【0017】
以下、この発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るドリッパー1の使用形態を表す斜視図である。
図1に示すように、カップ5の上に組立状態のドリッパー1を載置した状態でドリッパー1を使用する。組立状態にあるドリッパー1は、上部開口2と、抽出開口3を有している。上部開口2より円錐型ペーパーフィルタ4を挿入可能であり、挿入された円錐型ペーパーフィルタ4を、組立状態にあるドリッパー1にて保持できるようになっている。
円錐型ペーパーフィルタ4の中にコーヒー粉などの抽出対象の粉末、固体等を入れ、上部から液体を注ぎ、抽出開口3から抽出液を抽出し、カップ5でこれを受ける。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る、組立状態のドリッパー1が示された斜視図である。
図3は、前記組立状態のドリッパー1が示された平面図である。
ドリッパー1は、剛性を有する3枚の板材1a,1b,1cを含む。3枚の板材1a,1b,1cは互いに同じ諸元を有している。各板材1a,1b,1cはステンレス等の鋼材料を用いて形成されてもいいし、チタンやチタン合金等の非鉄金属や、樹脂材料を用いて形成されてもよい。
この実施形態では、板材1a,1b,1cは、互いに着脱可能である。板材1a,1b,1cを組み立てる際には、板材1a,1b,1cの互いに隣り合う辺同士を揃え、これら同士を結合させることにより、これらを錘状に組み立てて、ドリッパー1を構成できる。すなわち、ドリッパー1は分解可能に設けられている。
図4は、ドリッパー1を構成する板材1aを示す図である。
板材1a,1b,1cの諸元は互いに共通しているので、板材1aについてのみ説明し、板材1b,1cについての説明は省略する。板材1aは略直角台形(直角を持つ台形)をなしている。板材1aは、略二等辺三角形状のペーパーフィルタ保持部8aと、略直角三角形状の載置部6aとを、一枚の板材に形成したものである。
ペーパーフィルタ保持部8aは、略二等辺三角形状からなるペーパーフィルタ保持部8aの等辺の交点を頂点とし、この頂角θがたとえば約60度である二等辺三角形の面により形成される。ペーパーフィルタ保持部8aは、切欠きからなる、直線状の抽出開口構成辺13aを有している。板材1aの抽出開口構成辺13aの形状は、嵌合の機能を損なわない範囲で任意に決めることができる。ペーパーフィルタ保持部8aの上部には直線状の上部開口構成辺23aを有している。ペーパーフィルタ保持部8aは、抽出時に粉末から発生するガスの放出を促すため、かつ軽量化のために、たとえば等脚台形からなる保持部開口9a(第2の開口部)を有している。但し、保持部開口9aの形状は嵌合の機能を損なわない範囲であることと円錐型ペーパーフィルタ4を保持する機能を損なわないことが求められる。
ペーパーフィルタ保持部8aの一方の等辺(上部開口構成辺23aを除く二辺の一方)には、当該等辺に沿う方向の中央部に、嵌合凸部14a,15aが設けられている。また、ペーパーフィルタ保持部8aの他方の等辺(上部開口構成辺23aを除く二辺の他方)には、当該等辺に沿う方向の中央部に、嵌合凹部16a,17aが設けられている。
載置部6aは、その中央部に、たとえば三角形状の載置部開口(第1の開口部)10aを有し、当該載置部開口を除いた部分が、L字状をなしている。載置部開口10aは板材1aの軽量化のために設けられる。この実施形態では、載置部開口10aが上下の
嵌合凹部16a,17aと一体に設けられているが、載置部開口10aと、
嵌合凹部16a,17aとが間隔を隔てて設けられていてもよい(すなわち、載置部開口10aと
嵌合凹部16a,17aとが個々に設けられていてもよい)。この場合、
嵌合凹部16a,17a同士は一体に設けられていてもよいし、
嵌合凹部16a,17aもここに設けられていてもよい。
互いに共通の前記諸元を有した3つの板材1a,1b,1cを、ペーパーフィルタ保持部8aの一方の等辺と他方の等辺同士が沿うように組み立てると、中心角が180°である円錐型ペーパーフィルタ4にフィットする三角錐形状となる。尚、ペーパーフィルタ保持部8aを形成する二等辺三角形の等辺の長さは任意であり、円錐型ペーパーフィルタのサイズに合わせる。
3つの板材1a,1b,1cを組み立てた状態で、各板材1a,1b,1cの嵌合凸部14a,15aを、組立て状態で隣接する他の板材1a,1b,1cの嵌合凹部16a,17aと嵌合することにより、3つの板材1a,1b,1c同士が結合される。これにより、3つの板材1a,1b,1cが互いに固定され、ドリッパー1が高い剛性を有するようになる。
図5は、嵌合凸部14a,15aと嵌合凹部16a,17aとの嵌合状態を示す拡大図である。
図5では、板材1cの嵌合凸部14c,15cを、隣り合う板材1aの嵌合凹部16a,17aに嵌合させている。このとき、嵌合凸部14c,15cは、嵌合凹部16a,17aと同等の長さ寸法を有しており、そのため、板材1cを撓ませ、嵌合凸部14c,15cを嵌合凹部16a,17aへ挿入することにより嵌合させる。さらに、板材1bの嵌合凸部14b,15bを、隣り合う板材1cの嵌合凹部16c,17cに嵌合させ、かつ板材1aの嵌合凸部14a,15aを、隣り合う板材1bの嵌合凹部16b,17bに嵌合させることにより、3つの板材1a,1b,1c同士が結合され、3つの板材1a,1b,1cが互いに固定される。これにより、ドリッパー1が三角錐状の組立形状となる。
組立状態で各板材1a,1b,1cの各抽出開口構成辺13a,13b,13cは抽出開口3を形成する。組立状態で、各板材1a,1b,1cの各上部開口構成辺23a,23b,23cは上部開口2を形成する。組立状態で、各板材1a,1b,1cの各ペーパーフィルタ保持部8a,8b,8cによって、円錐型ペーパーフィルタ4が保持される。そして、組立状態において載置部6a,6b,6cは、
図3に示す通り上面から見て互いに120°ずつ位相がずれており、3点支持による載置の安定性を有する。
載置部6aの下端部には脱落防止ストッパ内側11aと脱落防止ストッパ外側12aとが形成されている。脱落防止ストッパ内側11aと、脱落防止ストッパ外側12aは対象とするカップの径に合わせて決められる。ペーパーフィルタ保持部8aの各辺のうち、載置部6aと反対側の辺には、他の板材1a,1b,1cの
嵌合凹部16a,17aとそれぞれ嵌合する、
嵌合凸部14a,15aが形成されている。
載置部下辺22aから略二等辺三角形状からなるペーパーフィルタ保持部8aの等辺の交点(つまり、略二等辺三角形形状の頂点)であるペーパーフィルタ最下点18までの距離hは任意で決めることができる。この距離を小さくすると、使用時に円錐型ペーパーフィルタ4の位置が、カップ5に対し高くなり、液体抽出量が多い場合でも、円錐型ペーパーフィルタ4が抽出液に浸漬しにくい。逆に、この距離hを大きくすると使用時に円錐型ペーパーフィルタ4が抽出液に浸漬しやすくなるものの、板材1aの重量を軽くすることができる。
以上により、この実施形態によれば、ドリッパー1は高剛性体となり、使用時に求められる剛性を十分に有する。これにより、折りたたみまたは分解可能で、かつ剛性の高いドリッパー1を提供できる。
図6は、本発明の第2の実施形態に係るドリッパーを示す図である。
図6において、第1の実施形態に示された各部に対応する部分には、前述の
図1〜
図5の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
図6の実施形態に係るドリッパーが、
図1〜
図5に係るドリッパー1と相違する点は、載置部開口10a,10b,10cを廃止した点である。この場合、嵌合凹部としてスリット19を設け、嵌合突部としてはめ込み部20を設けている。
図7は、
他の形態に係るドリッパーを示す図である。
図7において、第1の実施形態に示された各部に対応する部分には、前述の
図1〜
図5の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
図7の形態に係るドリッパーが、
図1〜
図5に係るドリッパー1と相違する点は、隣接する板材1a,1c同士が、蝶番21によって連結されている。たとえば、隣接する板材1b,1c同士も蝶番21によって連結し、かつ隣接する板材1a,1b同士を嵌合凸部14a,15aと嵌合凹部16b,17bによる一時結合手法を採用することにより、非使用時においても、これら3枚の板材1a,1b,1cを一括して取り扱うことができる。
つまり、嵌合部は、前記の
図5の手法だけでなく、
図6に示す突起を有したはめ込み部20とスリット19による着脱可能な嵌合手
法など、使用に耐えうる嵌合力もしくは固定力を有していれば、何れの手法でも採用可能である。
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態を採用することもできる。
上述の通り、本実施例は三角錐形状であるが、板材1a,1b,1cを
図4に示すペーパーフィルタ最下点18から放射状に伸ばした1つ以上の線で折り曲げることにより、円錐型ペーパーフィルタにフィットするような、六角錐、十二角錐など構造を得ることができる。この場合、角数をnとすると一つの面の左右の辺のなす角θ=180/nの略二等辺三角形のペーパーフィルタ保持部に載置部を有した形状となる。角数nを増すと円錘形状に近似されていくため、円錐型ドリッパーと同じような使用感を得ることができる。
また、各板材1a,1b,1cの材質として、チタンやチタン合金等を採用することにより、高比剛性を得られる。また、各板材1a,1b,1cの材質として、ステンレスを用いることにより、チタン材よりも薄い素材で同程度の剛性を得ることができる。更に耐熱性の樹脂を用いる事により低コストでの生産が可能と考えられる。つまり材料の選定により、様々な特徴をもったドリッパーを提供できる。