(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱収縮性フィルムに、熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)からなるデザイン印刷層、及び、熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤(B)からなる接着層を積層してなる包装材であって、
熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)が、ウレタン樹脂組成物または、ウレタン樹脂及び塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂の混合樹脂組成物いずれかから選択される樹脂組成物を含み、印刷インキ(A)100重量部中、イソシアネート硬化剤(C)を1〜10重量%含み、且つ、熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤(B)100重量部中、下記(B1)〜(B4)であることを特徴とする包装材。
(B1)軟化点が105〜140℃のポリエチレンワックスを、5〜30重量%
(B2)エラストマーを、10〜20重量%
(B3)接着付与剤を、25〜40重量%
(B4)軟化剤を、25〜40重量%
前記ホットメルト接着剤(B)が、加熱時において粘度が500Pa・sとなる温度をX[℃]とし、冷却時において粘度が500Pa・sとなる温度をY[℃]としたとき、X>YかつX−Yが5[℃]以上であることを特徴とする請求項1に記載の包装材。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず、本発明の包装材および包装材付き物品に用いてなる熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)について説明する。
【0029】
熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)は、ウレタン樹脂組成物またはウレタン樹脂及び塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂の混合樹脂組成物いずれかから選択される樹脂組成物をメインバインダーとする。これらの樹脂は、熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤と親和性が高く、ホットメルト接着剤が塗工される際のはじきを防ぐため、結果として、包装材の接着強度の低下を防ぐことが可能となる。
【0030】
ウレタン樹脂はその柔軟性や低結晶性から、熱履歴での応力緩和能を持つことによる包装材における作成時の加工適性に優れ、皮膜の残留溶剤を低減でき、極性の高い溶媒に優れた溶解性を有する。さらに、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂は、一般に高い顔料分散性を有するので、デザイン印刷層の平滑性を高め、ホットメルト接着剤のはじきをさらに押さえることが可能である。
【0031】
ウレタン樹脂の合成法は、高分子ポリオールとジイソシアネートを必要に応じイソシアネート基に不活性な溶媒を用い、また、更に必要であればウレタン化触媒を用いて10〜150℃の温度で反応させ、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造し、次いで、このプレポリマーに鎖延長剤、末端停止剤を反応させてウレタン樹脂を得るプレポリマー法、あるいは、高分子ポリオールとジイソシアネートと鎖延長剤を一段で反応させてウレタン樹脂を得るワンショット法など公知の方法により製造することが出来る。
【0032】
高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールなどがある。本発明においては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールの一種以上を使用することが望ましい。
【0033】
ポリエステルポリオールは、末端および/または側鎖にヒドロキシル基を含有するポリエステルポリオールのことで、グリコールやポリオールらのヒドロキシル基含有化合物と多価カルボン酸、あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られる。本発明において、より具体的にはヒドロキシル基を2個含有する化合物と2価のカルボン酸からなるポリエステルジオールが好ましい。
【0034】
ポリエステルポリオールの合成に用いる、ヒドロキシル基含有化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,9−ノナンンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル1,5ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、が挙げられる。またグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどのヒドロキシル基を3個以上有する低分子ポリオールも挙げられる。
【0035】
また、高分子量のヒドロキシル基含有化合物として、飽和または不飽和の低分子ジオール類(2)や、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルジオール類(3)等もポリエステルジオールの原料として併用することができる。
【0036】
更に、ポリエステルポリオールには、アルキル側鎖を有するヒドロキシル基含有化合物をモノマーとして用いることが好ましい。当該ポリエステルポリオールを用いることで、ウレタン樹脂の結晶性が大きく下がり、且つアルキル側鎖が炭化水素で疎水的であることから、ポリオレフィンフィルムへの密着性が向上する。さらに、ヒドロキシル基含有化合物がアルキル側鎖を有さない場合に比べ、耐加水分解性が向上する。
【0037】
ポリエステルジオールの合成に用いる多価カルボン酸モノマーとしては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物(4)が挙げられる。この中で、ノントルエン系溶剤への溶解性などからアジピン酸を用いることが好ましく、多価カルボン酸モノマー中50重量%以上使用することがさらに好ましい。
【0038】
ウレタン樹脂に用いるポリエステルジオールの数平均分子量は、得られるウレタン樹脂の溶解性、乾燥性、耐ブロッキング性等を考慮して適宜決定され、通常は700〜100000、好ましくは1000〜6000の範囲内とするのがよい。該数平均分子量が700未満であればハードセグメントの量が多くなることによる溶解性の低下に伴い印刷適性が劣る傾向があり、他方100000を越えるとハードセグメントの割合が少なくなり、乾燥性及び耐ブロッキング性が低下する傾向がある。
【0039】
ポリエステルジオールの酸価は1.0mgKOH/g以下であることが好ましく、0.5mgKOH/g以下であることがより好ましい。酸価が1.0mgKOH/gより大きいと、印刷インキの増粘の傾向が大きくなるためである。
【0040】
ポリエステルジオールは、他の高分子ポリオールよりも耐ブロッキング性に優れ、さらにホットメルト接着剤中の可塑剤によるフィルム接着性低下を防止できるので、ポリエステルポリオール合計で高分子ポリオール中の50重量%以上用いることが好ましい。
【0041】
高分子ポリオールとしてポリエーテルポリオールを使用することも好ましい。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。これらは、アルコールへの溶解性が優れるため、ポリエステル系ポリウレタンに別の溶剤溶解性を付与することができるため、多くの用途の場合、併用することが好ましい。これらの特性を発現させ、かつ耐水性などを低下させないために、ポリエーテルポリオール分子量は700〜3000、高分子ポリオール中の50重量%以下とすることが好ましい。
【0042】
ウレタン樹脂の合成に使用されるジイソシアネートとしては、ウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス−クロロメチル−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアネート−ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0043】
ウレタン樹脂の合成には鎖伸長剤を使用してもよく、例えば2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールの他、前記飽和または不飽和の低分子ポリオール類(1)、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミンなどの他、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0044】
また、反応停止を目的とした末端停止剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としては例えば、1級、2級のアミノ基を有する化合物、ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類や水酸基を有するアミノアルコール類、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L−アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。この中で、1級、2級のアミノ基を有するアミノアルコール類は、末端停止剤として用いる場合、高温での反応を避けて、アミノ基のみ反応するよう制御する必要がある。これらの末端停止剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。ここで、鎖延長剤にアミノ基を用いる場合、イソシアネート基と反応してウレア結合を形成するため、得られる樹脂はポリウレタン/ウレア樹脂になるが、本発明においては、これらの樹脂もウレタン樹脂とする。
【0045】
さらに本発明においては、水溶性のウレタン樹脂を用いることもできる。水溶性のウレタン樹脂を合成する場合には、前記高分子ポリオール、ジイソシアネート等に加えて、活性水素基を有するアニオン性基含有化合物や、カチオン性基含有化合物及びノニオン性基有化合物等を用いる。本発明においては、水溶性ウレタン樹脂の溶解性、塗膜物性等の観点から、アニオン性基含有化合物を用い、必要に応じてノニオン性基含有化合物を併用することが好ましい。
【0046】
活性水素基を有するアニオン性基含有化合物としては、カルボキシル基を有する化合物が一般に知られており、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロール吉草酸等のジメチロールアルカン酸、グルタミン、アスパラギン、リジン、ジアミノプロピオン酸、オルニチン、ジアミノ安息香酸、ジアミノベンゼンスルホン酸等のジアミン型アミノ酸類、グリシン、アラニン、グルタミン酸、タウリン、アスパラギン酸、アミノ酪酸、バリン、アミノカプロン酸、アミノ安息香酸、アミノイソフタル酸、スルファミン酸などのモノアミン型アミノ酸類が挙げられる。
【0047】
ウレタン樹脂に組み込まれたアニオン性基は、中和により塩を形成し水に溶解する。その際に使用される中和剤としては、アンモニア、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、モノエタノールアミン等が挙げられるが、乾燥後塗膜中に残存し難く、塗膜物性を損なわないため、アンモニアが好ましい。
【0048】
活性水素基を有するカチオン性基含有化合物としては、アミノ基、アンモニウム塩基、スルホニウム塩基等を有する化合物が挙げられる。しかしながら、ウレタン樹脂に組み込まれたカチオン性基は、中和により水に溶解するが、中和剤にナトリウムイオン、リチウムイオン等の無機イオンを使用せざる得ない場合が多く、塗膜乾燥後に中和剤が残存するので、塗膜物性の点で好ましくない。
【0049】
ノニオン性基有化合物としては、エチレングリコールやポリエチレングリコール等のエチレンオキシド繰り返し単位含有合物を用いることが好ましい。ノニオン性基は水への溶解性に乏しいため、ノニオン性基のみでウレタン樹脂を水に溶解させるのは難しいが、樹脂の安定性、塗膜適性等を調整するために、前記のアニオン/カチオン性基含有化合物と併用することが出来る。
【0050】
ウレタン樹脂の中間体であるプレポリマーを製造するに当たり、高分子ポリオールとジイソシアネートとの量は、ジイソシアネートのイソシアネート基のmol数と、高分子ポリオールを含むジオール、ポリオールの水酸基の合計mol数の比であるNCO/OH比を1.1〜3.0の範囲となるようにすることが好ましい。この比が1.1より小さいときは十分な耐アルカリ性が得られない傾向があり、また、3.0より大きい場合には得られるプレポリマーの溶解性が低下する傾向が認められる。
【0051】
さらに、このウレタン化反応には触媒を用いることもできる。使用できる触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジメチルアニリンなどの3級アミン系の触媒;スズ、亜鉛などの金属系の触媒などが挙げられる。これらの触媒は高分子ポリオールを含む水酸基含有化合物に対して0.001〜1モル%の範囲で使用される。
【0052】
上記で得られた末端にイソシアネート基を有するプレポリマーと鎖延長剤であるジオール、ジアミン、トリオールなどとを10〜80℃で反応させ、末端に活性水素基を含有するウレタン樹脂が得られる。
【0053】
末端停止剤を用いるときには、末端停止剤と鎖延長剤とを一緒に使用して鎖延長反応を行ってもよく、また鎖延長剤によりある程度鎖延長反応を行った後に末端停止剤を単独に添加して末端停止反応を行ってもよい。一方、末端停止剤を用いなくても分子量のコントロールは可能であるが、この場合には鎖延長剤を含む溶液中にプレポリマーを添加する方法が反応制御という点で好ましい。
【0054】
末端停止剤は分子量をコントロールするために用いられる。使用量が多くなると得られるウレタン樹脂の分子量は低くなる。これは鎖延長剤と末端停止剤のプレポリマーに対する反応性により変化するが、一般的に、末端停止剤のアミノ基や水酸基のmol数に対する鎖延長剤のアミノ基や水酸基のmol数の比は0.5〜5.0の範囲が好ましい。この比が5.0を越える場合には高分子量化するためドライラミネート適性が悪くなる傾向があり、0.5未満の場合には分子量ならびに初期接着力が低下する傾向が認められる。
【0055】
また、プレポリマー中のイソシアネート基の当量に対する鎖延長剤および末端停止剤のアミノ基と水酸基の合計のmol数の比は1.1〜3.0、好ましくは1.5〜2.0の範囲となるようにして反応させる。この比が大きく鎖延長剤または末端停止剤の使用量が多い場合にはこれらが未反応のまま残存し、臭気が残りやすくなる傾向がある。
【0056】
ウレタン樹脂は、重量平均分子量が20000から100000であることが好ましい。20000より小さいと、印刷物における耐ブロッキング性の確保が難しく、100000より大きいと、溶剤への溶解性が劣ることから印刷効果の確保が難しい。
【0057】
ウレタン樹脂の、アミン価は0.5から20.0mgKOH/gであることが好ましい。アミン価が0.5より低いと、ポリオレフィン系フィルムへの接着性の確保が難しく、20.0より大きいと、イソシアネート系硬化剤を添加した際のインキ安定性の確保が難しい。
【0058】
熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)に用いられるウレタン樹脂に使用される溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、水などの公知の溶剤を、単独または複数使用できる。
【0059】
本発明において利用可能な塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂としては、塩化ビニルモノマーと酢酸ビニルモノマーを共重合して得られる。また、水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体は、共重合において更にビニルアルコールを用いたり、酢酸ビニルの一部をケン化することができる。水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体は、塩化ビニル、酢酸ビニルおよびビニルアルコールのモノマー比率により樹脂被膜の性質や樹脂溶解挙動が決定される。即ち、塩化ビニルは樹脂被膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルは接着性や柔軟性を付与し、ビニルアルコールは極性溶剤への良好な溶解性を付与する。本発明においては、様々な溶剤への溶解性を確保する観点から塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂は水酸基を持つことが好ましく、水酸基価は60〜170mgKOH/gが好ましい。
【0060】
熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)は、ウレタン樹脂またはウレタン樹脂及び塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂のいずれかから選択される樹脂、顔料、必要に応じて分散剤、前記樹脂以外の樹脂等を併用して、公知の方法で有機溶剤中に着色剤を溶解又は分散することにより製造することができる。好ましくは着色剤と樹脂、必要に応じて分散剤を使用して顔料分散体を製造し、更に樹脂、必要な添加剤を混合、攪拌することである。
【0061】
分散剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤を使用することができる。分散剤は、インキの保存安定性の観点からインキの総重量に対して0.05重量%以上、かつ、ラミネート適性の観点から5重量%以下でインキ中に含まれることが好ましい。さらに、0.1〜2重量%の範囲で含まれることがより好ましい。
【0062】
熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)に使用される溶剤としては、熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)に用いられるウレタン樹脂で述べた溶剤を挙げることができる。
【0063】
熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)における、印刷時に使用する希釈溶剤は、粘度を調整して印刷効果や印刷物濃度などを制御するために、使用材料の溶解性や乾燥性を考慮し、前述の熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)に使用される溶剤より適宜選択できる。
【0064】
熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)は、用途や基材に応じて、様々な樹脂を併用することができる。用いられる樹脂の例としては、アクリル樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂、およびこれらの変性樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができ、その含有量は、インキの総重量に対して5〜25重量%が好ましい。
【0065】
熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)には、公知の無機顔料、有機顔料を使用できる。
【0066】
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカなどが挙げられる。白インキの顔料には酸化チタンを用いることが着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から好ましい。
【0067】
白色系以外の無機顔料としては、カーボンブラック、アルミニウム、マイカ(雲母)などの顔料が挙げられる。アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
【0068】
有機顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系などの顔料が挙げられる。藍インキには銅フタロシアニン、透明黄インキにはコスト・耐光性の点からC. I. Pigment No Yellow83を用いることが好ましい。
【0069】
顔料は、熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)の濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわち印刷インキの総重量に対して1〜50重量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの顔料は単独で、または2種以上を併用して用いて行うことができる。
【0070】
顔料分散は公知の、例えばローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
【0071】
前記方法で製造されたインキ粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。なお、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
【0072】
熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)は、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などの既知の印刷方式で熱収縮フィルムに印刷することができる。好ましくはグラビア印刷、フレキソ印刷である。
【0073】
熱収縮性フィルム用インキ(A)は、用途や基材、必要な物性に応じて、イソシアネート硬化剤を併用して使用することができる。用いられるイソシアネート硬化剤の例としては、ジイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)をあげることができる。また、ポリイソシアネートの変性体がアダクト型、2官能プレポリマー型、ビゥレット型をあげられる。熱収縮性フィルムの熱収縮の阻害の点からジイソシアネートがHDI及びIPDIから選択され、ポリイソシアネートの変性体がアダクト型及び2官能プレポリマーから選択され用いられることが望ましい。これらの硬化剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができ、印刷インキ(A)100重量部中、1〜10重量%が好ましい。10重量%より大きいと、印刷物における乾燥性の低下により耐ブロッキング性の確保が難しい。また、デザイン印刷層が硬化しすぎて熱収縮性フィルムの熱収縮を阻害してしまう。1重量%より小さいと、印刷物における塗膜の硬化が十分に見られない。
【0074】
熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)を用いて印刷されたデザイン印刷等は、その厚みが0.5〜3μmであり、用途に応じて熱収縮性フィルムの全面、あるいは一部に形成される。
【0075】
次に、熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤(B)について説明する。熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤(B)は、軟化点が105〜140℃のポリエチレンワックスと、エラストマーと、接着付与剤と、軟化剤とを含んでいる。以下、接着剤の各成分について説明する。
【0076】
<エラストマー>
エラストマーは、接着剤の凝集力、ひいては接着力を向上するために用いる。このエラストマーは、熱可塑性エラストマーであることが好ましい。具体的には、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、トランスポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸ビニル系熱可塑性エラストマーが好適である。
【0077】
また、熱可塑性エラストマーは、分子内に凝集力付与部位および緩和部位を有することがより好ましい。具体的には、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーは、その分子構造中に、多くの芳香族炭化水素基を有するため、ポリエチレンワックスとの相溶性が高いことから好ましい。
【0078】
スチレン系熱可塑性エラストマーは、一般的に、その分子構造に対して凝集力を付与するポリスチレンブロック(凝集力付与部位)と、その分子構造に対して柔軟性を付与する中間ブロック(緩和部位:柔軟性付与部位)とを有している。スチレン系熱可塑性エラストマーは、これらの凝集力付与部位および柔軟性付与部位を有することでゴム弾性が得やすくなる。スチレン系熱可塑性エラストマーにおいて、ポリスチレンブロックは、物理的架橋(ドメイン)を形成することにより橋掛け点となる。中間ブロック(ソフトセグメント)は、例えば、ポリブタジエン(B)、ポリイソプレン(I)、ポリオレフィンエラストマー(エチレン・プロピレン、EP)から選択され、ハードセグメントであるポリスチレンブロック(S)との配列の様式に応じて、直鎖状(リニアタイプ)と放射状(ラジカルタイプ)とに分類される。
【0079】
スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、例えば、スチレン/ブタジエンブロック共重合体(S−B:ジブロック)、(S−B−S:トリブロック)、スチレン/イソプレンブロック共重合体(S−I:ジブロック)、(S−I−S:トリブロック)またはスチレン/ブタジエン−イソプレンブロック共重合体(S−B・I:ジブロック)、(S−B/I−B:トリブロック)、これらの水添物(例えば、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体(SBS)の水添物、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体の水添物(SEPS))、あるいは、これらのカルボン酸変性物等が挙げられる。なお、スチレン系熱可塑性エラストマーは、スチレンブロックを構成するスチレンの一部が、α−メチルスチレンのような芳香族系ビニル化合物で置き換えられていてもよい。中でも、スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックポリマー(SEBS)が好適である。スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックポリマーは、熱安定性が高い(熱分解し難い)ためである。
【0080】
エラストマーの溶融粘度は、1〜10Pa・s程度であることが好ましい。溶融粘度が上記下限値未満の場合、接着剤の熱収縮温度での接着力が低くなり、熱収縮適性が低下する場合がある。その結果、重複部にズレや剥離が生じるおそれある。一方、溶融粘度が上記上限値を超えると、接着剤の基材フィルムへの塗工時に、その塗工量や塗工方法等によっては、接着剤に擦れや糸曳きが生じやすくなる場合がある。
【0081】
なお、エラストマーの溶融粘度とは、エラストマーを濃度25重量%で含有するトルエン溶液の粘度を、25℃でB型粘度計を用いて測定した際の値である。
【0082】
エラストマーの含有量は、接着剤100重量部中、10〜20重量%であることが必要である。エラストマーの含有量が上記下限値未満であると、接着剤の凝集力が小さくなる場合がある。このため、接着剤は、熱収縮温度での接着力が低くなり、基材フィルムを熱収縮させる際の温度等によっては、熱収縮適性を有さなくなり、重複部にズレや剥離が生じるおそれある。一方、含有量が上記上限値を超えると、接着剤の基材フィルムへの塗工時に、その塗工量や塗工方法等によっては、接着剤に擦れや糸曳きが生じやすくなる場合がある。
【0083】
<接着付与剤>
接着付与剤は、接着剤の基材フィルムの裏面および表面(印刷面)対する接着性(密着性)を向上するために用いる。この接着付与剤としては、例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、キシレン樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂のような石油樹脂、これらに水素添加した石油樹脂、フェノール変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、酸変性ロジン樹脂、水素添加したロジン樹脂、水素添加したロジンエステル樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂、水素添加したテルペン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0084】
接着付与剤の含有量は、接着剤100重量部中、25〜40重量%であることが必要である。ここで、接着付与剤の含有量が前記下限値未満であると、接着剤の凝集力が過剰になる場合がある。このため、接着剤は、熱収縮温度での接着力が低くなり、基材フィルムを熱収縮させる際の温度等によっては、熱収縮適性を有さなくなり、重複部にズレや剥離が生じるおそれある。一方、含有量が上記上限値を上回ると、接着剤の凝集力が小さくなり、接着性が得られない結果、同様に、接着剤は、熱収縮適性を有さなくなる場合がある。なお、接着付与剤の含有量を前記範囲とすることにより、接着剤は、良好な熱収縮適性を発揮することができる。
【0085】
<軟化剤>
軟化剤は、接着剤の接着力が、低温時に低下するのを防止するために用いる。この軟化剤としては、例えば、鉱物油(合成オイル)類、植物油類、動物油類、パラフィン類、テルペノイド類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、アルコール類、はちみつ、クロタミトン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0086】
鉱物油類としては、例えば、ワセリン、プロセスオイル等が挙げられる。プロセスオイルとは、ゴムや熱可塑性エラストマー等の可塑剤として一般的に用いられるオイルであり、いわゆる石油精製等において生産されるオイルである。かかるプロセスオイルは、パラフィン系プロセスオイルと、ナフテン系プロセスオイルと、芳香族系プロセスオイルとに大別される。
【0087】
プロセスオイルは、芳香族系炭化水素と、ナフテン系炭化水素と、パラフィン系炭化水素との混合物である。一般に、全炭化水素に対して30重量%以上で芳香族系炭化水素を含むプロセスオイルは、芳香族系プロセスオイルと呼ばれ、全炭化水素に対して35〜45重量%でナフテン系炭化水素を含むプロセスオイルは、ナフテン系プロセスオイルと呼ばれ、全炭化水素に対して50重量%以上でパラフィン系炭化水素を含むプロセスオイルは、パラフィン系プロセスオイルと呼ばれている。
【0088】
パラフィン系原油に対して、例えば、蒸留、水素化改質、溶剤抽出、溶剤脱ロウ等の処理を施すことにより、パラフィン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が分離される。ナフテン系原油に対して、例えば、蒸留、溶剤抽出等の処理を施すことにより、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が分離される。
【0089】
中でも、鉱物油類としては、ナフテン系プロセスオイルおよび/またはパラフィン系プロセスオイルが好適である。かかる鉱物油類を含有する接着剤を用いることにより、基材フィルムを物品から手で剥がした際に、残渣を極めて少なくすることができる。
【0090】
植物油類としては、例えば、オリーブ油、カルナウバロウ、米胚芽油、コーン油、サザンカ油、ツバキ油、ヒマシ油、ホホバ種子油、ユーカリ葉油等が挙げられ、動物油類としては、例えば、ミンク油、ミツロウ等が挙げられる。
【0091】
また、パラフィン類としては、例えば、流動パラフィン、パラフィン等が挙げられ、テルペノイド類としては、例えば、スクワラン等が挙げられる。
【0092】
また、脂肪酸類としては、例えば、ミスチル酸、ミスチル酸亜鉛、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、脂肪酸エステル類としては、例えば、ミスチル酸イソプロピル、スリスチン酸オクチルドデシル、トリイソオクタン酸グリセリン、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、サリチル酸エチレングリコール、ジステアリン酸グリコール等が挙げられる。
【0093】
さらに、アルコール類としては、例えば、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、セテアリルアルコール、セタノール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。
【0094】
軟化剤の含有量は、接着剤100重量部中、25〜40重量%であることが必要である。ここで、軟化剤の含有量を前記範囲とすることにより、接着剤の接着力が、低温時に低下するのを確実に防止することできる。
【0095】
<軟化点が105〜140℃のポリエチレンワックス>
軟化点が105〜140℃のポリエチレンワックスは、接着剤の熱収縮適性を向上するため、例えば、冷却時の粘度と加熱時の粘度との差、すなわち、X−Yを大きくするために用いる。
【0096】
ここで、軟化点が105℃未満のポリエチレンワックスを用いた場合、接着剤は、熱収縮温度での接着力(凝集力)が低くなり、熱収縮適性を有さず、重複部にズレや剥離が生じる。一方、軟化点が140℃を上回るポリエチレンワックスを用いた場合、接着剤の塗工適性が低下し、基材フィルムへ塗工することができなかったり、擦れや糸曳きが生じる。特に、このポリエチレンワックスの軟化点は、110〜135℃程度であることが好ましく、115〜130℃程度であることがより好ましい。これにより、接着剤は、良好な熱収縮適性を発揮するとともに、安定的に基材フィルムに塗工することが可能となる。
【0097】
なお、軟化点の測定は、JIS K−2207(石油アスファルト)に規定された「6.4軟化点試験方法(環球法)」に準拠して行うことができる。
【0098】
かかるポリエチレンワックスは、加熱時における発熱ピークを示す温度V[℃]と、冷却時における吸熱ピークを示す温度W[℃]とが、V>Wを満足し、かつ、VとWとの差(V−W)ができる限り大きい値を示すものが好ましい。かかるポリエチレンワックスを用いることにより、前述したようなヒステリシス特性を示す接着剤を確実に調製すること
ができる。
【0099】
なお、ポリエチレンワックスの分子量(平均分子量)は、特に限定されないが、800〜8,000程度であることが好ましく、850〜5,000程度であることがより好ましい。
【0100】
ポリエチレンワックスの含有量は、接着剤100重量部中、
5〜30重量%であることが必要である。ここで、ポリエチレンワックスの含有量を前記範囲とすることにより、ヒステリシス特性がより確実に得られる。このため、接着剤は、良好な熱収縮適性を発揮することができる。
【0101】
このようなポリエチレンワックスは、例えば、ICI法(最も代表的な方法)、BASF法、du Pont法、Union Carbide法のような高圧法、フィリップス法、スタンダード(インジアナ)法のような中圧法、チーグラー法のような低圧法等を用
いて合成することができる。
【0102】
以上のポリエチレンワックス、エラストマー、接着付与剤および軟化剤を、上記のような配合比(重量%)で混合して、ホットメルト接着剤を調製することができる。具体的には、接着剤は、まず、軟化剤およびエラストマーを加熱・溶解して混合物を得た後、この混合物に接着付与剤を完全に溶解し、その後、この混合物にポリエチレンワックスを溶解することにより調製することができる。この際、混合物を加熱しつつ、回転数200〜500rpmでプロペラ式の攪拌翼を用いて攪拌することが好ましい。
【0103】
各成分を所定の配合比(重量%)で含有する接着剤は、優れた凝集力を維持することにより、良好な接着性を発揮し、基材フィルムを加熱により収縮させる際の重複部のズレや剥離を確実に防止することができる。
【0104】
本発明の包装材および包装材付き物品について、さらに詳細に説明する。
【0105】
本発明の包装材は、熱収縮性フィルムの少なくとも一方の面に、前述の熱収縮性フィルム用印刷インキからなるデザイン印刷層を有し、前記フィルムの左右2つ端部のうち、少なくとも一方の端部に、熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤(B)からなる接着層を積層したものである。
【0106】
例えば、
図2に示すように熱可塑性フィルムの一方の面にデザイン印刷層を全体または一部を有し(2-1)、同じ面側の一方の端部にデザイン印刷層に重なるように接着層(2-2)が形成される場合が考えられる。
【0107】
更に、
図3に示すように熱可塑性フィルムの一方の面にデザイン印刷層を全体または一部を有し(3-1)、同じ面側にデザイン印刷層に重なるように熱可塑性フィルムの両端に接着層(3-2、3-3)が形成されている。そして、
図3の接着層のうち少なくとも一方が、本願発明に係る熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤により形成されるなる接着層である必要がある。
【0108】
一方、他方の接着層は、本願発明に係る熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤であっても、その他一般的なホットメルト接着剤であっても良い。詳細は後述するが、当該接着層は、熱可塑性フィルムに接着させるための部位ではなく、ペットボトル等の物品に直接接着させるための部位だからである。一般的なホットメルト接着剤としては、アクリル系、ゴム系およびウレタン系などの接着剤から選ばれ、例えば、東洋アドレ社製、再剥離型ホットメルト接着剤ラベルメルトP−708J等は、接着性、リサイクル適性等の観点から好適である。
【0109】
基材フィルムとしては、例えば、延伸ポリエステル系フィルム、延伸ポリスチレン系フィルム、延伸ポリオレフィン系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、発泡ポリオレフィン系フィルム、延伸ポリエステル−ポリスチレン共押出しフィルム、発泡ポリスチレン系フィルム等が挙げられる。
【0110】
基材フィルムの形状は、特に限定されない。基材フィルムは、例えば、帯状(リボン状)等として用いられる。
【0111】
帯状の基材フィルムは、横一軸延伸フィルム、縦一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。横一軸延伸フィルムを用いた包装材は、予め筒状に形成し、物品の胴部の外周側に配置した後、熱収縮処理を行って包装材付き物品を製造する場合に好適である。また、搬送方向(長手方向)に沿って熱収縮可能である一軸延伸フィルム(MD(Machine Direction)方向一軸延伸フィルム)を用いた包装材は、物品の胴部の外周面に巻き付けた後、熱収縮処理を行って包装材付き物品を製造する場合に好適である。いずれの場合も、包装材(基材フィルム)で物品を確実に被覆することができる。
【0112】
かかる基材フィルムの延伸方向における熱収縮率は、5〜85%程度であることが好ましく、20〜60%程度であることがより好ましい。このような熱収縮率を有する基材フィルムを用いることにより、包装材は、熱収縮フィルムとしての効果を確実に発揮することができる。
【0113】
なお、本明細書において熱収縮率とは、100℃の温水に浸漬したときの熱収縮率であって、延伸方向の熱収縮率は、下記式に従って計算される。したがって、縦一軸延伸フィルムは、その搬送方向に収縮するため、搬送方向に対する熱収縮率が5〜85%程度であることが好ましく、横一軸延伸フィルムは、その幅方向に収縮するため、幅方向に対する熱収縮率が5〜85%程度であることが好ましい。なお、二軸延伸フィルムの場合、いずれかの延伸方向における熱収縮率が上記範囲内であることが好ましい。熱収縮率(%)=(加熱前の寸法−加熱後の寸法)/(加熱前の寸法)×100
【0114】
また、基材フィルムの平均厚さは、耐熱性、剛性、機械適性や外観等に応じて適宜設定され、特に限定されない。具体的には、基材フィルムの平均厚さは、10〜50μm程度であることが好ましく、10〜30μm程度であることがより好ましく、15〜25μm程度であることがさらに好ましい。本発明によれば、このように薄い基材フィルムであっても、破断することなく、物品を確実に被覆することができる。これにより
、包装材付き物品の製造コストの低減を図ることができる。
【0115】
なお、基材フィルムの構成材料には、必要に応じて、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤のような各種添加剤を添加してもよい。また、基材フィルムの表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理のような表面処理を施してもよい。これにより、基材フィルムの表面に対する印刷適性を向上することができる。
【0116】
なお、基材フィルムは、上記フィルムの単層フィルムに限定されず、2種類以上の上記フィルムの積層フィルムや不織布と前記フィルムとの積層フィルムであってもよい。さらに、基材フィルムの表面および/または裏面には、酸化珪素、酸化アルミニウム、アルミニウム等の蒸着膜を設けるようにしてもよい。基材フィルムを積層フィルムとする場合、その平均厚さは、10〜300μm程度とすることが好ましい。
【0117】
本発明の熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤(以下、単に「接着剤」と言うこともある。)は、軟化点が105〜140℃のポリエチレンワックスを、10〜30重量%と、エラストマーを、10〜20重量%と、接着付与剤を、25〜40重量%と、軟化剤を、25〜40重量%とで含む。ポリエチレンワックス、エラストマー、接着付与剤および軟化剤を含む接着剤は、特に、ポリエチレンワックスの作用により、固体状態から加熱して溶融状態とする時(加熱時)には、比較的高温においても高い粘度を維持し、一方、溶融状態から冷却して固体状態とする時(冷却時)には、比較的低温においても低い粘度を維持する特性(特徴)を発揮することができる。
【0118】
したがって、かかる接着剤は、基材フィルムを熱収縮させる熱収縮温度において、十分に高い粘度および凝集力を維持すること、すなわち、優れた熱収縮適性(シュリンク適性)を発揮することができる。その結果、基材フィルムを収縮させる際に、重複部(貼り合わせ部)にズレや剥離が生じることを確実に防止することができる。ここで、熱収縮適性は、熱収縮前の基材フィルムが貼り付けられた物品を、温度が90℃に調整された湯浴に3秒間浸漬した際に、重複部にズレや剥離が生じるか否かを確認することにより評価できる。
【0119】
特に、各成分を上記含有量で含むことにより、接着剤の特性がより顕著に発揮される。このような特性を接着剤が有するか否かは、接着剤が加熱時(昇温時)において所定の粘度となる温度と、冷却時(降温時)において所定の粘度となる温度との差の程度を指標として判断することができる。
【0120】
具体的には、加熱時において接着剤の粘度が500Pa・sとなる温度をX[℃]とし、冷却時(降温時)において接着剤の粘度が500Pa・sとなる温度をY[℃]としたとき、X>YかつX−Yが5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、15以上であることがさらに好ましい。これにより、接着剤は、加熱時には、比較的高温において十分に高い粘度を維持し、冷却時には、比較的低温において十分に低い粘度をより確実に維持することができる。なお、X−Yの上限値は、特に限定されないが、通常、30程度、好ましくは25程度、より好ましくは20程度である。
【0121】
温度Xは、特に限定されないが、90〜125℃程度であることが好ましく、95〜120℃程度であることがより好ましく、100〜120℃程度であることがさらに好ましい。これにより、接着剤は、加熱時において極めて高い温度においても、十分に高い粘度を維持すること、すなわち、優れた熱収縮適性を発揮することができる。
【0122】
特に、接着剤は、加熱時における90℃での粘度が1,000Pa・s以上であることが好ましく、4,000Pa・s以上であることがより好ましい。これにより、接着剤は、より優れた熱収縮適性を発揮することができる。
【0123】
一方、接着剤は、その塗工時において、十分に低い粘度を維持することができる。そのため、塗工に際して、接着剤の基材フィルムに対する塗工量が不安定になったり、擦れや糸曳きが生じることを防止できる。
【0124】
また、温度Yも、特に限定されないが、85〜110℃程度であることが好ましく、90〜105℃程度であることがより好ましく、90〜100℃程度であることがさらに好ましい。これにより、接着剤は、冷却時において極めて低い温度においても、十分に低い粘度を維持すること、すなわち、優れた塗工適性を発揮することができる。
【0125】
特に、接着剤は、冷却時における110℃での粘度が40Pa・s以下であることが好ましく、20Pa・s以下であることがより好ましい。これにより、接着剤は、より優れた塗工適性を発揮することができる。
【0126】
ここで、接着剤の冷却時および加熱時の粘度は、具体的には、レオメーターによって測定される値である。レオメーターによれば、接着剤における粘度の温度依存性を容易に測定可能である。なお、上記粘度は、例えば、動的粘度粘弾性測定装置(株式会社ユービーエム社製、「Rheosol−G3000」)を用いて測定することができる。
【0127】
例えば、接着剤は、
図1に示すような粘度挙動を示す。
図1は、レオメーターを用いて測定した熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤の粘度挙動を示す模式図の一例である。なお、
図1は、特定の組成の接着剤の粘度挙動を示すグラフであり、接着剤は、その組成に応じて粘度挙動が若干変化することは言うまでもない。
【0128】
接着剤を高温状態(溶融状態)から冷却していくと、その粘度は、Iの経路を辿って、2つの変曲点A、Bを通過して上昇する。次いで、接着剤を低温状態(固体状態)から加熱していくと、その粘度は、IIの経路を辿って、すなわち、冷却時とは異なった経路を辿って、2つの変曲点C、Dを通過して下降する。このように、冷却時と加熱時の粘度挙動が異なり(ヒステリシス(Hysteresis)特性を示し)、それらの差が大きいことが、本発明のホットメルト接着剤の特徴である。このような特性(物性)を有することにより、次のような効果が得られる。
【0129】
すなわち、従来の熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤では、塗工ヘッドとして、貯留タンクから吐出口までの距離(供給路の距離)が短いタイプのものを用いた場合、ホットメルト接着剤は、その温度が高い状態で、デザイン印刷層に塗工されることになる。そのため、熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤の温度が高過ぎ、基材フィルムが不本意に収縮してしまう。一方、これを回避すべく、貯留タンクから吐出口までの距離(供給路の距離)が長いタイプの塗工ヘッドを用いると、従来のホットメルト接着剤では、吐出口に至るまでに過度に冷却されてしまう結果、吐出口から吐出する際に擦れや糸曳きが生じてしまい、デザイン印刷層に塗工することができない。
【0130】
これに対して、本発明の熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤は、冷却時において比較的広い温度範囲において、十分に低い粘度を維持する。このため、この接着剤は、貯留タンクから吐出口までの距離(供給路の距離)の長短に係わらず、塗工ヘッドから確実に吐出することができ、デザイン印刷層に良好に塗工することができる。
【0131】
一方、基材フィルムを収縮させる際(加熱時)には、
図1中のIIの経路で示されるように、接着剤は、温度が比較的高くなっても、十分に高い粘度を維持するので凝集力が高く、良好な接着性を維持する。このため、基材フィルムが収縮しても、重複部(貼り付け面)にズレや剥離が生じるのを確実に防止することができる。なお、従来の熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤の粘度挙動は、冷却時および加熱時においてほぼ一致して直線的である。このため、従来の熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤は、高温になると、粘度が極端に低くなるので、基材フィルムを収縮させると、基材フィルムが物品から容易に脱落する。したがって、従来の熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤は、本発明に使用することができない。
【0132】
本発明の包装材は、熱収縮性フィルムの少なくとも一方の面に、前述の熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)からなるデザイン印刷層を有し、前記フィルムの左右2つ端部のうち、少なくとも一方の端部に、熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤(B)からなる接着層を積層したものである。
【0133】
例えば、
図2に示すように熱可塑性フィルムの一方の面にデザイン印刷層を全体または一部を有し(2-1)、同じ面側の一方の端部にデザイン印刷層に重なるように接着層(2-2)が形成される場合が考えられる。
【0134】
更に、
図3に示すように熱可塑性フィルムの一方の面にデザイン印刷層を全体または一部を有し(3-1)、同じ面側にデザイン印刷層に重なるように熱可塑性フィルムの両端に接着層(3-2、3-3)が形成されている。そして、
図3の接着層のうち少なくとも一方が、本願発明に係る熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤により形成されるなる接着層である必要がある。
【0135】
一方、他方の接着層は、本願発明に係る熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤であっても、その他一般的なホットメルト接着剤であっても良い。詳細は後述するが、当該接着層は、熱可塑性フィルムに接着させるための部位ではなく、ペットボトル等の物品に直接接着させるための部位だからである。一般的なホットメルト接着剤としては例えば、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、ウレタン系接着剤のような溶剤系または水系の接着剤のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0136】
ホットメルト接着剤を熱収縮フィルムまたはデザイン印刷層に塗工して接着層を形成するためには、熱収縮性フィルムに直接塗工する方法、ホットメルト接着剤を剥離シートに塗工したものを、熱収縮性フィルムに転写する方法(以下、転写塗工ともいう)がある。本発明においては後者が好ましい。
【0137】
直接塗工する方法としては、スリット塗工、カーテンスプレー、スパイラルスプレー、ドットまたはビード方式による塗工が好ましく、スリット塗工がより好ましい。
【0138】
転写塗工する方法としては、ロール塗工、スリット塗工が好ましい。具体的には、例えば、ハンドアプリケーターを用いてホットメルト接着剤を剥離シートに塗工した後、形成した接着層を熱収縮性フィルムまたはデザイン印刷層に転写できる。
【0139】
ホットメルト接着剤は、130〜200℃に加熱し、溶融させて塗工することが好ましい。そして、塗工温度は、90〜150℃が好ましく、110〜140℃がより好ましい。塗工温度が90℃未満の場合ホットメルト接着剤の粘度が高く安定に得することが難しい。一方、150℃以上の場合、塗工時熱収縮フィルムが収縮してしまう。
【0140】
接着層の厚みは10〜200μmが好ましい。またPETボトルを包装する場合は、10〜200g/m2がより好ましい。
【0141】
また、接着層の幅は、1〜100mmが好ましく、3〜100mmが好ましい。なお、接着層の幅とは、接着層の、包装材を物品に巻きつける方向における長さである。
【0142】
なお前記の方法(2)において、物品と包装材の端部を予め貼り付けておくための接着剤は、本願のホットメルト接着剤に限定されることは無く、各種公知の接着剤を用いることが出来る。例えば、東洋アドレ社製、再剥離型ホットメルト接着剤ラベルメルトP−708J等は、接着性、リサイクル適性等の観点から好適である。
【0143】
本発明の包装材は、物品を包装して使用することが好ましい。当該包装の態様は、物品全体を包装することができる。また、物品の一部、例えば飲料ボトルのキャップ部分を包装するように、物品の一部を包装することも好ましい。また、多数の物品をまとめて包装する、いわゆるマルチパックとして使用することも好ましい。
【0144】
本発明の包装材は、物品に装着し、加熱することで、包装材付き物品を製造できる。すなわち、物品の外周に包装材を装着する工程、次いで、加熱することで熱収縮性フィルムを収縮させる工程を有することが好ましい。
包装材を装着する方法としては、様々な方法が考え得るが、代表的な方法として、下記が例示できる。
あらかじめ包装材を円筒状にし、物品に装着する方法
物品に、包装材の一方の端部を予め貼り付けておき、次いで物品の外周に当該包装材を巻きつけて、包装材の両方の端部を重ねる方法
【0145】
物品としては、例えば、清涼飲料水、ビール、ウイスキー、調味料、洗剤、シャンプー、食用油、化粧品、医薬品などに使用される容器、ヨーグルト、プリンなどの包装に使用されるカップ、CDやDVD等のメディアやこれを収納するケース、乾電池単体のような筒状または柱状の胴部(部分)を備える物品等が挙げられる。
【0146】
また、筒状の胴部を備える容器の具体例としては、例えば、ガラス瓶のようなガラス容器、PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルのようなプラスチック容器、紙容器等が挙げられる。
【0147】
以上、本発明の熱収縮性フィルム用印刷インキ、ホットメルト接着剤、包装材、包装材付き物品の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明の熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)および熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤(B)、包装材および包装材付き物品を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明の包装材付き物品の製造方法では、任意の目的の1以上の工程が追加されてもよい。
【0148】
また、物品は、筒状または柱状の部分を胴部に備えなくてもよい。筒状または柱状の部分を胴部以外の部分に備える例としては、PETボトルの口部と、この口部に装着された蓋との組み合わせ、ワインボトルの口部と、この口部に嵌入されたコルク栓との組み合わせ等が挙げられる。本発明の包装材は、これらの部分に対して、例えば、改竄防止用フィルムとして用いることができる。
【0149】
さらに、物品は、筒状または柱状の部分を備えなくてもよく、その形状は、例えば、球状、立方体状、直方体状、不定形状(異形状)等のいかなる形状であってもよい。
【0150】
なお、本発明の熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤(B)で構成される接着部は、残渣なく物品から取り除くことできるとともに、熱アルカリ水溶液により物品から容易に取り除くこともできる。このため、物品がPETボトルである場合、特に、そのリサイクル適性が向上する。換言すれば、本発明は、PETボトルに用いるのに適している。
【0151】
また、接着部は、熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)からなるデザイン印刷層の一部のみでなく、全体(全面)に形成するようにしてもよく、基材フィルムの裏面または表面に散在する複数の点で構成してもよい。
【0152】
さらに、包装材付き物品は、物品の一部のみならず、その全体を包装材の熱収縮物で被覆した構成とすることもできる。
【実施例】
【0153】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、重量部および重量%を表す。
【0154】
<アミン価の測定方法>
試料を0.5〜2g精秤する。(試料量:Sg)精秤した試料に中性エタノール(BDG中性)30mLを加え溶解させる。得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なう。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い次の(式1)によりアミン価を求めた。
(式1) アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S
【0155】
<数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)>
v数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)の測定は、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「ShodexGPC System−21」を用いた。GPCは溶媒に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、溶媒としてはテトロヒドロフラン、重量平均分子量(Mn)の決定はポリスチレン換算で行った。
【0156】
<水酸基価(OHV)>
共栓三角フラスコ中に試料、約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
【0157】
<酸価(AV)>
共栓三角フラスコ中に試料化合物(B)を、約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容積比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。
乾燥状態の樹脂の値として、酸価(mgKOH/g)を次式により求めた。
酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
【0158】
<ホットメルト接着剤の粘度の測定方法>
得られたホットメルト接着剤を、プレート型レオメーターを用いて、粘度測定を行った。測定方法及び測定条件は下記の通りである。測定結果を表1に示す。・測定装置:動的粘度粘弾性測定装置 Rheosol−G3000(株式会社 ユービーエム社製
・測定モード:温度依存性
・チャック:パラレルプレート
・波形:正弦波
・パラレル直径:19.99mm
・キャップ:1mm
・降温粘度測定開始温度:180℃ 測定終了温度: 30℃
・昇温温度測定開始温度: 30℃ 測定終了温度:180℃
・降温速度:3℃/分
・昇温速度:3℃/分
・回転幅:2Hz,3deg
【0159】
<軟化点(℃)の測定法>
軟化点の測定は、JIS K−2207(石油アスファルト) 6.4軟化点試験方法(環球法)に準拠して行った。
【0160】
<熱収縮性フィルム用印刷インキ(A)の製造例>
(ポリエステルジオールの合成例)
攪拌機、温度計、分水器および窒素ガス導入管を備えた丸底フラスコに、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(以下BEPGと略す)56.846部、アジピン酸43.152部、テトラブチルチタネート0.002部を仕込み、窒素気流下に230℃で縮合により生じる水を除去しながらエステル化を8時間行った。ポリエステルの酸価が15以下になったことを確認後、真空ポンプにより徐々に真空度を上げ反応を終了した。これにより水酸基価56.1mgKOH/g(水酸基価から算出される数平均分子量2000)、酸価0.3mgKOH/gのポリエステルジオ−ルを得た。
【0161】
(ウレタン樹脂合成例1)
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、先述のポリエステルジオ−ル22.226部、イソホロンジイソシアネート5.434部、酢酸エチル7.500部を仕込み、窒素気流下に120℃で6時間反応させ、酢酸エチル7.500部を加え冷却し、末端イソシアネートプレポリマーの溶液42.663部を得た。次いでイソホロンジアミン2.203部、ジn−ブチルアミン0.138部、酢酸エチル20.000部およびエタノール20.000部を混合したものへ、得られた末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液42.663部を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、エタノール15.000部を添加し、固形分30.0%、重量平均分子量24000、アミン価4.0mgKOH/樹脂1gのポリエステルウレタンを得た。
【0162】
(ウレタン樹脂合成例2)
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコに数平均分子量(以下Mnという)2000のポリプロピレングリコール(PPG2000、日本油脂社製)1041.6部、イソホロンジイソシアネート266.7部、2−エチルヘキシル酸第一錫0.25部及び酢酸エチル200部を仕込み、窒素気流下に85℃で3時間反応させ、酢酸エチル366.0部を加え冷却し、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液1874.6部を得た。次いでイソホロンジアミン91.3部、ジ−n−ブチルアミン1.54部、アミノエチルエタノールアミン6.2部、酢酸エチル1200部、イソプロピルアルコール1120部を混合した物に、得られた末端イソシアネートプレポリマー1581.1部を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、固形分30%、重量平均分子量35000のポリエーテルウレタンを得た。
【0163】
(塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂の調製)
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂(ソルバインTA5R日信化学(株)製)25部を、酢酸エチル75部に混合溶解させて、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂ワニスを得た。水酸基価166.3KOHmg/g。
【0164】
(インキ1)
チタニックスJR−805(テイカ社製)30.0部、ポリエステルウレタン20.0部、酢酸エチル5.0部、エタノール5.0部を撹拌混合しサンドミルで練肉した後、ポリエステルウレタン30.0部、酢酸エチル5.0部、エタノール5.0部を攪拌混合し白色印刷インキ(W1を得た。得られた白色印刷インキ(W1)100部に、脂肪酸アマイト゛P(花王株式会社製)を5部、W1と同一溶剤組成である酢酸エチル/エタノール混合溶剤(重量比50/50)50部を希釈溶剤として添加混合し、白色希釈印刷インキ(インキ1)を得た。
【0165】
(インキ2〜8)
表1の仕込み比にて、インキ1と同様の操作で、白色印刷インキ(W2〜8)、白色希釈
印刷インキ(インキ2〜8)を得た。なお、錬肉前後の溶剤種、溶剤量はインキ1の製造例と同一である。なおポリイソシアネート硬化剤が入ったインキは以下の成分を用いて調整した。
本明細書において、インキ1、2、5、および6は参考例である。
【0166】
<イソシアネート硬化剤>
・デュラネートD101(旭化成株式会社製)(以下「D101」)
ジイソシアネートがHDIでありポリイソシアネートの変性体が2官能プレポリマー
・マイテックNY260A(三菱化学株式会社製)(以下「NY260A」)
ジイソシアネートがIPDIでありポリイソシアネートの変性体がアダクト型
・タケネートD110NB(三井化学株式会社)(D110NB)
ジイソシアネートがXDIでありポリイソシアネートの変性体がアダクト型
【0167】
【表1】
【0168】
熱収縮性フィルム用ホットメルト接着剤(B)に使用した原料は、以下の成分を用いて調製した。
【0169】
<エラストマー>
・クレイトンG1650(クレイトンポリマー社製)(以下、「G1650」と略す。)
スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックポリマー(SEBS)
ジブロック量:0%
溶融粘度:8Pa・s
・クレイトンG1652(クレイトンポリマー社製)(以下、「G1652」と略す。)
スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックポリマー(SEBS)
ジブロック量:0%
溶融粘度:1.350Pa・s
【0170】
なお、溶融粘度は、エラストマー濃度25%のトルエン溶液の25℃での溶融粘度である。また、溶融粘度の測定は、B型粘度計(東機産業社製、「RB80L」)およびローターNo.3を用いて適した回転数で行った。
【0171】
<接着付与剤>
・ハリタックF(ハリマ化成社製)(以下、「HAF」と略す。)
水添ロジン
酸価:175mgKOH/g
軟化点:72℃
・YSポリスターT30(ヤスハラケミカル社製)(以下、「T30」と略す。)
テルペンフェノール樹脂
軟化点:30℃
【0172】
<軟化剤>
・ダイアナフレシアN90(出光興産社製)(以下、「N90」と略す。)
パラフィン系プロセスオイル
・トプコS977(東洋アドレ社製)(以下、「S977」と略す。)
ワセリン
・リケマールPL012(理研ビタミン社製)(以下、「PL012」と略す。)
脂肪酸エステル
・精製ヤシ油(市販品)(以下、「RCO」と略す。)
植物油類
・ハイコールK350(カネダ社製)(以下、「K350」と略す。)
パラフィン
【0173】
<ポリエチレンワックス>
・ポリワックス500(ベーカー・ペトロライト社製)(以下、「PW500」と略す。)
分子量:500
軟化点:88℃
分散度:1.0
針入度:6.5
・ポリワックス850(ベーカー・ペトロライト社製)(以下、「PW850」と略す。)
分子量:850
軟化点:107℃
分散度:1.0
針入度:1.0
・ポリワックス1000(ベーカー・ペトロライト社製)(以下、「PW1000」と略す。)
分子量:1000
軟化点:117℃
分散度:1.08
針入度:1.0
・ポリワックス2000(ベーカー・ペトロライト社製)(以下、「PW2000」と略す。)
分子量:2000
軟化点:128℃
分散度:1.10
針入度:0.5
・ポリワックス3000(ベーカー・ペトロライト社製)(以下、「PW3000」と略す。)
分子量:3000
軟化点:130℃
分散度:1.10
針入度:0.5
・エクセレックス40800(三井化学社製)(以下、「EX40800」と略す。)
分子量:4000
軟化点:135℃
分散度:1.20
針入度:1.0
【0174】
<熱収縮フィルム用ホットメルト接着剤(B)の製造例>
(接着剤1)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、軟化剤としてN90:35部と、エラストマーとしてG1652:20部と、接着付与剤としてT30:5部とを投入し、加熱して溶融した。なお、この加熱は、内容物の温度が130℃未満150℃超にならないようにして行った。
【0175】
その後、攪拌を行って、均一溶融溶液を得た。溶融溶液を150℃未満の温度に保持しつつ、かつ攪拌を続けながら、この溶融溶液に接着付与剤としてHAF:35部を徐々に添加し、その後、ポリエチレンワックスとしてPW2000:5部を添加した後、冷却してホットメルト接着剤を得た。
【0176】
また、得られたホットメルト接着剤について、プレート型レオメーターを用いて、粘度測定を行った。その結果、加熱時において粘度が500Pa・sとなる温度が108℃、冷却時において粘度が500Pa・sとなる温度が89℃であった。また、加熱時における90℃での粘度が1,000Pa・s、冷却時における110℃での粘度が8.9Pa・sであった。
【0177】
なお、粘度の測定方法および測定条件は下記の通りである。
・測定装置:動的粘度粘弾性測定装置(株式会社ユービーエム社製、「Rheosol−G3000」)
・測定モード:温度依存性
・チャック:パラレルプレート
・波形:正弦波
・パラレル直径:19.99mm
・キャップ:1mm
・降温粘度測定開始温度:180℃ 測定終了温度: 30℃
・昇温粘度測定開始温度: 30℃ 測定終了温度:180℃
・降温速度:3℃/分
・昇温速度:3℃/分
・回転幅:2Hz、3deg
【0178】
(接着剤2〜11)
各原料を表2に記載された通りに変更し、接着剤1と同様の方法で、接着剤2〜11を得た。
【0179】
【表2】
【0180】
(接着剤12〜13)
各原料を表3に記載された通りに変更し、接着剤1と同様の方法で、接着剤12〜13を得た。
【0181】
【表3】
【0182】
本明細書において、下記実施例1〜12、15、16、および19は参考例である。
[実施例1]
<印刷物の作成方法>
NBR(ニトリルブタジエンゴム)製のゴム硬度80Hsの圧胴、刃先の厚みが60μm(母材の厚み40μm、片側セラミック層の厚み10μm)のセラミックメッキドクターブレード、東洋プリプレス株式会社製のクロム硬度1050Hvの電子彫刻版(スタイラス角度130度、色インキ用:175線/inch、白インキ用:175線/inch)、およびインキ1を、富士機械工業株式会社製グラビア印刷機にセットし、ドクター圧2
kg/cm2、印圧2kg/cm2、印刷速度60m/分、乾燥温度F60℃の条件で、厚さ20μmのMD方向一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製)に印刷し、デザイン印刷層1を有する印刷物1を得た。
【0183】
<包装材付き物品試験用包装材1(S1)の作成方法>
まず、厚さ20μm、幅60mm、長さ250mmの大きさにカットした印刷物1を用意した。次に、接着剤1を離型紙に150℃に加熱したハンドアプリケーターを用いて、塗工量80〜120g/m2になるように塗工を行なって、塗工物を得た。次いで、塗工物を必要な大きさに切り取り、印刷物1の印刷面側の一端部に転写し、2Kgのロールを1往復させて、接着部を形成した。これにより、包装材付き物品試験用包装材を得た。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムの延伸方向における熱収縮率は、約44%であった。
【0184】
<塗工適正試験用包装材1(T1)の作成方法>
塗工適性試験に際しては、包装材付き物品試験用包装材1の塗工方法とは、別の塗工方法を用いた。具体的には、ノードソン社製メルターシリーズ3400(スリットコーター方式)を用い、塗工機の温度140℃、ホース温度140℃、ヘッド温度110℃、塗工速度20〜150m/minの条件で、印刷物1に、接着剤1を塗工した。さらに、別途、塗工を1時間停止させ、再度塗工した。これら一連の試験サンプルを、塗工適正試験用サンプル1(T1)とした。
【0185】
[実施例2〜18]
インキ1〜8、接着剤2〜11を、表4に記載された通りに、実施例1同様の方法で印刷、積層し、包装材付き物品試験用包装材2〜18(S2〜S18)、塗工適性試験用サンプル2〜18(T2〜T18)を得た。
【0186】
[実施例19]
ホットメルト接着剤(製品名トヨメルトP-708K、東洋ア
ドレ社製)を150度に加熱し、溶融させた。それを離型シートにハンドアプリケーターを用いて塗工厚30μm、幅15mmになるように塗工することで物品接着層を形成した。当該物品接着層を、シュリンク適性試験用包装材1の接着層1が形成されていない他方の端部に転写し、積層することで包装材付き物品試験用包装材19(S19)を得た。
実施例19は、実施例1〜18と異なり、物品に包装材の一方の端部を予め貼り付けておき、次いで物品の外周に当該包装材を巻きつけて、包装材の両方の端部を重ねる方法を評価するための実施例である。従って、塗工適性試験用サンプルは、塗工適正試験用サンプル1(T1)と同一となるため作成していない。
[比較例1〜2]
インキ1、接着剤12〜13を、表4に記載された通りに、実施例1同様の方法で印刷、積層し、包装材付き物品試験用包装材20〜21(S20〜S21)、塗工適性試験用サンプル20〜21(T20〜T21)を得た。
【0187】
[比較例3]
MD方向一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製)を縦17cm、横22cmの大きさにカットし、当該フィルムの端部に、接着剤1を、実施例1と同様の方法で転写することで、デザイン印刷層を有さない包装材付き物品試験用包装材22(S22)、塗工適性試験用包装材22(T22)を得た。
【0188】
【表4】
【0189】
表4の説明は以下の通りである。
○:該当するインキ、接着剤を印刷、積層している。
空白又は“無し”:該当するインキ、接着剤は使用していない。
実施例1を例に取って説明すると、インキ1を印刷した印刷物1に、接着剤1を積層した包装材を作成している。さらに、接着剤の積層方法の違いによって、包装材付き物品試験用包装材1(S1)、塗工適性試験用包装材1(T1)の2種類を作成している。
また、比較例3についても説明すると、印刷物は使用しておらず、ポリエチレンテレフタレートフィルムに接着剤1のみを積層した包装材を作成している。
【0190】
[包装材付き物品試験用サンプル1]
包装材付き物品試験用包装材1を、接着部1を内側にして当該接着部の全ての部分が、当該包装材1の他方の端部に重なるように貼り合わせて円筒状の包装材加工品1を作成した。包装材加工品1を円周200mmの円筒状のPETボトルの胴部に装着することで包装材付き物品試験用サンプル1(SS1)を得た。
【0191】
[包装材付き物品試験用サンプル2〜18]
包装材付き物品試験用包装材2〜18を、試験サンプル1と同様の方法で、PETボトルの胴部に装着することでシ包装材付き物品試験用サンプル2〜18(SS2〜SS18)を得た。
【0192】
[包装材付き物品試験用サンプル19]
包装材付き物品試験用包装材19の物品接着層を円周200mmの円筒状のPETボトルの胴部に貼り付けた。次いで、当該包装材19の接着層1の全ての部分が当該包装材19の他方の端部に重なるように、当該PETボトルの外周に巻きつけることで包装材付き物品試験用サンプル19(SS19)を得た。
【0193】
[包装材付き物品試験用サンプル20〜22]
包装材付き物品試験用包装材20〜22を、試験サンプル1と同様の方法で、PETボトルの胴部に装着することで包装材付き物品試験用サンプル20〜22(SS20〜SS22)を得た。
【0194】
各実施例および各比較例で作製された包装材付き物品試験用サンプルおよび塗工適性試験用サンプルについて、以下の試験を行った。その試験結果を、表5に示す。
【0195】
【表5】
【0196】
<リサイクル適性試験>
包装材付き物品試験用サンプル1〜22(SS1〜SS22)を約8×8mm角に粉砕して、フィルムが付いた状態のPETボトルのペレットとした。1,000mLの丸型フラスコに、90℃の1.5wt%水酸化ナトリウム水溶液360gとペレット40gとを入れて、プロペラ(攪拌羽)を用いて250rpmで攪拌した。15分経過後、ペレットを含む水酸化ナトリウム水溶液をフィルターで濾過し、ペレットにホットメルト接着剤が付着しているか否かを目視で確認し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0197】
◎:ペレットにホットメルト接着剤が付着していなかった。
×:ペレットにホットメルト接着剤が付着していた。
【0198】
<熱収縮適性試験>
得られた包装材付き物品試験用サンプル1〜22(SS1〜SS22)を90℃に加熱した湯浴に浸漬することで熱収縮フィルムを収縮させてポリエチレンテレフタレートフィルムの重複部に剥離やズレ、熱収縮フィルムの熱収縮の阻害が生じているか否かを目視で確認し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0199】
◎:熱収縮フィルムの熱収縮を阻害せず重複部のズレが1mm以下であり、かつ、剥離していなかった。
○:熱収縮フィルムの熱収縮を阻害せず重複部のズレが2mm以下であり、かつ、剥離していなかった。
○△:熱収縮フィルムの熱収縮を若干阻害しているが実用範囲内である。また、重複部のズレが1mm以下であり、かつ、剥離していなかった。
△:熱収縮フィルムの熱収縮を阻害せず重複部のズレが2mm以下であるが、若干剥離していた。
×:熱収縮フィルムの熱収縮を阻害せず重複部のズレが2mmを超えていたか、または、大きく剥離していた。
【0200】
<塗工適性および1時間停止後の塗工適性>
塗工機(ノードソン社製、「メルターシリーズ3400」)を用いて、スリットコーター方式で先述したように、塗工適性試験用サンプル1〜18、20〜22(T1〜T18、T20〜T22)に、塗工速度20〜150m/minの速度でホットメルト接着剤を塗工して、塗工適性を、以下の評価基準に基づいて評価した。また、ホットメルト接着剤の塗工を1時間停止した後、再度塗工した際の塗工適性も、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、塗工機の温度設定を140℃、ホース設定温度を140℃、ヘッド設定温度を110℃とした。
【0201】
◎:ホットメルト接着剤の塗工に全く問題がなかった。
○:ホットメルト接着剤の塗工にほぼ問題がなかった。
△:ホットメルト接着剤を若干塗工し難かった。
×:ホットメルト接着剤の塗工面が擦れたか、または、ホットメルト接着剤を塗工できなかった。
【0202】
<デザイン層の耐摩擦試験>
学振型耐摩擦試験機を用いて、塗工適性試験用サンプル1〜18、20〜22(T1〜T18、T20〜T22)のデザイン層対上質紙で、荷重200g、100回擦った際のインキとられを以下の評価基準に基づいて評価した。
【0203】
◎:デザイン印刷層のインキ取られはなかった。
○:デザイン印刷層のインキ取られはほとんどなかった(10%未満)。
△:デザイン印刷層のインキ取られがあった(10%以上50%未満)。
×:デザイン印刷層のインキ取られがおおきくあった(50%以上)。