(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に開示された構成では、生地を搬送ベルトで加湿装置及び加熱装置の両方に通過させているため、その搬送ベルト等の搬送装置のサイズが大きくなり、縮絨機のサイズの小型化が阻害される。
従って、本発明は、生地の搬送を簡素な構成で実現することのできる縮絨機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る縮絨機は、生地を加湿する加湿手段と、前記加湿手段により加湿される前記生地を搬送する搬送手段と、前記加湿手段による加湿後の前記生地が滑降する傾斜面を有する傾斜部材と、前記傾斜面上の前記生地を加熱する加熱手段とを備える。
前記縮絨機では、前記加湿手段による加湿後の前記生地が前記傾斜面上を滑降する間に前記加熱手段によって加熱されるため、前記加熱手段により加熱される際に前記生地を積極的に搬送する手段を設ける必要がない。従って、本発明によれば、生地の搬送を簡素な構成で実現することのできる縮絨機を提供することができる。また、前記縮絨機では、前記生地が前記傾斜面を滑降するため、前記生地が水平方向に搬送される場合に比べて、前記生地の搬送方向における前記縮絨機のサイズを小型化することができる。
【0006】
ここで、前記加熱手段は、前記傾斜面の下方に配置されてなり、前記傾斜面を通じて前記生地を加熱するものであることが望ましい。特に、前記加熱手段は、前記傾斜部材に内蔵される構成が考えられる。このような構成によれば、前記加熱手段から前記傾斜面を通じて鉛直上方向に移動する対流熱により、前記傾斜面を滑降する前記生地を効果的に加熱することができる。
【0007】
更に、前記縮絨機は、前記傾斜面に対して予め設定された所定幅の間隙を介して配置された巻き取りローラー及び前記巻き取りローラーを回転させる巻き取り駆動手段を備えることが考えられる。これにより、前記縮絨機では、前記傾斜面から滑降した前記生地を巻き付けた支管などのローラー部材が前記間隙に載置されると、前記巻き取りローラーに連動して前記巻き取りローラーが回転し、前記巻き取りローラーで前記生地を巻き取ることが可能となる。
【0008】
また、前記縮絨機は、前記傾斜面から前記間隙を通じて滑落した前記生地を所定範囲の動作により折り畳む揺動手段を備えることが考えられる。これにより、ユーザーは、前記巻き取りローラー及び前記巻き取り駆動手段による前記生地の巻き取りと、前記揺動手段による前記生地の折り畳みとを任意に選択することが可能である。特に、前記縮絨機では、前記巻き取りローラーと前記傾斜面との間に前記間隙が設けられているため、前記巻き取りローラー及び前記巻き取り駆動手段を装着した状態で前記生地の巻き取りと折り畳みとを選択して実行することが可能である。
【0009】
さらに、前記搬送手段が、前記搬送手段が、前記加湿手段から前記傾斜面への前記生地の排出部に配置された搬送ローラーを含むものである構成が考えられる。この場合、前記縮絨機は、前記搬送ローラーとの間で前記生地を挟持する挟持ローラーを備えることが望ましい。また、前記縮絨機は、前記搬送ローラーとの間で前記生地を挟持する挟持ローラーを支持する挟持ローラー軸を備えるものであってもよい。
このような構成によれば、前記加湿手段から前記傾斜部材の傾斜面に排出される前記生地の後端を前記搬送ローラー及び前記挟持ローラーによって挟持することができる。従って、前記生地の搬送方向の残りの長さが短くなっても前記生地が前記搬送ローラーを通過するまでの間は、前記生地が自重で前記傾斜面を急速に滑落することを防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、生地の搬送を簡素な構成で実現することのできる縮絨機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0013】
[第1実施形態]
<縮絨機10の構成>
まず、
図1〜
図4を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る縮絨機10の概略構成について説明する。なお、以下の説明において、前記縮絨機10が使用可能に設置された状態を基準として、
図1において手前側を正面として前後左右の方向を定義する。
図1及び
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る縮絨機10は、原反支持軸1、搬送ローラー21、22、押え軸3、加湿部4、加熱部5、振り落し機構6、載置台7、及び操作部8などを備えている。前記各構成要素は、前記縮絨機10の左側面部10A及び右側面部10Bによって支持されている。
【0014】
前記原反支持軸1は、衣服などの縫製に用いられる長尺状の生地がロール状に巻かれた原反を支持する軸部材である。なお、前記原反支持軸1の両端は、不図示の一対のベアリングによってそれぞれ回動自在に支持されている。そして、前記縮絨機10の使用時には、ユーザーにより前記原反に前記原反支持軸1が挿通され、前記原反支持軸1の両端が前記一対のベアリング上にそれぞれ載置される。
前記搬送ローラー21は、前記加湿部4への生地の導入部に配置されており、前記搬送ローラー22は、前記加湿部4から前記加熱部5への生地の排出部に配置されている。そして、前記搬送ローラー21、22各々は、外周面が高摩擦係数の材料で形成されており、前記縮絨機10に設けられた駆動系2(
図3参照)で駆動されることにより、前記原反支持軸1で支持された前記原反を解反して生地を前記加湿部3に搬送する。なお、前記搬送ローラー21、22各々は、前記加湿部4により加湿される生地を搬送する搬送手段の一例に過ぎず、長尺状の生地を搬送することができればベルトコンベアなどの他の搬送手段を用いてもよい。一方、前記縮絨機10では、前記搬送ローラー21、22を通過した後の生地を搬送する手段は設けられていない。
ここに、
図3は、前記駆動系2の構成の一例を説明するための図であって、前記縮絨機10の左側面から見た模式断面図である。
図3に示すように、前記駆動系2は、前記縮絨機10の前記右側面部10Bに設けられている。前記駆動系2は、駆動モーター23、駆動ベルト24、及び回転板25などを備えている。前記駆動ベルト24は、前記搬送ローラー21、22、前記駆動モーター23、及び前記回転板24各々により張架されており、前記駆動モーター23の駆動力を前記搬送ローラー21、22及び前記回転板25に伝達する。
【0015】
図1及び
図2の説明に戻り、前記押え軸3は、前記左側面部10A及び前記右側面部10Bに設けられた所定の金具により着脱可能に構成されている。前記押え軸3は、支管31(挟持ローラーの一例)に嵌挿されることにより前記支管31を回動自在に支持する挟持ローラー軸の一例である。そして、前記押え軸3に支持された前記支管31は、前記搬送ローラー22との間で生地を挟持すると共に前記搬送ローラー22の回転に連動して回転する。前記支管31は、生地を巻き付ける際に使用される紙類又は樹脂などで形成された部材である。なお、前記押え軸3及び前記支管31に代えて、前記搬送ローラー22との間で生地を挟持する挟持ローラーを備える構成も他の実施形態として考えられる。
【0016】
前記加湿部4は、前記搬送ローラー21、22によって搬送される生地に水蒸気を吹き付けて生地を加湿し、生地を収縮させる所謂スチームヒーターであって、本発明に係る加湿手段の一例である。
前記加熱部5は、前記加湿部4により加湿された後の生地が滑降する傾斜面5Aを有する傾斜部材の一例である。例えば前記加熱部5の前記傾斜面5Aは低摩擦係数の部材によって形成されている。そして、前記加熱部5は、
図1に示すように、直方体形状を成しており、水平面に対して予め設定された所定の角度だけ傾斜した状態で支持部材5B、前記左側面部10A、及び前記未側面部10Bによって支持されている。これにより、前記加湿部4を経て前記搬送ローラー22から排出される生地は、前記傾斜面5A上を滑降する。但し、前記縮絨機20では、前記搬送ローラー22によって搬送される生地が前記支管31によって押さえられるため、長尺状の生地の終端が前記搬送ローラー22を通過するまでの間は、生地の残りの長さが短くなっても生地が自重によって前記傾斜面5Aを急速に滑落することが防止される。
そして、前記加熱部5には、前記加湿部4により加湿された後の生地を加熱することにより生地の水分を除去する加熱手段が内蔵されている。
【0017】
ここに、
図4は、前記加湿部4及び前記加熱部5の一例を説明するための図であって、前記縮絨機10を右側面から見た模式断面図を示している。
図4に示すように、前記加湿部4は、セパレーター41、噴出配管42、3つの加熱ユニット43、及びスチームトラップ44などを備えている。
前記セパレーター41は、不図示のボイラー設備から入力される水蒸気を前記噴出配管42に続く配管41Aと前記加熱ユニット43に続く配管41Bとに分離して供給する。前記セパレーター41では、前記配管41A及び前記配管42Aへの水蒸気の供給割合を調節することも可能である。
前記噴出配管42は、前記左側面部10A及び前記右側面部10Bの間に亘る長尺状の配管であり、下方に水蒸気を噴出する噴出口が所定間隔ごとに形成されている。これにより、前記配管41Aから供給される水蒸気は、前記噴出配管42の前記噴出口から噴出され、前記噴出配管42の下方に配置された壁面42Aで跳ね返って上方に噴出される(
図3の矢印参照)。なお、ここでは水蒸気を生地に直接吹き付けた場合に生地が加湿され過ぎることを考慮し、前記噴出配管42Aからの水蒸気を前記加湿溝42Aで反射させているが、もちろん、前記噴出配管42の上方に噴出口を形成して生地に対して直接水蒸気を吹き付けてもよい。
前記加熱ユニット43各々は、アルミ製の筐体内に二本のヒートパイプ43Aが嵌挿されることによって形成されたパイプヒーターであり、前記加湿部4の周辺温度を高めることにより前記加湿部4による生地の加湿効率を高めている。三つの前記加熱ユニット43各々において前記ヒートパイプ43A各々はベンド管(U字状配管)によって直列接続されている。そして、三つの前記加熱ユニット43の終端となる前記ヒートパイプ43Aから排出される水蒸気は、配管41Cを通じて前記加熱部5に導かれる。なお、前記ヒートパイプ43A各々が並列接続されることも他の実施形態として考えられる。
【0018】
一方、
図4に示すように、前記加熱部5は、三つの加熱ユニット51を内蔵している。
前記加熱ユニット51各々は、前記加熱ユニット43と同様に、アルミ製の筐体内に二本のヒートパイプ51Aが嵌挿されることによって形成されたパイプヒーター(加熱手段の一例)である。また、三つの前記加熱ユニット51各々において前記ヒートパイプ51A各々はベンド管(U字状配管)によって直列接続されている。そして、前記加熱ユニット51A各々は、前記ヒートパイプ51A各々に流通する水蒸気によって例えば170〜180℃程度まで加熱され、前記傾斜面5A上の滑降する生地は、前記加熱ユニット51各々によって前記傾斜面5Aを通じて加熱される。特に、前記加熱ユニット51各々は、前記傾斜面5Aの下方に配置されているため、前記加熱ユニット51各々から前記傾斜面5Aを通じて鉛直上方向に移動する対流熱により、前記傾斜面5Aを滑降する生地が効果的に加熱される。また、前記縮絨機20では、前記搬送ローラー22によって搬送される生地が前記支管31によって押さえられるため、前記搬送ローラー22から前記傾斜面5Aの間における生地の浮き上がりが抑制され、できるだけ前記生地を前記傾斜面5Aに沿わせて滑降させることができる。
そして、三つの前記加熱ユニット51の終端となる前記ヒートパイプ51Aから排出される水蒸気は、配管41Dを通じて前記スチームトラップ44に導かれる。なお、前記ヒートパイプ51A各々が並列接続されることも他の実施形態として考えられる。また、前記加熱ユニット51として設けられたパイプヒーターは本発明に係る加熱手段の一例に過ぎず、例えば電気加熱ヒーター及び遠赤外線ヒーターなどの各種の加熱装置を用いてもよい。前記スチームトラップ44は、前記加湿部4及び前記加熱部5から水蒸気を漏らさず、前記加湿部4及び前記加熱部5で凝縮されたドレン水のみを排出する。
【0019】
また、
図1に戻り、前記振り落し機構6は、前記加熱部5の前記傾斜面5Aを滑降した生地を折り畳むために用いられる揺動手段の一例である。具体的に、前記振り落し機構6は、前記加熱部5の前記傾斜面5Aの下端部に回動自在に支持された二本のリンク61と、前記リンク61各々の下端部に接続された二本の案内軸62と、一方(右側)の前記リンク61に連結されたリンク63及びリンク64とを備えている。前記案内軸62各々の間には生地を挿通するための間隙D1が形成されている。
そして、前記リンク64は、
図3に示すように、前記駆動系2の前記回転板25の連結部25Aに連結されており、前記回転板25の回転による前記連結部25Aの変位の範囲(所定範囲の一例)で前後に揺動する。前記リンク64が前後に揺動すると、前記リンク64に連結された前記リンク61も連動して前後に揺動する。これにより、前記案内軸62の間に挿通された生地は、前記リンク61の前後方向の揺動により前記案内軸62で案内されて前後方向に揺動動作を繰り返すことにより、前記載置台7上で多層に折り畳まれる。
前記操作部8は、前記駆動系2に設けられた前記駆動モーター23の駆動をON/OFFするための電源スイッチ及び前記駆動モーター23の回転速度を調整するためのロータリースイッチなどを備えている。
【0020】
<縮絨機10の動作>
次に、
図5〜
図7を参照しつつ、前記縮絨機10の動作例について説明する。ここに、
図5〜
図7は、長尺状の生地91が巻かれたロール状の原反9が前記原反支持軸1にセットされ、前記縮絨機10が操業された使用状態を示す図である。
まず、ユーザーは、前記支持軸1に前記原反9をセットし、前記原反9から引き出した長尺状の生地91を前記搬送ローラー22及び前記支管31で挟持させた後、前記操作部8の電源スイッチをONする。これにより、前記縮絨機10では、
図7に示すように、前記駆動モーター23が駆動して前記駆動ベルト24により前記搬送ローラー21、22及び前記回転板25が回転され(
図7の矢印方向参照)、前記生地91の搬送が開始される(
図5及び
図6参照)。なお、このとき前記加湿部4及び前記加熱部5に水蒸気を供給する前記ボイラー設備は駆動されており、前記搬送ローラー21、22によって搬送される前記生地91は、前記加湿部4により加湿された後、前記加熱部5の前記傾斜面5Aを滑り降りる際に前記加熱部5に内蔵された前記加熱ユニット51各々によって加熱される。
その後、前記加熱部5の前記傾斜面5Aから前記生地91の先端が滑り落ちると、ユーザーは、前記生地91の先端を前記振り落し機構6の二本の前記案内軸62の前記間隙D1に挿入させる(
図5及び
図7参照)。これにより、前記加熱部5の前記傾斜面5Aから滑落した前記生地91は、前記振り落し機構6により前記載置台7上に折り畳まれて載置される。
【0021】
以上、説明したように、前記縮絨機10では、前記加湿部4により加湿された生地が、前記加熱部5で前記傾斜面5Aを滑降する途中で加熱される。これにより、生地の製造時に生じた引っ張りが元に戻され、生地に生じていた部分的な歪みも解消される。そして、前記縮絨機10では、前記加熱部5による加熱の際に生地が前記傾斜面5Aを滑降することになり、生地を搬送する手段を必要としないため、前記縮絨機10の構成を簡素化することができる。特に、前記縮絨機10では、直方体状に形成された前記加熱部5全体が水平面に対して傾斜した状態で配置されることにより前記傾斜面5Aが形成されているため、同じサイズの前記加熱部5を水平面に対して平行に配置する場合と同様の熱量を生地に与えると共に、前記縮絨機10における生地の搬送方向のサイズを小型化することができる。
なお、前記加熱部5の前記傾斜面5Aは、直線状の斜面に限らず円弧状の斜面であってもよい。また、前記縮絨機10は、前記原反支持軸1で支持された原反から前記搬送ローラー21により引き出される生地のキズや色むらなどを検査するために生地に光を照射する検反装置が前記原反支持軸1と前記搬送ローラー21との間に設けられた構成であってもよい。
【0022】
<第2実施形態>
第2実施形態では、
図8〜
図10を参照しつつ、前記縮絨機10の変形例である縮絨機20について説明する。ここに、
図8は前記縮絨機20の概略構成を示す図であって、前記縮絨機20を左側面から見た模式断面図である。また、
図9及び
図10は、前記縮絨機20の使用状態を示す模式断面図である。なお、前記縮絨機20について前記縮絨機10と同様の構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
具体的に、前記縮絨機20は、
図8に示すように、前記加熱部5の前記傾斜面5Aを滑降した生地を自動的に巻き取る巻き取り装置65を備える点で前記縮絨機10と構成を異にする。なお、前記巻き取り装置65は、前記加熱部5の右側面部によって支持されている。また、前記巻き取り装置65は自立型の装置であることも他の実施形態として考えられる。
そして、前記巻き取り装置65は、巻き取りローラー66、駆動モーター67(巻き取り駆動手段の一例)、及び駆動ベルト68などを備えている。前記巻き取りローラー66は、例えば前記傾斜面5Aにおける生地の滑降方向に直交する方向(
図8における奥行き方向)に長尺状に形成された部材である。なお、前記巻き取りローラー66は、後述の支管69(
図9参照)を回転させることが可能なものであれば、その形状は特に限定されない。例えば、前記巻き取りローラー66が、前記傾斜面5Aの下端部の全域に対応する長さであること、前記傾斜面5Aの下端部に対向して間欠的に設けられた複数のローラーを有すること、又は前記傾斜面5Aの下端部の中央の一部分に設けられたローラーであることなどが考えられる。
また、前記巻き取りローラー66は、前記加熱部5の前記傾斜面5Aに対して予め設定された間隙D2を設けて配置されている。具体的に、前記間隙D2の幅は、前記巻き取りローラー66と前記傾斜面5Aの下端部との間に支管69(
図9参照)を載置した場合に、前記支管69が前記巻き取りローラー66に連動して回転することが可能な幅として予め設定されている。このように、前記縮絨機20では、前記間隙D2が設けられているため、ユーザーは、前記支管69の載置の有無によって、前記巻き取り装置65による生地の巻き取りと、前記振り落し機構6による生地の折り畳みとを任意に選択することが可能である。なお、前記間隙D2を変更可能にするため、前記巻き取りローラー66が前記傾斜面5Aに対して揺動可能に支持された構成も他の実施形態として考えられる。
前記駆動モーター67は、前記駆動ベルト68を介して前記巻き取りローラー66に連結されており、前記駆動モーター67が駆動されるとその駆動力が前記駆動ベルト68によって前記巻き取りローラー66に伝達され、前記巻き取りローラー66が駆動される。なお、前記縮絨機20では、前記操作部8に、前記駆動モーター23及び前記駆動モーター67の駆動の有無及び回転速度をそれぞれ個別に制御するための二組の電源スイッチ及びロータリースイッチが設けられることが考えられる。これにより、前記巻き取り装置65による巻き取りが不要な場合に、前記巻き取り装置65の前記駆動モーター67に対応する電源スイッチを切ることが可能となる。
【0023】
<縮絨機20の動作>
次に、
図9及び
図10を参照しつつ、前記縮絨機20の動作例について説明する。ここに、
図9は、前記巻き取り装置65を使用する場合、
図10は、前記振り落し機構6を使用する場合の前記縮絨機20の使用状態を示している。なお、前記縮絨機10と同様の動作については説明を省略する。
【0024】
(巻き取り動作時)
前記巻き取り装置65を使用する場合には、前記生地91が前記加熱部5の前記傾斜面5Aの下端部に到達した際に、前記操作部8のユーザー操作により前記駆動モーター23の駆動が停止される。そして、
図9に示すように、ユーザーにより前記加熱部5の前記傾斜面5Aの下端部に到達した前記生地91の先端が前記支管69に巻き付けられ、前記巻き取り装置65の巻き取りローラー66と前記傾斜面5Aの下端部との間に載置される。続いて、前記操作部8のユーザー操作により前記駆動モーター23及び前記駆動モーター67の駆動が開始されると、前記駆動モーター67により前記搬送ローラー66が駆動されて前記支管69が回転し、前記傾斜面5Aを滑降する前記生地91が前記支管69で巻き取られる。なお、前記駆動モーター23及び前記駆動モーター67の回転速度は、前記巻き取りローラー66の回転により前記傾斜面5A上の前記生地91が引っ張られないように調整されている。即ち、前記縮絨機20において、前記搬送ローラー21、22による前記生地91の搬送速度が前記巻き取りローラー66の回転による前記支管69への前記生地91の巻き取り速度と同じ又はそれ以上である。
【0025】
(折り畳み動作時)
一方、前記振り落し機構6を使用する場合には、
図10に示すように、前記巻き取り装置65に前記支管69が載置されず、前記生地91が前記加熱部5の前記傾斜面5Aから滑落して前記案内軸62まで到達する。そして、ユーザーは前記加熱部5の前記傾斜面5Aから滑落した前記生地91の先端を二本の前記案内軸62の前記間隙D1に挿入する。これにより、その後、前記加熱部5の前記傾斜面5Aから滑落した前記生地91は、前記振り落し機構6により前記載置台7上に折り畳まれて載置される。このように、前記縮絨機20では、前記巻き取り装置65を着脱することなく前記巻き取り装置65による巻き取りと前記振り落し機構6による折り畳みとを任意に選択することができる。
【実施例】
【0026】
ここで、
図11を参照しつつ、前記第1実施形態に係る前記縮絨機10を用いた生地の収縮実験の結果の一例について説明する。
当該収縮実験では、前記搬送ローラー21、22による生地の搬送速度を1m/minに設定し、出力20kwの前記ボイラー設備を用いて前記加熱ユニット51各々の温度を約180℃に設定して前記縮絨機10を操業させた。そして、
図11(A)に示すように、前記縮絨機10で前記原反支持軸1の原反から供給される生地のうち縦1m、横1mの部分領域を収縮実験の測定対象として設定した。具体的には、前記生地における前記部分領域の端部P1〜P4各々に目印を付け、前記縮絨機10から排出された前記生地の前記端部P1〜P4各々の間隔を測定した。
図11(B)には、ポリエステル及びウールの混紡と、ウール100%との2種類の生地について実験を行った結果の一例が示されている。
図11(B)に示すように、前記収縮実験の結果、ポリエステル及びウールの混紡の生地については、端部P1−P2の間で14mm(1.4%)、端部P3−P4の間で18mm(1.8%)、端部P1−P3の間で12mm(1.2%)、端部P2−P4の間で11mm(1.1%)の収縮が測定された。また、
図11(B)に示すように、ウール100%の生地ついては、端部P1−P2の間で21mm(2.1%)、端部P3−P4の間で19mm(1.9%)、端部P1−P3の間で18mm(1.8%)、端部P2−P4の間で17mm(1.7%)の収縮が測定された。