特許第6089779号(P6089779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6089779電子レンジ加熱麺類の製造方法及び電子レンジ加熱麺類改質用酵素製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6089779
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】電子レンジ加熱麺類の製造方法及び電子レンジ加熱麺類改質用酵素製剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20170227BHJP
   C12N 9/04 20060101ALN20170227BHJP
   C12N 9/48 20060101ALN20170227BHJP
   C12N 9/98 20060101ALN20170227BHJP
【FI】
   A23L7/109 A
   !C12N9/04 E
   !C12N9/48
   !C12N9/98
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-37001(P2013-37001)
(22)【出願日】2013年2月27日
(65)【公開番号】特開2013-208109(P2013-208109A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年11月19日
(31)【優先権主張番号】特願2012-41767(P2012-41767)
(32)【優先日】2012年2月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山田 律彰
【審査官】 小倉 梢
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/090337(WO,A1)
【文献】 特開平01−132347(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/001940(WO,A1)
【文献】 特開平10−155412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/00 − 7/25
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
WPIDS/WPIX(STN)
FROSTI(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリグルタミン酸又はポリグルタミン酸塩と、トランスグルタミナーゼ及び/又はグルコースオキシダーゼを原料穀粉に添加することを特徴とする電子レンジ加熱麺類の製造方法であって、原料穀粉1gあたり0.00001〜0.1gのポリグルタミン酸又はポリグルタミン酸塩と、0.001〜10Uのトランスグルタミナーゼ及び/又は0.02〜20Uのグルコースオキシダーゼを原料穀粉に添加する方法。
【請求項2】
ポリグルタミン酸又はポリグルタミン酸塩と、トランスグルタミナーゼ及び/又はグルコースオキシダーゼを含有する電子レンジ加熱麺類改質用酵素製剤であって、ポリグルタミン酸又はポリグルタミン酸塩1gあたりのトランスグルタミナーゼの含有量が0.01〜1000000U及び/又はグルコースオキシダーゼの含有量が0.2〜2000000Uである酵素製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリグルタミン酸(以下γ-PGAと記す場合あり)と、トランスグルタミナーゼ(以下TGと記す場合あり)及び/又はグルコースオキシダーゼ(以下GOと記す場合あり)を用いることを特徴とする電子レンジ加熱麺類の製造方法、並びに電子レンジ加熱麺類改質用酵素製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの食品は、澱粉、タンパク質、糖類、脂質、水分など様々な成分により構成されており、これらが複合的に食品の食感を作り上げている。中でも澱粉、タンパク質、水分の食感への寄与は大きく、これらの経時的変化は特に重要とされる。
【0003】
α化した澱粉を常温や低温で放置すると、水分を分離し硬くなる。この現象を老化という。老化を防止する方法としては、糖類(ブドウ糖、果糖、液糖等)や大豆タンパク、小麦グルテン、脂肪酸エステル、多糖類(山芋、こんにゃく等)を添加する方法が一般に知られており、特許文献1には増粘剤、界面活性剤等を添加する方法が記載されている。しかし、これらの方法では食味が大きく変化し、また効果も不安定で十分な解決法とはなっていない。
【0004】
また、老化防止の手段として、酵素を添加する方法も知られている。例えば、特許文献2には、精白米にアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等の酵素と、食塩及びサイクロデキストリンを混合して炊飯する米飯の改良方法が記載されている。特許文献3には、炊飯後の米飯に糖化型アミラーゼ(β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ)の水溶液を噴霧添加する米飯の老化防止方法が記載されている。
【0005】
澱粉やタンパク質を含有する食品の一つである、麺類の食感改良方法に関しては多くの知見がある。すなわち、茹で麺の食感を改良するためにタンパク質素材(活性グルテン、大豆タンパク質、卵白、全卵、カゼイン等)や澱粉等(各種澱粉、多糖類、乳化剤等)を添加する方法が知られている(特許文献4)。また、レトルト殺菌処理の際、食感を維持させるために高温短時間処理を行っている(特許文献5)。また、トランスグルタミナーゼを使用し、食感を改善させる方法も知られている(特許文献6、特許文献7)。これらの方法によれば、トランスグルタミナーゼの作用によりタンパク質間及びタンパク質内のネットワーク構造を麺の中に形成させて麺内での水分の均一化を防止することにより、茹で直後のコシのある好ましい食感を維持することができる。しかしながら、全体が均一な食感となり、アルデンテと呼ばれる中芯感のある食感(外側に比べ内側が硬い食感)を得るには改善の余地があった。
【0006】
また特許文献8によれば、α-グルコシダーゼを小麦粉混練時に添加することによって、硬さ、粘りが増し、かつ時間が経つと無添加に比べ中芯感もあるうどんを得ることができる。一定の効果が見られるものの、茹で直後での物性改良効果において改善の余地が残されていた。しかし最近、α-グルコシダーゼとトランスグルタミナーゼを適切な比率にて併用することで、茹で直後の食感を向上させ、かつその優れた食感を長時間にわたって維持するという2つの両立に成功したとの報告がなされた(特許文献9)。かなりの効果が見られるが、好ましい食感バランスを保ちつつ強いもちもち感と中芯感を持たせるには限界があった。
【0007】
一方、老化抑制のみでは保存後の麺類の食感を向上させるには限界があることから、保存後の再加熱により食感を復元させる技術も知られており、その中には、電子レンジ加熱による方法もある。例えば、表面に氷層膜を有した冷凍麺類を、冷凍保存後に電子レンジ加熱することにより復元させる方法(特許文献10)等があるが、冷蔵保存時には応用できず、汎用性の面において大きな課題があった。また、一般的に、電子レンジ加熱により、老化した澱粉質が再糊化すると言われているが、保存前すなわち老化前の食感への完全な復元や更なる食感向上を実現することは不可能であった。
【0008】
γ-PGAの麺類への使用に関しては、γ-PGAの麺類への添加による老化抑制方法(特許文献11)、即席麺における熱湯での復元性の向上方法(特許文献12)、冷凍麺類の冷解凍時間の短縮方法(特許文献13)等が知られており、特許文献13においてはマイクロ波加熱による小麦製品の硬化を抑制する効果が記載されているものの、保存前の食感への復元や更なる食感向上に関する記載はなく、酵素との併用に関する記載もない。
【0009】
また、γ-PGAの電磁派照射による構造変化に関しては、γ線を照射することにより架橋反応が起こり高分子化し、保水性が大きく向上すること(非特許文献1)が知られているものの、電子レンジ加熱(マイクロ波照射)による構造変化やγ-PGAを含有する食品の食感の変化については報告されていない。
【0010】
グルコースオキシダーゼの麺類への使用に関しては、グルコースオキシダーゼ及びアミラーゼ及びグルコアミラーゼを併用することによりコシが強くなるという報告があるが(特許文献14)、上記γ-PGAとの併用に関する記載はない。また、グルコースオキシダーゼ及びグルコースの併用により斑点の発生が抑制されるとの報告があるが、食感においてはむしろ低下する傾向にあると記載されている(特許文献15)。更に、グルコースオキシダーゼにより日持ちが向上するという報告があるが(非特許文献2)、食感向上に関する記載はない。また、特許文献16には、トランスグルタミナーゼとグルコーシオキシダーゼの併用により麺の喉ごしや歯ごたえ等の食感を改良する方法が開示されており、更に特許文献17には、α-グルコシダーゼとグルコースオキシダーゼの併用により保存後も「もちもち感」と「強い弾力」を同時に有する食感の麺を得る方法が開示されているが、これらの方法はかなりの効果があるものの、「強いもちもち感」と「中芯感」を同時に有する製造直後もしくはそれ以上の食感を有する麺類を得るには限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭59-2664号公報
【特許文献2】特開昭58-86050号公報
【特許文献3】特開昭60-199355号公報
【特許文献4】特開平2-117353号公報
【特許文献5】特開平2-186954号公報
【特許文献6】特開平2-286054号公報
【特許文献7】特開平6-14733号公報
【特許文献8】WO2005/096839
【特許文献9】WO2008/001940
【特許文献10】WO2001/052669
【特許文献11】特開平1-132347号公報
【特許文献12】特開2008-54538号公報
【特許文献13】特開平8-112084号公報
【特許文献14】特開平6-296467号公報
【特許文献15】特開平11-137197号公報
【特許文献16】特開2000-60431号公報
【特許文献17】WO2010/090337
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】高分子論文集,Vol.50,No.10,p755-760
【非特許文献2】農林水産消費安全技術センター調査研究報告第19号,p95-101
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、物性及び食味の改善された麺類の製造方法及び麺類改質用の酵素製剤を提供することであり、特に穀粉等を混練して作られる麺類の電子レンジ加熱後の食感を向上させる方法を提供することである。とりわけ、常温、冷蔵、冷凍にて保存した後においても、電子レンジ加熱により保存前もしくはそれ以上の品質を実現する方法を提供することである。より具体的には、γ-PGA、トランスグルタミナーゼ、グルコースオキシダーゼの単独使用では得られない食感、すなわち「強いもちもち感」と「中芯感」を同時に有する麺類の製造方法を提供することである。尚、「もちもち感」とは噛み潰した際に歯にまとわりつく感覚、「中芯感」とは麺の外側に比べ内側が硬い状態を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は、鋭意研究を行った結果、γ-PGAとトランスグルタミナーゼ及び/又はグルコースオキシダーゼを用いることにより、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の通りである。
(1)ポリグルタミン酸又はポリグルタミン酸塩と、トランスグルタミナーゼ及び/又はグルコースオキシダーゼを原料穀粉に添加することを特徴とする電子レンジ加熱麺類の製造方法。
(2)原料穀粉1gあたり0.0000001〜0.1gのポリグルタミン酸又はポリグルタミン酸塩と、0.0001〜100Uのトランスグルタミナーゼ及び/又は0.0002〜200Uのグルコースオキシダーゼを原料穀粉に添加することを特徴とする(1)記載の方法。
(3)原料穀粉1gあたり0.00001〜0.1gのポリグルタミン酸又はポリグルタミン酸塩と、0.001〜10Uのトランスグルタミナーゼ及び/又は0.02〜20Uのグルコースオキシダーゼを原料穀粉に添加することを特徴とする(1)記載の方法。
(4)ポリグルタミン酸又はポリグルタミン酸塩と、トランスグルタミナーゼ及び/又はグルコースオキシダーゼを含有する電子レンジ加熱麺類改質用酵素製剤。
(5)ポリグルタミン酸又はポリグルタミン酸塩1gあたりのトランスグルタミナーゼの含有量が0.001〜1000000000U及び/又はグルコースオキシダーゼの含有量が0.002〜2000000000Uである(4)記載の酵素製剤。
(6)ポリグルタミン酸又はポリグルタミン酸塩1gあたりのトランスグルタミナーゼの含有量が0.01〜1000000U及び/又はグルコースオキシダーゼの含有量が0.2〜2000000Uである(4)記載の酵素製剤。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、麺類の品質を向上することができる。特に、電子レンジ加熱後に「強いもちもち感」と「中芯感」を同時に有する麺類を製造することができる。とりわけ、常温、冷蔵、冷凍にて保存した後においても、電子レンジ加熱により保存前もしくはそれ以上の品質を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明による電子レンジ加熱麺類の製造方法及び電子レンジ加熱麺類改質用の酵素製剤には、γ−PGA又はポリグルタミン酸塩と、トランスグルタミナーゼ及び/又はグルコースオキシダーゼとを用いるが、γ-PGAはL-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸がγ結合により高分子化したグルタミン酸ポリマーである。γ-PGAは、納豆の粘物質の主成分であり、実際に日常の食事で食されている上、カルシウムをはじめとするミネラルの吸収促進剤としての機能も報告されている。
【0017】
本発明ではγ-PGA又はポリグルタミン酸塩を使用するが、本発明にて使用するγ-PGAは、ポリマー中の1又は数個のグルタミン酸を他のアミノ酸に置換、転換したものでも、本発明の効果を有する限り本発明におけるγ-PGAに含まれるものとする。また、本発明にて使用するγ-PGAはいかなる分子量のものでもよく、高分子のものを分解して低分子化したものでも構わないが、分子量が1500〜20000000のものが好ましく、5000〜3000000のものがより好ましく、10000〜1000000のものがさらに好ましい。
【0018】
本発明ではγ-PGA又はポリグルタミン酸塩を使用するが、本発明にて使用するポリグルタミン酸塩は、γ-PGAの可食性塩である。塩の種類についてはいかなる塩でも構わないが、食品への利用を考えた場合、カリウム塩もしくはナトリウム塩が特に好ましい。
【0019】
本発明に使用できるγ-PGA又はその塩は、各種微生物から発酵生産物として得られるもの、合成法により重合化して得られるもの、納豆から抽出して得られるもの等のいずれを用いてもよく、場合によっては必要とする分子量のものを得るために、これらの方法により得られたものを、酸性下で加熱、或いは酵素分解等により低分子化して用いても構わない。「カルテイク」という商品名で味の素(株)より市販されている微生物由来のγ-PGAが一例である。尚、デキストリン等で倍散されている市販のものも多く見られるが、γ-PGAを有していれば他の物質や製剤との混合物であっても構わない。
【0020】
本発明のグルコースオキシダーゼは、グルコース、酸素、水を基質としてグルコン酸と過酸化水素を生成する反応を触媒する酸化酵素である。この反応により生成された過酸化水素は、タンパク中のSH基を酸化することでSS結合(ジスルフィド結合)生成を促進し、タンパク中に架橋構造を作るものと推定している。グルコースオキシダーゼは、微生物由来、植物由来のものなど種々の起源のものが知られているが、本発明で用いる酵素はこの活性を有している酵素であれば構わず、その起源としてはいずれのものでも構わない。また、組み換え酵素であっても構わない。「スミチームPGO」という商品名で新日本化学工業(株)より市販されている微生物由来のグルコースオキシダーゼが一例である。尚、カタラーゼ製剤と混合されている市販のものも多く見られるが、グルコースオキシダーゼ活性を有していれば、他の製剤との混合物であっても構わない。
【0021】
本発明のトランスグルタミナーゼはタンパク質やペプチド中のグルタミン残基を供与体、リジン残基を受容体とするアシル転移反応を触媒する活性を有する酵素のことを指し、哺乳動物由来のもの、魚類由来のもの、微生物由来のものなど、種々の起源のものが知られている。本発明で用いる酵素はこの活性を有している酵素であれば構わず、その起源としてはいずれのものでも構わない。また、組み換え酵素であっても構わない。味の素(株)より「アクティバ」TGという商品名で市販されている微生物由来のトランスグルタミナーゼが一例である。
【0022】
麺類としては様々なものが考えられるが、市場の大きさや、ニーズ等と照らし合わせると、パスタ、やきそば、焼きうどん、中華麺、うどん、日本そば、フライ工程や乾燥工程を経る即席麺等の麺類、餃子、焼売の皮等に作用させるのが特に有効であると考えられる。
【0023】
原料穀粉にγ-PGA又はポリグルタミン酸塩と、トランスグルタミナーゼ及び/又はグルコースオキシダーゼを添加する場合は、麺類製造工程のどの段階で添加しても構わない。すなわち、原料穀粉に添加してもよいし、原料穀粉と他の原料の混合時に添加してもよいし、原料穀粉に水を加えた麺生地に練り込んでもよいし、麺生地に振りかけてもよい。γ-PGA又はポリグルタミン酸塩と、トランスグルタミナーゼ及び/又はグルコースオキシダーゼを麺類に添加する順序は特に問わず、いずれかの1種もしくは2種を先に添加した後、残りを添加してもよいが、これらを同時に添加するのが好ましい。さらに、γ-PGA、ポリグルタミン酸塩、トランスグルタミナーゼ、グルコースオキシダーゼ以外の他の酵素や物質(デキストリン、澱粉、加工澱粉等の糖類、畜肉エキス等の調味料、植物蛋白、グルテン、卵白、ゼラチン、カゼイン等の蛋白質、蛋白加水分解物、蛋白部分分解物、乳化剤、クエン酸塩、重合リン酸塩等のキレート剤、グルタチオン、システイン等の還元剤、アルギン酸、かんすい、色素、酸味料、香料等その他の食品添加物等)と併用し使用しても構わない。
【0024】
原料穀粉とは、麺類の原料となる、米・麦・粟・そば・ひえ・豆・コーン等穀物を挽いて得られる粉を意味し、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、米粉、コーン粉が一例である。小麦粉を用いる場合は、普通小麦、スペルト小麦、デュラム小麦等どのような品種の小麦粉でもよく、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラムセモリナ粉でも構わない。また、米粉等の小麦粉以外の穀粉と混合して使用しても構わない。
【0025】
本発明に使用する電子レンジは、マイクロ波を食品に対して照射することで以下の原理により加熱をする機器であれば、いかなる大きさ、ワット数、メーカーのものでも構わない。すなわち、電子レンジとは食品に対してマイクロ波を照射することで、その食品に含まれる水分子がマイクロ波のエネルギーを吸収して振動し、それにより発生する水分子同士の摩擦熱により食品を加熱する機器である。
【0026】
γ-PGA又はポリグルタミン酸塩と、トランスグルタミナーゼ及び/又はグルコースオキシダーゼを穀粉に添加し麺類を製造する場合、γ-PGA又はポリグルタミン酸塩の添加量は、原料穀粉1gに対して0.0000001〜0.1g、好ましくは0.000001〜0.1g、より好ましくは0.00001〜0.1g、特に好ましくは0.0001〜0.01の範囲が適正である。
【0027】
γ-PGA又はポリグルタミン酸塩とトランスグルタミナーゼ、あるいはγ-PGA又はポリグルタミン酸塩とトランスグルタミナーゼとグルコースオキシダーゼを穀粉に添加し麺類を製造する場合、トランスグルタミンナーゼの添加量は、原料穀粉1gに対して0.0001〜100U、好ましくは0.001〜10U、より好ましくは0.01〜10Uの範囲が適正である。更に、トランスグルタミナーゼの添加量がγ-PGA又はポリグルタミン酸塩1gあたり0.001〜1000000000U、好ましくは0.01〜1000000U、より好ましくは1〜100000Uとなるように添加するのが望ましい。尚、トランスグルタミナーゼの酵素活性についてはベンジルオキシカルボニル-L-グルタミニルグリシンとヒドロキシルアミンを基質として反応を行い、生成したヒドロキサム酸をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成させた後525nmの吸光度を測定し、ヒドロキサム酸の量を検量線より求め活性を算出する。37℃、pH6.0で1分間に1μmolのヒドロキサム酸を生成する酵素量を1U(ユニット)と定義した。
【0028】
γ-PGA又はポリグルタミン酸塩とグルコースオキシダーゼ、あるいはγ-PGA又はポリグルタミン酸塩とグルコースオキシダーゼトランスグルタミナーゼを穀粉に添加し麺類を製造する場合、グルコースオキシダーゼの添加量は、原料穀粉1gに対して0.0002〜200U、好ましくは0.002〜20U、より好ましくは0.02〜20U、特に好ましくは0.02〜2Uの範囲が適正である。更に、グルコースオキシダーゼの添加量がγ-PGA又はポリグルタミン酸塩1gあたり0.002〜2000000000U、好ましくは0.2〜2000000U、より好ましくは2〜20000Uとなるように添加するのが望ましい。尚、グルコースオキシダーゼの酵素活性については、グルコースを基質として、酸素存在下でグルコースオキシダーゼを作用させることで過酸化水素を生成させ、生成した過酸化水素にアミノアンチピリン及びフェノール存在下でペルオキシダーゼを作用させることで生成したキノンイミン色素が呈する色調を、波長500nmで測定し定量する。1分間に1μmolのグルコースを酸化するのに必要な酵素量を1U(ユニット)と定義した。
【0029】
γ-PGA又はポリグルタミン酸塩と共に各酵素を反応させる際の反応時間は、酵素が基質物質に作用することが可能な時間であれば特に構わず、非常に短い時間でも逆に長時間作用させても構わないが、現実的な作用時間としては5分〜24時間が好ましい。また、反応温度に関しても酵素が活性を保つ範囲であればどの温度であっても構わないが、現実的な温度としては0〜80℃で作用させることが好ましい。すなわち、通常の製麺工程を経ることで十分な反応時間が得られる。
【0030】
本発明の電子レンジ加熱麺類改質用酵素製剤は、γ-PGA又はポリグルタミン酸塩と、トランスグルタミナーゼ及び/又はグルコースオキシダーゼとを混合することにより得ることができる。γ-PGA、ポリグルタミン酸塩、トランスグルタミナーゼ、グルコースオキシダーゼの他、デキストリン、澱粉、加工澱粉等の賦形剤、畜肉エキス等の調味料、植物蛋白、グルテン、卵白、ゼラチン、カゼイン等の蛋白質、蛋白加水分解物、蛋白部分分解物、乳化剤、クエン酸塩、重合リン酸塩等のキレート剤、グルタチオン、システイン等の還元剤、アルギン酸、かんすい、色素、酸味料、香料等その他の食品添加物等を混合してもよい。本発明の酵素製剤は液体状、ペースト状、顆粒状、粉末状のいずれの形態でも構わない。本発明の酵素製剤において、γ-PGA又はポリグルタミン酸塩が含有されている必要があるが、トランスグルタミナーゼとグルコースオキシダーゼは、いずれか一方が含有されていれば、もう一方は含有されなくてもよい。酵素製剤にトランスグルタミナーゼを含有させる場合、酵素製剤中のトランスグルタミナーゼの含有量は、酵素製剤中のγ-PGA又はポリグルタミン酸塩1gあたり0.001〜1000000000U、好ましくは0.01〜1000000U、より好ましくは1〜100000Uが適正である。酵素製剤にグルコースオキシダーゼを含有させる場合、酵素製剤中のグルコースオキシダーゼの含有量は、酵素製剤中のγ-PGA又はポリグルタミン酸塩1gあたり0.002〜2000000000U、好ましくは0.2〜2000000U、より好ましくは2〜20000Uが適正である。
【0031】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、これらの実施例により何ら限定されない。
【実施例1】
【0032】
中力粉「白椿」(日清製粉社製)1kg、クチナシ黄色素「イエローカラーTH-G」(長谷川香料社製)1gに、γ-PGA「カルテイク」(味の素社製、平均分子量26000のグルタミン酸ポリマー)、TG“「アクティバ」TG”(味の素社製、1150U/g)、GO「スミチームPGO」(新日本化学工業社製、2150U/g)を添加し100rpmで混練機「2kg真空捏機」(大竹麺機社製)にて1分混合した。試験区分は、表1に示す7試験区とした。市水420gに食塩5g、かんすい「粉末かんすいA」(日本コロイド社製)10gを加えた5℃の溶液を、上記混合原料に全量加えて、混練機にて3.5分間(100rpm;2分、50rpm;1.5分)混練した。混練後、製麺機「小型粗麺帯機・小型連続圧延機」(トム社製)にてバラ掛け、複合、圧延し、#18の切り刃を用いて切り出しを行った。切り出した麺線は直ちに凍結し、冷凍生中華麺とした。冷凍生中華麺は、1試験区あたり100gを熱水中にて軽くほぐした後、蒸し器にて7分間蒸した。その後、やきそば用ソース15gと共にフライパンにて30秒間焼き、やきそばを得た。得られたやきそばは、冷蔵にて24時間および72時間保存した後、電子レンジ加熱をして官能評価を行った。官能評価は、硬さ、弾力、もちもち感、中芯感に関して、無添加区分を0点とし、−2点から2点までの評点法にて評価人数5人で行った。24時間保存後の評価結果を表1に、72時間保存後の評価結果を表2に示す。また、「もちもち感」及び「中芯感」に関しては、γ-PGAのみを添加した区分、TGのみを添加した区分及び/又はGOのみを添加した区分の結果をもとに、各併用添加区分の理論上の評点を算出した。例えば表1において、試験区6のもちもち感の理論値の場合、γ-PGAのみ0.000245g/g(/gは原料粉1gあたりの意味;以下同様)添加時の試験区2のもちもち感の評点が「1.8」であり、GOのみ0.645U/g添加時の試験区4のもちもち感の評点が「0」であり、これらを合計すると「1.8+0=1.8」と算出される。よって「1.8」が試験区6のもちもち感の理論値である。このように算出した値を用いて、理論値と実際の評点(実測値)の差を求めた。試験区6の場合、実測値が「2」、理論値が「1.8」であるため、差は「2−1.8=0.2」と算出される。
この値がゼロより大きければ理論値より大きな効果、すなわち相乗効果が出ていることを意味する。尚、「硬さ」とは噛み始める際に感じる応力、「弾力」とは噛み潰した際に反発してくる応力すなわち復元力の強さ、「もちもち感」とは噛み潰した際に歯にまとわりつく感覚、「中芯感」とは麺線の外側と中心部の硬さ勾配すなわち外がやわらかく中が硬いアルデンテ様の食感と定義した。評点は、0.5点が「差あり」、1点が「顕著な差あり」、2点が「非常に顕著な差あり」とした。尚、やきそばの好ましい食感として、強いもちもち感と中芯感を共に有することが重要とされる。このような食感は調理直後にしか得られない食感であり、特に強いもちもち感は調理直後であっても得ることが難しいとされている。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
表1に示す通り、γ-PGAを添加することによって、24時間冷蔵保存後に電子レンジ加熱を行ったやきそばに顕著にもちもち感が付与された(試験区2)。また、γ-PGAとTG及び/又はGOを併用することにより、強いもちもち感と同時に中芯感が顕著に付与され(試験区5〜7)、これらの効果はいずれも相乗効果であることが確認された。尚、評点による評価は行っていないが、もちもち感においては、調理直後の無添加区(試験区1)に比べてもはるかに強いものであった。更に、表2に示す通り、72時間冷蔵保存後に電子レンジ加熱を行ったやきそばにおいても、表1と同様、γ-PGAにより顕著なもちもち感、γ-PGAとTG及び/又はGOの併用により強いもちもち感と同時に中芯感が相乗的に付与された。以上の結果より、γ-PGAとTG及び/又はGOを添加することで、電子レンジ加熱後のやきそばに、強いもちもち感と中芯感を相乗的に付与し得ること、すなわちやきそばとして非常に好ましい食感が得られることが明らかとなった。また、その効果は、72時間という長時間の冷蔵保存後であっても得られることが示唆されたことから、当技術は保存性の観点においても非常に有用であると言える。
【実施例2】
【0036】
中力粉「雀」(日清製粉社製)750g、加工澱粉「あじさい」(松谷化学工業社製)250g、小麦グルテン「AグルG」(グリコ栄養食品社製)20gに、γPGA、及びGOを添加し100rpmで混練機「2kg真空捏機」(大竹麺機社製)にて1分混合した。試験区分は、表3に示す4試験区とした。尚、表中の原料穀粉とは中力粉のみを指し、加工澱粉及び小麦グルテンは含まない。市水410gに食塩30gを加えた5℃の食塩水を、上記混合原料に全量加えて、混練機にて5分間(100rpm;2分、50rpm;3分)混練した。混練後、製麺機「小型粗麺帯機・小型連続圧延機」(トム社製)にてバラ掛け、複合、圧延し、室温にて1時間寝かせた後に#10の切り刃を用いて切り出しを行った。切り出した麺線は直ちに凍結し、冷凍生うどんとした。冷凍生うどんは、沸騰水にて15分間ゆでた後、ゆでうどん一玉あたり濃口醤油12g、料理酒15g、ほんだし(味の素社製)3.5g、適量のサラダ油と共にフライパンにて4分間焼き、焼きうどんを得た。得られた焼きうどんは、冷蔵にて24時間および72時間保存した後、電子レンジ加熱をして官能評価を行った。官能評価は、硬さ、弾力、もちもち感、中芯感に関して、無添加区分を0点とし、−2点から2点までの評点法にて評価人数5人で行った。24時間保存後の評価結果を表3に、72時間保存後の評価結果を表4に示す。また、「もちもち感」及び「中芯感」に関しては、γ-PGAのみを添加した試験区2、GOのみを添加した試験区3の結果をもとに、併用添加した試験区4の理論上の評点を算出した。算出方法は実施例1と同様とし、算出した値を用いて理論値と実際の評点の差を求めた。この値がゼロであれば理論値通りの効果、すなわち相加効果であり、ゼロより大きければ理論値より大きな効果、すなわち相乗効果が出ていることを意味する。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
表3に示す通り、γ-PGAを添加することによって、24時間冷蔵保存後に電子レンジ加熱を行った焼きうどんに顕著にもちもち感が付与された(試験区2)。また、γ-PGAとGOを併用することにより、強いもちもち感と同時に中芯感が顕著に付与され(試験区4)、これらの効果はいずれも相乗効果であることが確認された。尚、評点による評価は行っていないが、もちもち感においては、調理直後の無添加区(試験区1)に比べてもはるかに強いものであった。更に、表4に示す通り、72時間冷蔵保存後に電子レンジ加熱を行った焼きうどんにおいても、表3と同様、γ-PGAにより顕著なもちもち感、γ-PGAとGOの併用により強いもちもち感と同時に中芯感が相乗的に付与された。以上の結果より、γ-PGAとGOを添加することで、実施例1のやきそば同様、電子レンジ加熱後の焼きうどんに、強いもちもち感と中芯感を相乗的に付与し得ること、すなわち焼きうどんとして非常に好ましい食感が得られることが明らかとなった。また、その効果は、72時間という長時間の冷蔵保存後であっても得られることが示唆されたことから、当技術は保存性の観点においても非常に有用であると言える。更には、やきそば、焼きうどん等の麺種を問わず、電子レンジ加熱後に強いもちもち感と中芯感を相乗的に付与し得ることが明らかとなったことから、あらゆる電子レンジ加熱麺類に応用可能な汎用性高い技術であることが示唆された。
【実施例3】
【0040】
実施例1と同様の方法にて、γ-PGA及びTGを用いてやきそばを作成した。試験区は表5に示す通りとし、γ-PGAを10通り、TGを10通りの全ての組み合わせとした。得られたやきそばは、冷蔵にて24時間保存した後、電子レンジ加熱をして官能評価を行った。官能評価は、もちもち感及び中芯感に関して、無添加区分を0点とし、−2点から2点までの評点法にて評価人数5人で行った。「もちもち感」の評価結果を表5に、「中芯感」の評価結果を表6に示す。また、γ-PGAのみを添加した区分、TGのみを添加した区分の結果をもとに、各併用添加区分の理論上の評点を算出した。例えば表5において、γ-PGAを0.0001g/g及びTGを0.1U/g併用した試験区の理論値の場合、γ-PGAのみを0.0001g/g添加した試験区のもちもち感の評点が「1.7」であり、TGのみを0.1U/g添加した試験区のもちもち感の評点が「−0.5」であり、これらを合計すると「1.7−0.5=1.2」と算出される。よって「1.2」が、当該理論値である。このように算出した値を用いて、理論値と実際の評点(実測値)の差を求めた。上記試験区の場合、実測値が「1.6」、理論値が「1.2」であるため、差は「1.6−1.2=0.4」と算出される。この値がゼロより大きければ理論値より大きな効果、すなわち相乗効果が出ていることを意味する。このように、相乗効果の得られた試験区は、表5及び表6中において太枠で囲った。尚、「もちもち感」とは噛み潰した際に歯にまとわりつく感覚、「中芯感」とは麺線の外側と中心部の硬さ勾配すなわち外がやわらかく中が硬いアルデンテ様の食感と定義した。評点は、0.5点が「差あり」、1点が「顕著な差あり」、2点が「非常に顕著な差あり」とした。尚、やきそばの好ましい食感として、強いもちもち感と中芯感を共に有することが重要とされる。このような食感は調理直後にしか得られない食感であり、特に強いもちもち感は調理直後であっても得ることが難しいとされている。
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
表5及び表6に示す通り、電子レンジ加熱を行ったやきそばにおいて、もちもち感、中芯感ともに、太枠で囲ったγ-PGA及びTGの併用添加区にて相乗効果が確認された。以上の結果より、原料穀粉1gあたり、γ-PGA0.0000001〜0.1g及びTG0.0001〜100U、好ましくはγ-PGA0.000001〜0.1g及びTG0.001〜10U、より好ましくはγ-PGA0.00001〜0.1g及びTG0.01〜10U、特に好ましくはγ-PGA0.0001〜0.01g及びTG0.01〜10Uを添加することで、強いもちもち感と中芯感を併せ持つ好ましい食感が得られることが示唆された。更に、各試験区において、γ-PGA1gあたりのTGの添加量(U)を算出して表7にまとめた。その結果、上記相乗効果の得られた添加量領域に相当する表7中の太枠で囲った範囲は、γ-PGA1gあたりのTGの含有量が0.001〜1000000Uの範囲内にあることが明らかとなった。
【0044】
【表7】
【実施例4】
【0045】
実施例1と同様の方法にて、γ-PGA「カルテイク」及びGO「スミチームPGO」を用いてやきそばを作成した。試験区は表8に示す通りとし、γ-PGAを10通り、GOを10通りの全ての組み合わせとした。得られたやきそばは、冷蔵にて24時間保存した後、電子レンジ加熱をして官能評価を行った。官能評価は、もちもち感及び中芯感に関して、無添加区分を0点とし、−2点から2点までの評点法にて評価人数5人で行った。「もちもち感」の評価結果を表8に、「中芯感」の評価結果を表9に示す。また、γ-PGAのみを添加した区分、GOのみを添加した区分の結果をもとに、各併用添加区分の理論上の評点を算出し、理論上の評点(理論値)と実際の評点(実測値)の差を求めることで、相乗効果の有無を判定した。一連の相乗効果の判定は、実施例3と同様の方法にて行った。このように、相乗効果の得られた試験区は、表8及び表9中において太枠で囲った。評点は、0.5点が「差あり」、1点が「顕著な差あり」、2点が「非常に顕著な差あり」とした。尚、やきそばの好ましい食感として、強いもちもち感と中芯感を共に有することが重要とされる。このような食感は調理直後にしか得られない食感であり、特に強いもちもち感は調理直後であっても得ることが難しいとされている。
【0046】
【表8】
【0047】
【表9】
【0048】
表8及び表9に示す通り、電子レンジ加熱を行ったやきそばにおいて、もちもち感、中芯感ともに、太枠で囲ったγ-PGA及びGOの併用添加区にて相乗効果が確認された。以上の結果より、原料穀粉1gあたり、γ-PGA0.0000001〜0.1g及びGO0.0002〜200U、好ましくはγ-PGA0.000001〜0.1g及びGO0.002〜20U、より好ましくはγ-PGA0.00001〜0.01g及びGO0.02〜2U、特に好ましくはγ-PGA0.0001〜0.01g及びGO0.02〜2Uを添加することで、強いもちもち感と中芯感を併せ持つ好ましい食感が得られることが示唆された。更に、各試験区において、γ-PGA1gあたりのGOの添加量(U)を算出して表10にまとめた。その結果、上記相乗効果の得られた添加量領域に相当する表10中の太枠で囲った範囲は、γ-PGA1gあたりのGOの含有量が0.002〜2000000Uの範囲内にあることが明らかとなった。
【0049】
【表10】
【実施例5】
【0050】
実施例1と同様の方法にて、γ-PGA、TG、GOを用いてやきそばを作成した。試験区は表11に示す通りとした。得られたやきそばは、冷蔵にて24時間保存した後、電子レンジ加熱をして官能評価を行った。官能評価は、もちもち感及び中芯感に関して、無添加区分を0点とし、−2点から2点までの評点法にて評価人数5人で行った。結果を表11中に「実測値」として示す。また、γ-PGAのみを添加した試験区2、TGのみを添加した試験区3〜5、GOのみを添加した試験区6〜8の結果をもとに、併用添加した試験区9〜13の理論上の評点(理論値)を算出した。算出方法は実施例1と同様とし、算出した値を用いて理論値と実測値の差を求めた。この値がゼロであれば理論値通りの効果、すなわち相加効果であり、ゼロより大きければ理論値より大きな効果、すなわち相乗効果が出ていることを意味する。相乗効果の出ている試験区には、表11中の「相乗効果」の欄に「○」を記した。尚、γ-PGA、TG、GOを併用した試験区9〜13におけるこれらの添加量は、いずれも実施例3及び4にて好ましい食感の得られる範囲内である。
【0051】
【表11】
【0052】
表11に示す通り、γ-PGA、TG、GOを併用した全ての試験区において、相乗効果が確認された。以上より、γ-PGA、TG、GOの全てを併用した場合も、実施例3及び4にて好ましい食感の得られた範囲の添加量においては相乗的な効果が得られ、電子レンジ加熱後に好ましい食感を付与できることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によると、麺類の品質を向上できるため、食品分野において極めて有用である。