特許第6089600号(P6089600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6089600
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】照射ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20170227BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20170227BHJP
   F21V 9/08 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   G01N21/84 E
   G01N21/84 D
   F21V8/00 300
   F21V8/00 200
   F21V9/08 100
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-242293(P2012-242293)
(22)【出願日】2012年11月2日
(65)【公開番号】特開2014-92413(P2014-92413A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 大作
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 静二
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特表平10−509238(JP,A)
【文献】 特開2011−214865(JP,A)
【文献】 実開平07−029451(JP,U)
【文献】 特開平05−288937(JP,A)
【文献】 特開2009−085691(JP,A)
【文献】 特開2003−232747(JP,A)
【文献】 特開2003−042971(JP,A)
【文献】 特開2002−310917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の表面の欠陥を目視検査するために用いられ、光源の光を検査対象に照射する照射ユニットにおいて、
前記光源の光が入射し導光する導光ロッドを備え、
前記導光ロッドの外側面に光拡散面を設け、
前記光拡散面から放射された拡散光を前記表面に局所的に照射し、当該局所的な照射によって生じる照射野の近傍に存在する欠陥を陰影により視認可能にすることを特徴とする照射ユニット。
【請求項2】
前記光源の光を導光ロッドに導入し、当該導光ロッドの表面から放射される光を拡散させて前記拡散光を生じさせ、前記照射野の近傍において、前記欠陥の凹凸により生じる反射光と、前記欠陥の凹凸が無い箇所での反射光との光量の差によって前記陰影を可視化させることを特徴とする請求項1に記載の照射ユニット。
【請求項3】
前記導光ロッドと前記光源の間を屈曲自在なファイバで接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載の照射ユニット。
【請求項4】
前記拡散光の波長を選択する波長選択フィルタを交換自在に備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の照射ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象の表面の欠陥を目視にて検査するための照射ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックやゴム等の樹脂成形品は、自動車部品、家庭電器部品、住宅建材部品などの幅広い用途に使用されている。また樹脂の成形に射出成形を用いた場合、樹脂成形品の表面にヒケ等の欠陥(不良)が発生することが知られている。射出成形では、不良品が1つ発生した場合、その不良品と同じロットを構成する他の成形品についても不良が発生し得ることから、このロットの全ての成形品の出荷を停止し、或いは、このロットの全ての成形品について再度、検査をする等の処置がとられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
成形品表面の欠陥検査には、画像処理を使用する手法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、ヒケ等の欠陥の凹凸形状は金型や材料、製作条件等によって異なることから予めパターン化することが難しく、更には、表面に検出された凹凸が設計された形状なのか、或いは欠陥による形状なのかを画像処理により区別することが困難である。
このため、成形品表面の欠陥検査は、検査担当者が目視による検査が一般に行われている。目視検査においては、検査担当者が蛍光灯の下に検査対象を配設し、検査対象の表面に当たる光の角度を変えることにより、その表面に存在する欠陥を目視で検査している(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−292034号公報
【特許文献2】特開2008−215875号公報
【特許文献3】特開平8−178860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、目視検査では、被検査対象に蛍光灯の光を全体的に照射した場合、欠陥によってできる陰影が蛍光灯の光と重なってしまい判別が困難になる。このため微細な欠陥を発見しようとすると非常に熟練した技能が必要となり、未熟者では微細な欠陥を見落としたり、発見に時間を要する、といった問題があった。
なお、この問題は、樹脂成形品に限らず、例えば金属を鋳造した成形品を目視検査する際にも同様に生じる課題である。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、検査対象の表面の欠陥を視認し易くできる照明ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、検査対象の表面の欠陥を目視検査するために用いられ、光源の光を検査対象に照射する照射ユニットにおいて、前記光源の光が入射し導光する導光ロッドを備え、前記導光ロッドの外側面に光拡散面を設け、前記光拡散面から放射された拡散光を前記表面に局所的に照射し、当該局所的な照射によって生じる照射野の近傍に存在する欠陥を陰影により視認可能にすることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記照射ユニットにおいて、前記光源の光を導光ロッドに導入し、当該導光ロッドの表面から放射される光を拡散させて前記拡散光を生じさせ、前記照射野の近傍において、前記欠陥の凹凸により生じる反射光と、前記欠陥の凹凸が無い箇所での反射光との光量の差によって前記陰影を可視化させることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記照射ユニットにおいて、前記導光ロッドと前記光源の間を屈曲自在なファイバで接続したことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記照射ユニットにおいて、前記拡散光の波長を選択する波長選択フィルタを交換自在に備えることを特徴とする。
【0011】
また上記目的を達成するために、本発明は、光を検査対象に照射して当該検査対象の表面の欠陥を目視検査する目視検査方法において、前記光を拡散させた拡散光を前記表面に局所的に照射し、当該局所的な照射によって生じる照射野の近傍に存在する欠陥を陰影により視認可能にすることを特徴とすることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、拡散光を検査対象の表面に局所的に照射し、当該局所的な照射によって生じる照射野の近傍に存在する欠陥を陰影により視認可能にする構成としたため、従来の蛍光灯による目視検査に比べて、より微細な欠陥でも陰影が視認し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る照射ユニットの概略構成図である。
図2】照射装置の構成を模式的に示す図である。
図3】導光ロッドの構成を模式的に示す図であり、(A)は全体斜視図、(B)は長手方向に沿った断面図、(C)は外側面から放射される放射光の長手方向の光量分布の一例を模式的に示す図である。
図4】検査対象の表面に光を照射した様子を示す図であり、(A)は本実施形態の照射ユニットの検査光を照射した場合を示し、(B)は蛍光灯の光を照射した場合を示し、また(C)は点光源からの発散光を照射した場合を示す。
図5】蛍光灯の光を欠陥箇所に照射した場合の反射の様子を示す模式図である。
図6】点光源の光を欠陥箇所に照射した場合の反射の様子を示す模式図である。
図7】照射ユニットの検査光を欠陥箇所に照射した場合の反射の様子を示す模式図である。
図8】検査対象の表面の輝度分布を示す模式図であり、(A)は検査光の光源が蛍光灯である場合、(B)は検査光の光源が点光源である場合、(C)は検査光の光源が照射ユニットである場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る照射ユニット1の概略構成図である。
照射ユニット1は、例えば自動車の内装用の樹脂成形品を検査対象2とし、当該検査対象2の表面2Aに検査光3を照射して、表面2Aにおける欠陥の有無を目視検査する際に用いられるユニットである。この照射ユニット1は、図1に示すように、光を発する照射装置4と、照射装置4の光を導く所定長のフレキシブルなバンドルファイバ5と、バンドルファイバ5で導かれた光を検査光3として発する導光ロッド6とを備えている。
【0015】
図2は照射装置4の構成を模式的に示す図である。
照射装置4は、同図に示すように、光源の一例たる集光型放電ランプユニット7と、球レンズ8とを備え、集光型放電ランプユニット7の光をバンドルファイバ5に球レンズ8を通じて入射する。
集光型放電ランプユニット7は、放電ランプ10と、第1焦点f1、及び第2焦点f2を有する回転楕円反射鏡11とを備えている。放電ランプ10は、電極間距離が1〜1.5mmに形成され、陰極側を回転楕円反射鏡11の開口端11Aに向け、陽極側を回転楕円反射鏡11の底部11Bの側に向けて取り付けられている。また、放電ランプ10は、その電極間に生ずるアークの発光点10Aが回転楕円反射鏡11の第1焦点f1に位置するように配されており、この放電ランプ10の光が回転楕円反射鏡11によって第2焦点f2で集光されるようになっている。
【0016】
回転楕円反射鏡11は、内表面に誘電体多層膜を蒸着して可視光を反射し赤外波長域の光を透過する、いわゆるコールドミラーとして構成されており、反射光に赤外波長域の光が含まれないようにしている。
照射装置4の正面には、回転楕円反射鏡11の光軸Kと同軸に筒体12が出射端として設けられており、この筒体12の中に上記球レンズ8が配設され、また、この筒体12の先端に上記バンドルファイバ5が接続されている。
バンドルファイバ5は、多数本の光ファイバを結束し、その両端に端末金具13A、13B(図1参照)を取り付けて構成したものである。この照射装置4では、バンドルファイバ5における光ファイバの結束径に合わせて光を広げて入射する構成としている。すなわち、この照射装置4では、図2に示すように、上記回転楕円反射鏡11の第2焦点f2が筒体12の手前に設定されており、球レンズ8には第2焦点f2で集光した光が入射し、この球レンズ8が光束をバンドルファイバ5の結束径に合わせて広げて当該バンドルファイバ5に入射する。
【0017】
バンドルファイバ5は、所定の長さを有し、屈曲自在(フレキシブル)に構成されたものであり、その端部の端末金具13Bに導光ロッド6が接続されており、照射装置4からバンドルファイバ5に入射した光が当該バンドルファイバ5を導光して導光ロッド6に入射される。導光ロッド6は、棒状(ロッド状)の導光体であり、その外側面6Aから検査光3を放射する。
検査担当者が検査対象2の表面2Aに検査光3を照射して、表面2Aにおける欠陥の有無を目視検査する際には、バンドルファイバ5の端末金具13Bの辺りを把持し、図1に示すように、表面2Aに対して導光ロッド6を平行に移動させる。このとき、導光ロッド6が屈曲自在なバンドルファイバ5で照射装置4に接続されているので、表面2Aが曲面等であっても、その表面2Aの形状に合わせて導光ロッド6の姿勢を任意に変えて検査光3を照射できる。
【0018】
この照射装置4の放電ランプ10には、紫外波長域から赤外波長域に亘る広い波長帯域の光を放射するランプが用いられている。そして、この照射ユニット1では、放電ランプ10の波長帯域から所定帯域を選択して検査光3に利用可能にするために、波長選択フィルタ14がバンドルファイバ5の入射端面に交換自在に設けられている。検査光3の照射野15(図1)での発色は、波長選択フィルタ14が選択する波長帯域によって変わることから、検査担当者は、上記波長選択フィルタ14を適宜に交換することで、検査対象2の表面2Aの地の色と照射野15の検査光3の発色との対比において、欠陥の陰影が鮮明に視認できる発色を自在に選定できる。
【0019】
図3は導光ロッド6の構成を模式的に示す図であり、図3(A)は全体斜視図、図3(B)は長手方向に沿った断面図、図3(C)は外側面から放射される放射光の長手方向の光量分布の一例を模式的に示す図である。
この導光ロッド6は、図3(A)に示すように、樹脂、或いはガラス製の四角柱であり、図3(B)に示すように、一端面20Aから入射した光Pinが内側面(外側面6Aの内側の面)で反射を繰り返しながら他端面20Bに導光する光学部材である。また、この導光ロッド6の外側面6Aは、その全面にフロスト加工が施されることで光拡散面21として形成されている。このため、導光ロッド6の内側面での光の反射も光拡散面21での反射となるから、この反射の際に光拡散面21から漏れ出る光成分Pmが生じ、この光成分が光拡散面21を透過する際に更に拡散されて検査光3として導光ロッド6の外側面6Aから周方向に放射される。また、図示を省略するが、入射した光Pinが内面の光拡散面21で反射する際には、全反射条件を満たさない反射角で反射する光成分も発生する。これらの結果、導光ロッド6の外側面6Aから放射される長手方向の光量分布は、図3(C)に示すように、長手方向において不均一な状態、すなわち、長手方向において照度の明暗を生じた状態で、外側面6Aの略全面から拡散光が検査光3として放射されることとなる。長手方向における不均一性、及び光量が最大となる位置は、導光ロッド6に入射させる光Pinの入射角を可変することで制御される。
検査対象2の表面2Aに対して導光ロッド6を平行に配置すると、図1に示すように、導光ロッド6の形状、及び寸法に応じた箇所(この実施形態では棒状に延びた箇所)が検査光3によって局所的に照らされる。なお、この明細書において、局所的な照射とは、検査対象2の表面2Aにおいて検査光3の照射野15の近傍に照射野15に比べて暗い暗部が生じる照射を言う。この照射野15の中においても、上述の通り、導光ロッド6の長手方向の検査光3の光量分布に応じた明暗が生じている。
【0020】
発明者は、実験等を通じて、検査光3の局所的な照射によって生じる照射野15の近傍に、欠陥を含んだ欠陥箇所Xが存在する場合には、その欠陥箇所Xに欠陥に応じた陰影が視認可能に生じるとの知見を得た。すなわち、この実施形態では、検査対象2の表面2Aで、導光ロッド6の長手方向に延びる照射野15を当該長手方向に略垂直に移動させながら、その移動方向の照射野15の近傍であって、この照射野15よりも暗い暗部において、陰影の有無を目視で確認することで、目視検査が可能となる。
【0021】
図4は検査対象2の表面2Aに光を照射した様子を示す図であり、図4(A)は本実施形態の照射ユニット1の検査光3を照射した場合を示し、図4(B)は蛍光灯の光を照射した場合を示し、また図4(C)は点光源からの発散光を照射した場合を示す。なお、これらの図では、ヒケによる欠陥が存在する箇所を欠陥箇所Xで示している。
図4(A)から明らかなように、照射ユニット1の検査光3を検査対象2に照射した場合、その照射野15の移動方向の近傍であって照射野15よりも暗い暗部に存在する欠陥箇所Xに、欠陥に起因した陰影が明瞭に生じて視認できることが分かる。
一方、図4(B)に示すように、同じ欠陥箇所Xを蛍光灯の光で照らすと、表面2Aが欠陥箇所Xも含めて一様に照らされてしまうため、欠陥による陰影に蛍光灯の光が重なり、この欠陥箇所Xの欠陥が視認不能になっていることが分かる。また、点光源からの発散光を表面2Aに照射した場合も、蛍光灯の場合と同様に、欠陥による陰影に発散光が重なってしまい、この欠陥箇所Xの欠陥が視認不能になっている。
すなわち、照射ユニット1の検査光3を目視検査に用いることで、同じ欠陥箇所Xであっても、従来の蛍光灯の光では視認が困難な微細な欠陥でも視認可能になることが分かる。
【0022】
図5は蛍光灯50の光を欠陥箇所Xに照射した場合の反射の様子を示す模式図、図6は点光源51の光を欠陥箇所Xに照射した場合の反射の様子を示す模式図、及び、図7は照射ユニット1の検査光3を欠陥箇所Xに照射した場合の反射の様子を示す模式図である。
また図8は表面2Aの輝度分布を示す模式図であり、図8(A)は検査光の光源が蛍光灯である場合、図8(B)は検査光の光源が点光源である場合、図8(C)は検査光の光源が照射ユニット1である場合を示す。
蛍光灯50の光を照射した場合、図5に示すように、表面2Aに対して蛍光灯50の拡散光は略平行光に近くなり、また、この平行光が欠陥箇所Xを含む表面2Aの全体に照射される。このため、図5、及び図8(A)に示すように、表面2Aでは照射面全体の輝度が平坦になる。したがって、欠陥箇所Xの微細な欠陥Xaにおいては、その欠陥Xa、及び欠陥Xaの境界部a、bと、他の箇所(欠陥Xaが無い箇所)との間での輝度差が生じ難く陰影が生じにくいため、目視による欠陥Xaの有無の判別が困難である。
また、図8(A)に示すように、蛍光灯50の光量(光束)を変え、欠陥Xaの陰影の明るさを明るさの差Lだけ変えても欠陥Xaの輝度はあまり変化しない。すなわち、蛍光灯50の明るさを変えても欠陥Xaの陰影が顕著にはならず、陰影の目視には効果が無い。
【0023】
点光源51の発散光を照射した場合、図6に示すように、点光源51の照射位置を表面2Aに対して移動させて欠陥Xaを検査することとなる。この場合、欠陥箇所Xが点光源51の直下dから外れた照射位置に点光源51が移動すると、図8(b)に示すように、直下dの最大輝度に欠陥Xaの輝度が埋もれることがない。しかしながら、点光源51の場合でも、上述の通り、欠陥Xaによる輝度に発散光が重なることから、微細な欠陥Xaが視認し難くなる。点光源51の光量を変え、欠陥Xaの陰影の明るさを明るさの差Lだけ変えても、蛍光灯50の場合と同様に、欠陥Xaの輝度はあまり変化しないため、陰影の目視には効果が無い。
【0024】
これらの光源に対して、照射ユニット1を光源に用いた場合、図7、及び図8(C)に示すように、拡散光の照射野15の近傍に欠陥箇所Xが位置したときに、この欠陥箇所Xに欠陥Xaの陰影が生じることから、欠陥Xaの陰影が光源の光に埋もれることなく明瞭に顕現化し目視可能となる。
このとき、欠陥Xaの陰影は、照射野15の近傍における欠陥Xaの凹凸での反射光の光量と、同じく照射野15の近傍における欠陥Xaの凹凸が無い箇所での反射光の光量の各々の光量の差によって生じて可視化される。すなわち、図8(C)に示すように、拡散光の光量を変えると、欠陥Xaの凹凸が無い箇所での反射光の光量が大きく変わることから、欠陥Xaの凹凸での反射光の光量との光量差が大きくなり、陰影が更に明瞭になることがある。
この照射ユニット1においては、上述の通り、導光ロッド6の長手方向においても光量分布を有していることから、この長手方向に導光ロッド6を移動させることで、簡単に陰影をより明瞭に顕在化させることができ、熟練者でなくとも微細な欠陥Xaを陰影により見つけだすことが容易となる。
【0025】
このように本実施形態によれば、拡散光たる検査光3を検査対象2の表面2Aに局所的に照射し、当該局所的な照射によって生じる照射野15の近傍に存在する欠陥を陰影により視認可能にする構成とした。これにより、照射野15の近傍の陰影に検査光3が重なって陰影が薄れることがないため、従来の蛍光灯を用いた検査に比べ、より微細な欠陥でも陰影が視認し易くなる。
【0026】
また本実施形態によれば、導光ロッド6の外側面6Aに光拡散面21を設け、この光拡散面21から放射された拡散光を検査光3として、検査対象2の表面2Aに照射する構成とした。
これにより、局所的な拡散光の照射を簡単な構成で行うことができる。
特に、本実施形態によれば、導光ロッド6と照射装置4との間を屈曲自在なバンドルファイバ5で接続したため、検査対象2の表面2Aの上で導光ロッド6を簡単に移動させて検査光3を照射でき、また表面2Aが曲面等であっても、その表面2Aの形状に合わせて導光ロッド6の姿勢を任意に変えて検査光3を照射できる。
これにより、検査対象2の大きさや形状に制限されることなく、目視検査を簡単に行うことができる。
【0027】
また本実施形態によれば、拡散光として使う放電ランプ10の光の波長を選択する波長選択フィルタ14を交換自在に備える構成とした。これにより、検査担当者は、波長選択フィルタ14を適宜に交換することで、検査対象2の表面2Aの地の色と照射野15の検査光3の発色との対比において、欠陥の陰影が鮮明に視認できる発色を自在に選定できる。
【0028】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0029】
例えば、導光ロッド6として、四角柱状の導光体を例示したが、これに限らない。すなわち、断面形状は四角形以外の多角形、或いは円形であっても良い。また柱状や棒状のように直線状に延びる形状に限らず、線状に延びる形状であれば、湾曲線状に延びた形状であっても良い。
また、導光ロッド6に入射する光Pinの入射角を敢えて全反射角からずらすことで、検査光3を放射する箇所を導光ロッド6の入射側の端面20Aに近い箇所に限定しても良い。
【0030】
また、上述した実施形態では、バンドルファイバ5の結束径に応じて入射光を広げる光学系の一例として、球レンズ8を例示したが、これに限らず、同様の光学的機能を有するものであれば、他の光学素子から成る光学系を用いることもできる。
【0031】
また、上述した実施形態では、光源の一例として放電ランプ10を備えた集光型放電ランプユニット7を例示したが、これに限らず、例えばLED等の発光素子といった任意の光源を用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 照射ユニット
2 検査対象
2A 表面
3 検査光(拡散光)
4 照射装置
5 バンドルファイバ(ファイバ)
6 導光ロッド
6A 外側面
7 集光型放電ランプユニット
8 球レンズ
10 放電ランプ(光源)
14 波長選択フィルタ
15 照射野
21 光拡散面
K 光軸
X 欠陥箇所
図1
図2
図3
図5
図8
図4
図6
図7