特許第6089138号(P6089138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6089138
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】遊技機用電子基板ケース体
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170220BHJP
   A63F 5/04 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   A63F7/02 326Z
   A63F7/02 334
   A63F5/04 512C
   A63F5/04 512Z
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-127557(P2016-127557)
(22)【出願日】2016年6月28日
【審査請求日】2016年7月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390026620
【氏名又は名称】山佐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲也
【審査官】 貝沼 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−204786(JP,A)
【文献】 特開2004−081320(JP,A)
【文献】 特開2004−336433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子基板が収納されている第1の基板ケースと、前記第1の基板ケースに連結されており、第2の電子基板が収納されている第2の基板ケースとを具備する基板ケースユニット体と、
前記基板ケースユニット体の外周面に、収納位置又は非収納位置に位置変換自在に取り付けられている取手部材と、
を有し、
前記第1の電子基板と前記第2の電子基板とを電気的に接続する配線の少なくとも一部が、前記基板ケースユニット体の外周面上に配されて外部に露出しており、
前記取手部材が収納位置に位置しているときには、前記取手部材が使用不能になり、かつ前記基板ケースユニット体の外周面上に配された前記配線が前記取手部材によって被覆されて外部と遮断された被覆状態となり、
一方、前記取手部材が非収納位置に位置しているときには、前記取手部材が使用可能になり、かつ前記基板ケースユニット体の外周面上に配された前記配線が前記取手部材によって被覆されない露出状態となる
ことを特徴とする遊技機用電子基板ケース体。
【請求項2】
前記取手部材が、前記第1の基板ケース及び前記第2の基板ケースのうち一方の基板ケースに位置変換自在に取り付けられている構成にあって、
前記収納位置に位置している前記取手部材を他方の基板ケースに固定する固定構造を有している
請求項1に記載の遊技機用電子基板ケース体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子基板が収納された基板ケースを具備する遊技機用電子基板ケース体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機に用いられる電子基板は、不正行為防止の目的、静電気対策の目的、及び外部に対して絶縁することで電気的な破壊又は誤動作防止の目的で基板ケースに収納された状態で遊技機内部に取り付けられている。
【0003】
一方で、遊技機の機能が向上し、遊技内容がさらに高度化している結果、部品点数が増えることにより遊技機の内部が高密度化し、遊技機内部の構造が複雑化しているのが現状である。
【0004】
このような現状に鑑み、例えば特許文献1には、構造物(電子基板)を収容可能な弾球遊技機用の収容ケースにおいて、把持可能な把持部が設けられている構成が開示されている。これにより、収容ケースを組み付ける作業や、交換時の作業を容易としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−100465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、遊技機内部の高密度化はますます進んでおり、遊技機内部の省スペース化をより一層図ることができる構成が強く望まれている。
【0007】
そこで本発明は、遊技機内部の省スペース化を図り、遊技機内部の空間を有効利用することができる遊技機用電子基板ケース体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の電子基板が収納されている第1の基板ケースと、前記第1の基板ケースに連結されており、第2の電子基板が収納されている第2の基板ケースとを具備する基板ケースユニット体と、前記基板ケースユニット体の外周面に、収納位置又は非収納位置に位置変換自在に取り付けられている取手部材と、を有し、前記第1の電子基板と前記第2の電子基板とを電気的に接続する配線の少なくとも一部が、前記基板ケースユニット体の外周面上に配されて外部に露出しており、前記取手部材が収納位置に位置しているときには、前記取手部材が使用不能になり、かつ前記基板ケースユニット体の外周面上に配された前記配線が前記取手部材によって被覆されて外部と遮断された被覆状態となり、一方、前記取手部材が非収納位置に位置しているときには、前記取手部材が使用可能になり、かつ前記基板ケースユニット体の外周面上に配された前記配線が前記取手部材によって被覆されない露出状態となることを特徴とする遊技機用電子基板ケース体である。
【0009】
かかる構成にあって、遊技機用電子基板ケース体を遊技機に取り付ける際には、取手部材を非収納位置にして使用可能とし、使用可能となった取手部材を持って遊技機用電子基板ケース体を所定位置に配置したり取り付けたりすることができる。このため、取り付け位置の周辺が狭く、作業スペースが十分確保できない場合にも容易に遊技機用電子基板ケース体の取り付け作業を行うことができる。また、遊技機用電子基板ケース体を遊技機に取り付けた後は、取手部材を収納位置とすることで露出状態の配線が被覆された状態となるため、当該配線に対する不正行為を防止することができる。加えて、配線に、作業者の手や遊技機の内部に装着される部材、あるいは部材同士を締結するための締結部材等が誤って触れてしまい、配線が損傷してしまうことも防止することができる。また、取手部材が収納位置に配されることで、取手部材自体も邪魔になることがない。このように本発明の取手部材は、取手としての機能に加えて、配線を不正行為から守る不正行為防止機能も兼ね備えている。したがって、例えば取手部材と配線カバーとを個別に装着した構成に比べて、本発明は部品点数を減らすことができ、遊技機内部の省スペース化をより一層図ることが可能である。勿論、電子基板が基板ケースに収納されることにより、電子基板に対する不正行為を防止することができると共に、電子基板に対する静電気の対策を図ることもでき、さらに、電子基板と外部との絶縁を確保することによって電子基板の電気的な破壊や誤動作を防止することもできる。
【0010】
また、前記取手部材が、前記第1の基板ケース及び前記第2の基板ケースのうち一方の基板ケースに位置変換自在に取り付けられている構成にあって、前記収納位置に位置している前記取手部材を他方の基板ケースに固定する固定構造を有している構成が提案される。
【0011】
かかる構成にあって、取手部材が収納位置にある場合には、第1の基板ケースと第2の基板ケースとが取手部材によって互いに固定される。このため、取手部材を介して第1の基板ケースと第2の基板ケースとが連結されることとなり、例えば第1の基板ケースから第2の基板ケースが意図せず脱離してしまうことが抑制される。したがって、かかる構成の取手部材は、上述した取手の機能と不正行為防止機能とに加えて、連結部材としての機能も兼備している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1にかかる遊技機用電子基板ケース体を示し、(a)は取手部材が非収納位置にある状態を示す斜視図であり、(b)は(a)のX部分を示す部分拡大断面図である。
図2】遊技機用電子基板ケース体が遊技機の筐体内に取り付けられた状態を示す概要図である。
図3】(a)は取手部材が収納位置にある遊技機用電子基板ケース体の斜視図であり、(b)は(a)の一部切欠正面図である。
図4】実施例2にかかる遊技機用電子基板ケース体の斜視図であり、(a)は取手部材が非収納位置にある状態を示し、(b)は取手部材が収納位置にある状態を示している。
図5】実施例3にかかる遊技機用電子基板ケース体の斜視図であり、(a)は取手部材が非収納位置にある状態を示し、(b)は取手部材が収納位置にある状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を遊技機に適用した実施形態を、以下の実施例に従って説明する。なお、実施例を説明する際には、便宜上、上下左右前後の方向を規定して説明する場合があるが、このことは、本発明が下記実施例で定められた方向にのみ限定されて使用されることを意味するものではない。
【0014】
〔実施例1〕
実施例1の遊技機用電子基板ケース体1を図1図3に従って説明する。
図1(a)に示すように、遊技機用電子基板ケース体1は、箱形状の第1基板ケース11(第1の基板ケース)と、第1基板ケース11より小さい大きさの第2基板ケース21(第2の基板ケース)とを備えている。そして、第1基板ケース11と第2基板ケース21とが重ね合わされた状態で互いに連結されており、第1基板ケース11と第2基板ケース21とによって基板ケースユニット体31が構成されている。
【0015】
図2に示すように、第1基板ケース11には、第1電子基板(第1の電子基板)91が収納されている。さらに詳述すると、第1基板ケース11は、容器に相当する第1ベース部41と、蓋体に相当する第1カバー部42とで構成されており、第1電子基板91は第1ベース部41の内部に固定されている。そして、第1カバー部42が第1ベース部41の開口を遮蔽した状態で第1ベース部41に固定されることにより、第1電子基板91が第1基板ケース11内に収納された状態となっている。
【0016】
また、図2に示すように、第2基板ケース21には、第2電子基板(第2の電子基板)92が収納されている。さらに詳述すると、第2基板ケース21は、容器に相当する第2ベース部51と、蓋体に相当する第2カバー部52とで構成されている。そして、第1基板ケース11と同様に、第2電子基板92が第2ベース部51内に固定され、かつ、第2カバー部52が第2ベース部51の開口を遮蔽するように第2ベース部51に固定されることにより、第2電子基板92が第2基板ケース21内に収納された状態となっている。
【0017】
また、図1(a)に示すように、第1基板ケース11における外周面の上面部には、凹状に窪んだ凹段部15が形成されており、凹段部15に取手部材61が回動自在に取り付けられている。
【0018】
取手部材61は、図1図3に示すように、蓋形状の被覆部71と、被覆部71から延設されている枠状の指掛け部72と、を備えている。さらに、被覆部71は、主板部となる天部71aと、天部71aの周縁から起立して天部71aを囲繞するように形成された側壁部71bとで構成されている。
【0019】
また、図1(b)に示すように、取手部材61の両端部には、左右方向に向かって突き出された支軸部73が設けられている。そして、支軸部73が、凹段部15に位置する第1ベース部41の壁面に設けられた溝状の軸受け部45に挿入されることで、取手部材61が第1基板ケース11に回動自在に取り付けられている。なお、取手部材61の回動態様は、後で詳述する。
【0020】
また、図1(a)に示すように、第2ベース部51の外周縁部のうち左右の側縁部には、ネジ孔部が貫通状に形成されている第2取り付け用突出部53がそれぞれ複数設けられている。かかる構成にあって、第2取り付け用突出部53のネジ孔部に固定用のネジが挿通されることによって、第2基板ケース21が第1基板ケース11の前面に固定される。なお、第2基板ケース21が第1基板ケース11の前面に連結された状態において、第1基板ケース11の上部に形成された凹段部15の上面は、第2基板ケース21の上面とほぼ面一となっている。
【0021】
さらに、第1基板ケース11の外周縁部のうち上下の側縁部には、ネジ孔部が貫通状に形成されている第1取り付け用突出部43がそれぞれ複数設けられている。かかる構成にあって、第1取り付け用突出部43のネジ孔部に固定用のネジが挿通されることによって、図2に示すように、第1ベース部41の後面と遊技機における筐体内の壁面Hとが向かい合うようにして第1基板ケース11が筐体内の所定位置に取り付けられる。
【0022】
ところで、図1等に示すように、第1基板ケース11に収納された第1電子基板91と、第2基板ケース21に収納された第2電子基板92は、配線93によって電気的に接続されている。
【0023】
配線93は、基板ケースユニット体31の外周面(上面)上に露出した状態で配されており、図2に示すように、配線93の第1基板ケース11側の端部は、第1カバー部42の上面に形成された第1開口部44に挿通されており、配線93の第2基板ケース21側の端部は、第2カバー部52の上面に形成された第2開口部54に挿通されている。かかる構成により、配線93の少なくとも一部が、第1基板ケース11と第2基板ケース21との境界部分を跨ぐように架け渡されている。
【0024】
さらに、図1(a)に示すように、取手部材61にあって、第2基板ケース21側に配された角部には、第2基板ケース21側に向かって突出した係止爪75を有する係止部76が一対設けられている。
【0025】
一方、第2カバー部52の上面には、貫通孔形状の係止孔55が一対設けられている。
【0026】
そして、係止爪75は、第2カバー部52の上面に形成された係止孔55とそれぞれ係合自在な寸法形状に定められている。なお、係止爪75が係止孔55に係合した状態は、後で詳述する。
【0027】
次に、取手部材61の回動態様について説明する。
【0028】
取手部材61は、図1(a)に示すような第1基板ケース11に対して起立した非収納位置α1と、図3(a)に示すような第2基板ケース21側に倒された収納位置β1とに位置変換自在に回動可能となっている。
【0029】
そして、図1(a)に示すように取手部材61が非収納位置α1にあるとき、取手部材61の指掛け部72は指で摘んだり、指を引っ掛けたりすることが可能となり、取手部材61は取手として機能する。したがって、作業スペースが十分確保できない場合にも作業者は取手部材61を把持するなどして遊技機用電子基板ケース体1を持ち運ぶことができる。
【0030】
なお、このように取手部材61が非収納位置α1にあるときは、図1(a)に示すように、配線93が外部に露出する露出状態となり、作業者は配線93を直接視認することができるため、配線93の点検や交換作業を容易に行うことができる。
【0031】
これに対して、図3(a)に示すように、取手部材61を収納位置β1に位置変換したときは、指掛け部72は第2基板ケース21の上面に当接し、指掛け部72を摘んだり、指を引っ掛けたりすることができなくなり、指掛け部72を用いて遊技機用電子基板ケース体1を持ち運ぶことができなくなる。
【0032】
そして、このように取手部材61が収納位置β1に位置すると、外部に露出していた配線93は、取手部材61の被覆部71によって完全に被覆された被覆状態となる。具体的には、被覆部71の側壁部71bの先端と配線93の周囲とが当接し、配線93が被覆部71によって外部と遮断されると共に、第1開口部44及び第2開口部54も被覆部71によって塞がれた状態となる。したがって、配線93に対して外部から工具等を差し入れることが阻止され、配線93に対する不正行為を防止することが可能となる。また、第1開口部44又は第2開口部54を介してメダル等の金属体が誤って基板ケース11,21内に入ってしまい、電子基板91,92上の電子部品や配線と当該金属体とが接触してショートする不具合も防止することができる。さらに、第1開口部44及び第2開口部54が塞がれることで、電子基板91,92に対する静電気対策としても優れたものとなる。なお、このような収納位置β1に位置する取手部材61全体は、凹段部15の窪んだスペースに収まるため、取手部材61自体が筐体内で邪魔になることがなく、遊技機内部の省スペース化を図り、遊技機内部の空間を有効利用することができる。
【0033】
また、取手部材61が収納位置β1に位置すると、図3(b)に示すように、係止爪75が係止孔55内に圧入されて取手部材61と第2基板ケース21とが係合状態となる。したがって、取手部材61は連結部材として機能することになり、取手部材61を介して第1基板ケース11と第2基板ケース21とが連結されることとなる。このため、例えば第1基板ケース11から第2基板ケース21が意図せず脱離してしまうことが抑制される。
【0034】
なお、取手部材61を収納位置β1から非収納位置α1に位置変換する場合には、係止部76を弾性変形させて係止爪75と係止孔55との係合状態を解除した後、支軸部73を中心に取手部材61を回動させて起立状態とすればよい。このように、係止爪75と係止孔55との係合状態を容易に解除することができる構造が採用されることにより、作業者は簡易な作業で取手部材61を収納位置β1から非収納位置α1に位置変換することができ、作業効率が向上する。なお、係止爪75を含む係止部76と係止孔55とによって、固定構造K1が構成されている。
【0035】
〔実施例2〕
実施例2の遊技機用電子基板ケース体2を図4に従って説明する。なお、上記実施例1と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0036】
遊技機用電子基板ケース体2における基板ケースユニット体32にあっては、第2カバー部56に取手部材止め用ネジ孔部57が設けられている。
【0037】
また、取手部材62には、固定用ネジ孔部77が設けられている。
【0038】
そして、図4(a)に示すように、取手部材62が非収納位置α2であるときは、配線93は外部に露出した露出状態となり、直接視認できるとともに、配線93の点検、あるいは交換等の作業を容易に行うことができる。また、使用可能となった取手部材62の指掛け部72を持って遊技機用電子基板ケース体2を所定位置に配置することができる。
【0039】
また図4(b)に示すように、取手部材62を収納位置β2に位置変換したときは、露出状態だった配線93が完全に被覆された状態となるため、当該配線93に対する不正行為を防止することができる。また、取手部材62が収納位置β2に配されることで、取手部材62自体も邪魔になることがない。
【0040】
なお、取手部材62を収納位置β2に位置したとき、取手部材62の固定用ネジ孔部77を通して取手部材止め用ネジ孔部57にネジSを取り付けることにより、取手部材62と第2基板ケース22とを固定することができる。なお、取手部材止め用ネジ孔部57と、固定用ネジ孔部77と、ネジSとによって、固定構造K2が構成されている。
【0041】
〔実施例3〕
実施例3の遊技機用電子基板ケース体3を図5に従って説明する。なお、上記実施例1,2と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0042】
遊技機用電子基板ケース体3にあっては、取手部材63を図5(a)に示すような非収納位置α3と、図5(b)に示すような収納位置β3とに位置変換することができる。
【0043】
取手部材63は、略四角形の天部71cと、天部71cの3辺から略垂直に起立した側壁部71dと、側壁部71dの先端から横方向に突出したフランジ部71eと、を備えている。
【0044】
これに対して、第1基板ケース13の凹段部15における第1カバー部46及び第2基板ケース22の第2カバー部56には、断面L字形状の取手部材係止部81が複数設けられている。加えて、取手部材係止部81の近傍位置には、弾性変形によって出没自在な抜け止め部82が複数設けられている。
【0045】
上記構成の遊技機用電子基板ケース体3において、取手部材63を非収納位置α3とする際には、図5(a)に示すように、配線93のない右側の取手部材係止部81に取手部材63のフランジ部71eを前側から移動させて、抜け止め部82を下向きに撓ませながら挿通する。
【0046】
そして、取手部材63を、第1基板ケース13に突出状に設けられたストッパー83に当接するまでスライド移動させると、ストッパー83と抜け止め部82とによって取手部材63の前後移動が規制され、取手部材63が基板ケースユニット体33から離脱不能になる。
【0047】
このように、取手部材63が非収納位置α3にあるとき、取手部材63の天部71cを指掛け部として指を掛けたり掴んだりすることによって遊技機用電子基板ケース体3を所定位置に配置したり取り付けたりすることができる。また、取手部材63が非収納位置α3にあるときは、配線93が外部に露出した露出状態となる。
【0048】
一方、取手部材63を非収納位置α3から図5(b)に示す収納位置β3とする場合には、取手部材63を固定している抜け止め部82を弾性変形させながら取手部材63を手前側に引っ張り出して基板ケースユニット体33から抜き出す。そして、取手部材63の前後の向きを反転させてから配線93の周囲に配された取手部材係止部81に取手部材63を挿通する。さらに、取手部材63を所定位置までスライド移動させると、抜け止め部82によって取手部材63の前後移動が規制される。
【0049】
このとき、取手部材63は、配線93の上方向、左右方向、及び手前方向を被覆する。なお、配線93の奥側は、遊技機における筐体内の壁面Hが配置されているため、結果的に配線93は取手部材63と壁面Hとによって完全に被覆されて、配線93に対して外部から不正を行うことは不可能となる。
【0050】
また、取手部材63が収納位置β3にあるときは、指を差し入れる箇所がないため、取手部材63は取手として使用することができず、収納状態となる。
【0051】
これまでに述べた構成にあって、取手部材61,62,63の固定構造は特に限定されることはない。例えば、第2カバー部52に係止爪75を設け、取手部材61に係止孔55を設ける構成としてもよい。また、一方の基板ケース11に取手部材61,62,63が取り付けられた構成にあって、収納位置β1,β2,β3に位置している取手部材61,62,63を他方の基板ケース21,22,23に固定する固定構造が設けられていないものであっても勿論よい。例えば、実施例1において、係止孔55が第1基板ケース11に設けられていてもよい。また、実施例2において、取手部材止め用ネジ孔部57が第1基板ケース11に設けられていてもよい。これらのような構成の場合にも、取手部材61,62,63が収納位置β1,β2,β3にある状態が適正に維持されるため、仮に作業者の手や他の部材、あるいは不正行為者が遊技機の外部から遊技機の内部に侵入させた不正器具が取手部材61,62,63に接触したとしても、意図せず取手部材61,62,63が収納位置β1,β2,β3にある状態が解除されてしまうことがない。また、取手部材61,62,63を収納位置β1,β2,β3に固定する構造としては、かかる固定構造を部分的に破壊しなければ取手部材61,62,63を収納位置β1,β2,β3から非収納位置α1,α2,α3に位置変換することができないかしめ構造を適用しても勿論よい。かかる構成とすることにより、取手部材61,62,63が収納位置β1,β2,β3に強固に固定されることになる。加えて、不正行為者が無理矢理に取手部材61,62,63を位置変換すると、その痕跡が残ることになるため、不正行為を防止する上で利点がある。
【0052】
また、第1電子基板91や第2電子基板92は、遊技を制御するための電子部品に限定されることはなく、その他の電子部品が実装されている基板であればよい。
【符号の説明】
【0053】
1,2,3 遊技機用電子基板ケース体
11,13 第1基板ケース(第1の基板ケース)
21,22 第2基板ケース(第2の基板ケース)
31,32,33 基板ケースユニット体
61,62,63 取手部材
91 第1電子基板(第1の電子基板)
92 第2電子基板(第2の電子基板)
93 配線
K1,K2 固定構造
α1,α2,α3 非収納位置
β1,β2,β3 収納位置
【要約】
【課題】遊技機内部の省スペース化を図り、遊技機内部の空間を有効利用することができる遊技機用電子基板ケース体を提供する。
【解決手段】第1電子基板と第2電子基板とを電気的に接続する配線93の少なくとも一部が、基板ケースユニット体31の外周面上に配されており、取手部材61が収納位置に位置しているときには、取手部材61が使用不能になり、かつ基板ケースユニット体31の外周面上に配された配線93が取手部材61によって被覆された被覆状態となり、一方、取手部材61が非収納位置α1に位置しているときには、取手部材61が使用可能になり、かつ基板ケースユニット体31の外周面上に配された配線93が取手部材61によって被覆されない露出状態となる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5