【実施例】
【0021】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。光学材料用重合性組成物および重合して得られる光学材料の分析は以下の方法で行った。
[粘度]
B型粘度計(東機産業製、TV10M型)を使用し、粘度を測定した。
[光学材料の耐熱性測定]
サンプルを厚さ3mmに切り出し、0.5mmφのピンに10gの加重を与え、30℃から10℃/分で昇温してTMA測定(セイコーインスツルメンツ製、TMA/SS6100)を行い、軟化点を測定した。
[光学材料の屈折率、アッベ数]
光学材料の屈折率、アッベ数はデジタル精密屈折率計(株式会社島津製作所製、KPR−200)を用い、25℃でのe線での屈折率、d線でのアッベ数を測定した。
[(a)化合物の粒径の測定]
サンプルを粒度分布計(HORIBA製、LA−300)を用い、メディアン径を測定した。
【0022】
実施例1
メディアン径が100μmである(a)化合物である硫黄16.8質量部、(b)化合物としてビス(β−エピチオプロピル)スルフィド(以下b−1化合物と呼ぶ)83.2質量部、(c)化合物としてビス(2−メルカプトエチル)スルフィド(以下c−1化合物と呼ぶ)8.8質量部に(d)化合物として1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレ−ト(以下d−1化合物と呼ぶ)0.02質量部を加えて、窒素雰囲気常圧下、20℃、羽根径0.078mの4枚羽45℃傾斜ピッチパドル翼を用いて、攪拌速度が5/sとなるように攪拌反応させた。反応開始時の粘度は15mPa・sであり、液密度は1253Kg/m
3であり、レイノルズ数は2.5×10
3であった。反応開始から1.2時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は48mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加えた。従って、予備反応時間は1.2時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は50mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は54mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を10Torrで脱気処理して、1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
【0023】
実施例2
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例2に示す条件にて行った。反応開始から0.75時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は40mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加えた後、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は0.85時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は50mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は62mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
【0024】
実施例3
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例3に示す条件にて行った。反応開始から1.5時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は62mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.6時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は64mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は82mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
【0025】
実施例4
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例4に示す条件にて行った。反応開始から0.4時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は38mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は0.5時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は40mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は47mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
【0026】
実施例5
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例5に示す条件にて行った。反応開始から0.35時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は86mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は0.45時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は82mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は96mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
【0027】
実施例6
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例6に示す条件にて行った。反応開始から1.8時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は52mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.9時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は55mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は59mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
【0028】
実施例7
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例7に示す条件にて行った。反応開始から1.5時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は88mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.6時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は84mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は95mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
【0029】
実施例8
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例8に示す条件にて行った。反応開始から1.2時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は80mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は0.9時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は76mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は86mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
【0030】
実施例9
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例9に示す条件にて行った。反応開始から1.5時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は88mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.6時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は84mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は95mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
【0031】
実施例10
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表1の実施例10に示す条件にて行った。反応開始から2.0時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は96mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.5時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は2.5時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は92mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は108mPa・sとなった。得られた光学材料用重合性組成物を1μmのPTFE製メンブランフィルターでろ過をし、ガラス板とガスケットから構成される厚さ2.5mmのモールドに注入した。この成形モールドを20℃から100℃まで、21時間掛けて緩やかに昇温加熱して重合硬化させた後に室温まで冷却して、モールドから離型し、光学材料を得た。得られた光学材料の屈折率、アッベ数、耐熱性および外観の評価結果を合わせて表1に示す。
【0032】
比較例1
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例1に示す条件にて行った。反応開始時の粘度は10mPa・sであり、レイノルズ数は1.3×10
3であった。反応開始から3.0時間後の予備反応物には硫黄の残存が見られた。結果を表2に示す。
【0033】
比較例2
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例2に示す条件にて行った。反応開始から3.0時間後の予備反応物には硫黄の残存が見られた。結果を表2に示す。
【0034】
比較例3
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例3に示す条件にて行った。反応開始から3.0時間後の予備反応物には硫黄の残存が見られた。結果を表2に示す。
【0035】
比較例4
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例4に示す条件にて行った。反応開始から3.0時間後の予備反応物には硫黄の残存が見られた。結果を表2に示す。
【0036】
比較例5
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例5に示す条件にて行った。反応開始から0.1時間後の予備反応物は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られず、20℃での粘度は325mPa・sであった。得られた反応液に、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド0.75質量部、ジ−n−ブチルスズジクロライド0.25質量部、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.10質量部を加え、10Torrで脱気しながら、20℃になるまで0.1時間冷却に要した。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は1.6時間であった。得られた反応液は黄色透明で、硫黄等の固体の析出は見られなかった。得られた組成物の20℃での粘度は420mPa・sであり、20℃で3時間保持後の粘度は860mPa・sとなった。
【0037】
比較例6
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例6に示す条件にて行った。反応開始から1時間後の予備反応物にd−2が溶解せずに残存していた。また硫黄の残存も確認された。結果を表2に示す。
【0038】
比較例7
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例7に示す条件にて行った。反応開始から0.3時間後に予備反応物が急速に重合し、予備反応液は得られなかった。結果を表2に示す。
【0039】
比較例8
実施例1と同様の手順で予備反応を行い、反応条件は表2の比較例8に示す条件にて行った。反応開始から0.2時間後の予備反応物が急速に重合し、予備反応物は得られなかった。結果を表2に示す。
【0040】
比較例9
(a)化合物としてメディアン径300μmである硫黄20質量部、(b)化合物としてビス(β−エピチオプロピル)スルフィド80質量部を65℃に加温しよく混合し均一となるまでに1.8時間要した。次いで、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール0.5質量部を加え、60℃ で、0.9時間反応させた。その後、得られた樹脂用組成物を20℃に冷却した。このとき2時間を要した。そこへ、ベンジルメルカプタン5質量部、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド0.03質量部、ジn−ブチルスズジクロライド0.2質量部を加えよく混合し均一とした溶液を加えて均一な光学材料用重合製組成物とした。従って、反応時間と冷却時間を合わせた予備反応時間は4.7時間であった。
【0041】
【表1】
b−1:ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド
b−2:ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド
c−1:ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド
c−2:1,3ビス(メルカプトメチル)ベンゼン
d−1:1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレ−ト
d−2:1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルアクリレ−ト
d−3:1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル−4−ビニルベンゾエート
【0042】
【表2】
MMI:1−メチル−2−メルカプトイミダゾール
TMPM:2,2,6,6−テトラメチルピペリジルメタクリレ−ト