(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明第1の実施形態の例とされるガスデマンド監視装置の基本構成を示すガスシステム図である。デマンド監視装置10は消費監視パルスの出力機能を有したガスメーター20に有線又は無線接続され、ガスメーター20の出力した監視パルスを受信してガス積算値等を算出し、ガス積算値がデマンド設定値を超える危険性があるときに警報等を表示出力する。これによってガスデマンド設定値を超えたガス使用が防止できるようになる。
【0011】
ガス供給源から負荷装置30までガス管21が敷設されており、ガスメーター20はそのガス管21に介設されている。負荷装置30は作業場等に設置され火力調節等の操作を行うための操作盤31が設けられている。一般にガスメーター20はガス管21の根元部分に設けられ、デマンド監視装置10は事務所等に設けられ、その両者の間を例えばツイステッドペア線等で接続して監視パルスを伝送するようにする。ガスメーター20はガス会社がデマンド値を検針するためのデマンド計を内蔵していてもよいし別体として備えていてもよい。なおデマンド監視装置10が受信する監視パルスは、ガスメーター20が出力する原パルスであってもよいし、複数のガスメーター20の監視パルスをデマンド計によって合算した合算パルスであってもよい。以下、デマンド監視装置10の構成要素を順番に説明する。
【0012】
時計回路11は水晶発信器等からなる電子回路であってデマンド時限を反復して計時する。ガスのデマンド時限は通常60分であるから、時計回路11は1日当たりデマンド時限を24回計時することになる。なお時計回路11は現在時刻を維持しその時刻に基づいて毎時0分0秒からデマンド時限を計時してもよい。もちろんデマンド時限の計時の開始を、維持している現在時刻の0分0秒に同期させることは必ずしも必要ではない。
【0013】
時計操作部12は押し釦等のスイッチからなる電子回路であって、メーター同期操作を受け付けて時計回路11の計時をリセットさせる。ガスメーター(負荷計)20は時計を内蔵しており、現在時刻を表示窓等に表示する。ガス会社によるデマンド値の測定はその時計の示す現在時刻の毎時0分0秒を起点として検知パルスを計数することでなされる。メーター同期操作は、デマンド監視装置側の時計回路11の計時タイミングをガスメーター側の時計の示す時刻の0分0秒に開始させるための操作を云う。つまりメーター同期操作がなされるとデマンド監視装置10の計時が0分0秒にリセットされる。ガスメーター20は一般に時刻信号を外部出力する仕様にはなっていないが、このようなメーター同期を行うことで、ガス会社が検針するデマンド値と、デマンド監視装置10が監視するデマンド値との間の誤差が抑えられる。なおガスメーター20から時刻同期信号が出力される場合は、メーター同期操作によって、あるいは自動的にその同期信号とデマンド時限の計時のタイミングを同期させるようにするとよい。
【0014】
検知パルス演算部13はカウンタ回路やCPU等からなる電子回路であって、ガスメーター20の出力した検知パルスをカウントして所定時間毎に少なくともガス積算値を算出する。検知パルスはガスが単位量消費される毎に出力される。一般には1立方メートル毎に1パルスとされるが、大口利用者の場合は10立方メートル毎に1パルスとされることもある。よってガス積算値は、0.1、1、10、100立方メートル/カウントのいずれかから予め選択された乗数にパルスのカウント数を乗じて算出するとよい。
【0015】
また検知パルス演算部13は、ガス積算値に加えて、所定時間後のガス積算予想値を算出するとよい。その所定時間は例えば5分後、10分後、…、デマンド時限の終了時から予め選択させてもよいし、任意の時間を指定できるようにしてもよい。ガス積算予想値の算出方法は特に制限されない。例えば最新のガス積算値(一点)からガス使用ペースを推定し、その推定したペースに基づいて所定時間後のガス積算予想値を算出してもよい。
【0016】
警報条件設定部14は、表示操作部、CPU、メモリ等からなる電子回路であって、デマンド時限を複数のタイムゾーンに区分する操作と、区分されたタイムゾーンの少なくとも1つにガス積算値に基づく警報条件、警報解除条件を設定する操作とを受け付けて記憶する。デマンド時限を区分する操作は、デマンド時限(60分)を所定数のタイムゾーン(1、2、3等)に区分するのであるが、タイムゾーンの区分数、タイムゾーンの各々の時間は特に制限されることはなく、区分された全タイムゾーンの合計時間がデマンド時限に一致すればよい。
【0017】
警報条件、警報解除条件は、ガス積算値に基づいて条件の成立、不成立が判定できれば特段の制限はない。例えば警報条件は、デマンド時限終了時にデマンド設定値に到達するデマンド基準線を定義したとき、その基準線に対するオフセットAによって規定し(デマンド基準線に対する平行線)、ガス積算値>基準線+オフセットAとなったときに成立するものとしてもよい。同様に警報解除条件もその基準線に対するオフセットBによって規定し、ガス積算値≦基準線+オフセットBとなったときに成立するものとしてもよい。この場合、オフセットA>オフセットBであればオフセットA、Bは正、負値のいずれでもよい。またオフセットA、Bはタイムゾーン毎に異なってもよい。このような警報条件、警報解除条件とした場合、警報条件設定部14では、所望のタイムゾーンを選択して当該タイムゾーンに対してオフセットA、Bの数値を設定操作できればよい。
【0018】
警報制御部15はCPU、メモリ等からなる電子回路であって、警報条件、警報解除条件が設定されているタイムゾーンにおいて所定時間毎に警報条件、警報解除条件の成立を監視し、警報条件が成立したあと警報解除条件が成立しないまま所定の猶予時間が経過すれば、デマンド警報の表示を開始させる。デマンド警報の表示を開始させたあとは、警報解除条件が成立すれば、その警報表示を中止させてもよい。もちろん警報停止操作等によって警報表示を手動で中止できるようにしても構わない。
【0019】
警報表示部16は警報ランプあるいは液晶パネル等からなる表示回路であって、ランプの点灯あるいはパネルのメッセージ表示等によってデマンド警報を表示する。その表示態様は特に制限されないが、デマンド警報の表示開始からの時間経過に従って表示態様を変えてもよい。例えば警報ランプの場合、デマンド警報の表示開始から所定時間が経過するまでは点滅状態とし、所定時間の経過後は連続点灯状態としてもよい。また液晶表示パネルの場合、デマンド警報の表示開始から所定時間が経過するまでは「デマンド警告」というメッセージを表示し、所定時間の経過後は「デマンド警報」というメッセージを表示してもよい。
【0020】
このように本実施形態では、デマンド時限を複数のタイムゾーンに自由に区分して、その内の所望のタイムゾーンについて警報条件、警報解除条件を設定できるようにしているので消費者のガス消費傾向に適合したタイミングでデマンド警報を発することが可能になる。例えば負荷装置の火力調節幅が大きい消費者にとっては、デマンド時限の早い段階では、火力調節可能な時間的余裕が大きいことから、警報条件、警報解除条件を緩いものとし、デマンド時限の遅い段階では、火力調節可能な時間的余裕が小さいことから、警報条件、警報解除条件を厳しいものとすることで、デマンド時限の早い段階での大火力を許容するデマンド警報が可能になる。また負荷装置を略一定の火力で運転させる消費者にとっては、各タイムゾーンの警報条件、警報解除条件を基準線に沿わせて厳しめに設定することで、基準線に沿うような火力調節を促すデマンド警報が可能になる。
【0021】
図2は本実施形態の変形例の構成を示すガスシステム図である。
図1に共通する要素には同一の参照符号を付けて説明を省略する。
【0022】
このデマンド監視装置10はリモート式の時計操作部12aを更に設けた点に特徴がある。時計操作部12aと監視装置本体との接続は有線式であっても無線式であってもよい。このような時計操作部12aはガスメーター20の近傍に設置することができ、一人の作業者がガスメーター20の時刻表示を見ながらメーター同期操作を精度よく実施できるようになる。
【0023】
すなわち
図1に示した構成では時計操作部12がデマンド監視装置10に組み込まれているので、二人の作業者が協力して、つまりガスメーター側の作用者がガスメーターの時刻表示の内容をデマンド監視装置側の作業者に携帯電話等によって逐次伝達する等によって、メーター同期操作のタイミングをとる必要があったが、リモート式の時計操作部12aがあればそのような作業が大幅に簡略化できる。
【0024】
デマンド監視装置10はデマンド警報を外部機器に移報出力してもよい。
図2では外部機器の一例としてパトランプ32とブザー33を設けている。このようなパトランプ32、ブザー33を作業場に配置すれば、デマンド監視装置10が作業場から離れた事務所等に設置されていても作業場の作業員がデマンド警報に確実に気付くという利点がある。デマンド警報の出力に連動させて制御盤に火力減指令等を伝送してもよい。
【0025】
図3(a)はデマンド監視装置に設けられた共通表示操作部における表示画面の一例で監視画面を例示している。共通表示操作部17はタッチパネルで構成されており、デマンド監視中は図示の監視画面を表示するが、画面切換によって時計操作部12、警報条件設定部14、警報表示部16としても機能する。
【0026】
監視画面について説明すると、画面右側には上から順に、デマンド設定値表示欄17a、ガス積算値表示欄17b、ガス積算予想値表示欄17c、経過時間表示欄17dが設けられている。また画面左側にはガス積算値の推移を示すグラフ表示欄17eが設けられている。グラフ表示欄17eの下には、画面切換アイコン17fと、デマンド警報表示欄17gとが設けられている。
【0027】
デマンド設定値表示欄17aは初期設定時に設定されたデマンド設定値を常に表示する。ガス積算値表示欄17bはガスメーター20の検知パルスをカウントして算出した最新のガス積算値を所定時間毎に更新表示する。ガス積算予想値表示欄17cは所定時間後のガス積算予想値を更新表示する。この例では5分後のガス積算予想値を表示するように設定されているが、10分後、20分後、デマンド時限終了時のガス積算予想値等に切り換えることもできる。経過時間表示欄17dはデマンド時限の開始からの経過時間を更新表示する。
【0028】
グラフ表示欄17eはデマンド時限の開始から終了までのガス積算値の推移をリアルタイムにグラフ表示する。横軸は時間軸であってその右端はデマンド時限(60分)に一致している。縦軸はガス積算値であってその上端はデマンド設定値に一致している。ガス積算値はデマンド時限の開始から現在までのガス使用の積算値であるから、デマンド時限中に減少することはない。つまりグラフは局所的に水平部分があっても全体としては右上がりになる。なお図中、ガス積算値の推移を太線で示し、5分後のガス積算予想値を太破線で示している。
【0029】
画面切換アイコン17fは上向き三角形、下向き三角形のボタンを組み合わせたものであり、共通表示操作部17に表示させる画面種別をサイクリックに切り換える操作を受け付ける。画面種別としては、図示のような監視画面以外に、時計操作部12として時刻設定やメーター同期操作を受け付ける画面、警報条件設定部14としてデマンド時限を複数のタイムゾーンに区分する操作を受け付け、更にタイムゾーンを選択して警報条件、警報解除条件を設定する操作を受け付ける画面等が用意される。
【0030】
デマンド警報表示欄17gは、
図3(b)、(c)に示すようにデマンド警告やデマンド警報を表示する。デマンド警告、デマンド警報はメッセージでもよいし、イラスト等でもよい。またデマンド警告とデマンド警報とで色を変える等、両者の表示態様を異ならせるとよい。
【0031】
時計操作部12、警報条件設定部14としての表示画面の例は説明を省略するが、例えば数値表示欄とテンキー等を適宜配置した画面構成にするとよい。
【0032】
図4は本実施形態のデマンド監視手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートではデマンド監視装置の初期設定、警報条件設定等の手順は割愛してデマンド監視手順の中核部分のみを示している。
【0033】
手順中のステップ100はメーター同期操作を検出する処理である。メーター同期操作が検出された場合はステップ101でデマンド監視手順の全体をリセットする。具体的にはデマンド時限の計時、検知パルスのカウント値、ガス積算値等をゼロに戻す処理を行う。
【0034】
ステップ102は検知パルスをカウントする処理である。ステップ103は所定時間の経過を判断する処理である。この所定時間はデマンド監視手順の単位時間当りの実行回数を規定する。つまり所定時間(例えば1秒間)の計時中は、検知パルスをカウントする処理を繰り返し、所定時間が経過した時点で、ステップ104以下の処理を実行するということである。
【0035】
ステップ104は検知パルスのカウント値からガス積算値を算出する処理である。ステップ105、106は現時点でのタイムゾーンを特定して、そのタイムゾーンに対応した警報条件、警報解除条件を読み出す処理である。
【0036】
ステップ107は警報タイマーが起動中か否かを判断する処理である。警報タイマーは警報条件が成立してからの経過時間を計時するものであるが、このフローではタイマーの起動状態を警報条件の成立、未成立を示すフラグとして扱っている。ここで警報タイマーが起動していないのであれば、ステップ108で警報条件が成立しているか否かを更に判断し、警報条件が成立していれば、ステップ109で警報タイマーを起動させる(フラグセット)。
【0037】
ステップ110はステップ107で警報タイマーが起動されていると判断したときに実行される処理であって、警報解除条件が成立しているか否かを判断する。警報解除条件が成立していればステップ111で警報タイマーを停止させて経過時間をゼロに戻す(フラグリセット)。ステップ112は警報表示中であるか否かを判断する処理であり、警報表示中であればステップ113で警報表示を中止させる。
【0038】
ステップ114はステップ107で警報タイマーが起動されていると判断し、かつステップ110で警報解除条件が成立していないと判断したときに実行される処理であって、警報タイマーを参照して警報条件が成立してから警報表示を開始するまでの猶予時間が経過したか否かを判断する。ここで猶予時間が経過していれば、ステップ115で警報表示中であるか否かを判断し、警報表示中でないのであればステップ116で警報表示を開始させる。
【0039】
ステップ107はデマンド時限が経過したか否かを判断する処理である。デマンド時限が経過していなければ、ステップ102に戻って、検知パルスのカウント処理を継続させる。一方デマンド時限が経過していればステップ101に戻って、デマンド監視手順の全体をリセットしてから、ステップ102による検知パルスのカウント処理を再開始させる。
【0040】
次いで本実施形態の基本動作の具体例を説明する。
図5はガス積算値の推移の一例を示すグラフと、デマンド警報の表示、ブザーの鳴動を示す波形図とを組み合わせたものであり、グラフの時間軸、波形図の時間軸は一致させている。グラフ中、デマンド基準線Xは太線で、ガス積算値は太破線で示している。
【0041】
ここでは負荷装置が適宜火力調節されながら連続的に運転されることを想定しており、そのためデマンド時限中、ガス積算値は途中で傾きを変えながらも常に右上がりに増えている。
【0042】
ここでの動作の前提として、デマンド時限がタイムゾーン1、2、3に区分されており、警報条件、警報解除条件はタイムゾーン2、3について規定されている。
【0043】
すなわちタイムゾーン2において、警報開始条件はデマンド基準線Xに対するオフセットA1(A1>0)によって規定され、ガス積算値>基準線+オフセットA1となったときに成立する。また警報解除条件は基準線Xに対するオフセットB1(B1=0)によって規定され、ガス積算値≦基準線+オフセットB1となったときに成立する。
【0044】
タイムゾーン3において、警報開始条件は基準線に対するオフセットA2(A2=0)によって規定され、ガス積算値>基準線+オフセットA2となったときに成立する。また警報解除条件は基準線Xに対するオフセットB2(B2<0)によって規定され、ガス積算値≦基準線+オフセットB2となったときに成立する。
【0045】
タイムゾーン1は警報条件等が設定されていないので、デマンド警報が表示されることはない。デマンド監視装置はタイムゾーン2の開始時に、このタイムゾーンに対応した警報条件、警報解除条件等を読み出す。
【0046】
時刻T1ではガス積算値が警報条件を超えたのでデマンド警報のための計時を開始している(警報タイマーの起動)。時刻T2では計時が猶予時間に達したためデマンド警報の表示(警告表示)を開始している。また同時にブザーの鳴動も開始している。デマンド警報の表示とブザーの鳴動とを同時に開始する必要は特になく、タイミングをずらしても構わない。時刻T3ではデマンド警報の表示開始から所定時間が経過したのでデマンド警報の表示態様(警報表示)を変えている。時刻T4ではブザー停止操作がなされたのでブザーの鳴動を中止している。時刻T5ではガス積算値が警報解除条件を下回ったのでデマンド警報の表示を中止している。
【0047】
時刻T6ではガス積算値が再び警報条件を超えたのでデマンド警報のための計時を開始している。時刻T6の直後にタイムゾーン3に切り換わっており、このタイムゾーンに対応した警報条件、警報解除条件を読み出す。計時の途中でタイムゾーンが切り替わっても計時はそのまま継続する。時刻T7では計時が猶予時間に達したためデマンド警報の表示(警告表示)とブザーの鳴動とを開始している。この猶予時間はタイムゾーン3に対応したものでタイムゾーン2のものよりも短いものとされている。時刻T8ではデマンド警報の表示開始から所定時間が経過したのでデマンド警報の表示態様(警報表示)を変えている。時刻T9ではブザー停止操作がなされたのでブザーの鳴動を中止している。そして時刻T10ではガス積算値が警報解除条件を下回ったのでデマンド警報の表示を中止している。
【0048】
更に本実施形態の基本動作の他例を説明する。
図6は
図5と同様にはガス積算値の推移の一例を示すグラフと、デマンド警報の表示、ブザーの鳴動を示す波形図とを組み合わせたものである。
【0049】
ここでは負荷装置がバッチ形式(大火力で短時間運転と運転休止とを繰り返す態様)で運用されることを想定している。具体的にはデマンド時限中に負荷装置が二回運転される。
【0050】
デマンド時限はタイムゾーン1、2、3に区分されており、警報条件、警報解除条件はタイムゾーン2、3について規定されている。これらの条件の規定や成立、不成立は
図5の例と同様である。なおこの例では警報条件に係るオフセットA1、A2は負荷装置の1回の使用に対する目標ガス消費量よりも幾分低いものとしており、そうすることでガスデマンド警報の表示あるいはブザーの鳴動が負荷装置を停止させるタイミングの目安になるようにしている。また警報解除条件に係るオフセットB1、B2は負荷装置を適切に停止させた場合に比較的短時間でデマンド警報の表示が中止されるように設定している。
【0051】
ガス積算値の推移に基づくデマンド警報の表示開始、終了についての時刻毎の説明は、
図5の例と略同様なので図示のみとし説明を省略する。
【0052】
最後に前記第1の実施形態とは警報条件、警報解除条件の内容を異ならせた第2の実施形態の例を説明する。ただし基本構成そのものは前記実施形態と同様、すなわち
図1又は
図2に示した構成とされる。前記実施形態との主たる相違点は、警報条件、警報解除条件の内容である。
【0053】
本実施形態では検知パルス演算部はガス積算値とデマンド予測値とを算出する。デマンド予測値は例えば直近のガス積算値の値と、直近の傾きから、ガス積算予想値を時間の一次関数によって表し、その関数のデマンド時限終了時の値として算出するようにしてもよい。このようにすればデマンド予測値を高精度に求めることができる。
【0054】
警報条件設定部では、デマンド時限を複数のタイムゾーンに区分する操作と、区分されたタイムゾーンの少なくとも1つについてガス積算値とデマンド予想値とに基づく警報条件、デマンド予想値に基づく警報解除条件を設定する操作とを受け付けて記憶する。
【0055】
警報条件はガス積算値とデマンド予想値とに基づくものであって、前者に対する条件と後者に対する条件とからなり、その両方が成立したときに警報条件が成立するものとする。ガス積算値に対する条件は前記実施形態と同様とすればよいが、デマンド予測値に対する条件は、直近の複数のガス積算値から現時点でのガス使用ペースを推定し、その推定したペースに基づいたデマンド時限終了時のデマンド予測値>基準値となったときに成立するものする。なおここでの基準値は警報条件設定部で設定される条件の一つである。
【0056】
警報解除条件は直近の複数のガス積算値から現時点でのガス使用ペースを推定し、その推定したペースに基づいたデマンド時限終了時のデマンド予測値≦基準値となったときに成立するものする。この基準値は警報条件での前記基準値と同一であっても異なっていてもよい。
【0057】
なお前記実施形態と同様に、警報条件、警報解除条件が設定されているタイムゾーンにおいて所定時間毎に警報条件、警報解除条件の成立を監視し、警報条件が成立したあと警報解除条件が成立しないまま所定の猶予時間が経過すればデマンド警報の表示を開始させるものとする。
【0058】
図7は本実施形態でのガス積算値の推移の一例を示すグラフと、デマンド警報の表示、ブザーの鳴動を示す波形図とを組み合わせたものである。グラフの時間軸、波形図の時間軸は一致させている。グラフ中、デマンド基準線Xは太線で、ガス積算値は太破線で示している。
【0059】
本動作の前提として、デマンド時限がタイムゾーン1、2、3に区分されており、警報条件、警報解除条件はタイムゾーン2、3について規定されている。
【0060】
すなわちタイムゾーン2において、警報開始条件中の積算値に対する条件はデマンド基準線Xに対するオフセットA1(A1>0)によって規定され、ガス積算値>基準線X+オフセットA1で成立する。また警報条件中のガスデマンド予測値に対する条件は基準値Sによって規定され、ガスデマンド予測値>基準値Sで成立する。一方、警報解除条件は基準値Sによって規定され、ガスデマンド予測値≦基準値Sで成立する。
【0061】
またタイムゾーン3において、警報開始条件中の積算値に対する条件はデマンド基準線Xに対するオフセットA2(A2=0)で規定され、ガス積算値>基準線X+オフセットA2で成立する。また警報条件中のガスデマンド予測値に対する条件は基準値Sによって規定され、ガスデマンド予測値>基準値Sで成立する。一方、警報解除条件は基準値Sによって規定され、ガスデマンド予測値≦基準値Sで成立する。
【0062】
タイムゾーン1は警報条件等が設定されていないので、デマンド警報が表示されることはない。デマンド監視装置はタイムゾーン2の開始時に、このタイムゾーンに対応した警報条件、警報解除条件等を読み出す。
【0063】
時刻T21ではガス積算値、デマンド予測値の両方について警報条件が成立したのでデマンド警報のための計時を開始している。時刻T22では計時が猶予時間に達したためデマンド警報の表示(警告表示)を開始している。また同時にブザーの鳴動も開始している。時刻T23ではデマンド警報の表示開始から所定時間が経過したのでデマンド警報の表示態様(警報表示)を変えている。時刻T24ではブザー停止操作がなされたのでブザーの鳴動を中止している。時刻T25ではデマンド警報解除条件が成立したのでデマンド警報の表示を中止している。
【0064】
なお図中、時刻T25でのデマンド予測値に関して、当該時刻でのガス積算値の値と直近の傾きから定まる一次関数を一点鎖線で示している。デマンド予測値はその一次関数上でデマンド時限の終了時の値として求められる。また図中の楕円はそのような一時関数を定めるために参照するガス積算値の部分領域である。
【0065】
時刻T26ではガス積算値、デマンド予測値の両方について警報条件が成立したのでデマンド警報のための計時を開始している。時刻T27では計時が猶予時間に達したためデマンド警報の表示(警告表示)を開始している。また同時にブザーの鳴動も開始している。時刻T28ではブザー停止操作がなされたのでブザーの鳴動を中止している。時刻T29ではデマンド警報の表示開始から所定時間が経過したのでデマンド警報の表示態様(警報表示)を変えている。時刻T30では警報解除条件が成立したのでデマンド警報の表示を中止している。
【0066】
時刻T26ではガス積算値、デマンド予測値の両方について警報条件が成立したのでデマンド警報のための計時を開始している。時刻T27では計時が猶予時間に達したためデマンド警報の表示(警告表示)を開始している。また同時にブザーの鳴動も開始している。時刻T28ではブザー停止操作がなされたのでブザーの鳴動を中止している。時刻T29ではデマンド警報の表示開始から所定時間が経過したのでデマンド警報の表示態様(警報表示)を変えている。時刻T25では警報解除条件が成立したのでデマンド警報の表示を中止している。
【0067】
時刻T31ではガス積算値ついては既に警報条件が成立しているが、更にこのときデマンド予測値についても警報条件が成立したのでデマンド警報のための計時を開始している。時刻T32では計時が猶予時間に達したためデマンド警報の表示(警告表示)を開始している。また同時にブザーの鳴動も開始している。時刻T33ではデマンド警報の表示開始から所定時間が経過したのでデマンド警報の表示態様(警報表示)を変えている。時刻T34では警報解除条件が成立したのでデマンド警報の表示を中止している。時刻T35ではブザー停止操作がなされたのでブザーの鳴動を中止している。このようにデマンド警報の表示を中止したあとでもブザー停止操作がなされるまでブザーを鳴動させ続けてもよい。
【0068】
この実施形態で特筆すべき点は、時刻T25、T29、T34での動作のように、ガス積算値が基準線より高いときであってもデマンド予測値が基準値を下回ればデマンド警報の表示を中止させる点である。こればデマンド設定値をオーバーするという予測が負荷装置の火力調節等によってデマンド設定値をオーバーしないという予測に変更されたとき、すぐにデマンド警報の表示が中止されるということであり、作業者が火力調節の効果をいち早く知ることができるという効果が得られる。