【実施例】
【0036】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
尚、以下の実施例/比較例における各種イオン交換基を付加した不織布について、セシウム吸着性能を評価するため、下記の試験方法を用いた。
【0037】
1.測定液の調整及び吸着試験方法
(i)本試験においては、市販のセシウム標準液を使用し、放射性同位元素セシウム137の代わりとして評価した。このセシウム標準液(1,000ppm)を上水で20,000倍希釈し、濃度50ppbのセシウム溶存液を作製し、これを試験液とした。
尚、該試験液は、一般上水を使用しているので、セシウムの他に、Ca、Mg,Naなどの金属イオンが混在した試験液である。
(ii)次に、上記す試験液200mlをプラスティックビーカーに採り、この液中に測定試料1gを投入し、1時間撹拌する。
(iii)次に、撹拌前後の液を採取し、セシウム含有量を、ICP質量分析装置を用いて測定した。
【0038】
[実施例1]
先ず、濾過層(A)に用いられる不織布(a)の作製例を以下に示す。
高分子基材として、ポリエチレン短繊維からなるサーマルボンド不織布(以下、PE−TBと略記)を使用し、リンモリブデン酸基を基材中に導入するため、グリシジルメタクリレート(GMA)10重量%とジメチルスルホキシド(DMSO)90重量%を混合したモノマー100重量%に対して、界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(関東化学(株)製、商品名:Tween80)0.8重量%を添加し、さらに、架橋剤として2官能メタクリレート系モノマー(新中村化学工業株式会社製、商品名:1G、4G、9G、14Gなど)であるエチレングリコールジメタクリレート誘導体を1〜10mol%、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)を0.4mol%、各々GMAに対して添加し、モノマー溶液を作製した。混合後は、予めホモジナイザーを用いて均一になるよう調整した。
次に、カートリッジに充填するグラフトフィルターに用いられる不織布(a)は、上記基材のポリエチレン製不織布(PE−TB)を、冷却下で電子線を50kGy照射した後、上述のモノマー溶液に、速やかに接触させて、作製した。モノマー溶液は、予めアルゴンガスを用いて脱酸素化をし、40℃に調温して使用した。浸漬後30分から3時間の間に、各不織布を取り出し、反応率Dg.を求めた。各種モノマー溶液における反応率を下記表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1中、反応率の単位は%。1G〜14Gは、エチレングリコールジメタクリレート誘導体の種類であり、1Gは、エチレングリコールジメタクリレート[化学式:CH
2=C(CH
3)COOCH
2CH
2OOC(CH
3)C=CH
2]、4Gは、ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート[化学式:CH
2=C(CH
3)COO(CH
2CH
2O)
nOC(CH
3)C=CH
2、n=4]、9Gは、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート[化学式:CH
2=C(CH
3)COO(CH
2CH
2O)
nOC(CH
3)C=CH
2、n=9]、14Gは、ポリエチレングリコール#600ジメタクリレート[化学式:CH
2=C(CH
3)COO(CH
2CH
2O)
nOC(CH
3)C=CH
2、n=14]のことであり、「M」は、モル濃度の略称である。
尚、前記の吸着試験において、表1中の試料のセシウム除去率は、いずれも99%以上である。
【0041】
[実施例2]
基材のポリアミド製メルトブロー不織布(以下、PA−MBと略記)に、50〜200kGyでγ線を照射し、予め、脱酸素化したモノマー溶液に浸漬して、目的のフィルターに用いられる不織布(a)を作製した。
上記モノマー溶液は、グリシジルメタクリレート(GMA)15重量%とジメチルスルホキシド85重量%を混合したモノマー100重量%に対して、界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレエートを0.5重量%添加し、さらに、架橋剤としてトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を5mol%、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)を0.5mol%、各々GMAに対して添加して、調整した。
40℃、2時間反応させた後、蒸留水でグラフト重合物を洗浄したのち、0.01Mの硝酸でグラフト重合物のコンディショニングを行った。反応率(Dg)(%)を下記表2に示す。
また、不織布(a)のセシウムに対する吸着性能評価試験は、表2中に示す試料を無作為に選んで、50ppbに調整した安定セシウム溶液中50mlに、0.02gを24時間浸漬して行った。その結果も表2に示し、いずれも概略95%以上の吸着率(除去率)が得られることが判る。
【0042】
【表2】
【0043】
[実施例3]
基材であるポリエチレン(鞘)/ポリプロピレン(芯)の芯鞘短繊維サーマルボンド不織布(以下、PE/PP−TBと略記)に、ドライアイス温度条件下で、電子線50kGyを照射したのち、予め、窒素ガスを用いて脱酸素化したリンモリブデン酸モノマー溶液中で、40℃、3時間反応させた。
前記モノマー溶液は、リンモリブデン酸アンモニウムを0.3mol%と、架橋剤としてポリエチレングリコール#400ジメタクリレート(9G)をGMAのモル濃度に対して1mol%添加したグリシジルメタクリレート水溶液中であり、グラフト付加反応は、エマルジョン状態で実施した。このときの反応率(Dg)は、210%であった。
得られたフィルター材不織布(a)に対し、50μg/L(ppb)に調整した安定性セシウム水溶液50ml中で2時間浸漬攪拌したところ、いずれも99%以上の除去率であった。
【0044】
[実施例4]
基材のセルロース製不織布を、ドライアイス温度条件下で電子線30kGyを照射したのち、グリシジルメタクリレート(GMA)10%とジメチルスルホキシド(DMSO)90%を混合したモノマー重量に対して、界面活性剤(Tween80)を0.8重量%、架橋剤としてトリアリルイソシアヌレート(TAIC)をGMAのモル濃度に対して5mol%、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)をGMAのモル濃度に対して0.4mol%である混合モノマー液に、浸漬して反応させた。
この混合モノマーは、予め、ホモジナイザーを用い、均一にしたのち、窒素ガスを用いて溶液内の酸素と置換した。40℃、2時間反応させた後、蒸留水でグラフト重合物を洗浄したのち、目的のフィルター材不織布(a)を得た。このときの反応率(Dg)は、180%であった。
得られたフィルター材不織布(a)に対し、50μg/Lに調整した安定性セシウム水溶液50ml中で2時間浸漬攪拌したところ、いずれも99%以上の除去率であった。また、攪拌時のリンモリブデン酸基の脱離率は、0.1%未満であった。
【0045】
[実施例5]
リンモリブデン酸基を有するセシウム除去フィルター材不織布(a)のリガンド安定性を高めるため、リンモリブデン酸基が脱離しない構造を有する合成方法として、2段グラフト重合を行った。
1段階目のグラフト重合では、基材である前記実施例1で用いたポリエチレン製不織布(PE−TB)をポリエチレン製の袋に入れて袋内の酸素を除いた後、ドライアイス温度下で電子線50〜100kGyを照射した。
グラフト重合では、グリシジルメタクリレート(GMA)10および40重量%とジメチルスルホキシド(DMSO)を各々90および10重量%を混合したモノマー重量に対して、界面活性剤(Tween80)を0.8重量%、リンモリブデン酸アンモニウム・n水和物(AMP)をGMAのモル濃度に対して0.4mol%になるように調整し、使用した。
さらに、この混合モノマーに、架橋剤として2官能メタクリレート系モノマーのポリエチレングリコール#400ジメタクリレート(9G)をGMAのモル濃度に対して1mol%混合させ、均一になるように攪拌した。
照射後の基材を、重合用アンプルに入れて、窒素ガスでバブリングしたモノマー溶液と接触させた。40℃、1〜2時間反応させた後、蒸留水でグラフト重合物を洗浄し、目的の1段階目のグラフト物を得た。
次いで、得られたグラフト物をポリエチレン製の袋に入れて袋内を脱酸素化した後、ドライアイス温度下で電子線10kGyを照射した。照射後の1段グラフト物は、さらに、グリシジルメタクリレート(GMA)2%と蒸留水90%を混合したモノマー重量に対して、界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20))1.5重量%を、混合して得られるモノマー溶液中に浸漬した。
このGMAモノマー溶液は、予め、アルゴンガスで脱酸素化を行った。40℃、2時間接触させた後、蒸留水でグラフト重合物を洗浄し、2段グラフト重合物のフィルター材不織布(a)を得た。得られたグラフト物の反応率を、各々下記表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
得られた2種のフィルター材不織布(a)(試料A、B)に対し、50μg/Lに調整した安定性セシウム水溶液50ml中で2時間浸漬攪拌したところ、いずれも99%以上の除去率であった。また、吸着時のリンモリブデン酸基の脱離率は0.3%未満であった。
【0048】
[実施例6]
ドライアイス温度条件下で電子線50kGyを照射した実施例2で用いたポリアミド製不織布基材(PA−MB)を、グリシジルメタクリレート(GMA)10重量%とジメチルスルホキシド(DMSO)90重量%を混合したモノマー重量に対して、界面活性剤(Tween80)を1重量%、架橋剤としてトリアリルイソシアヌレート(TAIC)をGMAのモル濃度に対して5、10及び20mol%、リンモリブデン酸アンモニウム・n水和物(AMP)をGMAのモル濃度に対して0.4mol%である混合モノマーを使用した。
この混合モノマーは、予め、ホモジナイザーを用い、均一になるように攪拌した。反応は40℃、2時間行い、反応率を算出した。反応率は、TAICが5、10、20mol%に対して各々240、230、210%であり、ほとんど差異は見られなかった。
得られた3種のフィルター材不織布(a)に対し、50μg/Lに調整した安定性セシウム水溶液50ml中で2時間浸漬攪拌したところ、いずれも99%以上の除去率であった。また、攪拌時のリンモリブデン酸基の脱離率は、0.02%から0.1%の範囲であった。
上記実施例1〜6の概要と評価結果をまとめて表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
[比較例1]
上記実施例との対比のため、リンモリブデン酸基以外のイオン交換基を付加した各種不織布を作製した。
不織布基材は、実施例3で用いたPE/PP−TB不織布を用いた。
そこでまず、この不織布基材に、50kGyのγ線を照射し、照射後の該不織布を、予め窒素バブリングしたエマルション化したグリシジルメタクリレート(GMA)に浸漬し、55℃に保持しながら、エマルショングラフト重合反応を4時間行った。
このGMAグラフトモノマー液は、液量全体重量基準で、GMA5%と界面活性剤(Tween20、関東化学株式会社製)を0.5重量%含む純水エマルション溶液である。グラフト重合反応後のグラフト率を評価したところ、GMA反応率は、120%であった。このGMA(エポキシ基含有)グラフト不織布に、以下の比較例にみる官能基を転化反応によりイオン交換能を付与した。
【0051】
上記のGMAグラフト重合不織布に、強カチオン性官能基の代表例として、スルホン酸基を転化付与した。
スルホン酸基の導入には、10%亜硫酸ナトリウム水溶液を用い、80℃、9時間反応させて、スルホン酸基を導入した。下式に示すスルホン化転化率(%)として、スルホン酸基に転化される前のエポキシ基のモル数に対するエポキシ基から転化したスルホン酸基のモル数の割合を算出した。
転化率(%)=100×エポキシ基から転化したスルホン酸基のモル数/スルホン酸基に転化される前のエポキシ基のモル数
スルホン化後の当該不織布の目付重量は230g/m
2、転化率は45%であった。これから、不織布単位重量当りのイオン交換当量は、1.7meq/gと計算される。また、このときのスルホン化不織布の厚みは、0.83mmであった。
比較例1の概要とセシウム吸着試験結果を表5に示す。
【0052】
[比較例2]
上記と同様に、GMAをグラフトした不織布(比較例1に同じ)を用いて、強アニオン性官能基の代表として、トリメチルアミン(TMA)(強酸塩)を用いて、80℃1時間の浸漬により4級アミノ基を付加(転化)させた。
比較例2の概要とセシウム吸着試験結果を表5に示す。
【0053】
[比較例3]
前記GMAグラフト不織布(比較例1に同じ)を用いて、弱アニオン基として、イミノジエタノール(IDE)に80℃、4時間浸漬して、イミノジエタノール基を付加(転化)させた。
比較例3の概要とセシウム吸着試験結果を表5に示す。
【0054】
[比較例4]
前記GMAグラフト不織布(比較例1に同じ)を用いて、キレート基として、イミノジ酢酸(IDA)に80℃、20時間浸漬して、イミノジ酢酸基を付加(転化)させた。
比較例4の概要とセシウム吸着試験結果を表5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
表4、5の対比により、本発明の濾材としては、特にリンモリブデン酸基付与の不織布が雑多な金属イオンを含む溶存液の中から、選択的にセシウムを吸着する能力があることが見い出され、所望される用途に、望ましいことが判る。
【0057】
次に、不織布(a)、(b)、(c)を用いたフィルターカートリッジの作製例を、以下に示す。
先ず、フィルターカートリッジの性能評価方法を下記に示す。
【0058】
[フィルターカートリッジの濾過性能評価]
1.通液試験及び通液試験装置
濾過性能を評価するために使用された通液試験装置の概要を、
図2に示す。試験液は、カートリッジ内をOUT−INで通過するように、ハウジング11の流入管12よりカートリッジ内に導入され、排出管13より外部に設けられた吸引ポンプによって排出される。ハウジング内には、カートリッジ15が上下エンドキャッブ14、14’を介して固定されており、試験液は、カートリッジ15の外側より流入し、各層内部を通過し、カートリッジのコアの内部空間を通して排出管13より外部に排出される。
なお、本実施例では、測定試験液は、前記のセシウム標準液(1,000ppm)を上水で20,000倍希釈し、濃度50ppbのセシウム溶存液を使用した。
【0059】
2.フィルターカートリッジの性能評価方法
(1)セシウム濃度の測定
カートリッジの性能評価について、上記の通液試験にてセシウム溶存液を、通液濾過し[1.5〜3.1L/min(SV値として400〜800h
−1)]、通液前後の液について、液中のセシウム濃度を測定した。
【0060】
(2)微粒子ダストの測定
微粒子ダストについては、下記の測定法によりダスト捕集効率を測定し、評価した。
すなわち、測定試験液は、超純水を用い、これに市販されている1μm標準ダストを加え、これを、セシウムを吸着した微粒子ダストと想定し、10L/minで、前記カートリッジに通液したときのダストの通過をパーティクルカウンター(Hiac Royco Model 8000A)を用いて計測し、カートリッジのダスト捕集率を計測した。
【0061】
3.フィルターカートリッジの作製
カートリッジの作製に際し、濾過層(A)に用いる不織布(a)は、前記実施例1〜3で作製したリンモリブデン酸基付与不織布を用いた。
【0062】
次に、濾過層(B)に用いるメルトブロー不織布(b)は、本明細書に記載された好ましい範囲の中から以下の仕様の市販品(三井化学製、ポリプロピレン製メルトブロー不織布、商品名シンテックス)を選定し、濾過層(B)を形成する不織布に用いた。
目付重量:30g/m
2
平均繊維径:4μm
厚み:0.3mm
平均孔径:23μm
【0063】
また、濾過層(C)に用いるナノファイバー不織布(c)は、本明細書に記載された好ましい範囲の中から以下の仕様にて作製した。
・ナノファイバーの目付重量:1g/m
2
・ナノファイバー素材:PVDF(DMF溶媒に10%溶解)
・支持体不織布:ポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付重量20g/m
2)
・ナノファイバー繊維径:平均100nm(50〜150nmの範囲に分布)
・製作装置:エルマルコ社製エレクトロスピニング装置、NS LAB500
なお、ナノファイバー不織布(c)は、ナノファイバーと支持体不織布が積層された複合不織布であり、その平均孔径は0.6μmであった。
【0064】
フィルターカートリッジの作製のために準備された上記の不織布(a),(b),(c)を用いて、本明細書に記載された製造方法により、以下に示すフィルターカートリッジを作製した(以下、単にカートリッジともいう)。
尚、本通液試験に供するフィルターカートリッジの仕様は、以下のように定めた。
・カートリッジ外寸:62mm
・カートリッジ内寸:30mm
・カートリッジ高さ:25mm
フィルター濾材となる不織布(a),(b),(c)の巻き数などについては、上記の寸法の制約の中で、適宜選定し、表6(実施例)に示した。
尚、その巻き数については、限定されるものではなく、本発明の機能原理を説明するために設定されたものであり、その寸法は、用途により、適宜、変更される。
【0065】
[実施例7−1]
カートリッジのコア上に、濾過層(A)を形成させるために、実施例1で得られたリンモリブデン酸基付加型の不織布(a)を40層巻き回し、前記寸法諸元のカートリッジ内に収納した。
次に、端部を、エンドキャップを用いて、熱シールして、カートリッジを作製した。このカートリッジについて、前記の通液試験装置と評価方法によって、通液前後の溶存セシウム濃度、及びダスト含量を測定した。その結果を表6にまとめた。
【0066】
[実施例7−2]
カートリッジのコア上に、まず濾過層(B)を形成させるために、前記メルトブロー不織布(b)を26層にわたり巻き回した。次いで、濾過層(A)として実施例1で得られたリンモリブデン酸基付加型の不織布(a)を無作為に選んで6層巻き回し、前記寸法諸元のカートリッジ内に収納した。
次に、端部を、エンドキャップを用いて熱シールして、カートリッジを作製した。このカートリッジについて、前記の通液試験装置と評価方法によって、通液前後の溶存セシウム濃度、及びダスト含量を測定した。その結果を表6にまとめた。
【0067】
[実施例8]
濾過層(A)を構成する不織布(a)に、実施例2で得られたものを使用した以外は、実施例7−2と同様にして、カートリッジを作製した。このカートリッジについて、前記の通液試験装置と評価方法によって、通液前後の溶存セシウム濃度、及びダスト含量を測定した。その結果を表6にまとめた。
【0068】
[実施例9]
濾過層(A)を構成する不織布(a)に、実施例3で得られたものを使用した以外は、実施例7−2と同様にして、カートリッジを作製した。このカートリッジについて、前記の通液試験装置と評価方法によって、通液前後の溶存セシウム濃度、及びダスト含量を測定した。その結果を表6にまとめた。
【0069】
[実施例10]
カートリッジのコア上に、濾過層(C)を形成するために、前記ナノファイバー不織布(c)を2層にわたり巻き回し、次いで、濾過層(B)として、前記のメルトブロー不織布(b)を26層にわたり巻き回し、さらにその上に、濾過層(A)として、実施例1で得られたリンモリブデン酸基付加不織布(a)を6層巻き回し、前記寸法諸元のカートリッジ内に収納した。
次に、端部を、エンドキャップを用いて熱シールして、カートリッジを作製した。このカートリッジについて、前記の通液試験装置と評価方法によって、通液前後の溶存セシウム濃度、及びダスト含量を測定した。その結果を表6にまとめた。
【0070】
[実施例11]
濾過層(A)を構成する不織布(a)に、実施例2で得られたものを使用した以外は、実施例10と同様にして、カートリッジを作製した。このカートリッジについて、前記の通液試験装置と評価方法によって、通液前後の溶存セシウム濃度、及びダスト含量を測定した。その結果を表6にまとめた。
【0071】
【表6】
【0072】
[評価結果の考察]
表6に示された評価結果から、本発明のフィルターカートリッジ(実施例7−2、実施例8〜11)は、セシウムを効率よく除去するとともに、微粒子ダストも、同時に高効率で捕捉できることが判る。また、濾過層(A)のみのフィルターカートリッジ(実施例7−1)でも、セシウムを効率よく除去するとともに、微小ダストを80%以上除去できることも判る。