴口を設け、
前記両側の副孔の前記主孔を挟んで対向する長辺側部分と前記主孔の両側部分とを連通させ、主孔の後端径(D1)に対して前記副孔の長寸径(D2)の比をD1:D2=1:0.7〜1:1.2と
していることを特徴とするスプレーノズルを提供している。
【0008】
前記ノズル本体の主流路に、水からなる液体と圧縮空気からなる気体の気液混合流体を導入し、
前記主孔は断面円形とすると共に、前記副孔は断面長円形状とし、
前記主孔の後端径D1に対して前記副孔の短寸径D3の比D1:D3=1:0.3〜1:0.7、
前記副孔の短寸径D3に対する副孔の長寸径D2の比D3:D2=1:1.5〜1:2.5
に設定していることが好ましい。
【0009】
また、前記噴口は長円形とし、該噴口の長さ方向の両端に前記噴射側端面の外周端に向けて次第に広がるガイド凹部を延在させることが好ましい。
【0010】
前記のように、主孔の両側に設ける副孔を断面長円形状とし、両側の副孔の対向側の長辺側部分を主孔の両側にそれぞれ連続させると、副孔と主孔とのラップ部分の面積を増大できる。このラップ部分で副孔から主孔に流入する気液混合流体と主孔内を噴口に向かって直進する気液混合流体とが衝突して撹拌が生じる。
副孔を従来の断面円形にした場合と比較して、副孔を断面長円とすると主孔とのラップ面積が増大し、言い換えると、撹拌部分の面積が増大し、該撹拌により気液混合流体の均質化を促進できる。よって、液体流量が大きく変動しても、前記撹拌による気液均質化で、噴口から噴射される気液混合流体の噴霧角度の変動を少なくでき、均等な流量分布と打力分布を得ることができる。
【0011】
前記構成として、断面長円形状の副孔を長寸方向に2分割したうちの主孔側の約半分を中央の主孔とラップした状態で連続し、主孔側の流体と副孔側の流体との撹拌面積を増大させることができる。この撹拌面積の増大により、前記のように、気液混合流体の均質化を促進し、前記噴口からの噴霧を安定化し、その結果、液流量を大きく変動させても、噴霧角度、流量分布、打力分布の変動を抑制して、冷却ムラを発生しないノズルとすることができる。
【0012】
なお、前記ノズル本体の主孔および副孔に流入する流体を液体のみとする一流体ノズルとして用いた場合も、前記二流体ノズルとする場合と同様に、前記主孔と副孔とのラップ部分の面積増大による撹拌の強化で、液滴を均質化して噴霧角度の変動を少なくでき、均等な流量分布と打力分布を得ることができる。
【0013】
なお、前記長孔形状の副孔は断面長円形状または断面楕円形状としてもよい。
また、前記主孔を断面長円形状とし、該主孔の長辺側の両側に前記断面長円形状の副孔の長辺側を連通させてもよい。この場合、主孔の後端の短寸径に対して主孔の後端の長寸径は1:1〜1:2が好ましく、更に1:1〜1:1.4が好ましい。前記構成のノズルは、ノズル本体を断面長円形状とする必要がある場合に好適に用いられる。
【0014】
前記構成からなる本発明のノズルは
、一定量の圧力空気に対する液体
流量を
低水量時1に対して高水量時40の範囲(即ち、1:40のターンダウン比の範
囲)で変動しても、噴霧角度の変動角度を5度以下としている。
【0015】
前記ターンダウン比は従来例の
図9に示すノズルのターンダウン比が1:20であるのに対して、本発明のノズルはターンダウン比を2倍大きくして1:40としている。
このようにターンダウン比を大きくすることで、厚さが大きく相違する鋳片、二次冷却帯が長尺である場合等に、冷却温度を大幅に変える必要がある場合に好適に用いることができる。
【0016】
前記ノズル本体を、整流板を設けた気液混合流体供給管の先端側に一体的または接続して設け、前記気液混合流体供給管の基端側に液体供給管と気体供給管とを直交方向に接続し、
前記整流板により前記ノズル本体の中心軸線と平行な分流路を設けていることが好ましい。
【0017】
詳細には、前記ノズル本体を整流アダプタを介して直管状パイプからなる前記気液混合流体供給管と接続し、該気液混合流体供給管を混合アダプタに接続し、該混合アダプタに前記液体供給管と気体供給管とを直交方向に接続し、
前記整流アダプタの中心軸線を前記ノズル本体の中心軸線と一致させ、前記整流アダプタの中心軸線に沿った流路に、該中心軸線と平行な分流路に分離する整流板を介在していることが好ましい。
【0018】
前記気体供給管から圧力空気、液体供給管から水を前記混合アダプタ内に直交方向から供給して衝突混合し、該混合アダプタから前記整流アダプタへ直管状のパイプからなる前記気液混合流体供給管を通して気液混合流体を流通し、前記整流アダプタ内で整流して前記ノズル本体内の主孔と両側の副孔にそれぞれ気液混合流体を流入させる構成としていることが好ましい。
【0019】
前記のように、ノズル本体の上流側の流路に整流板を配置し、ノズル本体内へ流入する気液混合流体を整流化した後に、ノズル本体の噴口近傍で前記主孔と副孔とのラップにより撹拌している。このように、混合アダプタでの混合→整流板での整流→本体ノズル内での衝突混合による撹拌を順次行うことで、液滴の均質化をより促進することができる。
【0020】
前記整流板は、整流アダプタの流路の内面から一体的に突設しても良いし、前記流路に挿入固定する別体でもよい。
該整流板は前記本体ノズルの噴口から3cm〜8cmの位置に配置し、該整流板の長さは5mm〜30mmとし、1つの流入側流路を5〜10個の分流路に区切る形状とすることがこのましい。
【0021】
本発明のスプレーノズルは連続鋳造装置の二次冷却帯の鋳片冷却、厚板・薄板・メッキ鋼板等の鋼板冷却、シームレスパイプ等の鋼管冷却、圧延・熱処理後の制御冷却、鋼板の表面処理、アルミ板・ガラス板等の板材冷却、排ガス冷却用など広範囲に用いることができる。
また、本発明のスプレーノズルは、鋳片等の被冷却材の幅方向に間隔をあけて並列し、噴霧範囲の両側の流量が噴霧範囲の中央部の流量と同等となるようにラップさせて配置することが好ましい。