特許第6089123号(P6089123)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6089123
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】オレフィン重合触媒及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/654 20060101AFI20170220BHJP
【FI】
   C08F4/654
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-560506(P2015-560506)
(86)(22)【出願日】2013年7月11日
(65)【公表番号】特表2016-513739(P2016-513739A)
(43)【公表日】2016年5月16日
(86)【国際出願番号】CN2013000838
(87)【国際公開番号】WO2014139062
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2015年9月4日
(31)【優先権主張番号】201310079097.5
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514306010
【氏名又は名称】中国石油天然気股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ジャンジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、 ジンファ
(72)【発明者】
【氏名】フ、 シュテン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、 チグ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ、 ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、 シュタオ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ、 ケジン
(72)【発明者】
【氏名】チュウ、 バイチュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、 ミンゲ
(72)【発明者】
【氏名】リ、 ホンミン
【審査官】 藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−218507(JP,A)
【文献】 特開昭60−081208(JP,A)
【文献】 特開平10−279632(JP,A)
【文献】 米国特許第06231804(US,B1)
【文献】 中国特許出願公開第102558404(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102875704(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
・IPC
C08F 4/654
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主触媒と補助触媒からなり、
前記主触媒は、マグネシウム化合物、遷移金属ハロゲン化物、ハロゲン化珪素化合物、有機アルコール化合物、金属酸エステル化合物及び有機アルコールエーテル化合物からなり、マグネシウム化合物と、遷移金属ハロゲン化物と、ハロゲン化珪素化合物と、有機アルコール化合物と、金属酸エステル化合物とのモル比が1:(0.1〜30):(0.1〜20):(0.5〜10):(0.01 -10)であり、マグネシウム化合物と有機アルコールエーテル化合物との質量比が100:0.1〜20であり、前記補助触媒は有機アルミニウム化合物であり、主触媒中の遷移金属ハロゲン化物と補助触媒とのモル比が1:30〜500であることを特徴とする、オレフィン重合触媒。
【請求項2】
前記マグネシウム化合物は、一般式(1)がMg(R)である化合物から選択される少なくとも1種であり、RはC〜C20の脂肪族炭化水素基、C〜C20の脂肪族アルコキシ基、C〜C20の脂環式基又はC〜C20の芳香族炭化水素基から選択され、Xはハロゲンから選択され、a=0、1又は2であり、b=0、1又は2であり、a+b=2であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合触媒。
【請求項3】
前記遷移金属ハロゲン化物は、一般式(2)がM(R)4-mである化合物から選択される少なくとも1種であり、式中、MはTi、Zr、Hfであり;Xはハロゲン原子であり、mは1〜4の整数であり、RはC〜C20の脂肪族炭化水素基、C〜C20の脂肪族アルコキシ基、C〜C20のシクロペンタジエニル基及びその誘導体、C〜C20の芳香族炭化水素基、C〜C20の芳香族アルコキシ基、COR’又はCOOR’から選択され、R’はC〜C10の脂肪族基又はC〜C10の芳香族基であり、遷移金属ハロゲン化物とマグネシウム化合物とのモル比が(1〜30):1であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合触媒。
【請求項4】
前記有機アルコール化合物はC〜C15の脂肪族アルコール、C〜C15の脂環アルコール又はC〜C15の芳香アルコールから選択され、有機アルコール化合物とマグネシウム化合物とのモル比が(1〜10):1であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合触媒。
【請求項5】
前記ハロゲン化珪素化合物は、一般式がSi(R)4-nである化合物から選択される少なくとも1種であり、式中、Xはハロゲン原子であり、nは1〜4の整数であり、RはH、C〜C20の脂肪族炭化水素基、C〜C20の脂肪族アルコキシ基、C〜C20の脂環式基又はC〜C20の芳香族炭化水素基であり、ハロゲン化珪素化合物とマグネシウム化合物とのモル比が(1〜20):1であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合触媒。
【請求項6】
前記金属酸エステル化合物は、一般式がM(R)である化合物から選択される少なくとも1種であり、式中、MはTi、Zr、Hfから選択される遷移金属であり、RはC〜C20の脂肪族アルコキシ基、C〜C20の芳香族フェノキシ基から選択され、金属酸エステル化合物とマグネシウム化合物とのモル比が(0.1 -10):1であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合触媒。
【請求項7】
前記有機アルコールエーテル化合物は、一般式(3)で示されるように末端基が水酸基を含み、一般式(3):HO(CHCHO)(CH)であり、式中、fは2〜20の整数であり、gは1〜10の整数であり;RはC〜C30の脂肪族炭化水素基、C〜C30のシクロアルキル、C〜C30の芳香族炭化水素基、C〜C30の複素環アルキル基から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合触媒。
【請求項8】
次の工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合触媒の製造方法:
1)マグネシウム化合物を有機溶剤に分散し、有機アルコール化合物を添加し、30〜150℃で1〜5h攪拌し溶解する工程;
2)工程1)の溶液を10〜80℃に降温し、金属酸エステル化合物及び有機アルコールエーテル化合物を添加し、この温度で0.5〜3h反応させる工程;
3)工程2)で得られた溶液を-40〜30℃でハロゲン化珪素化合物に接触させ、0.5〜5時間反応させ、40〜110℃に昇温し、0.5〜5時間反応させる工程;
4)工程3)で得られた体系を-40〜30℃で遷移金属ハロゲン化物に接触させ、0.5〜5h反応させ、体系を20〜150℃に昇温し、0.5〜5h反応させ、昇温過程中で固形物が段々と析出し、粒子を形成し、反応終止後、静置し、濾過し、トルエン又はn-ヘキサンで4〜6回洗浄し、真空乾燥して、主触媒を得る工程;
5)主触媒及び補助触媒を遷移金属ハロゲン化物と補助触媒とのモル比が1:30〜500となるように混合し、オレフィン重合触媒を得る工程。
【請求項9】
前記有機溶剤は、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン又はデカン、又はそれらの混合溶剤から選択されることを特徴とする、請求項8に記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
【請求項10】
前記補助触媒である有機アルミニウム化合物は、一般式がAl(R)3-yである化合物の1種又は2種の混合であり、式中、Rは水素又は炭素数1〜20の炭化水素基又はアルコキシ基であり、Xはハロゲンであり、yは0<y≦3の整数であることを特徴とする、請求項8に記載のオレフィン重合触媒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン重合触媒及びオレフィン重合の分野に属し、具体的には、エチレン重合又はエチレンとα-オレフィンとの共重合に用いられる触媒及び触媒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン重合触媒は、ポリオレフィン重合技術のコアである。Ziegler-Natta触媒が発表されてから60年近くの歴史となり、その期間にメタロセンや非メタロセン等のポリオレフィン触媒が出たが、例えば、補助触媒が非常に高価であり、担持化問題の解決が困難であるなどの工業化問題が多い。そのため、目下の工業生産及び市場占有率から見ると、伝統的なZ-N触媒は、未来の一期間内までもオレフィン重合の分野における絶対主導者である。近年、中国国内外におけるZ-N触媒製品は、次次と現れ、触媒安定性及び重合催化活性が上げられ続けている。しかし、触媒粒子規則性及び粒径分布の点でまだ不十分であり、直接的な結果として、得られるポリオレフィン製品の嵩密度が低く、微粉の含有量が高く、ひいては生産中に釜付着、釜掛かり、パイプ詰め等の問題が生じ、工業生産の効果と利益に強く影響する。目下では、生産中に於いて、製造プロセスが簡単であり、粒径分布が均一である球形触媒製品の開発が早急に求められている。
【0003】
中国特許公開CN101857650は、簡単的な球形ポリオレフィン触媒担体の製造方法を開示しており、具体的には、無水ハロゲン化マグネシウムをテトラヒドロフランに溶解し、溶液を形成し、2価アルコールエーテルを析出剤とし、2価アルコールエーテルをハロゲン化マグネシウム溶液に徐々に滴下し、高速の攪拌を維持し、得られた体系を静置して、分層させ、底層の沈殿を分離し、洗浄した後、得られた沈殿を塩化物又はアルキルアルミニウム溶液に浸した後、再度沈殿を分離し、アルカンでそれを洗浄し、球形触媒担体を得る。しかし、このような担体は、チタン担持量が低い。
【0004】
中国特許公開CN1097426Aは、まず塩化試薬とアルキルマグネシウムとの反応を採用して担体を製造した後、チタンを担持し、触媒を生成する触媒の製造方法を開示している。該方法で製造される触媒は、形態が類球形であり、重合物微粉の含有量が低く、大粒子の含有量が低いが、触媒活性は低い。
【0005】
中国特許公開CN101096389Aは、ハロゲン化珪素を塩化マグネシウムの析出剤としたエチレン重合触媒を報道しており、重合物の嵩密度及び微粉の含有量の問題が解決されるが、触媒のチタン担持量及び活性が非常に低い。
【0006】
中国特許公開CN102558403Aは、アルコキシ珪素を電子供与体として添加し、有機アルコールエーテルを形態修復剤として添加することで触媒形態が改善されるエチレン重合触媒を報道しており、該触媒は、粒径分布が均一であり、活性が高く、得られた重合物微粉の含有量が低い。
【0007】
本出願は、触媒製造過程中において、担体が析出する同時に遷移金属活性中心及び電子供与体が生成でき、in situで担体に担持されることを発見した。溶解体系中におけるアルコールと有機ケイ素化合物とを反応させることで、in situで電子供与体を生成させ、金属酸エステル化合物と有機ケイ素化合物とはin situで遷移金属活性中心を生成する。本発明で製造された主触媒粒子は、形態が良好であり、球形を呈し、担持量が高く、活性が高く、触媒が担体から脱落することがない。製造されたポリエチレンは、嵩密度が高く、微粉の含有量が低い。スラリー重合プロセス、気相重合プロセス又は重合プロセスの組み合わせに好適に適用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、触媒活性が高い、エチレン重合又はエチレンとα-オレフィンとの共重合に用いられる触媒成分及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明で提供されるエチレン重合触媒は、マグネシウム化合物、遷移金属ハロゲン化物、ハロゲン化珪素化合物、有機アルコール化合物、金属酸エステル及び有機アルコールエーテル化合物からなる主触媒と、補助触媒とからなるものである。上記の主触媒は、主に担体及び遷移金属ハロゲン化物からなり、担体は、塩化物析出法より生成られ、遷移金属ハロゲン化物は、チタン酸エステルとハロゲン化珪素との反応により生成られる。マグネシウム化合物と、遷移金属ハロゲン化物と、ハロゲン化珪素化合物と、有機アルコール化合物と、金属酸エステルとのモル比が1:(0.1〜30):(0.1〜20):(0.5〜10):(0.01 -10)であり;ハロゲン化マグネシウムと有機アルコールエーテル化合物との質量比が100:0.1〜20であり;上記の補助触媒は、有機アルミニウム化合物であり;主触媒と補助触媒との使用量関係は、主触媒中の遷移金属ハロゲン化物と補助触媒とのモル比が1:30〜500である。
【0010】
その中で、上記のマグネシウム化合物担体は、一般式(1)がMg(R)である化合物から選択される少なくとも1種である。Rは、C〜C20の脂肪族炭化水素基、C〜C20の脂肪族アルコキシ基、C〜C20の脂環式基又はC〜C20の芳香族炭化水素基から選択され、Xは、ハロゲンから選択され、a=0、1又は2であり、b=0、1又は2であり、a+b=2である。具体的な化合物としては、例えば、二塩化マグネシウム、二臭化マグネシウム、二沃化マグネシウム、塩化メトキシマグネシウム、塩化エトキシマグネシウム、塩化プロポキシマグネシウム、塩化ブトキシマグネシウム、塩化フェノキシマグネシウム、マグネシウムエトキシド、マグネシウム-iso-プロポキシド、ブトキシマグネシウム、塩化-iso-プロポキシマグネシウム、ジブチルマグネシウム、塩化ブチルマグネシウム等のうちの少なくとも1種である。その内、好ましくは二塩化マグネシウムである。
【0011】
その内、上記の遷移金属ハロゲン化物は、一般式(2)がM(R)4-mである化合物から選択される少なくとも1種であり、式中、MはTi、Zr、Hfから選択される遷移金属であり;Xはハロゲン原子であり;mは、1〜4の整数であり、Rは、C〜C20の脂肪族炭化水素基、C〜C20の脂肪族アルコキシ基、C〜C20のシクロペンタジエニル基及びその誘導体、C〜C20の芳香族炭化水素基、C〜C20の芳香族アルコキシ基、COR’又はCOOR’から選択され、R’は、C〜C10の脂肪族基又はC〜C10の芳香族基である。Rとしては、具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、iso-ブチル、tert-ブチル、iso-アミル、tert-アミル、2-エチルヘキシル、フェニル、ナフチル、o-メチルフェニル、m-メチルフェニル、p-メチルフェニル、o-スルホフェニル、ホルミル、アセチル又はベンゾイル等から選択される少なくとも1種である。上記の遷移金属ハロゲン化物としては、具体的には、四塩化チタン、四臭化チタン、四沃化チタン、四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、四塩化ハフニウム、モノクロロトリエトキシチタン、ジクロロジエトキシチタン、トリクロロモノエトキシチタン、メトキシ三塩化チタン、ジブトキシ二塩化チタン、トリブトキシ塩化チタン、モノクロロトリフェノキシチタン、ジクロロジフェノキシチタン、トリクロロモノフェノキシチタンの内の1種又は多種の混合が選択される。その内、好ましくは四塩化チタンである。遷移金属ハロゲン化物とハロゲン化マグネシウムとのモル比が好ましくは(1〜30):1である。
【0012】
本発明の特徴の一つは、主触媒製造過程中において1種のハロゲン化有機ケイ素化合物をハロゲン化マグネシウムの析出剤として添加することである。
そのうち、上記のハロゲン化有機ケイ素化合物は、一般式がSi(R)4-nである化合物から選択される少なくとも1種である。式中、Xはハロゲン原子であり;nは、1〜4の整数であり、Rは、C〜C20の脂肪族炭化水素基、C〜C20の脂肪族アルコキシ基、C〜C20のシクロアルキル、C〜C20の芳香族炭化水素基、C〜C20の芳香族アルコキシ基である。Rとしては、具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、iso-ブチル、tert-ブチル、iso-アミル、tert-アミル、2-エチルヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、フェニル、ナフチル、o-メチルフェニル、m-メチルフェニル、p-メチルフェニル等から少なくとも1種が選択される。使用できる化合物としては、例えば、四塩化珪素、四臭化珪素、四沃化珪素、モノメチル三塩化珪素、モノエチル三塩化珪素、ジフェニル二塩化珪素、メチルフェニル二塩化珪素、ジメチルモノメトキシ塩化珪素、ジメチルモノエトキシ塩化珪素、ジエチルモノエトキシ塩化珪素、ジフェニル基モノメトキシ塩化珪素等であり、本発明では、四塩化ケイ素又はジフェニル二塩化珪素が好ましい。ハロゲン化有機ケイ素化合物とハロゲン化マグネシウムとのモル比が好ましくは(1〜20):1である。
【0013】
本発明の特徴の一つは、主触媒製造過程中において1種の有機アルコール化合物又はその混合物を添加することである。
【0014】
本発明に記載の有機アルコール化合物は、C〜C15の脂肪族アルコール、C〜C15の脂環アルコール又はC〜C15の芳香アルコールの内の1種又はそれらの混合物から選択される。具体的には、エタノール、エチレングリコール、プロピルアルコール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、1,3-プロパンジオール、グリセロール、ヘキサノール、2-メチルペンタノール、2-エチルブタノール、n-ヘプタノール、2-エチルヘキサノール、n-オクタノール、デカノール、ソルビトール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコール、イソプロピルベンジルアルコール等を含む。その中、好ましくは脂肪族アルコールであり、より好ましくはエタノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール又はグリセロールの内の1種又はそれらの混合物である。上記の有機アルコール化合物とハロゲン化マグネシウムとのモル比が好ましくは(1〜10):1である。
【0015】
本発明の特徴の一つは、主触媒製造過程中において1種の金属酸エステル化合物を添加することである。
【0016】
その内、金属酸エステル化合物は、一般式がM(R)である化合物から選択される少なくとも1種である。式中、MはTi、Zr、Hfから選択される遷移金属であり、Rは、C〜C20の脂肪族アルコキシ基、C〜C20の芳香族フェノキシ基から選択されるものである。具体的な化合物としては、テトラエトキシチタン、テトラ-n-プロポキシチタン、テトラ-iso-プロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、テトラヘキシルオキシチタン、テトラブトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム等から選択される。好ましくは、テトラブトキシチタンである。上記の金属酸エステルとハロゲン化マグネシウムとのモル比が好ましくは(0.1 - 10):1である。
【0017】
そのうち、上記の有機アルコールエーテル化合物の特徴は、一般式(3)で示されるように、末端基が水酸基を含むことである。一般式(3):HO(CHCHO)(CH)中、fは2〜20の整数であり、gは1〜10の整数であり;Rは、C〜C30の脂肪族炭化水素基、C〜C30のシクロアルキル、C〜C30の芳香族炭化水素基、C〜C30の複素環アルキル基から選択されるものであり、具体的には、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジグリコールモノブチルエーテル、トリグリコールモノエチルエーテル、ジグリコールモノアリルエーテル、トリグリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、2-(2-(2-シクロアミルエトキシ)エトキシ)エタノール、ジグリコールエチルシクロペンタジエニルエーテル、トリグリコールプロピルシクロヘキシルエーテル、ジグリコールフェネチルエーテル、トリグリコールフラニルエチルエーテル、トリグリコールピリジルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテルから選択される。ハロゲン化マグネシウムと有機アルコールエーテル化合物との質量比が100:0.1〜20である。
【0018】
本発明の特徴の一つは、次の工程を含むエチレン重合主触媒の製造方法を提供したことである。
1)マグネシウム化合物を有機溶剤に分散した後、有機アルコール化合物を添加し、30〜150℃で1〜5h攪拌し溶解する工程。
2)工程1)の溶液を10〜80℃まで降温し、金属酸エステル化合物及び有機アルコールエーテル化合物を添加し、当該の温度で0.5〜3h反応させる工程。
3)工程2)で得られた溶液を-40〜30℃でハロゲン化珪素化合物に接触させ、0.5〜5時間反応させ、40〜110℃に昇温し、0.5〜5時間反応させる工程。
4)工程3)で得られた体系を-40〜30℃で遷移金属ハロゲン化物に接触させ、0.5〜5h反応させ、体系を20〜150℃に昇温し、0.5〜5h反応させ、昇温過程中、固形物が段々と析出し、粒子を形成し、反応終止後、静置し、濾過し、トルエン又はn-ヘキサンで4〜6回洗浄し、真空乾燥して、主触媒を得る工程。
【0019】
上記の有機溶剤は、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン又はデカン、又はそれらの混合溶剤から選択されるものであり、好ましくは、トルエン、ヘキサン、ヘプタン又はデカンである。
【0020】
本発明で提供されるエチレン重合触媒は、補助触媒である有機アルミニウム化合物成分も必要である。上記の補助触媒である有機アルミニウム化合物は、一般式がAl(R)3-yである化合物の内の1種又は2種の混合から選択されるものであり、式中、Rは、水素又は炭素数1〜20の炭化水素基又はアルコキシ基であり、Xはハロゲンであり、yは0<y≦3の整数である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施例1
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール8 mlをこの順で添加して、攪拌しながら120℃に昇温し、2h恒温し;その後、1.7 mlテトラブトキシチタン、ジエチレングリコールエチルエーテル0.02 mlを添加し、60℃で1h反応させた。-20℃に降温し、11 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。-25℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、60℃に昇温し、2h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、乾燥まで真空吸引ろ過して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0022】
2)エチレン重合:0.5 Lステンレススチール圧力釜を窒素ガスにより十分に置換した後、釜に主触媒成分20 mg、脱水ヘキサン200 ml、AlEt溶液1.2 ml(2 mmol/ml)をこの順で添加し、80℃に昇温した後、水素ガスを0.28 MPaに充填し、エチレンを0.73 MPaに充填し、恒圧・恒温で2h反応させた。重合結果を表1に示す。
【0023】
3)エチレン共重合: 0.5 Lステンレススチール圧力釜を窒素ガスにより十分に置換した後、釜に主触媒成分20 mg、脱水ヘキサン200 ml、AlEt溶液1.2 ml(2 mmol/ml)をこの順で添加し、80℃に昇温した後、水素ガスを0.28 MPaに充填し、エチレンを0.73 MPaに充填し、1-ヘキセン35 mLを添加し、恒圧・恒温で2h反応させた。重合の結果を表1に示した。
【0024】
実施例2
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール8 mlをこの順で添加して、攪拌しながら100℃に昇温し、3h恒温し;その後、1.7 mlテトラブトキシチタン、ジエチレングリコールエチルエーテル0.02 mlを添加し、20℃で1h反応させた。-20℃に降温し、20 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し1h反応させて、乳白色濁液を得た。-25℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、120℃に昇温し2h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、乾燥まで真空吸引ろ過して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0025】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0026】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0027】
実施例3
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール8 mlをこの順で添加して、攪拌しながら150℃に昇温し、1h恒温し;その後、13.6 mlテトラブトキシチタン、ジエチレングリコールブチルエーテル0.02 mlを添加し、80℃で1h反応させた。-20℃に降温し、11 mlジメチル二塩化珪素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。-35℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、3h反応させ、80℃に昇温し3h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0028】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0029】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0030】
実施例4
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール6 mlをこの順で添加して、攪拌しながら80℃に昇温し、2h恒温し;その後、1.7 mlテトラブトキシチタン、ジエチレングリコールブチルエーテル0.02 mlを添加し、30℃で1h反応させた。10℃に降温し、11 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。-25℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、150℃に昇温し1h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0031】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0032】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0033】
実施例5
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール8 mlをこの順で添加して、攪拌しながら120℃に昇温し、2h恒温し;その後、1.7 mlテトラブトキシチタン、ジエチレングリコールブチルエーテル0.02 mlを添加し、20℃で3h反応させた。-5℃に降温し、11 mlジフェニル二塩化珪素を滴下し、滴下終了後、100℃に昇温し、1h反応させて、乳白色濁液を得た。-20℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、4h反応させ、60℃に昇温し、5h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0034】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0035】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0036】
実施例6
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、エタノール5 mlをこの順で添加して、攪拌しながら80℃に昇温し、4h恒温し;その後、1.7 mlテトラブトキシチタン、ジグリコールモノブチルエーテル0.02 mlを添加し、60℃で3h反応させた。-20℃に降温し、11 mlモノエチル三塩化珪素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。-25℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、120℃に昇温し2h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0037】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0038】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0039】
実施例7
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、ヘプタン20ml、2-エチルヘキサノール8 mlをこの順で添加して、攪拌しながら100℃に昇温し、3h恒温し;その後、1.7 mlテトラブトキシチタン、ジグリコールモノブチルエーテル0.02 mlを添加し、70℃で1h反応させた。-10℃に降温し、11 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、100℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。-25℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、60℃に昇温し3h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0040】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0041】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0042】
実施例8
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール6 ml、エタノール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら120℃に昇温し、2h恒温し;その後、1.7 mlテトラブトキシチタン、トリグリコールモノエチルエーテル0.04 mlを添加し、60℃で1h反応させた。-20℃に降温し、6 mlモノフェニルトリクロロシランを滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。-25℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、120℃に昇温し2h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0043】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0044】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0045】
実施例9
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール6 ml、エタノール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら100℃に昇温し、3h恒温し;その後、1.7 mlテトラブトキシチタン、トリグリコールモノエチルエーテル0.04 mlを添加し、60℃で2h反応させた。-20℃に降温し、11 mlジフェニル二塩化珪素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し3h反応させ、乳白色濁液を得た。5℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、120℃に昇温し2h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0046】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0047】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0048】
実施例10
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール6 ml、エタノール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら80℃に昇温し、4h恒温し;その後、6.8 mlテトラブトキシチタン、トリグリコールモノエチルエーテル0.04 mlを添加し、60℃で1h反応させた。-20℃に降温し、11 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。-25℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、140℃に昇温し1h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0049】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0050】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0051】
実施例11
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール6 ml、ブタノール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら100℃に昇温し、2h恒温し;その後、6.8 mlテトラブトキシチタン、ジグリコールモノアリルエーテル0.06 mlを添加し、60℃で1h反応させた。-20℃に降温し、11 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、100℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。-25℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、60℃に昇温し5h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0052】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0053】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0054】
実施例12
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール6 ml、エタノール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら120℃に昇温し、3h恒温し;その後、6.8 mlテトラブトキシチタン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル0.5 mlを添加し、60℃で3h反応させた。-30℃に降温し、20 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。10℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、80℃に昇温し3h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0055】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0056】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0057】
実施例13
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール6 ml、エタノール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら120℃に昇温し、2h恒温し;その後、6.8 mlテトラ-iso-プロポキシチタン、ジグリコールフェネチルエーテル0.02 mlを添加し、60℃で1h反応させた。-20℃に降温し、11 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。-25℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、2h反応させ、50℃に昇温し、5h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0058】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0059】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0060】
実施例14
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール6 ml、プロピルアルコール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら120℃に昇温し、3h恒温し;その後、6.8 mlテトラブトキシチタン、ジエチレングリコールプロピルエーテル0.5 mlを添加し、60℃で3h反応させた。-30℃に降温し、20 mlジメチルモノエトキシ塩化珪素を滴下し、滴下終了後、80℃に昇温し2h反応させて、乳白色濁液を得た。10℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、80℃に昇温し3h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0061】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0062】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0063】
実施例15
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール6 ml、エタノール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら100℃に昇温し、3h恒温し;その後、3.4 mlテトラブトキシチタン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル0.5 mlを添加し、60℃で3h反応させた。-10℃に降温し、15 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。10℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、100℃に昇温し、3h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0064】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0065】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0066】
実施例16
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、オクタノール6 ml、ブタノール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら120℃に昇温し、3h恒温し;その後、6.8 mlテトラブトキシチタン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル0.5 mlを添加し、60℃で3h反応させた。-30℃に降温し、10 mlメチルフェニル二塩化珪素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。10℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、80℃に昇温し3h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0067】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0068】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0069】
実施例17
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、シクロヘキサノール10 ml、エタノール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら80℃に昇温し、3h恒温し;その後、6.8 mlテトラブトキシチタン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル0.5 mlを添加し、80℃で3h反応させた。-30℃に降温し、20 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。10℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、100℃に昇温し、3h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0070】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0071】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0072】
実施例18
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、n-ヘプタノール8 ml、エタノール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら120℃に昇温し、3h恒温し;その後、6.8 mlテトラブトキシチタン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル0.5 mlを添加し、60℃で3h反応させた。-30℃に降温し、20 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。-15℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、120℃に昇温し3h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0073】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0074】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0075】
実施例19
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール6 ml、エタノール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら110℃に昇温し、3h恒温し;その後、6.8 mlテトラブトキシチタン、トリグリコールモノ-iso-プロピルエーテル0.02 mlを添加し、60℃で3h反応させた。-30℃に降温し、20 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。-10℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、100℃に昇温し、3h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0076】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0077】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0078】
実施例20
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール10 ml、エタノール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら120℃に昇温し、3h恒温し;その後、6.8 mlテトラブトキシチタン、2-(2-(2-シクロアミルエトキシ)エトキシ)エタノール0.5 mlを添加し、60℃で3h反応させた。-30℃に降温し、10 mlジメチルエトキシ塩化珪素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。-10℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、100℃に昇温し、3h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0079】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0080】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0081】
実施例21
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、n-デカノール6 ml、エタノール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら120℃に昇温し、3h恒温し;その後、6.8 mlテトラブトキシチタン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル0.5 mlを添加し、80℃で3h反応させた。-30℃に降温し、20 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。-10℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、80℃に昇温し3h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0082】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0083】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0084】
実施例22
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、デカン20ml、2-エチルヘキサノール6 ml、エタノール0.5mlをこの順で添加して、攪拌しながら120℃に昇温し、3h恒温し;その後、8.4 mlテトラブトキシチタン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル0.5 mlを添加し、60℃で3h反応させた。-30℃に降温し、20 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、60℃に昇温し、2h反応させて、乳白色濁液を得た。-10℃に降温し、20 ml四塩化チタンを滴下し、1h反応させ、80℃に昇温し3h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0085】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0086】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0087】
比較例1
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、ヘプタン20ml、2-エチルヘキサノール6.7 mlをこの順で添加して、攪拌しながら100℃に昇温し、2h恒温し;室温に降温し、10 ml四塩化ケイ素を滴下し、滴下終了後、0.5h反応させて、乳白色濁液を得た。滴下2 ml四塩化チタンを滴下し、70℃に昇温し1h反応させた。攪拌を停止し、懸濁重液を静置し、分層させ、上清液を濾過により除去し、n-ヘキサンで4回洗浄し、真空乾燥して、流動性が良好であり、粒径分布が狭い主触媒成分を得た。
【0088】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0089】
比較例2
1)主触媒の製造:窒素ガスにより十分に置換された反応器に二塩化マグネシウム1g、15 mlトルエン、エピクロルヒドリン、リン酸トリブチル、エタノールをこの順で添加して、攪拌しながら80℃に昇温し、完全に溶解するまで15分間を維持し、その後、無水フタル酸を添加し、1h維持し、-25℃に降温し、14 ml四塩化チタンを滴下し、80℃に昇温し、3h反応させ、濾過した後、トルエン及びn-ヘキサンで洗浄し、乾燥して、触媒を得た。
【0090】
2)エチレン重合:エチレン重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0091】
3)エチレン共重合:エチレン共重合過程は、実施例1と同様であった。重合の結果を表1に示した。
【0092】
工業実用性
本発明で提供されるエチレン触媒は、エチレン重合又はエチレンと共重合単量体との共重合の触媒とすることができ、その中、上記の共重合単量体は、プロピレン、1-ブチレン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、4-メチル-1-ペンテン、1,3-ジブチレン、2-メチル-1,3-ブタジエン、スチレン、メチルスチレン、ノルボルネン等が好ましい。
【0093】
実施例の重合の結果を表1に示した。
【0094】
【表1】
【0095】
本発明で提供されるエチレン重合触媒は、粒子形態が良好であり、嵩密度が高く;触媒活性が高く、エチレンとα-オレフィンとの共重合に用いられる場合のα-オレフィンの挿入率が高く;スラリー法、気相重合プロセス又は重合プロセスの組み合わせに好適的に適用する。