特許第6089788号(P6089788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6089788
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】苗移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   A01C11/02 322Z
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-39196(P2013-39196)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-166153(P2014-166153A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2016年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】草本 英之
(72)【発明者】
【氏名】名本 学
(72)【発明者】
【氏名】山口 信
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−070663(JP,A)
【文献】 特開2012−191889(JP,A)
【文献】 特開2012−237213(JP,A)
【文献】 特開2013−029069(JP,A)
【文献】 特開2010−213638(JP,A)
【文献】 特開2002−209409(JP,A)
【文献】 特開2012−087679(JP,A)
【文献】 特開平10−159610(JP,A)
【文献】 特開2006−094753(JP,A)
【文献】 特開2004−239166(JP,A)
【文献】 特開2001−041069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(3)にエンジン(1)を設け、該走行車体(3)の後部に昇降リンク機構(4)を昇降自在に設け、該昇降リンク機構(4)に圃場に苗を植え付ける苗植付部(5)を設け、該苗植付部(5)の下降を検知する下降検知センサ(7)を設け、該苗植付部(5)の昇降及び植付を操作する植付操作レバー(6)を設け、該植付操作レバー(6)の操作位置を検知するレバーポテンショメータ(8)を設け、
該レバーポテンショメータ(8)が「植付下」を検知しているとき、前記苗植付部(5)が所定高さまで下降したことを下降検知センサ(7)が検知すると、所定時間後に前記エンジン(1)を停止させる構成とすることを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
前記レバーポテンショメータ(8)と下降検知センサ(7)が検知状態であるときに、前記エンジン(1)を所定時間後に停止させるか否かを選択する停止選択スイッチ(9)を設け、該停止選択スイッチ(9)を押すと、条件を満たしても前記エンジン(1)が停止しないことを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】
前記走行車体(3)の走行状態を「移動速」、「植付速」及び「中立」に切り替える副変速操作レバー(10)を設け、該副変速操作レバー(10)の操作位置を検知する副変速ポテンショメータ(11)を設け、該副変速ポテンショメータ(11)が副変速操作レバー(10)の操作位置を「移動速」と検知しているとき、該レバーポテンショメータ(11)が「植付下」を検知すると共に前記苗植付部(5)が所定高さまで下降したことを下降検知センサ(7)が検知すると、所定時間後に前記エンジン(1)を停止させることを特徴とする請求項1または2に記載の苗移植機。
【請求項4】
前記走行車体の走行状態を「移動速」、「植付速」及び「中立」に切り替える副変速操作レバー(10)を設け、該副変速操作レバー(10)の操作位置を検知する副変速ポテンショメータ(11)を設け、該副変速操作レバー(10)を、「中立」位置から「駆動停止」に操作可能に構成し、
前記走行車体(3)に操縦者が搭乗する操縦座席(2)を設け、該操縦座席(2)に操縦者の着座を検知する着座センサ(12)を設け、前記副変速操作レバー(10)が「駆動停止」位置であり、且つ該着座センサ(12)が作業者の着座を検知していない状態で所定時間が経過すると前記エンジン(1)を停止させることを特徴とする請求項1または2に記載の苗移植機。
【請求項5】
前記エンジン(1)が停止状態であり、且つ前記副変速操作レバー(10)が「駆動停止」位置にあるときに、前記着座センサ(12)が検知状態になるとエンジン(1)を始動させることを特徴とする請求項4に記載の苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場に苗を植え付ける苗移植機において、エンジン回転が不要である条件が揃うと、自動的にエンジン回転を停止させるものである。
【背景技術】
【0002】
エンジン停止キーを操作してエンジンの回転を停止する技術(例えば、特許文献1参照)や、走行操作レバーの操作によって所定時間後にエンジンを停止させたり、走行操作レバーやペダルの踏込によってエンジンを再始動させたりする技術(例えば、特許文献2参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−157289号公報
【特許文献2】特開2012−55282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように走行操作レバーが所定位置にある状態が所定時間続くことによって、エンジンの自動停止が作動してしまうと、作業者の意図に沿わないタイミングで苗移植機の走行が停止してしまい、作業能率が低下する問題がある。
【0005】
また、エンジン停止状態から再起動させる際、走行レバーペダルの操作が必要となるので、作業者の操作を要するため、操作性が悪くなる問題がある。
本発明は、上記の問題点を解消し、エンジン回転が停止しても問題のない条件が揃ったときのみエンジンの自動停止制御が行われると共に、再始動させる際の操作工数が少ない苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、走行車体(3)にエンジン(1)を設け、該走行車体(3)の後部に昇降リンク機構(4)を昇降自在に設け、該昇降リンク機構(4)に圃場に苗を植え付ける苗植付部(5)を設け、該苗植付部(5)の下降を検知する下降検知センサ(7)を設け、該苗植付部(5)の昇降及び植付を操作する植付操作レバー(6)を設け、該植付操作レバー(6)の操作位置を検知するレバーポテンショメータ(8)を設け、該レバーポテンショメータ(8)が「植付下」を検知しているとき、前記苗植付部(5)が所定高さまで下降したことを下降検知センサ(7)が検知すると、所定時間後に前記エンジン(1)を停止させる構成とすることを特徴とする苗移植機とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記レバーポテンショメータ(8)と下降検知センサ(7)が検知状態であるときに、前記エンジン(1)を所定時間後に停止させるか否かを選択する停止選択スイッチ(9)を設け、該停止選択スイッチ(9)を押すと、条件を満たしても前記エンジン(1)が停止しないことを特徴とする請求項1記載の苗移植機とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記走行車体(3)の走行状態を「移動速」、「植付速」及び「中立」に切り替える副変速操作レバー(10)を設け、該副変速操作レバー(10)の操作位置を検知する副変速ポテンショメータ(11)を設け、該副変速ポテンショメータ(11)が副変速操作レバー(10)の操作位置を「移動速」と検知しているとき、該レバーポテンショメータ(11)が「植付下」を検知すると共に前記苗植付部(5)が所定高さまで下降したことを下降検知センサ(7)が検知すると、所定時間後に前記エンジン(1)を停止させることを特徴とする請求項1または2に記載の苗移植機とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記走行車体の走行状態を「移動速」、「植付速」及び「中立」に切り替える副変速操作レバー(10)を設け、該副変速操作レバー(10)の操作位置を検知する副変速ポテンショメータ(11)を設け、該副変速操作レバー(10)を、「中立」位置から「駆動停止」に操作可能に構成し、前記走行車体(3)に操縦者が搭乗する操縦座席(2)を設け、該操縦座席(2)に操縦者の着座を検知する着座センサ(12)を設け、前記副変速操作レバー(10)が「駆動停止」位置であり、且つ該着座センサ(12)が作業者の着座を検知していない状態で所定時間が経過すると前記エンジン(1)を停止させることを特徴とする請求項1または2に記載の苗移植機とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記エンジン(1)が停止状態であり、且つ前記副変速操作レバー(10)が「駆動停止」位置にあるときに、前記着座センサ(12)が検知状態になるとエンジン(1)を始動させることを特徴とする請求項4に記載の苗移植機とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明は、苗植付部(5)が所定高さまで下降し、所定時間が経過するとエンジン(1)が自動的に停止することにより、作業終了後に苗や肥料を下ろす際、エンジン(1)がアイドリング状態であり続けることを防止できるので、余分な燃料が消費されず、燃料の消費が軽減される。
【0012】
また、植付操作(6)レバーが「植付下」であるときのみ、所定時間経過後にエンジン(1)を停止させることにより、苗植付作業中である「植付入」のときには植付作業中にエンジン(1)が停止することを防止できるので、作業能率が向上する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の効果に加えて、停止選択スイッチ(9)を設けたことにより、圃場内での苗植付部(5)への苗の補充や、メンテナンス作業等のために苗植付部(5)を下降操作する際、苗植付部(5)が所定高さまで下がったときにエンジン(1)が自動停止することを防止できるので、苗の補充やメンテナンス等の作業を能率よく行なうことができる。
【0014】
また、停止選択スイッチ(9)を押したときのみエンジン(1)の停止制御を行なわない構成としたことにより、エンジン(1)の停止制御を入れ忘れてアイドリング状態で長時間停止することを防止できるので、燃料の節約が図られる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、副変速操作レバー(10)が「移動速」であるときにのみ、苗植付部(5)を所定高さまで下降させると、所定時間後にエンジン(1)が停止する構成としたことにより、苗の植付作業や苗の補充等のために苗植付部(5)を下降させる機会の多い植付作業中は条件を満たしてもエンジン(1)が停止しないので、エンジン(1)を再始動させる操作が不要となり、作業能率が向上する。
【0016】
また、苗移植機で圃場まで移動し、作業開始前に苗や肥料を補充する際にエンジン(1)を切り忘れていても、エンジン(1)が自動的に停止するので、燃料の節約が図られる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、操縦者が所定時間以上操縦座席(2)から離れるとエンジン(1)を停止させることにより、苗や肥料の補充等、時間のかかる作業の際にアイドリング状態となることを防止できるので、燃料の節約が図られる。
【0018】
また、副変速操作レバー(10)を「駆動停止」位置に操作しているときのみエンジン(1)の自動停止が行われることにより、作業者が意図しないエンジン(1)の停止を防止することができるので、エンジン(1)を再始動させる操作が不要となり、作業能率が向上する。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明の効果に加えて、副変速操作レバー(10)が「駆動停止」位置にあるときに作業者が操縦座席(2)に着座するとエンジン(1)が再始動することにより、エンジン(1)を再始動させる際のその他の操作が不要になり、作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】苗移植機の側面図
図2】苗移植機の平面図
図3】ステアリングポスト部の平面図
図4】(A)副変速操作レバー部の背面図、(B)副変速操作レバー部の背面図
図5】エンジン制御のブロック図
図6】苗植付部を下降させるときのエンジン制御のフローチャート
図7】停止選択スイッチでエンジン制御を選択する際のフローチャート
図8】着座センサの検知で制御する際のフローチャート
図9】モニタ制御部のブロック図
図10】モニタ制御部のフローチャート
図11】フローチャートの別実施例を示すフローチャート
図12】(A)展開状態の予備苗枠を示す平面図、(B)予備苗枠を旋回させた状態を示す平面図
図13】予備苗枠の旋回時の制御ブロック図
図14】予備苗枠の旋回時のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面に基づいて、前輪16と後輪17を配置して、操縦座席2の下側に搭載のエンジン1によって連動駆動して走行する乗用四輪走行形態の車体3の後部に、昇降シリンダ18の伸縮によって、リヤフレーム19に対して昇降回動される平行リンク形態の昇降リンク機構4が設けられて、この昇降リンク機構4後端部のヒッチリンク20にローリング軸21部を介して苗植付部5の植付部フレーム22がローリング自在に連結される。
【0022】
前記車体3は、操縦座席12の前方にステアリングポスト23や、この上端部のハンドル24、及びボンネット25等を構成し、このハンドル24によって前輪16を走行して走行運転する。これら座席12、センタフロア26、及びボンネット25部等の左右両側部には広幅のサイドフロア27を配置して、操縦者が車体3上を前後方向へ移動し易くしている。
【0023】
前記センタフロア26の下側には、ミッションケース28や、油圧無段変速装置29等が設けられ、前記エンジン1から油圧無段変速装置29をベルト30連動して、ミッションケース28の連動機構を伝動する。このミッションケース28の連動機構から左右両側部のフロントアクスルハウジング30内の連動機構を介して前輪16を伝動駆動し、ミッションケース28の後側部に取出される後輪連動軸31を介して、リヤアクスルハウジング32に軸装の後輪17を伝動駆動し、ミッションケース28の後側部に取出されるPTO軸33が車体3後部に延出されて、前記苗植付部5の入力軸34を連動し、このPTO軸33の途中部から走行車体3の後部のリヤフレーム19上の施肥装置35を連動する形態である。
【0024】
前記前輪16、後輪17、及びPTO軸33を連動する伝動系には、主変速装置を油圧無段変速装置29によって構成して、前記ハンドル24の左手側に配置の走行操作レバー13によってレバーガイド36に形成のクランク状形態の案内溝37に沿って「中立」N位置から「前進」F位置、又は「後進」R位置へ操作して、油圧無段変速装置29のトラニオン軸をシフト連動して、「中立」Nの走行停止の位置から「前進」F増速走行の位置、又は「後進」R増速走行の位置に主変速操作することができる。
【0025】
前記主変速装置29から駆動される副変速装置が、ミッションケース28内に設けられて、前記ハンドル24の足元部に配置の副変速操作レバー10によって、レバーガイド38に形成の案内溝39に沿って、中央部に位置する「中立」P位置、及び「駆動停止」Q位置から、「移動速」H位置、又は「植付速」L位置へ操作して、走行車体3の走行伝動を、路上走行速に適応する伝動状態「移動速」Hにしたり、苗植付部5における苗植付に適する伝動状態「植付速」Lにしたり、苗植付部5は伝動可能であるが、走行伝動を切りにする「中立」Pにしたり、更には「中立」P位置近くで、エンジン1の回転を停止する停止制御を受けることが可能な位置「駆動停止」Qに切替操作することができる、前記角副変速操作位置を検知する副変速ポテンショメータ11が設けられている。
【0026】
前記ハンドル24の右手側には、植付操作レバー6が設けられている。この植付操作レバー6は、レバーガイド40の案内溝41を前後方向にシフトされて、前記昇降シリンダ18の伸縮によって昇降される苗植付部5の状態位置を示す「植付上」a位置、昇降シリンダ18の伸縮作動の停止する「昇降中立」c位置、苗植付部5を苗植姿勢位置へ下降させる「植付下」b位置、及び、苗植姿勢位置に下降された苗植付部5の伝動を入りにすることのできる「植付入」d位置にシフトすることができ、このシフト操作によってレバー位置を検知するレバーポテンショメータ8が設けられている。
【0027】
前記ボンネット25の上端面には、操作パネル42には、各種パイロットランプ43、44や、ダイヤル45、及び前記エンジン1の停止選択スイッチ9を設けている。この停止選択スイッチ9を押し操作することによって、所定条件のもとでエンジン1が自動的に停止される。
【0028】
前記走行車体3の前端中央部には、走行視準のセンタポールマーカ46を設け、サイドフロア27の外側部にマット苗を複数段に積載する補助苗載棚枠(予備苗枠)47を設ける。
【0029】
前記苗植付部5は、植付部フレーム22の下部にセンタフロート48、及びサイドフロート49をフロート軸50周りに上下揺動自在に支持して、走行土壌面を滑走しながら植付面を均平することができる。この植付部フレーム22の上方には、後下り傾斜の苗タンク51を左右往復移動するように支持構成されて、前上端部から供給されるマット苗を支持して、タンク底部の繰出ベルトの間歇的駆動によって繰出すことができる。
【0030】
また、植付部フレーム22の後端部には、ダブルクランク機構形態の回転作動して、先端の植付爪52を略楕円形状の植付軌跡線Dに沿って作動させて、この下動行程で前記苗タンク51の後下端の苗取口ガイド53の苗取口54に繰出された苗を分離保持して、土壌面に植付ける植付装置55の形態である。これら苗タンク51、及び植付装置55は横方向に一定間隔を有して配置の多条植(図例では四条植)形態にしている。
【0031】
前記苗植付部5の前側には、一体的に昇降可能の代掻ロータ56が、各フロート48、49の正面幅に対向して配置され、フロート48、49で均平する土壌面を予め代掻ロータ56で掻き均して均平し易くする。各代掻ロータ56は、前記リヤアクスルハウジング32内の連動機構から取出される連動軸57を介して伝動回転される。
【0032】
また、この代掻ロータ56は、ロータ支持機構58を介して植付部フレーム22の前側上部に吊下げられて、代掻抵抗を受けて植付部フレーム22の昇降に対して、独自にも昇降することができる形態である。
【0033】
前記苗植付部5は、センタフロート48の仰角揺動によって、仰角センサ59の検知により昇降シリンダ18の油圧回路の制御弁が切替えられて、深い土壌面の走行植付では苗植付部5を上昇し、浅い土壌面の走行植付では下降して、土壌面に対する苗植付深さが一定に維持できる形態に構成している。
【0034】
前記苗移植機を路上走行のように比較的高速度で走行するときは、苗植付部5を非苗植姿勢位置に上昇させておき、この苗植付部5のPTO軸33からの伝動は切りにしておき、しかも副変速装置を「移動速」H位置、乃至「植付速」L位置に操作しておくもので、エンジン1を始動させた状態で、植付操作レバー6を「植付上」a位置へ操作して、苗植付部5を接地面から上昇させた姿勢に維持する。この状態で走行操作レバー13を、「中立」N位置から「前進」F位置、乃至「後進」R位置へ操作して、油圧無段変速装置29の伝動による走行速度を制御操作することができる。この走行を停止するときは、走行操作レバー13を「中立」Nに戻して、ブレーキペダル60を踏んで制動させる。
【0035】
苗移植機を補助の苗植行程において、植付作業するときは、前記走行操作レバー13を「中立」N位置にして、副変速操作レバー10を「植付速」L位置に操作し、植付操作レバー6を「昇降中立」c位置から「植付下」b位置、又は「植付入」d位置にする。そして、この植付操作レバー6を「植付入」d位置に操作した状態で、走行操作レバー13を「前進」F位置側へシフト操作することによって、前記副変速操作レバー10によって設定された「植付速」L伝動による走行速のもとに苗植付部5による苗植作業が行われる。
【0036】
前記苗移植機において、エンジン1を駆動、停止するエンジン制御装置は、図5のようにコントローラ61の入力側に、植付操作レバー6の操作位置を検知するレバーポテンショメータ8や、副変速操作レバー10の操作位置を検知する副変速ポテンショメータ11、操縦者の押し操作で選択される停止選択スイッチ9、センタフロータ48の揺動角を検知する仰角センサ59、昇降リンク機構4の昇降角を検知するリンクセンサからなる下降検知センサ7、及び操縦座席2に作業者が着座したことを検知する着座検知センサ12等を配置し、出力側にエンジン1を始動したり、駆動を停止するためエンジン1スイッチを設け、駆動を停止するためのエンジン停止スイッチを設け、コントローラ61の内部には、エンジン1を停止するための所定時間を管理するタイマーTを設けている。
【0037】
前記植付操作レバー6によって苗植付部5を下降操作しているときに、エンジン1を自道程に停止制御する場合は、図6のように、植付操作レバー6を操作して(ステップS1)、昇降シリンダ18の作動で苗植付部5を下降する(S2)。このとき植付操作レバー6の操作位置をレバーポテンショメータ8で検知し(S3)、昇降リンク機構4の下降による苗植付部5の下降位置を下降検知センサ7によって検知している(S4)。
【0038】
ここで、停止選択スイッチ9がエンジン停止の選択に操作されていないで(S5)、前記レバーポテンショメータ8が「植付下」b位置を検知し(S6)、かつ、下降検知センサ7が、苗植付部5が所定高さまで下降したことを検知する(S7)ことによって、タイマーTのカウントを開始する(S8)。そして、所定時間を経過する(S9)ことによって、エンジン1を自動的に停止する(S10)。前記停止選択スイッチ9がエンジン自動停止制御に選択されているときは(S5)、レバーポテンショメータ8が「植付下」b位置を検知しても、これだけでは、エンジン1を自動的に停止させることにはならない。苗植装置1の伝動入りで植付しているときは、表土の凹凸で苗植装置1部が最下位置に下がってもエンジン1は停止させない。
【0039】
次に、副変速操作レバー10を「移動速」H位置に操作しているときの、エンジン1の自動的停止制御については、図7のように作動される。植付操作レバー6(S1)、副変速操作レバー10(S2)、を操作して苗植付部5を「植付下」b位置、又は「植付入」d位置に下降する(S3)。このときレバーポテンショメータ8が植付操作レバー6の操作位置を検知し(S4)、副変速ポテンショウメータ11が副変速操作レバー10の操作位置を検知し(S5)、又、下降検知センサ7が苗植付部5の下降位置を検知している(S6)。
【0040】
ここで、停止選択スイッチ9がエンジン停止の選択に操作されていないで、副変速操作レバー10が「移動速」H位置に操作されて(S8)、レバーポテンショメータ8が「植付下」b位置を検知し(S9)、かつ、下降検知センサ7が、苗植付部5が所定高さまで下降したことを検知した(S10)ことによって、タイマーTのカウントを開始して(S11)、所定時間経過する(S12)と、エンジン1を自動的に停止する(S13)、前記停止選択スイッチ9がエンジン自動停止制御に選択されているときは(S7)、副変速操作レバー10が「移動速」H位置にあって(S8)も、レバーポテンショメータ8が「植付下」b位置を検知(S9)していても、これだけではエンジン1を自動的に停止されることにはならない。
【0041】
次に、前記操縦座席2の着座センサ12の検知によってエンジン1の自動停止制御を行わせる形態は、図8の如きフローによって行われる。副変速操作レバー10の操作(S1)によって、副変速ポテンショメータ11が副変速位置を検知し(S2)て、着座センサ12が検知する状態にあって(S3)、副変速操作レバー10が「駆動停止」Q位置に操作される(S4)ことによって、しかも、着座センサ12が作業者の着座を検知しない(S5)ときは、タイマーTのカウントを開始して(S6)、所定時間経過により(S7)、エンジン1を自動的に停止する。
【0042】
そして、前記副変速操作レバー10が「駆動停止」Q位置にあって、(S9)、しかも着座センサ12が着座を検知しているとき(S10)ときは、前記のように一旦停止されたエンジン1も再始動される(S11)。
【0043】
ここにおいて、エンジン1、及び操縦座席2を配置した乗用走行車体3の後部に昇降リンク機構4を介して昇降可能の苗植付部5を装着し、前記苗植付部5の昇降操作、及びこの苗植付部5による苗植付作動を操作して、最下降位置、又は植付伝動入り位置の「植付下」b、乃至「植付入」d位置、及び非苗植位置の「昇降中立」c、「植付上」a位置に操作可能の植付操作レバー6を設け、前記苗植付部5の下降を検知する下降検知センサ7と、この植付操作レバー6の操作位置を検知するレバーポテンショメータ8を設け、前記レバーポテンショメータ8が「植付下」bの位置を検知しているとき、前記苗植付部5が所定高さまで下降したことを、前記下降検知センサ7が検知することによって、所定時間後に前記エンジン1を自動的に停止することを特徴とする苗移植機のエンジン制御装置の構成とする。
【0044】
苗移植機は、走行車体3に搭載のエンジン1の駆動によって伝動走行し、苗植付部5を伝動して苗植作用を行わせる。この苗植付部5は車体3に設ける植付操作レバー6の操作によって昇降されて、この植付装置レバー6の操作位置に、苗植付部5の昇降位置を維持させる「昇降中立」c位置や、路上走行乃至圃場面の単なる走行移動時のように苗植付部5を上昇させた姿勢で走行移動するときの「植付上」a位置、走行する圃場土壌面に苗植付部5底部のフロートを設置指示させるときの「植付下」b位置、及び、この苗植付部5の下降「植付下」b位置で、苗植付伝動を行わせて苗植付作動を行わせる「植付入」d位置等に昇降させることができる。
【0045】
この操作において、植付操作レバー6の操作位置をレバーポテンショメータ8が「植付下」b位置を検知しているとき、苗植付部5が所定高さの位置まで下降したことを、下降検知センサ7が検知することによって、所定時間(例えば、30〜60秒)後に前記エンジン1を自動的に停止する。そして、前記レバーポテンショメータ8が「植付下」b位置を検知していても、「植付入」d位置を検知しているときは、エンジン1は停止されないで、苗植付伝動可能の状態に継続される。
【0046】
また、前記レバーポテンショメータ8と下降検知センサ7が検知状態にあるとき、エンジン1を所定時間後に停止させるか、否かを選択する停止選択スイッチ9を設け、この停止選択スイッチ9を操作することにより、前記エンジン停止条件を満たしたとしも、エンジン1は停止しない。
【0047】
苗植作業操作時に、停止選択スイッチ9を操作して、レバーポテンショメータ8と毛項検知センサ7が検知状態であるときに、エンジン1を所定時間後に停止させることを選択すると、この条件を満すことによってエンジン1が自動的に停止されるが、エンジン1を停止しない牽制位置へ選択しておくと、条件を満たしたとしてもエンジン1は停止しない。
【0048】
また、前記走行車体3には、走行伝動の変速位置を伝動切りの「中立」P位置、及び走行速の高い位置の「移動速」H、又は低い位置で苗植付作動可能の「植付速」L位置に操作可能の副変速操作レバー10と、この操作位置を検知する副変速ポテンショメータ11を設け、前記副変速ポテンショメータ11が副変速操作レバー10の「移動速」H位置を検知しているときに、前記レバーポテンショメータ8が「植付下」b位置を検知すると共に、下降検知センサ7により苗植付部5が所定高さまで下降したことを検知すると、所定時間後にエンジン1を自動的に停止する。
【0049】
前記苗移植機は、エンジン1の回転を油圧無段変速装置の如き主変速装置を介して走行伝動、及び苗植装置の苗植伝動する主変速伝動装置と、これら主変速伝動装置の一部に組込まれているギヤ変速形態等の副変速装置を配置して、この副変速装置を副変速操作レバー10の操作によって、前記走行伝動、及び苗植付伝動を切りにする「中立」P位置や、走行伝動を路上走行の如き比較的高速伝動状態とする「移動速」H、及び、圃場土壌面を比較的低速走行しながら苗植付部5による苗植付作用を行わせる伝動状態の「植付速」Lに切替操作することができる。
【0050】
そして、副変速レバー10の副変速ポテンショメータ11が、「移動速」H位置を検知しているとき、前記レバーポテンショメータ8が「植付下」b位置を検知すると共に、苗植付部5が所定の高さまで下降したことを下降検知センサ7が検知すると、所定時間後にエンジン1を自動的に停止する。
【0051】
更には、前記副変速操作レバー10を「中立」P位置からエンジン停止制御を受けることの可能な「駆動停止」Q位置に操作可能に設け、前記副変速操作レバー10が「駆動停止」Q位置であり、前記操縦座席2の座席センサ12が操縦者の着座を検知しないで、所定時間が経過すると、前記エンジン1を自動的に停止する。
【0052】
前記苗移植機の苗植作業において、前記副変速操作レバー10が「駆動停止」Q位置にあり、着座センサ12が作業者の着座を検知していない状態であるときは、この状態で所定時間が経過すると自動的にエンジン1を停止する。
【0053】
又、前記のように副変速操作レバー10が「駆動停止」Q位置にあって、エンジン1が停止状態にあっても、着座医センサ12が着座を検知することによって、停止していたエンジン1が再始動される。
【0054】
次に、主として、図9から図11に基づいて、燃料量表示と、バッテリ残量表示をディスクプレイ71に切替表示可能にする。燃料計をバッテリメータ兼用のプログラム設定形態とすることもできる。
【0055】
このモニタ制御のコントローラ65には、(A)、入力側にメインキースイッチ66や、操向マーカスイッチ67、マーカ左右切替スイッチ68、電圧センサ69、燃料センサ70、タイマーT1、及び、出力側にディスプレイ71等を配置した形態で、前記表示切替には、マーカ操作スイッチを利用して、このマーカスイッチ67をOFFで、かつマーカ左右切替スイッチ68を押した時に、ディスプレイ71の表示をバッテリメータに切替える。キースイッチ66のON後、5秒間バッテリメータの表示をした後に燃料計の表示に切替える。
【0056】
このため、作業開始時にバッテリ64が使用できるか、否かを直ちに判別できる。
前記制御のフロー(B)は、電圧センサ69の検知(S1)や、燃料センサ70の検知(S2)状態で、前記マーカスイッチ67とマーカ左右切替スイッチ68による切替えによって(S3)、バッテリ残量の表示に切替え(S4)、左右切替スイッチ68の押し操作を解放したときは燃料表示に戻る(S5)。
【0057】
又、図11の制御形態で、上例と異なる点は、前記キースイッチ66をON操作する(S1)ことによって、タイマーT1カウント開始して(S4)、所定時間(例えば、5秒間)を経過するか、否かをみて(S5)、時間経過すればディスプレイ71に燃料残量を表示する(S6)。
【0058】
または、前記所定時間T1=5秒を経過しない間は、ディスプレイ71にバッテリ64の残量電圧を表示させる(S7)。そして、このバッテリ64の残量電圧の表示中に所定時間(T1=5秒)を経過すると(S8)、ディスプレイ71に燃料の残量を表示される(S9)。
【0059】
次に、主として図12から図14に基づいて、苗移植機の操向姿勢をバランス維持させるもので、車体3の左右方向の傾斜によって、この傾斜上り側の補助苗載枠47を外方へ旋回させて張出す姿勢にして、車体3部の側方傾斜を軽減するものである。前記補助苗載棚枠47は、左右サイドフロア27の外側部に配置されて、複数段の苗載棚75を形成し、支持フレーム76に対して上下方向の回動軸77の周りに前後方向略90度域を旋回可能で、コントローラ78から電動されるモータ79によって、ギヤ80機構を介して回動旋回される。
【0060】
また、この苗載棚75は、下段部に対して上段部が前後方向へスライドして、苗載棚75の張出長さを長短に変更できる形態としている。補助苗載棚枠47にマット苗を積込むときは、畝際に止めた苗移植機から苗載棚75を前方(A)、又は横方向(B)へ長く張出移動させて、マット苗の積込を行い易くすることができる。このような苗移植機の車体3には、左右方向の傾斜角を検出する傾斜センサ81を設け、この傾斜センサ81の検出によって(S1)、車体3が所定角度以上に大きく傾斜したことを検知すると(S2)、モータ79を出力して(S3)、車体3の傾斜上り側の補助苗載棚枠47を外側(B)へ回動させて(S4)、この補助苗載棚47の重量で車体3の側方傾斜を左右水平状姿勢に戻すように重量バランスして、車体3の左右傾斜を小さくする。
【0061】
この補助苗載棚枠47の前後方向に沿う姿勢位置(A)から外側方へ回動する外方旋回角をポテンショメータ82で検出して(S5)、旋回角度が車体3の前後方向(A)に対して略直交状の90度の位置(B)になると(S6)、モータ79の駆動が停止される(S7)。マット苗が各苗載棚75のうけられている状態では、この苗載棚75が外側位置に旋回されるに伴って順次重心位置が旋回側へ移動する。
【符号の説明】
【0062】
1 エンジン
2 操縦座席
3 走行車体
4 昇降リンク機構
5 苗植装置
6 植付操作レバー
7 下降検知センサ
8 レバーポテンショメータ
9 停止選択スイッチ
10 副変速操作レバー
11 副変速ポテンショメータ
12 着座センサ
図1
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