【実施例】
【0058】
実施例1:実験材料及び実験動物の準備
DW286([7−[3−(aminomethyl)−4−(methoxyimino)−3−methyltetrahydro−1H−1−pyrrolyl]−1 cyclopropyl−6 fluoro−4−oxo−1, 4−dihydro[1,8] naphthyridine−3−carboxylic acid hydrochloric acid salt], Lpt, 20021)は同和薬品(Anyang, Korea)によって合成された新規のフルオロ−ナフチリジン抗生剤であり、LPC(リゾホスファチジルコリン;18:0 94%、GmbH PHISPHOLIPID、ドイツ)を使用した。LPCの異性体(isomer)である1−オレオイル−2−ヒドロキシ−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(1−Oleoyl−2−hydroxy−sn−glycero−3−phosphocholine, 1−Oleoyl;18:1 LPC)及びシプロフロキサシン塩酸塩水和物(Ciprofloxacin hydrochloride hydrate, Cipro,)、ベンジルペニシリンカリウム(Potassium benzylpenicillin, Peni)、セフトリアキソンナトリウム(Ceftriaxone sodium, Ceft)、ドリペネム(Doripenem, Dori)、塩酸バンコマイシン(Vancomycin hydrochloride, Vanco)、活性型ドロトレコジンアルファ(Drotrecogin alfa(activated), Xigris)、コリスチン(colistin)、トブラマイシン(tobramycin)、及びフシジン酸(fusidic acid, fusidin)はそれぞれシグマなどから購入した。LPC、DW286、シプロフロキサシン塩酸塩水和物、ベンジルペニシリンカリウム、セフトリアキソンナトリウム、ドリペネム、塩酸バンコマイシン及び活性型ドロトレコジンアルファはデシケーターに保管されて光と湿気による変性から保護した。
【0059】
ICRマウス(6週齢、SLC, Japan)を7日または8日の適応期間を経た後、使用した。動物はポリカーボネートのケージ当たり5または4匹を温度(20℃−25℃)、湿度(40%−45%)が調節された部屋に割り当てた。明期:暗期サイクルは12時間:12時間であり、餌(三養、Korea)及び水は接近しやすく提供した。実験はCPA−CLP及びCPAで誘発された免疫抑制マウスモデル群に分けた。全ての実験動物は‘Guide for the Care’ 及び‘Use of Laboratory Animals by Institute of Laboratory Animal Resources, Commission on Life Science, National Research Council, USA on 1996, Washington D.C.’によって処理した。
【0060】
実施例2:実験動物モデルの準備
2−1.CPA誘導された免疫抑制マウスモデルの準備
手術3日及び1日前にそれぞれ150mg/kg及び110mg/kgの CPA(Cyclophosphamide・H
2O、Sigma、USA)を生理食塩水に溶かして10ml/kgの濃度で単回腹腔注射して免疫抑制を誘発させた。INTACT control群ではCPAの代わりに同一量の生理食塩水を同一方法で投与した。
【0061】
CPAは広く使用される抗がん剤であり、単独で使用するか他の生産物と結合して使用する。CPAの処理は造血及びリンパ性の組織に深刻な損傷を与えるので、抗がん剤として使用されるか骨髄内移植前処理療法(transplantation conditioning regimes)として使用して高い白血球減少症をもたらす。核酸のアルキル化を可能にする多くの活性代謝物の生成を導くミクロソーム酵素による生体内の変化後まで、CPAは自ら生物学的に非活性化されると知られており、フリーラジカルの生成とDNAのアルキル化を通じて染色体を損傷させて突然変異を誘発する。CPA誘導免疫抑制及び/または突然変異されたマウスモデルは、抗突然変異効果または好ましい免疫調節効果を探知するための価値ある動物モデルである。さらに、CPA処理による免疫抑制及び白血球減少症を誘発することで、胸腺及び脾臓のT細胞、特にCD4及びCD8はTNF−α陽性細胞を含む多様なサイトカインの減少と共に大きく減少する。
【0062】
2−2.CPA−CLPモデルの準備
免疫抑制剤としてよく知られているCPAを、多菌性感染を増幅させるためにCLP実施の3及び1日前にそれぞれ150mg/kgと110mg/kgのCPA(Sigma, USA)を生理食塩水に溶かして10ml/kgの濃度で単回腹腔注射して免疫抑制を誘発させた。このように、CPA処理後にCLPを実施すれば、細菌の大量感染モデルとして使用することができる。CLPのためにマウスをケタミン塩酸塩(Ketamine hydrochloride, ICN Biochemicals Inc., USA)及びキシラジン塩酸塩(Xylazine hydrochloride, Wako Pure Chemical Industries Ltd., Japan)の麻酔下に開腹して盲腸を露出し、露出した盲腸は回盲弁(Ileocecal valve)のすぐ下を二重結紮した後、22ゲージの注射針を用い2回貫通させた後、通常の方法に準じて腹腔を閉鎖した。INTACT及びCPA control群では盲腸露出後、再度腹腔を閉鎖し、INTACT control群ではCPAの代わりに同一量の生理食塩水を同一方法で投与した。
【0063】
CLPモデルは人間の急性腹膜炎を最も近く模倣したもので、敗血症と最も臨床的に連関した動物モデルであり、抗敗血症効果を探知するための価値ある動物モデルとされてきた(Urbaschek 及び Urbaschek, 1987; Yan et al. 2004; Ghiselli et al. 2006; Wirtz et al. 2006)。CLPモデルは人間の腹部敗血症の臨床過程をより近く反映したもので、内因性の細菌病巣(septic focus)は全身性炎症反応症候群とともに多菌性感染をもたらす(Wichterman et al. 1980; Zantl et al. 1998; Maier et al. 2000; Emmanuilidis et al. 2001)。
【0064】
実施例3:実験方法
3−1.CPA誘発免疫抑制マウスモデル
免疫抑制を誘発させるために、150mg/kgと110mg/kgのCPAを生理食塩水に溶かしてCLP手術の3及び1日前または最初投与時に単回腹腔内に投与した。INTACT control群では、CPAの代わりに同一量の生理食塩水を同一方法で投与した。
【0065】
3−2.CLP手術
マウスはケタミン(Ketamine)及びキシラジン(Xylazine)によって麻酔下に開腹して盲腸を露出し、露出した盲腸は回盲弁(Ileocecal valve)のすぐ下を二重結紮した後、22ゲージの注射針を用いて2回貫通させた後、通常の方法に準じて腹腔を閉鎖した。INTACT及びCPA control群では盲腸露出後、再度腹腔を閉鎖し、INTACT control群ではCPAの代わりに同一量の生理食塩水を同一方法で投与した。CLPはCPAの二回目の投与後、一日後に行った。
【0066】
3−3.死亡数、生存数及び体重の測定
CPA−CLPモデルで、体重、生存数及び死亡数は5日間1日に1回ずつ automatic electronic balances(Sartorius Co., Ltd., USA)測定し、CPA処理モデルでは2日間1日に1回ずつ測定した。増体量は次のように計算した:
<増体量(g)>
CPA−CLP model:犠牲当時の体重−CLP時の体重(5days)、
CPA−treat model:犠牲当時の体重−最初投与時の体重(2days)。
【0067】
3−4.臓器重量の測定
CPA処理モデルの犠牲時に脾臓及び胸腺の湿重量(wet−weight)を絶対重量で測定し、その後、相対的な臓器重量(体重の%)を下記式によって計算した:
相対的な臓器重量=[(絶対的な臓器重量/犠牲当時の個別的な体重)×100]。
【0068】
3−5.血液収集及びWBCの計算
血液はCPA処理モデルの大静脈から収集し、血中総白血球数はカウンティングチャンバーを用いて計算し、希釈ピペット(diluting pipette)と希釈溶液としてTurk溶液を使用して計算した。全ての数字は×10
3/mm
3で計算した。さらに、ギムザ液で染色された塗抹血液サンプル内で好酸球、好中球、単球及び好塩基球の細胞数を総100白血球中で計算した。
【0069】
3−6.骨髄小核多染性赤血球の変化
CPA処理モデルの骨髄標本は次のように作製された。つまり、骨髄細胞は非活性化されたウシ胎児血清3ml内の大腿骨から収集し(GIBCO BRL, USA)、遠心分離して、スライドに塗抹した。標本は乾燥させ、absolute methanolに浸して10−20分間固定した。固定されたスライドは下記のような方法で染色した:
メイ・グリュンワルド染色(May−Grunwald stain) 3分、
メイ・グリュンワルド染色(May−Grunwald stain)(1:1 diluted) 2分、
ギムザ染色(1:6 diluted) 10分。
スライドは無作為にコードされ、2名の他の専門家によって1000倍拡大下に観察した。PCE(多染性赤血球、Polychromatic erythrocyte)の直径の1/5から1/20の範囲のサイズの小さくて丸いか楕円形の胴体は小核赤血球数として計数した。結果は1000PCE内のMNPCE(小核多染性赤血球、PCE with one or more nuclei)の数として表現した。MNPC±S.D.の平均数字を計算した。さらに、PCE/(PCE+NCE)の割合は細胞毒性の可能性を探知するために500赤血球を計算した。
【0070】
3−7.組織病理学
器官の重量を測定した後、胸腺と脾臓をサンプル化した。サンプル組織は、10%中性緩衝ホルマリンに固定した。パラフィンで包埋させた後、3−4μm標本を準備した。代表的な部分は光学顕微鏡検査のためにヘマトキシリンとエオシン(H&E, Hematoxylin & Eosin Stain)で染色した。その後、個別的な器官の組織病理学的プロファイルを観察した。
【0071】
組織形態計測法−自動化されたイメージ分析を使用して(Analysis Image Processing; SIS, Germany)、脾臓での白脾髄の数(N)/組織病理学標本(×50)で脾臓内の白脾髄(white pulps)の数を計算した。また、胸腺皮質の萎縮性(atrophic)の変化/総観察された胸腺の数を計算した。
【0072】
3−8.免疫化学組織法(IHC)
脱パラフィン化した後に、CD3抗原決定基の検索は10mM Tris−1mM EDTAバッファー(pH9.0)で行い、1mM EDTAバッファー(pH8.0)及びTNF−α in 10mM Citrate Buffer(pH6.0)でCD4及びCD8の検索を上記方法と同一に行った。本実験に使用された1次抗血清は下記表1のとおりである。
【0073】
【表1】
【0074】
バッファーを含む染色皿付きウォーターバスを温度が95−100℃に達するまで予熱した後、染色皿を室温に置いてスライドを20分間冷やした。抗原決定基の検索後に標本は下記のようなステップによって免疫染色した。
【0075】
まず、切片を室温で耐性のペルオキシダーゼ活性を遮断するためにメタノール及び0.3% H
2O
2で30分間培養した後、0.01M PBS(pH7.2)で3回洗浄した。次に、恒湿器で切片をnormal horse serum blocking solutionで1時間室温で培養して、兔疫グロブリンの非特異的結合を阻止した(Vector Lab. Inc., CA, USA. Dilution 1:100)。その後、0.01M PBSで3回洗浄した後、4℃恒湿器で4つの類型の1次抗血清とともに12時間切片を培養した。その後、0.01M PBSで3回洗浄した。切片をビオチンが結合された万能二次抗体とともに恒湿器で1時間室温で培養した。その後、0.01M PBSで3回洗浄した。切片をABC試薬(Vectastain Elite ABC Kit, Vector Lab. Inc., CA, USA. Dilution 1:50)と共に恒湿器で1時間室温で培養した後、0.01M PBSで3回洗浄した。標本を Peroxidae substrate kit(Vector Lab. Inc., CA)で室温で30秒間培養した。その後、0.01M PBSで3回洗浄した。Mayer’s hematoxylin溶液で対照染色した後、流れる水道水で30分間洗浄した。95%エタノールを通じて2分、100%エタノールで3時間乾燥させた後、キシレンで2時間洗浄した。その後、permanent mounting mediumがあるCoverslip及び光学顕微鏡下で観察した(Zeiss, Germany)。
【0076】
組織形態計測法−1000個の脾臓または胸腺細胞のうち、各免疫反応細胞(CD3+、CD4+、CD8+及びTNF−α+)の数(N)/1000個の脾臓細胞または胸腺細胞を自動化されたイメージ分析を通じて観察した。胸腺で、皮質と髄質とで分離して計算を行った。
【0077】
3−9.統計分析
平均及び標準偏差(平均±S.D.)を計算した。統計学的分析はMann−Whitney U−Wilcoxon Rank Sum W test(MW test) with SPSS for Windows(登録商標)(Release 6.1.3., SPSS Inc., USA)を使用して行った。CPA処理モデルでINTACT及びCPA対照群、CPA対照群及びテスト群間の差に対するテスト物質の効率の理解を助けるために、次の式を使用した:
INTACT controlに対する変化率(%)=[((CPA controlのデータ−INTACT controlのデータ)/INTACT controlのデータ) × 100]、
CPA controlに対する変化率(%)=[((テスト群のデータ−CPA controlのデータ)/CPA controlのデータ) × 100]。
【0078】
実施例4:CPA−CLPで誘導されたモデルでLPC濃度が生存に及ぼす影響の分析
CPAで免疫抑制を誘発させた後、CLP(Cecal ligation及びpuncture)で敗血症を誘発させたマウスを用いて、LPCの投与用量別の薬効を確認した。5用量(1、2.5、5、10及び20mg/kg)のLPCをCPA−CLP敗血症マウスにCLP手術の6時間後から12時間間隔で4回皮下投与した後、死亡率及び体重の変化を観察した。LPCは5% human albumin(緑十字、Korea)に溶解させて10ml/kgでそれぞれ投与した。このような投与群と投与順序を
図1に簡単に示す。
【0079】
具体的に、ICRマウス(6週齢、SLC, Japan)を計7個の群(1群当たり10匹)であるCPA対照群(CPA投与後 Sham手術媒体投与群)、CPA−CLP対照群(CPA投与後 CLP手術媒体投与群)、CPA−CLP後 LPC 1mg/kg投与群、CPA−CLP後 LPC 2.5mg/kg投与群、CPA−CLP後 LPC 5mg/kg投与群、CPA−CLP後 LPC 10mg/kg投与群及びCPA−CLP後 LPC 20mg/kg投与群に分けた。投与は12時間4回皮下投与で5%ヒト血清アルブミンを媒体として使用して10ml/kgで投与した。すなわち、5用量のLPCをCLP手術6時間後から12時間間隔で計4回頸部皮下に投与した。LPCは5%ヒト血清アルブミン(緑十字、Korea)に溶解させて10ml/kgでそれぞれ投与し、Sham及びCLP対照群では10ml/kgの5%ヒト血清アルブミンのみを同一間隔で皮下投与した。投与後、死亡率及び体重の変化を上記実施例3−3の方法で観察した。
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
その結果、上記表2及び3から分かるように、全てのCPA対照群マウスは観察期間の7日間生存したが、CLP対照群ではCLP2日以内に10匹のうち10匹が死亡して100%の死亡率を示し、LPC 1及び2.5mg/kg投与群ではそれぞれCLP4及び5日以内に全ての実験動物が死亡し、LPC 5、10及び20mg/kg投与群ではCLP手術7日後、全ての実験動物が死亡した(表2)。一方、LPC 1mg/kg投与群の全ての実験動物が死亡したCLP手術4日後、LPC 2.5、5、10及び20mg/kg投与群の生存率はそれぞれ10、30、50及び40%だった(表3)。
【0083】
全てのCPA−CLP手術群では死亡直前、CPA対照群に比べて顕著な体重減少を示したが、全てのLPC投与群ではCPA−CLP投与群に比べて意味ある体重の変化は起こらなかった。
【0084】
このような敗血症において最も重要視されている指標と知られている生存時間の増加が、CPA−CLPマウスで全5用量のLPCの投与によって顕著に増加されたため、LPCは敗血症患者の生存時間を高めることができることが分かる。併せて、LPC 1、2.5、5及び10mg/kg投与群では投与用量依存的な生存時間延長の効果が認められたが、20mg/kg投与群では10mg/kg投与群と類似するか比較的に低い効果が認められ、LPCのCPA−CLPモデルでの最小有効用量は1mg/kg前後と判断され、最適有効用量は10mg/kgと観察された。
【0085】
実施例5:CPA−CLPで誘導されたモデルでLPCの異性体の投与が生存に及ぼす影響の分析
CPAで免疫抑制を誘発させた後、CLPで敗血症を誘発させたマウスを用いて、LPCとXigris、LPA、18:1 LPC、18:0 LPC及びDW286AAの薬効を比較した。5mg/kgのLPC、LPA、18:1 LPC、18:0 LPC、0.4及び2mg/kgのXigris、10及び20mg/kgのDW286AAをそれぞれCPA−CLP敗血症マウスにCLP手術の6時間後に単回静脈投与した後、死亡率及び体重の変化を観察した。全ての実験物質は滅菌生理食塩水に溶解させて10ml/kgでそれぞれ投与した。このような投与順序と投与群は
図2に簡単に示す。
【0086】
具体的に、ICRマウス(6週齢雄、SLC, Japan)を計10個群(1群当たり10匹)であるCPA対照群(CPA投与後 Sham手術媒体投与群)、CPA−CLP対照群(CPA投与後 CLP手術媒体投与群)、CPA−CLP後 LPC 5mg/kg投与群、CPA−CLP後 Xigris 0.4mg/kg投与群、CPA−CLP後 Xigris 2mg/kg投与群、CPA−CLP後 LPA 5mg/kg投与群、CPA−CLP後 18:1 LPC 5mg/kg投与群、CPA−CLP後 18:0 LPC 5mg/kg投与群、CPA−CLP後 DW286AA 10mg/kg投与群及びCPA−CLP後 DW286AA 20mg/kg投与群に分けた。投与は滅菌生理食塩水を媒体として使用してCLP手術の6時間後に10ml/kgで単回静脈投与した。すなわち、5mg/kgのLPC、LPA、18:1 LPC、18:0 LPC、0.4及び2mg/kgのXigris、10及び20mg/kgのDW286AAをそれぞれCPA−CLP敗血症マウスにCLP手術の6時間後に単回静脈投与した。
【0087】
全ての実験物質は滅菌生理食塩水に溶解させて10ml/kgでそれぞれ投与し、Sham及びCLP対照群では10ml/kgの滅菌生理食塩水のみを単回静脈投与した。投与後、死亡率及び体重の変化を上記実施例3−3の方法で観察した。
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】
その結果、上記表4及び5から分かるように、全てのCPA対照群マウスは観察期間の10日間生存したが、CLP対照群ではCLP2日以内に10匹のうち10匹が死亡して100%の死亡率を示し、LPC 5mg/kg、Xigris 0.4及び2mg/kg、18:0 LPC 5mg/kg投与群ではCLP8日以内に全ての実験動物が死亡し、LPA 5mg/kg投与群ではCLP手術3日後に全ての実験動物が死亡した(表4)。一方、18:1 LPC 5mg/kg投与群では全ての実験動物がCLP手術2日後に死亡し、DW286AA 10及び20mg/kg投与群ではそれぞれCLP手術10日後にもそれぞれ3匹の生存例(3/10; 30%)が認められた(表5)。
【0091】
全てのCPA−CLP手術群では死亡直前、CPA対照群に比べて顕著な体重減少を示し、LPC 5mg/kg、DW286aa 10及び20mg/kg投与群でそれぞれCLP手術1日後にCPA−CLP対照群に比べて有意的な(p<0.01またはp<0.05)体重の増加が認められた以外に、全ての投与群ではCPA−CLP投与群に比べて意味ある体重の変化は認められなかった。
【0092】
このような結果は、LPC、Xigris、18:0 LPC及びDW286AAは敗血症患者の生存時間を高めることができるということを裏付け、特にDW286AA 10及び20mg/kg投与群で顕著な生存時間及び生存率の増加を示す。LPC 5mg/kg投与群はXigris 2mg/kg投与群よりもっと優れた効果が認められ、18:0 LPCは18:1 LPCより優れた効果を奏し、同一用量のLPCと類似する効果を奏し、このような結果はLPCだけでなく、LPCの異性体も免疫増強または細菌性感染疾患の治療効果があり得るということを裏付けるものである。
【0093】
実施例6:CPA−CLPで誘導されたモデルでLPCと既存抗生剤との単独及び併用投与が生存に及ぼす影響の分析
CPAで免疫抑制を誘発させた後、CLPで敗血症を誘発させたマウスを用いて、LPCとCipro(Ciprofloxacin hydrochloride hydrate)、Peni(Potassium benzylpenicillin)及びCeft(Ceftriaxone sodium)の併用効果を比較した。LPC(5mg/kg)、Cipro(20mg/kg)、Peni(60mg/kg)、Ceft(25mg/kg)、LPC+Cipro(5+20mg/kg)、LPC+Peni(5+60mg/kg)及びLPC+Ceft(5+25mg/kg)をそれぞれCPA−CLP敗血症マウスにCLP手術の6時間後に単回静脈投与した後、死亡率及び体重の変化を観察した。また、DW286AA(5mg/kg)を対照薬物として使用し、全ての単一実験物質は滅菌生理食塩水に溶解させて10ml/kgでそれぞれ投与し、全ての複合組成群ではそれぞれの薬物をLPC(0.5mg/ml)が溶解されている溶液に直接適切用量をそれぞれ溶解させて投与した。このような投与順序と投与群は
図3に簡単に示す。
【0094】
具体的に、ICRマウス(6週齢雄、SLC, Japan)を計10個の群(1群当たり10匹)であるCPA対照群(CPA投与後 Sham手術媒体投与群)、CPA−CLP対照群(CPA投与後 CLP手術媒体投与群)、CPA−CLP後 LPC 5mg/kg投与群、CPA−CLP後 DW286AA 5mg/kg投与群、CPA−CLP後 Cipro 20mg/kg投与群、CPA−CLP後 Peni 60mg/kg投与群、CPA−CLP後 Ceft 25mg/kg投与群、CPA−CLP後 LPC+Cipro 5+20mg/kg投与群、CPA−CLP後 LPC+Peni 5+60mg/kg投与群及びCPA−CLP後 LPC+Ceft 5+25mg/kg投与群に分けた。投与は滅菌生理食塩水を媒体として使用してCLP手術の6時間後に10ml/kgで単回静脈投与した。すなわち、LPC(5mg/kg)、DW286AA(5mg/kg)、Cipro(20mg/kg)、Peni(60mg/kg)、Ceft(25mg/kg)、LPC+Cipro(5+20mg/kg)、LPC+Peni(5+60mg/kg)及びLPC+Ceft(5+25mg/kg)をそれぞれCPA−CLP敗血症マウスにCLP手術の6時間後に単回静脈投与した。全ての単一実験物質は滅菌生理食塩水に溶解させて10ml/kgでそれぞれ投与し、全ての複合組成群ではそれぞれの薬物をLPC(0.5mg/ml)が溶解されている溶液に直接適切用量をそれぞれ溶解させて投与した。投与後、死亡率及び体重の変化を上記実施例3−3の方法で観察した。
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
その結果、上記表6及び7から分かるように、全てのCPA対照群マウスは観察期間の3日間生存したが、CLP対照群及びPeni投与群ではCLP2日以内に10匹のうち10匹が死亡して、100%の死亡率を示し、LPC、Cipro、Ceft及びLPC+Peni投与群ではCLP3日以内に全ての実験動物が死亡した。しかし、LPC単独または各抗生剤単独よりも、LPCとの併用群であるLPC+Cipro、LPC+Peni、LPC+Ceft群では死亡率が減るか死亡時間が遅延した(表6)。一方、LPC+Ceft及びDW286aa投与群では、CLP手術3日後にもそれぞれ3(3/10; 30%)及び7(7/10; 70%)匹の生存例が認められた(表7)。
【0098】
全てのCPA−CLP手術群ではCLP手術1日後からCPA対照群に比べて顕著な体重減少を示し、LPC投与群でCLP手術1日後にCPA−CLP対照群に比べて有意的な(p<0.05)体重の減少を示した以外に、全ての投与群ではCPA−CLP投与群に比べて意味ある体重の変化は見られなかった。
【0099】
LPC及びそれぞれの抗生剤の単一投与群に比べてLPC+Cipro、LPC+Peni及びLPC+Ceft投与群で見られた生存率の増加は、LPCと抗生剤との併用によってこれらの効果が増加されることを裏付けるものであり、本発明の併用製剤が免疫増強及び細菌性感染疾患の治療に優れた効果があることを示唆するものである。
【0100】
実施例7:CPA−CLPで誘導されたモデルでLPCと既存抗生剤との単独及び併用投与が生存に及ぼす影響の分析
CPAで免疫抑制を誘発させた後、CLPで敗血症を誘発させたマウスを用いて、LPC、Dori(Doripenem)、Vanco(Vancomycin hydrochloride)及びXigris(Drotrecogin alfa(activated))の併用効果を比較した。LPC(5mg/kg)、DW286AA(5mg/kg)、Dori(200mg/kg)、Vanco(10mg/kg)、Xigris(2mg/kg)、LPC+DW286AA(5+5mg/kg)、LPC+Dori(5+200mg/kg)、LPC+Vanco(5+10mg/kg)及びLPC+Xigris(5+2mg/kg)をそれぞれCPA−CLP敗血症マウスにCLP手術の6時間後に単回静脈投与した後、死亡率及び体重の変化を観察した。全ての単一実験物質は滅菌生理食塩水に溶解させて10ml/kgでそれぞれ投与し、全ての複合組成群ではそれぞれの薬物をLPC(0.5mg/ml)が溶解されている溶液に直接適切用量をそれぞれ溶解させて投与した。このような投与順序と投与群は
図4に簡単に示す。
【0101】
具体的に、ICRマウス(6週齢雄、SLC, Japan)を計11個の群(1群当たり10匹)であるCPA対照群(CPA投与後 Sham手術媒体投与群)、CPA−CLP対照群(CPA投与後 CLP手術媒体投与群)、CPA−CLP後 LPC 5mg/kg投与群、CPA−CLP後 DW286AA 5mg/kg投与群、CPA−CLP後 Dori 200mg/kg投与群、CPA−CLP後 Vanco 10mg/kg投与群、CPA−CLP後 Xigris 2mg/kg投与群、CPA−CLP後 LPC+DW286AA 5+5mg/kg投与群、CPA−CLP後 LPC+Dori 5+200mg/kg投与群、CPA−CLP後 LPC+Vanco 5+10mg/kg投与群及びCPA−CLP後 LPC+Xigris 5+2mg/kg投与群に分けた。投与は滅菌生理食塩水を媒体として使用してCLP手術の6時間後10 ml/kgで単回静脈投与した。すなわち、LPC(5mg/kg)、DW286AA(5mg/kg)、Dori(200mg/kg)、Vanco(10mg/kg)、Xigris(2mg/kg)、LPC+DW286AA(5+5mg/kg)、LPC+Dori(5+200mg/kg)、LPC+Vanco(5+10mg/kg)及びLPC+Xigris(5+2mg/kg)をそれぞれCPA−CLP敗血症マウスにCLP手術の6時間後に単回静脈投与した。全ての単一実験物質は滅菌生理食塩水に溶解させて10ml/kgでそれぞれ投与し、全ての複合組成群ではそれぞれの薬物をLPC(0.5mg/ml)が溶解されている溶液に直接適切用量をそれぞれ溶解させて投与した。投与後、死亡率及び体重の変化を上記実施例3−3の方法で観察した。
【0102】
【表8】
【0103】
【表9】
【0104】
その結果、上記表8及び9から分かるように、全てのCPA対照群マウスは観察期間の3日間生存したが、CLP対照群ではCLP2日以内に10匹のうち10匹が死亡して、100%の死亡率を示し、Vanco投与群では各CLP3日以内に全ての実験動物が死亡し、LPC、Dori及びXigris投与群ではCLP3日以内にそれぞれ9、8、10匹ずつ実験動物が死亡した。しかし、LPC単独またはDW286AA、Dori、Vanco及びXigris単独よりもLPCとの併用群であるLPC+Dori、LPC+Vanco、LPC+Xigris群で死亡率が減るか死亡時間が遅延した(表8)。一方、DW286AA、LPC+DW286AA、LPC+Dori、LPC+Vanco及びLPC+Xigris投与群ではCLP手術3日後にもそれぞれ4(4/10; 40%)、9(9/10; 90%)、5(5/10; 50%)、4(4/10; 40%)及び3(3/10; 30%)匹の生存例が認められた(表9)。
【0105】
全てのCPA−CLP手術群ではCLP手術1日後からCPA対照群に比べて顕著な体重減少を示したが、全ての薬物投与群ではCPA−CLP投与群に比べて意味ある体重の変化は見られなかった。
【0106】
このようなLPC及びそれぞれの単一投与群に比べてLPC+DW286AA、LPC+Dori、LPC+Vanco及びLPC+Xigris投与群で認められた生存率及び生存期間の増加は、LPCとの併用によってこれらの効果が増加されることを意味し、このような結果は、本発明の併用製剤の免疫増強または細菌性感染疾患に対する優れた治療効果を裏付けるものである。
【0107】
実施例8:CPA−CLPで誘導されたモデルでLPCと抗生剤との単独及び併用投与が生存に及ぼす影響の分析
CPAで免疫抑制を誘発させた後、CLPで敗血症を誘発させたマウスを用いて、LPCとColistin、Tobra(Tobramycin)及びFusidin(fusidic acide sodium)の併用効果を比較した。LPC(5mg/kg)、colistin(5mg/kg)、tobramycin(4mg/kg)、fusidin(80mg/kg)、LPC+colistin(5+5mg/kg)、LPC+tobramycin(5+4mg/kg)及びLPC+fusidin(5+80mg/kg)をそれぞれCPA−CLP敗血症マウスにCLP手術の6時間後に単回静脈投与した後、死亡率及び体重の変化を観察した。また、DW286AA(5mg/kg)を対照薬物として使用し、全ての単一実験物質は滅菌生理食塩水に溶解させて10ml/kgでそれぞれ投与し、全ての複合組成群ではそれぞれの薬物をLPC(0.5mg/ml)が溶解されている溶液に直接適切用量をそれぞれ溶解させて投与した。このような投与順序と投与群は
図5に簡単に示す。
【0108】
具体的に、ICRマウス(6週齢雄、SLC, Japan)を計10個の群であるCPA対照群(CPA投与後 Sham手術媒体投与群)、CPA−CLP対照群(CPA投与後 CLP手術媒体投与群)、CPA−CLP後 DW286AA 5mg/kg投与群、CPA−CLP後 LPC 5mg/kg投与群、CPA−CLP後 colistin 5mg/kg投与群、CPA−CLP後 tobramycin 4mg/kg投与群、CPA−CLP後 fusidin 80mg/kg投与群、CPA−CLP後 LPC+colistin 5+5mg/kg投与群、CPA−CLP後 LPC+tobramycin 5+4mg/kg投与群及びCPA−CLP後 LPC+fusidin 5+80mg/kg投与群に分けた。投与は滅菌生理食塩水を媒体として使用してCLP手術6時間後に10ml/kgで単回静脈投与した。すなわち、LPC(5mg/kg)、DW286AA(5mg/kg)、colistin(5mg/kg)、tobramycin(4mg/kg)、fusdin(80mg/kg)、LPC+colistin(5+5mg/kg)、LPC+tobramycin(5+4mg/kg)及びLPC+fusidin(5+80mg/kg)をそれぞれCPA−CLP敗血症マウスにCLP手術の6時間後に単回静脈投与した。全ての単一実験物質は滅菌生理食塩水に溶解させて10ml/kgでそれぞれ投与し、全ての複合組成群ではそれぞれの薬物をLPC(0.5mg/ml)が溶解されている溶液に直接適切用量をそれぞれ溶解させて投与した。投与後、死亡率及び体重の変化を上記実施例3−3の方法で観察した。
【0109】
【表10】
【0110】
【表11】
【0111】
その結果、上記表10及び11から分かるように、全てのCPA対照群マウスは観察期間の3日間生存したが、CLP対照群ではCLP2日以内に10匹のうち10匹が死亡して、100%の死亡率を示し、LPC、Fusidin、colistin及びtobramycin単独投与群ではCLP3日以内にそれぞれ9、8、9及び8匹の動物が死亡した。しかし、LPCとcolistin、tobramycin及びfusidin併合投与群では死亡率が減るか死亡時間が遅延した(表10)。一方、DW286AA、LPC+colistin、LPC+tobramycin及びLPC+fusidin投与群ではCLP手術3日後にもそれぞれ、8(8/10; 80%)、4(4/10; 40%)、5(5/10; 50%)及び5(5/10; 50%)匹の生存例が認められた(表11)。全てのCPA−CLP手術群ではCLP手術1日後からCPA対照群に比べて顕著な体重減少を示したが、全ての薬物投与群ではCPA−CLP投与群に比べて意味ある体重の変化は見られなかった。
【0112】
このようなLPC及びそれぞれの単一投与群に比べて、LPC+colistin、LPC+tobramycin及びLPC+fusidin投与群で認められた生存率及び生存期間の増加の結果は、LPCとの併用によってこれらの効果が増加されることを意味し、このような結果は、本発明の併用製剤の免疫増強または細菌性感染疾患に対する優れた治療効果を裏付けるものである。
【0113】
実施例9:LPCと新規キノリン系抗生剤であるDW286AAとの併用が生存に及ぼす影響の分析
敗血症に対する新しい治療剤の開発過程の中でLPC及びDW286AAの最適な併用投与方法を捜すために、CPA−CLP及びCPAで誘発された免疫抑制マウスを用いて評価した。CPA−CLPマウス及びCPA誘発免疫抑制マウスにLPC及びDW286AAを単独、混合(LPC:DW286AA 2:1)、LPC先投与後(2回) DW286AA後投与(2回)、DW286AA先投与後 LPC後投与後の死亡率、胸腺及び脾臓重量、血中白血球数、胸腺及び脾臓内CD3+、CD4+、CD8+及びTNF−α+細胞の数的変化を骨髄内小核多染性赤血球数の変化とともに評価した。
【0114】
計8または9群(媒体対照群を含む)に、1群当たりそれぞれ9匹をINTACT CONTROL:正常媒体対照群(媒体:5%ヒト血清アルブミン)、CPA CONTROL:CPA 誘発免疫抑制媒体対照群、CPA−CLP CONTROL:CPA及びCLP実施媒体対照群、LPC:LPC 1mg/kg投与群、Mix:LPC−DW286AA(2:1)複合組成 0.75mg/kg投与群、DW286−LPC:DW286 0.5mg/kg 2回先投与後 LPC 1mg/kg 2回投与群、LPC−DW286:LPC 1mg/kg 2回先投与後 DW286AA 0.5mg/kg 2回投与群、DW286:DW286AA 0.5mg/kg投与群に分けた。このような投与順序と投与群は
図6に簡単に示す。適正量の候補物質を5%ヒト血清アルブミンに溶解させて10ml/kgの濃度で、手術6時間後またはCPA投与終了24時間後から12時間間隔で計4回皮下注射で投与した。INTACT、CPAまたはCPA−CLP CONTROL群では同一量の5%ヒト血清アルブミンを同一方法で投与した。
【0115】
9−1.LPC及びDW286aaの投与順序による死亡数及び体重の評価
上記実施例3−3の方法で、死亡数、生存数及び体重を評価した。その結果、INTACT及びCPA CONTROL群では観察期間中に死亡例が全然認められなかったが、CPA−CLP CONTROL群ではCLP1日及び2日後にそれぞれ6及び3例の死亡例が認められ、CLP2日後に全ての実験動物(9/9, 100%)が死亡した(表12)。一方、LPC、LPC−DW286及びDW286群ではCLP4日後に全ての実験動物が死亡し、Mix及びDW286−LPC群ではCLP5日後に全ての実験動物が死亡し、Mix群に比べてDW286−LPC群でより高い初期生存率が認められた(表12)。
【0116】
【表12】
【0117】
CLP手術1日後、CPA及びCLP処理群で有意的な(p<0.01 or p<0.05)体重の減少がINTACT controlに比べて探知された。しかし、全てのテスト群は本発明のCPAまたはCPA−CLP controlに比べて体重の意味ある変化が観察されなかった(表12)。投与期間中の増体量はCPA control群の場合、INTACT controlに比べて−3.95%の変化を示し、LPC、Mix、DW286−LPC、LPC−DW286及びDW286投与群ではCPA controlに比べてそれぞれ−12.35、−17.65、2.16、−8.82、及び−1.37%の変化を示した。
【0118】
全てのCPA投与群で認められた体重減少はCPAの直接的な毒性症状によるものと判断され、LPC及びDW286はCPA投与によって誘発される体重減少を抑制できないものと観察された。
【0119】
一方、実験物質投与後にもたらされた軽微な増体量の減少は、皮下注射による刺激などによる二次的所見と判断される。
【0120】
また、LPC及びDW286AAの単独投与時にもCPA−CLPによる死亡例を顕著に減少させるものと観察されたが、それぞれの単独投与よりは混合組成及びDW286AA先投与後LPCを投与したDW286−LPC群でより優れた生存率を示し、特にMixよりもDW286−LPC群でより高い初期生存率を示して(表13)、敗血症治療時にDW286AA先投与後にLPCを投与した方がより優れた治療効果を奏するものと期待することができる。
【0121】
【表13】
【0122】
9−2.CPA処理モデルの体重の変化
全てのCPA処理群はINTACT controlに比べて有意的な体重の減少を見せた(p<0.01)。本発明のCPA control群に比べて全てのテスト群で体重の意味ない変化が感知された。さらに、CPA controlを含む全てのテスト群で犠牲物に最初の投与後、類似する体重の増加を観察した(表14)。
【0123】
【表14】
【0124】
9−3.CPA処理モデルの臓器重量の変化
上記実施例3−4の方法で臓器重量を測定した。その結果、INTACT controlに比べてCPA controlで相対的で絶対的な脾臓及び胸腺の重量の減少を観察した。しかし、有意的ではない胸腺重量の増加をLPC、Mix及びDW286で観察し、有意的な脾臓重量の増加を(p<0.01)、CPA controlに比べてLPC、Mix及びDW286−LPCでそれぞれ観察した(表15)。
【0125】
【表15】
【0126】
絶対及び相対胸腺重量は、CPA controlでINTACT controlに比べてそれぞれ、−55.74及び−52.62%変化した。LPC、Mix、DW286−LPC、LPC−DW286及びDW286群で絶対的な胸腺重量は、13.31、10.24、7.17、2.39及び−2.73%変化され、相対的な胸腺重量はCPA controlに比べてそれぞれ、7.56、13.74、9.51、5.47及び−3.12% 変化した。しかし、有意的な増加は全ての投与群で認められなかった。
【0127】
絶対的で相対的な脾臓の重量は、CPA controlでINTACT controlに比べて−63.38及び−60.63%変化を示した。絶対的な脾臓の重量はLPC、Mix、DW286−LPC、LPC−DW286及びDW286で35.62、28.77、31.28、11.87及び−7.08%変化され、相対的な脾臓の重量はCPA controlに比べてそれぞれ40.69、32.54、32.96、14.38及び−7.46%の変化を示した。
【0128】
全てのCPA投与群で認められた脾臓及び胸腺の重量減少はリンパ球の減少による変化と考えられ、LPC及びDW286−LPC併用投与はCPA投与によって誘発されるリンパ臓器重量の減少を効果的に抑制するものと観察され、LPC単独投与よりもMix及びLPC−DW286投与群で類似するか比較的低い減少抑制効果が現れた。
【0129】
9−4.CPA処理モデルで血中総WBC数の変化
上記実施例3−5の方法で血液収集及びWBCを計算した。その結果、INTACT controlに比べて全てのCPA誘発群では有意的な(p<0.01)血中総白血球数の減少が生じ、CPA controlに比べてDW286投与群を除く全ての投与群で顕著な総白血球数の増加が観察されたが、有意的な(p<0.01)増加はDW286−LPC投与群に限って見られた(表16)。
【0130】
【表16】
【0131】
CPA controlで血中総WBC数はINTACT controlに比べて−91.58%の変化を見せた。LPC、Mix、DW286−LPC、LPC−DW286及びDW286群でCPA controlに比べてそれぞれ25.00、32.74、61.31、19.64及び−11.31%変化した。すなわち、CPA投与時に一般的に顕著な白血球の減少がもたらされるものと知られているが、本実験の結果、LPCはCPA投与によって誘発される白血球の減少を比較的効果的に抑制するものと観察され、LPC単独投与よりもDW286−LPC投与群でより優れた効果が奏することを確認した。このような結果は、併用製剤の場合、DW286先投与がより効果が良いということを示す。
【0132】
9−5.CPA処理モデルでWBCの分別countsの変化
分別countの結果、CPAによる白血球の減少は主にリンパ球減少による変化と観察され、相対的に好中球及び単球の割合の増加がもたらされたものと観察された(表16)。一方、本実験の結果、LPC及びDW286−LPC併用投与はCPA投与によって誘発される白血球の減少を比較的効果的に抑制するものと観察され、LPC単独投与よりもDW286−LPC投与群でより優れた効果が認められた。
【0133】
CPA controlでのリンパ球、好中球及び単球の割合はINTACT controlに比べてそれぞれ−72.47、88.11及び456.43%変化した。LPC、Mix、DW286−LPC、LPC−DW286及びDW286群でリンパ球の割合は268.78、244.85、290.37、204.01及び−23.56%変化し、好中球の割合は−51.07、−46.05、−50.01、−18.81及び−1.09%の変化を示し、単球の割合はCPA controlに比べて−85.27、−82.32、−91.16、−86.45及び13.43%の変化を示した。
【0134】
9−6.CPA 処理モデルで骨髄MNPCEsの変化
上記実施例3−6の方法で骨髄小核多染性赤血球の変化を観察した。その結果、CPAは突然変異発生率を高める物質と知られており、骨髄内の小核多染性赤血球を顕著に増加させるものと知られている。INTACT controlに比べてCPA controlでは小核多染性赤血球(MNPCEs)は有意的に増加し(p<0.01)、PCE/(PCE+NCE)は減少した。全ての投与群でCPA controlに比べて意味ある小核多染性赤血球及びPCE割合の変化が生じなかった(表17)。
【0135】
【表17】
【0136】
CPA controlで骨髄小核多染性赤血球及び多染性赤血球の割合はINTACT controlに比べて1512.50及び−60.38%変化した。LPC、Mix、DW286−LPC、LPC−DW286及びDW286群でMNPCE数は−14.34、−0.78、−12.02、−5.43及び−10.85%の変化を示し、多染性赤血球の割合(PCE/(PCE+NCE))はそれぞれCPA controlに比べて−12.98、6.14、−11.80、−1.49及び−14.79%の変化を示した。
【0137】
このような結果は、LPC及びDW286単独投与と併用投与はいずれもCPAによって骨髄内小核多染性赤血球細胞の増加に特に影響を及ぼさないことを裏付けるものである。多染性赤血球の割合は実験物質の骨髄内細胞毒性を評価する項目で、本実験の結果、全てのCPA投与群では顕著なPCE割合の減少がもたらされ、このようなPCE割合の減少はCPAの過量投与によるものと判断される。
【0138】
9−7.CPA処理モデルで胸腺と脾臓の組織病理的変化
上記実施例3−7の方法で組織病理的変化を観察した。その結果、胸腺皮質でリンパ球細胞の減少及び顕著な脾臓萎縮がCPA controlで探知された。しかし、このような萎縮性の変化はLPC、LPC−DW286及びDW286−LPCの処理によって効果的に抑制され、DW286−LPC群は他の群に比べて最も高い抑制傾向を見せた(
図7及び8)。組織形態計測法で、脾臓での白脾髄の数は(p<0.01)、INTACT controlに比べてCPA controlで有意的に減少されたが、DW286単独投与群を除く全ての投与群で有意的に増加した。さらに、胸腺皮質でのリンパ性細胞の減少はやはり、DW286群を除くCPA controlに比べて全ての投与群で顕著に抑制された(表18)。
【0139】
【表18】
【0140】
脾臓内の白脾髄の数はCPA controlでINTACT controlに比べて−66.67%の変化を見せた。それらはLPC、Mix、DW286−LPC、LPC−DW286及びDW286群ではCPA controlに比べて101.79、71.43、105.36、101.79及び−1.79%の変化を示した。
【0141】
胸腺皮質萎縮頻度(胸腺皮質でのリンパ性細胞の減少現象)はINTACT control、CPA control、LPC、Mix、DW286−LPC、LPC−DW286及びDW286群で0、100、88.89、88.89、66.67、77.78及び100%とそれぞれ観察された。
【0142】
本実験の結果、LPC及びDW286−LPC併用投与はCPA投与によって誘発されるリンパ臓器内のリンパ球の減少を比較的効果的に抑制するものと観察され、LPC単独投与よりもDW286−LPC投与群でより優れた効果が認められた。
【0143】
9−8.CPA処理モデルで胸腺及び脾臓の免疫組織化学分析
上記実施例3−8の方法で免疫組織化学分析を行った。その結果、脾臓のCD3+、CD4+、CD8+及びTNF−α+細胞の有意的な減少(p<0.01)はINTACT controlに比べてCPA controlで観察され、CD3+及びTNF−α+細胞の有意的な減少は胸腺の皮質及び髄質でそれぞれ観察された。しかし、このような細胞はDW286群を除く全ての投与群でCPA controlに比べて有意的に増加した。特に、LPC単独投与群よりもDW286−LPC群で類似するかより優れた減少抑制効果が認められた(表19及び
図9ないし16)。
【0144】
【表19】
【0145】
脾臓内のCPA control群でCD3+、CD4+及びCD8+ cellsの数はINTACT controlに比べて−68.32、−83.15及び−73.26%の変化を見せた。LPC、Mix、DW286−LPC、LPC−DW286及びDW286群のCD3+細胞の数は18.29、77.26、99.32、81.03及び−14.02%変化し、CD4+細胞の数は136.54、99.76、135.58、79.81及び−10.82%変化し、CD8+細胞はCPA controlに比べて72.89、48.81、109.33、38.83及び−10.63%変化した。
【0146】
胸腺皮質内のCPA control群でCD3+、CD4+及びCD8+細胞の数はINTACT controlに比べて−75.41、64.29及び28.57%変化した。LPC、Mix、DW286−LPC、LPC−DW286及びDW286群のCD3+細胞の数は328.69、216.61、323.44、279.91及び−9.16%変化し、CD8+細胞の数はCPA controlの数に比べて11.11、33.33、−7.41、11.11及び33.33%変化した。
【0147】
胸腺髄質内のCPA control 群でCD3+、CD4+及びCD8+細胞の数はINTACT controlに比べて−90.00、−8.33及び28.57%の変化を示した。LPC、Mix、DW286−LPC、LPC−DW286及びDW286群でCD3+細胞の数は2466.67、500.00、2366.67、2466.67及び−33.33%変化し、CD4+細胞の数はCPA controlに比べて−9.09、−18.18、−13.64、4.55及び27.27%変化した。CD8+細胞の数はCPA controlに比べて−5.56、−11.11、−5.56、−16.67及び−22.22%変化した。
【0148】
脾臓、胸腺皮質及び髄質内のCPA controlでTNF−α+細胞はINTACT controlに比べて−51.73、−51.06及び−155.56%の変化を見せた。LPC、Mix、DW286−LPC、LPC−DW286及びDW286群で脾臓のTNF−α+細胞は36.75、12.89、34.84、27.68及び−13.84%変化し、胸腺皮質内のTNF−α+細胞は65.22、30.43、60.87、30.43、及び−13.04%変化し、胸腺髄質内のTNF−α+細胞はCPA controlに比べて133.33、0.00、0.00、133.33及び0.00%変化を示した。すなわち、CPAによって顕著な脾臓及び胸腺内CD3+、CD4+、CD8+及びTNF−α+細胞の減少がもたらされたが、LPC及びDW286−LPC併用投与はCPA投与によって誘発されるこれら細胞の減少を比較的効果的に抑制するものと観察され、LPC単独投与よりもDW286−LPC投与群でより優れた効果が認められた。
【0149】
LPC単独及びLPCとDW286との併用投与は、CPA投与によって誘発される免疫抑制及びCPA−CLPによってもたらされる敗血症による死亡例を比較的効果的に抑制するものと観察され、特にDW286先投与後にLPCを投与する場合(DW286−LPC)、最も優れた効果を奏するものと確認された。
【0150】
上記のような結果は、本発明のLPCを多様な抗生剤と同時にまたは順次に併用投与する場合、LPC単独の投与よりも顕著な免疫増強効果及び細菌性感染疾患の優れた治療効果を奏することができることを裏付けるものである。
【0151】
以上、本発明の特定の部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとってこのような具体的な記述は単に好ましい実現例に過ぎず、これに本発明の範囲が制限されないことは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とそれの等価物によって定義されると言える。