(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における中継システムのシステム構成を示す図である。
本実施形態の中継システムは、共用AP10、通信端末(直接通信端末)11、被共用AP20、通信端末(間接通信端末)21、被共用AP30、通信端末(間接通信端末)31及びネットワーク40(外部ネットワーク)を備える。共用AP10、被共用AP20及び被共用AP30は、それぞれ異なるセグメント(セグメント1、セグメント2、セグメント3)に存在する。
【0015】
共用AP10は、無線LANのアクセスポイントであり、自装置(共用AP10)に帰属する通信端末11との間で通信を行う。共用AP10は、ネットワーク40に接続されている不図示の通信機器との間で、有線ケーブルを介して有線通信を行う。共用AP10とネットワーク40との間に位置する区間(以下、「有線区間」という。)の具体例として、有線LANやWAN(Wide Area Network)がある。共用AP10は、自装置に帰属する通信端末11と有線区間との間で通信の中継処理を行う。また、共用AP10は、被共用AP20及び被共用AP30と有線区間との間で通信の中継処理を行う。
【0016】
通信端末11は、例えばスマートフォン、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム装置、タブレット装置、ノート型パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成される。通信端末11は、共用AP10を介してネットワーク40との間で通信を行う。
被共用AP20は、無線LANのアクセスポイントであり、自装置(被共用AP20)に帰属する通信端末21との間で通信を行う。被共用AP20は、自装置に帰属する通信端末21と共用AP10との間で、WDS接続によって通信の中継処理を行う。
【0017】
通信端末21は、例えばスマートフォン、携帯電話機、PDA、携帯ゲーム装置、タブレット装置、ノート型パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成される。通信端末21は、被共用AP20との間で通信を行う。
被共用AP30は、無線LANのアクセスポイントであり、自装置(被共用AP30)に帰属する通信端末31との間で通信を行う。被共用AP30は、自装置に帰属する通信端末31と共用AP10との間で、WDS接続によって通信の中継処理を行う。
【0018】
通信端末31は、例えばスマートフォン、携帯電話機、PDA、携帯ゲーム装置、タブレット装置、ノート型パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成される。通信端末31は、被共用AP30との間で通信を行う。
ネットワーク40は、どのように構成されたネットワークでも良い。例えば、ネットワーク40はインターネットを用いて構成されても良い。
なお、以下の説明では、被共用AP20及び被共用AP30について特に区別しない場合には、被共用APと記載する。また、以下の説明では、通信端末11、通信端末21及び通信端末31について特に区別しない場合には、通信端末(STA)と記載する。
【0019】
図2は、共用AP10の機能構成を表す概略ブロック図である。
共用AP10は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、中継プログラムを実行する。中継プログラムの実行によって、共用AP10は、無線通信部101、制御部102、集約APデータベース103、帯域計算部104、ビーコン生成部105、WDSフレーム読込部106、ポート番号割当部107、NATテーブル記憶部108、IPパケット生成部109、上り送信優先権データベース110、上り送信タイミング制御部111、有線通信部112、IPパケット読込部113、WDSフレーム生成部114、下り送信優先権データベース115、下り送信タイミング制御部116を備える装置として機能する。なお、共用AP10の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。また、中継プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、中継プログラムは、電気通信回線を介して送受信されても良い。
【0020】
無線通信部101は、被共用APとの間でWDS接続することによって通信を行う。また、無線通信部101は、通信端末11との間で通信を行う。
制御部102は、共用AP10の各機能部を制御する。
【0021】
集約APデータベース103は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。集約APデータベース103は、自装置(共用AP10)に接続している被共用APのMACアドレスを記憶している。
帯域計算部104は、集約APデータベース103に記憶されている被共用APのMACアドレスを用いて通信帯域を計算する。具体的には、帯域計算部104は、集約APデータベース103に記憶されている被共用APのMACアドレスの数に基づいて、自装置に新たに接続する被共用APに確保可能な通信帯域(以下、「確保帯域」という。)を計算する。
【0022】
ビーコン生成部105は、被共用APに対して周期的に送信されるビーコン信号(以下、「ビーコン」という。)を生成する。ビーコンには、例えば、確保帯域の値が格納される。
WDSフレーム読込部106は、無線通信部101が被共用APから受信したWDSフレーム信号を読み込む。具体的には、WDSフレーム読込部106は、WDSフレーム信号に格納されているタイプ値及び宛先グローバルIPアドレスの各値を取得する。タイプ値とは、被共用AP又は直接通信端末に伝送されるWDSフレーム信号であるか、自装置を中継器としてネットワーク40に伝送されるWDSフレーム信号であるかを表す値である。
【0023】
ポート番号割当部107は、WDSフレーム信号の送信元である被共用AP(以下、「送信元被共用AP」という。)のMACアドレス(以下、「被共用AP_MAC」という。)及び送信元被共用APに帰属する通信端末のMACアドレス(以下、「被共用STA_MAC」という。)の組み合わせに対してポート番号を割り当てる。その後、ポート番号割当部107は、ポート番号及びポート番号を割り当てられたMACアドレスの組み合わせをNATテーブル記憶部108に記録する。また、ポート番号割当部107は、ポート番号及びMACアドレスの組み合わせと、受信されたWDSフレーム信号の宛先グローバルIPアドレスとをIPパケット生成部109に出力する。
【0024】
NATテーブル記憶部108は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。NATテーブル記憶部108は、NATテーブルを記憶している。NATテーブルには、ポート番号割当部107が割り当てたポート番号毎に、被共用AP_MAC及び被共用STA_MACの各値が格納されている。
【0025】
IPパケット生成部109は、ポート番号割当部107が出力したポート番号、MACアドレスの組み合わせ及び宛先グローバルIPアドレスを用いてIPパケットを生成する。具体的には、IPパケット生成部109は、ヘッダに宛先グローバルIPアドレスを格納し、IPパケットのペイロードにWDSフレーム信号の送信元の出力先を表すポート番号、MACアドレスの組み合わせを格納することによってIPパケットを生成する。
上り送信優先権データベース110は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。上り送信優先権データベース110には、例えば、自装置(共用AP10)のMACアドレス又は自装置に接続している被共用APのMACアドレス(以下、まとめて「MAC_AP」という。)毎に、優先権の値が格納されている。有線区間及び無線区間において、優先権を有していないMAC_APからの送信に比べて、優先権を有しているMAC_APの送信が優先される。
【0026】
上り送信タイミング制御部111は、上り送信優先権データベース110に基づいてIPパケットの送信タイミングを制御する。具体的には、まず、上り送信タイミング制御部111は、上り送信優先権データベース110を参照し、MAC_APに対応する優先権の値を確認する。優先権の値が“1”である場合、上り送信タイミング制御部111はIPパケットを有線通信部112に出力し、出力したMAC_APに対応する優先権の値をデクリメントする。一方、優先権の値が“1”未満である場合、上り送信タイミング制御部111はIPパケットを不図示の送信バッファに蓄積する。
次に、送信バッファに蓄積されたIPパケットに対する処理について説明する。上り送信タイミング制御部111は、定期的に上り送信優先権データベース110を参照し、蓄積されたIPパケットの送信元であるMAC_APに対応する優先権の値が“1”であるか否か確認する。“1”である場合、上り送信タイミング制御部111は、MAC_APに対応するIPパケットを有線通信部112に出力する。その後、出力したMAC_APに対応する優先権の値をデクリメントする。このように
【0027】
有線通信部112は、上り送信タイミング制御部111から出力されたIPパケットを有線区間に送信する。また、有線通信部112は、有線区間からIPパケットを受信し、IPパケット読込部113に転送する。
IPパケット読込部113は、有線通信部112によって受信されたIPパケットを読み込む。具体的には、IPパケット読込部113は、IPパケットに格納されているポート番号の値を取得する。IPパケット読込部113は、NATテーブルを参照し、取得されたポート番号の値に対応する被共用AP_MACの値が存在するか否か判定する。被共用AP_MACの値が存在する場合、IPパケット読込部113はNATテーブルに記録されている被共用AP_MAC及び被共用STA_MACの各値を取得する。被共用AP_MACの値が存在しない場合、IPパケット読込部113は受信されたIPパケットを制御部102に転送する。
【0028】
WDSフレーム生成部114は、IPパケット読込部113から出力された被共用AP_MAC及び被共用STA_MACの各値を用いてWDSフレーム信号を生成する。具体的には、WDSフレーム生成部114は、被共用AP_MACを転送先MACアドレスとして格納し、被共用STA_MACを宛先MACアドレスとして格納することによってWDSフレーム信号を生成する。
下り送信優先権データベース115は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。下り送信優先権データベース115には、例えば、MAC_AP毎に、優先権の値が格納されている。
【0029】
下り送信タイミング制御部116は、下り送信優先権データベース115に基づいてIPパケットの送信タイミングを制御する。具体的には、まず、下り送信タイミング制御部116は、下り送信優先権データベース115を参照し、WDSフレーム生成部114によって取得されたMAC_APに対応する優先権の値を確認する。優先権の値が“1”である場合、下り送信タイミング制御部116はWDSフレーム信号を無線通信部101に出力し、出力したMAC_APに対応する優先権の値をデクリメントする。一方、優先権の値が“1”未満である場合、下り送信タイミング制御部116はWDSフレーム信号を不図示の送信バッファに蓄積する。
次に、送信バッファに蓄積されたIPパケットに対する処理について説明する。下り送信タイミング制御部116は、定期的に下り送信優先権データベース115を参照し、蓄積されたWDSフレーム信号の送信先であるMAC_APに対応する優先権の値が“1”であるか否か確認する。“1”である場合、下り送信タイミング制御部116は、MAC_APに対応するWDSフレーム信号を無線通信部101に出力する。その後、出力したMAC_APに対応する優先権の値をデクリメントする。
【0030】
図3は、被共用APの機能構成を表す概略ブロック図である。なお、被共用AP20及び被共用AP30は、同様の構成を備える。そのため、
図3では被共用AP20の機能構成について説明する。
被共用AP20は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、中継プログラムを実行する。中継プログラムの実行によって、被共用AP20は、第一通信部201、第二通信部202、アドレス読込部203、キャリアセンス実施部204、ビーコン読込部205、共用APデータベース206、選定部207、WDSフレーム生成部208、WDSフレーム読込部209を備える装置として機能する。なお、被共用AP20の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。また、中継プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、中継プログラムは、電気通信回線を介して送受信されても良い。
【0031】
第一通信部201は、インフラストラクチャモードによって通信端末21との間で信号の送受信を行う。
第二通信部202は、共用AP10との間でWDS接続することによって信号の送受信を行う。
なお、本実施形態では無線通信を行う機能として二つの機能(第一通信部201及び第二通信部202)を記載しているが、実際にはこの二つの機能は同一の無線通信回路上に実装されても良い。
アドレス読込部203は、第一通信部201が通信端末21から受信した信号に格納されている宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、送信元プライベートIPアドレス、宛先グローバルIPアドレスの各値を取得する。
【0032】
キャリアセンス実施部204は、所定のタイミングでキャリアセンスを行う。キャリアセンスの実行において、キャリアセンス実施部204は、共用AP10から送信されたビーコンを受信する。所定のタイミングとは、例えば被共用APの設定がなされたタイミングであっても良いし、自装置(被共用AP20)の電源が投入された時点のタイミングであっても良いし、他のタイミングであっても良い。また、共用AP10が複数存在する場合、キャリアセンス実施部204はビーコンを複数受信する。
【0033】
ビーコン読込部205は、キャリアセンス実施部204によって受信されたビーコンを読み込む。具体的には、ビーコン読込部205は、ビーコンに格納されている共用APに関する情報(以下、「共用AP関連情報」という。)を取得する。共用AP関連情報は、例えば、共用APのMACアドレス、確保帯域、共用AP及び共用APに接続している被共用APに帰属する通信端末の数、RSSIを表す。ビーコン読込部205は、取得した共用AP関連情報を共用APデータベース206に記録する。
【0034】
共用APデータベース206は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。共用APデータベース206には、共用APのMACアドレス(共用AP_MAC)毎に、WANリンク速度、WLANリンク速度、STA数、RSSIの各値が格納されている。
選定部207は、自装置が接続する共用APを、共用APデータベース206に記憶されている共用AP関連情報に基づいて選定する。例えば、選定部207は、共用APデータベース206に記憶されているWANリンク速度の値が一番高い共用APを、自装置が接続する共用APに選定する。
【0035】
WDSフレーム生成部208は、アドレス読込部203によって取得された共用APのMACアドレス、自装置のMACアドレス、アドレス読込部203によって取得された送信元MACアドレス及び宛先MACアドレスの各値を用いてWDSフレーム信号を生成する。具体的には、WDSフレーム生成部208は、共用APのMACアドレスを次転送MACアドレスとし、自装置のMACアドレスを転送元MACアドレスとし、送信元MACアドレス及び宛先MACアドレスの各値をヘッダに格納することによってWDSフレーム信号を生成する。また、この際、WDSフレーム生成部208は、タイプ値及び宛先グローバルIPアドレスをWDSフレーム信号のペイロードに格納する。
【0036】
WDSフレーム読込部209は、第二通信部202によって受信されたWDSフレーム信号を読み込む。具体的には、WDSフレーム読込部209は、WDSフレーム信号に格納されている宛先MACアドレスを取得する。
【0037】
図4は、WDSフレームのフレームフォーマットの構成例を示す図である。
WDSフレームは、フレーム制御、デュレーション、第一アドレス、第二アドレス、第三アドレス、シーケンス制御、第四アドレス、ペイロードの各値を格納するフィールドを有する。また、第一アドレス〜第四アドレスの4つの値を格納するフィールドには、WDSやインフラストラクチャモードなどの使用状況に応じて異なる値が格納される。4つのフィールドに格納される値は、例えば、RA(Receiver Address)、TA(Transmitter Address)、DA(Destination Address)、SA(Source Address)、BSSID(Basic Service Set Identifier)の各値である。RAの値は、次転送先基地局のMACアドレスを表す。TAの値は、転送元基地局のMACアドレスを表す。DAの値は、宛先MACアドレスを表す。SAの値は、送信元MACアドレスを表す。BSSIDの値は、BSSを識別する番号を表す。
【0038】
フレーム制御のフィールドには、ToDS(To Distribution System)、FromDS(To Distribution System)の2つのフィールドが格納される。ToDSのフィールドには、受信局が基地局(例えば、共用AP10、被共用AP20)であるか通信端末であるかを示す値が格納される。例えば、受信局が基地局である場合、ToDSのフィールドには“1”が格納される。また、例えば、受信局が通信端末である場合、ToDSのフィールドには“0”が格納される。
FromDSのフィールドには、送信局が基地局であるか通信端末であるかを示す値が格納される。例えば、送信局が基地局である場合、FromDSのフィールドには“1”が格納される。また、例えば、送信局が通信端末である場合、FromDSのフィールドには“0”が格納される。
【0039】
デュレーションのフィールドには、電波を使用する予定期間の情報が格納される。予定期間とは、フレーム送信に必要な時間を表す。
シーケンス制御のフィールドには、送信するデータのシーケンス番号、またはフラグメント化した場合のフラグメント番号の情報が格納される。ペイロードのフィールドには、通信端末を操作するユーザが送信したいデータが主に格納される。
【0040】
図5は、本発明のWDSフレーム及び本発明のIPパケットの構成例を示す図である。
図5(A)は、本発明のWDSフレームの構成図である。本発明のWDSフレームは、ペイロードのフィールドにタイプ値及びDst_GlobalIPアドレスの各フィールドを備える。タイプ値のフィールドには、タイプ値が格納される。Dst_GlobalIPアドレスのフィールドには、宛先グローバルIPアドレスの値が格納される。
【0041】
図5(B)は、本実施形態で使用されるIPパケット(以下、単に「IPパケット」という。)の構成図である。IPパケットは、IPヘッダにバージョン、Src_Global_B、Dst_Global_Aの各フィールドを有する。IPパケットは、ペイロードに送信元ポート番号及び宛先ポート番号の各フィールドを有する。
バージョンのフィールドには、IPのバージョンを表す値が格納される。Src_GlobalIPアドレスのフィールドには、IPパケットの送信元である共用AP10のグローバルIPアドレスの値が格納される。Dst_GlobalIPアドレスのフィールドには、IPパケットの宛先のグローバルIPアドレスの値が格納される。
送信元ポート番号のフィールドには、ポート番号割当部107によって割り当てられたポート番号の値が格納される。宛先ポート番号のフィールドには、IPパケットを送信する宛先のポート番号の値が格納される。
【0042】
図6は、NATテーブル及び集約APデータベースの構成例を示す図である。
図6(A)は、NATテーブルの構成図である。NATテーブルは、レコード30を複数有する。レコード30は、ポート番号、被共用AP_MAC、被共用STA_MACの各値を有する。ポート番号の値は、被共用AP_MAC及び被共用STA_MACの各値に割り当てられたポート番号を表す。例えば、ポート番号の項目には、“49152”以上の値が記録される。被共用AP_MACの値は、被共用APのMACアドレスを表す。
【0043】
図6(B)は、集約APデータベース103の構成図である。集約APデータベース103には、共用AP10に接続している被共用APのMACアドレスが記憶されている。集約APデータベースは、被共用APが共用AP10に接続すると、接続した被共用APのMACアドレスを記憶する。
帯域計算部104は、集約APデータベース103に記憶されているMACアドレスの数を用いて共用APの確保帯域を計算する。
【0044】
図7は、上り送信優先権データベースの構成例を示す図である。なお、上り送信優先権データベース110及び下り送信優先権データベース115は同じ構成であるため、下り送信優先権データベース115についての説明は省略する。また、上り送信優先権データベース110には、
図7(A)、(B)及び(C)に示すように3つのパターンが存在する。
【0045】
まず、
図7(A)について説明する。
図7(A)は、第一パターンにおける上り送信優先権データベース110の構成図である。
第一パターンにおける上り送信優先権データベース110は、共用AP10又は被共用APに関する情報を表すレコード40を複数有する。レコード40は、MAC_AP、優先権の各値を有する。MAC_APの値は、レコード40によって表される共用AP10又は被共用APのMACアドレスを表す。優先権の値は、レコード40によって表される共用AP10又は被共用APに与えられた優先権を表す。
【0046】
優先権の値が“1”である場合、そのMAC_APに対応する共用AP10又は被共用APのIPパケットの送信が実行される。一方、優先権の値が“1”未満である場合、そのMAC_APに対応する共用AP10又は被共用APのIPパケットの送信は実行されない。上り送信優先権データベース110に格納されている優先権の値が全て“0”になると、制御部102は優先権の値を初期化する。制御部102は、例えば、優先権の値を全て初期値(例えば“1”)に変更することによって初期化を行う。上述したように、優先権の値が全て“0”にならないと、既に“0”となっている優先権の値は“1”以上の値にならない。このような処理によって、特定のAPのみに関するデータの送信が行われることを抑止できる。そのため、共用AP10に接続している被共用APは、公平に有線区間の帯域を利用することができる。
【0047】
図7(B)は、第二パターンにおける上り送信優先権データベース110の構成図である。第二パターンにおける上り送信優先権データベース110は、共用AP又は被共用APに帰属する通信端末に関する情報を表すレコード50を複数有する。レコード50は、MAC_STA、優先権の各値を有する。MAC_STAの値は、レコード50によって表される共用AP又は被共用APに帰属する通信端末のMACアドレスを表す。優先権の値は、レコード50によって表される共用AP又は被共用APに帰属する通信端末に与えられた優先権を表す。
【0048】
図7(C)は、第三のパターンにおける上り送信優先権データベース110の構成図である。第三パターンにおける上り送信優先権データベース110は、共用AP又は被共用APに関する情報を表すレコード60を複数有する。レコード60は、MAC_AP、優先権、MAC_STA、優先権の各値を有する。MAC_APの値は、レコード60によって表される共用AP又は被共用APのMACアドレスを表す。優先権の値は、レコード60によって表される共用AP又は被共用APに与えられた優先権を表す。MAC_STAの値は、レコード60によって表される共用AP又は被共用APに帰属する通信端末のMACアドレスを表す。優先権の値は、レコード60によって表される共用AP又は被共用APに帰属する通信端末に与えられた優先権を表す。
【0049】
次に、公平制御について詳細に説明する。以下の説明では、具体例として第一パターン(
図7(A))を用いて説明する。
上り送信優先権データベース110の最上段の行は、MAC_APの値が“XX−XX−XX−XX−XX−X4”、優先権の値が“1”である。また、上り送信優先権データベース110の2段目の行は、MAC_APの値が“XX−XX−XX−XX−XX−X5”、優先権の値が“1”である。
【0050】
共用AP10は、MAC_APの値が“XX−XX−XX−XX−XX−X4”のAPからWDSフレーム信号を受信すると、上り送信優先権データベース110の優先権の値を参照する。MAC_AP“XX−XX−XX−XX−XX−X4”に対応する優先権の値が“1”である場合、共用AP10は有線区間にIPパケットを送信する。その後、共用AP10は、MAC_AP“XX−XX−XX−XX−XX−X4”に対応する優先権の値をデクリメントする。この処理によって、MAC_AP“XX−XX−XX−XX−XX−X4”に対応する優先権の値は、“0”になる。
【0051】
次に、共用AP10は、MAC_APの値が“XX−XX−XX−XX−XX−X5”のAPからWDSフレーム信号を受信すると、上り送信優先権データベース110の優先権の値を参照する。MAC_AP“XX−XX−XX−XX−XX−X5”に対応する優先権の値が“1”である場合、共用AP10は有線区間にIPパケットを送信する。その後、共用AP10は、MAC_AP“XX−XX−XX−XX−XX−X5”に対応する優先権の値をデクリメントする。この処理によって、MAC_AP“XX−XX−XX−XX−XX−X4”に対応する優先権の値は、“0”になる。
【0052】
上り送信優先権データベース110に記憶されている優先権の値が全て“0”になると、制御部102は優先権の値を初期化する。その結果、上り送信優先権データベース110に記憶されている全てのMAC_APの優先権の値が“1”に戻る。
また、上り送信優先権データベース110に記憶されているMAC_APの一つ(例えば、
図7(A)では、MAC_AP“XX−XX−XX−XX−XX−X4”)に対応する優先権の値が“0”である場合、共用AP10がMAC_AP“XX−XX−XX−XX−XX−X4”のAPからWDSフレーム信号を受信すると、優先権の値が“0”であるためIPパケットの送信は行われない。この場合、共用AP10は、IPパケットを不図示の送信バッファに蓄積する。その後、MAC_AP“XX−XX−XX−XX−XX−X4”)に対応する優先権の値が“1”に初期化されると、共用AP10は不図示の送信バッファに蓄積されているIPパケットを有線区間に送信する。
以上で、公平制御について詳細な説明を終了する。
【0053】
図8は、ビーコンフレーム内の情報要素におけるデータ構成の一例を示す図である。
ビーコンフレームは、Element ID、Length、Organization Identifier、Vendor-Specific-contentの各値を格納するフィールドを有する。
Vendor-Specific-contentのフィールドには、AP間通信で送受信される情報が格納されている。具体的には、Vendor-Specific-contentのフィールドには、Share AP、WANSpeed、WLANSpeed、STAsの各値が格納されている。
【0054】
Share APの値は、共用APであるか否かを識別するための値を表す。Share APの値は、共用APであるか否かを識別可能な値であればどのような値が用いられても良い。WANSpeedの値は、共用AP10が被共用APを新たに追加した場合に、追加した被共用AP20に有線区間で確保可能な確保帯域を表す。WANSpeedの値は、WANリンク速度/(集約AP数+1)で算出される。WLANSpeedの値は、共用AP10が被共用APを新たに追加した場合に、追加した被共用AP20に無線区間で確保できる確保帯域を表す。WLANSpeedの値は、WLANリンク速度/(集約AP数+1)で算出される。STAsの値は、共用AP10及び共用AP10に接続している被共用APに帰属する全ての通信端末の数を表す。
【0055】
図9は、共用APデータベースの構成例を示す図である。
共用APデータベースは、共用APに関する情報を表すレコード70を複数有する。レコード70は、共用AP_MAC、WANリンク速度、WLANリンク速度、STA数、RSSIの各値を有する。共用AP_MACの値は、レコード70によって表される共用APのMACアドレスを表す。WANリンク速度の値は、レコード70によって表される共用APの有線区間でのリンク速度を表す。WLANリンク速度の値は、レコード70によって表される共用APの無線区間での通信速度を表す。STA数の値は、レコード70によって表される共用AP及び共用APに接続している被共用APに帰属する通信端末の数を表す。RSSIの値は、レコード70によって表される共用APから受信した電波の強さを表す。
【0056】
図10は、共用APの選定基準を表す図である。
選定部207は、
図10に示すような第一基準から第五基準までの5つの選定基準に基づいて新たに接続する共用APを選定する。まず、選定部207は、共用APのビーコンに格納されているWANSpeed帯域を参照し、最も高帯域な共用APを自装置(被共用AP20)が接続する共用APに選定する。
【0057】
第一基準において、WANSpeedの値が同じである共用APが複数存在する場合、選定部207は共用APデータベース206を参照し、被共用APが利用可能なWi−Fi変調方式の中でWLANSpeed帯域が最も高帯域な共用APを自装置が接続する共用APに選定する。
第二基準において、WLANSpeed帯域が同じである共用APが複数存在する場合、選定部207は共用APデータベース206を参照し、STA数が最も少ない共用APを自装置が接続する共用APに選定する。
【0058】
第三基準において、STA数が同じである共用APが複数存在する場合、選定部207は被共用APのRSSIの値が最も大きい共用APを自装置が接続する共用APに選定する。
第四基準において、RSSIの値が最も大きい共用APが複数存在する場合、選定部207は上記第一基準〜第四基準以外の方法で自装置が接続する共用APを選定する。選定部207は、例えば、MACアドレスが大きな共用APを自装置が接続する共用APに選定しても良い。
選定部207は、上記第一基準〜第五基準の5つの選定基準によって自装置が接続する共用APを選定する。なお、第一基準から第四基準までの処理の順番は、どのような順番であっても良い。
【0059】
図11は、本実施形態における情報周知処理の流れを示すフローチャートである。情報周知処理は、共用AP10及び被共用AP20の電源投入時または所定のタイミングで処理が開始される。
共用AP10及び被共用AP20は、自装置に共用APに設定されているか否かを判定する(ステップS101)。共用APに設定されている場合(ステップS101−YES)、ビーコン生成部105はビーコンを生成する。この際、ビーコン生成部105はビーコンフレームのVendor-Specific-contentのフィールドにビーコンフレームに共用AP関連情報を格納することによってビーコンを生成する。無線通信部101は、ビーコン生成部105が生成したビーコンを定期的にブロードキャストする(ステップS102)。
共用APに設定されていない場合(ステップS101−NO)、被共用APはビーコンを生成する。無線通信部101は、被共用APが生成したビーコンを定期的にブロードキャストする(ステップS103)。
【0060】
図12は、本実施形態における共用AP10による上り転送処理の流れを示すフローチャートである。
共用AP10の無線通信部101は、被共用AP20から送信されたWDSフレーム信号を受信し、制御部102を介してWDSフレーム読込部106に転送する。WDSフレーム読込部106は、WDSフレーム信号を読み込む(ステップS201)。具体的には、WDSフレーム読込部106は、WDSフレーム信号に格納されているタイプ値、グローバルIPアドレス被共用AP_MAC及び被共用STA_MACを取得する。
WDSフレーム読込部106は、取得したタイプ値を参照し、ネットワーク40への送信を表す値であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0061】
ネットワーク40への送信を表す値である場合(ステップS202−YES)、ポート番号割当部107は被共用AP_MAC及び被共用STA_MACの組み合わせに対してポート番号を割り当てる(ステップS203)。その後、ポート番号割当部107は、ポート番号を割り当てた被共用AP_MAC及び被共用STA_MACをNATテーブルに記録する。また、ポート番号割当部107は、グローバルIPアドレス、ポート番号、被共用AP_MAC及び被共用STA_MACをIPパケット生成部109に出力する。
【0062】
IPパケット生成部109は、ポート番号割当部107が出力したグローバルIPアドレス、ポート番号、被共用AP_MAC及び被共用STA_MACを用いてIPパケットを生成する(ステップS204)。上り送信タイミング制御部111は、上り送信優先権データベース110に基づいて被共用AP_MACに対応する優先権の値が“1”であるか否かを判定する(ステップS205)。優先権の値が“1”である場合(ステップS205−YES)、上り送信タイミング制御部111はIPパケットを有線通信部112に出力する。有線通信部112は、出力されたIPパケットを有線区間に送信する(ステップS206)。
【0063】
その後、上り送信タイミング制御部111は、上り送信優先権データベース110を参照し、被共用AP_MACに対応する優先権の値をデクリメントする(ステップS207)。制御部102は、上り送信優先権データベース110に記憶されている優先権の値が全て“0”になったか否かを判定する(ステップS208)。優先権の値が全て“0”になった場合(ステップS208−YES)、制御部102は上り送信優先権データベース110に記憶されている優先権の値を全て初期値に戻す(ステップS209)。
【0064】
上り送信タイミング制御部111は、不図示の送信バッファに格納されているIPパケットを有線通信部112に出力する。有線通信部112は、出力されたIPパケットを有線区間に送信する(ステップS210)。その後、上り送信タイミング制御部111は、上り送信優先権データベース110を参照し、被共用AP_MACに対応する優先権の値をデクリメントする。その後、処理を終了する。
【0065】
また、ステップS202の処理において、ネットワーク40への送信を表す値ではない場合(ステップS202−NO)、無線通信部101は受信したWDSフレーム信号をWDS接続によって被共用APに伝送する(ステップS211)。
また、ステップS205の処理において、優先権の値が“1”未満である場合(ステップS205−NO)、上り送信タイミング制御部111はIPパケットを不図示の送信バッファに格納する(ステップS212)。
また、ステップS208の処理において、優先権の値が全て“0”になっていない場合(ステップS208−NO)、処理を終了する。
【0066】
図13は、本実施形態における被共用AP20による下り転送処理の流れを示すフローチャートである。
共用AP10の有線通信部112は、有線区間から送信されたIPパケットを受信し、IPパケット読込部113に転送する。IPパケット読込部113は、IPパケットを読み込む(ステップS301)。具体的には、IPパケット読込部113は、IPパケットに格納されているポート番号を取得する。
【0067】
IPパケット読込部113は、取得したポート番号を参照し、ポート番号が被共用APを示すか否かを判定する(ステップS302)。具体的には、IPパケット読込部113は、取得したポート番号の値が所定の値(例えば、“49152”)以上であるか否かを判定する。
【0068】
ポート番号が被共用APを示す場合(ステップS302−YES)、WDSフレーム生成部114はNATテーブル記憶部108に記憶されているNATテーブルを参照し、ポート番号の値に対応するレコード30を選択する。WDSフレーム生成部114は、選択したレコード30に記録されている被共用AP_MAC及び被共用STA_MACの各値を取得する。WDSフレーム生成部114は、取得した被共用AP_MAC及び被共用STA_MACの各値を用いてWDSフレーム信号を生成する(ステップS303)。
【0069】
下り送信タイミング制御部116は、下り送信優先権データベース115に基づいて被共用AP_MACに対応する優先権の値が“1”であるか否かを判定する(ステップS304)。優先権の値が“1”である場合(ステップS304−YES)、下り送信タイミング制御部116はWDSフレーム信号を無線通信部101に出力する。無線通信部101は、出力されたWDSフレーム信号をポート番号が示す被共用APにWDS接続することによって伝送する(ステップS305)。
【0070】
その後、下り送信タイミング制御部116は、下り送信優先権データベース115を参照し、被共用APのMACアドレスに対応する優先権の値をデクリメントする(ステップS306)。制御部102は、下り送信優先権データベース115に記憶されている優先権の値が全て“0”になったか否かを判定する(ステップS307)。優先権の値が全て“0”になった場合(ステップS307−YES)、制御部102は下り送信優先権データベース115に記憶されている優先権の値を全て初期値に戻す(ステップS308)。
【0071】
下り送信タイミング制御部116は、不図示の送信バッファに格納されているWDSフレーム信号を無線通信部101に出力する。無線通信部101は、出力されたWDSフレーム信号を被共用APに送信する(ステップS309)。その後、下り送信タイミング制御部116は、下り送信優先権データベース115を参照し、送信したWDSフレーム信号の宛先である被共用AP_MACに対応する優先権の値をデクリメントする。その後、処理を終了する。
【0072】
また、ステップS302の処理において、ポート番号が被共用APを示す値ではない場合(ステップS302−NO)、無線通信部101は受信したIPパケットを直接通信端末に送信する(ステップS310)。
また、ステップS304の処理において、優先権の値が“1”未満である場合(ステップS304−NO)、下り送信タイミング制御部116はWDSフレーム信号を不図示の送信バッファに格納する(ステップS311)。
また、ステップS307の処理において、優先権の値が全て“0”になっていない場合(ステップS307−NO)、処理を終了する。
【0073】
図14は、本実施形態における共用APの選定処理の流れを示すフローチャートである。なお、共用APの選定処理は、APの電源投入時やAPの被共用AP20の設定時に開始される。
まず、被共用AP20のキャリアセンス実施部204は、全てのチャネルに対してキャリアセンスを実施する(ステップS401)。キャリアセンスの実行において、キャリアセンス実施部204は、共用APから送信されたビーコンを受信する。次に、ビーコン読込部205は、キャリアセンス実施部204が受信したビーコンを読み込む(ステップS402)。具体的には、ビーコン読込部205は、ビーコンに格納されている共用AP関連情報を取得し、共用AP関連情報を共用APデータベース206に記録する。選定部207は、共用APデータベース206を参照し、自装置が接続する共用APを選定する(ステップS403)。
【0074】
具体的には、選定部207は、共用APデータベース206を参照し、第一基準を満たす共用APを選択する。第一基準を満たす共用APが1台存在する場合、選定部207は第一基準を満たす共用APを自装置が接続する共用APに選定する。一方、第一基準を満たす共用APが複数台存在する場合、選定部207は共用APデータベース206を参照し第二基準を満たす共用APを選択する。第二基準を満たす共用APが1台存在する場合、選定部207は第二基準を満たす共用APを自装置が接続する共用APに選定する。一方、第二基準を満たす共用APが複数台存在する場合、選定部207は共用APデータベース206を参照し第三基準を満たす共用APを選択する。
【0075】
第三基準を満たす共用APが1台存在する場合、選定部207は第三基準を満たす共用APを自装置が接続する共用APに選定する。一方、第三基準を満たす共用APが複数台存在する場合、選定部207は共用APデータベース206を参照し第四基準を満たす共用APを選択する。第四基準を満たす共用APが1台存在する場合、選定部207は第四基準を満たす共用APを自装置が接続する共用APに選定する。一方、第四基準を満たす共用APが複数台存在する場合、選定部207は共用APデータベース206を参照し第五基準を満たす共用APを選択する。
【0076】
第五基準を満たす共用APが1台存在する場合、選定部207は第五基準を満たす共用APを自装置が接続する共用APに選定する。一方、第五基準を満たす共用APが複数台存在する場合、選定部207は接続可能な共用APが存在しないと判断し、処理を終了する。
【0077】
図15は、本実施形態における被共用AP20による上り転送処理の流れを示すフローチャートである。
被共用AP20の第一通信部201は、インフラストラクチャモードで通信端末との間で通信を行う。第一通信部201は、通信端末21から送信された信号を受信する(ステップS501)。WDSフレーム生成部208は、第一通信部201が受信した信号に格納されているグローバルIPアドレスを用いてWDSフレーム信号を生成する(ステップS502)。具体的には、WDSフレーム生成部208は、グローバルIPアドレス及びタイプ値の各値をペイロードに格納することによってWDSフレーム信号を生成する。第二通信部202は、選定部207が選定した共有APにWDS接続することによってWDSフレーム信号を送信する(ステップS503)。
【0078】
図16は、本実施形態の中継システムにおける中継処理の動作を示すシーケンス図である。
以下の説明における中継システムでは、通信端末の台数は1台、被共用AP20の台数は1台、共用APの台数は2台(共用AP10及び共用AP50)である。また、被共用AP20のMACアドレスは“B”であり、被共用AP20に帰属する通信端末のMACアドレスは“A”であり、共用AP10のMACアドレスは“C”である。
【0079】
共用AP10の無線通信部101は、共用AP10関連情報を含むビーコンを被共用AP20に送信する(ステップS601)。共用AP50は、共用AP50関連情報を含むビーコンを被共用AP20に送信する(ステップS602)。被共用AP20のキャリアセンス実施部204は、全てのチャネルに対してキャリアセンスを行う(ステップS603)。キャリアセンスの実行において、キャリアセンス実施部204は、共用AP(共用AP10及び共用AP50)から送信された各ビーコンを受信する。
【0080】
次に、ビーコン読込部205は、キャリアセンス実施部204が受信した各ビーコンを読み込む。具体的には、ビーコン読込部205は、各ビーコンに格納されている共用AP関連情報(共用AP10関連情報及び共用AP50関連情報)を取得し、各共用AP関連情報を共用APデータベース206に記録する。選定部207は、共用APデータベース206を参照し、自装置(被共用AP20)が接続する共用APを選定する。具体的には、選定部207は、共用APデータベース206を参照し、選定基準を満たす共用AP(例えば、共用AP10)を自装置が接続する共用APに選定する(ステップS604)。
【0081】
通信端末は、被共用APにフレーム信号を送信する(ステップS605)。フレーム信号には、送信元MACアドレス“A”、宛先MACアドレス“B”、送信元プライベートIPアドレス“A”、宛先グローバルIPアドレス“D”の各値が格納されている。
被共用AP20の第一通信部201は、通信端末から送信されたフレーム信号を受信する。アドレス読込部203は、第一通信部201が受信したフレーム信号から送信元MACアドレス“A”、宛先グローバルIPアドレス“D”の各値を取得する。WDSフレーム生成部208は、アドレス読込部203が取得した送信元MACアドレス“A”、宛先グローバルIPアドレス“D”と、次転送先MACアドレス“C”、転送元MACアドレス“B”の各値を用いてWDSフレーム信号を生成する(ステップS606)。この際、WDSフレーム生成部208は、WDSフレーム信号のペイロードに宛先グローバルIPアドレス“D”及びタイプ値の値を格納する。
【0082】
第二通信部202は、WDS接続することによって共用AP10にWDSフレーム信号を送信する(ステップS607)。共用AP10の無線通信部101は、被共用AP20から送信されたWDSフレーム信号を受信する。ポート番号割当部107は、受信したWDSフレーム信号に格納されている送信元MACアドレス“A”及び転送元MACアドレス“B”の組み合わせにポート番号を付与する(例えば、ポート番号“E”)(ステップS608)。その後、ポート番号割当部107は、付与したポート番号“E”と送信元MACアドレス“A”及び転送元MACアドレス“B”の組み合わせとを対応付けてNATテーブル記憶部108に記録する。
【0083】
また、ポート番号割当部107は、ポート番号及びWDSフレーム信号に格納されている宛先グローバルIPアドレス“D”をIPパケット生成部109に出力する。IPパケット生成部109は、IPパケットを生成する(ステップS609)。具体的には、IPパケット生成部109は、ポート番号、宛先グローバルIPアドレス“D”、自装置のグローバルIPアドレス“C”の各値を用いてIPパケットを生成する。
【0084】
有線通信部112は、IPパケット生成部109が生成したIPパケットを有線区間に送信する(ステップS610)。有線通信部112は、有線区間からIPパケットを受信し、IPパケット読込部113に転送する(ステップS611)。IPパケット読込部113は、受信したIPパケットから送信先ポート番号(例えば、ポート番号“E”)の値を取得し、WDSフレーム生成部114に出力する。
【0085】
WDSフレーム生成部114は、NATテーブル記憶部108に記憶されているNATテーブルを参照し、出力されたポート番号“E”に対応する被共用MAC_AP“A”及び被共用STA_MAC“B”の各値を取得する(ステップS612)。WDSフレーム生成部114は、取得した被共用MAC_AP“B”及び被共用STA_MAC“A”の各値を用いてWDSフレーム信号を生成する(ステップS613)。無線通信部101は、WDSフレーム生成部114が生成したWDSフレーム信号を被共用MAC_AP“B”に対応する被共用APに送信する(ステップS614)。被共用AP20の第二通信部202は、共用AP10から送信されたWDSフレーム信号を受信し、WDSフレーム読込部209に転送する。WDSフレーム読込部209は、WDSフレーム信号に格納されている被共用STA_MAC“A”の値を取得する。第一通信部201は、インフラストラクチャモードでフレーム信号を被共用STA_MAC“A”に対応する通信端末に送信する(ステップS615)。
【0086】
以上のように構成された中継システムによれば、共用APが存在するセグメントとは異なるセグメントに存在する通信端末がネットワーク40に接続することを可能にする。
また、本発明の中継システムによれば、共用AP10は、上り方向の通信において、IPパケットを送信するタイミングを制御する。具体的には、共用AP10は、優先権を有している(優先権の値が“1”)各AP(自装置又は自装置に接続する被共用AP)のIPパケットを有線区間に送信する。また、共用AP10は、下り方向の通信において、WDSフレーム信号を送信するタイミングを制御する。具体的には、共用AP10は、優先権を有している各APに対してWDSフレーム信号を送信する。したがって、有線区間及び無線区間において、特定のAPの送信が優先されることが無い。そのため、共用AP10に複数の被共用APが接続した場合であっても、各APに帰属する通信端末が公平に帯域を利用することができる。
また、本発明の中継システムによれば、被共用AP20は、自装置(被共用AP20)が接続する共用AP10を、複数の共用AP10から送信されるビーコンに基づいて選定する。具体的には、被共用AP20は、受信したビーコンに格納されている共用AP関連情報を複数記憶し、記憶している共用AP関連情報を参照することによって共用AP10を選定する。この際、被共用AP20は、選定基準に基づいて、接続後に高帯域が確保される共用AP10を選定する。そのため、被共用AP20は、共用AP10に接続後、高帯域での通信が可能となる。
【0087】
<変形例>
本実施例では、共用AP10に帰属する通信端末11が単数の構成を示したが、これに限定される必要はなく、通信端末11が複数存在しても良い。また、被共用AP(被共用AP20及び被共用AP30)に帰属する通信端末(通信端末21及び通信端末31)が単数の構成を示したが、これに限定される必要はなく、通信端末(通信端末21及び通信端末31)が複数存在しても良い。
タイプ値及びグローバルIPアドレスの値は、WDSフレームフォーマットのWDSヘッダに格納されても良い。
【0088】
また、無線区間の帯域制御の技術として、WMM(Wifi MultiMedia)の技術が用いられても良い。WMMの技術を用いる場合、共用AP10はフレーム種別によって優先度を設定し、その優先度に従って優先対象となるフレームを優先して送信する。
上り送信優先権データベース110及び下り送信優先権データベース115の優先権の値は、“2”以上の値であっても良い。また、上り送信優先権データベース110と下り送信優先権データベース115とで優先権の値が異なるように構成されても良い。また、上り送信優先権データベース110が有するレコードごとに優先権の値が異なるように構成されても良い。また、下り送信優先権データベース115が有するレコードごとに優先権の値が異なるように構成されても良い。
【0089】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。