特許第6089197号(P6089197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6089197ウェアラブルデバイス用プログラム、ウェアラブルデバイス、管理用プログラム及び管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6089197
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】ウェアラブルデバイス用プログラム、ウェアラブルデバイス、管理用プログラム及び管理装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20170227BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   H04M11/00 302
   H04M3/42 U
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-117484(P2015-117484)
(22)【出願日】2015年6月10日
(65)【公開番号】特開2017-4249(P2017-4249A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2015年8月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512121004
【氏名又は名称】ミライアプリ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513282939
【氏名又は名称】有限会社アクアニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】渡嘉敷 守
(72)【発明者】
【氏名】大澤 寛
【審査官】 山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−006290(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/104483(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/130946(WO,A2)
【文献】 特開2005−115796(JP,A)
【文献】 特表2008−533757(JP,A)
【文献】 特開2000−004484(JP,A)
【文献】 特開平10−148694(JP,A)
【文献】 特開2015−061227(JP,A)
【文献】 上田 宏高ら,ウェアラブルコンピューティング環境における電子メールシステムの設計,情報処理学会研究報告,日本,社団法人情報処理学会,1999年 8月20日,Vol.99,No.69,pp.61-66
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00− 5/01
G06F 13/00
G08B 23/00−31/00
H04B 1/38− 1/58
7/24− 7/26
H04M 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00−11/10
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所持者が自らの体に装着する装着部を有するウェアラブルデバイスが備えるコンピュータに、
外部との情報の送受信を行う通信処理と、
前記通信処理により受信した発信装置からの位置情報に基づいて、前記ウェアラブルデバイスが存在する位置を判定する現在位置判定処理と、
前記ウェアラブルデバイスの所持者の情報である所持者情報を、少なくとも前記所持者との接触を介して入力する所持者情報入力処理と、
前記所持者情報を、前記位置情報とともに出力することにより、前記通信処理により外部に送信させる所持者情報出力処理と、
前記通信処理により受信した外部からの通知情報を、前記現在位置判定処理により判定された位置に応じて受け付ける通知情報受付処理と、
前記通知情報受付処理により受け付けた通知情報を、少なくとも前記所持者との接触を介して伝達する通知情報出力処理と、
を実行させることを特徴とするウェアラブルデバイス用プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータに、前記通信処理による発信装置からの位置情報の受信タイミングを、状況に応じて変化させるタイミング調整処理を実行させることを特徴とする請求項1記載のウェアラブルデバイス用プログラム。
【請求項3】
前記状況は、前記所持者の移動距離であることを特徴とする請求項2記載のウェアラブルデバイス用プログラム。
【請求項4】
前記状況は時間帯であることを特徴とする請求項2記載のウェアラブルデバイス用プログラム。
【請求項5】
前記状況は、前記ウェアラブルデバイスが備える通信部が外部から通知情報を受信する頻度であることを特徴とする請求項2記載のウェアラブルデバイス用プログラム。
【請求項6】
前記コンピュータに、
加速度センサから入力される信号に基づいて、前記所持者の移動距離を判定する距離判定処理と、
地磁気センサから入力される信号に基づいて、前記所持者の移動方向を判定する方向判定処理と、
前記距離判定処理により判定された距離と、前記方向判定処理により判定された方向とに基づいて、移動位置を予測する予測処理と、
前記予測処理により予測した移動位置と、前記現在位置判定処理により判定された移動位置とが相違する場合に、前記方向判定処理により判定される方向を補正する補正処理と、
前記予測処理により予測した移動位置と、前記現在位置判定処理により判定された移動位置とが一致する場合に、前記移動位置の位置情報を外部に送信させる送信処理と、
を実行させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のウェアラブルデバイス用プログラム。
【請求項7】
所持者が自らの体に装着する装着部と、
外部との情報の送受信を行う通信部と、
前記通信部が受信した発信装置からの位置情報に基づいて、所持者が存在する位置を判定する現在位置判定部と、
前記所持者の情報である所持者情報を、少なくとも前記所持者との接触を介して入力する所持者情報入力部と、
前記所持者情報を、前記位置情報とともに出力することにより、前記通信部により外部に送信させる所持者情報出力部と、
前記通信部が受信した外部からの通知情報を、前記現在位置判定部により判定された位置に応じて受け付ける通知情報受付部と、
前記通知情報受付部が受け付けた通知情報を、少なくとも前記所持者との接触を介して伝達する通知情報出力部と、
を有することを特徴とするウェアラブルデバイス。
【請求項8】
加速度センサ及び地磁気センサを有し、
前記現在位置判定部は、
前記加速度センサから入力される信号に基づいて、前記所持者の移動距離を判定する距離判定部と、
地磁気センサから入力される信号に基づいて、前記所持者の移動方向を判定する方向判定部と、
前記距離判定部により判定された距離と、前記方向判定部により判定された方向とに基づいて、移動位置を予測する予測部と、
前記予測部により予測した移動位置と、前記現在位置判定部により判定された移動位置とが相違する場合に、前記方向判定部により検出される移動方向を補正する補正部と、
を有し、
前記予測部により予測した移動位置と、前記現在位置判定部により判定された移動位置とが一致する場合に、前記通信部が前記移動位置の位置情報を外部に送信することを特徴とする請求項記載のウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客へサービスを提供するスタッフが所持することにより、業務の遂行を支援するウェアラブルデバイス用プログラム、ウェアラブルデバイス、管理用プログラム及び管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駅、空港等の公共施設、ショッピングモール、デパート、ホテル等の商業施設においては、顧客へのサービス提供のための業務を遂行するスタッフが、多数働いている。このようなスタッフ間では、顧客へ提供するサービスや、業務を管理する組織内での必要性から、業務遂行中に、スタッフと管理者又はスタッフ間で相互に種々の連絡を行う必要がある。
【0003】
このような連絡手段としては、トランシーバ等の専用の装置の他、携帯電話やスマートフォン等の音声による通信装置が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4452218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トランシーバ、携帯電話、スマートフォンの音声による連絡は、スタッフによる接客が中断されたり、顧客への対応が後回しにされたりする等、顧客に対して不快感を与える場合がある。また、呼び出し音や通話音声等は、施設内での不特定多数の顧客に聞こえるため、不快感を与える場合もある。
【0006】
一方、業務遂行中に、管理者が特定の複数のスタッフを呼び出す必要がある場合が生じる。かかる場合には、各スタッフが所持しているトランシーバ、携帯電話、スマートフォン等にあらかじめ設定された番号等を指定して呼び出す必要があり、呼び出し作業が非常に面倒である。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するもので、その目的は、周囲に与える影響を抑えて、所望のスタッフに簡単に連絡することが可能なウェアラブルデバイス用プログラム、ウェアラブルデバイス、管理用プログラム及び管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような目的を達成するために、本発明のウェアラブルデバイス用プログラムは、所持者が自らの体に装着する装着部を有するウェアラブルデバイスが備えるコンピュータに、外部との情報の送受信を行う通信処理と、前記通信処理により受信した発信装置からの位置情報に基づいて、前記ウェアラブルデバイスが存在する位置を判定する現在位置判定処理と、前記ウェアラブルデバイスの所持者の情報である所持者情報を、少なくとも前記所持者との接触を介して入力する所持者情報入力処理と、前記所持者情報を、前記位置情報とともに出力することにより、前記通信処理により外部に送信させる所持者情報出力処理と、前記通信処理により受信した外部からの通知情報を、前記現在位置判定処理により判定された位置に応じて受け付ける通知情報受付処理と、前記通知情報受付処理により受け付けた通知情報を、少なくとも前記所持者との接触を介して伝達する通知情報出力処理と、を実行させることを特徴とする。
【0009】
前記コンピュータに、前記通信処理による発信装置からの位置情報の受信タイミングを、状況に応じて変化させるタイミング調整処理を実行させてもよい。
【0010】
前記状況は、前記所持者の移動距離としてもよいし、時間帯としてもよいし、前記通信部が外部から通知情報を受信する頻度としてもよい。
【0011】
前記コンピュータに、加速度センサから入力される信号に基づいて、前記所持者の移動距離を判定する距離判定処理と、地磁気センサから入力される信号に基づいて、前記所持者の移動方向を判定する方向判定処理と、前記距離判定処理により判定された距離と、前記方向判定処理により判定された方向とに基づいて、移動位置を予測する予測処理と、前記予測処理により予測した移動位置と、前記現在位置判定処理により判定された移動位置とが相違する場合に、前記方向判定処理により判定される方向を補正する補正処理と、前記予測処理により予測した移動位置と、前記現在位置判定処理により判定された移動位置とが一致する場合に、前記移動位置の位置情報を外部に送信させる送信処理と、を実行させてもよい。
【0013】
本発明は、上記の各処理の機能を実現するウェアラブルデバイスとして捉えることもできる。
【発明の効果】
【0014】
以上のような本発明によれば、周囲に与える影響を抑えて、所望のスタッフに簡単に連絡することが可能なウェアラブルデバイス用プログラム、ウェアラブルデバイス、管理用プログラム及び管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態における業務支援システムを示す全体構成図
図2】実施形態におけるウェアラブルデバイスを示すブロック図
図3】実施形態における管理装置を示すブロック図
図4】実施形態における位置情報の出力処理を示すフローチャート
図5】実施形態における移動位置の出力処理を示すフローチャート
図6】実施形態における通知情報の入力処理を示すフローチャート
図7】実施形態における通知情報の出力処理を示すフローチャート
図8】複数のエリア間におけるスタッフの移動の態様を示す説明図
図9】通知情報の入力と出力の態様を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
[構成]
[概要]
本発明を実施するための形態(以下「本実施形態」と呼ぶ)について、図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態は、スタッフが顧客へサービスを提供する業務を支援する業務支援システムに適用される。ここでいうサービスは、公共施設、商業施設で提供されるサービスを含み、イベント等、一時的に開催される会場で提供されるサービス、医療等、一対一で提供されるサービスも含む。スタッフは、サービスを提供するために業務を遂行する人員である。顧客は、これらのサービスの提供を受ける者である。サービスが有償か無償かは問わない。
【0017】
図1に示すように、業務支援システムAは、ウェアラブルデバイスD1〜Dn(以下、単にウェアラブルデバイスDとする)、管理デバイスS1、管理サーバS2、アクセスポイントPを有する。ウェアラブルデバイスDは、ネットワークNを介して相互に又は管理デバイスS1、管理サーバS2との間で、情報を送受信可能な情報通信端末である。ウェアラブルデバイスDは、本体ユニットUと、人体に装着する装着部Bを有する。ウェアラブルデバイスDとしては、例えば、腕時計型の情報通信端末を用いる。この場合、本体ユニットUは、薄型の筐体内に、後述する処理部を備えたコンピュータを内蔵している。装着部Bは、腕に巻いて止めるバンドである。このウェアラブルデバイスDは、所持者である各スタッフが、自らの腕に装着して使用する。
【0018】
管理デバイスS1、管理サーバS2は、ネットワークNを介して、相互に又はウェアラブルデバイスDと情報の送受信が可能な管理装置である。管理デバイスS1、管理サーバS2は、サービスの全体又は一部を管理する主体が使用する。例えば、サービスの全体は管理サーバS2を用いて管理して、特定の業務、特定のグループについては管理デバイスS1を用いて管理することができる。管理デバイスS1、管理サーバS2には、各ウェアラブルデバイスDからの所持者情報が収集され、これに基づいて、運営者、管理者が各スタッフの活動を支援する。
【0019】
アクセスポイントPは、ネットワークNとウェアラブルデバイスD、管理デバイスS1との通信の中継を行う中継装置である。このアクセスポイントPは、位置情報を発信する発信装置でもある。アクセスポイントPは、典型的には、WiFiの無線LANアクセスポイントである。各アクセスポイントPには、識別情報、設置場所に関する位置情報が登録され、発信されるビーコンには、識別情報及び設置場所に関する情報が含まれる。例えば、設置された施設が、複数のエリアに区分され、各エリアに設置されたアクセスポイントPに、エリア毎に異なる位置情報が付与されている。
【0020】
ウェアラブルデバイスD、管理デバイスS1、管理サーバS2、アクセスポイントPは、主としてプログラムで制御されるコンピュータにより構成される。この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能である。
【0021】
特に、ウェアラブルデバイスDは、上記のように、時計型の情報通信端末、管理デバイスS1はスマートフォン、管理サーバS2はパーソナルコンピュータに、アプリケーションプログラム(以下、単に、アプリと呼ぶ)をインストールすることにより構成できる。後述する各部の処理に必要な各種の設定、演算式、パラメータ等は、あらかじめ内蔵の若しくはリムーバブルなメモリが記憶している。後述する記憶部は、このようなメモリの記憶領域の一部として構成できる。また、以下の説明では、主として、ローカルなインストールを必要とするアプリの例で説明しているが、外部のサーバとの連携によるWebアプリであっても適用可能である。
【0022】
また、本発明は、上記のようなプログラム、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記憶媒体としても把握できる。以下の説明では、本実施形態の各機能をブロックで図示した仮想的ブロック図を用いる。
【0023】
[ウェアラブルデバイス]
ウェアラブルデバイスDは、上記のように、所持者が自らの体に装着する装着部Bを有する装置である。このウェアラブルデバイスDは、図2に示すように、通信部1、タイミング調整部11、現在位置判定部2、所持者情報入力部3、情報変換部41、所持者情報出力部42、通知情報受付部5、通知情報出力部6を有する。
【0024】
(通信部)
通信部1は、外部との情報の送受信を行う処理部である。通信部1は、ネットワークNを介して、管理デバイスS1、管理サーバS2及び他のウェアラブルデバイスDとの間で情報を送受信できる。ネットワークNは、多対1、多対多、1対1のいずれの関係でもよい。たとえば、通信部1は、WiFi等の無線LAN、WiFi Direct等によって、管理デバイスS1、管理サーバS2、ウェアラブルデバイスD相互間の接続機能を有する。通信部1は、アクセスポイントPが発信するビーコンに含まれる位置情報を受信する。この受信処理を、ビーコンスキャンと呼び、ビーコンスキャンを行うタイミングをスキャンタイミングと呼ぶ。
【0025】
(タイミング調整部)
タイミング調整部11は、アクセスポイントPからの位置情報の受信タイミング、つまりスキャンタイミングを、状況に応じで変化させる処理部である。「状況に応じて」とは、「時間の経過により発生又は変化する状態に応じて」の意味である。「起動時に」、「時間帯に応じて」、「移動距離に応じて」、「通信部1が外部から通知情報を受信する頻度に応じて」は、「状況に応じて」に含まれる。通知情報については後述する。「移動距離に応じて」は、「移動の有無に応じて」を含む。このように、受信タイミングを調整するのは、消費電力を節約するためである。
【0026】
例えば、一日の時間帯のうち、早い方を受信頻度を少なくし、遅い方を受信頻度を多くする。これは、朝の方が顧客の数が少ないためにスタッフの移動が少なく、夕方になるに従って、顧客の数が増えてスタッフの移動が増えるからである。また、例えば、後述する通知情報を受信する頻度が多いほど、スタッフの移動が多いと考えられるので、受信頻度を多くしてもよい。
【0027】
スタッフの移動の多寡には、移動しているスタッフの数の大小、各スタッフの移動量の大小を含む。このスタッフの移動を検出して、受信頻度を決定してもよい。つまり、後述する加速度センサ31によりスタッフの移動が検出された場合のみ受信したり、スタッフの移動の頻度や、移動しているスタッフの数が多いほど、受信頻度を多くしてもよい。
【0028】
(位置判定部)
現在位置判定部2は、通信部1が受信したアクセスポイントPからの位置情報に基づいて、ウェアラブルデバイスDが存在する位置、つまりスタッフの位置を判定する処理部である。現在位置判定部2は、信号検出部21、位置判定部22、距離判定部23、方向判定部24、予測部25、比較部26、補正部27を有する。
【0029】
信号検出部21は、アクセスポイントPから受信したビーコンに含まれる位置情報を検出する処理部である。この位置情報は、例えば、各アクセスポイントPが設置された所定のエリアを識別する情報である。位置判定部22は、位置情報に基づいて、ウェアラブルデバイスDの位置を判定する処理部である。つまり、位置判定部22は、ウェアラブルデバイスDを装着している所持者の位置を判定する。なお、アクセスポイントPの位置情報による位置の検出には、種々の手法が適用可能である。複数のエリアのアクセスポイントPからのビーコンを受信した場合には、電波強度等、他の情報を加味して判定してもよい。
【0030】
距離判定部23は、後述する加速度センサ31からの信号に基づいて、所持者の移動距離を判定する処理部である。移動距離は、移動した長さでもよいが、歩数であってもよい。つまり、歩数をカウントすることにより、大まかな距離を判定できる。このため、加速度センサ31及び距離判定部23は、歩数計デバイスとして構成されたものも含む。方向判定部24は、後述する地磁気センサ32からの信号に基づいて、所持者の移動方向を判定する処理部である。
【0031】
予測部25は、距離判定部23が判定した距離、方向判定部24が判定した方向とに基づいて、ウェアラブルデバイスDが移動した位置、つまり所持者が移動した位置を予測する処理部である。この予測には、あらかじめ設定されたマップ情報を用いることが望ましい。マップ情報は、アクセスポイントPの設置領域の座標等を含む地図情報である。つまり、マップ上の現在位置からの移動距離と方向によって、移動先の位置が予測できる。エリア単位で位置を判定する場合には、大まかな位置判定となるが、予測は容易となる。
【0032】
比較部26は、予測部25が予測した移動位置と、位置判定部22が移動先で判定した移動位置とが、一致するか否かを判定する処理部である。補正部27は、予測部25が予測した移動位置と、位置判定部22が判定した移動位置とが相違する場合に、方向判定部24による方向を補正する処理部である。なお、補正部27による補正は、地磁気センサ32をリセットするように、後述する振動部61の振動、表示部62の画像により促すことにより行ってもよい。
【0033】
(所持者情報入力部)
所持者情報入力部3は、ウェアラブルデバイスDの所持者の情報である所持者情報を、少なくとも所持者との接触を介して入力する処理部である。所持者情報入力部3は、加速度センサ31、地磁気センサ32、タッチセンサ33、脈拍センサ34、温度センサ35、カメラ36、マイク37を有する。
【0034】
加速度センサ31は、傾き及び振動を感知して、傾きや振動の程度に応じた電気信号に変換するセンサである。地磁気センサ32は、磁場の大きさや方向を感知して、方向に応じた電気信号に変換するセンサである。
【0035】
タッチセンサ33は、表面への接触を感知するセンサである。このタッチセンサ33は、所持者との接触を介して所持者情報を入力する手段である。タッチセンサ33は、例えば、後述する表示部62に構成されたタッチパネルであり、タップ、スライド等の入力操作を可能とする。タップは、指で表面を短くタッチすることであり、スライドは表面を指で触れながら移動させることである。但し、タップは表面に触れている時間が短い操作、スライドは表面に触れている時間が長い操作を便宜的に示したに過ぎず、フリック、スワイプ等の他の呼び名であってもよい。
【0036】
脈拍センサ34は、所持者に接触し、所持者の脈拍を検出するセンサである。この脈拍センサ34も、所持者との接触を介して所持者情報を入力する手段である。脈拍センサ34としては、例えば、紫外線の照射と反射により脈拍を検出するセンサを用いることができる。温度センサ35は、所持者に接触して、所持者の体温に応じた電気信号に変換するセンサである。この温度センサ35も、所持者に接触して、所持者情報を入力する手段である。
【0037】
カメラ36は、静止画若しくは動画を撮像して、画像データ、動画データとして入力する装置である。マイク37は、周囲の音声を電気信号に変換する入力装置である。
【0038】
(情報変換部、所持者情報出力部)
情報変換部41は、所持者情報入力部3により入力された所持者情報を、業務支援システムAの処理、スタッフや管理者の認識に適した形式に変換する処理部である。情報の変換は、加速度センサ31、地磁気センサ32、脈拍センサ34、温度センサ35からの信号を、傾き、振動、方向、脈拍、体温等のそれぞれの検出情報に応じたパラメータへの変換を含む。また、情報の変換は、タッチセンサ33から入力された信号のパルス信号への変換を含む。
【0039】
また、情報の変換は、カメラ36により撮像された画像データ、動画データに基いて、所持者の姿勢、瞼の開閉度合い、表情等を示すパラメータへ変換する処理を含む。さらに、情報の変換は、マイク37により入力された信号を、音の大きさを示すパラメータへ変換する処理を含む。
【0040】
なお、情報変換部41は、所持者情報入力部3から入力された情報を、全て変換する必要はない。例えば、所持者情報入力部3から入力された情報をそのまま所持者情報出力部42に出力し、これを通信部1が管理デバイスS1、管理サーバS2に送信してもよい。この場合、管理デバイスS1、管理サーバS2が、上記のような情報の変換を行う情報変換部を有する。
【0041】
所持者情報出力部42は、所持者情報を、各ウェアラブルデバイスD1の識別情報及び位置情報とともに出力し、通信部1に送信させる処理部である。この所持者情報出力部42が出力する識別情報、位置情報及び所持者情報により、これを受信した管理デバイスS1、管理サーバS2を使用する管理者が、各ウェアラブルデバイスDの所持者の位置、状況を把握できる。
【0042】
(通知情報受付部)
通知情報受付部5は、通信部1が受信した外部からの通知情報を、条件に応じて受け付ける処理部である。通知情報受付部5は、条件判定部51、通知情報判定部52を有する。条件判定部51は、通知情報に含まれる条件を判定し、受け付けるか否かを判定する処理部である。例えば、条件判定部51は、通知情報に含まれる位置情報と、ウェアラブルデバイスDの位置情報とに基いて、自分宛の通知情報か否かを判定し、自分宛の通知情報のみを受け付ける。これにより、例えば、所定のエリアにいるスタッフのみが、特定の通知情報を受け取ることができる。
【0043】
通知情報判定部52は、条件判定部51が受け付けた通知情報がどのような通知情報かを判定して、通知情報出力部6における対応する処理部に出力する処理部である。例えば、通知情報判定部52は、振動による通知を、後述する振動部61に出力し、画面表示による通知を、後述する表示部62に出力する。
【0044】
(通知情報出力部)
通知情報出力部6は、通知情報受付部5が受け付けた通知情報を、少なくとも所持者との接触を介して伝達する処理部である。通知情報出力部6は、振動部61、表示部62、レベル制限部63を有する。振動部61は、振動により通知情報を出力する装置である。この振動部61は、所持者との接触を介して、通知情報を所持者に伝達する手段である。振動部61は、例えば、モータを駆動源として、振動を発生させるバイブレータを用いることができる。振動部61は、通知情報に応じて、連続した振動に限らず、パルス信号に応じた間欠した振動を出力することができる。
【0045】
表示部62は、例えば、静止画、動画、テキストのように、ユーザが視覚的に認識する画像を表示するディスプレイである。表示部62は、上記のタッチセンサ33による入力のための画面インタフェースを表示することができる。
【0046】
レベル調整部63は、所持者情報入力部3から入力される所持者情報に応じて、振動部61の振動の大きさを調整する処理部である。例えば、加速度センサ31からの信号に基いて、移動中であると判定できる場合には、振動の大きさを大きくすることができる。但し、例えば、エレベータにより移動していると判定できる場合には、振動を小さくすることができる。また、マイク37からの信号に基いて、周囲の騒音等が大きい場合には、振動を大きくすることができる。振動の大小は、あらかじめ段階に分けて設定されたレベルの中から選択することにより決定できる。
【0047】
なお、ウェアラブルデバイスDは、図示はしないが、上記の各部の処理に必要な情報を記憶する記憶部を有する。記憶部が記憶する情報としては、上記の各部において入力、処理、出力される情報、受信頻度、振動レベル、しきい値等の各種の設定、各ウェアラブルデバイスDの識別情報、所持者の認証情報、アクセスポイントPの設置領域のマップ情報等を含む。
【0048】
[管理デバイス、管理サーバ]
管理デバイスS1、管理サーバS2は、共通の処理部を有する管理装置7として説明する。管理装置7は、通信部71、入力部72、認証部73、表示部74、通知情報生成部75、条件設定部76を有する。通信部71は、ネットワークNを介して、各ウェアラブルデバイスD及び管理装置7との間で情報を送受信する処理部である。
【0049】
この通信部71は、ウェアラブルデバイスDからの所持者情報及び位置情報を受信する受信部、位置情報に応じて、後述する通知情報生成部75が生成した通知情報を送信する送信部として機能する。
【0050】
入力部72は、管理装置7に必要な各種の情報を入力する処理部である。入力部72としては、タッチパネル、キーボード、マウス等を含む。タッチパネルは、後述する表示部74に構成されたものも含む。
【0051】
認証部73は、ウェアラブルデバイスDから受信した各スタッフの認証情報に基づいて、ログインを認証する処理部である。なお、認証部73は、所定の時刻が到来すると、ログインをリセットする。例えば、所定の時刻を業務終了後における特定の時刻とする。これにより、不特定多数のスタッフで、ウェアラブルデバイスDを利用する場合に、日が変わるとログインがリセットされるので、他のスタッフが利用できるようになる。
【0052】
表示部74は、管理装置7に必要な各種の情報を表示する処理部である。表示部74は、例えば、通信部71が受信した所持者情報及び位置情報に基いて、どのスタッフがどのエリアにいるかを表示することができる。また、表示部74は、入力部72による入力のための画面インタフェースを表示することができる。
【0053】
通知情報生成部75は、入力部72による入力に応じて、所持者への通知情報を生成する処理部である。例えば、通知情報生成部75は、タッチパネルからの信号をパルス信号へ変換する。条件設定部76は、入力部72による入力により、通知情報の宛先の条件を設定する処理部である。例えば、入力部72により、通知情報の宛先を、特定の位置にいるウェアラブルデバイスDに限定する条件を設定できる。つまり、所望のエリアを指定して、そのエリアにいるスタッフにのみ通知することができる。また、移動中のウェアラブルデバイスD、静止中のウェアラブルデバイスDに宛先を限定する条件を設定することもできる。この条件は、種々の設定が可能である。
【0054】
なお、図示はしないが、管理装置7も、上記の各部の処理に必要な情報を記憶する記憶部を有する。記憶部が記憶する情報としては、上記の各部において入力、処理、出力される情報、条件、しきい値等の各種の設定、管理装置7の識別情報、各ウェアラブルデバイスDの識別情報、所持者の認証情報、アクセスポイントPの設置領域のマップ情報等を含む。
【0055】
[処理手順]
以上のような本実施形態の処理の一例を、図4図7を参照して説明する。なお、以下のような手順による処理方法も、本発明の一態様である。
【0056】
[位置情報の出力]
公共施設や商業施設において、顧客へのサービスを提供する業務を遂行するスタップは、各自が自らの腕に、ウェアラブルデバイスDを装着して起動する。このとき、ウェアラブルデバイスDは、位置情報を管理装置7に送信する。このような位置情報の出力処理を、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0057】
まず、スタッフが、ウェアラブルデバイスDを起動させてタッチセンサ33により各自の認証情報を入力すると、通信部1がウェアラブルデバイスDの識別情報とともに管理装置7に送信する。管理装置7においては、認証部73がログインを認証する(ステップ101)。この認証により、管理装置7の記憶部には、どのウェアラブルデバイスDをどのスタッフが使用しているかが登録される。
【0058】
通信部1は、起動時は、あらかじめ設定されたスキャンタイミングであるとして(ステップ102のYES)、アクセスポイントPからのビーコンをスキャンする(ステップ103)。つまり、アクセスポイントPが発信している情報を受信する。このスキャンは、信号検出部21が受信した信号から位置情報を検出するまで繰り返す(ステップ104のNO)。
【0059】
信号検出部21が位置情報を検出した場合(ステップ104のYES)、位置判定部22は、その位置情報に基づいて、ウェアラブルデバイスDが存在する現在位置を判定する(ステップ105)。この現在位置を示す位置情報は、例えば、各アクセスポイントPが存在する所定のエリアを単位とする。
【0060】
所持者情報出力部42は、判定した位置情報を、各ウェアラブルデバイスDの識別情報とともに、通信部1に出力する(ステップ106)。通信部1は、入力された識別情報と位置情報を管理装置7に送信する(ステップ107)。
【0061】
このとき、上記のようにウェアラブルデバイスDに入力されている各種の所持者情報も、所持者情報出力部42が出力し、通信部1が送信する。つまり、脈拍センサ34、温度センサ35、カメラ36、マイク37から入力される情報に基づく各種の所持者情報が、情報変換部41、所持者情報出力部42を介して、通信部1によって管理装置7に送信される。
【0062】
管理装置7の通信部71は、各ウェアラブルデバイスDの識別情報と位置情報を受信する。表示部74は、各ウェアラブルデバイスD毎の現在位置、所持者情報を表示する。これにより、管理者は、どのスタッフがどのエリアにいるかが把握できる。また、各種の所持者情報により、各スタッフの状況が把握できる。例えば、各ウェアラブルデバイスDを装着しているスタッフの脈拍、体温、姿勢、瞼の開閉度合、周囲の音量等を表示部74に表示する。これにより、管理者は、スタッフがどのような状況にあるかが把握できる。
【0063】
なお、次回の現在位置の出力は、あらかじめ設定された定期的なスキャンタイミングまで待ち(ステップ102のNO)、スキャンタイミングが到来すると(ステップ102のYES)、ステップ103以降の処理を行う。定期的なスキャンタイミングによる現在位置の送信に合わせて、又は別途設定されたタイミングで、上記のように所持者情報の送信も行われる。
【0064】
さらに、スタッフが表示部62をタップ等した場合に、これをタッチセンサ33が検知して、このタップに対応するパルス信号が、所持者情報として管理装置7に送信される。
【0065】
[移動検出]
次に、スタッフが移動した場合の処理を、図5のフローチャートを参照して説明する。まず、ウェアラブルデバイスDにおける距離判定部23は、移動距離を判定し、方向判定部24は移動方向を判定している(ステップ201)。つまり、距離判定部23は、加速度センサ31により検出される加速度に基いて、歩数をカウントする。方向判定部24は、地磁気センサ32により検出される地磁気に基いて、移動方向を判定する。
【0066】
予測部25は、現在位置からの歩数及び移動方向と、あらかじめ設定されたマップ情報とに基いて、移動先の位置を予測する(ステップ202)。例えば、移動先のエリアを予測する。うタイミング調整部11は、設定時間内の歩数変化がしきい値を超えるまで待つ(ステップ203のNO)。タイミング調整部11は、設定時間内の歩数変化がしきい値を超えた場合(ステップ203のYES)、通信部1が、ビーコンスキャンを行う(ステップ204)。
【0067】
ビーコンスキャンは、信号検出部21が、受信した情報から位置情報を検出するまで行う(ステップ205のNO)。信号検出部21が位置情報を検出した場合(ステップ205のYES)、位置判定部22は、その位置情報に基づいて、現在、ウェアラブルデバイスDが存在する位置を判定する(ステップ206)。例えば、移動先のエリアを判定する。
【0068】
比較部26は、予測による位置とスキャンにより得られた位置とが一致するか否かを判定する(ステップ207)。例えば、予測したエリアと、スキャンしたエリアとが一致するか否かを判定する。一致する場合には(ステップ207のYES)、そのエリアを現在位置として、所持者情報出力部42が出力し(ステップ210)、通信部1が管理装置7に送信する(ステップ211)。この場合も、上記のように所持者情報を送信する。
【0069】
位置が一致しない場合(ステップ207のNO)、スキャン回数が設定値を超えていない場合、再度スキャンを行う(ステップ204)。スキャン及びその後の処理(ステップ204〜207)を繰り返し、スキャン回数が設定値を超えた場合(ステップ208のYES)、補正部27が、地磁気センサ32のエラーとして、方向判定部24により判定した方向を補正する(ステップ209)。その後、ステップ201以降の処理を行う。
【0070】
[通知情報の送信]
管理装置7が、受信した所持者情報に基いて、各ウェアラブルデバイスDへの通知情報を送信する処理を、図6のフローチャートを参照して説明する。まず、管理者は、通知情報を送信する宛先を指定する条件を、入力部72から入力し、これを条件設定部76が設定する(ステップ301)。条件は、例えば、受信先を、特定のエリアに指定する情報とする。
【0071】
そして、管理者は、入力部72から通知情報を入力する(ステップ302)。通知情報生成部75は、入力された通知情報を生成する(ステップ303)。例えば、通知情報として、入力部72により、タップ又は所望の振動パターンの選択がなされると、これに対応するパルス信号が生成される。通信部71は、生成された通知情報を、条件とともにウェアラブルデバイスDに送信する(ステップ304)。
【0072】
[通知情報出力]
通知情報を受信したウェアラブルデバイスDの処理を、図7のフローチャートを参照して説明する。ウェアラブルデバイスDの通信部1は、通知情報を受信する(ステップ401)。通知情報受付部5の条件判定部51は、通知情報とともに受信した条件と、現在位置判定部2により判定される現在位置から、自分宛ての通知情報か否かを判定する(ステップ402)。自分宛である場合には(ステップ402のYES)、通知情報として受け付ける(ステップ403)。自分宛でない場合には、通知情報を破棄する(ステップ402のNO)。
【0073】
通知情報判定部52は、通知情報の内容を判定する(ステップ404)。例えば、振動パターン、画面表示等の内容を判定する。通知情報出力部6は、通知情報判定部52による判定結果に基づいて、通知情報を出力する(ステップ405)。例えば、タップ又は振動パターンを示すパルス信号の場合には、パルス信号に応じて振動部61が振動する。連絡内容を示す画像や文字の場合には、表示部62に連絡内容が表示される。なお、レベル調整部63は、所持者情報入力部3から入力される情報に基いて、振動の大きさを調整する。
【0074】
例えば、スタッフが移動中や作業中の場合、スタッフが振動を感知し難いので、振動が大きくなる。エレベータにより移動している場合には、振動音が周囲に聞こえてうるさいので、振動が小さくなる。また、マイク37からの信号に基いて、周囲が静かな場合には、振動が大きくなり、周囲の騒音等が大きい場合には、振動が大きくなる。
【0075】
[適用態様]
本実施形態は、ウェアラブルデバイスDを、スタッフ又は顧客が装着することにより、「人」と「人」とのサービスの提供現場における業務支援システムを構築することができる。例えば、現実のショップや駅、空港、病院、学校、イベントにおけるスタッフ支援に用いることができる。このような本実施形態のより具体的な適用態様を説明する。
【0076】
(1)位置検出
本実施形態は、発信装置として、例えば、Bluetooth(登録商標)ビーコン等を用いることもできる。これによると、少ない消費電量でより正確な位置検出ができる。但し、Bluetoothビーコンによる位置検出のためには、WiFiよりも多数の発信装置を設置する必要がある。
【0077】
そこで、WiFiのアクセスポイントPを用いることにより、業務支援に適した条件でのシステム構築が可能となる。まず、既存の発信装置を活用できるので、設置コストがかからない。また、業務支援のためには、ピンポイントでの位置検出でなくても、エリア単位で検出できれば十分である。さらに、上記のように、スキャンタイミングを制限することにより、消費電力を抑えることができる。特に、各種センサを用いて、スキャンタイミングを調整することにより、正確な位置検出と消費電力の抑制の両立を図ることができる。
【0078】
また、ウェアラブルデバイスDは、腕に装着することが決まっているので、その姿勢は一定の範囲に納まっている。このため、地磁気センサ32による方向の特定がしやすい。例えば、左腕に着用した場合、方向判定部24は、ウェアラブルデバイスDの下方向、つまりアナログ時計等を表示した場合の6時の方向を、進行方向として判断できる。よって、例えば、スタッフに歩きながら画面を見ることを禁ずることにより精度を高めることができる。また、方向判定部24は、加速度センサ31により検出される加速度変化から、手を上げているか下しているかを加味して、方向を判定できる。
【0079】
さらに、地磁気センサ32を補正することにより、正確な位置検出を維持できる。例えば、図8に示すように、エリアAにいるスタッフは移動していないが、エリアBにいるスタッフが、北東に100歩進んだとする。この場合、マップ情報から、エリアBからエリアCに移動したと予測できる。この予測したエリアCが、スキャンにより位置判定部22が判定した位置と合っていれば、その位置を現在位置として出力できる。
【0080】
異なっていた場合、再度スキャンによる位置検出を繰り返し、異なったままの場合には、補正部27は、地磁気センサ32のエラーとして、方向を補正する。なお、一般的に、地磁気センサ32は、8の字に動かすことでリセットされる。このため、振動部61を振動させることにより、又は表示部62にその旨を表示することにより、ウェアラブルデバイスDを8の字に動かすことを、スタッフに促してもよい。
【0081】
また、位置検出により、サービス提供中のスタッフの位置を管理装置7又はウェアラブルデバイスD同士で把握できるので、チームでの業務遂行に役立てることができる。さらに、スタッフの行動と営業成績等の結果との関係性の分析に役立てることができる。
【0082】
(2)操作性の向上
アプリが、各種のインタフェースとして、業務に応じて操作しやすいものを採用することにより、忙しいスタッフや管理者を煩わせないウェアラブルデバイスD、管理装置7を構成することができる。例えば、音ではなく、振動を利用して顧客に気づかれないようにさり気なく連絡し合うことができる。特に、スタッフに動きがあるときには強めに又は長く振動させて気づきやすいようにして、静かなときには、振動を弱く又は短くして周囲に振動音がわからないようにしてもよい。
【0083】
操作入力するための画面インタフェースとしては、業務内容、利用者、場所、時間によって種々のものを用意して、適宜選択することにより又は自動的に変更することができる。それぞれの画面インタフェースにより、ウェアラブルデバイスDが、目的に応じた専用の装置となる。その場合の操作が煩雑とならないように、画面インタフェースは単純な構成とする。
【0084】
例えば、全員、グループ、1人、現在位置、動きの程度等、通知相手を絞り込む各種の条件を選択するメニューボタンをタップする画面と、振動パターンを選択するメニューボタンをタップする画面とを用意する。これにより、条件選択と、振動パターンの選択の2回のタップで、通知情報を、条件に適合する特定のスタッフに送信することができる。画面を切り替える場合も、2、3階層程度とする。振動パターンをデフォルトで設定しておけば、条件を選択するだけで、通知情報を送信できる。図9に示すように、送信するエリアを指定する場合、複数のエリアが表示されたボタンをタップすると、振動パターンが送信されて、ウェアラブル端末Dが振動する。全員に送信する場合には、条件選択を不要とすることもできる。このように、目的に適したシンプルなユーザインタフェース設計により、通知する相手を一人一人特定する等の煩わしい操作を不要とすることができる。
【0085】
さらに、不特定多数のスタッフが、ランダムでウェアラブルデバイスDを使用する場合、夜中の0時等、設定時刻を過ぎると、ウェアラブルデバイスDのログインをリセットして、次回、使い始めには、新たなスタッフのログインから開始させることができる。なお、上記のような各種のインタフェースは、急な変更が必要な場合には、管理装置7側で変更等ができるようにしてもよい。
【0086】
(3)所持者情報の活用
本実施形態は、各種の所持者情報を活用して種々の業務支援が可能となる。まず、オフィスにおいて、スタッフである社員の位置が把握できることにより、業務を円滑に進めることができる。例えば、打ち合わせの時間の通知を、打ち合わせに参加するメンバーのみに行うことができる。また、特定の場所にいるメンバーに、次の集合場所を通知して誘導することができる。集合中の人たちがどこにいるかをモニターできるので、遅れてくるメンバーがいる場合の打ち合わせの進行調整に役立てることができる。
【0087】
脈拍センサ34から得られる脈拍、温度センサ35から得られる体温、カメラ36から得られる姿勢、瞼の開閉度、顔の向き等の情報から、スタッフの状況をチェックして、適切なアドバイスを画面で通知することができる。例えば、これらの状況から、デスクワークへの集中度合い、眠気の度合い、休息の必要な度合いが判定できるので、リフレッシュするための案内やアドバイスを画面表示で振動とともに通知することができる。つまり、所持者情報は、スタッフの健康面のケアに役立つ。
【0088】
さらに、医療、整骨、整体、マッサージ、鍼灸等、種々の施術を行う業務において、施術するスタッフ側も、される顧客側も、ウェアラブルデバイスDを装着することにより、種々の情報が得られる。例えば、時間と動きから施術内容を推測することができる。マッサージ等は、スタッフが所定時間内に特定の動きをするため、これを加速度センサ31からの信号に基づいて検出して、施術内容を推測する。このような施術内容を記録するとともに、これに対応する顧客の脈拍の変動を記録する。これにより、どのような施術が有効であったかを判定できる。
【0089】
[作用効果]
本実施形態のウェアラブルデバイス用プログラムは、所持者が自らの体に装着する装着部Bを有するウェアラブルデバイスDが備えるコンピュータに、外部との情報の送受信を行う通信処理と、通信処理により受信したアクセスポイントPからの位置情報に基づいて、ウェアラブルデバイスDが存在する位置を判定する現在位置判定処理と、ウェアラブルデバイスDの所持者の情報である所持者情報を、少なくとも所持者との接触を介して入力する所持者情報入力処理と、所持者情報を、位置情報とともに出力することにより、通信処理により外部に送信させる所持者情報出力処理と、通信処理により受信した外部からの通知情報を、現在位置判定処理により判定された位置に応じて受け付ける通知情報受付処理と、通知情報受付処理により受け付けた通知情報を、少なくとも所持者との接触を介して伝達する通知情報出力処理とを実行させる。
【0090】
これにより、ウェアラブルデバイスDは、所持者が自らの体に装着する装着部Bと、外部との情報の送受信を行う通信部1と、通信部1が受信したアクセスポイントPからの位置情報に基づいて、所持者が存在する位置を判定する現在位置判定部2と、所持者の情報である所持者情報を、少なくとも所持者との接触を介して入力する所持者情報入力部3と、所持者情報を、位置情報とともに出力することにより、通信部1により外部に送信させる所持者情報出力部42と、通信部1が受信した外部からの通知情報を、現在位置判定部2により判定された位置に応じて受け付ける通知情報受付部5と、通知情報受付部5が受け付けた通知情報を、少なくとも所持者との接触を介して伝達する通知情報出力部6とを有する。
【0091】
以上のような本実施形態によれば、接触によりスタッフに通知情報を伝達することにより、周囲に与える影響を抑えて、所望のスタッフに簡単に連絡をすることができる。特に、スタッフの位置に応じて通知情報を受け付けることができるので、特定の位置にいるスタッフのみが通知を受けることができる。
【0092】
また、本実施形態のウェアラブルデバイス用プログラムは、コンピュータに、通信処理によるアクセスポイントPからの位置情報の受信タイミングを、状況に応じて変化させるタイミング調整処理を実行させる。これにより、ウェアラブルデバイスDは、通信部1によるアクセスポイントPからの位置情報の受信タイミングを、状況に応じて変化させるタイミング調整部11を有する。
【0093】
このように、アクセスポイントPからの受信タイミングを、状況に応じて変化させることにより、無駄な受信による消費電力の消耗の抑制と、正確な位置の検出とを両立させることができる。
【0094】
上記の状況を、所持者の移動距離としたり、時間帯としたり、通信部1が受信する外部からの通知情報の頻度とすることができる。これにより、スタッフの移動が多いほど、受信頻度を多くして、スタッフの移動が少ないほど、受信頻度を少なくすることにより、消費電力を節約しつつ、位置を正確に把握し続けることができる。
【0095】
また、本実施形態のウェアラブルデバイス用プログラムは、コンピュータに、加速度センサ31から入力される信号に基づいて、所持者の移動距離を判定する距離判定処理と、地磁気センサ32から入力される信号に基づいて、所持者の移動方向を判定する方向判定処理と、距離判定処理により判定された距離と、方向判定処理により判定された方向とに基づいて、移動位置を予測する予測処理と、予測処理により予測した移動位置と、現在位置判定処理により判定された移動位置とが相違する場合に、方向判定処理により判定される方向を補正する補正処理と、予測処理により予測した移動位置と、現在位置判定処理により判定された移動位置とが一致する場合に、移動位置の位置情報を外部に送信させる送信処理とを実行させる。
【0096】
これにより、ウェアラブルデバイスDは、加速度センサ31及び地磁気センサ32を有し、現在位置判定部2は、加速度センサ31から入力される信号に基づいて、所持者の移動距離を判定する距離判定部23と、地磁気センサから入力される信号に基づいて、所持者の移動方向を判定する方向判定部24と、距離判定部23により判定された距離と、方向判定部により判定された方向とに基づいて、移動位置を予測する予測部25と、予測部25により予測した移動位置と、位置判定部22により判定された移動位置とが相違する場合に、方向判定部24により検出される移動方向を補正する補正部27とを有し、予測部25により予測した移動位置と、位置判定部22により判定された移動位置とが一致する場合に、通信部1が移動位置の位置情報を外部に送信する。
【0097】
このため、アクセスポイントPからの位置情報と合わせて、加速度センサ31、地磁気センサ32を用いて、移動位置を正確に判定できる。また、地磁気センサ32にエラーがあった場合にも補正できる。
【0098】
また、本実施形態の管理用プログラムは、コンピュータに、ウェアラブルデバイス用プログラムからの所持者情報及び位置情報を受信する受信処理と、受信処理により受信した所持者情報及び位置情報を表示する表示処理と、所持者への通知情報を生成する通知情報生成処理と、位置情報に応じて、通知情報生成処理により生成した通知情報を送信する送信処理とを実行させる。
【0099】
これにより、管理装置7は、ウェアラブルデバイスDからの所持者情報及び位置情報を受信する通信部71と、通信部71が受信した所持者情報及び位置情報を表示する表示部74と、所持者への通知情報を生成する通知情報生成部75と、位置情報に応じて、通知情報生成部75が生成した通知情報を送信する通信部71とを有する。
【0100】
このため、管理者は、スタッフの位置を把握して、適切な通知情報を生成、送信することができる。また、管理者は、スタッフの行動と、売上等の結果との関係性を分析して、スタッフの適切な配置、スタッフ教育等に役立てることができる。
【0101】
[他の実施形態]
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。ウェアラブルデバイスDは、上記の全ての構成を備えるように設定されている必要はない。例えば、情報変換部41は、管理装置7側に設けてもよい。また、ウァラブルデバイスD同士で、通知情報を送受信してもよい。つまり、ウェアラブルデバイスDが、通知情報生成部、条件設定部を有し、所持者情報入力部3からの入力と、条件設定部の条件に応じて、通知情報を生成して、条件に合致するウェアラブルデバイスDに対して送信する構成としてもよい。
【0102】
例えば、顧客のタップをタッチセンサ33が検出し、他の顧客に振動として伝達してもよい。つまり、現場で配布されるウェアラブルデバイスDを、各顧客が装着して使用してもよい。この場合も、図9に示すように、送信先の選択を、画面表示されたエリアのいずれかを選択することにより行ってもよい。
【0103】
装着部による体への装着は、振動等を感知できる程度に装着できればよい。腕の他、手指、頭部、首、胸、腰、足等、体のどの位置に装着してもよい。このため、装着部も、バンド、ベルト、紐、メガネ、耳栓等の他、粘着テープ、両面粘着シート、面ファスナー等でもよい。衣類、帽子類、サポーター、アクセサリー、履物等を装着部としてもよい。本体ユニットが直接肌に触れなくてもよい。つまり、情報の伝達のための接触は、肌に対して直接的なものであっても、装着部の一部が介在する間接的なものであってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 通信部
11 タイミング調整部
2 現在位置判定部
21 信号検出部
22 位置判定部
23 距離判定部
24 方向判定部
25 予測部
26 比較部
27 補正部
3 所持者情報入力部
31 加速度センサ
32 地磁気センサ
33 タッチセンサ
34 脈拍センサ
35 温度センサ
36 カメラ
37 マイク
41 情報変換部
42 所持者情報出力部
5 通知情報受付部
51 条件判定部
52 通知情報判定部
6 通知情報出力部
61 振動部
62 表示部
63 レベル調整部
7 管理装置
71 通信部
72 入力部
73 認証部
74 表示部
75 通知情報生成部
76 条件設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9