特許第6089238号(P6089238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6089238
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】導電部保護カバーの取付け構造
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20170227BHJP
   H01H 73/02 20060101ALI20170227BHJP
   H01H 73/20 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   H02B1/40 B
   H01H73/02 B
   H01H73/20 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-25176(P2013-25176)
(22)【出願日】2013年2月13日
(65)【公開番号】特開2014-155394(P2014-155394A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】松隈 裕史
(72)【発明者】
【氏名】篠原 祐二
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−128139(JP,U)
【文献】 特開2012−182963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40 − 1/44
H01H 73/02
H01H 73/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分電盤内の導電部を被覆する導電部保護カバーを、カバー固定部材を用いて分電盤に取り付ける導電部保護カバーの取付け構造であって、
前記カバー固定部材は、前記導電部保護カバーを、分電盤の扉と略平行に取付け可能な第一固定面と、前記導電部保護カバーを、分電盤の扉と略垂直に取付け可能な第二固定面を有し、
前記第一固定面と第二固定面の各々に、平板状の導電部保護カバーを着脱自在に備えることを特徴とする導電部保護カバーの取付け構造。
【請求項2】
前記第二固定面は前記第一固定面の端部より略垂直に形成したことを特徴とする請求項1記載の導電部保護カバーの取付け構造。
【請求項3】
前記第一固定面と第二固定面の双方と略垂直な第三固定面を有することを特徴とする請求項2記載の導電部保護カバーの取付け構造。
【請求項4】
前記第一固定面もしくは第二固定面の何れか一方を、分電盤の内部機器取付部に固定したことを特徴とする請求項1記載の導電部保護カバーの取付け構造。
【請求項5】
前記導電部が、分電盤内に配置された主幹ブレーカに接続された母線バーであって、
前記第一固定面もしくは第二固定面の何れか一方を、前記母線バー上に固定したことを特徴とする請求項1記載の導電部保護カバーの取付け構造。
【請求項6】
前記第一固定面と第二固定面の、各々に、固定孔を備え、該固定孔の裏側に、薄肉の隔壁部を形成したことを特徴とする請求項4または5記載の導電部保護カバーの取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分電盤の導電部を保護する導電部保護カバーの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分電盤の扉を開けて配線作業等を行う際の感電事故防止等を目的として、主幹ブレーカの端子部に接続した母線バー等の導電部に保護カバーを設ける構造が広く採用されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1記載の保護カバーは、母線バーを支持するバーホルダと、主幹ブレーカの端子部の上に載置した上で、保護カバーに形成されたネジ孔と、前記バーホルダと端子部の上端に各々形成されたネジ孔を位置合わせしてネジ固定されている。
【0004】
しかし、特許文献1記載の保護カバーは、専ら導電部の正面(分電盤本体の扉方向)のみを被覆するもの(以下、正面カバー)であり、前記のような保護カバー取付け構造では、事後的に側面の被覆も必要となった際には、分電盤の基板上に、側面カバー取付け用の取付け部材を新たに設置して側面カバーの取付けを行ったり、あるいは、既存の正面カバーに代えて、正面から側面まで一体に被覆できる断面L字あるいはコ字状の保護カバーを新たに作製する必要があり、何れも、側面カバーの追加設置に手間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−182963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は前記の問題を解決し、既設の導電部保護カバーの他に、事後的に他方向を保護する導電部保護カバーの設置が必要となった場合にも、既存の導電部保護カバーに代えて、保護したい複数方向を一体に被覆できる保護カバーを新たに作製する必要がなく、簡単に導電部保護カバーの追加設置を行うことができる導電部保護カバーの取付け構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の導電部保護カバーの取付け構造は、分電盤内の導電部を被覆する導電部保護カバーを、カバー固定部材を用いて分電盤に取り付ける導電部保護カバーの取付け構造であって、前記カバー固定部材は、前記導電部保護カバーを、分電盤の扉と略平行に取付け可能な第一固定面と、前記導電部保護カバーを、分電盤の扉と略垂直に取付け可能な第二固定面を有し、前記第一固定面と第二固定面の各々に、平板状の導電部保護カバーを着脱自在に備えることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の導電部保護カバーの取付け構造において、前記第二固定面は前記第一固定面の端部より略垂直に形成したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の導電部保護カバーの取付け構造において、前記カバー固定部材は、前記第一固定面と第二固定面の双方と略垂直な第三固定面を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の導電部保護カバーの取付け構造において、前記第一固定面もしくは第二固定面の何れか一方を、分電盤の内部機器取付部に固定したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の導電部保護カバーの取付け構造において、前記導電部が、分電盤内に配置された主幹ブレーカに接続された母線バーであって、前記第一固定面もしくは第二固定面の何れか一方を、前記母線バー上に固定したことを特徴とするものである。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項4または5記載の導電部保護カバーの取付け構造において、前記第一固定面と第二固定面の、各々に、固定孔を備え、該固定孔の裏側に、薄肉の隔壁部を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る導電部保護カバーの取付け構造は、前記導電部保護カバーを、分電盤の扉と略平行に取付け可能な第一固定面と、前記導電部保護カバーを、分電盤の扉と略垂直に取付け可能な第二固定面を有するカバー固定部材を用いて分電盤に取り付けたものであり、このカバー固定部材の前記第一固定面と第二固定面の各々に、平板状の導電部保護カバーを着脱自在に備える構成により、既設の導電部保護カバーの他に、事後的に他方向を保護する導電部保護カバーの設置が必要となった場合にも、既存の導電部保護カバーに代えて、保護したい複数方向を一体に被覆できる保護カバーを新たに作製する必要がなく、簡単に導電部保護カバーの追加設置を行うことができる。
【0014】
なお、保護したい複数方向を一体に被覆できる保護カバーを用いて、導電部の被覆を行った場合には、何れか、一方向のみの被覆を外すことはできないが、本発明によれば、複数方向に設置された導電部保護カバーは、別箇に取り外しができるため、使用環境に応じて適宜最適な被覆形態へと自在に変更することもできる。
【0015】
請求項3記載の発明のように、第一固定面と第二固定面の双方と略垂直な第三固定面を有する構造とすることにより、正面の他、異なる2側面から同時にカバーの追加設置を行うことができ、さらに、柔軟な対応が可能となる。
【0016】
なお、第一固定面もしくは第二固定面の何れか一方を、請求項4記載の発明のように分電盤の基板上に固定したり、請求項5記載の発明のように、母線バー上に固定することで、導電部保護カバーの固定箇所を、適宜自在に変更することもできる。
【0017】
請求項6記載の発明のように、第一固定面と第二固定面の、各々に、固定孔を備え、該固定孔の裏側に、薄肉の隔壁部を形成することにより、導電部からのネジへの短絡が生じる恐れを低減できると同時に、ネジを貫通させて使用したい場合には、容易にネジを貫通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態1の外観斜視図である。
図2】実施形態1の分解説明図である。
図3】実施形態1の垂直断面図である。
図4】他の実施形態の外観斜視図である。
図5】カバー固定部材の全体斜視図である。
図6図5を裏側方向からみた図である。
図7図5のA−A断面図である。
図8図6のB−B断面図である。
図9】実施形態2の外観斜視図である。
図10】実施形態3の外観斜視図である。
図11】他の実施形態の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
【0020】
(実施形態1)
図1図11に示すように、分電盤内で、主幹ブレーカ1は、内部機器取付部である基板2やレール29上に配置されている。図2に示すように、主幹ブレーカ1には、母線バー3が接続されている。母線バー3の一端は、主幹ブレーカ1の端子部4に、他端はバーホルダ5に保持され、基板2やレール29と平行に配置されている。
【0021】
図2図3に示すように、端子部4とバーホルダ5間に形成される空間は、分電盤の扉30と略平行に配置された正面カバー6と、分電盤の扉30と略垂直に配置された2枚の側面カバー7と、バーホルダ5の外側を覆うように配置された底面カバー12により、分電盤内の他の空間と隔てられている。当該構造により、作業者が母線バー2に触れたり、異物が侵入する事故を回避することができる。
【0022】
前記各カバー6、7、12は、何れも四角形状を有する絶縁材の平板からなり、角部にネジ孔20が形成されている。その他、図4に示すように、正面カバー6に、検電用の検電孔21を形成したり、側面カバー7に放熱孔22を形成することもできる。
【0023】
正面カバー6は、従来同様、正面カバー6を、バーホルダ5と主幹ブレーカ1の端子部4の上に渡すように載置した上で、正面カバー6に形成されたネジ孔と、前記バーホルダと端子部の上端に各々形成されたネジ孔を位置合わせしてネジ8で固定されている。
【0024】
側面カバー7と底面カバー12は、正面カバー6下面の四隅に、断面略く字状の立体からなるカバー固定部材9をネジ10で固定した上で、このカバー固定部材9に、直接、ネジ11、13で固定されている。また、カバー固定部材9は、保護したい面に応じて、正面カバー6の下面の四隅に対して、選択可能に固定することができる。
【0025】
図2図5図7に示すように、カバー固定部材9は、断面略く字状の立体からなり、正面カバー6を、基板2と平行に取付け可能な第一固定面14と、側面カバー7を、正面カバー6に対して略垂直に取付け可能な第二固定面15と、底面カバー12を、正面カバー6および側面カバー7の双方に対して略垂直に取付け可能な第三固定面16を有し、第一固定面14の端辺より略垂直方向に第二固定面15が形成され、さらに、第一固定面14及び第二固定面15の左右端部より略垂直方向に第三固定面16が形成されている。各固定面には、各々、ネジ孔17、18、19が形成されている。ネジ11、13止め作業は、側面カバー7あるいは底面カバー12の外側から行われる。当該構造によれば、正面カバー6と、側面カバー7と、底面カバー12を、適宜必要に応じて、各々別箇に、簡単に脱着させることができる。また、第三固定面16は底面カバー12を、正面カバー6および側面カバー7の双方に対して略垂直に取付け可能であれば、断面略く字状の形状に限定することはない。カバー固定部材9は、断面略く字の折れ曲がり辺を基準に対称形状をしている。よって、第一固定面14と第二固定面15は互換性を有する。
【0026】
図7に示すように、第一固定面14のネジ孔17と、第二固定面15のネジ孔18の裏側には、薄肉の隔壁部23、24が形成されている。このように、ネジ孔17、18の裏側に隔壁を形成することにより、これらのネジ孔17、18に挿入されたネジ10、11と母線バー3間での短絡の発生を回避することができる。また、隔壁部23を薄肉とすることにより、ネジの貫通が容易になり、後述する実施形態2のように、第一固定面14を基板2に直接取り付けて使用する場合等にも、簡単に取り付け作業を行うことができる。
【0027】
図8に示すように、第三固定面16のネジ孔19間にも、短絡防止用の隔壁部25が形成されている。
【0028】
なお、カバー固定部材9の材質や成形方法は特に限定されず、樹脂の金型成形や、金属の折り曲げ成形等により作製されたものを使用することができる。
【0029】
(実施形態2)
上記実施形態1では、カバー固定部材9を、正面カバー6下面の四隅に固定して、このカバー固定部材9に側面カバー7を固定したが、カバー固定部材9は、図9に示すように、分電盤内の基板2上に直接固定することもできる。
【0030】
図7に示したように、第一固定面14の裏側は、薄肉の隔壁部23となっているため、本実施形態では、第一固定面14の表側を基板2上に向けて載置した上で、隔壁23からネジ孔17に向かう方向に、ネジ26を貫通させて固定している。このように、隔壁23からネジ孔17に向かう方向に、ネジ26を貫通させて使用するに際し、ネジ孔17の位置を裏側からも識別容易とするために、第一固定面14の裏側には、凹部27を形成しておくことが好ましい。
【0031】
本実施形態によれば、前記のように第一固定面14を基板2上に固定し、さらに第二固定面15に側面カバー7を固定することにより分電盤の既設の内部機器に、導電部保護カバーを固定する部材が無い場合でも、新規に導電部保護カバーの固定専用の部材を使用する必要が無い。さらに、その側面カバー7にカバー固定部材9を固定させて、カバー固定部材9を介して実施形態1のように導電部保護カバーを連結させることができる。また、カバー固定部9を固定するのは基板2上に限定されず、レール上やその他内部機器取付部も可能である。
【0032】
(実施形態3)
図10に示すように、カバー固定部材9を、母線バー3上に固定することもできる。
【0033】
本実施形態では、第一固定面14の表側を母線バー3上に向けて載置した上で、母線バー3上に形成された孔部28と第一固定面14のネジ孔17とを位置合わせして、隔壁23からネジ孔17に向かう方向に、ネジ26を貫通させて固定している。
前記のように第一固定面14を母線バー3に固定し、さらに第二固定面15に側面カバー7を固定することにより、分電盤の既設の内部機器に、導電部保護カバーを固定する部材が無い場合でも、新規に導電部保護カバーの固定専用の部材を使用する必要が無い。さらに、図示はしないが、その側面カバー7にカバー固定部材9を追加し、固定させて、カバー固定部材9を介して実施形態1のように導電部保護カバーを連結させることができる。
【0034】
本実施形態によれば、図10に示すように、母線バー3間に側面カバー7を配置して、母線バー間の絶縁距離を確保することもできる。
【0035】
上記実施形態では、何れも、「分電盤内の導電部」が、主幹ブレーカ1に接続した母線バー3である実施形態を示したが、本発明は、主幹ブレーカ1に接続した母線バー3に限定されず、分電盤内のあらゆる導電部を保護する構造として適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 主幹ブレーカ
2 基板
3 母線バー
4 端子部
5 バーホルダ
6 正面カバー
7 側面カバー
8 ネジ
9 カバー固定部材
10 ネジ
11 ネジ
12 底面カバー
13 ネジ
14 第一固定面
15 第二固定面
16 第三固定面
17、18、19 ネジ孔
20 ネジ孔
21 検電孔
22 放熱孔
23、24、25 隔壁部
26 ネジ
27 凹部
28 孔部
29 レール
30 扉
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11