(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ドア内に固定される不動部材に支持され、車体側のストライカと係合可能な噛合機構部と、前記不動部材に枢軸をもって枢支され、かつ前記ドアのアウタパネルに設けられるアウトサイドハンドルに操作力伝達部材を介して連係されるアウトサイドレバーとを備え、前記アウトサイドハンドルの操作に基づいて前記アウトサイドレバーが待機位置からリリース方向へ回動することにより、前記アウトサイドレバーに連係されるリリース部材を介して、前記噛合機構部と前記ストライカとの係合を解除するようにした自動車用ドアラッチ装置において、
前記アウトサイドレバーは、前記待機位置から前記リリース方向へ回動可能であることに加えて、付勢手段の付勢力に抗して前記待機位置から車内方向へ移動可能であり、
前記不動部材に、前記アウトサイドレバーが車内方向へ移動した際、前記アウトサイドレバーのリリース方向への回動を阻止可能なストッパ部を設けたことを特徴とする自動車用ドアラッチ装置。
前記不動部材は、前記噛合機構部を支持するボディと、当該ボディが固定されるベース部材と、前記ボディに固定される金属製のプレート部材とを備え、前記ストッパ部は、前記ボディ、前記ベース部材または前記プレート部材に設けられ、かつ車外側が開口する車内外方向を向く係合部であり、この係合部に、前記アウトサイドレバーが車内側へ移動したとき、当該アウトサイドレバーに設けた突部が突入して係合するようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動車用ドアラッチ装置。
前記不動部材は、前記噛合機構部を支持するボディと、当該ボディが固定されるベース部材と、前記ボディに固定される金属製のプレート部材とを備え、前記アウトサイドレバー、前記ボディ、前記ベース部材または前記プレート部材とのいずれか一方に突部を、同じく他方に、前記突部が摺動可能に嵌合するとともに、前記アウトサイドレバーが車内側へ移動したとき当該アウトサイドレバーのリリース方向への回動を阻止可能な車内外方向を向く係合孔と、前記突部が摺動可能に嵌合することにより、前記アウトサイドレバーが待機位置からリリース方向へ回動するのを許容する、前記枢軸を中心とする円弧状のガイド孔とを、互いの一方の端部同士が連続するように設け、前記係合孔を前記ストッパ部としたことを特徴とする請求項1記載の自動車用ドアラッチ装置。
前記不動部材は、前記噛合機構部を支持するボディと、当該ボディが固定されるベース部材と、前記ボディに固定される金属製のプレート部材とを備え、前記ボディ、前記ベース部材またはプレート部材に、前記アウトサイドレバーにおける車内側の側端と対向する対向部を設け、この対向部に、前記アウトサイドレバーが車内側へ移動したとき当該アウトサイドレバーの車内側の端部が突入して係合する係合孔を設け、この係合孔を前記ストッパ部としたことを特徴とする請求項1記載の自動車用ドアラッチ装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1〜
図5は、本発明の第1の実施形態に係るドアラッチ装置を示す。なお、以下の説明では、
図2及び
図3における左方を自動車の「車内側」、同じく右方を「車外側」とする。また、本発明のドアラッチ装置は、自動車における左右のフロントサイドドア(以下、ドアと略称する)の後端部の内部に取付けられるものであるが、本実施形態では、
図1に示すように、ドアラッチ装置1を右側のドア2に取付けた例について説明する。
【0015】
ドア2は、アウタパネル2aとインナパネル(図示略)とを備え、アウタパネル2aの後上部の外側面には、操作力伝達部材3を介して、ドアラッチ装置1を車外よりオープン操作するアウトサイドハンドル4と、操作力伝達部材5を介して、ドアラッチ装置1を車外よりアンロック操作及びロック操作するキーシリンダ6が設けられている。インナパネルの前部側の内側面には、操作力伝達部材7を介して、ドアラッチ装置1を車内よりオープン操作するインサイドハンドル8と、操作力伝達部材9を介して、ドアラッチ装置1を車内よりアンロック操作及びロック操作するためのロックノブ10が設けられている。
【0016】
図2及び
図3に示すように、ドアラッチ装置1は、車体側のストライカSに係合することによってドア2を閉鎖状態に保持するための噛合部アッセンブリ11を、当該噛合部アッセンブリ11を操作するための操作部アッセンブリ12に組み付けて、噛合部アッセンブリ11と操作部アッセンブリ12とを一体化することにより構成されている。
【0017】
噛合部アッセンブリ11は、ドア2内においてその後端部に固定される合成樹脂製のボディ13と、ボディ13内に前後方向のラッチ軸14により枢支され、車体側のストライカSに係合可能なラッチ15と、ボディ13内に前後方向のラチェット軸16により枢支され、ラッチ15に係合可能なラチェット17と、ボディ13の裏側(ドアラッチ装置1をドア2に取り付けた状態においては前側)に配設され、ラチェット17と一体的に設けられたラチェットピン171と、ボディ13の表側(ドアラッチ装置1をドア2に取り付けた状態においては後側)を閉塞するプレート部材としての金属製のカバープレート18と、ボディ13の裏側に固定される、プレート部材としての金属製のバックプレート19とを備えている。なお、バックプレート19は省略してもよい。
【0018】
ドア2が閉じられると、車体側のストライカSがボディ13とカバープレート18の上下方向のほぼ中央部に設けられたストライカ進入溝181に進入してラッチ15に係合するとともに、ラチェット17がラッチ15に係合して、ラッチ15の開き方向(
図2、
図3において時計方向)への回動を阻止することにより、ドア2は閉扉状態に保持される。
【0019】
操作部アッセンブリ12は、バックプレート19を介してボディ13の裏側に固定される、ベース部材としての合成樹脂製のケーシング20と、ケーシング20内に組み付けられる各種操作レバー、連係レバー及びモータ(図示略)等を備える。
【0020】
ケーシング20内に組み付けられる各種操作レバーには、前述したアウトサイドハンドル4に、操作力伝達部材3を介して連結された車内外方向を向くアウトサイドレバー21、前述したドア2のインサイドハンドル8に操作力伝達部材7を介して連係され、インサイドハンドル8の操作に連動するインサイドレバー(図示略)、前述したロックノブ10に操作力伝達部材9を介して連係され、ロックノブ10の操作に連動するロッキングレバー(図示略)、前述したキーシリンダ6に操作力伝達部材5を介して連係され、キーシリンダ6の操作に連動するキーレバー(図示略)等がある。
【0021】
また、連係レバーには、アウトサイドレバー21の内端部210に連結されるとともに、ロッキングレバーの作動に連動して、アンロック位置及びロック位置に移動可能なリリース部材としてのリリースレバー22がある。リリースレバー22は、アンロック位置にあるとき、アウトサイドハンドル4の開操作に伴うアウトサイドレバー21のリリース作動(
図2において時計方向へ所定角度回動する作動)に連動して上方へ移動することで、アウトサイドレバー21のリリース作動をラチェット17に伝達可能としてラチェット17をラッチ15から外れる解除方向へ回動させてドア2の開きを可能にする。なお、上記インサイドレバー、ロッキングレバー、キーレバー及びリリースレバー22等の各種レバーは、通常のドアラッチ装置に装着される公知のものであるので、それらの構造やレバー同士の連係形態等の詳細な説明は省略する。
【0022】
ケーシング20は、噛合部アッセンブリ11と操作部アッセンブリ12とを一体化した状態おいて、ボディ13の裏面側にバックプレート19を介して噛合部アッセンブリ11の裏面側に固定される第1ケーシング201と、第1ケーシング201に対して直角な前方を向く第2ケーシング202とを備え、第2ケーシング202内に、アウトサイドレバー21以外の上述した各種レバーが組み付けられている。第1ケーシング201は、ボディ13と対向する基部201aと、ボディ13の上半部の外周面を囲むようにして、基部201aの上半部の外周縁に後向きに突設された上部側壁201bと、基部201aの下半部の外周縁に後向きに突設された、上部側壁201bよりも突出寸法の小さな下部側壁201cとを有している。
【0023】
噛合部アッセンブリ11と操作部アッセンブリ12とを強固に一体化するために、ケーシング20の上部と下部が、後方を向くボルト23、24をもってバックプレート19に締結されている。下側のボルト24は、
図4に示すように、第1ケーシング201の基部201aの後面に一体的に突設された、アウトサイドレバー21を枢支するための前後方向を向く枢軸25の中心を貫通して、バックプレート19における噛合部アッセンブリ11の下方に突出する下端部191の雌ねじ孔26に螺合している。
なお、本実施形態におけるラッチ15及びラチェット17は、本発明に係る噛合機構部を構成し、ボディ13またはケーシング20は、本発明に係るベース部材に相当し、また、ボディ13、ケーシング20、カバープレート18及びまたはバックプレート19は、本発明に係る不動部材に相当する。
【0024】
図3及び
図4に示すように、基部201aにおける枢軸25と対向する部分の外側端部には、基部201aを貫通する縦長の矩形孔27が形成されている。また、下部側壁201cにおける枢軸25と対向する部分の基端部には、矩形孔27と連続する切欠部28が形成されている。これにより、下部側壁201cにおける枢軸25と対向する部分を、前後寸法が他部よりも短寸で、かつ基部201aと不連続となる脆弱部201dとしてある。
【0025】
図3〜
図5に示すように、アウトサイドレバー21における車内側寄りの中間部には、車内外方向を向く長孔29が形成され、この長孔29は、枢軸25に回動可能かつ左右方向に相対移動可能に嵌合されている。枢軸25にアウトサイドレバー21の長孔29を嵌合したのち、枢軸25の後面には、バックプレート19の下端部191がボルト24をもって固定される。なお、この実施例では、長孔29の長手方向の長さを、枢軸25の直径のほぼ2倍としてあるが、その長さは適宜に設定される。アウトサイドレバー21における下部側壁201cより突出する車外側の端部は、前方すなわち下部側壁201c側に向かって平面視L字状に折曲され、その折曲部212の車内側の内側面は、下部側壁201cにおける脆弱部201dの外側面に接近している。
【0026】
アウトサイドレバー21における車外側の端部(アウタパネル2aに対向する端部)には、上下方向の貫通孔(図示略)を有する連結部213が後向きに一体的に折曲形成され、この連結部213の貫通孔には、合成樹脂製の受け部材30が圧嵌されている。連結部213には、上端部がアウトサイドハンドル4に連係され、アウトサイドハンドル4の操作力をアウトサイドレバー21に伝達可能なロッドよりなる操作力伝達部材3の下端部のクランク状の折曲部3aが、受け部材30を介して上方より連結されている。
【0027】
アウトサイドレバー21における長孔29の外端部と近接する上縁には、後述するねじりコイルばね31の一方の足片311が当接する側面視倒立L字状をなす上部係止片214が、上向きに突設されている。また、アウトサイドレバー21における長孔29の内端部と近接する下縁には、ねじりコイルばね31の他方の足片312を係止するための下部係止片215が、下向きに突設されている。
さらに、長孔29及びバックプレート19の下端部191の外側方において、アウトサイドレバー21の後面には、車内外方向を向くとともに、長孔29の上下のほぼ中央部の線上に並ぶ突部216が、アウトサイドレバー21の一部を切り起こして後向きに突設されている。なお、この突部216は、アウトサイドレバー21の前面側をプレス等により押圧して後方に膨出させるか、または別部材を溶接するなどして形成することもできる。
【0028】
第1ケーシング201の基部201aとアウトサイドレバー21の対向面間において、枢軸25には、ねじりコイルばね31が遊嵌され、このねじりコイルばね31における上方へ延伸する一方の足片311は、基部201aの後面に突設した係止突部32に、
図3において左側から係止され、同じく他方の足片312は、アウトサイドレバー21の下部係止片215に、弾性力を付与した状態で
図3の左側から係止されている。これにより、アウトサイドレバー21は、
図1、
図5において枢軸25を中心として反時計方向に付勢されている。
【0029】
図1及び
図5に示すように、ねじりコイルばね31の上方を向く一方の足片311は、アウトサイドレバー21を車外側に付勢することによって、これを待機位置に保持する付勢手段を構成している。すなわち、アウトサイドレバー21における上部係合片214の前向片214aの車内側の側端を、ねじりコイルばね31の一方の足片311に当接させることにより、アウトサイドレバー21は、ねじりコイルばね31の付勢力により常時車外側に付勢されるようになっている。この際、枢軸25が長孔29の車内側の端縁と当接することで、アウトサイドレバー212は車外側へ最大限突出し、通常のドア閉扉状態、すなわち待機位置に保持される。
【0030】
枢軸25の下方において第1ケーシング201の基部201aの後面には、アウトサイドレバー21の下部係止片215の外側面が当接することにより、アウトサイドレバー21を待機位置(
図2、
図4に示す位置)に停止させるストッパ33が突設されている。なお、アウトサイドレバー21が待機位置にあるとき、それに突設された突部216は、バックプレート19の下端部191の外側面より若干車外側に離間している。
【0031】
図2及び
図4に示すように、アウトサイドレバー21の回動領域であるバックプレート19の下端部191における車外側の側端部には、車内外方向を向くとともに、車外側と前後両方向に開口するスリット状の係合部34が、アウトサイドレバー21の突部216と対向するようにして設けられている。この係合部34の上下方向の溝幅は、突部216の上下寸法よりも僅かに大とされ、アウトサイドレバー21が枢軸25に対し車内側に相対移動したとき、突部216が係合溝34内に突入してこれと係合しうるようになっている。なお、係合部34をスリット状のものとしないで、前面が後方に向かって凹入する係合溝としてもよい。上記バックプレート19の下端部191に設けた係合部34は、本発明に係るストッパ部に相当する。
【0032】
次に、上記第1の実施形態に係るドアラッチ装置1の作用、特に側面衝突時等におけるアウトサイドレバー21の動きについて説明する。
図2は、ドアラッチ装置1の通常状態(ドア閉扉状態)を示すもので、アウトサイドハンドル4が開扉操作され、それに連係された操作力伝達部材3が下方に移動すると、アウトサイドレバー21は、ねじりコイルばね31の付勢力に抗して、待機位置(ドア閉扉位置)から作動位置(ドア開扉位置)まで、リリース方向(
図2において時計方向)へ所定角度回動する。
【0033】
これにより、ロックノブ10がアンロック状態にあってロッキングレバー及びリリースレバー22がアンロック位置にあるときには、アウトサイドレバー21の内端部210に連係されているリリースレバー22が上方へ移動してラチェットピン171に下方から当接することで、ラチェット17とラッチ15との係合を解除してドア2を開けることができる。なお、
図2に示す通常状態においては、前述したように、アウトサイドレバー21は、ねじりコイルばね31の上方を向く足片311の付勢力により、常時車外側に押圧されているので、車内側に移動するおそれはない。
【0034】
図5に示すように、ドア2の閉扉状態において、側面衝突等により、ドア2のアウタパネル2aが車内側に変形し、ドアラッチ装置1のアウトサイドレバー21に衝突荷重が加わると、アウトサイドレバー21は、ねじりコイルばね31の付勢力に抗して、枢軸25に対し相対的に車内側に移動し、枢軸25が長孔29の外端縁に当接する位置まで相対移動したところで停止する。
また、この移動と同時に、それまで非係合状態にあったアウトサイドレバー21の突部216が、バックプレート19の下端部191の係合部34内に突入して係合する。これにより、アウトサイドレバー21の枢軸25回りの回動が阻止される。この結果、アウタパネル2aがアウトサイドレバー21を下向きに回動させる方向にさらに変形しても、アウトサイドレバー21がリリース方向(
図5において時計方向)に回動させられることはなく、ドア2が予期せず開いてしまうことを防止することができる。
【0035】
なお、アウトサイドレバー21に衝突荷重が加わると、その折曲部212が第1ケーシング201の下部側壁201cと当接することとなるが、下部側壁201cにおける枢軸25と対向する部分には、脆弱部201dを設けてあるので、強い衝突荷重がアウトサイドレバー21に加わった際には、その折曲部212により脆弱部201dを内向きに変形させながら車内側に移動することができる。アウトサイドレバー21に加わる衝突荷重が比較的小さく、脆弱部201dが変形に至らないときには、アウトサイドレバー21が車内側に移動することがないので、ドアラッチ装置1は通常のドア閉扉状態に維持される。このように、側面衝突時に脆弱部201dが車内側に変形するようにすると、第1ケーシング201に設けた矩形孔27内にアウトサイドレバー21の折曲部212が入り込むので、ストッパ部を矩形孔27としても、アウトサイドレバー21がリリース方向に回動するのを抑えることができる。
【0036】
また、一旦変形したアウタパネル2aが車外側に復元し、アウトサイドレバー21から離れた際には、ねじりコイルばね31の付勢力によりアウトサイドレバー21を車外側に移動して、突部216と係合部34との係合状態が解除されるので、ドアラッチ装置1は通常のドア閉扉状態に復帰する。
【0037】
なお、図示は省略するが、上記のような係合部34を、アウトサイドレバー21の回動領域である第1ケーシング201の基部201aの車外側の側端部に設けるとともに、アウトサイドレバー21の前面に上記のような突部216を突設し、アウトサイドレバー21が車内側に移動したとき、突部216が係合部34に突入して、アウトサイドレバー21のリリース方向への回動を阻止しうるようにすることもできる。この際には、基部201aを、下部側壁201cや矩形孔27のない形状とすればよい。
【0038】
図6は、本発明の第2の実施形態に係るドアラッチ装置の要部の斜視図を示す。なお、上記第1の実施形態と同様の部材には、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この第2の実施形態に係るドアラッチ装置においては、アウトサイドレバー21における長孔29と離間する車外側に、突部としての係合ピン35を、アウトサイドレバー21の枢軸25と同方向を向くように後向きに突設するとともに、係合ピン35と対向する部分のバックプレート19に、係合ピン35が摺動可能に嵌合する車内外方向を向く係合孔36と枢軸25を中心とする下向き円弧状のガイド孔37を、それらの外端部と上端部とが互いに連続するようにして設けてある。なお、上記係合ピン35が嵌合する係合孔36は、本発明に係るストッパ部に相当する。
【0039】
係合ピン35は、アウトサイドレバー21が待機位置にあるとき、係合孔36とガイド孔37とが連続するコーナー部に位置し、アウトサイドレバー21がリリース方向に回動されたとき、係合ピン35がガイド孔36に沿って下方に移動することにより、ドアラッチ装置1を通常状態で開扉操作することができる。
【0040】
一方、アウトサイドレバー21に衝突荷重が加わった際には、係合ピン35が係合孔36に沿って車内方向に移動し、上下方向の動きが規制されることにより、アウトサイドレバー21の枢軸25回りの回動が阻止される。この結果、前記第1の実施形態と同様に、ドア2が予期せず開いてしまうことを防止することができる。
また、通常のドア開扉操作時においては、係合ピン35がガイド孔37に沿って移動するので、アウトサイドレバー21がねじりコイルばね31に抗して車内方向に移動するおそれはない。
【0041】
なお、図示は省略するが、この第2の実施形態においては、上記とは反対に、バックプレート19側に係合ピン35を前向きに突設するとともに、上下寸法を大としたアウトサイドレバー21側に、車内外方向を向く係合孔36及びその前端部に連続する上向き円弧状のガイド孔37を設けてもよい。また、
図6と同形状の係合孔36とガイド孔37を、第1ケーシング201の基部201a側に設けたり、バックプレート19と基部201aとの両方に係合孔36とガイド孔37を設けたりすることもできる。係合孔36とガイド孔37を基部201a側に設けた際には、係合ピン35を前向きに突設すればよく、また、係合孔36とガイド孔37をバックプレート19と基部201aとの両方に設けた際には、係合ピン35をアウトサイドレバー21を貫通させて前後両方向に突出させればよい。
さらに、バックプレート19を省略した際には、ボディ13またはカバープレート18の一部を下方に延出し、それらのいずれかに、上記のような係合孔36とガイド孔37を設けることもある。
【0042】
図7は、本発明の第3の実施形態に係るドアラッチ装置を、
図2と同じ部位で横断した断面図を示すもので、この第3の実施形態のドアラッチ装置においては、アウトサイドレバー21を、その内端部210が車内側に若干延出するように長寸とするとともに、アウトサイドレバー21の内端部210と対向する第2ケーシング202の対向部202aに、アウトサイドレバー21の内端部210が突入して係合可能な係合孔38を設けたものである。
図7の2点鎖線で示すように、側面衝突等によりアウトサイドレバー21が車内側に移動したとき、その内端部210が第2ケーシング202の係合孔38に突入することにより、アウトサイドレバー21がリリース方向へ回動するのが阻止される。なお、上記第2ケーシング202に設けた係合孔38は、本発明に係るストッパ部に相当する。
【0043】
図8は、本発明の第4の実施形態に係るドアラッチ装置を、
図2と同じ部位で横断した断面図を示すもので、この第4の実施形態のドアラッチ装置においては、バックプレート19を、リリースレバー22と干渉しないように前方に折曲して車内側に延伸するとともに、アウトサイドレバー21の内端部210と対向する後向きの対向片192を一体的に連設し、この対向片192に、アウトサイドレバー21の内端部210が突入して係合可能な係合孔39を設けたものである。
図8の2点鎖線で示すように、側面衝突等によりアウトサイドレバー21が車内側に移動したとき、その内端部210が係合片192の係合孔39に突入することにより、アウトサイドレバー21がリリース方向へ回動するのが阻止される。なお、上記対向片192に設けた係合孔39は、本発明に係るストッパ部に相当する。
上記第3及び第4の実施形態のような対向部202aまたは対向片192は、ボディ13とカバープレート18とのいずれか一方に設けることもある。
【0044】
以上説明したように、上記第1〜第4の実施形態に係るドアラッチ装置においては、いずれも、バックプレート19または第1ケーシング201に、比較的簡単なストッパ部を設けるだけで、ドア2が車内側に変形した際にアウトサイドレバー21がリリース方向へ回動するのを阻止することができるため、ドアラッチ装置の信頼性が高まる。
【0045】
以上、本発明を上記各実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、次のような変形や変更を施すことが可能である。
上記第1の実施形態に係るドアラッチ装置においては、係合部34を、バックプレート19に設けたが、例えばバックプレート19を省略した際には、
図3に2点鎖線で示すように、ボディ13及びカバープレート18の車外側の一部を下方に延出し、それらの延出部に、係合部34を設けてもよい。また、ボディ13とカバープレート18とのいずれか一方を下方に延出して、そのいずれか一方の延出部に係合部34を設けてもよい。
【0046】
アウトサイドレバー21がリリース方向へ回動するのを阻止するストッパ部は、上述した各実施形態のものに限定されるものではなく、アウトサイドレバー21が待機位置にあるときリリース方向への回動を許容し、アウトサイドレバー21が車内側へ移動したときリリース方向への回動を阻止しうるものであれば、いかなる形状のものであってもよく、また、アウトサイドレバー21と共に動かないいずれの不動部材に設けてもよい。
【0047】
上記実施形態では、アウトサイドレバー21を常時車外側に付勢する付勢手段に、ねじりコイルばね31の上方を向く足片311を利用しているが、引張コイルばね等の付勢手段を別途設けてもよい。
【0048】
また、
図9及び
図10に示すような手段により、アウトサイドレバー21を常時待機位置に付勢するようにしてもよい。
すなわち、アウトサイドレバー21に、上記実施形態の長孔29よりも大きな嵌合孔40を設け、この嵌合孔40に圧嵌した合成樹脂よりなるガイド部材41に、枢軸25が摺動及び回動可能に嵌合される車内外方向を向く長孔42を設けるとともに、この長孔42の中央部の上下の対向面に、互いに接近する方向に突出する、弾性変形可能な山形状の弾性保持片43、43を一体的に形成する。両弾性保持片43のベース部には、それらが互いに上下に離間する方向に弾性変形しうるように、肉抜き孔44、44を設ける。
【0049】
アウトサイドレバー21が
図9に示す待機位置にあるときには、枢軸25は、両弾性保持片43により、長孔42の車内側の端部に弾性保持され、
図10に示すように、側面衝突等の外部荷重により、アウトサイドレバー21が車内側に押動された際は、枢軸25が、両弾性保持片43を離間する方向に弾性変形させて、長孔42の車外側の端部まで相対移動することができる。
このような構成にすると、アウトサイドレバー21は、両弾性保持片43により常時待機位置に保持されるので、ドアハンドル4の開扉操作により、ドアラッチ装置を通常状態で円滑かつ確実に作動させることができる。また、ねじりコイルばね31の足片311によりアウトサイドレバー21を常時車外側に付勢するのを省略することが可能となるが、ねじりコイルばね31の付勢力を併用してもよいことは勿論である。なお、両弾性保持片43の形状は、車外側の端部が開放された横向きハ字状であってもよい。
【0050】
上記実施形態では、操作力伝達部材3をロッド状のものとして、アウトサイドレバー21の外端部を押し下げる方向に回動させるドアラッチ装置としたが、プッシュプル式またはボーデンケーブル等の操作力伝達部材を用いて、アウトサイドレバー21を引き上げる方向に回動させるドアラッチ装置にも、本発明を適用することができる。
また、ドアを自動車のリヤドア、スライドドアまたはバックドアとしてもよい。