(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして前記原本シートに基づくイメージデータを生成するスキャンニング手段を備えたクライアントコンピュータと、
前記クライアントコンピュータに通信ネットワークを介して接続されるデータエントリーサービスを提供するサーバコンピュータと、
前記通信ネットワークに接続されて前記原本シートのデータ入力を行う前記サーバコンピュータとデータ通信可能な複数の情報端末と、から成るデータエントリーシステムであって、
前記クライアントコンピュータは、
前記原本シートを前記スキャンニング手段によって生成した原本イメージデータを前記帳票のデータ項目のそれぞれに対応する複数の分割イメージデータに分割するイメージデータ分割手段と、
前記複数の分割イメージデータのそれぞれに暗号化した識別データを付与し、前記暗号化した識別データが付与された分割イメージデータをそれぞれ対応するデータ項目毎に前記クライアントコンピュータの記憶部に保存する暗号化識別データ付与手段と、
前記暗号化した識別データが付与されたデータ項目毎の複数の分割イメージデータを各データ項目内でシャッフルして前記サーバコンピュータに前記通信ネットワークを介して送信する分割イメージデータ送信手段と、
前記情報端末を介して入力された前記原本シートに対応するエントリー入力データを前記サーバコンピュータから受信し、該エントリー入力データに付与された暗号化した識別データを復号して原本イメージデータに対応するテキストデータとして合成する手段と、を備え、
前記サーバコンピュータは、
前記クライアントコンピュータから送信された前記暗号化した識別データが付与された複数の分割イメージデータを顧客毎又は書類種別毎にまとめて1つの束(バッチ)としてバッチファイルを構成し、該バッチファイル毎に少なくとも所定の識別情報及び納期に関するバッチ情報を付加して記憶部に保存するエントリー用データ受付け手段と、
前記記憶部に保存された前記バッチファイルの中から、前記バッチ情報に基づいて選択したバッチファイルを、予め設定した複数の作業単位に分割して複数のエントリー用分割イメージデータファイルとして前記記憶部に保存する作業ファイル作成手段と、
前記複数の情報端末からのアクセスに応答して、前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルの中から前記複数の情報端末のそれぞれに個別のエントリー用分割イメージデータファイルを選択して送信するエントリー用データ送信手段と、
前記複数の情報端末から前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対するエントリー入力データを受信して、該受信したエントリー入力データを前記分割イメージデータに対応付けて前記記憶部に保存するエントリー入力データ受付け手段と、
前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対する前記エントリー入力データが全て揃ったことが確認されると、前記記憶部に保存した前記バッチファイル毎に対する全てのエントリー入力データを、前記エントリー入力データに対応付けて記憶された前記分割イメージデータと共に前記クライアントコンピュータに送信するエントリー入力済データ送信手段と、を備え、
前記複数の情報端末のそれぞれは、
前記通信ネットワークに接続された不特定多数のパーソナルコンピュータ(PC)、タブレットコンピュータ、及びスマートフォンのうちの少なくともいずれかの文字入力が可能な携帯端末であって、
前記携帯端末の利用者が前記原本シートのデータ入力を行うエントリー者として前記サーバコンピュータにアクセス可能に登録及び認証される手段と、
前記通信ネットワークを介して前記サーバコンピュータに接続して、該サーバコンピュータからエントリー用分割イメージデータファイルを受信する分割イメージデータファイル受信手段と、
前記受信したエントリー用分割イメージデータファイルに含まれる個々の分割イメージを前記情報端末が備える画面に順次に表示する画面出力手段と、
前記順次に画面表示される個々の分割イメージをテキストデータとして入力するための入力手段と、
前記入力手段を用いて入力したテキストデータに、前記分割イメージデータを対応付けてエントリー入力データを生成する手段と、
前記生成したエントリー入力データを前記サーバコンピュータに送信する手段と、
前記サーバコンピュータから受信した前記エントリー用分割イメージデータファイルに対する全てのエントリー入力が、予め設定された入力制限時間内に完了したか否かを確認するエントリー作業完了確認手段と、を備えることを特徴とするデータエントリーシステム。
前記サーバコンピュータは、前記複数のエントリー者のそれぞれから情報端末を利用して受信したテキストデータ量に応じてエントリー者のそれぞれのアカウントにポイントを付与し、該付与したポイントの情報を提携したポイント交換事業者のデータサーバに送信すると共に、前記複数のエントリー者のそれぞれに対して、前記複数のエントリー者の要求に応じて前記付与したポイントの情報を通知するポイント情報照会手段を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載のデータエントリーシステム。
前記情報端末で前記データエントリー入力作業を実行させるアプリケーションプログラムは、前記情報端末からの要請に応じて、前記通信ネットワークに接続されたアプリケーションプログラム配信サーバから提供されることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータエントリーシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、個人情報を含む帳票類を電子データ化するデータエントリーの過程における情報漏洩を防止し、データ入力を行うエントリー者として広く一般の人でも行えるデータエントリーシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるデータエントリーシステムは、保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして前記原本シートに基づくイメージデータを生成するスキャンニング手段を備えたクライアントコンピュータと、前記クライアントコンピュータに通信ネットワークを介して接続されるデータエントリーサービスを提供するサーバコンピュータと、前記通信ネットワークに接続されて前記原本シートのデータ入力を行う前記サーバコンピュータとデータ通信可能な複数の情報端末と、から成るデータエントリーシステムであって、
前記クライアントコンピュータは、前記原本シートを前記スキャンニング手段によって生成した原本イメージデータを前記帳票のデータ項目のそれぞれに対応する複数の分割イメージデータに分割するイメージデータ分割手段と、前記複数の分割イメージデータのそれぞれに暗号化した識別データを付与して前記クライアントコンピュータの記憶部に保存する暗号化識別データ付与手段と、前記暗号化した識別データが付与された複数の分割イメージデータを前記サーバコンピュータに前記通信ネットワークを介して送信する分割イメージデータ送信手段と、前記情報端末を介して入力された前記原本シートに対応するエントリー入力データを前記サーバコンピュータから受信し、該エントリー入力データに付与された暗号化した識別データを復号して原本イメージデータに対応するテキストデータとして合成する手段と、を備え、
前記サーバコンピュータは、前記クライアントコンピュータから送信された前記暗号化した識別データが付与された複数の分割イメージデータを顧客毎又は書類種別毎にまとめて1つの束(バッチ)としてバッチファイルを構成し、該バッチファイル毎に少なくとも所定の識別情報及び納期に関するバッチ情報を付加して記憶部に保存するエントリー用データ受付け手段と、前記記憶部に保存された前記バッチファイルの中から、前記バッチ情報に基づいて選択したバッチファイルを、予め設定した複数の作業単位に分割して複数のエントリー用分割イメージデータファイルとして前記記憶部に保存する作業ファイル作成手段と、前記複数の情報端末からのアクセスに応答して、前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルの中から前記複数の情報端末のそれぞれに個別のエントリー用分割イメージデータファイルを選択して送信するエントリー用データ送信手段と、前記複数の情報端末から前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対するエントリー入力データを受信して、該受信したエントリー入力データを前記分割イメージデータに対応付けて前記記憶部に保存するエントリー入力データ受付け手段と、前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対する前記エントリー入力データが全て揃ったことが確認されると、前記記憶部に保存した前記バッチファイル毎に対する全てのエントリー入力データを、前記エントリー入力データに対応付けて記憶された前記分割イメージデータと共に前記クライアントコンピュータに送信するエントリー入力済データ送信手段と、を備え、
前記複数の情報端末のそれぞれは、前記通信ネットワークを介して前記サーバコンピュータに接続し、受信したエントリー用分割イメージデータファイルを前記情報端末が備える画面に表示する手段と、前記表示された分割イメージに基づいて生成されたテキストデータに、前記分割イメージデータに付与された暗号化した識別データを添付してエントリー入力データを生成する手段と、前記生成したエントリー入力データを前記サーバコンピュータに送信する手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の態様によるデータエントリーシステムは、保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして前記原本シートに基づくイメージデータを生成する手段を備えた原稿読み取り装置と、前記原稿読み取り装置に通信ネットワークを介して接続されるデータエントリーサービスを提供するサーバコンピュータと、前記通信ネットワークに接続されて前記原本シートのデータ入力を行う前記サーバコンピュータとデータ通信可能な複数の情報端末と、から成るデータエントリーシステムであって、
前記原稿読み取り装置は、保護情報が記載された帳票からなる原本シートをスキャンニングして原本シートに基づく原本イメージデータを生成するスキャンニング手段と、前記原本シートに基づく原本イメージデータを前記サーバコンピュータに前記通信ネットワークを介して送信するイメージデータ送信手段と、を備え、
前記サーバコンピュータは、前記原稿読み取り装置から送信された前記原本イメージデータを受信して、該受信した原本イメージデータを前記帳票のデータ項目のそれぞれに対応する複数の分割イメージデータに分割するイメージデータ分割手段と、前記複数の分割イメージデータのそれぞれに暗号化した識別データを付与する暗号化識別データ付与手段と、前記原稿読み取り装置から受信した原本イメージデータに対して、該原本イメージデータのそれぞれに対応する暗号化した識別データが付与された複数の分割イメージデータを1つの束(バッチ)にまとめてバッチファイルを構成し、該バッチファイル毎に少なくとも所定の識別情報及び納期に関するバッチ情報を付加して記憶部に保存するエントリー用データ受付け手段と、前記記憶部に保存された前記バッチファイルの中から、前記バッチ情報に基づいて選択したバッチファイルを、予め設定した複数の作業単位に分割して複数のエントリー用分割イメージデータファイルとして前記記憶部に保存する作業ファイル作成手段と、前記複数の情報端末からのアクセスに応答して、前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルの中から前記複数の情報端末のそれぞれに個別のエントリー用分割イメージデータファイルを選択して送信するエントリー用データ送信手段と、前記複数の情報端末から前記複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対するエントリー入力データを受信して、該受信したエントリー入力データが全て揃ったことが確認されると、前記バッチファイル毎に対応する全てのエントリー入力データを、前記エントリー入力データに付与された暗号化した識別データを復号して原本イメージデータに対応するテキストデータとして合成する手段と、を備え、
前記複数の情報端末のそれぞれは、前記通信ネットワークを介して前記サーバコンピュータに接続し、受信したエントリー用分割イメージデータファイルを前記情報端末が備える画面に表示する手段と、前記表示された分割イメージに基づいて生成されたテキストデータに、前記分割イメージデータに付与された暗号化した識別データを添付してエントリー入力データを生成する手段と、前記生成したエントリー入力データを前記サーバコンピュータに送信する手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
前記複数の情報端末のそれぞれは、前記通信ネットワークに接続された不特定多数のパーソナルコンピュータ(PC)、タブレットコンピュータ、及びスマートフォンのうちの少なくともいずれかの文字入力が可能な携帯端末を含み、前記携帯端末の利用者が前記原本シートのデータ入力を行うエントリー者として前記サーバコンピュータにアクセス可能に登録及び認証される手段と、前記サーバコンピュータからエントリー用分割イメージデータファイルを受信する分割イメージデータファイル受信手段と、受信したエントリー用分割イメージデータファイルを該エントリー用分割イメージデータファイルに含まれる個々の分割イメージを順次に画面出力する画面出力手段と、前記順次に画面表示される個々の分割イメージをテキストデータとして入力するための入力手段と、前記入力手段を用いて入力したテキストデータを、前記分割イメージに対応付けて前記サーバコンピュータに送信するエントリー入力データ送信手段と、を有し得る。
【0011】
前記サーバコンピュータのエントリー用データ送信手段は、1つのエントリー用分割イメージデータファイルを複数の情報端末に送信し、前記サーバコンピュータのエントリー入力データ受付け手段は、1つのエントリー用分割イメージデータファイルが異なる情報端末でテキスト入力された複数のエントリー入力データの内容が一致しているか否かを判断するエントリー入力データ一致判断手段と、前記エントリー入力データ一致判断手段が不一致と判断した場合、正しいデータを入力するために管理者の端末に前記エントリー入力データを送信するスーパーバイジング依頼送信手段と、前記管理者の端末から送信された判定データを受信して正規データとして記憶部に保存する正規データ受信手段と、を有し得る。
【0012】
前記サーバコンピュータは、前記複数の情報端末のそれぞれに送信した前記エントリー用分割イメージデータファイルに対する全てのエントリー入力が、予め設定された入力制限時間内に完了したか否かを確認するエントリー作業完了確認手段と、前記エントリー用分割イメージデータファイルに対する全てのエントリー入力が、予め設定された入力制限時間内に完了しない場合、前記情報端末との接続を解除して前記エントリー用分割イメージデータファイルを他の情報端末に自動的に送信するエントリー作業再送信手段と、を更に有し得る。
前記複数の情報端末のそれぞれは、前記サーバコンピュータから受信したエントリー用分割イメージデータファイルに対する全てのエントリー入力が、予め設定された入力制限時間内に完了したか否かを確認するエントリー作業完了確認手段を更に備え得る。
【0013】
前記サーバコンピュータは、前記複数のエントリー者のそれぞれから情報端末を利用して受信したテキストデータ量に応じてエントリー者のそれぞれのアカウントにポイントを付与し、該ポイント情報を提携したポイント交換事業者のデータサーバに送信すると共に、前記複数のエントリー者のそれぞれに対して、前記複数のエントリー者の要求に応じて前記ポイント情報を通知するポイント情報照会手段を更に有し得る。
前記情報端末で前記データエントリー入力作業を実行させるアプリケーションプログラムは、前記情報端末からの要請に応じて、前記通信ネットワークに接続されたアプリケーションプログラム配信サーバから提供され得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明のデータエントリーシステムによれば、依頼元である顧客が個人情報を含む帳票等の原本シートをスキャナーで読み取ったイメージデータを電子データ化する際に、クライアントコンピュータにおいて、原本シートのイメージデータが分割され、シャッフルされてから、データエントリーサービス提供側のサーバコンピュータに送信されるため、通信経路上、或はサービス提供機関内において、分割イメージデータが、不正に取得されても、不正取得されたデータから保護情報である個人情報を特定することが困難なため、これら保護情報である個人情報が漏洩することを防止することができる。
また、本発明のデータエントリーシステムによれば、依頼元の顧客の簡易な保有設備を用いて、電子データ化作業を依頼でき、個人情報を含む紙ベースのドキュメント管理を自社内で実施する必要がないため、管理業務の負担を軽減できる。
また、データ入力作業を行うエントリー者が、インターネット端末を利用する多数のインターネット利用者であるため、これらインターネット利用者を入力オペレータとして活用することができ、入力コストを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態によるデータエントリーシステムの全体構成を示すブロック図である。
【0018】
本実施形態によるデータエントリーシステム1は、たとえばインターネット5上に、帳票等の電子データ化作業の依頼元である顧客1のスキャナーを備えるクライアントコンピュータ10、電子データ化サービスを提供するデータエントリーサービス提供事業者の運営するサーバコンピュータ20、データ入力を行う複数のオペレータの情報端末30、及びアプリケーションプログラム(アプリと略記)提供事業者の運営するアプリ配信サーバコンピュータ40が接続された構成を備える。
【0019】
本実施形態によるデータエントリーシステムの各構成要素の詳細を以下に説明する。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態による依頼元顧客1のクライアントコンピュータの構成を示す概略図である。
【0021】
依頼元顧客1のクライアントコンピュータ10は、
図2に示すように、各種の伝票類や加入申込用紙等の帳票であって複数のデータ項目を有する原本シートを光学的に読み取ってイメージデータに変換するスキャナー11、コンピュータの機能及び構成要素を制御する制御部(CPU)12、各種の機能を実行する機能部13、各種データ及びコンピュータプログラムを保存する記憶部14、並びに外部装置とインターネット網等の通信ネットワークを通じてデータ通信を行う送受信部15で構成される。
【0022】
スキャナー11で原本シートをスキャンニングしてイメージデータとして生成された原本イメージデータは、記憶部14内に設定されたイメージデータ保存部14aに保存される。
【0023】
機能部13は、イメージデータ保存部14aに保存された原本イメージデータを読み出して、読み出した原本イメージデータを複数のデータ項目単位の分割イメージデータに分割するイメージ分割部16、イメージ分割部16により分割された複数の分割イメージデータに対して、同一の原本イメージデータから分割されたものであることを記すための識別データ、例えば識別番号を暗号化して各分割イメージデータに紐付けて付与する暗号化識別データ付与部17、及び分割イメージデータからなるエントリー作業データを管理する作業データ管理部18を備える。
【0024】
作業データ管理部18は、スキャナー11で読み取った所望の枚数の原本シートに対応する原本イメージデータに対して、当該原本イメージデータに基づく暗号化した識別データが付与された分割イメージデータを、1つの束(バッチ)としてバッチファイルに構成し、バッチファイル毎にファイル内容及び納期等に関するバッチファイル情報を設定して分割イメージデータ保存部14bに保存する。そして、制御部22からの指令に応じて、分割イメージデータ保存部14bに保存された各バッチファイルについて、同一バッチファイルに含まれる分割イメージデータをバッチファイル内で順不同となるようにシャッフルして、シャッフルの順序データと共に外部送信用のエントリー作業元ファイルに構成して、送受信部15を介してネットワーク上のデータエントリーサービス提供事業者の運営するサーバコンピュータ20に送信する。
【0025】
また、作業データ管理部18は、データエントリーサービス提供事業者のサーバコンピュータ20から変換された作業済のテキストデータを含むエントリー入力済データ受信して作業済データ保存部14cに保存し、制御部22の制御の下で、当該テキストデータに付与されている暗号化された識別データを復号し、復号した識別データに基づいて、各テキストデータを元の原本シート単位のテキストデータに合成する。
なお、イメージ分割部16は、各データ項目が未記入の帳票等をスキャナー11でイメージデータに変換した原本イメージデータに基づき、分割したい領域を指定する機能を司る分割領域指定部(図示せず)を備える。
【0026】
本実施形態では、イメージデータ保存部14a、分割イメージデータ保存部14b、及び作業済データ保存部14cは、単一の記憶装置からなる記憶部14の中の異なる記憶領域に設定されるが、それぞれの保存部を異なる記憶装置で構成することも可能である。
機能部13に含まれる各機能は、データエントリーサービス提供事業者から予め貸与されたコンピュータプログラムによって実行される。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態によるデータエントリーサービス提供事業者のサーバコンピュータの構成を示す概略図である。
【0028】
データエントリーサービス提供事業者のサーバコンピュータ20は、外部装置とインターネット網等の通信ネットワークを通じてデータ通信を行う送受信部21、コンピュータの機能及び構成要素を制御する制御部(CPU)22、各種の機能を実行する機能部23、並びに各種データ及びコンピュータプログラムを保存する記憶部24を備える。
【0029】
機能部23は、データ受付部25、作業ファイル作成部26、エントリー作業管理部27、及びデータ照合・校正部28を含む。
【0030】
データ受付部25は、送受信部21を介してクライアントコンピュータ10からインターネットを経由して送信されたエントリー作業元ファイルを受信すると、制御部22の制御の下で、受信したバッチファイル情報の内容を判断し、受信したファイルが依頼元顧客のクライアントコンピュータ10から送信されたエントリー作業元ファイルであることを確認すると、受信した複数の分割イメージデータを、受信したバッチファイル情報に基づき1つのバッチファイルとして分類し、バッチファイル毎に少なくとも顧客名及び納期等に関する情報を付加して、記憶部24内のクライアントデータ保存部24aに保存する。
【0031】
作業ファイル作成部26は、クライアントデータ保存部24aにアクセスして、保存されたバッチファイルの中から、納期等のバッチファイル情報に基づいて選択したバッチファイルを、予め設定した複数の作業単位、例えば所定の分割データファイル数に分割して複数のエントリー用分割イメージデータファイルとして記憶部24内のエントリーデータ保存部24bに保存する。
【0032】
一方、サーバコンピュータ20は、送受信部21を介して外部からインターネット経由で、複数の情報端末(31、32)からのアクセス要求を受信すると、制御部22がデータ受付部25に受信情報を伝達する。データ受付部25は、受信情報の内容を判断して、複数の情報端末のそれぞれの作業内容を識別する。例えば、情報端末31から受信した受信情報の内容からデータ入力作業開始要求であると判断した場合、制御部22は、エントリー作業管理部27に受信情報を伝達する。
【0033】
エントリー作業管理部27は、受信情報に基づき識別した情報端末のそれぞれに対し、複数のエントリー用分割イメージデータファイルの中から個別のエントリー用分割イメージデータファイルを選択して、送受信部21を介して情報端末31に送信すると共に、送信したエントリー用分割イメージデータファイル情報を、識別した情報端末の情報に紐付けて記憶部24内の作業データ保存部24cに保存する。
【0034】
また、データ受付部25は、受信情報の内容を判断して、受信情報が情報端末31から受信したエントリー入力データである場合、エントリー作業管理部27に受信情報を伝達する。エントリー作業管理部27は、受信情報に基づき、情報端末を識別して、受信したテキストデータを含む入力データをデータ照合・校正部28に伝達する。
【0035】
データ照合・校正部28は、受信したテキストデータを当該テキストデータの元となる分割イメージデータに付加された識別データに紐付けて作業データ保存部24cに保存する。また、データ照合・校正部28は、複数の情報端末から受信した同一の分割イメージデータに基づいて、入力されたテキストデータ同士が互いに一致するか否かを照合する。データ照合・校正部28により複数のテキストデータが一致しないと判断された場合、当該複数のテキストデータ及びそれらの元となる分割イメージデータにデータ不一致のフラグを付けてエントリー作業管理部27に伝達する。
エントリー作業管理部27は、当該複数のテキストデータと共に、それらの元となる分割イメージデータをインターネット5経由でスーパーバイザー(監督者)の端末に送信し、スーパーバイザーによるチェック及び修正を受ける。
【0036】
一方、データ照合・校正部28は、複数のテキストデータが一致したと判断された場合、テキストデータ及び修正されたテキストデータをエントリー入力済データとして作業データ保存部24cに保存する。
エントリー作業管理部27は、バッチファイル毎のデータが揃うとデータエントリー作業完了のフラグを発信する。データエントリーサービス提供事業者の管理者は、サーバコンピュータ20から発信されるフラグを確認することで、データエントリー作業完了を認識する。なお、管理者へのデータエントリー作業完了の通知は省略され得る。
【0037】
その後、データエントリーサービス提供事業者の管理者は必要に応じてバッチファイルのチェックを行い、制御部22にエントリー作業が完了したバッチファイル単位の作業済テキストデータを依頼元顧客のクライアントコンピュータ10に送信するように指示し、指示を受けた制御部22は、インターネット5経由でクライアントコンピュータ10に送信するように送受信部21を制御する。
【0038】
また、エントリー作業管理部27は、エントリー者の入力作業量、例えばテキストデータ量に応じたポイントをエントリー者の登録アカウントに付与する。
なお、ポイントとは、ポイント交換サービス事業者が運営する現金又は商品に交換可能なポイントであり、依頼元の顧客が運営するポイント交換事業に対応するポイントを付与することも可能である。
【0039】
図4は、本発明の一実施形態によるイメージ分割データの生成手順を示すフローチャートである。
【0040】
ステップ100において、所望の帳票からなる原本シートを依頼元顧客のクライアントコンピュータ10が具備するスキャナー11等の光学的読み取り手段によってスキャンニングして、原本シートをイメージデータに変換する。スキャナー11は、原本シート全体を読み込み、原本シートの全体イメージデータを生成する。
【0041】
図5は、データ項目等の手書き記載箇所を含む文書イメージを分割する手順を示す概念図である。原本シートd1は、顧客の要求により様々な様式があり、
図5はその一例を示す。クライアントコンピュータ10は、データが記入されていない原本シートd1を読み込んで、スキャナー11によりイメージデータに変換する。なお、以下では、原本シートのイメージデータを原本イメージデータという。
【0042】
ステップ110において、クライアントコンピュータ10は、ステップ100でイメージデータ化した原本イメージデータを分割する領域を指定する。例えば、
図5に示す原本シートd1に基づいて、会員番号、名前、住所及び電話の各項目を分割領域に指定する。また、ユーザが任意に二次元分割領域を選択できる構成であっても良い。
【0043】
ステップ120において、クライアントコンピュータ10は、記入済み原本シートd1をイメージデータに変換する。イメージデータ化された記入済み原本シートの原本イメージデータをイメージデータ保存部14aに保存する。また、ステップ120において、各原本イメージデータに検索用キー(親番号)を付与する。
以下、記入済みの原本シートのイメージデータを記入済み原本イメージデータという。
【0044】
ステップ130において、クライアントコンピュータ10は、ステップ110で指定した分割領域に基づいて、ステップ120でイメージデータに変換した記入済み原本イメージデータを分割する。クライアントコンピュータ10は、記入済み原本イメージデータをイメージ分割部16によってそれぞれ分割処理する。
【0045】
ステップ140において、クライアントコンピュータ10は、ステップ130で分割された複数の分割イメージデータに対して、同一の記入済み原本イメージデータから分割されたものであることを記すための枝番号を含む識別番号を付与し、検索用キーと合わせて識別データを構成し、暗号化して各分割イメージデータに付与する。
即ち、ステップ140で付与する識別番号は、ステップ120で各原本メージデータに付与された検索キーに紐付けられる。例えば、ステップ120で第1の原本イメージデータに検索用キー「d1」が付与され、ステップ130で第1の原本イメージデータd1が4つに分割された場合、ステップ140では、それぞれの分割イメージデータに識別データ「d2−1」、識別データ「d2−2」、識別データ「d2−3」、識別データ「d2−4」を暗号化して付与する。
【0046】
或いは、クライアントコンピュータ10は、暗号化識別データ付与部17により重複しないランダムな符号を識別データとして生成し、生成した符号を暗号化して複数の分割イメージデータのそれぞれに付与する。
【0047】
暗号化識別データ付与部17は、分割イメージデータに付与した識別データを、同一の記入済み原本イメージデータ毎にリスト化する。このリストを参照することで、複数の分割イメージデータに付与された記号に基づいて、分割処理する前の元の記入済み原本イメージデータに再合成することができる。
【0048】
ステップ150において、クライアントコンピュータ10は、ステップ140で識別データが付与された分割イメージデータ(d2−1、d2−2、…)をデータ項目毎に保存する。クライアントコンピュータ10は、分割イメージデータを、例えば、会員番号、名前、住所、及び電話の項目毎に分割イメージデータ保存部14bに保存する。
【0049】
ステップ160において、クライアントコンピュータ10は、ステップ150で保存された分割イメージデータを、各データ項目内で順不同となるようにシャッフルする。更に、分割イメージデータ保存部14bにデータ項目毎に保存された分割イメージデータをシャッフルする。
【0050】
ステップ170において、クライアントコンピュータ10は、ステップ160でシャッフルされた分割イメージデータをバッチ毎に分割イメージデータ保存部14bに保存する。従って、本実施形態によれば、分割イメージデータに付与された識別データの暗号化による第1のセキュリティと、ステップ140で生成した識別番号の付与リストを参照しなければ記入済みデータとして合成することが不可能になる第2のセキュリティにより、外部への個人情報の流出を防止することができる。なお、上述した各ステップは、依頼元顧客のクライアントコンピュータ10で実行されるため、データエントリーサービス提供事業者においても個人情報を合成することが不可能になり、データエントリー委託先からの情報漏洩も防止することができる。
【0051】
次に、データエントリーサービス提供事業者のサーバコンピュータ20から供給された分割イメージデータに基づくデータエントリー作業手順を以下に説明する。
【0052】
図6は、本発明の一実施形態による分割イメージデータに基づくデータエントリー作業の手順を示すフローチャートである。
【0053】
図1に示すサーバコンピュータ20は、ステップ200において、情報端末31からのエントリー作業データ要求に応答して、
図3に示すクライアントデータ保存部24aにアクセスし、クライアントデータ保存部24aに保存された複数のエントリー用分割イメージデータファイルの内から1つを選択し、選択した1つのエントリー用分割イメージデータファイルを情報端末31に送信する。
なお、サーバコンピュータ20は、それぞれ異なる複数の情報端末に対して、同じエントリー用分割イメージデータファイルを送信し、これらに対する複数の入力データを比較して正誤判定を行うことで、入力ミスの有無をチェックし、入力データの信頼度を高める。
【0054】
ステップ210において、情報端末31は、タッチスクリーン部(図示せず)に分割イメージデータを表示させ、表示された分割イメージデータに基づいてテキストデータを入力する。本実施形態では、タッチスクリーン部によりテキストデータの入力が行われるが、表示部とキーボードを備えた情報端末では、表示部に表示された分割イメージデータに基づいてキーボードによりテキストデータを入力する。
入力されたテキストデータは、逐次サーバコンピュータ20に返送されか、又は所定数のテキストデータをまとめてサーバコンピュータ20に返送する。
【0055】
サーバコンピュータ20は、それぞれの情報端末にエントリー用分割イメージデータファイルを送信した後、ステップ220において、それぞれの情報端末からのエントリー入力が完了するまでの時間を計測し、予め設定した制限時間を超過した場合、ステップ230に進行して、当該情報端末との接続を解除して、作業中のエントリー用分割イメージデータファイルを新たに別の情報端末に送信する。
なお、入力制限時間の管理は、サーバコンピュータ20側ではなく、情報端末にダウンロードしたエントリー入力用アプリが実行する。
【0056】
制限時間内に情報端末31からのエントリー入力が完了すると、ステップ240において、サーバコンピュータ20は、ステップ210で入力されたテキストデータを受信して、当該テキストデータの元になった分割イメージデータに付与された識別データを紐付けてエントリーデータ保存部24bに保存する。
【0057】
ステップ250において、サーバコンピュータ20は、ステップ240で保存されたテキストデータのうち、異なる複数のエントリー者からの同一分割イメージデータに基づいて入力された複数のテキストデータがそれぞれ一致するか否かをデータ照合・校正部28により照合する。複数のテキストデータが一致しない(NO)と判断した場合には、ステップ260に進み、複数のテキストデータが一致する(YES)と判断した場合には、ステップ270に進む。
【0058】
ステップ260において、サーバコンピュータ20は、複数のテキストデータと共に、それらの元となった分割イメージデータをスーパーバイザー端末(図示せず)に送信し、スーパーバイザーがテキストデータの修正を行う。
【0059】
ステップ270において、サーバコンピュータ20は、ステップ250で複数のテキストデータが一致したと判断されたテキストデータ、及びステップ260で修正されたテキストデータをバッチファイル毎にエントリーデータ保存部24bに保存する。
選択したバッチファイルの複数のエントリー用分割イメージデータファイルに対するエントリー入力データが、全て揃ったことが確認されると、エントリーデータ保存部24bに保存した1つのバッチファイルに対する全てのエントリー入力データを、エントリー入力データに対応付けて保存された分割イメージデータと共に、クライアントコンピュータ10に送信する。
【0060】
次に、データエントリーサービス提供事業者のサーバコンピュータ20からエントリーが完了したテキストデータの供給を受けた場合の依頼元顧客のクライアントコンピュータ10の動作について以下に説明する。
【0061】
図7は、本発明の一実施形態によるエントリーが完了したテキストデータの合成作業の手順を示すフローチャートである。
【0062】
ステップ300において、クライアントコンピュータ10は、
図6のステップ240でサーバコンピュータシステム20から送信されたバッチファイル毎のテキストデータを送受信部15により受信する。
【0063】
ステップ310において、クライアントコンピュータ10は、ステップ300で受信した各テキストデータに紐付けられた識別データを作業データ管理部18で復号する。
【0064】
ステップ320において、クライアントコンピュータ10は、ステップ310で復号した識別データに基づいて、各テキストデータを元の原本シート単位のデータに作業データ管理部18で合成し統合する。クライアントコンピュータ10は、作業データ管理部18により、
図4のステップ140で生成した識別データのリストを参照して、テキストデータの合成を行う。
【0065】
また、ステップ320では、テキストデータを合成する際に用いた識別データから検索用キーを抽出し、当該検索用キーに基づいてイメージデータ保存部14aから記入済み原本データを読み出し、元の記入済み原本データとテキストデータとを紐付ける処理を行う。このような処理を行い、テキストデータの一部を入力することにより、記入済み原本データを容易に読み出すことが可能になる。従って、依頼元顧客は、原本シートである入力帳票をファイリングする必要が無く、入力帳票をファイリングする処理時間やスペースを大幅に削減することができる。
【0066】
上述したように、本発明によるデータエントリーシステムは、記入済み原本データをデータ項目毎に分割イメージデータに変換し、当該分割イメージデータに同一の原本イメージデータから分割されたものであることを記すための暗号化された識別番号を付与し、且つ、データ項目毎に分類分けした各分割イメージデータをシャッフルした上でデータエントリーサービス提供事業者のサーバコンピュータ20に送信し、また、サーバコンピュータ20から供給されるテキストデータに付加された識別番号に基づいて、関連性のあるテキストデータを合成し統合する依頼元顧客のクライアントコンピュータ10と、クライアントデータ保存部24aに保存されたデータ項目毎の分割イメージデータに基づいてテキストデータを生成し、生成したテキストデータに対して入力ミスがないか否かの所定のベリファイを行い、クライアントコンピュータ10に送信するデータエントリーサービス提供事業者のサーバコンピュータ20とがインターネット等で構成される通信ネットワーク5を介して接続されてなるシステムである。
【0067】
なお、本実施形態は、帳票の種類が一種類の場合を示したものである。本発明によるデータエントリーシステム1は、帳票の種類が複数の場合であっても対応することができる。この場合、
図4のステップ100で複数の異なる原本シートをそれぞれイメージデータに変換し、ステップ110でそれぞれの原本シートデータに基づいて分割する領域を指定し、ステップ120で複数の異なる記入済みの帖票をイメージデータ化し、ステップ130の工程に進む前に、帳票の種類毎に分類仕分けする分配工程が実行される。また、記入済みの帳票には、予め帳票の各種類を示す識別マークが記されており、分配工程では、当該識別マークに基づいて帳票の種類毎に分類仕分けする。
【0068】
本発明によるデータエントリーシステムにおいて、データ入力者であるエントリー者は、サービス提供機関に入力作業(エントリー)を行う会員として事前に登録し、エントリー者の所有する情報端末に、入力作業に使用するアプリケーションプログラム(アプリ)を予め当該アプリを提供する事業者のアプリ配信サーバコンピュータ40からダウンロードして、インストールする。
【0069】
図8は、予め会員登録をしたエントリー者の情報が管理されるエントリー者データベースの構成を示す図である。エントリー者データベース29において、各エントリー者には、固有のエントリー会員IDが付与され、エントリー会員ID対応付けて、氏名、住所、電話番号等、電子メールアドレスログイン時に本人確認をするためのパスワード等の属性情報と共に、データのエントリ(入力)によって獲得したポイントであって、商品と交換可能な付与ポイントが記憶される。尚、エントリー者は個人に限らず、SOHO事業者等の小規模企業、各種団体等であっても良い。このエントリー者データベース29は、サーバコンピュータ20のエントリー作業管理部27によって管理され、エントリーデータ保存部24bに保存される。
【0070】
データエントリーサービス提供側のサーバコンピュータ20は、複数のエントリー者のそれぞれが入力した入力作業量、例えばテキストデータ量に応じてポイントを付与し、ポイント情報を提携したポイント交換事業者のデータサーバに送信すると共に、複数のエントリー者のそれぞれの要求に応じて、各エントリー者に対して、それぞれのポイント情報を通知するポイント情報照会手段を更に備える。
【0071】
上述した本実施形態によれば、帳票の原本イメージデータは、依頼元顧客のクライアントコンピュータ10で分割されてから、データエントリーサービス提供事業者のサーバコンピュータ20に送信されて保存されるため、サーバコンピュータ20を運営するサービス提供事業者において保護情報である個人情報が知得され難くなると共に、仮に、サーバコンピュータ20に不正に侵入がなされた場合でも、不正取得されたデータから保護情報である個人情報を特定することが困難であるため、これら保護情報である個人情報が漏洩することを防止することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、シャッフルされた分割イメージデータが送信されることから、通信経路上において分割イメージデータが不正に取得されても、保護情報が漏洩することを防止できると共に、サーバコンピュータ20においても、復号に必要なデータは配信されず、シャッフルされた状態の分割イメージデータのみが保存されるため、更に、保護情報である個人情報が知得又は流出され難くなるので、保護情報が漏洩することを防止することができる。
【0073】
更に、本実施形態によれば、データ入力作業を行うエントリー者が、ネットワークを介して接続可能な情報端末を利用する多数のインターネットユーザであるため、これらインターネット利用者を入力オペレータとして活用することができ、入力コストを低減することができる。
【0074】
次に、本発明の他の実施形態によるデータエントリーシステムについて、以下に説明する。
【0075】
本実施形態によるデータエントリーシステムは、
図1に示すデータエントリーシステムの全体構成を示すブロック図において、例えば、インターネット5上に、帳票等の電子データ化作業の依頼元である顧客2の通信機能付きスキャナー11、電子データ化サービスを提供するデータエントリーサービス提供事業者の運営するサーバコンピュータ20、データ入力を行う複数のオペレータの情報端末30、及びアプリケーションプログラム(アプリと略記)提供事業者の運営するアプリ配信サーバコンピュータ40が接続された構成を備える。
【0076】
本実施形態によるデータエントリーシステムの各構成要素の詳細を以下に説明する。
【0077】
図9は、本発明の他の実施形態による依頼元顧客2の通信機能付きスキャナー11の構成を示す概略図である。
【0078】
通信機能付きスキャナー11は、各種の伝票類や加入申込用紙等の帳票である複数のデータ項目を有する原本シートを光学的に読み取ってイメージデータに変換するスキャンニング部11a、スキャナー全体を制御する制御部(CPU)11b、スキャンニング部でイメージデータに変換された原本シートに基づく原本イメージデータに検索用キー(識別データ)を付与する識別データ付与部11c、識別データが付与された原本イメージデータを保存する記憶部11d、及び外部装置とインターネット網等の通信ネットワークを通じてデータ通信を行う送受信部11eで構成される。
【0079】
スキャンニング部11aでイメージデータに変換された原本シートに基づく原本イメージデータは、記憶部11dに保存される。
【0080】
識別データ付与部11cは、読み取った原本シート毎に対応する原本イメージデータを識別するための親番号になる検索用キーを原本イメージデータに付与する。
【0081】
制御部11bは、所望の枚数の原本シートに対応する識別データが付与された原本イメージデータをまとめて、エントリー作業元ファイルとして構成し、当該ファイル毎にファイル名及び発信者等のファイル情報と共に送受信部15を介してネットワーク上の外部サーバであるデータエントリーサービス提供事業者の運営するサーバコンピュータに送信する。
【0082】
図10は、本発明の他の実施形態によるデータエントリーサービス提供事業者のサーバコンピュータの構成を示す概略図である。
【0083】
本実施形態によるデータエントリーサービス提供事業者のサーバコンピュータ20は、外部装置とインターネット網等の通信ネットワークを通じてデータ通信を行う送受信部21、コンピュータの機能及び構成要素を制御する制御部(CPU)22、各種の機能を実行する機能部23、並びに各種データ及びコンピュータプログラムを保存する記憶部24を備える。
【0084】
機能部23は、データ受付部25、作業ファイル作成部26、エントリー作業管理部27、及びデータ照合・校正部28を含む。
【0085】
データ受付部25は、送受信部21を介して依頼元顧客2の通信機能付きスキャナー11からインターネットを経由して送信されたエントリー作業元ファイルを受信すると、制御部22の制御の下で、受信したファイル情報の内容を判断し、受信したファイルが依頼元顧客2の通信機能付きスキャナー11から送信されたエントリー作業元ファイルであることを確認すると、受信した識別データが付与された複数の原本イメージデータを、受信したファイル情報に基づき1つのバッチファイルとして分類し、バッチファイル毎に少なくとも顧客及び納期に関する情報を付加して、記憶部24内のクライアントデータ保存部24aに保存する。
【0086】
作業ファイル作成部26は、イメージ分割部26a及び暗号化識別データ付与部26bを含む。
【0087】
作業ファイル作成部26は、クライアントデータ保存部24aに保存されたバッチファイル毎の原本イメージデータを読み出し、読み出した原本イメージデータを、イメージ分割部26aにより、複数のデータ項目単位で分割イメージデータに分割する。なお、イメージ分割部26aは、原本イメージデータに基づき、分割したい領域を指定する機能を司る分割領域指定部(図示せず)を備え、予め分割領域を設定する。
作業ファイル作成部26は、イメージ分割部26aにより分割された複数の分割イメージデータのそれぞれに、暗号化識別データ付与部26bにより枝番号になる識別番号を設定し、同一の原本イメージデータから分割されたものであることを記すため、原本イメージデータを識別するための親番号になる検索用キーと合わせて暗号化した上、親番号+枝番号からなる識別データとして付与する。各暗号化した識別データは対応する分割イメージデータに紐付けてクライアントデータ保存部24aに保存する。
作業ファイル作成部26は、バッチファイル毎の、暗号化した識別データが付与された分割イメージデータを、各バッチファイル内で順不同となるようにシャッフルし、予め設定した複数の作業単位、例えば所定の分割データファイル数に分割して複数のエントリー用分割イメージデータファイルとして記憶部24内のエントリーデータ保存部24bに保存する。
【0088】
一方、サーバコンピュータ20は、送受信部21を介して外部からインターネット経由で、複数の情報端末(31、32)からのアクセスを受信すると、制御部22がデータ受付部25に受信情報を伝達する。データ受付部25は、受信情報の内容を判断して、複数の情報端末のそれぞれの作業内容を識別する。例えば、情報端末31から受信した受信情報の内容からデータ入力作業開始要求であると判断した場合、制御部22は、エントリー作業管理部27に受信情報を伝達する。
【0089】
エントリー作業管理部27は、受信情報に基づき識別した情報端末のそれぞれに対し、複数のエントリー用分割イメージデータファイルの中から個別のエントリー用分割イメージデータファイルを選択して、送受信部21を介して情報端末31に送信すると共に、送信したエントリー用分割イメージデータファイル情報を、識別した情報端末の情報に紐付けて記憶部24内の作業データ保存部24cに保存する。
【0090】
また、データ受付部25は、受信情報の内容を判断して、受信情報が情報端末31から受信したエントリー入力データである場合、エントリー作業管理部27に受信情報を伝達する。エントリー作業管理部27は、受信情報に基づき、情報端末を識別して、受信したテキストデータを含む入力データをデータ照合・校正部28に伝達する。
【0091】
データ照合・校正部28は、受信したテキストデータを当該テキストデータの元となる分割イメージデータに付加された識別データに紐付けて作業データ保存部24cに保存する。また、データ照合・校正部28は、複数の情報端末から受信した同一の分割イメージデータに基づいて、入力されたテキストデータ同士が互いに一致するか否かを照合する。データ照合・校正部28により複数のテキストデータが一致しないと判断された場合、当該複数のテキストデータ及びそれらの元となる分割イメージデータにデータ不一致のフラグを付けてエントリー作業管理部27に伝達する。
エントリー作業管理部27は、当該複数のテキストデータと共に、それらの元となる分割イメージデータをインターネット5経由で管理者の端末に送信し、管理者によるチェック及び修正を受ける。
【0092】
一方、データ照合・校正部28は、複数のテキストデータが一致したと判断された場合、テキストデータ及び修正されたテキストデータをエントリー入力済データとして作業データ保存部24cに保存する。
【0093】
また、エントリー作業管理部27は、バッチファイル毎のエントリー入力済データを確認し、各バッチファイルの全ての分割イメージデータに対応するエントリー入力済データが揃うと、作業済データ保存部14cに保存された全てのエントリー入力済データ、例えば作業済のテキストデータを読み出して、各テキストデータに付与された暗号化された識別データを復号し、復号した識別データに基づいて、各テキストデータを元の原本シート単位のテキストデータに合成する。
【0094】
その後、管理者は必要に応じてエントリー入力済バッチファイルのチェックを行い、エントリー作業が完了したバッチファイル単位の作業済テキストデータを依頼元顧客に納品する。納品される作業済テキストデータは、光ディスク等の記憶媒体に保存されて配送されるか、暗号化したデータファイルの形態でネットワークを介して依頼元顧客の指定先に送信される。
【0095】
また、エントリー作業管理部27は、オペレータの入力データ量に応じたポイントをエントリー作業者の登録アカウントに付与する。
【0096】
図11は本発明の他の実施形態によるイメージ分割データの生成手順を示すフローチャートである。
【0097】
ステップ400において、サーバコンピュータ20は、依頼元顧客2のスキャナー11から送信された記入済み原本イメージデータを受信してクライアントデータ保存部24aに保存する。記入済み原本イメージデータのそれぞれには親番号になる検索用キーが付与される。
【0098】
ステップ410において、サーバコンピュータ20は、ステップ400で受信した原本イメージデータを分割する領域を指定する。例えば、
図5に示す原本シートd1に対応する記入済み原本イメージデータに基づいて、会員番号、名前、住所及び電話の各項目を二次元分割領域に指定する。なお、二次元分割領域は、依頼元の顧客から送付された未記入の原本シートを用いて、予め設定することも可能である。
【0099】
ステップ420において、サーバコンピュータ20は、ステップ410で指定した分割領域に基づいて、記入済み原本イメージデータを分割する。サーバコンピュータ20は、原本イメージデータをイメージ分割部26aによって分割処理する。
【0100】
ステップ430において、サーバコンピュータ20は、ステップ420で分割された複数の分割イメージデータに対して、同一の記入済み原本イメージデータから分割されたものであることを記すための枝番号になる識別番号を付与し、検索用キーと合わせて親番号+枝番号からなる識別データを構成し、暗号化して各分割イメージデータに付与する。
即ち、ステップ430で付与する識別番号は、各原本メージデータに付与された検索キーに紐付けられる。例えば、第1の原本イメージデータに検索用キー「d1」が付与され、ステップ420で第1の原本イメージデータd1が4つに分割された場合、ステップ430では、それぞれの分割イメージデータに識別データ「d2−1」、識別データ「d2−2」、識別データ「d2−3」、識別データ「d2−4」を暗号化して付与する。
【0101】
或いは、サーバコンピュータ20は、暗号化識別データ付与部26bにより重複しないランダムな記号の識別データを生成し、生成した記号を暗号化して複数の分割イメージデータのそれぞれに付与する。
【0102】
暗号化識別データ付与部26bは、分割イメージデータに付与した識別データを、同一の記入済み原本イメージデータ毎にリスト化する。このリストを参照することで、複数の分割イメージデータに付与された符号に基づいて、分割処理をする前の元の記入済み原本イメージデータに再合成することができる。
【0103】
ステップ440において、サーバコンピュータ20は、ステップ430で識別データが付与された分割イメージデータ(d2−1、d2−2、…)をデータ項目毎に保存する。クライアントコンピュータ10は、分割イメージデータを、例えば、会員番号、名前、住所、及び電話の項目毎にクライアントデータ保存部24aに保存する。
【0104】
ステップ450において、サーバコンピュータ20は、ステップ440で保存された分割イメージデータを、各データ項目内で順不同になるようにシャッフルする。更に、クライアントデータ保存部24aのデータ項目毎に保存された分割イメージデータをシャッフルする。
【0105】
ステップ460において、サーバコンピュータ20は、ステップ450でシャッフルされた分割イメージデータを、例えば依頼業務単位のバッチファイル毎にエントリーデータ保存部24bに保存する。
【0106】
なお、本実施形態におけるエントリーが完了したテキストデータの合成作業の手順は、
図7に示したフローと同じであるので、説明を省略する。
【0107】
上述のように、本実施形態によれば、分割イメージデータに付与された識別データの暗号化による第1のセキュリティと、ステップ430で生成した識別番号の付与リストを参照しなければ記入済みデータとして合成することが不可能になる第2のセキュリティにより、外部への個人情報の流出を防止することができる。
また、本実施形態によれば、依頼元の顧客は、通信機能を備えるスキャナー又はスキャナー機能を備えるデジタル複合機等の簡易な設備を用いて、紙ベースの帳票類の電子データ化作業を依頼することができ、個人情報を含むデジタルデータ処理及びデータ管理を自社内で実施する必要がないため、管理業務の負担を軽減できる。
【0108】
更に、本実施形態によれば、データ入力作業を行うエントリー会員が、インターネット端末を利用する不特定多数のインターネット利用者であるため、これらインターネット利用者を入力オペレータとして活用することができ、入力コストを低減することができる。
【0109】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。