(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
地図情報が記憶された記憶手段を有するサーバと、このサーバとの通信が可能とされたナビゲーション装置とを備え、前記ナビゲーション装置が、前記通信によって前記サーバから前記地図情報を取得可能とされたナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーション装置は、
現在地を特定する現在地特定手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記現在地特定手段によって特定された前記現在地と前記目的地設定手段によって設定された前記目的地とを前記通信によって前記サーバに通知して、前記設定された目的地までの経路の情報を含めた当該経路の周辺の領域に属する地図情報を前記サーバに要求し、この要求に応答して前記サーバから前記通信によって提供された当該地図情報を取得する地図情報取得手段と
を備え、
前記サーバは、
前記記憶手段に記憶された前記地図情報ならびに前記地図情報取得手段によって通知された前記特定された現在地および前記設定された目的地に基づいて、当該設定された目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
この経路探索手段によって探索された前記経路の周辺の領域であって前記ナビゲーション装置に取得させるべき地図情報が属する地図情報取得対象領域を設定する地図情報取得対象領域設定手段と、
前記記憶手段に記憶された地図情報における前記地図情報取得対象領域設定手段によって設定された前記地図情報取得対象領域に属する前記地図情報を、前記通信によって前記ナビゲーション装置に提供する地図情報提供手段と
を備え、
前記地図情報取得対象領域設定手段は、
前記経路探索手段によって探索された前記経路の周辺の所定範囲の領域の地図情報量に応じて、前記地図情報取得対象領域の範囲を変更可能とされており、
前記所定範囲の領域の地図情報量が所定の第1の閾値以上である場合に、前記所定範囲の領域を前記地図情報取得対象領域に設定し、
前記地図情報提供手段は、
前記所定範囲の領域が前記地図情報取得対象領域に設定された場合であって、当該所定範囲の領域の地図情報量が前記ナビゲーション装置における地図情報の記憶容量を超える場合には、当該地図情報取得対象領域に属する地図情報を、前記経路に対して当該経路の進行方向と平行に広がる形状の領域であって前記記憶容量以下の情報量分ずつの領域として当該経路の進行方向と平行に複数回に分割して提供すること
を特徴とするナビゲーションシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した「通信型」、「ハイブリッド型」のナビゲーション装置においては、実世界を忠実に反映した地図表示や経路誘導等を行う観点からは、サーバが保有する最新の地図データをできる限り利用することが望ましいが、その一方で、通信料が従量制に移行していることを踏まえて、通信料を極力抑えることが求められている。
【0007】
しかしながら、通信料を抑えようとするために地図データのダウンロード対象エリアを一律に制限した場合には、元々地図データのデータ量が少ない地域においては、ダウンロード対象エリアが制限されることによってダウンロードされる地図データが更に少なくなってしまい、ダウンロードされた地図データをナビゲーション装置側で有効に利用することができないといった問題が生じる虞がある。
【0008】
なお、特許文献1には、地図データのダウンロード量を可変とする技術が開示されているが、可変とするために基づく事項がナビゲーション装置の移動量であるため、前述した地図データのデータ量が元々少ない地域における問題を意識したものではない。
【0009】
そこで、本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、地図情報の取得対象エリアを制限することによる通信料の削減と、必要な情報量の最新地図情報の有効利用とを両立させることができるナビゲーションシステムおよび地図情報取得方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明に係るナビゲーションシステムは、地図情報が記憶された記憶手段を有するサーバと、このサーバとの通信が可能とされたナビゲーション装置とを備え、前記ナビゲーション装置が、前記通信によって前記サーバから前記地図情報を取得可能とされたナビゲーションシステムであって、前記ナビゲーション装置は、現在地を特定する現在地特定手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、前記現在地特定手段によって特定された前記現在地と前記目的地設定手段によって設定された前記目的地とを前記通信によって前記サーバに通知して、前記設定された目的地までの経路の情報を含めた当該経路の周辺の領域に属する地図情報を前記サーバに要求し、この要求に応答して前記サーバから前記通信によって提供された当該地図情報を取得する地図情報取得手段とを備え、前記サーバは、前記記憶手段に記憶された前記地図情報ならびに前記地図情報取得手段によって通知された前記特定された現在地および前記設定された目的地に基づいて、当該設定された目的地までの経路を探索する経路探索手段と、この経路探索手段によって探索された前記経路の周辺の領域であって前記ナビゲーション装置に取得させるべき地図情報が属する地図情報取得対象領域を設定する地図情報取得対象領域設定手段と、前記記憶手段に記憶された地図情報における前記地図情報取得対象領域設定手段によって設定された前記地図情報取得対象領域に属する前記地図情報を、前記通信によって前記ナビゲーション装置に提供する地図情報提供手段とを備え、前記地図情報取得対象領域設定手段は、前記経路探索手段によって探索された前記経路の周辺の所定範囲の領域の地図情報量に応じて、前記地図情報取得対象領域の範囲を変更可能とされており、前記所定範囲の領域の地図情報量が所定の第1の閾値以上である場合に、前記所定範囲の領域を前記地図情報取得対象領域に設定し、前記地図情報提供手段は、前記所定範囲の領域が前記地図情報取得対象領域に設定された場合であって、当該所定範囲の領域の地図情報量が前記ナビゲーション装置における地図情報の記憶容量を超える場合には、当該地図情報取得対象領域に属する地図情報を、前記経路
に対して当該経路の進行方向と平行に広がる形状の領域であって前記記憶容量以下の情報量分ずつ
の領域として当該経路の進行方向と平行に複数回に分割して、経路上の自車位置の変化(目的地への進行)に応じた好適なタイミングで、各タイミングに応じた新たな分割地図データを随時配信して提供することを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る地図情報取得方法は、ナビゲーション装置において、地図情報を保有するサーバから通信によって地図情報を取得するための地図情報取得方法であって、前記ナビゲーション装置によって現在地を特定する第1のステップと、 前記第1のステップにおいて特定された前記現在地と前記第2のステップにおいて設定された前記目的地とを前記通信によって前記ナビゲーション装置から前記サーバに通知して、前記設定された目的地までの経路の情報を含めた当該経路の周辺の領域に属する地図情報を前記サーバに要求する第3のステップと、この第3のステップにおける要求に応答して前記サーバから前記通信によって提供された前記地図情報を、前記ナビゲーション装置によって取得する第4のステップとを含み、前記第3のステップと前記第4のステップとの間には、前記サーバによって、当該サーバが保有する前記地図情報ならびに前記第3のステップにおいて通知された前記特定された現在地および前記設定された目的地に基づいて、前記設定された目的地までの経路を探索する第5のステップと、この第5のステップにおいて探索された前記経路の周辺の領域であって前記ナビゲーション装置に取得させるべき地図情報が属する地図情報取得対象領域を前記サーバによって設定する第6のステップと、前記サーバが保有する地図情報における前記第6のステップにおいて設定された前記地図情報取得対象領域に属する地図情報を、前記サーバから前記ナビゲーション装置に提供する第7のステップとが含まれており、前記第6のステップは、前記第5のステップにおいて探索された前記経路の周辺の所定範囲の領域の地図情報量に応じて、前記地図情報取得対象領域の範囲を変更可能とされたステップであり、前記所定範囲の領域の地図情報量が所定の第1の閾値以上であるか否かを判定する第6−1のステップと、この第6−1のステップにおいて肯定的な判定結果が得られた場合に、前記所定範囲の領域を前記地図情報取得対象領域に設定する第6−2のステップとを含み、前記第7のステップは、前記地図情報取得対象領域に設定された前記所定範囲の領域の地図情報量が前記ナビゲーション装置における地図情報の記憶容量を超えるか否かを判定する第7−1のステップと、この第7−1のステップにおいて肯定的な判定結果が得られた場合に、前記地図情報取得対象領域に属する地図情報を、前記経路
に対して当該経路の進行方向と平行に広がる形状の領域であって前記記憶容量以下の情報量分ずつ
の領域として当該経路の進行方向と平行に複数回に分割して、経路上の自車位置の変化(目的地への進行)に応じた好適なタイミングで、各タイミングに応じた新たな分割地図データを随時配信して提供する第7−2のステップとを含むことを特徴としている。
【0012】
そして、このような本発明によれば、目的地までの経路の周辺の所定範囲の領域の地図情報量に応じて地図情報取得対象領域を変更可能とされていることによって、地図情報を過不足無く取得することが可能な地図情報取得対象領域を設定することができるとともに、所定範囲の領域の地図情報量がナビゲーション装置の記憶容量を超える場合には、当該地図情報を前記経路
に対して当該経路の進行方向と平行に広がる形状の領域であって前記記憶容量以下の情報量分ずつ
の領域として当該経路の進行方向と平行に複数回に分割して、経路上の自車位置の変化(目的地への進行)に応じた好適なタイミングで、各タイミングに応じた新たな分割地図データを随時配信して取得することができるので、記憶容量が少ないナビゲーション装置に有効に適用することができ、通信料を抑えつつ必要な情報量の最新地図情報を有効に利用することができる。
【0027】
さらに、本発明のナビゲーションシステムにおいて、前記地図情報量は、POIの数および道路の数の少なくとも一方を含んでもよい。
【0028】
そして、このような構成によれば、地図情報量として把握が容易な情報を採用することができるので、地図情報取得対象領域を簡便に設定することができ、ひいては、地図情報の取得を迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、地図情報の取得対象エリアを制限することによる通信料の削減と、必要な情報量の最新地図情報の有効利用とを両立させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1実施形態)
(ナビゲーションシステム)
以下、本発明に係るナビゲーションシステムの第1実施形態について、
図1乃至
図4を参照して説明する。
【0032】
図1は、本実施形態におけるナビゲーションシステム1を示す構成図である。
【0033】
図1に示すように、ナビゲーションシステム1は、大別して、車両に搭載された「通信型」または「ハイブリッド型」のナビゲーション装置2と、このナビゲーション装置2にインターネット等の通信網4を介して通信接続可能とされたサーバ3とによって構成されている。
【0034】
まず、ナビゲーション装置2について詳述すると、
図1に示すように、ナビゲーション装置2は、ナビCPU5を有している。このナビCPU5は、所定の実行プログラムを実行することによって、ナビゲーションのための種々の処理や制御を行うようになっている。
【0035】
また、
図1に示すように、ナビCPU5には、ナビ側通信部7が接続されている。このナビ側通信部7は、携帯電話回線や無線LAN等を経由して接続されたインターネット網等の通信網4を介したサーバ3との通信によって、サーバ3から地図データを受信可能とされている。
【0036】
さらに、
図1に示すように、ナビCPU5には、ナビ側地図記憶部8が接続されている。このナビ側地図記憶部8には、ナビ側通信部7によってサーバ3から受信された地図データが記憶されるようになっている。このナビ側地図記憶部8は、フラッシュメモリやSDメモリ等によって実現してもよい。
【0037】
ここで、地図データは、例えば、道路データフレーム、背景データフレーム、名称データフレーム、経路誘導データフレーム、経路計算データフレーム、地点情報フレームおよび音声データフレーム等の各種の物理データフレームによって構成されている。
【0038】
これらのうち、道路データフレームは、道路地図の表示等に用いられるようになっている。この道路データフレームには、リンク列データレコードが格納されており、このリンク列データレコードは、リンク列ヘッダ、リンク列の形状を示すリンク列形状情報、他のリンク列との関係を示すノード・リンク接続情報、ノード付加情報(リンクID、幅員・車線情報、道路名称等)、標高情報および通行規制情報等によって構成されている。
【0039】
また、背景データフレームは、背景地図の表示等に用いられるようになっている。この背景データフレームには、表示クラスごとにまとめられた図形データリスト列が格納されており、更に、各図形データリストには、図形(線または面)の形状を表現するための要素点座標情報(始点座標、オフセット座標等)が格納されている。
【0040】
さらに、名称データフレームは、地図上への文字列の表示等に用いられるようになっている。この名称データフレームには、表示クラスごとにまとめられた名称データリストが格納されており、この名称データリストは、名称データレコード列によって構成されている。各名称データレコードは、地図上に文字を表示するための文字データに相当する。この名称データフレームを用いて表示される文字列は、例えば、建物名、公園名、行政区画名および河川名等の表示クラスごとの表示対象地物の名称となる。
【0041】
さらにまた、経路誘導データフレームは、経路誘導に用いられるようになっており、この経路誘導データフレームには、誘導データフレーム、文字列データフレーム、形状データフレームおよびパターンデータフレーム等が格納されている。ここで、誘導データフレームには、交差点名称、道路名称、方面名称、スポットガイドおよび方向ガイド等が格納されている。また、文字列データフレームには、誘導データフレームと関連した実体の表示文字、発音文字およびアクセント情報等が格納されている。さらに、形状データフレームには、誘導データフレームと関連した実体を描画するための形状が格納されている。さらにまた、パターンデータフレームには、案内のために交差点の進入方向に応じた画像を描画するための実データが格納されている。
【0042】
また、経路計算データフレームは、目的地までの最適経路の計算等の経路計算に用いられるようになっており、この経路計算データフレームには、ノードデータフレーム、リンクデータフレーム、リンクコストデータフレーム、上位レベルノード・リンク対応データフレームおよびノード座標データフレーム等が格納されている。ここで、ノードデータフレームには、例えば、道路種別を複数まとめたランクの単位でノードデータが格納されている。また、リンクデータフレームには、リンクレコード、規制レコードおよびリンク間コストレコード等が格納されている。さらに、リンクコストデータフレームには、リンクIDやリンク自身のコスト等が格納されている。さらにまた、上位レベルノード・リンク対応データフレームには、当該レベルを基準とした上位のノードおよびリンクを特定する情報が格納されている。また、ノード座標データフレームには、ノードの座標が格納されている。
【0043】
さらに、地点情報フレームには地点情報が格納されている。この地点情報は、目的地または経由地の候補となる地点の検索や、地図上へのPOI(Points Of Interests)のアイコン(換言すれば、ランドマーク)の表示等に用いられるようになっている。この地点情報は、具体的には、地点の名称、位置(経緯度)、住所、郵便番号、電話番号、種別およびPOIのアイコン等によって構成されている。
【0044】
また、
図1に示すように、ナビCPU5には、ナビ側主記憶部10が接続されている。このナビ側主記憶部10は、ナビCPU5の実行プログラムの格納や、ナビCPU5の処理結果の一時的な保存等に用いられるようになっている。このナビ側主記憶部10は、ROMやRAM等によって実現してもよい。
【0045】
さらに、
図1に示すように、ナビCPU5には、衛星航法受信機11が接続されている。この衛星航法受信機11は、図示しない測位衛星(例えば、GPS衛星)から配信された軌道および時刻等に関する情報を含む測位信号を受信し、受信した測位信号をナビCPU5に入力するようになっている。
【0046】
さらにまた、
図1に示すように、ナビCPU5には、画像インターフェース(I/F)12を介してディスプレイ14が接続されている。このディスプレイ14には、ナビCPU5によって生成された各種の画像がナビCPU5によって出力されて表示されるようになっている。
【0047】
また、
図1に示すように、ナビCPU5には、音声インターフェース(I/F)17を介してスピーカ18が接続されている。このスピーカ18からは、ナビCPU5によって各種の音声が出力されるようになっている。
【0048】
さらに、
図1に示すように、ナビCPU5には、ユーザインターフェース(I/F)19を介して入力操作部20が接続されている。ユーザは、この入力操作部20を用いることによって、ナビCPU5に対してナビゲーションのための種々の入力操作を行うことが可能とされている。この入力操作部20は、ディスプレイ14のタッチパネルやリモコン等であってもよい。
【0049】
次に、ナビCPU5について更に詳述すると、
図2に示すように、ナビCPU5は、その機能ブロックの1つとして、現在地特定手段としての自車位置算出部22を有している。この自車位置算出部22には、衛星航法受信機11から出力された測位信号が入力されるようになっている。そして、自車位置算出部22は、入力された測位信号に基づいて、現在地としての自車位置を絶対座標として算出する衛星航法を行うようになっている。なお、自車位置算出部22は、ジャイロセンサや車速センサ等からなる不図示の自律航法センサの検出結果に基づいて、自車位置を前回の測位位置からの相対変化分として算出する自律航法を行うようにしてもよい。
【0050】
また、
図2に示すように、ナビCPU5は、その機能ブロックの1つとして、目的地設定手段としての目的地設定部23を有している。この目的地設定部23は、目的地を設定するための各種の操作画面をディスプレイ14に表示した上で、表示された操作画面に対する入力操作部20の操作結果に応じた目的地を設定するようになっている。
【0051】
さらに、
図2に示すように、ナビCPU5は、その機能ブロックの1つとしてのナビゲーション部24を有している。このナビゲーション部24は、ナビ側地図記憶部8に記憶された地図データに基づいて、目的地設定部23によって設定された目的地までの経路誘導等のナビゲーション処理を行うようになっている。なお、経路誘導は、交差点拡大図、ジャンクション拡大図および地図上への経路の強調表示画像等のディスプレイ14への表示や、スピーカ18を介した交差点右左折音声案内等によって行うようにしてもよい。ただし、ナビゲーション処理は、経路誘導に限らず、地図表示、周辺施設検索および経路再探索等の処理を含んでもよい。
【0052】
さらにまた、
図2に示すように、ナビCPU5は、その機能ブロックの1つとして、地図情報取得手段としての地図データ取得処理部25を有している。この地図データ取得処理部25は、目的地設定部23によって目的地が設定されたことを契機として、ナビ側通信部7にサーバ3との通信を行わせて、サーバ3から地図データを取得(ダウンロード)するようになっている。すなわち、地図データ取得処理部25は、目的地設定部23によって目的地が設定されたことを検知すると、ナビ側通信部7を利用して、サーバ3に対して、自車位置算出部22によって算出された最新の自車位置と、目的地設定部23によって設定された目的地とを通知して、設定された目的地までの経路のデータを含めた当該経路の周辺の領域に属する地図データを要求する。そして、地図データ取得処理部25は、この要求に応答してサーバ3から配信された地図データがナビ側通信部7によって受信されると、この受信された地図データをナビ側通信部7から取得する。
【0053】
そして、このようにしてサーバ3から取得された地図データは、地図データ取得処理部25によってナビ側地図記憶部8に記憶された後に、ナビゲーション部24によるナビゲーション処理に利用されるようになっている。
【0054】
次に、サーバ3について詳述すると、
図1に示すように、サーバ3は、サーバ側CPU27を有している。このサーバ側CPU27は、所定の実行プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置2への地図データの配信(提供)のための種々の処理や制御を行うようになっている。
【0055】
図1に示すように、サーバ側CPU27には、サーバ側通信部28が接続されている。このサーバ側通信部28は、ナビ側通信部7との間での通信網4を介した通信によって、ナビゲーション装置2への地図データの配信を行うようになっている。
【0056】
また、
図1に示すように、サーバ側CPU27には、サーバ側地図記憶部29が接続されている。このサーバ側地図記憶部29には、広範囲(例えば、日本全国)にわたる領域の最新の地図データが記憶されている。
【0057】
さらに、
図1に示すように、サーバ側CPU27には、サーバ側主記憶部30が接続されている。このサーバ側主記憶部30は、サーバ側CPU27の実行プログラムの格納や、サーバ側CPU27の処理結果の一時的な保存等に用いられるようになっている。このサーバ側主記憶部30は、ROMやRAM等によって実現してもよい。
【0058】
次に、サーバ側CPU27について更に詳述すると、
図3に示すように、サーバ側CPU27は、その機能ブロックの1つとして、経路探索手段としての経路探索部32を有している。この経路探索部32は、地図データ取得処理部25からの地図データの要求を契機として、サーバ側地図記憶部29に記憶された地図データと、当該要求の際に地図データ取得処理部25から通知された自車位置および目的地とに基づいて、目的地までの経路を探索するようになっている。この経路の探索には、ダイクストラ法等の公知の最適経路計算方法を利用してもよい。
【0059】
また、
図3に示すように、サーバ側CPU27は、その機能ブロックの1つとして、地図情報取得対象領域設定手段としての地図データ取得対象領域設定部33を有している。この地図データ取得対象領域設定部33は、経路探索部32によって経路が探索されたことを契機として、当該探索された経路の周辺の領域であってナビゲーション装置2に取得させるべき地図データが属する領域である地図データ取得対象領域を設定するようになっている。
【0060】
さらに、
図3に示すように、サーバ側CPU27は、その機能ブロックの1つとして、地図情報提供手段としての地図データ提供処理部34を有している。この地図データ提供処理部34は、地図データ取得対象領域設定部33によって地図データ取得対象領域が設定されたことを契機として、サーバ側地図記憶部29から、当該設定された地図データ取得対象領域に属する地図データを読み出すようになっている。そして、地図データ提供処理部34は、当該読み出した地図データを、サーバ側通信部28を利用してナビゲーション装置2に配信するようになっている。
【0061】
そして、本実施形態において、地図データ取得対象領域設定部33は、経路探索部32によって探索された経路の周辺の所定範囲の領域(以下、地図データ量判定対象領域と称する)の地図データ量に応じて、地図データ取得対象領域の範囲を変更可能とされている。なお、地図データ量判定対象領域は、経路からこの経路の道なり方向に対して左方向および右方向に所定の等距離ずつ進んだ地点までの領域、換言すれば、経路に対して左右に等距離ずつ広がる経路に沿った帯状の領域であってもよい。この場合に、地図データ取得対象領域の変更は、当該等距離を変更することによって行ってもよい。また、地図データ量は、POIの数および道路(リンク)の数の双方または一方であってもよい。
【0062】
ここで、本実施形態における地図データ取得対象領域設定部33の具体的な動作例は、
図4に示すものとなる。
【0063】
すなわち、地図データ取得対象領域設定部33は、地図データ量判定対象領域(同図におけるA、以下同様)の地図データ量が、所定の第1の閾値以上かつ所定の第2の閾値以下である場合には、
図4(a)に示すように、地図データ量判定対象領域を地図データ取得対象領域(同図におけるB、以下同様)に設定するようになっている。
【0064】
一方、地図データ取得対象領域設定部33は、地図データ量判定対象領域の地図データ量が、第1の閾値未満である場合には、
図4(b)に示すように、地図データ量判定対象領域よりも拡大された範囲の領域を地図データ取得対象領域に設定するようになっている。
【0065】
また、地図データ取得対象領域設定部33は、地図データ量判定対象領域の地図データ量が、第2の閾値超過である場合には、
図4(c)に示すように、地図データ量判定対象領域よりも縮小された範囲の領域を地図データ取得対象領域に設定するようになっている。
【0066】
このような構成によれば、地図データ量判定対象領域の地図データ量に応じて地図データ取得対象領域を変更可能とされていることによって、地図データを過不足無く取得することが可能な地図データ取得対象領域を設定することができるので、通信料を抑えつつ必要なデータ量の最新地図データを有効に利用することができる。すなわち、地図データ量判定対象領域の地図データ量が不十分な場合には、地図データ取得対象領域を拡大することができるので、十分なデータ量の最新地図データを確保することができる。一方、地図データ量判定対象領域の地図データ量が十分な場合には、地図データ取得対象領域を拡大せずに地図データ量判定対象領域をそのまま地図データ取得対象領域に設定することができるので、通信料の抑制に好適な地図データ取得対象領域の設定を効率良く行うことができる。また、地図データ量判定対象領域の地図データ量が過剰な地域については、地図データ量判定対象領域を縮小することによって通信料を確実に抑えることができる。
【0067】
なお、前記拡大された範囲の領域は、
図4(b)に示すように、地図データ量判定対象領域に対して、当該地図データ量判定対象領域内に存在しない特定のPOIが少なくとも1つ含まれるようになるまで拡大された範囲の領域であってもよい。この場合に、特定のPOIとしては、ナビゲーション装置2側で入力操作部20の操作に応じて設定(例えば、POIアイコン表示設定)されて、地図データ取得処理部25によって地図データの要求にあわせてサーバ3側に通知されたものが用いられるように構成してもよい。特定のPOIは、例えば、ガソリンスタンド等であってもよい。
【0068】
このような構成によれば、地図データ量判定対象領域の地図データ量が不十分な地域についても、特定のPOIの最新データを有効利用することができる。
【0069】
また、前記拡大された範囲の領域は、前記地図データ量判定対象領域に対して、当該拡大された範囲の領域の地図データ量が第1の閾値となるまで拡大された範囲の領域であってもよい。
【0070】
このような構成によれば、地図データ量判定対象領域の地図データ量が不十分な地域についても、十分なデータ量の最新地図データを有効利用することができる。
【0071】
さらに、前記縮小された範囲の領域は、地図データ量判定対象領域に対して、当該縮小された範囲の領域の地図データ量が第2の閾値となるまで縮小された範囲の領域であってもよい。
【0072】
このような構成によれば、地図データ取得対象領域の縮小を最小限に抑えることによって、利用可能な最新地図データが著しく制限されてしまうことを防止することができる。
【0073】
さらにまた、第1の閾値としては、十分なデータ量とみなすことができる好適な値を選択すればよい。また、第2の閾値は、ナビ側地図記憶部8の記憶容量と同値またはそれよりも小さい値であってもよい。ただし、この場合には、地図データ取得対象領域設定部33は、地図データ要求時におけるナビゲーション装置2側からの通知等によって、ナビ側地図記憶部8の記憶容量を予め知得しておく必要がある。
【0074】
このような構成によれば、ナビ側地図記憶部8の記憶容量を超えた地図データを取得しないようにすることができるので、記憶容量が少ない「通信型」、「ハイブリッド型」のナビゲーション装置2に好適に適用することができる。
【0075】
(地図情報取得方法)
次に、前述したナビゲーションシステム1を適用した本発明に係る地図情報取得方法の第1実施形態について、
図5を参照して説明する。
【0076】
なお、便宜上、初期状態においては、ナビゲーション装置2において、ナビゲーションのアプリケーションが入力操作部20の操作等に応じて起動されたものとする。
【0077】
そして、初期状態から、まず、
図5のステップ1(ST1)において、自車位置算出部22による自車位置の算出を開始する。この自車位置の算出は、衛星航法受信機11による測位信号の受信周期等の所定の時間間隔おきに繰り返し行う。
【0078】
次いで、ステップ2(ST2)において、地図データ取得処理部25により、目的地設定部23による目的地の設定が行われたか否かを判定する。そして、ステップ2において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ3(ST3)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ2(ST2)を繰り返す。
【0079】
次いで、ステップ3(ST3)において、地図データ取得処理部25により、サーバ3に対して、目的地設定部23によって設定された目的地までの経路のデータを含めた当該経路の周辺の領域に属する地図データの要求を行う。このとき、地図データ取得処理部25は、地図データの要求に併せて、自車位置算出部22によって算出された最新の自車位置の情報および目的地の情報をサーバ3に通知する。
【0080】
次いで、ステップ4(ST4)において、経路探索部32により、ステップ3(ST3)における要求を契機として、ステップ3(ST3)において通知された目的地までの経路を探索する。
【0081】
次いで、ステップ5(ST5)において、地図データ取得対象領域設定部33により、ステップ4において探索された経路に基づいて、地図データ量判定対象領域を、予め設定された特定方法(例えば、経路から左右に所定の等距離ずつ延びた領域を求める)にしたがって特定する。
【0082】
次いで、ステップ6(ST6)において、ステップ5(ST5)において特定された地図データ量判定対象領域の地図データ量を算出する。
【0083】
次いで、ステップ7(ST7)において、地図データ取得対象領域設定部33により、ステップ6(ST6)において算出された地図データ量が、第1の閾値以上であるか否かを判定する。そして、ステップ7(ST7)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ8(ST8)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ11(ST11)に進む。
【0084】
ここで、ステップ8(ST8)に進んだ場合には、地図データ取得対象領域設定部33により、ステップ6(ST6)において算出された地図データ量が、第2の閾値以下であるか否かを判定する。そして、ステップ8(ST8)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ9(ST9)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ10(ST10)に進む。
【0085】
一方、ステップ11(ST11)に進んだ場合には、地図データ取得対象領域設定部33により、地図データ量判定対象領域よりも拡大された範囲の領域を地図データ取得対象領域に設定して、ステップ12(ST12)に進む。
【0086】
次いで、ステップ9(ST9)に進んだ場合には、地図データ取得対象領域設定部33により、地図データ量判定対象領域を地図データ取得対象領域に設定して、ステップ12(ST12)に進む。
【0087】
また、ステップ10(ST10)に進んだ場合には、地図データ取得対象領域設定部33により、地図データ量判定対象領域よりも縮小された範囲の領域を地図データ取得対象領域に設定して、ステップ12(ST12)に進む。
【0088】
次いで、ステップ12(ST12)において、地図データ提供処理部34により、ステップ9(ST9)〜ステップ11(ST11)のいずれかにおいて設定された地図データ取得対象領域に属する地図データを、ナビゲーション装置2に配信(応答)する。
【0089】
次いで、ステップ13(ST13)において、地図データ取得処理部25により、ステップ12(ST12)において配信された地図データを取得して、処理を終了する。
【0090】
(第2実施形態)
(ナビゲーションシステム)
次に、本発明に係るナビゲーションシステムの第2実施形態について、第1実施形態との差異を中心に説明する。
【0091】
なお、本実施形態におけるナビゲーションシステムは、第1実施形態と基本的構成が同様であるので、第1実施形態と同一の符号を用いて説明する。
【0092】
本実施形態におけるナビゲーションシステム1の第1実施形態との相違点は、地図データ取得対象領域設定部33および地図データ提供処理部34の動作にある。
【0093】
すなわち、本実施形態において、地図データ取得対象領域設定部33は、地図データ量判定対象領域の地図データ量が第1の閾値以上である場合には、第2の閾値との大小関係を問わずに、地図データ量判定対象領域を地図データ取得対象領域に設定するようになっている。
【0094】
また、本実施形態において、地図データ提供処理部34は、地図データ量判定対象領域が地図データ取得対象領域に設定された場合であって、地図データ量判定対象領域の地図データ量がナビ側地図記憶部8の記憶容量を超える場合には、当該地図データ取得対象領域に属する地図データを、当該記憶容量以下のデータ量分ずつ複数回に分割して提供するようになっている。この場合に、地図データ提供処理部34は、経路上の自車位置の変化(目的地への進行)に応じた好適なタイミングで、各タイミングに応じた新たな分割地図データを随時配信するようにしてもよい。
【0095】
このような構成によれば、ナビゲーション装置2の記憶容量を超えた地図データを取得しないようにすることができるので、記憶容量が少ない「通信型」、「ハイブリッド型」のナビゲーション装置2に好適に適用することができる。
(地図情報取得方法)
次に、本発明に係る地図情報取得方法の第2実施形態について、第1実施形態との差異を中心に、
図6および
図7を参照して説明する。
【0096】
図6に示すように、本実施形態においては、
図5(第1実施形態)とは異なり、ステップ8(ST8)およびステップ10(ST10)の工程を含んでおらず、ステップ7(ST7)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ9(ST9)に進む。
【0097】
また、
図6のステップ12’(ST12’)は、地図データ取得対象領域に属する地図データをナビゲーション装置2に提供する工程である点では、
図5のステップ12(ST12)と同様であるが、具体的な内容が異なっている。
【0098】
すなわち、
図7に示すように、ステップ12’(ST12’)は、ステップ12’−1(ST12’−1)〜ステップ12’−4(ST12’−4)によって構成されている。
【0099】
具体的には、ステップ12’−1(ST12’−1)においては、地図データ提供処理部34により、ステップ9(ST9)およびステップ11(ST11)のいずれを経たかを判定する。そして、ステップ9(ST9)を経た場合には、ステップ12’−2(ST12’−2)に進み、ステップ11(ST11)を経た場合には、ステップ12’−3(ST12’−3)に進む。
【0100】
ここで、ステップ12’−3(ST12’−3)に進んだ場合には、地図データ提供処理部34により、地図データ取得対象領域に属する地図データを1回で配信して、ステップ13(ST13)に進む。
【0101】
一方、ステップ12’−2(ST12’−2)に進んだ場合には、地図データ提供処理部34により、地図データ取得対象領域の地図データ量が、通信等によって予め知得されたナビ側地図記憶部8の記憶容量以下であるか否かを判定する。そして、ステップ12’−2(ST12’−2)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ12’−3(ST12’−3)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ12’−4(ST12’−4)に進む。
【0102】
次いで、ステップ12’−4(ST12’−4)において、地図データ提供処理部34により、地図データ取得対象領域に属する地図データを、ナビ側地図記憶部8の記憶容量以下のデータ量分ずつ複数回に分割して配信して、ステップ13(ST13)に進む。
【0103】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更してもよい。
【0104】
例えば、第1実施形態の
図4(b)に示したように、地図データ量判定対象領域よりも拡大された地図データ取得対象領域を設定した場合において、この地図データ取得対象領域の地図データ量がナビ側地図記憶部8の記憶容量を超える場合には、第2実施形態と同様に、地図データ量を複数回に分割して配信するように構成してもよい。