【文献】
宇都宮 依子 他,“IEEE 802.11系無線LANにおける40MHz端末との共存を考慮したMACプロトコル”,電子情報通信学会技術研究報告,2005年 1月21日,Vol.104, No.599,pp.83-88,RCS2004-304
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IEEE802.11規格では、2.4GHz帯のチャンネルの間隔は5MHzであるのに対して、1つのチャンネルの使用帯域が20MHzであるため、無線通信装置は、周波数帯域に重なりのある近隣のチャンネルの干渉を受け、スループットが低下するといった課題があった。また、近隣のチャンネルは、通信中のチャンネルとは異なるチャンネルであるため、当該異なるチャンネルのフレームを適切に検出できず、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)を使用することができない。このため、CSMA/CAによる衝突回避ができず、スループットが低下するといった課題があった。また、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置のスループットも低下してしまうといった課題があった。
【0005】
なお、これらの課題は、2.4GHz帯における近隣のチャンネルに限らず、無線LANの規格に準拠したチャンネルのうち、帯域の一部が重なり合ったチャンネルを使用する複数の無線通信装置が存在する場合に共通する課題であった。そのほか、従来の無線通信装置においては、その小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の一形態によれば、無線通信装置が提供される。この無線通信装置は;無線LANの規格に準拠したチャンネルから選択された選択チャンネルを使用した通信を行なう通信部と;前記通信部が前記選択チャンネルを使用した通信を行なう際に、帯域の一部が前記選択チャンネルの帯域に重なる無線LANの規格に準拠した一部重複チャンネルに対して、前記一部重複チャンネルを使用した他の無線通信装置による通信を抑制させるための通知を行なう通知部と;前記一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在するか否かを判定する判定部と;前記判定の結果に基づいて、前記一部重複チャンネルに対して、前記通知を行なうか否かを決定する決定部と;を備え;前記判定部は、前記一部重複チャンネルにおいて、他の無線通信装置が発する所定の電波が検出された場合に、前記一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定する。
本発明の他の形態によれば、無線通信装置が提供される。この無線通信装置は;無線LANの規格に準拠したチャンネルから選択された選択チャンネルを使用した通信を行なう通信部と;前記通信部が前記選択チャンネルを使用した通信を行なう際に、帯域の一部が前記選択チャンネルの帯域に重なる無線LANの規格に準拠した一部重複チャンネルに対して、前記一部重複チャンネルを使用した他の無線通信装置による通信を抑制させるための通知を行なう通知部と;前記一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在するか否かを判定する判定部と;前記判定の結果に基づいて、前記一部重複チャンネルに対して、前記通知を行なうか否かを決定する決定部と;を備え;前記決定部は、前記一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定された場合に、前記他の無線通信装置が使用する前記一部重複チャンネルの電波強度と、前記他の無線通信装置の単位時間当たりの通信量とのうちの少なくとも一方に基づいて、前記他の無線通信装置が使用する前記一部重複チャンネルに対して、前記通知を行なうか否かを決定する。
本発明の他の形態によれば、無線通信装置が提供される。この無線通信装置は;無線LANの規格に準拠したチャンネルから選択された選択チャンネルを使用した通信を行なう通信部と;前記通信部が前記選択チャンネルを使用した通信を行なう際に、周波数帯域の一部が前記選択チャンネルの周波数帯域に重なる無線LANの規格に準拠した一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在するか否かを判定する判定部と;前記判定の結果に基づいて、前記選択チャンネルを使用した通信を待機するか否かを決定する決定部と;を備え;前記決定部は、前記一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定され、かつ、前記他の無線通信装置が使用する前記一部重複チャンネルの電波強度が所定以上である場合に、前記選択チャンネルを使用した通信を待機すると決定する。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、無線通信装置が提供される。この無線通信装置は、無線LANの規格に準拠したチャンネルから選択された選択チャンネルを使用した通信を行なう通信部と;前記通信部が前記選択チャンネルを使用した通信を行なう際に、帯域の一部が前記選択チャンネルの帯域に重なる無線LANの規格に準拠した一部重複チャンネルに対して、前記一部重複チャンネルを使用した他の無線通信装置による通信を抑制させるための通知を行なう通知部とを備える。この形態の無線通信装置によれば、他の無線通信装置による一部重複チャンネルを使用した通信が抑制されるので、電波の干渉によるスループットの低下を抑制することができる。
【0008】
(2)上記形態の無線通信装置は、さらに、前記一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在するか否かを判定する判定部と;前記判定の結果に基づいて、前記一部重複チャンネルに対して、前記通知を行なうか否かを決定する決定部とを備えてもよい。この形態の無線通信装置によれば、他の無線通信装置が存在するか否かの判定によって、通知を行なうか否かを決定するので、不要な通知を抑制することができる。
【0009】
(3)上記形態の無線通信装置において、前記判定部は、前記一部重複チャンネルにおいて、他の無線通信装置が発する所定の電波が検出された場合に、前記一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定してもよい。この形態の無線通信装置によれば、一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在するか否かを適切に判定することができる。
【0010】
(4)上記形態の無線通信装置において、前記決定部は、前記一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定された場合に、前記他の無線通信装置が使用する前記一部重複チャンネルの電波強度と、前記他の無線通信装置の単位時間当たりの通信量とのうちの少なくとも一方に基づいて、前記他の無線通信装置が使用する前記一部重複チャンネルに対して、前記通知を行なうか否かを決定してもよい。電波の干渉による影響は、チャンネルの電波強度と、無線通信装置の単位時間当たりの通信量とに相関がある。したがって、この形態の無線通信装置によれば、電波の干渉による影響に応じて、通知をするか否かを適切に決定することができる。
【0011】
(5)上記形態の無線通信装置において、前記決定部は、前記一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定された場合であって、前記他の無線通信装置が使用する前記一部重複チャンネルの電波強度が所定以上であり、かつ、前記他の無線通信装置の単位時間当たりの通信量が所定以上である場合に、前記他の無線通信装置が使用する前記一部重複チャンネルに対して、前記通知を行なうと決定してもよい。この形態の無線通信装置によれば、電波の干渉による影響が大きい場合に、通知を行なうと決定することができる。
【0012】
(6)上記形態の無線通信装置において、前記判定部は、前記選択チャンネルを使用した通信において、受信パケットのエラーに関する値が所定以上である場合に、前記一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定してもよい。一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると、電波の干渉によって、受信パケットのエラーに関する値が増加する。したがって、この形態の無線通信装置によれば、一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在するか否かを適切に判定することができる。
【0013】
(7)上記形態の無線通信装置において、前記決定部は、前記一部重複チャンネルのうち、他の無線通信装置が存在しないと判定された前記一部重複チャンネルに対して、前記通知を行なわないと決定してもよい。この形態の無線通信装置によれば、他の無線通信装置が存在しない一部重複チャンネルに対する不要な通知を抑制することができる。
【0014】
(8)上記形態の無線通信装置において、前記通知部は、前記通知を行なうことによって、前記一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置の通信を待機させてもよい。この形態の無線通信装置によれば、自身が通信を行なっている間、一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が通信を待機するので、通信干渉によってエラーが発生したパケットを他の無線通信装置が再送信することによるトラフィックの発生を抑制することができる。この結果、スループットの低下を抑制することができる。
【0015】
(9)上記形態の無線通信装置において、前記通知部は、前記一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置を待機させる期間に関する情報を含めて、前記通知を行なってもよい。この形態の無線通信装置によれば、他の無線通信装置を待機させる時間を設定することができる。
【0016】
(10)上記形態の無線通信装置において、前記通知部は、前記通信部による通信が完了した場合に、前記待機を解除させる通知を行なってもよい。この形態の無線通信装置によれば、他の無線通信装置を待機させる時間を短縮することができる。
【0017】
(11)上記形態の無線通信装置において、前記通知部は、CTS−to−selfを利用して、前記通知を行なってもよい。この形態の無線通信装置によれば、IEEE802.11gの規格に準拠して、一部重複チャンネルを使用した通信を抑制させるための通知を行なうことができる。
【0018】
(12)本発明の他の形態によれば無線通信装置が提供される。この無線通信装置は、無線LANの規格に準拠したチャンネルから選択された選択チャンネルを使用した通信を行なう通信部と;前記通信部が前記選択チャンネルを使用した通信を行なう際に、周波数帯域の一部が前記選択チャンネルの周波数帯域に重なる無線LANの規格に準拠した一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在するか否かを判定する判定部と;前記判定の結果に基づいて、前記選択チャンネルを使用した通信を待機するか否かを決定する決定部とを備える。この形態の無線通信装置によれば、一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置のスループットの低下を抑制することができる。
【0019】
(13)上記形態の無線通信装置において、前記決定部は、前記一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定され、かつ、前記他の無線通信装置が使用する前記一部重複チャンネルの電波強度が所定以上である場合に、前記選択チャンネルを使用した通信を待機すると決定してもよい。この形態の無線通信装置によれば、電波の干渉による影響が大きい場合に、選択チャンネルを使用した通信を待機すると決定することができる。
【0020】
上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
【0021】
例えば、本発明の一形態は、通信部と、通知部との2つ要素の内の一つ以上の要素を備えた装置として実現可能である。すなわち、この装置は、通信部を有していてもよく、有していなくてもよい。また、装置は、通知部を有していてもよく、有していなくてもよい。通信部は、例えば、無線LANの規格に準拠したチャンネルから選択された選択チャンネルを使用した通信を行なう通信部として構成されてもよい。通知部は、例えば、前記通信部が前記選択チャンネルを使用した通信を行なう際に、帯域の一部が前記選択チャンネルの帯域に重なる無線LANの規格に準拠した一部重複チャンネルに対して、前記一部重複チャンネルを使用した他の無線通信装置による通信を抑制させるための通知を行なう通知部として構成されてもよい。こうした装置は、例えば無線通信装置として実現できるが、無線通信装置以外の他の装置としても実現可能である。このような形態によれば、装置の小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等の種々の課題の少なくとも1つを解決することができる。前述した無線通信装置の各形態の技術的特徴の一部又は全部は、いずれもこの装置に適用することが可能である。
【0022】
また、本発明の他の形態は、通信部と、判定部と、決定部との3つ要素の内の一つ以上の要素を備えた装置として実現可能である。すなわち、この装置は、通信部を有していてもよく、有していなくてもよい。また、装置は、判定部を有していてもよく、有していなくてもよい。また、装置は、決定部を有していてもよく、有していなくてもよい。通信部は、例えば、無線LANの規格に準拠したチャンネルから選択された選択チャンネルを使用した通信を行なう通信部として構成されてもよい。判定部は、例えば、前記通信部が前記選択チャンネルを使用した通信を行なう際に、周波数帯域の一部が前記選択チャンネルの周波数帯域に重なる無線LANの規格に準拠した一部重複チャンネルを使用する他の無線通信装置が存在するか否かを判定する判定部として構成されてもよい。決定部は、例えば、前記判定の結果に基づいて、前記選択チャンネルを使用した通信を待機するか否かを決定する決定部として構成されてもよい。こうした装置は、例えば無線通信装置として実現できるが、無線通信装置以外の他の装置としても実現可能である。このような形態によれば、装置の小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等の種々の課題の少なくとも1つを解決することができる。前述した無線通信装置の各形態の技術的特徴の一部又は全部は、いずれもこの装置に適用することが可能である。
【0023】
本発明は、装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、無線通信を行なう方法や、無線通信装置の製造方法、無線通信装置の制御方法、その制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A.第1実施形態:
B.第2実施形態:
C.変形例:
【0026】
A.第1実施形態:
図1は、本発明の一実施形態としての無線通信装置を用いたネットワークシステムの概略構成を示す説明図である。ネットワークシステム10は、無線通信装置100と、3台のクライアント装置CL1、CL2、CL3とを備えている。
【0027】
無線通信装置100は、IEEE802.11に準拠した無線LANアクセスポイントであり、有線ケーブルを介してインターネットINTに接続されている。また、無線通信装置100は、OSI参照モデル(OSI reference model)における第3層のルータとしても機能し、クライアント装置CL1、CL2、CL3との間の無線通信および有線通信を中継する。
【0028】
クライアント装置CL1は、IEEE802.3に準拠した有線通信インタフェースを備えるパーソナルコンピュータである。クライアント装置CL2は、IEEE802.11に準拠した無線通信インタフェースを備えるパーソナルコンピュータである。クライアント装置CL3は、IEEE802.11に準拠した無線通信インタフェースを備える携帯端末である。
図1に示す例では、クライアント装置CL1は無線通信装置100と有線によって接続され、クライアント装置CL2、CL3は無線通信装置100と無線によって接続されている。
【0029】
図2は、無線通信装置100の内部構成を示す説明図である。
図2では、本実施形態の無線通信装置100の説明に必要のない構成については図示を省略している。無線通信装置100は、無線通信部110と、有線通信部120と、CPU130と、RAM140と、フラッシュROM150とを備え、それぞれがバスにより相互に接続されている。また、無線通信装置100は、無線通信部110に接続されたアンテナ160を備えている。
【0030】
無線通信部110は、アンテナ160を介して受信した電波の復調とデータの生成、および、アンテナを介して送信する電波の生成と変調を行う。無線通信部110は、通信部111(2.4GHz用)と、通信部112(5GHz用)とを備えている。
【0031】
通信部111は、無線LANの規格に準拠した2.4GHz帯のチャンネルを使用した通信を行なう。通信部112は、無線LANの規格に準拠した5GHz帯のチャンネルを使用した通信を行なう。なお、本実施形態では、通信部111が使用する2.4GHz帯のチャンネルの帯域幅は20MHzであり、通信部112が使用する5GHz帯のチャンネルの帯域幅は、20MHzである。
【0032】
有線通信部120は、受信した信号の波形を整える処理や、受信した信号からMACフレームを取り出す処理等を実行する。有線通信部120は、WAN側インタフェース121と、LAN側インタフェース122とを備える。
【0033】
WAN側インタフェース121は、インターネットINT側の回線に接続される。LAN側インタフェース122は、クライアント装置CL1に接続される。
【0034】
CPU130は、フラッシュROM150に格納されているコンピュータプログラムをRAM140に展開して実行することにより、制御部131、通知部132、判定部134、決定部136としても機能する。これらの機能については後述する。また、通知部132は、通信部111を介して、後述する通知(CTSフレームの送信、CTS:Clear To Send)を行なう。
【0035】
図3は、第1実施形態の無線通信装置100の周囲において、他の無線通信装置200、300が無線による通信を行なっている状況を示す説明図である。この
図3に示す例では、無線通信装置100は、2.4GHz帯のチャンネルのうち、6chを使用して無線通信を行なっている。無線通信装置200は、2.4GHz帯のチャンネルのうち、7chを使用して無線通信を行なっている。無線通信装置300は、2.4GHz帯のチャンネルのうち、8chを使用して無線通信を行なっている。なお、無線通信装置100が使用している6chは、本発明の「選択チャンネル」に相当する。
【0036】
図4は、2.4GHz帯のチャンネルの周波数帯域を示す説明図である。
図4に示すように、7chが占有する周波数の帯域の一部は、6chが占有する周波数の帯域に重なっている。同様に、8chが占有する周波数の帯域の一部は、6chが占有する周波数の帯域に重なっている。
【0037】
このため、
図3に示すように、無線通信装置100が6chを使用した無線による通信を行っている際に、無線通信装置200及び300が、それぞれ7ch、8chを使用した無線による通信を行なうと、電波が干渉してしまい、無線通信装置100のスループットが低下する。
【0038】
なお、本実施形態では、帯域の一部が使用中のチャンネルの帯域に重なるチャンネルを「近隣のチャンネル」と呼ぶ。例えば、
図4に示した例では、6chの近隣のチャンネルは、2ch、3ch、4ch、5ch、7ch、8ch、9ch、10chである。
【0039】
図3に示した例では、無線通信装置100は、6chを使用した無線通信のスループットの低下を抑制するために、近隣のチャンネルである7ch、8chに対して、当該チャンネルを使用した通信を抑制させるための通知を行なう。具体的には、無線通信装置100は、次の処理を行なう。
【0040】
無線通信装置100の判定部134は、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在するか否かを判定する。本実施形態では、判定部134は、近隣のチャンネルにおいて、他の無線通信装置が発する所定の電波(本実施形態ではビーコン(Beacon))が検出された場合に、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定する。このようにすれば、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在するか否かを適切に判定することができる。
【0041】
図3に示した例では、無線通信装置100は、6chの近隣のチャンネルである4ch、5ch、7ch、8chに遷移してパッシブスキャン(Passive Scan)を行い、他の無線通信装置が発するビーコンを検出する。無線通信装置100の判定部134は、無線通信装置200、300が発するビーコンが検出された場合に、7ch、8chを使用する無線通信装置200、300が存在すると判定する。
【0042】
なお、本実施形態では、無線通信装置100が、6chの近隣のチャンネルのうち、2ch、3ch、9ch、10chには遷移せず、これらのチャンネルにおいてビーコンの検出を行なわない理由は、これらのチャンネルは、6chと干渉する周波数帯域が比較的狭いために影響が小さいからである。また、遷移するチャンネルの数を制限すれば、パッシブスキャンに要する時間を短縮することができるからである。
【0043】
無線通信装置100の決定部136は、判定部134による判定の結果に基づいて、近隣のチャンネルに対して、通知を行なうか否かを決定する。本実施形態では、決定部136は、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定された場合であって、他の無線通信装置が使用する近隣のチャンネルの電波強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)が所定以上であり、かつ、他の無線通信装置の単位時間当たりの通信量が所定以上である場合に、他の無線通信装置が使用する近隣のチャンネルに対して、当該チャンネルを使用した通信を抑制させるための通知を行なうと決定する。この理由について説明する。電波の干渉による影響は、チャンネルの電波強度と、無線通信装置の単位時間当たりの通信量とに相関がある。したがって、このようにすれば、電波の干渉による影響が大きい場合に、通知を行なうことができるからである。
【0044】
一方、決定部136は、近隣のチャンネルのうち、他の無線通信装置が存在しないと判定された近隣のチャンネルに対しては、通知を行なわないと決定する。このようにすれば、他の無線通信装置が存在しない近隣のチャンネルに対する不要な通知を抑制することができる。
【0045】
図3に示した例では、無線通信装置100の決定部136は、無線通信装置200、300がそれぞれ使用する7ch、8chの電波強度が所定以上であり、かつ、無線通信装置200、300の単位時間当たりの通信量が所定以上である場合に、7ch、8chに対して、7ch、8chを使用した通信を抑制させるための通知を行なうと決定する。一方、決定部136は、4ch、5chに対しては、通知を行なわないと決定する。この理由は、4ch、5chを使用する無線通信装置が存在しないからである。
【0046】
無線通信装置100の通知部132は、決定部136によって通知を行なうと決定された場合に、他の無線通信装置が使用する近隣のチャンネルに対して、当該近隣のチャンネルを使用した通信を抑制させるための通知を行なう。
【0047】
本実施形態では、通知部132は、CTS−to−selfを利用した通知、すなわち、CTSフレームの送信を行なうことによって、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置の通信を待機させる。この通知には、無線通信装置を待機させる期間に関する情報が含まれる。
【0048】
図5は、CTSフレームの構成を示す説明図である。この
図5に示すように、CTSフレームは、Frame Controlフィールドと、Durationフィールドと、RAフィールドと、FCSフィールドとを含んでいる。通知部132は、他の無線通信装置を待機させる時間を、CTSフレームのDurationフィールドに含めるとともに、自身のMACアドレスをRAフィールドに含めて、CTSフレームを送信する。
【0049】
図3に示した例では、無線通信装置100の通知部132は、7ch、8chに対して、CTSフレームを送信することによって、無線通信装置200、300の通信を待機させる。CTSフレームを受信した無線通信装置200、300は、CTSフレームのDurationフィールドに含まれる待機時間だけ、通信を待機する。
【0050】
無線通信装置100の通信部111は、無線通信装置200、300が通信を待機している間に、通信フレームを送信する。すなわち、無線通信装置100が通信フレームを送信する際には、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が通信を待機するので、電波の干渉によるスループットの低下を抑制することができる。
【0051】
図6は、第1実施形態の無線通信装置100の処理の一例を示すフローチャートである。ステップS100では、制御部131は、通信に使用するチャンネル以外の他のチャンネルへ遷移することが可能なタイミングか否かを判断する。
【0052】
具体的には、制御部131は、通信フレームを送信していない場合、かつ、通信フレームを受信する可能性がない場合に、他のチャンネルへ遷移することが可能なタイミングであると判断する。制御部131が、他のチャンネルへ遷移することが可能なタイミングであると判断する場合の例は、以下のとおりである。
・無線通信装置100が起動の途中である場合。
・無線通信装置100が通信の設定を行なっている場合。例えば、WPS(Wi-Fi Protected Setup)やAOSS(AirStation One-Touch Secure System:登録商標)のネゴシエーションの開始時である場合。
・無線通信装置100が設定の変更を行なっている場合。
・無線通信装置100が所定時間(例えば10分間)、通信を行なっていない場合。
【0053】
ステップS100において、制御部131が、通信に使用するチャンネル以外の他のチャンネルへ遷移することが可能なタイミングであると判断した場合には、制御部131は、ステップS102において、近隣のチャンネルを全て探索したか否かを判断する。
【0054】
ステップS102において、制御部131が、近隣のチャンネルを全て探索していないと判断した場合には、通信部111は、ステップS104において、近隣のチャンネルのうち、探索していないチャンネルへ遷移する。ステップS106では、通信部111は、遷移後のチャンネルにおいて、通信フレームを一定時間受信する。
【0055】
ステップS108では、決定部136は、遷移後のチャンネルが混雑しているか否かを判断する。具体的には、決定部136は、他の無線通信装置が発するビーコンを検出するとともに、当該他の無線通信装置が使用するチャンネルの電波強度(RSSI)と、当該他の無線通信装置の単位時間当たりの通信量とに基づいて、遷移後のチャンネルが混雑しているか否かを判断する。
【0056】
本実施形態では、決定部136は、単位時間当たりの通信量が所定以上であり、かつ、電波強度が所定以上である場合に、遷移後のチャンネルが混雑していると判断する。なお、単位時間当たりの通信量は、例えば、通信フレームのDurationフィールドに含まれる占有時間を確認することによって求めることができる。
【0057】
ステップS108において、決定部136が、遷移後のチャンネルが混雑していると判断した場合には、制御部131は、ステップS110において、当該チャンネルを混雑チャンネルとしてフラッシュROM150に登録する。一方、ステップS108において、決定部136が、遷移後のチャンネルが混雑していないと判断した場合には、制御部131は、ステップS102の処理に移行する。
【0058】
ステップS100において、制御部131が、他のチャンネルへ遷移することが可能なタイミングでないと判断した場合、および、ステップS102において、制御部131が、近隣のチャンネルを全て探索したと判断した場合には、制御部131は、ステップS120において、送信すべきデータが存在するか否かを判断する。
【0059】
ステップS120において、送信すべきデータが存在しない場合には、制御部131は、ステップS100の処理に移行する。一方、ステップS120において、送信すべきデータが存在する場合には、制御部131は、ステップS122において、フラッシュROM150にアクセスすることによって、登録されている混雑チャンネルが存在するか否かを判断する。
【0060】
ステップS122において、登録されている混雑チャンネルが存在する場合には、通知部132は、ステップS124において、混雑チャンネルとして登録されているチャンネルに対して、CTS−to−selfを行なった後、通信部111は、ステップS126において、通信フレームを送信する。
【0061】
具体的には、通知部132は、CTSフレームのDurationフィールドに、混雑チャンネルを使用する他の無線通信装置を待機させる期間に関する情報を含める。このCTSフレームを受け取った他の無線通信装置は、NVAフィールドに含まれる待機期間だけ、通信フレームの送信を待機する。無線通信装置100の通信部111は、他の無線通信装置の待機中に、通信フレームを送信する。
【0062】
一方、ステップS122において、登録されている混雑チャンネルが存在しない場合には、通知部132は、CTS−to−selfを行なわず、ステップS126において、通信部111は、通信フレームを送信する。
【0063】
このように、第1実施形態では、通信フレームを送信する際に、他の無線通信装置による近隣のチャンネルを使用した通信が抑制されるので、電波の干渉によるスループットの低下を抑制することができる。
【0064】
B.第2実施形態:
図7は、第2実施形態の無線通信装置100bの周囲において、他の無線通信装置200、300が無線による通信を行なっている状況を示す説明図である。この
図7に示す例では、無線通信装置100bは、2.4GHz帯のチャンネルのうち、6chを使用して無線通信を行なっている。無線通信装置200は、2.4GHz帯のチャンネルのうち、7chを使用して無線通信を行なっている。無線通信装置300は、2.4GHz帯のチャンネルのうち、8chを使用して無線通信を行なっている。なお、無線通信装置100bの内部構成は、
図2に示した第1実施形態と同じである。
【0065】
無線通信装置100bの判定部134は、通信部111が2.4GHz帯のチャンネルを使用した通信を行なう際に、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在するか否かを判定する。
【0066】
図7に示した例では、判定部134は、近隣のチャンネルに対してキャリアセンスを実行することによって、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在しているか否かを判定する。
【0067】
無線通信装置100bの決定部136は、判定部134による判定の結果に基づいて、通信を待機するか否かを決定する。本実施形態では、決定部136は、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定され、かつ、他の無線通信装置が使用する近隣のチャンネルの電波強度(RSSI)が所定以上である場合に、通信を待機すると決定する。このようにすれば、電波の干渉による影響が大きい場合に、通信を待機すると決定することができる。
【0068】
図7に示した例では、決定部136は、無線通信装置200、300がそれぞれ使用する7ch、8chの電波強度が所定以上である場合に、通信を待機すると決定する。
【0069】
無線通信装置100bの通信部111は、決定部136によって待機すると決定された場合には、通信フレームの送信を所定時間、待機する。したがって、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置200、300のスループットの低下を抑制することができる。
【0070】
図8は、第2実施形態の無線通信装置100bの処理の一例を示すフローチャートである。ステップS200では、制御部131は、送信すべきデータが存在するか否かを判断する。送信すべきデータが存在しない場合には、制御部131は、送信すべきデータが存在するまで、ステップS200の処理を繰り返す。一方、送信すべきデータが存在する場合には、制御部131は、ステップS202において、近隣のチャンネルの全てに対してキャリアセンスを実行したか否かを判断する。ここで、「近隣のチャンネルの全て」とは、キャリアセンスを実行する対象としてあらかじめ設定された、干渉が発生し得る近隣のチャンネルの全てを意味する。
【0071】
ステップS202において、制御部131が、近隣のチャンネルの少なくとも一部のチャンネルに対してキャリアセンスを実行していないと判断した場合には、制御部131は、ステップS204において、キャリアセンスを実行していない近隣のチャンネルに対してキャリアセンスを実行する。
【0072】
ステップS206では、判定部134は、キャリアセンスを実行した近隣のチャンネルにおいて、通信フレームを検出したか否かを判断する。ステップS206において、通信フレームが検出されなかった場合には、判定部134は、ステップS202の処理に移行する。一方、ステップS206において、通信フレームが検出された場合には、判定部134は、ステップS208において、通信フレームの電波強度を検出する。
【0073】
ステップS210では、決定部136は、通信フレームの電波強度が所定以上であるか否かを判断する。ステップS210において、通信フレームの電波強度が所定以上であった場合には、通信部111は、通信フレームの送信を行なわない。一方、ステップS210において、通信フレームの電波強度が所定以上でなかった場合には、決定部136は、ステップS202の処理に移行する。
【0074】
ステップS202において、制御部131が、近隣のチャンネルの全てに対してキャリアセンスを実行したと判断した場合には、通信部111は、ステップS220において、通信フレームを送信する。
【0075】
このように、第2実施形態では、無線通信装置100bは、電波の干渉による影響が大きい場合に、通信フレームの送信を待機するので、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置のスループットの低下を抑制することができる。
【0076】
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0077】
・変形例1:
上記第1実施形態では、無線通信装置100の通知部132は、決定部136によって通知を行なうと決定された場合に、近隣のチャンネルを使用した通信を抑制させるための通知を行なう。ただし、無線通信装置100の通知部132は、通信部111が2.4GHzの帯域のチャンネルを使用した通信を行なう際には常に、近隣のチャンネルを使用した通信を抑制させるための通知を行なってもよい。
【0078】
・変形例2:
上記第1実施形態では、無線通信装置100の決定部136は、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定された場合であって、他の無線通信装置が使用する近隣のチャンネルの電波強度が所定以上であり、かつ、他の無線通信装置の単位時間当たりの通信量が所定以上である場合に、他の無線通信装置が使用する近隣のチャンネルに対して、当該チャンネルを使用した通信を抑制させるための通知を行なうと決定する。
【0079】
ただし、無線通信装置100の決定部136は、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定された場合であって、他の無線通信装置が使用する近隣のチャンネルの電波強度が所定以上である場合、または、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定された場合であって、他の無線通信装置の単位時間当たりの通信量が所定以上である場合に、他の無線通信装置が使用する近隣のチャンネルに対して、当該チャンネルを使用した通信を抑制させるための通知を行なうと決定してもよい。また、無線通信装置100の決定部136は、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定された場合に、他の無線通信装置が使用する近隣のチャンネルに対して、当該チャンネルを使用した通信を抑制させるための通知を行なうと決定してもよい。
【0080】
・変形例3:
上記第1実施形態では、判定部134は、近隣のチャンネルにおいて、他の無線通信装置が発するビーコンが検出された場合に、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定する。ただし、判定部134は、無線通信装置100の通信に異常が発生した場合に、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定してもよい。このようにしても、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在するか否かを適切に判定することができる。
【0081】
具体的には、例えば、判定部134は、所定時間内における受信パケットのエラー数が所定以上である場合に、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定する。この理由は、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在し、無線通信装置100の通信が他の無線通信装置の通信による影響を受けている場合には、無線通信装置100の受信パケットのエラー数が増加するからである。
【0082】
受信パケットのエラー数が所定未満である場合には、無線通信装置100は、近隣のチャンネルに対してCTSフレームを送信しない。このようにすれば、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在しない場合には、CTSフレームが送信されないので、CTSフレーム分のスループットの低下を抑制することができる。なお、受信パケットがエラーか否かの判定は、フレームに含まれるFCS(Frame Check Sequence)を利用することにより行なわれる。
【0083】
なお、判定部134は、受信パケットのエラー数以外の基準を設けて、その基準が満たされた場合に、無線通信装置100の通信に異常が発生したと判定してもよい。例えば、判定部134は、受信パケットのエラーの発生頻度に基づいて、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在するか否かを判定してもよい。すなわち、判定部134は、受信パケットのエラーに関する値に基づいて、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在するか否かを判定してもよい。
【0084】
・変形例4:
上記第1実施形態では、無線通信装置100の通知部132は、他の無線通信装置を待機させる期間に関する情報として、待機させる時間に関する情報をCTSフレームに含めて通知している。ただし、他の無線通信装置を待機させる期間に関する情報を通知する方法は、IEEE802.11の規格によらず、様々な態様によって実現することができる。例えば、無線通信装置100の通知部132は、他の無線通信装置を待機させる期間に関する情報として、待機させる時間に関する情報の代わりに、待機させるクロック数に関する情報を所定のフレームに含めて通知してもよい。
【0085】
・変形例5:
上記第1実施形態において、無線通信装置100の通知部132は、通信部111による通信フレームの送信が完了した場合に、7ch、8chに対して、通信の待機を解除させる通知を行なってもよい。このようにすれば、他の無線通信装置を待機させる時間を短縮することができる。
【0086】
・変形例6:
上記第1実施形態では、無線通信装置100は、無線通信部110を1つだけ備えており、無線通信部110は、通信フレームの送受信を行なうとともに、他のチャンネルへ遷移可能なタイミングである場合にのみ、近隣のチャンネルの混雑具合を確認するための探索を行なっている。ただし、無線通信装置100は、無線通信部110を2つ備えて、一方の無線通信部110が近隣のチャンネルの混雑具合を確認するための探索を常に行ない、もう一方の無線通信部110が通信フレームの送受信を行なってもよい。
【0087】
また、第2実施形態の無線通信装置100bも同様に、無線通信部110を2つ備えて、一方の無線通信部110が近隣のチャンネルの混雑具合を確認するための探索(キャリアセンス)を常に行ない、もう一方の無線通信部110が通信フレームの送受信を行なってもよい。
【0088】
・変形例7:
上記第1実施形態では、無線通信装置100は、近隣のチャンネルのうち、干渉の影響の大きいチャンネルに対してのみパッシブスキャンを行なっている。ただし、無線通信装置100は、近隣のチャンネルの全てのチャンネルに対して、パッシブスキャンを行なってもよい。また、無線通信装置100は、近隣のチャンネルのうち、干渉の影響の大きいチャンネルに対してのみ、または、近隣のチャンネルの全てに対して、アクティブスキャンを行なってもよい。
【0089】
・変形例8:
上記第2実施形態では、無線通信装置100bの決定部136は、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定され、かつ、他の無線通信装置が使用する近隣のチャンネルの電波強度(RSSI)が所定以上である場合に、通信を待機すると決定する。ただし、無線通信装置100bの決定部136は、近隣のチャンネルを使用する他の無線通信装置が存在すると判定された場合に、通信を待機すると決定してもよい。
【0090】
・変形例9:
上記実施形態では、無線通信装置100、200、300が使用するチャンネルの帯域幅が20MHzである場合を例に挙げて説明したが、無線通信装置100、200、300が使用するチャンネルの帯域幅が40MHz、80MHz、160MHz等である場合や、チャンネルの周波数帯が5GHz帯である場合にも、本発明を適用することができる。すなわち、本発明を適用することのできるチャンネルの帯域幅や周波数帯は限定されず、本発明は、帯域の一部が重なり合うチャンネルを使用する複数の無線通信装置が存在する場合に、適用することができる。
【0091】
例えば、本発明は、使用するチャンネルの帯域幅が80MHzである無線通信装置100の周囲に、使用するチャンネルの帯域幅が20MHzである他の無線通信装置が存在しており、無線通信装置100が、例えば36ch、40ch、44ch、48chの4チャンネル分の帯域を使用しており、他の無線通信装置が、36ch、40ch、44ch、48chの4チャンネル分の帯域の一部である36ch等を使用する場合にも、適用することができる。この場合には、無線通信装置100は、上記の第1実施形態のように、36ch等を使用する他の無線通信装置に対して、通信を抑制させるための通知を行なったり、あるいは、上記の第2実施形態のように、36ch、40ch、44ch、48chの4チャンネル分の帯域を使用した通信を待機すればよい。
【0092】
・変形例10:
上記第1実施形態では、決定部136は、他の無線通信装置の単位時間当たりの通信量が所定以上であるか否かの判断を、通信フレームのDurationフィールドに含まれる占有時間を確認することによって行なう。ただし、決定部136は、他の方法によって、他の無線通信装置の単位時間当たりの通信量が所定以上であるか否かの判断を行なってもよい。
【0093】
例えば、無線通信装置100は、他の無線通信装置の通信フレームを受信し、決定部136は、他の無線通信装置の単位時間当たりの送信量や受信量、送受信合わせた量等に基づいて、他の無線通信装置の単位時間当たりの通信量が所定以上であるか否かの判断を行なってもよい。また、判断基準となる通信量は、パケット数であってもよく、また、バイト数であってもよい。なお、この場合には、無線通信装置100は、他の無線通信装置の通信状態を監視するために、複数の無線通信部110を備えることが好ましい。
【0094】
・変形例11:
上記実施形態においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【0095】
・変形例12:
上記実施形態では、無線通信装置100の周囲に2台の無線通信装置200、300が存在する場合について説明したが、本発明は、無線通信装置100の周囲に存在する他の無線通信装置が1台である場合や3台以上である場合にも、適用することができる。
【0096】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。