(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6089084
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】体重計を備える床処理ロボット
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20060101AFI20170220BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
G05D1/02 L
B25J5/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-198800(P2015-198800)
(22)【出願日】2015年10月6日
(65)【公開番号】特開2016-76219(P2016-76219A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2015年10月7日
(31)【優先権主張番号】10 2014 114 611.5
(32)【優先日】2014年10月8日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515277735
【氏名又は名称】フォアベルク ウント コー. インターホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Vorwerk & Co. Interholding GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト プラチェッカ
【審査官】
影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−195513(JP,A)
【文献】
特開2008−056192(JP,A)
【文献】
特開2008−093698(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/002496(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00− 1/12
B25J 1/00−21/02
A47L 5/00− 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 自律的に移動できる床処理機器(4)を有し、
− ハウジング(6)を有する、
床処理ロボットであって、
− 前記床処理機器(4)の前記ハウジング(6)が上面に人を支持するための立ち領域(8)を有し、
− 少なくとも1つのロードセル(16;24)が設けられ、
− 前記ロードセル(16;24)が前記人の重さを測定するのに適している、
ことを特徴とする床処理ロボット。
【請求項2】
前記床処理機器(4)の前記ハウジング(6)が少なくとも100kgの荷重に適していることを特徴とする請求項1に記載の床処理ロボット。
【請求項3】
前記床処理機器(4)の少なくとも3つの支持点(10、12、14)がそれぞれ、ロードセル(16a、16b、16c)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の床処理ロボット。
【請求項4】
駆動輪(10、12)の、該当する場合はさらに、自在走行キャスタ(14)の、支承点(10b、12b、14b)が、前記ロードセル(16a、16b、16c)の実効点として働くことを特徴とする請求項3に記載の床処理ロボット。
【請求項5】
− 少なくとも前記床処理機器(4)のバッテリを充電するためのベースステーション(20)が設けられ、
− 前記ベースステーション(20)が、前記床処理機器(4)の支持点(10、12、14)を全て受けるベースプレート(22)を有し、
− 前記少なくとも1つのロードセル(24)が前記ベースプレート(22)に接続されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の床処理ロボット。
【請求項6】
前記少なくとも1つのロードセル(16a、16b、16c;24)の測定信号を評価する評価ユニット(30)が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の床処理ロボット。
【請求項7】
前記評価ユニット(30)が、前記床処理機器(4)上に立つ人の重さが測定される前に前記床処理機器(4)の最新の自重を測定することを特徴とする請求項6に記載の床処理ロボット。
【請求項8】
前記床処理機器(4)または請求項5に記載のベースステーション(20)にディスプレイ(40)が配置されることを特徴とする請求項6または7に記載の床処理ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律的に移動できる床処理機器を有しハウジングを有する、床処理ロボットに関する。必要な場合は、少なくとも床処理機器のバッテリを充電するように働くベースステーションが設けられる。
【背景技術】
【0002】
本発明の文脈では、床処理機器とは吸引機器および/または掃引機器を意味する。そのために、このような掃除機器は、電動吸引ファンユニットならびに/または電動機によって駆動されるブラシおよび/もしくはブラシローラを有する。床処理機器が芝刈り機を意味することもできる。ただし、本発明を主に家庭用の床掃除機器に関して以下に説明する。
【0003】
自律的に移動できる床処理ロボットにはバッテリによって電気が供給される。バッテリを充電し、さらに必要な場合は、機器内部の容器に収集したちりまたはごみを処分するために、床処理機器は、家庭用の電力供給システムに接続された固定型のベースステーションが割り当てられている。
【0004】
既知の床処理機器は、自律的に、たとえば、ベースステーションと床処理機器との間で無線誘導および/もしくは光信号誘導、またはそのほかの無線通信を用いてベースステーションを見つける。自動的に、たとえばベースステーションと床処理機器との間の無線通信によって、ベースステーションに移動するように促すことができる。床処理機器は同様に、機器のちり容器の集塵量に応じておよび/またはバッテリの充電状態に応じて、ベースステーションまで独力で移動することができる。さらに、床処理機器は、実行すべき作業、たとえば所定の床領域の掃除を終了した後に、自動的にベースステーションに移動することができる。
【0005】
休止状態では、自走式床処理機器はベースステーションに位置し、したがって室内のある領域を占有し、その領域は他の機器または物のために利用することができない。したがって、ベースステーションは、浴室または収納室などの部屋に保管されることが多く、そうすることで、床処理機器が邪魔になることが少なくなる。
【0006】
別の家庭内機器は体重計であり、これも同様に通常は浴室または収納室に保管される。この2つの機器は互いにすぐ隣に置かれることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、様々な家庭内機器に関する空間要件を低減するという技術的課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題は、床処理機器のハウジングが上面に人を支持するための立ち領域を有し、少なくとも1つのロードセルが設けられ、そのロードセルが人の重さを測定するのに適している、冒頭で言及したような床処理ロボットによって本発明に従って解決される。そのために、床処理機器のハウジングは好ましくは少なくとも100kgの荷重に適している。
【0009】
本質的に共通の特性を有しない全く異なる2つの機器が驚くべき様式でこのように互いに組み合わせられる。床処理ロボットの、具体的には床掃除ロボットのユーザが、体重を測定するためにこの機器を同時に使用することができる。そのとき、体重測定機能がもっぱら床処理機器に組み込まれている場合は、床処理機器の位置とは関係なしに体重を測定することができる。勿論、床処理機器がベースステーションに位置する場合にも体重を測定するために床処理機器を使用することができる。体重測定機能がベースステーションに組み込まれている場合は、床処理機器はベースステーション上に位置しなければならない。
【0010】
まず、体重測定機能がもっぱら床処理機器に組み込まれた好ましい実施形態で本発明を説明する。そのために、好ましい様式で床処理機器の少なくとも3つの支持点がそれぞれロードセルを有する。この3つの支持点はたとえば、2つの駆動輪および1つの自在走行キャスタとすることができる。床処理機器に人が立つ場合は、支持点3つが立ち領域を画定し、人は床処理機器上に安全に立つことができる。
【0011】
3つ以上の支持点、すなわち、たとえば2つの駆動輪および少なくとも2つの自在走行キャスタがある場合は、別の好ましい様式で床処理機器の支持点全てがロードセルを有する。これは人の重さ全体を確実に測定する。
【0012】
別の有利な様式では、駆動輪のおよび自在走行キャスタの支承点がロードセルの実効点として働く。したがって、床処理機器にロードセルを簡単に組み込むことができる。
【0013】
本発明の代替の構成は、少なくとも床処理機器のバッテリを充電する、冒頭で言及したようなベースステーションにより床処理機器と一緒に体重測定機能をもたらすことにある。
【0014】
そのために、ベースステーションが床処理機器の支持点を全て受けるベースプレートを有し、少なくとも1つのロードセルがベースプレートに接続されることが好ましい。次いで、床処理機器がベースステーションに移動して、休止位置にあるとき、さらに該当する場合は充電位置にあるときはいつでも、床処理ロボットを体重計として使用することができる。
【0015】
床処理機器上に立つ人の体重を判定するために、少なくとも1つのロードセルの測定信号を評価する評価ユニットが設けられ、評価ユニットは床処理機器の上に立つ人の重さを測定する前に床処理機器の最新の自重を測定する。次いで、引き続きロードセルの測定信号を評価する間に自重を減算する。
【0016】
次いで、測定した人の重さが床処理機器またはベースステーションのディスプレイに表示される。
【0017】
既知の体重計のように、立ち領域には、身体のほかの特性を判定するためのほかのセンサを、たとえば組織の脂肪含有量を判定するために身体を通して伝導される電流を測定する電極を組み込むこともできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の床処理ロボットによれば、様々な家庭内機器に関する空間要件を低減するという技術的課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】人のための立ち領域を有する床処理ロボットの床処理機器の斜視図を示す。
【
図2】ロードセルがハウジングに組み込まれた床処理ロボットの床処理機器の断面を示す。
【
図3】組み込まれたロードセルを備えたベースステーションを有する床処理ロボットの床処理機器の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面を参照しながら例示的な実施形態を用いて本発明を以下により詳細に説明する。
【0021】
図1および
図2に、下方表面3上を自律的に移動できる床処理機器4を有する、本発明による床処理ロボット2を示す。床処理機器4のハウジング6は上面に人を支持するための立ち領域8を有する。立ち領域8は2つに分かれた面から構成されており、その面はそれぞれ中央部分9に隣接して配置されている。そのために、床処理機器4のハウジング6は少なくとも100kgの荷重に適している。
【0022】
さらに、2つの駆動輪10および12ならびに補助輪14が設けられている。
図1では斜視図にて示しているので、一方の駆動輪10しか見えない。
図3には、床3から粒子を掻き上げることによって吸引プロセスを改善するブラシローラ15を見ることもできる。
【0023】
図2から理解できるように、3つの車輪10、12および14はそれぞれ、軸受け10b、12bおよび14bに装着されている車軸10a、12aおよび14aを有する。軸受け10b、12bおよび14bは、ハウジング6に固定して接続され、ロードセル16a、16bおよび16cを有する。ロードセル16a、16bおよび16cは詳細には示さない。ロードセル16a、16bおよび16cはその上に立つ人の重さを測定するのに適している。
【0024】
図3に、床処理機器4を有する本発明による床処理ロボット2の別の例示的な実施形態を示す。この床処理機器4は、実質的に、
図1に示す床処理機器4の基本構造に相当する。さらに、少なくとも床処理機器4のバッテリを充電するように働くベースステーション20が設けられる。ベースステーション20は、支持点を全て、すなわち、床処理機器4の車輪10、12および14を受けるベースプレート22を有する。ベースプレート22は少なくとも1つのロードセル24に接続される。ロードセル24を1つだけ設ける代わりに、2つ以上のロードセル24を設けることもできる。
【0025】
図2および
図3に示すように、少なくとも1つのロードセル16a、16bおよび16cならびに/または24の測定信号を評価する評価ユニット30が設けられる。評価ユニット30は、床処理機器4の上に立つ人の重さを測定する前に床処理機器4の最新の自重を測定する。これは、適切な開始プロセスによって実現することができる。次いで、少なくとも測定した重さが、床処理機器4またはベースステーション20に配置されたディスプレイ40に表示される。
【0026】
図示の床処理機器4はまた、床処理機器の周りの空間構造を検出するセンサシステム52を備えた付属装置50も有する。そのために、好ましくは、床処理機器の周囲を走査するレーザセンサ54が設けられる。そのために、付属装置50は
図1に矢印dで示す垂直軸xを中心に回転することができる。
【符号の説明】
【0027】
2 床処理ロボット
3 下方表面、床
4 床処理機器
6 ハウジング
8 立ち領域
9 中央部分
10、12 駆動輪
10a、12a、14a 車軸
10b、12b、14b 軸受け
14 補助輪
16a、16b、16c ロードセル
30 評価ユニット
50 付属装置
52 センサシステム
54 レーザセンサ