(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記解析モデルは、円筒状のタンク側壁とタンク屋根とからなるタンクの外周部における周方向の一部に、前記タンク屋根よりタンクの内底部付近まで上下方向に延びる複数本の管と、該各管同士の水平方向に対応する個所同士を結合する結合部材と、該結合部材により結合された管の或る個所をタンク側壁に支持させるための水平方向の支持部材とからなるポンプバレルを備えたポンプバレル付きタンクであり、
前記時間に関する常微分方程式系は、タンク内の液体の速度ポテンシャルの一般化座標、タンクシェルのモード展開表示の一般化座標、各部材の両端固定モード展開表示の一般化座標、及び各部材端の変位の時間に関する常微分方程式系であることを特徴とする請求項1又は2に記載の振動予測方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る振動予測方法及び計算装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
〔1.まえがき〕
前記先行技術によるポンプバレルの振動予測方法は、ポンプバレル配管の支持部での隙間を考慮していなかった。実際のポンプバレルには、液体の温度変化による管径の増加を許容するために隙間が設けられている。この隙間によって、管は非線形振動を発し、強度評価において重要な管に生じる応力が、隙間のない場合と異なることが懸念される。本実施の形態は、支持の隙間による非線形振動を考慮したものである。
【0016】
従来の汎用解析プログラムによる3次元FEM(有限要素法)解析では多くの時間、コストを要していたが、本実施の形態の解析的な予測法による計算高速化によって、入出力データ処理を含む一連の解析時間が従来の数十時間から1時間程度(入力データ作成が40−50分、計算が十数秒)で済むようになる。これにより、設計用パラメータスタディが便利になり、このような効率化が隙間を考慮した非線形振動予測でも可能になる。
【0017】
〔2.予測方法〕
〔2.1 計算モデル〕
図1にポンプバレル配管付きタンクの解析モデルを示す。この解析モデルにおいて、タンク1は、タンク底3と、タンク側壁4と、タンク屋根5から構成され、該タンク屋根5の外周部における周方向の或る個所に、ポンプバレル(ウェルともいう)2を構成する第1及び第2の管6
1,6
2の上端部が取り付けてある。なお、本実施の形態では、便宜上、特に注記する場合を除いて一般に管を符号6iにて表すことにする。
【0018】
これらの管6iは、水平な梁による結合部材7によって互いに結合され、同じく水平な梁による支持部材8によってタンク側壁4に対して支持がなされている。図中において、aはタンク側壁4の半径、Hはタンク高さ、H
1は上記タンク側壁4の高さ、hはタンク内に貯蔵された液体9の液深をそれぞれ示すものである。
【0019】
このような解析モデルについて、次の条件下で解析を行う。
(1)結合部材7、支持部材8については、それらの断面寸法が管6iの断面直径に比べて小さいので、液体9との連成振動は考えず、管6i、タンク1との連成振動を考慮する。管6iの振動に関しては、液体9との連成振動を考える。
(2)液体9の運動は非圧縮完全流体の渦なし流れとする。
(3)タンク1の振動に関しては、軸対称シェルの線形理論を用いる。
(4)スロッシング(液面の振動)の周波数に比べ高い周波数域で起こる運動を対象とするため、液面波高は小さく、液体9の運動に関しては線形理論を用いる。
【0020】
図2は、各管6iに関する局所座標系を示す図である。この
図2のように、タンク1について設定したグローバルな円筒座標以外に、各管6iに関して、液体9との連成振動解析のための局所的円筒座標を導入する。
【0022】
図3は、管6i、結合部材7、支持部材8によって構成される柔軟骨組構造の形状例を示す。この構造は第1及び第2の管6
1,6
2を備え、数値計算例に用いるため、各部材端に番号を付けている。本実施の形態では、部材端N7,N14はタンク屋根5上にあり、部材端N21〜N32はタンク側壁4上にある。番号Ni−jの支持部材8は、管6i側の部材端がNi、タンク側壁4側の部材端がNjであることを表す。
【0023】
本実施の形態、例えば番号N19−29の支持部材8の第1の管6
1側の部材端N19は、第1の管6
1に属する部材端N6と異なっている。これは、
図4に示すような第1の管6
1と支持部材8の間のリング状の隙間(半径c)のために、部材端N19の並進、回転の6自由度の変位が、部材端N6の6自由度変位と一致しないため、これら部材端N19と部材端N19を別の部材端と考えるためである。
【0024】
このようにして、本実施の形態では、部材端N6とN19を同一座標に位置するにもかかわらず別自由度として解析し、双方の自由度間に隙間での衝突によって生じる非線形力を導入することによって、隙間による非線形振動を解析する。
【0025】
〔2.2 自由度低減〕
本実施の形態は、管、結合部材及び支持部材を備えない液体タンクの連成振動問題と比較すると、下記の2点の特徴を有している。
(1)管が存在するため、液体運動の解析的表示が容易に得られない。
(2)管、結合部材及び支持部材から構成される骨組構造は、かなりの数の部材を含むため、各部材の有限要素への分割は、計算上効率的ではない。
【0026】
前記先行技術では、これらの問題を解決して計算効率の高い準解析的な予測法を確立するため、各管に関する局所的速度ポテンシャルを導入し、各部材の曲げ変位、軸方向変位、軸方向回りの回転変位を両端変位で表わす自由度低減を行った。このようにして得られた液体速度、構造変位の許容関数(解をモード関数等の座標の関数で展開した形に表した式)を、変分原理に代入し、ガレルキン法を用いて一般化座標(未知の展開係数)の変分に関する停留条件より、時間に関する常微分方程式系を導く。
【0027】
この常微分方程式系は、下記のマトリックス振動方程式の形に表わされる。
【数2】
ここで、列ベクトル
【数3】
は、下記の未知変数から成る。
速度ポテンシャルの一般化座標、
タンクシェルのモード展開表示の一般化座標、
各部材の両端固定モードによる展開の一般化座標、
部材端の並進・回転6自由度変位
【0028】
また、
【数4】
は、X,Y方向のタンク加振加速度である。
【0029】
〔2.3 支持の隙間による非線形振動の考慮〕
例として、部材端N6と部材端N19の間の隙間(
図4)を考える。部材端N6の部材端N19に対する相対変位の大きさは、部材端Niのα方向の変位
【数5】
について
【数6】
にて与えられ、隙間の半径cを超える変位(はみ出し変位、excessive displacement)は次式によって与えられる。
【数7】
【0030】
ここで、円の法線方向に作用するばね力k
clU
exをU
exが正のときのみ導入する。すなわち、隙間による非線形振動を、このようなU
relに関して非線形(非対称)なばね力によってモデル化する。はね定数の添え字clは隙間の英語(clearance)に由来する。非対称とは、U
exが正のときのみ作用して、負の時には作用しないことを意味する。
【0031】
ばねのポテンシャルエネルギは
【数8】
であり、ばね力による仮想仕事は
【数9】
である。
【0032】
式(5)中の偏微分は式(4)より次のように計算される。
【数10】
【0033】
次式によって決まる角度α
1
【数11】
を使って、式(6)は次のように表わされる。
【数12】
【0034】
従って式(8)は、部材端N6,N19に作用するばね力のX,Y方向成分である。ばね定数k
clだけでなく、減衰定数c
clを考慮することによって、部材端N6,N19に作用する力を、次式とする。
【数13】
【0035】
これらの力を、式(1)の
【数14】
に対応する行に導入する。同様な手続きを他の隙間についても繰り返し、このようにして決められた力ベクトルを
【数15】
と記すことによって、式(1)を次式に変換する。
【数16】
【0036】
式(10)をモード解析法 によって解く際、固有値問題
【数17】
の解法が、隙間がある場合には隙間のない場合よりも難しくなり、数値計算不具合を起こし易いという問題に直面した。
【0037】
本実施の形態では、この問題の簡便かつ有効な解決法を提案する。この方法では、管6iと支持部材8の変位間に仮想ばねを導入してモード関数を計算し、モード方程式に仮想ばねによる力を相殺するための補正項を導入して解く。
【0038】
例えば、仮想ばね定数k
0を部材端N6のX方向の変位U
6Xと部材端N19のX方向の変位U
19Xの間に導入する場合、それぞれの変位U
6XとU
19Xについて
【数18】
を
【数19】
のδU
6XとδU
19Xに対応する行にそれぞれ加算する。
【0039】
このようにして修正された剛性マトリックスを
【数20】
として、式(10)は次のようになる。
【数21】
【0040】
式(12)に関する固有値問題
【数22】
を解くことによって、次の変数変換を行う。
【数23】
ここで
【数24】
【0041】
式(13)を式(12)に代入し、
【数25】
を左から乗じることによって、k番目のモード座標q
kに関するモード方程式を次の形に得る。
【数26】
ここで
【数27】
【0042】
減衰比を式(14)に導入する。
【数28】
ここで
【数29】
【0043】
仮想ばねによる力を相殺するため、補正項を加算する。上で考えた仮想ばねに関しては、次のようにする。
【数30】
を力ベクトル
【数31】
のδU
6XとδU
19Xに対応する行にそれぞれ加算する。
【0044】
〔3.計算結果〕
〔3.1 計算条件〕
表1から表4に、数値例題に用いたパラメータを示す。
【表1】
【0048】
骨組構造として、
図3に示したものを用いる。
図3の構造は、表2からも分かるようにXZ面に関して対称で、2本のパイプの結合部材は、全てY軸に平行である。支持部材は全て水平で長さが等しく、部材端N2,N4,N6,N9,N11,N13を通る2本の支持部材8のなす角は56度である。タンク1に結合された部材端の並進、回転変位の(X,Y,Z)成分に関する拘束条件は、タンク固定(タンクシェルのこれら6変位成分に等しい)とする。
【0049】
本実施の形態で考慮したモードは、周方向波数m=0−3、タンク変位のZ方向モード次数p=1−20、液体9の速度ポテンシャルのZ方向モード次数n=1−4である。タンク屋根部5がタンク側壁4に比べて柔軟であるため、タンク側壁4の振動が支配的なモードは次数pの増加に対して間欠的にしか現れない。このため、タンク側壁4との連成を表わすバルジングモードの固有振動数を正確に求めるには、pの最大値を大きく設定する必要がある。
【0050】
加振入力として、X方向に振動する周方向波数1のバルジングモードの固有振動数に共振する周波数2.54Hzの正弦波
【数32】
を与えて時刻歴応答を計算した。
【0051】
14次モードまでを考慮し、式(14)中の各モード減衰比ζ
kは0.03とした。Z=2.5m,13.5m,32mの支持部に大きさc=0.015mの隙間がある場合を解析した。
【0052】
各隙間に関し、部材端の並進3自由度、回転3自由度変位間の仮想ばねをそれぞれ2.4×10
6N/m,2.4×10
6Nmとした。また、衝突をモデル化するばね、減衰定数はk
cl=0.5×10
9N/m,c
cl=0.5×10
9Ns/mとした。このように、本解析では2種類のばねを用いることに注意する。
【0053】
〔3.2 変位の応答〕
図5に、隙間における管、支持部材の変位挙動の一例として、高さZ=13.5mにある部材端N4,N17のX方向変位U
4X,U
17Xと、はみ出し変位U
exの時刻歴応答を示す。加振振幅はf
X0=100gal=1m/s
2である。この隙間のある場合について、図中の曲線aはU
4X、曲線bはU
17X、曲線cはU
ex=U
rel−cを表している。
【0054】
図5において、はみ出し変位U
ex(曲線c)が正の時間区間で、U
4X(曲線a)とU
17X(曲線b)の差の絶対値が隙間の大きさc=0.015mを超え、管6iと支持部材8とが接触している。衝突をモデル化するばね、減衰定数は、それぞれ次の条件を満たすように定めた。
(1)はみ出し変位の最大値が、隙間に対して20%程度以内となる。
(2)相対速度の大きさ
【数33】
(式(3)参照)が、接触終了時では接触開始時の0.8倍程度である。
【0055】
図6に、比較のため、隙間がないと仮定した場合のU
4X,U
17Xを示す。隙間がない場合、U
4XとU
17Xとは等しい。管6iの変位U
4Xは、隙間のある場合(
図5)の方が隙間のない場合(
図6)より大きいことが分かる。このように、隙間のある場合の方が、管6iの変位が大きくなり得ることが例証される。このため、隙間によって管6iの曲げ応力が増大することが懸念される。
【0056】
〔3.3 管の曲げ応力〕
そこで、第1の管6
1の曲げ応力分布を、隙間のある場合とない場合について、それぞれ
図7(a),(b)に示す。図中の曲線aは加振振幅1.0m/s
2、曲線bは加振振幅1.8m/s
2である。
【0057】
時刻は、
図5,6で変位応答が最大となる時刻t=1.97sであり、曲げ応力の中立面からの距離は、第1の管6
1の外半径である。より大きい加振振幅1.8m/s
2に関する結果も、後の議論のため示す。
【0058】
まず、加振振幅が小さい1.0m/s
2の場合に着目する。
図7(a),(b)の曲線aの比較より、Z=25m付近で生じる最大曲げ応力は、隙間によって増加しておらず、前節で示した隙間により増加する変位と、相異なる傾向を示していることが分かる。
【0059】
この理由を調べるため、第1の管6
1とタンク壁4の変位分布(t=1.97s)を
図8に示す。図中の(a)は隙間のある場合、(b)は隙間のない場合である。また、図中の曲線aは第1の管6
1のX方向変位(加振振幅1.8m/s
2)、曲線bは第1の管6
1のX方向変位(加振振幅1.0m/s
2)、曲線cはタンク壁4のr方向変位(加振振幅1.8m/s
2)、曲線dはタンク壁4のr方向変位(加振振幅1.0m/s
2)である。
【0060】
図8(b)の隙間のない場合、支持部材8のあるZ=2.5m,13.5m,32mで第1の管6
1の変位(曲線a,b)はタンク側壁4の変位(曲線c,d)に等しく拘束される。この拘束の解放によって、
図8(a)の隙間のある場合には、第1の管6
1の変位がタンク壁4の変位よりも大きくなる範囲が拡大し、低加振レベルの場合のように、第1の管6
1の変位が隙間のない
図8(b)の場合より大きくなり得る。
【0061】
しかし、第1の管6
1の変位がタンク側壁4の変位よりも大きくなる範囲の拘束解放による拡大によって、最大曲げ応力の生じるZ=25m付近への曲率の大きい部分の集中が緩和する。
図7の曲線aで、曲げ応力が40MPaより大きい範囲が、隙間のある場合(
図7(a))にはない場合(
図7(b))よりかなり広くなっている。この集中緩和により、変位が増加しても最大曲げ応力が増加しなくなる。
【0062】
次に、加振レベルのZ=25m付近での曲げ応力に対する影響について、下記の点に注意すべきである。
(a)隙間のある場合、曲げ応力は加振振幅に比例して増加せず、より低レベルである(
図7(a)参照)。
(b)上記(a)に起因して、加振振幅が大きくなると、曲げ応力は隙間のある場合(
図7(a))の方が隙間のない場合(
図7(b))よりも小さくなる。
【0063】
〔3.4 応答の加振周波数依存性〕
加振周波数をいろいろな固定値に変えて時刻歴応答解析を繰り返し、変位、応力が達する最大絶対値の、加振周波数に対する依存性を調べた。その結果を
図9,10に示す。
図9は第1の管6
1の曲げ応力(Z=25m)の最大絶対値の加振周波数依存性を示し、
図10は第1の管6
1の曲げ変位(Z=24m)の最大絶対値の加振周波数依存性を示している。図中の(a)は隙間のある場合、(b)は隙間のない場合である。また、●によるプロットaは加振振幅1.0m/s
2、○によるプロットbは加振振幅1.8m/s
2を表している。
【0064】
鋭い共振ピークが現れず加振周波数依存性が弱い理由は、5波正弦波に対する応答であり定常正弦波に対する定常振幅ではないためである。隙間のない場合の結果である
図9(b),10(b)と比較すると、最低次のバルジングモード共振点2.54Hzを含む周波数帯域に渡って、下記の2点が分かる。
【0065】
(1)隙間のある場合、加振レベル上昇による増加が、変位(
図9(a))よりも曲げ応力(
図10(a))に関して弱くなる。
(2)隙間のない場合を対象とした曲げ応力評価は、加振レベル上昇に伴い、安全サイドに近づく。
【0066】
上記(1)は、管の変位も曲げ応力同様、衝突による非線形振動のため加振振幅に比例して増加せず、より低レベルであるが、上記の曲率集中緩和により変位が増加しても曲げ応力が増大し難いために、加振レベル上昇による増加が変位よりも曲げ応力に関して弱まった結果である。
【0067】
〔3.5 仮想ばね定数の影響〕
図11に、仮想ばね定数を2.4×10
6N/mから3.6×10
6N/mに増し、かなり大きく設定した場合にも、3.4節で得た知見(1),(2)が成り立つことを確かめた結果を示す。
図11(a)は第1の管6
1の曲げ変位(Z=25m)であり、
図11(b)は第1の管6
1の曲げ変位(Z=24m)である。
図11においては●によるプロットaは加振振幅1.0m/s
2、○によるプロットbは加振振幅1.8m/s
2を表している。
【0068】
3.4節の(1),(2)は、
図11(b)をそれぞれ
図11(a),
図10(b)と比較することによって確認できる。また、衝突のばね、ダンパ定数を4倍に増加させた場合にも、曲げ応力分布の計算結果が
図7(a)から殆ど変化しないことを確かめている(図は割愛する)。
【0069】
これらのばね定数は唯一に定められないので、上記のようにかなり変えても知見が変わらないことを確かめることによって、知見の妥当性検証のひとつの裏付けとした。
【0070】
〔4 計算装置〕
前述したようなポンプバレルの振動予測は、
図12に示すような計算装置10によって実現することができる。この計算装置10は、CPU、DSPの如き演算部11、RAM、ROM、ハードディスクの如き記憶部12、LCD、プリンタの如き出力部13、キーボード、マウスの如き入力部14を含み、例えばパーソナルコンピュータを利用することができる。
【0071】
図12に示す計算装置11の一連の動作は、記憶部12に格納された振動算定プログラム12aを演算部11が読み出して実行することにより実現される。この振動プログラム12aは、前述のような手順によって得られたポンプバレルの振動予測の表現を含んでいる。
【0072】
最初のステップS1においては、モデルを設定する。ここでは、前述したようなポンプバレル付きタンクのモデルを設定するものとする。入力部14は、このモデルについて、タンク円筒部の半径及び高さ、タンクの高さ、液深、液体密度、第1の管の外直径及び極座標位置、第2の管の外半径及び極座標位置の少なくとも1つの値を入力値として受け取る。演算部11は、入力部14が受け取った入力値を記憶部12に格納する。
【0073】
ステップS2においては、演算部11は、記憶部12に格納された入力値を読み出し、その数値計算部11aにおいて、この入力値に基づいてポンプバレルの振動予測の表現を用いてこのポンプバレルの振動予測について数値計算する。ここで、ポンプバレルの振動の値には、前述した曲げ変位の最大絶対値を用いることができるが、これらに限られない。演算部11は、得られたポンプバレルの振動予測の値を記憶部12に格納する。
【0074】
ステップS3においては、演算部11は、記憶部12に格納されたポンプバレルの振動予測の値と、同じく記憶部12に格納された所定の閾値12bとを読み出す。演算部11は、その判定部11bにおいて、ポンプバレルの振動予測の値が閾値12bを超えない場合にはOKと判定して一連のステップを終了する。一方、ポンプバレルの振動予測の値が閾値を越えた場合にはNGとして判定して前のステップS1のモデル設定に手順を戻す。なお、閾値12bは、入力部14を介して設定することができる。
【0075】
このような一連の工程において、ポンプバレルの振動予測の値が所定の閾値内に収まるまでモデル設定、数値計算、判定のループを繰り返すことにより、閾値内に収まるモデル設定を可能としている。また、前述のポンプバレルの振動予測の表現を利用することにより、精度の高いモデル設定を可能としている。
【0076】
なお、このようなポンプバレルの振動予測の算定は、記憶部12に格納しポンプバレルの振動算定プログラム12aのような、前述のポンプバレルの振動予測の表現を含み、モデル設定、数値計算、判定のステップを有するプログラムによっても提供することができる。
【0077】
なお、上述の実施の形態は、本発明の一具体例を示すものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、本実施の形態で示した管に限らず、中空ではない軸、梁等についても適用され、支持部材との隙間を考慮して振動を予測することができる。また、本発明は、本実施の形態において示したタンクバレルに限らず、ロボットマニピュレータ、遠心分離機等のように管、軸、梁等が支持部材によって隙間を有して支持された構造に対して適用することができる。