特許第6089351号(P6089351)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6089351板石パネル、板石パネルセット及び石壁の設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6089351
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】板石パネル、板石パネルセット及び石壁の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/02 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   E02D29/02 302
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-206466(P2016-206466)
(22)【出願日】2016年10月21日
【審査請求日】2016年10月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516316819
【氏名又は名称】大幸商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095740
【弁理士】
【氏名又は名称】開口 宗昭
(72)【発明者】
【氏名】今村 正三
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−348890(JP,A)
【文献】 特開2012−092555(JP,A)
【文献】 特開2000−160746(JP,A)
【文献】 特開2001−300463(JP,A)
【文献】 特開2001−280092(JP,A)
【文献】 特許第4078927(JP,B2)
【文献】 登録実用新案第3128079(JP,U)
【文献】 特開平11−336026(JP,A)
【文献】 特開2016−037710(JP,A)
【文献】 特開2005−139661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 8/00
E02D 29/02
E04B 1/76
E04B 2/86
E04F 13/08
E04G 9/00
B09B 1/00
E21D 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の肉厚の薄い単位板石と、この複数の肉厚の薄い単位板石が組み付けられる型枠と、前記型枠に対する前記複数の単位板石の取り付け手段とを有し、前記複数の単位板石の各々の仕上げ面と型枠のパネル板とを密着させて前記型枠に対して前記複数の単位板石を前記取り付け手段によって取付けると共に、前記複数の単位板石のコンクリートからの剥離を防止する剥離防止金具を前記複数の単位板石各々の仕上げ面と反対側の面(以下「コンクリート接合面」という)に取り付けてなり、接着剤によって前記複数の単位板石相互を接着してなることを特徴とする板石パネル。
【請求項2】
前記取り付け手段は、前記単位板石の取付穴及び前記パネル板の取付穴を貫通する軸部と、前記コンクリート接合面に当接可能にされるパッドと、前記パネル板に当接可能なフランジを有するフォーム体とを有し、前記軸部はその一端をパッドに螺合可能にされ、他端は前記フォーム体に螺合可能にされて、前記パッドと前記フォーム体の前記フランジとの間に単位板石及びパネル板を挟持する請求項1記載の板石パネル。
【請求項3】
前記コンクリート接合面側に鉄筋及び/又はワイヤメッシュを組み込んでなる請求項1又は請求項2記載の板石パネル。
【請求項4】
複数の肉厚の薄い単位板石と、この複数の肉厚の薄い単位板石が組み付けられる型枠と、前記型枠に対する前記複数の単位板石の取り付け手段とを有し、前記複数の単位板石の各々の仕上げ面と型枠のパネル板とを密着させて前記型枠に対して前記複数の単位板石を前記取り付け手段によって取付けると共に、前記複数の単位板石のコンクリートからの剥離を防止する剥離防止金具をコンクリート接合面に取り付けてなり、接着剤によって前記複数の単位板石相互を接着してなる一対の板石パネルを前記取り付け手段によって一定の間隔で対向して配置してなることを特徴とする板石パネルセット。
【請求項5】
前記取り付け手段は、前記単位板石の取付穴及び前記パネル板の取付穴を貫通する一対の軸部と、前記コンクリート接合面に当接可能にされるパッドと、前記パネル板に当接可能なフランジを有するフォーム体とを有し、前記軸部はその一端をパッドに螺合可能にされ、他端は前記フォーム体に螺合可能にされて、一対の前記パッドと一対の前記フォーム体の前記フランジとの間に一対の板石パネルを各々を挟持する請求項4記載の板石パネルセット。
【請求項6】
複数の肉厚の薄い単位板石と、この複数の肉厚の薄い単位板石が組み付けられる型枠と、前記型枠に対する前記複数の単位板石の取り付け手段とを有し、前記複数の単位板石の各々の仕上げ面と型枠のパネル板とを密着させて前記型枠に対して前記複数の単位板石を前記取り付け手段によって取付けると共に、前記複数の単位板石のコンクリートからの剥離を防止する剥離防止金具を前記複数の単位板石各々のコンクリート接合面に取り付けてなり、接着剤によって前記複数の単位板石相互を接着してなる板石パネルを用い、設置用基礎コンクリートを打設して躯体コンクリートを先行施工する工程と、前記躯体コンクリート上に前記板石パネルを配置する工程と、前記板石パネルを支保工により固定する工程と、前記複数の単位板石のコンクリート接合面側にコンクリートを打設する工程と、前記型枠を取り外す脱型工程とよりなることを特徴とする石壁の設置方法。
【請求項7】
複数の肉厚の薄い単位板石と、この複数の肉厚の薄い単位板石が組み付けられる型枠と、前記型枠に対する前記複数の単位板石の取り付け手段とを有し、前記複数の単位板石の各々の仕上げ面と型枠のパネル板とを密着させて前記型枠に対して前記複数の単位板石を前記取り付け手段によって取付けると共に、前記複数の単位板石のコンクリートからの剥離を防止する剥離防止金具をコンクリート接合面に取り付けてなり、接着剤によって前記複数の単位板石相互を接着してなる一対の板石パネルを取り付け手段によって一定の間隔で対向して配置してなる板石パネルセットを用い、設置用基礎コンクリートを打設して躯体コンクリートを先行施工する工程と、前記躯体コンクリート上に前記板石パネルセットを配置する工程と、前記板石パネルセットを支保工により固定する工程と、前記板石パネルセットの一対の板石パネル間にコンクリートを打設する工程と、一対の板石パネルそれぞれの型枠を取り外す脱型工程とよりなることを特徴とする石壁の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は板石パネル、板石パネルセット及び石壁の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自然石面を有する石積コンクリートブロックの製造方法としては、一般に立設する型枠内に奥行きのある自然石を配置し目地に砂を敷き込み、型枠の周壁を高くして、その後コンクリートを打設することによって自然石とコンクリートを一体化させ、厚みのある自然石面を有する石壁としていた。
しかし係る方法では、自然石が脱落しないよう十分に埋め込んだ石積コンクリートブロックを形成するためには、コンクリートブロックの肉厚を確保する必要がありそのためブロック自体の重量が重くなり、製品の移動や設置作業が困難である。
このような問題を解消するため特許文献1には自然石面を有する石積コンクリートパネルの自然石とコンクリートを強固に接着させて、パネル自体の重量を軽量化した石積みコンクリートパネルの製造方法が開示された。
係る特許文献1の製造方法では肉厚の薄い自然石100裏面に脱落防止金具300をPレスアンカー(コンクリート用タッピングネジ200)で接続固定し、底版から立設された型枠400内に自然石100の仕上げ面を揃えて下向きに配置し(図8)、差筋600を具えた石積コンクリートパネル同士を立設させ互いに対向して所定幅の空域を有するよう配置し、両者の差筋500同士を溶接固定して一体化した空域を有する構造の両面石積コンクリートパネル(図9)とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用3128079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の特許文献1による方法では、一貫して施工現場における熟練した作業員による現場作業が必要となり、生産性の向上が困難であり、また多様なニーズに応える柔軟性も有しないものであった。
本発明は以上の従来技術における問題に鑑み、熟練した作業員による現場作業は必要なく、生産性の向上が可能で、また多様なニーズに応える柔軟性も有る板石パネル、板石パネルセット及び石壁の設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の板石パネルは、複数の肉厚の薄い単位板石と、この複数の肉厚の薄い単位板石が組み付けられる型枠と、前記型枠に対する前記複数の単位板石の取り付け手段とを有し、前記複数の単位板石の各々の仕上げ面と型枠のパネル板とを密着させて前記型枠に対して前記複数の単位板石を前記取り付け手段によって取付けると共に、前記複数の単位板石のコンクリートからの剥離を防止する剥離防止金具を前記複数の単位板石各々の仕上げ面と反対側の面(以下「コンクリート接合面」という)に取り付けてなり、接着剤によって前記複数の単位板石相互を接着してなることを特徴とする板石パネル。
【0007】
さらに本発明の板石パネルセットは、複数の肉厚の薄い単位板石と、この複数の肉厚の薄い単位板石が組み付けられる型枠と、前記型枠に対する前記複数の単位板石の取り付け手段とを有し、前記複数の単位板石の各々の仕上げ面と型枠のパネル板とを密着させて前記型枠に対して前記複数の単位板石を前記取り付け手段によって取付けると共に、前記複数の単位板石のコンクリートからの剥離を防止する剥離防止金具をコンクリート接合面に取り付けてなり、接着剤によって前記複数の単位板石相互を接着してなる一対の板石パネルを前記取り付け手段によって一定の間隔で対向して配置してなることを特徴とする。
【0008】
加えて本発明の石壁の設置方法は、複数の肉厚の薄い単位板石と、この複数の肉厚の薄い単位板石が組み付けられる型枠と、前記型枠に対する前記複数の単位板石の取り付け手段とを有し、前記複数の単位板石の各々の仕上げ面と型枠のパネル板とを密着させて前記型枠に対して前記複数の単位板石を前記取り付け手段によって取付けると共に、前記複数の単位板石のコンクリートからの剥離を防止する剥離防止金具を前記複数の単位板石各々のコンクリート接合面に取り付けてなり、接着剤によって前記複数の単位板石相互を接着してなる板石パネルを用い、設置用基礎コンクリートを打設して躯体コンクリートを先行施工する工程と、前記躯体コンクリート上に前記板石パネルを配置する工程と、前記板石パネルを支保工により固定する工程と、前記複数の単位板石のコンクリート接合面側にコンクリートを打設する工程と、前記型枠を取り外す脱型工程とよりなることを特徴とする。
【0009】
さらに本発明の石壁の設置方法は、複数の肉厚の薄い単位板石と、この複数の肉厚の薄い単位板石が組み付けられる型枠と、前記型枠に対する前記複数の単位板石の取り付け手段とを有し、前記複数の単位板石の各々の仕上げ面と型枠のパネル板とを密着させて前記型枠に対して前記複数の単位板石を前記取り付け手段によって取付けると共に、前記複数の単位板石のコンクリートからの剥離を防止する剥離防止金具をコンクリート接合面に取り付けてなり、接着剤によって前記複数の単位板石相互を接着してなる一対の板石パネルを取り付け手段によって一定の間隔で対向して配置してなる板石パネルセットを用い、設置用基礎コンクリートを打設して躯体コンクリートを先行施工する工程と、前記躯体コンクリート上に前記板石パネルセットを配置する工程と、前記板石パネルセットを支保工により固定する工程と、前記板石パネルセットの一対の板石パネル間にコンクリートを打設する工程と、一対の板石パネルそれぞれの型枠を取り外す脱型工程とよりなることを特徴とする石壁の設置方法。
【発明の効果】
【0010】
以上の本発明の板石パネル、板石パネルセット及び石壁の設置方法によれば、熟練した作業員による現場作業は必要なく、生産性の向上が可能で、また多様なニーズに応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態の(a)石壁の正面図、(b)図1(a)に破線で示す領域の拡大図である。
図2図1(a)に示す石壁の縦断面図である。
図3】本発明の一実施の形態の板石パネルの側面図である。
図4】本発明の一実施の形態の板石パネルの部品の拡大図であり、(a)板石パネルを構成する前の説明図、(b)板石パネルを構成する態様を示す説明図、(c)板石パネルを構成した状態を示す説明図、である。
図5】本発明の一実施の形態の石壁の断面模式図である。
図6】本発明の他の実施の形態の石壁の断面模式図である。
図7】本発明のさらに他の実施の形態の石壁の断面模式図である。
図8】従来の石壁の製造方法を示す説明図である。
図9】従来の石壁の製造方法を示す他の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の板石パネル、板石パネルセット及び石壁の設置方法の実施の形態を詳細に説明する。
図1図2に示す様に石壁1はコンクリート2に対して複数の肉厚の薄い単位板石3を相互に密接して配置し、単位板石3の縁部3a相互を接着してなり、複数の単位板石3のコンクリート2からの剥離を防止する剥離防止金具4が複数の単位板石3各々とコンクリート2間に張設されており、単位板石3の縁部3a相互接着部に形成された取付穴5にコーキングが施されてなる。
そのコーキングの表面には単位板石3と同一素材のカバーが接着されて閉止される。
以上において取付穴5は単位板石3の縁部3a相互接着部に形成されているため石壁1全体の美観にその存在が過度の悪影響を及ぼすことはなく、またコーキングの表面に単位板石3と同一素材のカバーが接着され場合には殆ど悪影響はなくなる。
かかる石壁1は図3に示す板石パネル6を用いて構築される。
【0013】
(みかげ石板石)の設計製作及び取付パネル(型枠)制作
A 単位板石加工
先ず単位板石3の形状(パターン)、厚さ、重さ、石種、石色等、の設計を行う。係る設計内容に基づき原石の切削・研磨・形状切断加工を行い複数の同一形状の単位板石3を製作する。次いで加工された単位板石3に対して単位板石3を型枠7のパネル板8に対して固定する金具である図4に示すセパレータ9を取付るための取付穴5を形成する。
B 型枠加工
石加工プロセスにおいて得られた単位板石3の形状寸法に応じた型枠7の設計を行う。これは石加工プロセスにおいて得られた単位板石3を複数整列させて配置することを予定した形状として形成する。
次に設計に応じた型枠7に単位板石3を整列配置する位置に対応した位置であって、単位板石3の取付穴5に対応した位置に、セパレータ9によって単位板石3を取り付けるための取付穴10を型枠7のパネル板8に形成する。次に複数の単位板石3の仕上げ面11をパネル板8表面に密着させる態様で複数の単位板石3をパネル板8表面上に整列配置する。その状態で単位板石3の仕上げ面11と反対側の面(以下「コンクリート接合面」という)12には剥離防止金具4を取り付ける。一方、接着剤により複数の単位板石3間を接着し、その複数の単位板石3相互間の接着部にセメント流出を防ぐためのコーキングを行う。
【0014】
一方、単位板石3のコンクリート接合面12に鉄筋又はワイヤメッシュ13を組み込む。さらに型枠7のパネル板8に移動用吊金具14を取り付する。これによって図5及び図6に示す様に、本実施の形態の板石パネル6が形成される。
【0015】
以上において型枠7のパネル板8表面に対する単位板石3の取り付けは、図4に示すセパレータ9を用いて行うことができる。
図4に示す様にセパレータ9はセパレータ軸15の両端に一対のパッド16を螺合し、さらに各パッド16の外側に一対の軸部17の一端を螺合し、その一対の軸部17の各他端に一対のフォーム体18を螺合可能にしてなる。フォーム体18の各パッド16側の端部にはフランジ18aが一体に形成される。
係るセパレータ9を用い、単位板石3の取付穴5及びパネル板8の取付穴10を貫通させて軸部17の一端をパッド16に螺合し、軸部17の他端はフォーム体18に螺合して、パッド16とフォーム体18のフランジ18aとの間に単位板石3及びパネル板8を挟持する。なおその際、パッド16側に単位板石3が配置され、フォーム体18のフランジ18a側にパネル板8が配置される。
【0016】
次に本実施の形態の板石パネルセット19の加工プロセスを説明する。
図7に示す様に、一対の板石パネル6を配置し、その一対の板石パネル6をセパレータ9によって相互間の位置決めを行い、相互間の位置を固定する。
板石パネルセット19の組み付けにあたっては、一対の板石パネル6の単位板石3を内側とし、パネル板8を外側とする配置で、単位板石3の取付穴5及びパネル板8の取付穴10を貫通させて各軸部17の一端を各パッド16に螺合し、各軸部17の他端にフォーム体18を螺合することによって、各フォーム体18の各フランジ18aと各パッド16との間に単位板石3及びパネル板8を挟持する。その結果、各フランジ18a側にパネル板8が位置し、各パッド16側に単位板石3が位置する態様で、一対の板石パネル6はセパレータ軸15を調整して設定される間隔をおいて保持される。
【0017】
これによって本実施の形態の板石パネルセット19の工場における加工が完了し、出荷することによって所要の施工現場に搬送することができる。
【0018】
以下に以上の板石パネル6若しくは板石パネルセット19を用いて図5図7に示す実施の形態の石壁1の現場施工について説明する。
板石パネル6(図5図6)若しくは板石パネルセット19(図7)を製作した工場から、所要の現場へ搬送する。搬送にあたっては、移動用吊金具14を用いてクレーン車等によって板石パネル6若しくは板石パネルセット19を吊下して取扱い、搬送車に積み込み搬送する。搬送された現場では、移動用吊金具14を用いて小型クレーンによって現場の配置作業員によって配置・取付作業を行う。
【0019】
先ず設置用基礎コンクリートを石壁設置予定地点に打設して、躯体コンクリート20を先行施工する。
先行施工された基礎上に板石パネル6若しくは板石パネルセット19を順次取付する。
取り付けされた板石パネル6若しくは板石パネルセット19に工場で既に取り付けられた鉄筋又はワイヤメッシュ13の状況を確認し、その後、ジョイント石を取付て、順次板石パネル6若しくは板石パネルセット19を固定する。
【0020】
次いで固定された板石パネル6若しくは板石パネルセット19を支保工21により堅牢に取付固定し取付完了する。次にコンクリート打設の準備を行い、図5及び図6に示す態様では、板石パネル6と型枠7との間にコンクリート打設作業を行う。また図7に示す態様では、板石パネルセット19を構成する一対の板石パネル6間にコンクリート打設作業を行う。
【0021】
コンクリート打設後、養生して、固化を待つ。コンクリートが固化すると剥離防止金具4によって板石パネル6若しくは板石パネルセット19の各単位板石3は固化したコンクリートに強固に接合された状態となる。
コンクリート固化後、脱型作業を行う。先ず外面支保工21を取り外し、セパレータ9の軸部17、フォーム体18を取り外す。さらに型枠7を取り外した後、単位板石3の仕上げ面11の清掃を行い、さらにセパレータ9の軸部17の穴のコーキングを行い、セメント及びモルタルで化粧する。その後、養生した後、不要部分を水洗いして石壁の完成となる。
【符号の説明】
【0022】
1・・・石壁、7・・・型枠、3・・・単位板石、5・・・取付穴、9・・・セパレータ、10・・・取付穴、8・・・パネル板、11・・・仕上げ面、12・・・コンクリート接合面、4・・・剥離防止金具。
【要約】
【課題】熟練した作業員による現場作業は必要なく、生産性の向上が可能で、また多様なニーズに応える柔軟性も有る板石パネル、板石パネルセット及び石壁の設置方法を提供する。
【解決手段】設計に応じた型枠7に単位板石3を整列配置する位置に対応した位置であって、単位板石3の取付穴5に対応した位置に、セパレータ9によって単位板石3を取り付けるための取付穴10を型枠7のパネル板8に形成する。次に複数の単位板石3の仕上げ面11をパネル板8表面に密着させる態様で複数の単位板石3をパネル板8表面上に整列配置する。その状態で単位板石3のコンクリート接合面12とには剥離防止金具4を取り付ける。一方、接着剤により複数の単位板石3間を接着し、その複数の単位板石3相互間の接着部に形成された取付穴5にセメント流出を防ぐためのコーキングを行い石壁1の構築を行う。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9