特許第6089234号(P6089234)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6089234
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】ハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05C 3/08 20060101AFI20170227BHJP
   E05B 5/02 20060101ALI20170227BHJP
   E05B 65/02 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   E05C3/08
   E05B5/02 D
   E05B65/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-19967(P2012-19967)
(22)【出願日】2012年2月1日
(65)【公開番号】特開2013-159901(P2013-159901A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】山澤 英丈
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−002697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 1/00 − 21/02
E05B 1/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の表面に当接する取付面を有するハンドル本体の表側に、手前方向に引き起こし可能に取手を枢着し、この取手とリンク機構を介して連結された係止爪が箱本体の係止片を締め付けクランプするハンドル装置であって、前記リンク機構の軸ピンを前記取付面よりも内側に設けるとともに、前記軸ピンの端面が扉のパネルにより抜け止めされる構造としたことを特徴とするハンドル装置。
【請求項2】
前記軸ピンを受ける軸孔の断面形状を、取付面側に広がる山形としたことを特徴とする請求項1に記載のハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器収納用キャビネット等の扉の鎖錠に用いられるハンドル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気電子機器収納用キャビネット等の扉の鎖錠装置として、特許文献1、特許文献2に示されるようなリンク式のハンドル装置が広く用いられている。リンク式のハンドル装置は、ハンドル本体の表側に枢着された取手を操作することにより、裏面側の係止爪がリンクプレートを介して箱本体の係止片を締め付けクランプする構造であり、強固な締付け力を得ることができるので扉を箱本体に強く密着させることができ、優れた防水性を確保できる利点がある。
【0003】
このようなリンク式のハンドル装置は、取手がハンドル本体から引き起こされるように回動し、それと同時に係止爪もリンク機構を介して回動されるものである。リンク機構を構成する取手及び係止爪は軸ピンによってハンドル本体に枢着されている。
【0004】
従来のハンドル装置においては、これらの軸ピンは扉への取付面よりも外側に露出する部分に設けられており、ハンドル本体の側方から軸ピンを圧入して組み立てられていた。すると、軸ピンの端部が扉への取付面よりも外側に露出する部分に設けられているため、操作の際に指先に接触する可能性があった。また、数万回の開閉動作により圧入部が次第に緩み、軸ピンが外れる可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3560323号公報
【特許文献2】特開2011−168986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の主な目的は上記した従来の問題点を解決し、安全性に優れるとともに、開閉動作を繰り返しても軸ピンが抜け落ちることがなく、耐久性に優れるハンドル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、扉の表面に当接する取付面を有するハンドル本体の表側に、手前方向に引き起こし可能に取手を枢着し、この取手とリンク機構を介して連結された係止爪が箱本体の係止片を締め付けクランプするハンドル装置であって、前記リンク機構の軸ピンを前記取付面よりも内側に設けるとともに、前記軸ピンの端面が扉のパネルにより抜け止めされる構造としたことを特徴とするものである。
【0009】
また請求項2のように、前記軸ピンを受ける軸孔の断面形状を取付面側に広がる山形とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のハンドル装置は、従来と同様に扉を箱本体に締め付けクランプすることができるものであるが、従来とは異なりリンク機構の軸ピンが取付面よりも内側に設けられておりハンドル装置の表面に露出しない。このため、美観及び安全性に優れ、また、軸ピンの端部が扉のパネルによって抜け止めされるようにしたので、開閉動作を繰り返しても軸ピンが抜け落ちることがなく、耐久性に優れる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のハンドル装置を電気電子機器収納用キャビネットに取付けた状態を示す斜視図である。
図2】ハンドル取付位置における縦断面図である。
図3】取手を閉じた状態の斜視図である。
図4】取手を閉じた状態の正面図である。
図5】取手を引き起こした状態の斜視図である。
図6】取手を引き起こした状態の正面図である。
図7】扉への取付状態を示す断面図である。
図8】軸孔を円形孔とした状態を示す要部拡大図である。
図9軸孔の形状を示す要部拡大図である。
図10】軸孔の形状を示す要部拡大図である。
図11】係止爪の位置を示す正面図である。
図12】引き起こし角度規制部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1は本発明のハンドル装置を電気電子機器収納用キャビネットに取付けた状態を示す斜視図であり、図2はハンドル取付位置における縦断面図である。これらの図において、1は電気電子機器収納用キャビネットの箱本体、2はその扉である。図1に示すように、扉2は左側を蝶番3により箱本体1に枢着された右開き扉である。扉2の右端部には本発明の縦長のハンドル装置が、上下方向に取付けられている。また箱本体1の右端部にはハンドル装置のための係止片4が設けられている。
【0013】
図3から図6に本発明のハンドル装置の構造を示す。これらの図において、10は扉に固定される縦長のハンドル本体である。ハンドル本体10は角枠状のもので、取手11が手前方向に引き起こし可能に枢着されている。取手11を枢着している軸ピン12はハンドル本体10の上端付近にある。またハンドル本体10の裏面側には、係止爪13が下向きに設けられている。係止爪13はその上部を軸ピン14によってハンドル本体10に枢着されている。なおこの軸ピン12と軸ピン14の位置については後述する。
【0014】
図4に示されるように、取手11の裏面と係止爪13とは、リンクプレート15によって連結されてリンク機構を構成している。すなわち、取手11とリンクプレート15とはリンクピン17により連結され、リンクプレート15と係止爪13とはリンクピン18により連結されている。図5図6のように取手11を手前方向に引き起すと、リンクプレート15が係止爪13を上方に回転させる。逆に図3図4のように取手11をハンドル本体10側に倒すと、リンクプレート15が係止爪13を下方に回転させ、図2に示したように係止爪13は箱本体1の係止片4を上方から挟みつけるように締め付けクランプする。
【0015】
このためクランプ操作の際には、ハンドル装置は箱本体1の係止片4から上向きの反力を受け、ハンドル装置が固定されている扉2は箱本体1に対して押し上げられる。従って従来のような扉2の垂れ下がり防止用の部品を設ける必要がなくなる。
【0016】
次に図7以下を参照しつつ、軸ピン12と軸ピン14の位置について説明する。
図7は扉2のパネル23にハンドル装置を取付けた状態を示す断面図である。パネル23には、予めハンドル装置取付用の角孔が形成されており、ハンドル本体10の後面が扉2の表面に当接する取付面24である。図7のようにハンドル本体10を扉2のパネル23に取付けたとき、リンク機構の軸ピン12と軸ピン14はハンドル本体10の取付面24よりも内側(扉2の内側)に位置する。
【0017】
このような構造とすることにより、リンク機構の軸ピン12や軸ピン14はハンドル装置の表面に現れなくなり、美観に優れるとともに、突出部分がなくなるので、安全性も向上する。
【0018】
また、電気機器収納用箱においては扉2のパネル23として、1〜2mm程度の厚さの鋼板や樹脂板を使用すること多いが、図7のように軸ピン12や軸ピン14の端面の一部がこの板厚部分に当たるようにしておけば、軸ピン12、14の端部はパネル23によって確実に抜け止めされ、繰り返し使用しても脱落するおそれがなくなる。また、扉のパネルの板厚部分と軸ピン12、14とは常に当接してなくても、リンク機構が外れない程度の位置で軸ピン12、14がこの板厚部分に当たるようにしておけばよいものである。
【0019】
このような抜け止め効果を確実にするためには、軸ピン12や軸ピン14を受けるハンドル本体10の軸孔25の位置を、できるだけ取付面24に接近させておくことが好ましいが、取付面24と軸孔25を接近させると、ハンドル本体10を成形するための金型に肉薄で強度の弱い箇所ができてしまうので好ましくない。そこで、図8に示すように取付面24と軸孔25とを1mm以下程度の間隔をもたせたものでは、軸ピン12や軸ピン14の端面の一部がパネル23の板厚部分に当たりつつ、金型に弱い箇所も生まれないものである。
【0020】
また、軸孔25は図8のように取付面24からパネルの板厚分以下の間隔を設けて形成してもよく、図9のように取付面24からU字状に形成してもよく、さらに軸孔25の断面形状を、図10のように取付面24側に広がる山形としておくこともできる。図9図10の形状としておけば、金型に強度の弱い箇所がなくなり、しかも軸ピン12や軸ピン14を取付面24に接近させることができる。
【0021】
なお本実施形態においては、図11に示すように、ハンドル本体10の上下の取付位置19、20の略中央に係止爪13が配置されている。同一形状の扉2を右開き用と左開き用との両方に使用するには、箱本体1と扉2とを上下反転させるとともに、ハンドル装置は一旦取り外して上下を反転させて付け直す。このとき、係止爪13の位置を図11のように設定しておけば、係止爪13が噛み合う箱本体1側の係止片4の位置は変える必要がない。このため単にハンドル装置を上下反転させるだけで、対応することが可能となる。
【0022】
また本実施形態では、図12に示すように、取手11の先端部裏面には略台形の引き起こし角度規制部21が突設されている。この引き起こし角度規制部21は、取手11を引き起こしたときにハンドル本体10の裏面当接部22と当接し、最大引き起こし角度を規制する役割を持つものである。
【0023】
以上に説明したように、本発明のハンドル装置は、従来と同様に扉2を箱本体1に締め付けクランプすることができるものであるが、リンク機構の軸ピン12、14を取付面24よりも内側に設けたことにより、美観及び安全性にも優れ、軸ピン12、14の端部が扉のパネルによって、抜け止めされるようにしたので、開閉動作を繰り返しても軸ピン12、14が抜け落ちることがなく、耐久性に優れる利点がある。
【符号の説明】
【0024】
1 箱本体
2 扉
3 蝶番
4 箱本体の係止片
10 ハンドル本体
11 取手
12 軸ピン
13 係止爪
14 軸ピン
15 リンクプレート
17 リンクピン
18 リンクピン
19 取付位置
20 取付位置
21 引き起こし角度規制部
22 裏面当接部
23 扉のパネル
24 取付面
25 軸孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12