特許第6089126号(P6089126)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6089126
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】振動板の使用方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 7/02 20060101AFI20170220BHJP
   H04R 7/04 20060101ALI20170220BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   H04R7/02 D
   H04R7/02 G
   H04R7/04
   H04R1/02 103B
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-7991(P2016-7991)
(22)【出願日】2016年1月19日
(62)【分割の表示】特願2012-8848(P2012-8848)の分割
【原出願日】2012年1月19日
(65)【公開番号】特開2016-54566(P2016-54566A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2016年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211156
【氏名又は名称】中興化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】川本 啓司
(72)【発明者】
【氏名】前田 恭佑
(72)【発明者】
【氏名】大久保 篤
(72)【発明者】
【氏名】萩原 芳文
(72)【発明者】
【氏名】庄野 直之
【審査官】 大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5875379(JP,B2)
【文献】 特開2005−094270(JP,A)
【文献】 実開昭52−040728(JP,U)
【文献】 特開2007−043412(JP,A)
【文献】 特開2007−187976(JP,A)
【文献】 特開平08−039685(JP,A)
【文献】 特開2011−013302(JP,A)
【文献】 特開2011−011369(JP,A)
【文献】 特開2010−239375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
H04R 7/02
H04R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性繊維織布と、前記耐熱性繊維織布の両面に形成されたフッ素樹脂層とを含み、フッ素樹脂の含有量が20重量%以上である振動板の使用方法であって、
前記振動板の面方向に10N/cm以上の張力を加えることを特徴とする振動板の使用方法。
【請求項2】
前記フッ素樹脂の含有量が20重量%以上70重量%以下であることを特徴とする請求項に記載の振動板の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動板及びスピーカ機能を有する構造部材に関する。
【背景技術】
【0002】
高音および低音の再現性に優れた平面スピーカ(例えば、特許文献1)や、液晶表示装置やプラズマ表示装置などの薄型の表示装置に適した振動モード(DM)方式のパネル型スピーカ(例えば、特許文献2)が知られている。
【0003】
しかしながら、これらのスピーカは、屋内で使用することを前提としているため、耐候性に課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−288088号公報
【特許文献2】特開2004−312643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態の目的は、音の再現性に優れ、かつ長期間に亘って屋外で使用することが可能な振動板及びその使用方法と、この振動板を用いたスピーカ機能を有する構造部材とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、耐熱性繊維織布と、耐熱性繊維織布の両面に形成されたフッ素樹脂とを含む複合体を備える振動板が提供される。振動板の複合体中のフッ素樹脂の含有量が20重量%以上である。振動板表面にフッ素樹脂層が存在している。
実施形態によれば、耐熱性繊維織布と、耐熱性繊維織布の両面に形成されたフッ素樹脂層とを含む複合体を備える振動板が提供される。振動板の複合体中のフッ素樹脂の含有量が20重量%以上である。振動が付与される第1の面及び第1の面の反対側に位置する第2の面にフッ素樹脂層が存在している。
実施形態によれば、耐熱性繊維織布と、耐熱性繊維織布の両面に形成されたフッ素樹脂層とを含み、フッ素樹脂の含有量が20重量%以上である振動板の使用方法が提供される。振動板の使用方法において、振動板の面方向に10N/cm以上の張力を加える。
【0007】
また、実施形態によれば、振動板と、振動板に振動を付与するための振動付与手段とを備えるスピーカ機能を有する構造部材が提供される。振動板は、耐熱性繊維織布と、耐熱性繊維織布の両面に形成されたフッ素樹脂とを含む複合体を備える。振動板の複合体中のフッ素樹脂の含有量が20重量%以上である。振動板表面にフッ素樹脂層が存在している。
実施形態によれば、振動板と、振動板に振動を付与するための振動付与手段とを備えるスピーカ機能を有する構造部材が提供される。振動板は、耐熱性繊維織布と、耐熱性繊維織布の両面に形成されたフッ素樹脂層とを含む複合体を備える。振動板の複合体中のフッ素樹脂の含有量が20重量%以上である。振動が付与される第1の面及び第1の面の反対側に位置する第2の面にフッ素樹脂層が存在している。
【発明の効果】
【0008】
実施形態によれば、音の再現性に優れ、かつ長期間に亘って屋外で使用することが可能な振動板及びその使用方法と、この振動板を用いたスピーカ機能を有する構造部材とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る構造部材を示す平面図である。
図2図1に示す構造部材の側面図である。
図3図1に示す振動板を1辺に沿って切断した際に得られる断面の摸式図である。
図4】実施例で行われる音響効果確認試験の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
耐熱性繊維織布と、耐熱性繊維織布の両面に形成されたフッ素樹脂とを含む複合体は、耐候性及び耐薬品性に優れ、かつ難燃性を有するため、屋外のような過酷な環境下に長期間に亘って晒された際にも劣化しがたく、建築物等の構造物に用いるのに適している。本発明者らは、複合体中のフッ素樹脂含有量と音の再現性との間に相関関係があることを初めて見出し、複合体中のフッ素樹脂含有量を20重量%以上にすると、複合体の音の再現性が良好になることを究明した。また、このような複合体が、耐候性、耐薬品性及び難燃性を備えていることも見出した。これらの知見に基づき、フッ素樹脂含有量が20重量%以上の複合体を振動板として用いることにより、音の再現性に優れ、かつ長期間に亘って屋外で使用することが可能な振動板を実現した。
【0012】
耐熱性繊維織布を構成する耐熱性繊維の例には、ガラス繊維、アラミド繊維、カーボン繊維及びステンレス鋼繊維が含まれる。織布を構成する繊維の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。ガラス繊維織布、アラミド繊維織布、カーボン繊維織布及びステンレス鋼繊維織布は、フッ素樹脂の焼成温度でも劣化しない程度の難燃性を有する。アラミド繊維織布を使用する場合には、紫外線に対する耐性を高める目的のためにフッ素樹脂に紫外線散乱剤である酸化チタン、酸化亜鉛などや、太陽光線を遮光するカーボン、アルミナなどを混入することが望ましい。一方、ガラス繊維織布を用いた振動板は、長期間に亘って屋外で使用された際の劣化を小さくすることができる。
【0013】
耐熱性繊維織布の糸密度またはTex番手を調整することにより、振動板への音の振動の伝達効率を高めることが可能である。例えば、糸密度を多くすることによって、耐熱性繊維織布の貫通口の面積を小さくすることができるため、振動板に加わる張力を高めた際の幅方向への振動伝達向上を期待することができる。
【0014】
フッ素樹脂の例には、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びエチレン四フッ化エチレン共重合樹脂(ETFE)が含まれる。これらのフッ素樹脂は、耐熱性繊維織布を被覆するのに適しており、かつ耐候性及び耐薬品性に優れる難燃性材料である。フッ素樹脂の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0015】
振動板中のフッ素樹脂の含有量について説明する。振動板中のフッ素樹脂の含有量を20重量%未満にすると、振動板中を音の振動が効率良く伝達しないため、振動板として用いると音が割れる等の不具合を生じる。フッ素樹脂の含有量が多くなるほど、音の再現性が良好になることが期待できるものの、フッ素樹脂の含有量が70重量%を超えると振動板製造時の焼成によってフッ素樹脂が膨張収縮した際に耐熱性繊維織布が変形して振動板にシワが発生する恐れがある。よって、フッ素樹脂の含有量は、20重量%以上70重量%以下にすることがより好ましい。
【0016】
振動板には、防汚機能及び白色化を目的として酸化チタン(例えばTiO2)、白色化を目的としてAl23、着色を目的としてカーボン、弁柄(酸化鉄)などの顔料、フッ素樹脂層の強度を高めることを目的としたセラミックス等の添加材を含有させることができる。
【0017】
振動板は、例えば、耐熱性繊維織布の両面にフッ素樹脂粒子水系分散液を塗布した後、乾燥させ、焼成することにより得られる。
【0018】
なお、フッ素樹脂の代りに塩化ビニル樹脂やシリコーン樹脂を使用した複合体にも音の再現性が期待できるが、フッ素樹脂の代りに塩化ビニル樹脂やシリコーン樹脂を使用した複合体からなる振動板は、長期間に亘って屋外で使用された際の音の再現性に劣ることが予想される。
【0019】
(第2の実施形態)
第2の実施形態によれば、スピーカ機能を有する構造部材が提供される。スピーカ機能を有する構造部材は、第1の実施形態に係る振動板と、振動板に振動を付与するための振動付与手段とを備える。このような構造部材によれば、振動付与手段から発生する音の振動を、振動板が効率良く伝達し、振動板が振動することによって音を再生することができる。また、振動板は、耐候性、耐薬品性及び難燃性に優れる。よって、第2の実施形態によれば、長期間に亘って屋外で使用された際の劣化が少ない、スピーカ機能を有する構造部材を提供することができる。構造部材がスピーカを兼ねているため、従来はスピーカの設置が難しかった構造物にもスピーカを簡単に取り付けることが可能となる。
【0020】
構造部材には、構造物を構成する又は構造物に取り付けられる部品や材料が含まれる。例えば、競技場、カーポート、自転車置き場等の屋根材、ライトシェード、サンシェード、映写幕(スクリーン)、建築物内のパーテーション(仕切り板)、建築・土木工事現場などで使用される養生シート等を挙げることができる。
【0021】
振動付与手段は、電気信号を機械的な振動に変換し、機械的な振動を外部に伝達することが可能なものであれば、特に限定されない。例えば、磁歪素子、圧電素子、平面スピーカ(例えば株式会社エフ・ピー・エス製のハイブリッドスピーカー)などを挙げることができる。振動付与手段は、振動板に固定した状態で使用することが望ましい。
【0022】
スピーカ機能を有する構造部材の一例を図1図3を参照して説明する。図1及び図2に示すように、スピーカ機能を有する構造部材1は、振動板2と、振動付与手段3とを有する。振動板2は、例えば、シート形状をしており、図3に示すように、耐熱性繊維織布4と、耐熱性繊維織布4の両面を被覆するフッ素樹脂層5とを含む。振動付与手段3は、例えば平面スピーカからなり、振動板2の一方の面(第1の面)に固定されている。
【0023】
このような構造部材1によれば、振動付与手段3から発生する音の振動を、振動板2が効率良く伝達し、振動板2が振動することによって音を再生することができる。音は、振動板2の他方の面(第1の面の反対側に位置する第2の面)からの方が聞き取りやすいため、振動板2の他方の面(第2の面)を対象者に向けると良い。また、振動板2の他方の面(第2の面)を白色にし、映写幕として用いることも可能である。
【0024】
なお、振動板2の面方向に10N/cm以上の張力を加えることによって、構造部材1の音の再現性が良好になることが期待できる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を図面を参照して説明する。
【0026】
(実施例1)
表1に示す糸密度(本/25mm)及びTex番手(g/1000m)を有するガラス繊維織布の両面にPTFE粒子水系分散液を塗布した後、150℃で乾燥し、340℃で焼成することにより、ガラス繊維織布の両面にPTFE樹脂層を形成し、A4サイズ(長辺が297mm、短辺が210mm)で、厚さが0.12〜0.18mmのシート状振動板2を得た。得られた振動板2中のPTFE含有率及び振動板2の厚さを下記表1に示す。
【0027】
振動付与手段3として、株式会社エフ・ピー・エス製のハイブリッドスピーカー「FPS0105HY−02」を用意した。振動付与手段3のサイズは、W18mm×H150mm×D10.2mmであった。
【0028】
振動付与手段3を振動板2の中央部に両面粘着テープで固定し、スピーカ機能を有する構造部材1を得た。
【0029】
(実施例2〜6及び比較例2)
PTFE含有率及び厚さを下記表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様にしてスピーカ機能を有する構造部材1を得た。実施例2,4,5の振動板2には、市販の複合シート(中興化成工業株式会社製)を使用したので、その製品名を表1に記載した。
【0030】
(実施例7〜30及び比較例3〜6)
ガラス繊維織布の糸密度(本/25mm)及びTex番手(g/1000m)と、PTFE含有率と、厚さとを下記表2〜表5に示すように変更すること以外は、実施例1と同様にしてスピーカ機能を有する構造部材1を得た。実施例7〜30の振動板2のうち、市販の複合シート(中興化成工業株式会社製)を使用したものは、その製品名を表2〜表5に記載した。
【0031】
得られた実施例1〜30及び比較例2〜6の構造部材について、音響評価試験を行った。音響評価試験で使用した音響評価システムを図4を参照して説明する。スピーカ機能を有する構造部材1の振動板2の両方の短辺を張力付与試験機の空気圧式グリップ6a,6bで挟んで上下方向に移動することによって、振動板2の面方向に張力を加えた。ラジオカセットレコーダー7(ビクター製の製品名「RD−N8」)をアンプ8(株式会社エフ・ピー・エス製 FPS−YJ9736)に配線9によって接続し、アンプ8を振動付与手段3に配線10によって接続した。
【0032】
試験に使用した音楽は、NHKラジオ体操第1とした。この音楽を選択したのは、声及び音楽が聞き取りやすく、また、認知度が高いためである。まず、ラジオカセットレコーダー7にアンプ8及び構造部材1が取り付けられていない状態で音源ボリュームを15にしてNHKラジオ体操第1を再生し、ラジオカセットレコーダー7から2m離れた地点で聞いた。この時の聞こえ方を基準音声とした。
【0033】
図4に示す音響評価システムにおいて、アンプ8が最大ボリューム10Wの条件の下、ラジオカセットレコーダー7の音源ボリュームを15にしてNHKラジオ体操第1を再生し、実施例1〜30及び比較例2〜6の構造部材1の振動板2の第2の面(振動付与手段3が固定されている面とは反対側の面)から距離D(2m)離れた地点11で聞いた。この時の聞こえ方の基準音声からの劣化度合いを国際電気通信連合の規格番号ITU−TP.800及びITU−RBS.1284に準じた方法で5段階で評価した。その結果を下記表1〜表5に示す。また、評価基準を下記表6に示す。なお、評価試験は、振動板2に張力を加えない状態(荷重が0)と、張力付与試験機の空気圧式グリップ6a,6bで挟んで上下方向に移動することによって振動板2の面内方向に張力を加えた状態とで行った。振動板2に加える荷重は、20,40,60,80,100(N/110mm)の5段階に設定した。
【0034】
一方、比較例1として、振動板2を用いず、振動付与手段3のみをアンプ8に接続したシステムを作製した。振動付与手段3を机上に配置し、アンプ8が最大ボリューム10Wの条件の下、ラジオカセットレコーダー7の音源ボリュームを15にしてNHKラジオ体操第1を再生し、振動付与手段3から2m離れた地点で聞いた。この時の聞こえ方の基準音声からの劣化度合いを下記表1に併記する。
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
表1〜表5から明らかなように、実施例1〜30のスピーカ機能を有する構造部材によると、振動板に張力を加えている場合もそうでない場合も、3以上の評価を得られた。これに対し、振動板を使用しない比較例1では、評価が1で、音声の劣化が著しかった。
【0041】
表1において、フッ素樹脂含有量が異なる以外は同様な構成を有する比較例2及び実施例1〜6を比較すると、フッ素樹脂含有量が10重量%の比較例2では、評価が2ないし3であるのに対し、フッ素樹脂含有量が20重量%以上の実施例1〜6では、評価が3〜5で、2以下の評価が皆無であった。
【0042】
表2における比較例3及び実施例7〜12を比較すると、フッ素樹脂含有量が10重量%の比較例3では、評価が3のみであるのに対し、フッ素樹脂含有量が20重量%以上の実施例7〜12では、評価が3〜5であった。
【0043】
表3における比較例4及び実施例13〜18を比較すると、フッ素樹脂含有量が10重量%の比較例4では、評価が3のみであるのに対し、フッ素樹脂含有量が20重量%以上の実施例13〜18では、評価が3〜5であった。
【0044】
表4における比較例5及び実施例19〜24を比較すると、フッ素樹脂含有量が10重量%の比較例5では、評価が2ないし3であるのに対し、フッ素樹脂含有量が20重量%以上の実施例19〜24では、評価が3〜5であった。
【0045】
表5における比較例6及び実施例25〜30を比較すると、フッ素樹脂含有量が10重量%の比較例6では、評価が2ないし3であるのに対し、フッ素樹脂含有量が20重量%以上の実施例25〜30では、評価が3〜5であった。
【0046】
表1〜表5の結果から、ガラス繊維織布の糸密度及びTex番手を変化させてもフッ素樹脂含有量が20重量%以上の場合には、音声の劣化が少なく、スピーカとして十分な機能を発揮できることがわかる。また、表1〜表5の結果から、フッ素樹脂含有量が多い方が音の再現性に優れる傾向があることがわかる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 耐熱性繊維織布と、前記耐熱性繊維織布の両面に形成されたフッ素樹脂とを含み、前記フッ素樹脂の含有量が20重量%以上であることを特徴とする振動板。
[2] 前記フッ素樹脂が、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂、四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、ポリフッ化ビニリデン及びエチレン四フッ化エチレン共重合樹脂からなる群から選択される少なくとも1種類からなり、前記耐熱性繊維織布が、ガラス繊維織布、アラミド繊維織布、カーボン繊維織布及びステンレス鋼繊維織布からなる群から選択される少なくとも1種類からなることを特徴とする[1]記載の振動板。
[3] [1]または[2]に記載の振動板と、
前記振動板に振動を付与するための振動付与手段とを備えることを特徴とするスピーカ機能を有する構造部材。
[4] 前記振動板の一方の面に前記振動付与手段が取り付けられ、かつ前記振動板の他方の面が映写幕として用いられることを特徴とする[3]記載のスピーカ機能を有する構造部材。
【符号の説明】
【0047】
1…スピーカ機能を有する構造部材、2…振動板、3…振動付与手段、4…耐熱性繊維織布、5…フッ素樹脂層、6a,6b…張力付与試験機の空気圧式グリップ、7…ラジオカセットレコーダー、8…アンプ、9,10…配線。
図1
図2
図3
図4