【実施例】
【0073】
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
【0074】
本発明に係るLi−Ni複合酸化物粒子粉末の組成は、該粉末を酸で溶解し、プラズマ発光分光分析装置 ICPS−7500[(株)島津製作所製]で測定して求めた。
【0075】
粒子内に存在する元素の濃度勾配や断面状態は電界放出型電子顕微鏡[日本電子株式会社製]を用いてSTEM−EDX分析を行った。なお、本発明におけるLi−Ni複合酸化物粒子粉末の粒子の最表面とは、STEM画像から判断される一次粒子の表面のことである。
【0076】
平均一次粒子径はエネルギー分散型X線分析装置付き走査電子顕微鏡SEM−EDX[(株)日立ハイテクノロジーズ製]を用いて観察したときの二次粒子を構成する一次粒子の粒子径である。
【0077】
平均二次粒子径はレーザー式粒度分布測定装置LMS−30[セイシン企業(株)製]を用いて湿式レーザー法で測定した体積基準の平均粒子径である。
【0078】
BET比表面積は窒素によるBET法に基づいて測定した。
【0079】
余剰リチウムである水酸化リチウムと炭酸リチウムの含有量は、水100mlに対して、Li−Ni複合酸化物粒子粉末20gを添加し、20分間室温下で攪拌した後、固形分を濾別、除去して得られた上澄み液について、0.2Nの塩酸を用いて滴定して求めた。横軸に滴定量(ml)、縦軸に上澄み液のpHをプロットして描くことのできるpH曲線上で、傾きの最も大きくなる二つの点を、滴定量の少ない方から第一滴定点及び第二滴定点とし、それら点での滴定量からそれぞれの量を以下の計算式を用いて計算した。
【0080】
水酸化リチウム含有量(重量%)=[(第二滴定点までの滴定量:ml)−2×{(第二滴定点までの滴定量)−(第一滴定点までの滴定量:ml)}]×(滴定に使用した塩酸の濃度:mol/l)×(滴定に使用した塩酸のファクター)×(水酸化リチウムの分子量)×2×100/((粉末重量:g)×1000)
炭酸リチウム含有量(重量%)={(第二滴定点までの滴定量:ml)−(第一滴定点までの滴定量:ml)}×(滴定に使用した塩酸の濃度:mol/l)×(滴定に使用した塩酸のファクター)×(炭酸リチウムの分子量)×2×100/{(粉末重量:g)×1000}
【0081】
粉体pHは25mlのイオン交換水に0.5gの粉末を1分間懸濁したのちの上澄み液のpH値を測定した。
【0082】
硫黄含有率は、炭素・硫黄測定装置EMIA-520[(株)堀場製作所製]を用いて試料を燃焼炉で酸素気流中にて燃焼させ、測定されたものである。
【0083】
ナトリウム含有量は前記プラズマ発光分光分析装置 ICPS−7500[(株)島津製作所製]を用いた。
【0084】
Li−Ni複合酸化物粒子粉末を用いてコインセルによる初期充放電特性、サイクル特性及びラミネートセルによる高温保存特性評価を行った。
【0085】
まず、正極活物質としてLi−Ni複合酸化物粒子粉末を90重量%、導電材としてアセチレンブラックを3重量%及びグラファイトKS−16を3重量%、バインダーとしてN−メチルピロリドンに溶解したポリフッ化ビニリデン4重量%とを混合した後、Al金属箔に塗布し150℃にて乾燥した。このシートを16mmφに打ち抜いた後、1t/cm
2で圧着し、電極厚みを50μmとした物を正極に用いた。負極は16mmφに打ち抜いた金属リチウムとし、電解液は1mol/lのLiPF
6を溶解したECとDMCを体積比で1:2に混合した溶液を用いてCR2032型コインセルを作成した。
【0086】
上記コインセルを用いて、二次電池の充放電試験を行った。測定条件としては、25℃で、カットオフ電圧は3.0〜4.3Vの間で充放電を30サイクル繰り返した。測定レートは初回のみ0.1Cで行い、2サイクル目以降は1.0Cで行った。
【0087】
また、初期充放電特性の評価と同様の電極を用いて、40×100mmの正極と同サイズのグラファイト負極を4セット対向するように組み合わせてラミネートセルを作成した。
【0088】
高温保存特性評価は、上記ラミネートセルにおいて、まず室温で初期の充放電を行った後、4.2Vまで充電を行い、この電圧でのラミネートセルの容積を測定した。次に、測定後のセルを85℃環境下で24時間保存した後、再度ラミネートセルの容積を測定し、高温保存前後の容積変化からガス発生量を評価した。
【0089】
[実施例1]
2mol/lの硫酸ニッケルと硫酸コバルトをNi:Co=84:16となるように混合した水溶液と5.0mol/lアンモニア水溶液を、同時に反応槽内に供給した。
反応槽は羽根型攪拌機で常に攪拌を行い、同時にpH=11.5±0.5となるように2mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を自動供給した。生成したNi−Co水酸化物はオーバーフローされ、オーバーフロー管に連結された濃縮槽で濃縮し、濃縮液を反応槽へ循環を行い、反応槽と濃縮槽中のNi−Co水酸化物濃度が4mol/lになるまで40時間反応を行った。
【0090】
反応後、取り出した懸濁液を、フィルタープレスを用いてNi−Co水酸化物の重量に対して10倍の水により水洗を行った後、乾燥を行い、Ni:Co=84.2:15.8であり、平均二次粒子径は15.1μmの水酸化物粒子粉末を得た。
【0091】
Ni−Co水酸化物と水酸化アルミニウムをモル比でAl/(Ni+Co+Al)=0.04、Ni−Co水酸化物と、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム・1水塩をモル比でLi/(Ni+Co+Al)=1.02となるように計量・混合を行った。その後、酸素雰囲気中において770℃で20時間、焼成してLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末の化学組成はLi
1.02Ni
0.8Co
0.15Al
0.04O
2であった。
【0092】
解砕したLi−Ni複合酸化物粒子粉末1.5kgを7.5Lの純水に懸濁して得られたスラリーのpHが12.36に達し、pHの上昇がおだやかになった後、ただちに、該スラリーに1/50Nの硫酸水溶液を添加してpHを9.0に制御し続けながら9分間攪拌して水洗処理を行った。水洗処理を行ったスラリーを濾過し、15Lの純水で追加洗浄し、120℃で20時間乾燥してLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末を再度解砕し、酸素雰囲気中において700℃で3時間熱処理を行った。
【0093】
得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末の組成はICP分析の結果、Li
0.99Ni
0.8Co
0.15Al
0.04O
2であった。以上のことから、Al/(Ni+Co+Al)=0.04を示し、Alの残存率は100.0%であることから、水洗処理前後でAl量に変化がないことを確認した。そして、STEM−EDX分析の結果、Li−Ni複合酸化物粒子の最表面(0nm)における両性金属の濃度が、Ni、Co、両性金属及び酸素の合計に対して43.3atm%であり、Li−Ni複合酸化物粒子の最表面における両性金属の濃度とNiの濃度との原子比(Ma/Ni)は4.16であり、且つ粒子の最表面(0nm)における両性金属の濃度は粒子の最表面から中心方向に向かって50nmの位置における両性金属の濃度よりも高かった。また、平均二次粒子径は12.7μmであり、BET比表面積は0.14m
2/gであった。
【0094】
更に、上記Li−Ni複合酸化物粒子粉末20gを100mlの水に10分間懸濁攪拌した後、上澄み液を濾別し、その中の水酸化リチウムと炭酸リチウムの含有量を、滴定法を用いて評価した結果、水酸化リチウムの含有量は0.12重量%、炭酸リチウムの含有量は0.07重量%であった。硫黄含有率は18ppmであり、ナトリウム含有量は5ppm以下であった。
また、このLi−Ni複合酸化物粒子粉末を用いたセルの放電容量は187mAh/g、30サイクル後の容量維持率は95.3%であり、85℃、24時間保存後のガス発生量は0.19ml/gであった。
【0095】
[実施例2]
Ni−Co水酸化物と水酸化アルミニウム、酸化ビスマスをモル比でAl/(Ni+Co+Al+Bi)=0.04となるように、水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Al+Bi)=1.02となるように混合した以外は実施例1と同様に行って、化学組成の異なるLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0096】
[実施例3]
Ni−Co水酸化物と水酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンをモル比でAl/(Ni+Co+Al+Bi+Sb)=0.04となるように、水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Al+Bi+Sb)=1.02となるように混合した以外は実施例1と同様に行って、化学組成の異なるLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0097】
[実施例4〜5]
Li−Ni複合酸化物粒子粉末の水洗時のスラリーのpHを6.5、及び、10.5に制御した以外は実施例1と同様に行って、Li−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0098】
[実施例6〜7]
Ni−Co水酸化物と水酸化アルミニウムをモル比でAl/(Ni+Co+Al)=0.035、及び、0.05となるように計量・混合した以外は実施例1と同様に行って、Li−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0099】
[実施例8〜10]
Li−Ni複合酸化物粒子粉末の水洗処理において、スラリーのpHの調整にリン酸、硫酸コバルト・7水和物、及び、酢酸を1/50Nに希釈した酸性水溶液を使用した以外は実施例1と同様に行って、Li−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0100】
[実施例11〜12]
Ni−Co水酸化物として平均二次粒子径が5.3μmと23.6μmの水酸化物粒子粉末を使用して焼成した以外は実施例1と同様に行って、Li−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0101】
[実施例13〜14]
アニール温度を500℃、600℃として処理した以外は実施例1と同様に行って、Li−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0102】
[実施例15]
実施例1において、Ni−Co水酸化物と水酸化アルミニウム、及び水酸化亜鉛をモル比でAl/(Ni+Co+Al+Zn)=0.04、Zn/(Ni+Co+Al+Zn)=0.01で水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Al+Zn)=1.02で焼成した以外は実施例1と同様に行って、Li−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0103】
[実施例16]
2mol/lの硫酸ニッケルと硫酸コバルト及び硫酸マンガンをNi:Co:Mn=80:10:10となるように混合した水溶液と5.0mol/lアンモニア水溶液を、同時に反応槽内に供給した。
反応槽は羽根型攪拌機で常に攪拌を行い、同時にpH=11.5±0.5となるように2mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を自動供給した。生成したNi−Co−Mn水酸化物はオーバーフローされ、オーバーフロー管に連結された濃縮槽で濃縮し、濃縮液を反応槽へ循環を行い、反応槽と濃縮槽中のNi−Co−Mn水酸化物濃度が4mol/lになるまで40時間反応を行った。
【0104】
反応後、取り出した懸濁液を、フィルタープレスを用いてNi−Co水酸化物の重量に対して10倍の水により水洗を行った後、乾燥を行い、組成が、Ni:Co:Mn=80:10:10で、平均二次粒子径が15.1μmの水酸化物粒子粉末を得た。
【0105】
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウムをモル比でAl/(Ni+Co+Mn+Al)=0.01、Ni−Co水酸化物と、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム・1水塩をモル比でLi/(Ni+Co+Mn+Al)=1.04となるように計量・混合を行った。その後、酸素雰囲気中において770℃で20時間、焼成してLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末の化学組成はLi
1.04Ni
0.792Co
0.099Mn
0.099Al
0.01O
2であった。
【0106】
解砕したLi−Ni複合酸化物粒子粉末1.5kgを7.5Lの純水に懸濁して得られたスラリーのpHが12.28に達し、pHの上昇がおだやかになった後、ただちに、該スラリーに1/50Nの硫酸水溶液を添加してpHを9.0に制御し続けながら9分間攪拌して水洗処理を行った。水洗処理を行ったスラリーを濾過し、15Lの純水で追加洗浄し、120℃で20時間乾燥してLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末を再度解砕し、酸素雰囲気中において700℃で3時間熱処理を行った。
【0107】
得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末の組成はICP分析の結果、Li
1.01Ni
0.792Co
0.099Mn
0.099Al
0.01O
2であった。以上のことから、Al/(Ni+Co+Mn+Al)=0.01を示し、Alの残存率は100.0%であることから、水洗処理前後でAl量に変化がないことを確認した。そして、STEM−EDX分析の結果、Li−Ni複合酸化物粒子の最表面における両性金属の濃度が、Ni、Co、Mn、両性金属及び酸素の合計に対して40.5atm%であり、Li−Ni複合酸化物粒子の最表面における両性金属の濃度とNiの濃度との原子比(Ma/Ni)は3.75であり、且つ粒子の最表面(0nm)における両性金属の濃度は粒子の最表面から中心方向に向かって50nmの位置における両性金属の濃度よりも高かった。また、平均二次粒子径は9.9μmであり、BET比表面積は0.22m
2/gであった。
【0108】
更に、上記Li−Ni複合酸化物粒子粉末20gを100mlの水に10分間懸濁攪拌した後、上澄み液を濾別し、その中の水酸化リチウムと炭酸リチウムの含有量を、滴定法を用いて評価した結果、水酸化リチウムの含有量は0.12重量%、炭酸リチウムの含有量は0.04重量%であった。硫黄含有率は19ppmであり、ナトリウム含有量は5ppm以下であった。
また、このLi−Ni複合酸化物粒子粉末を用いたセルの放電容量は204mAh/g、30サイクル後の容量維持率は95.3%であり、85℃、24時間保存後のガス発生量は0.17ml/gであった。
【0109】
[実施例17]
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウムをモル比でAl/(Ni+Co+Mn+Al)=0.10となるように、水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Mn+Al)=1.04となるように混合した以外は実施例16と同様に行って、組成がLi
1.02Ni
0.72Co
0.09Mn
0.09Al
0.1O
2のLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0110】
[実施例18]
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムをモル比でAl/(Ni+Co+Mn+Al+Zr)=0.01、Zr/(Ni+Co+Mn+Al+Zr)=0.02となるように、水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Mn+Al+Zr)=1.04となるように混合した以外は実施例16と同様に行って、組成がLi
1.01Ni
0.776Co
0.097Mn
0.097Al
0.01Zr
0.02O
2のLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0111】
[実施例19]
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムをモル比でAl/(Ni+Co+Mn+Al+Mg)=0.01、Mg/(Ni+Co+Mn+Al+Mg)=0.02となるように、水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Mn+Al+Mg)=1.04となるように混合した以外は実施例16と同様に行って、組成がLi
1.01Ni
0.776Co
0.097Mn
0.097Al
0.01Mg
0.02O
2のLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0112】
[実施例20]
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウムをモル比でAl/(Ni+Co+Mn+Al)=0.05となるように、水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Mn+Al)=1.04となるように混合した以外は実施例16と同様に行って、組成がLi
1.01Ni
0.76Co
0.095Mn
0.095Al
0.05O
2のLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0113】
[実施例21]
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウム、酸化ビスマスをモル比でAl/(Ni+Co+Al+Bi)=0.01となるように、水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Al+Bi)=1.04となるように混合した以外は実施例16と同様に行って、化学組成の異なるLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0114】
[実施例22]
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンをモル比でAl/(Ni+Co+Al+Bi+Sb)=0.01となるように、水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Al+Bi+Sb)=1.04となるように混合した以外は実施例16と同様に行って、化学組成の異なるLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0115】
[実施例23]
Li−Ni複合酸化物粒子粉末の水洗処理において、スラリーのpHの調整前に所定量のNaAlO
2を添加した以外は実施例16と同様に行って、組成がLi
1.01Ni
0.7888Co
0.0986Mn
0.0986Al
0.014O
2のLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0116】
[実施例24]
Li−Ni複合酸化物粒子粉末の水洗処理において、スラリーのpHの調整に硫酸アルミニウム・18水和物を添加した後、1/50Nに希釈した硫酸水溶液を使用した以外は実施例16と同様に行って、組成がLi
1.01Ni
0.7888Co
0.0986Mn
0.0986Al
0.014O
2のLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0117】
[実施例25]
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウム、及び水酸化亜鉛をモル比でAl/(Ni+Co+Al+Zn)=0.01、Zn/(Ni+Co+Al+Zn)=0.01で水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Mn+Zn)=1.04で焼成した以外は実施例16と同様に行って、組成がLi
1.01Ni
0.784Co
0.098Mn
0.098Al
0.01Zn
0.01O
2のLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0118】
[実施例26]
2mol/lの硫酸ニッケルと硫酸コバルト及び硫酸マンガンをNi:Co:Mn=60:20:20となるように混合した水溶液と5.0mol/lアンモニア水溶液を、同時に反応槽内に供給した以外は実施例16と同様に行って、組成がLi
1.01Ni
0.594Co
0.198Mn
0.198Al
0.01O
2のLi−Ni複合酸化物粒子を得た。
【0119】
[実施例27]
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウムをモル比でAl/(Ni+Co+Mn+Al)=0.10となるように、水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Mn+Al)=1.04となるように混合した以外は実施例25と同様に行って、組成がLi
1.00Ni
0.54Co
0.18Mn
0.18Al
0.1O
2のLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0120】
[実施例28]
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムをモル比でAl/(Ni+Co+Mn+Al+Zr)=0.01、Zr/(Ni+Co+Mn+Al+Zr)=0.02となるように、水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Mn+Al+Zr)=1.04となるように混合した以外は実施例25と同様に行って、組成がLi
1.01Ni
0.582Co
0.194Mn
0.194Al
0.01Zr
0.02O
2のLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0121】
[実施例29]
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムをモル比でAl/(Ni+Co+Mn+Al+Mg)=0.01、Mg/(Ni+Co+Mn+Al+Mg)=0.02となるように、水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Mn+Al+Mg)=1.04となるように混合した以外は実施例25と同様に行って、組成がLi
1.01Ni
0.582Co
0.194Mn
0.194Al
0.01Mg
0.02O
2のLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0122】
[実施例30]
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウムをモル比でAl/(Ni+Co+Mn+Al)=0.05となるように、水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Mn+Al)=1.04となるように混合した以外は実施例25と同様に行って、組成がLi
1.01Ni
0.57Co
0.19Mn
0.19Al
0.05O
2のLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0123】
[実施例31]
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウム、酸化ビスマスをモル比でAl/(Ni+Co+Al+Bi)=0.01となるように、水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Al+Bi)=1.04となるように混合した以外は実施例25と同様に行って、化学組成の異なるLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0124】
[実施例32]
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンをモル比でAl/(Ni+Co+Al+Bi+Sb)=0.01となるように、水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Al+Bi+Sb)=1.04となるように混合した以外は実施例25と同様に行って、化学組成の異なるLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0125】
[実施例33]
Ni−Co−Mn水酸化物と水酸化アルミニウム、及び水酸化亜鉛をモル比でAl/(Ni+Co+Al+Zn)=0.01、Zn/(Ni+Co+Al+Zn)=0.01で水酸化リチウム・1水塩とそれ以外の金属のモル比でLi/(Ni+Co+Mn+Zn)=1.04で焼成した以外は実施例25と同様に行って、組成がLi
1.00Ni
0.588Co
0.196Mn
0.196Al
0.01Zn
0.01O
2のLi−Ni複合酸化物粒子粉末を得た。
【0126】
[比較例1]
実施例1において、焼成して得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末に水洗処理を行っていないものである。このLi−Ni複合酸化物粒子粉末20gを100mlの水に10分間懸濁攪拌した後、上澄み液を濾別し、その中の水酸化リチウムと炭酸リチウムの含有量を、滴定法を用いて評価した結果、水酸化リチウムの含有量は0.46重量%、炭酸リチウムの含有量は0.40重量%であった。また、このLi−Ni複合酸化物粒子粉末を用いたセルの放電容量は192mAh/g、サイクル特性は97.5%、85℃、24時間保存後のガス発生量は1.88ml/gであった。
【0127】
[比較例2]
実施例1において、焼成して得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末に純水に懸濁し、10分間攪拌して水洗処理を行った。処理中にスラリーのpHを調整せずに濾過、追加洗浄を行った。この時、スラリーのpHは12.6であった。その後、酸素含有雰囲気中で700℃、3時間アニール処理を行った。得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末のAl量はICP分析の結果、Al/(Ni+Co+Al)=0.035を示し、Alの残存率は87.5%であることから、水洗処理前と比較して大幅に低下する傾向が見られた。このLi−Ni複合酸化物粒子粉末20gを100mlの水に10分間懸濁攪拌した後、上澄み液を濾別し、その中の水酸化リチウムと炭酸リチウムの含有量を、滴定法を用いて評価した結果、水酸化リチウムの含有量は0.14重量%、炭酸リチウムの含有量は0.06重量%であった。また、このLi−Ni複合酸化物粒子粉末を用いたセルの放電容量は189mAh/g、30サイクル後の容量維持率は91.1%であり、85℃、24時間保存後のガス発生量は0.39ml/gであった。
【0128】
[比較例3]
実施例1において、焼成して得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末に水洗処理を行った。処理中にスラリーのpHを3.0に制御し、濾過を経て、10倍の水で追加洗浄を行った後に酸素含有雰囲気中で700℃、3時間アニール処理を行った。
【0129】
[比較例4]
実施例1において、焼成して得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末に水洗処理を行った。処理中にスラリーのpHを11.5に制御し、濾過を経て、10倍の水で追加洗浄を行った後に酸素含有雰囲気中で700℃、3時間アニール処理を行った。
【0130】
[比較例5]
実施例1において、焼成して得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末に水洗処理を行った。処理中にスラリーのpHを9.0に制御し、濾過を経て、10倍の水で追加洗浄を行った後に120℃で乾燥してアニール処理を行っていないものである。
【0131】
[比較例6]
実施例1において、焼成して得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末に水洗処理を行った。処理中にスラリーのpHを9.0に制御し、濾過を経て、10倍の水で追加洗浄を行った後に120℃で乾燥して、酸素含有雰囲気中で300℃、3時間アニール処理を行った。
【0132】
[比較例7]
実施例16において、焼成して得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末に水洗処理を行っていないものである。このLi−Ni複合酸化物粒子粉末20gを100mlの水に10分間懸濁攪拌した後、上澄み液を濾別し、その中の水酸化リチウムと炭酸リチウムの含有量を、滴定法を用いて評価した結果、水酸化リチウムの含有量は0.38重量%、炭酸リチウムの含有量は0.42重量%であった。また、このLi−Ni複合酸化物粒子粉末を用いたセルの放電容量は206mAh/g、サイクル特性は97.2%、85℃、24時間保存後のガス発生量は1.55ml/gであった。
【0133】
[比較例8]
実施例16において、焼成して得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末に純水に懸濁し、10分間攪拌して水洗処理を行った。処理中にスラリーのpHを調整せずに濾過、追加洗浄を行った。この時、スラリーのpHは12.41であった。その後、酸素含有雰囲気中で700℃、3時間アニール処理を行った。得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末のAl量はICP分析の結果、Al/(Ni+Co+Mn+Al)=0.008を示し、Alの残存率は80.0%であることから、水洗処理前と比較して大幅に低下する傾向が見られた。このLi−Ni複合酸化物粒子粉末20gを100mlの水に10分間懸濁攪拌した後、上澄み液を濾別し、その中の水酸化リチウムと炭酸リチウムの含有量を、滴定法を用いて評価した結果、水酸化リチウムの含有量は0.12重量%、炭酸リチウムの含有量は0.10重量%であった。また、このLi−Ni複合酸化物粒子粉末を用いたセルの放電容量は202mAh/g、30サイクル後の容量維持率は90.2%であり、85℃、24時間保存後のガス発生量は0.23ml/gであった。
【0134】
[比較例9]
実施例25において、焼成して得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末に水洗処理を行っていないものである。このLi−Ni複合酸化物粒子粉末20gを100mlの水に10分間懸濁攪拌した後、上澄み液を濾別し、その中の水酸化リチウムと炭酸リチウムの含有量を、滴定法を用いて評価した結果、水酸化リチウムの含有量は0.18重量%、炭酸リチウムの含有量は0.19重量%であった。また、このLi−Ni複合酸化物粒子粉末を用いたセルの放電容量は178mAh/g、サイクル特性は98.6%、85℃、24時間保存後のガス発生量は0.74ml/gであった。
【0135】
[比較例10]
実施例25において、焼成して得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末に純水に懸濁し、10分間攪拌して水洗処理を行った。処理中にスラリーのpHを調整せずに濾過、追加洗浄を行った。この時、スラリーのpHは11.78であった。その後、酸素含有雰囲気中で700℃、3時間アニール処理を行った。得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末のAl量はICP分析の結果、Al/(Ni+Co+Mn+Al)=0.007を示し、Alの残存率は70.0%であることから、水洗処理前と比較して大幅に低下する傾向が見られた。このLi−Ni複合酸化物粒子粉末20gを100mlの水に10分間懸濁攪拌した後、上澄み液を濾別し、その中の水酸化リチウムと炭酸リチウムの含有量を、滴定法を用いて評価した結果、水酸化リチウムの含有量は0.05重量%、炭酸リチウムの含有量は0.06重量%であった。また、このLi−Ni複合酸化物粒子粉末を用いたセルの放電容量は174mAh/g、30サイクル後の容量維持率は92.3%であり、85℃、24時間保存後のガス発生量は0.13ml/gであった。
【0136】
前記実施例及び比較例におけるLi−Ni複合酸化物粒子粉末の製造条件を表1及び表2に、得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末の諸特性を表3及び表4に示す。
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
【表3】
【0140】
【表4】
【0141】
得られたLi−Ni複合酸化物粒子(実施例1、比較例2)について粒子を切断して断面のメタル濃度をSTEM−EDXで測定した。pH制御なし(比較例2)では
図4に示す通り、水洗処理における粒子表面のメタル濃度は最表面からの距離による変化は見られなかったが、pH制御品では
図2に示す通り、粒子表面のAlメタル濃度が上昇している。また、画像では
図1のように最表面にはAl濃度の高い層が形成されていることが確認されたのに対して、pH制御なしでは
図3からは最表面において被膜が確認されなかった。
【0142】
実施例1〜33で得られたLi−Ni複合酸化物粒子粉末は、水洗処理時にpHを制御することで、両性金属含有量を維持しつつ、粒子表面に両性金属濃度の高い層を存在させることで結晶構造が安定する。その結果、二次電池におけるサイクル特性が改善された優れた正極材料である。
【0143】
また、本発明に係るLi−Ni複合酸化物粒子粉末は、該粉末20gを100mlの水に10分間懸濁攪拌したときの、上澄み液中の水酸化リチウムの含有量は0.25重量%以下、炭酸リチウムの含有量は0.20重量%以下であり、高温環境下でのアルカリ成分による電解液の分解反応が抑制され、ガス発生が改善された優れた正極材料である。
【0144】
更に、Li−Ni複合酸化物粒子粉末を正極活物質に用いた非水電解質二次電池において、85℃、24時間保存後のガス発生量は0.45ml/g以下であり、高温環境下での電解液との反応性が抑制されガス発生が改善された優れた正極材料であるということが言える。
【0145】
以上の結果から、本発明に係るLi−Ni複合酸化物粒子粉末はガス発生量が少なく、二次電池としたときのサイクル特性と高温充放電特性に優れたものであるから、非水電解質二次電池用正極活物質として有効であることが確認された。