(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
着用者の腹部に接する前身頃(1)と,着用者の背部に接する後身頃(2)と,前記前身頃(1)と前記後身頃(2)の間に位置する股下域(3)に,長手方向に区分され,
外装体(10)と,
前記外装体(10)の肌対向面側に,前記前身頃(1)から前記後身頃(2)に掛けて固定された吸収性本体(20)と,を備える
使い捨ておむつであって,
前記外装体(10)は,
アウターシート(11)と,
前記アウターシート(11)の肌対向面側に位置するインナーシート(12)と,
複数のウエスト伸縮部材(13)を,含み,
前記アウターシート(11)は,前記インナーシート(12)よりも長手方向に延出した部分が,前記使い捨ておむつの前記前身頃(1)及び後身頃(2)の長手方向端縁に相当するウエスト端縁(6)で折り返されていることにより,肌非対向面側に位置する外面(11a)と,肌対向面側に位置する内面(11b)とに分かれており,
前記アウターシート(11)の外面(11a)と内面(11b)の間には,さらに,クッションシート(14)の少なくとも一部が介在しており,
前記クッションシート(14)は,前記ウエスト端縁(6)で折り返されることにより,肌非対向面側に位置する外層(14a)と,肌対向面側に位置する内層(14b)とに分かれており,
前記複数のウエスト伸縮部材(13)のうちの半分以下のものが,前記クッションシート(14)の外層(14a)と内層(14b)の間に,前記使い捨ておむつの幅方向に沿った伸長状態で固定されている
使い捨ておむつ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで,ウエストギャザーを形成するウエスト伸縮部材は,不織布などのシートに,ホットメルトなどの接着手段で固定される。例えば,ウエストギャザーは,ウエスト開口部を形成するシートにホットメルトを塗布し,ウエスト伸縮部材をそこに固定することにより形成される。しかし,シートにホットメルトを直接塗布すると,ホットメルトが塗られる範囲が広くなるため,シートが硬くなって,不織布の風合いが悪くなってしまう。また,ホットメルトが塗られる範囲を小さくするために,ウエスト伸縮部材にホットメルトを直接塗布して,ウエスト開口部を形成するシートに固定することもできる。しかし,一般的に,伸縮弾性体の固定に適するホットメルトは,常温での変形性に乏しい硬いものが使用される傾向があるため,シート越しに伸縮弾性体に絡まったホットメルトの硬さが着用者に伝わり,不織布の風合いを損ねてしまいやすい。
【0006】
このため,現在では,おむつのフィット性を高めるために,使い捨ておむつの腰周り部分に弾性伸縮部材を固定してウエストギャザーを形成した場合であっても,この腰周り部分に配置した弾性伸縮部材の硬さが着用者に伝わることを防止し,腰周り部分の手触りを柔軟にすることのできる技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで,本発明の発明者は,上記の従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果,使い捨ておむつの外装体を構成するアウターシートを,おむつのウエスト端縁において折り返し,その折り返し部分にクッションシートを介在させると共に,このクッションシートもウエスト端縁において折り返して,この折り返されたクッションシートの間に,ウエストギャザーを形成するための弾性伸縮部材を固定することで,弾性伸縮部材の硬い手触りが,着用者の肌に伝達されにくくなるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に説明すると,本発明は,以下の構成を有する。
【0008】
本発明の使い捨ておむつは,着用者の腹部に接する前身頃1と,着用者の背部に接する後身頃2と,前身頃1と後身頃2の間に位置する股下域3に,長手方向に区分される。
また,本発明の使い捨ておむつは,外装体10と,外装体10の肌対向面側に前身頃1から後身頃2に掛けて固定された吸収性本体20と,を備えている。
ここで,外装体10は,アウターシート11と,アウターシート11の肌対向面側に位置するインナーシート12と,一又は複数のウエスト伸縮部材13を,含む。
そして,アウターシート11は,インナーシート12よりも長手方向に延出した部分が,使い捨ておむつの前身頃1及び後身頃2の長手方向端縁に相当するウエスト端縁6で折り返されていることにより,肌非対向面側に位置する外面11aと,肌対向面側に位置する内面11bとに分かれる。
また,アウターシート11の外面11aと内面11bの間には,さらに,クッションシート14の少なくとも一部が介在する。
このクッションシート14は,ウエスト端縁6で折り返されることにより,肌非対向面側に位置する外層14aと,肌対向面側に位置する内層14bとに分かれる。
そして,ウエスト伸縮部材13のうち,少なくとも一本は,クッションシート14の外層14aと内層14bの間に,使い捨ておむつの幅方向に沿った伸長状態で固定される。
【0009】
上記構成のように,使い捨ておむつのウエスト端縁6では,アウターシート11と,その内側に配置されたクッションシート14の2枚のシート部材が,折り返された状態となっている。このように,本発明では,使い捨ておむつのウエスト端縁6において,アウターシート11とクッションシート14の2枚のシート部材が重なった状態で折り返され,このクッションシート14の間にウエスト伸縮部材13が挟持固定されているため,ウエスト伸縮部材13の硬い手触りが着用者に伝達されにくくなっている。このように,本発明ではウエスト伸縮部材13と着用者の肌の間に複数のシート部材が介在されており,ウエスト端縁6近傍の手触りが柔軟になっているため,その結果,例えば,着用者が長時間使い捨ておむつを着用した場合であっても,着用者の肌にウエスト伸縮部材13による締め付け跡が残りにくく,着用者に対して不快感を与えることを防止できる。他方,このウエスト伸縮部材13は,おむつのウエスト端縁6近傍に,ウエストギャザーを形成する。このため,ウエスト端縁6近傍におけるおむつのフィット性は,従来通り確保することができる。以上のように,本発明によれば,ウエスト端縁6近傍において,フィット性と柔らかさの両方を兼ね備えた使い捨ておむつを提供できる。
【0010】
本発明において,ウエスト伸縮部材13が,使い捨ておむつの長手方向に所定間隔で複数本配置されることにより,ウエスト伸縮領域17が形成されていてもよい。すなわち,ウエスト伸縮領域17とは,ウエスト端縁6から複数のウエスト伸縮部材13のうち最も股下域3寄りの位置に配置されたウエスト伸縮部材13までの領域である。この場合に,ウエスト伸縮領域17の長手方向の長さの半分以下の領域において,クッションシート14の外層14aと内層14bとが厚み方向に重なっていることが好ましい。
【0011】
本発明においては,アウターシート11の折り返し部分にクッションシート14を挟み込み,さらにクッションシート14の折り返し部分にウエスト伸縮部材13を挟み込むこととしている。ただし,本発明では,ウエスト伸縮部材13の肌対向面側及び肌非対向面側に,合計4層以上のシート部材が厚み方向に重なることとなっており,このシート部材が重なった領域は,他の部分よりも通気性が低下することが懸念される。このため,複数のウエスト伸縮部材13の全てをクッションシート14の間に固定してしまうと,おむつを装着した際に,ウエスト端縁6近傍にムレが発生し,おむつの着用感が低下する恐れがある。このため,少なくともウエスト端縁6のクッション性を高めて手触りを良好なものとしつつ,ウエスト端縁6近傍における通気性を確保するために,複数のウエスト伸縮部材13が配置されたウエスト伸縮領域17では,長手方向の半分以下の領域において,クッションシート14の外層14aと内層14bとが厚み方向に重なっていることが好ましい。
【0012】
本発明において,アウターシート11の外面11aと,クッションシート14の外層14aは,全体的又は部分的に接合されていることが好ましい。また,アウターシート11の内面11bと,クッションシート14の内層14bは,全体的又は部分的に接合されていることが好ましい。
【0013】
上記構成のように,アウターシート11とクッションシート14を少なくとも部分的に接合することで,アウターシート11の内側で,クッションシート14の固定位置がずれたり,クッションシート14がヨレたりすることを防止できる。
【0014】
本発明において,アウターシート11とクッションシート14は,熱融着により,一体的に接合されていることが好ましい。例えば,アウターシート11とクッションシート14は,ヒートシールや超音波シールによって互いに融着されていることが好ましい。
【0015】
上記構成のように,アウターシート11とクッションシート14とを熱融着することで,おむつのウエスト端縁6近傍における柔らかさを損なうことなく,両シートを接合することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は,おむつの腰周り部分に弾性伸縮部材を固定することで,腰周り部分のフィット性を高めると共に,この腰周り部分に配置した弾性伸縮部材の硬さが着用者に伝わることを防止し,その手触りが柔軟になった使い捨ておむつを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
なお,本願明細書において,「長手方向」とは,使い捨ておむつの長手方向を意味し,使い捨ておむつの前身頃から後身頃を結ぶ方向(
図2の上下方向)をいう。また,「幅方向」とは,使い捨ておむつの幅方向を意味し,上記長手方向に平面的に直交する方向(
図2の左右方向)をいう。
また,本願明細書において,「肌対向面」とは,吸収性物品が装着された際に着用者の肌に向かい合う面を意味し,「肌非対向面」とは,肌対向面とは反対側の面であり,着用者の肌に向かい合わない面を意味する。
また,本願明細書において,「A〜B」とは,「A以上B以下」であることを意味する。
【0019】
(1.使い捨ておむつの全体構成)
本発明は,ウエスト端縁近傍にウエストギャザーが形成された使い捨ておむつに関する。本発明は,例えば,公知のパンツ型の使い捨ておむつや,テープ型の使い捨ておむつに広く適用可能である。パンツ型の使い捨ておむつは,前身頃と後身頃の両側部が予め接合されたタイプの使い捨ておむつである。パンツ型の使い捨ておむつとしては,吸収性本体が載置される外装体が前身頃から後身頃に掛けて一体となった一体型のものであってもよいし,外装体が前身頃及び後身頃で分離され,前身頃外装体と後身頃外装体の間に吸収性本体が架橋された架橋型のものであってもよい。また,テープ型の使い捨ておむつは,前身頃又は後身頃の両側部に接着テープが取り付けられ,着用時に接着テープを利用して前身頃と後身頃を接着させるタイプの使い捨ておむつである。
以下では,これらの種々のタイプの使い捨ておむつのうち,外装体が前身頃から後身頃に掛けて一体となった一体型のパンツ型使い捨ておむつを例に挙げて,本発明の内容を具体的に説明する。
【0020】
図1は,使い捨ておむつ100を前身頃1側からみた状態の例を示す斜視図である。また,
図2は,使い捨ておむつの例を示す展開図であって,使い捨ておむつを肌対向面側からみた状態を示している。
図2の展開図に示されるように,使い捨ておむつ100は,装着された際に,着用者の腹部に接する前身頃1と,着用者の背部に接する後身頃2と,着用者の股下にあてがわれる股下域3に区分される。
【0021】
図1及び
図2に示されるように,使い捨ておむつ100は,前身頃1から後身頃2にかけて形成された外装体10と,この外装体10の肌対向面側に固定された吸収性本体20を有する。吸収性本体20は,股下域3を中心として,前身頃1及び後身頃2に掛けて,外装体10に固定されている。
図2の展開図に示されるように,外装体10は,股下域3において,装着時に着用者の両脚部が位置する部分がくり抜かれた形状となっており,前身頃1及び後身頃2が,股下域3よりも幅広となっている。また,吸収性本体20は,股下域3を中心として前身頃1側から後身頃2側に掛けて延びる略矩形状に形成されている。吸収性本体20は,着用者の尿などの排泄物を吸収し保持するための各種吸収性部材によって構成される。
【0022】
図2に示された展開状態から,外装体10の前身頃1と後身頃2を,それぞれの幅方向両端部に位置するサイドシール部4において互いに接合することにより,
図1に示される状態に組み上がる。すなわち,
図1に示されるように,パンツ型の使い捨ておむつ100では,おむつの長手方向における前身頃1の端縁と後身頃2の端縁により,ウエスト開口部5が画定される。このウエスト開口部5を形成する前身頃1と後身頃2の長手方向の端縁が,ウエスト端縁6となる。また,前身頃1と後身頃2の両端部同士がサイドシール部4において接合されることにより,装着時に着用者の脚部周りに位置するレッグ開口部7が形成される。このため,着用者は,ウエスト開口部5から両脚部を入れ,各脚部をレッグ周り開口部7から出すことで,パンツ型の使い捨ておむつ100を装着できる。
【0023】
(2.使い捨ておむつの各部構成)
次に,使い捨ておむつ100の各部構成について説明する。
図3は,
図2の展開図に示されたY−Y線において,使い捨ておむつ100を長手方向に切断した状態の例を示す断面図である。
図3では,上下方向が,使い捨ておむつの長手方向となる。また,
図3では,右側が肌対向面側であり,左側が肌非対向面側である。通常,使い捨ておむつを構成する各種シート部材は極めて薄いものであるが,
図3の断面図においては,各種のシート部材に概念的な厚みを持たせて描画している。
【0024】
(2−1.外装体)
使い捨ておむつ100の外装体10は,吸収性本体20を着用者の身体にあてがった状態で保持するための部材である。
図2や
図3に示されるように,本実施形態において,外装体10は,基本的に,アウターシート11と,インナーシート12と,複数のウエスト伸縮部材13と,クッションシート14と,複数のタミー伸縮部材15と,複数のレッグ伸縮部材16とを有している。
【0025】
図3に示されるように,アウターシート11は,外装体10の最も肌非対向面側(最外層)に位置するシート部材である。本実施形態において,アウターシート11は,前身頃1から股下域3を経由して後身頃2に至るまで,外装体10の長手方向全体に亘って配置されている。また,アウターシート11の肌対向面側には,インナーシート12が貼合されている。インナーシート12は,その肌対向面側に,吸収性本体20が固定される部材である。インナーシート12は,股下域3を中心として,前身頃1及び後身頃2に掛けて配置される。ただし,インナーシート12は,長手方向における長さが,アウターシート12よりも短くなっている。このため,アウターシート11は,前身頃1及び後身頃2において,インナーシート12よりも,長手方向に延出した部分を有している。アウターシート11は,このインナーシート12よりも長手方向に延出した部分が,使い捨ておむつのウエスト端縁6に相当する位置において,肌対向面側に向かって折り返されている。このため,アウターシート11には,ウエスト端縁6を境界として,肌非対向面側に位置する外面11aと,肌対向面側に位置する内面11bが形成されている。アウターシート11及びインナーシート12を構成する材料としては,織布や不織布が用いることができ,特にポリエチレン,ポリプロピレン,又はポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる乾式不織布又は湿式不織布を用いることが好ましい。
【0026】
また,本実施形態において,アウターシート11とインナーシート12の間には,複数のウエスト伸縮部材13,複数のタミー伸縮部材15,及び複数のレッグ伸縮部材16が,幅方向に沿った伸長状態で,長手方向に間隔を置いて固定されている。各種弾性伸縮部材13,14,15をシート部材に固定する際には,シート部材にホットメルト接着剤等を塗布して,その接着剤が塗布されたシート部材の上に弾性伸縮部材を固定することとしてもよいし,弾性伸縮部材自体にホットメルト接着剤等を直接塗布して,その接着剤が塗布された弾性伸縮部材をシート部材上に固定することとしてもよい。
【0027】
ウエスト伸縮部材13は,使い捨ておむつのウエスト端縁6近傍の腰周り部分に,ウエストギャザーを形成するための弾性伸縮部材である。本実施形態において,複数のウエスト伸縮部材13のうちの数本が,アウターシート11とインナーシート12の間に固定される。また,残りのウエスト伸縮部材13は,アウターシート11の折り返し部分において,アウターシート11の外面11aと内面11bの間に配置されている。
【0028】
タミー伸縮部材15は,使い捨ておむつの下腹部周り部分に,タミーギャザーを形成するための弾性伸縮部材である。複数のタミー伸縮部材15は,上記した複数のウエスト伸縮部材13よりも,股下域3寄りの下腹部周りの位置に配置される。具体的には,本発明において,吸収性本体20と厚み方向に重なる領域に固定されている弾性伸縮部材が,タミー伸縮部材15であり,吸収性本体20の配置位置よりも長手方向外側に固定されている弾性伸縮部材が,ウエスト伸縮部材13である。なお,タミー伸縮部材15は,使い捨ておむつの幅方向中央部分において切断されて間欠的に固定されたものであってもよい。
図3において,ウエスト伸縮部材13は,黒い円で示されており,タミー伸縮部材15は,白い円で示されている。
【0029】
レッグ伸縮部材16は,使い捨ておむつのレッグ開口部7の周縁に沿って,レッグギャザーを形成するための弾性伸縮部材である。レッグ伸縮部材16は,複数のタミー伸縮部材15よりも,股下域3中央寄りの脚部周りの位置に配置される。レッグ伸縮部材16は,
図2の展開図に示されるように,レッグ開口部7の周縁に沿うように蛇行した状態で,アウターシート11とインナーシート12の間に固定されている。なお,レッグ伸縮部材16は,使い捨ておむつの幅方向中央部分において切断されて間欠的に固定されたものであってもよい。
【0030】
これらの各種弾性伸縮部材13,15,16には,公知の糸状又は帯状の弾性伸縮部材を用いることができる。例えば,これらの弾性伸縮部材には,糸状弾性ゴムを適用することが好ましい。このようなゴム材としては,スチレン系ゴム,オレフィン系ゴム,ウレタン系ゴム,エステル系ゴム,ポリウレタン,ポリエチレン,ポリスチレン,スチレンブタジエン,シリコーン,又はポリエステル等の素材を用いることができる。また,弾性伸縮部材を,シート部材に固定するときの伸長率は,120%〜250%程度とすればよい。なお,ここにいう伸長率とは,自然状態の弾性伸縮部材の長さを100%とした場合に,シート部材に固定するときに弾性伸縮部材がどの程度伸長されているかを示す比率であり,例えば,自然状態で10cmの弾性伸縮部材を20cmに伸張すると,その伸長率は200%となる。
【0031】
本発明において,アウターシート11の外面11aと内面11aの間には,さらに,クッションシート14が介在している。クッションシート14は,複数のウエスト伸縮部材13のうち,少なくとも,最もウエスト端縁6に近い位置に配置されたウエスト伸縮部材13が直接固定される部材である。クッションシート14は,ウエスト端縁6におけるクッション性を高め,ウエスト伸縮部材13の硬さが,着用者に直接伝達されることを防ぐ目的で配置されている。
【0032】
図3に示されるように,クッションシート14は,ウエスト端縁6に相当する位置で折り返されている。このため,クッションシート14は,ウエスト端縁6を境界として,肌非対向面側に位置する外層14aと,肌対向面側に位置する内層14bが形成されている。そして,クッションシート14の外層14aと内層14bの間には,複数のウエスト伸縮部材13のうちの少なくとも一本以上が,おむつの幅方向に沿って伸張した状態で,挟持固定されている。
図3に示された実施形態において,クッションシート14の外層14aと内層14bの間に固定されているウエスト伸縮部材13の数は,2本である。
【0033】
このように,本発明では,おむつのウエスト端縁6において,アウターシート11とクッションシート14の2枚のシート部材が折り返されている。このため,ウエスト端縁6には,シート部材が2層に重なるようになる。また,ウエスト端縁6の近傍では,ウエスト伸縮部材13の肌非対向面側に,アウターシート11の外面11aとクッションシート14の外層14aが重なり,ウエスト伸縮部材13の肌対向面側に,アウターシート11の内面11bとクッションシート14の内層14bが重なっており,ウエスト端縁6の近傍には,合計4層のシート部材が厚み方向に重なっていることとなる。このように,本発明ではウエスト伸縮部材13と着用者の肌の間に複数のシート部材が介在されており,ウエスト端縁6近傍の手触りが柔軟になっているため,その結果,例えば,着用者が長時間使い捨ておむつを着用した場合であっても,着用者の肌にウエスト伸縮部材13による締め付け跡が残りにくく,着用者に対して不快感を与えることを防止できる。他方,このウエスト伸縮部材13は,おむつのウエスト端縁6近傍に,ウエストギャザーを形成する。このため,ウエスト端縁6近傍におけるおむつのフィット性は,従来通り確保することができる。以上のように,本発明によれば,ウエスト端縁6近傍において,フィット性と柔らかさの両方を兼ね備えた使い捨ておむつを提供できる。
【0034】
また,
図3に示された実施形態では,ウエスト伸縮部材13が,使い捨ておむつの長手方向に所定間隔で複数本配置されることにより,ウエスト端部6近傍に,ウエスト伸縮領域17が形成されている。すなわち,ウエスト伸縮領域17とは,ウエスト端縁6から複数のウエスト伸縮部材13のうち最も股下域3寄りの位置に配置されたウエスト伸縮部材13までの領域である。このような場合,
図3に示されるように,ウエスト伸縮領域17の長手方向の長さの半分以下の領域において,クッションシート14の外層14aと内層14bとが厚み方向に重なっていることが好ましい。例えば,クッションシート14の外層14aと内層14bが厚み方向に重なる部分の長手方向の長さは,ウエスト伸縮領域17の長手方向の長さに対して,10%〜50%であることが好ましく,20%〜45%であってもよいし,25%〜40%であってもよい。このように,クッションシート14の外層14aと内層14bが厚み方向に重なる部分が,ウエスト伸縮領域17の半分以下であることにより,ウエスト端縁6近傍における通気性を確保することができる。
【0035】
また,
図3に示された実施形態では,複数のウエスト伸縮部材13のうち,半分以下のウエスト伸縮部材13が,クッションシート14の外層14aと内層14bの間に挟持固定される。具体的に説明すると,本発明では,ウエスト伸縮部材13が,前身頃1と後身頃2に,それぞれ6本ずつ配置されている。この6本のウエスト伸縮部材13のうち,クッションシート14の外層14aと内層14bの間に挟持固定されるウエスト伸縮部材13の数は,2本となっている。このように,ウエスト端縁6近傍における通気性を確保するためには,クッションシート14の間に固定するウエスト伸縮部材13の数は,その全体のうちの半分以下であることが好ましい。例えば,クッションシート14の外層14aと内層14bの間に固定するウエスト伸縮部材13の数は,1本であってもよいが,2本〜4本程度であることが特に好ましい。
【0036】
図3に示された実施形態において,クッションシート14は,内層14bが,外層14aよりも,股下域3に向かって,長手方向に長く延出している。具体的には,クッションシート14の外層14aは,ウエスト伸縮部材13を2本固定できる程度の長さに留まっているものの,内層14bは,インナーシート12の肌対向面側を被覆し,かつ,吸収性本体20(トップシート22)の長手方向端部の肌対向面側を被覆する位置まで延在している。また,このような場合に,クッションシート14の内層14bは,インナーシート12の肌対向面,及び吸収性本体20(トップシート22)の肌対向面に,ホットメルト接着剤等を介して貼合されていることが好ましい。
図3に示された実施形態のように,クッションシート14の内層14bを,吸収性本体20の長手方向端部の肌対向面側に固定することで,吸収性本体20を外装体10上に配置した後に,吸収性本体20の固定位置がずれることを防止できる。
【0037】
他方,
図4は,
図3に示された実施形態とは異なる実施形態の断面図を示している。
図4に示された実施形態において,クッションシート14は,内層14bと外層14aの長手方向における長さが,略同一となっている。すなわち,クッションシート14の外層14a及び内層14bは,ウエスト伸縮部材13を2本固定できる程度の長さに留まっている。なお,
図4に示された実施形態においても,クッションシート14の内層14bと外層14aによって挟持固定するウエスト伸縮部材13の本数は,一本であってもよいし,2〜4本であってもよい。この
図4の実施形態のように,クッションシート14は,使い捨ておむつのウエスト端縁6近傍に,局所的に配置されるものであってもよい。なお,
図4に示された実施形態では,アウターシート11の内面11bが,吸収性本体20(トップシート22)の長手方向端部の肌対向面側を被覆する位置まで延在し,吸収性本体20の肌対向面側に固定されている。
【0038】
また,本発明において,アウターシート11の外面11aと,クッションシート14の外層14aは,部分的又は全体的に,互いに接合されていることが好ましい。また,アウターシート11の内面11bと,クッションシート14の内層14bも,部分的又は全体的に,互いに接合されていることが好ましい。アウターシート11とクッションシート14は,ホットメルト接着剤等の流動性のある接着剤を用いて接着されていてもよいし,ヒートシールや超音波シールによって熱融着されていてもよい。特に,本発明では,ウエスト端縁6近傍の風合いを損なわないようにするために,アウターシート11とクッションシート14は,部分的に,ヒートシール又は超音波シールによって熱融着されて,一体的に結合していることが好ましい。
【0039】
ここで,アウターシート11とクッションシート14の接合態様について,
図5を参照して具体的に説明する。
図5は,ウエスト伸縮部材13を挟持するクッションシート14と,このクッションシート14を挟持するアウターシート11を部分的に抽出して示した模式図である。なお,
図5では,アウターシート11とクッションシート14を肌対向面側から見た状態を示している。また,
図5では,アウターシート11の内面11bとクッションシート14の内層14bの接合点を,符号Pで示している。
【0040】
図5に示されるように,アウターシート11の内面11bとクッションシート14の内層14bの接合点Pは,おむつの長手方向に沿って延びる列を形成している。接合点Pの列には,複数の接合点Pが含まれており,それぞれの列において,接合点Pが,おむつの長手方向に間欠的に形成されている。また,接合点Pの列は,おむつの幅方向(ウエスト伸縮部材13)の伸張方向に一定間隔を置いて,複数列形成されている。すなわち,アウターシート11の内面11bとクッションシート14の内層14bは,おむつの幅方向(ウエスト伸縮部材13の伸長方向)に沿って,接合部18と非接合部19が交互に連続して形成されている。例えば,接合点Pの列同士の,おむつの幅方向における間隔は,2mm〜10mm,3mm〜5mmとすればよい。このように,本発明においては,アウターシート11の内面11bとクッションシート14の内層14bが,おむつの長手方向に沿って間欠的に接合されているととともに,おむつの幅方向に沿っても間欠的に接合されていることが好ましい。なお,図示は省略するが,アウターシート11の外面11aとクッションシート14の外層14aも,
図5に示したアウターシート11の内面11bとクッションシート14の内層14bと同様に,おむつの長手方向及び幅方向に沿って間欠的に接合されたものであることが好ましい。このように,アウターシート11とクッションシート14を,複数の接合点によって部分的に接合することで,ウエスト端縁6近傍の風合いを良化することができる。
【0041】
上記したクッションシート14を構成する材料としては,アウターシート11と同様に,不織布や織布が用いることができ,特にポリエチレン,ポリプロピレン,又はポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる乾式不織布又は湿式不織布を用いることが好ましい。より具体的に説明すると,クッションシート14は,坪量が,10〜20g/m
2の不織布であることが好ましい。このような坪量の不織布によってクッションシート14を形成することにより,柔らかさと,強度のバランスを維持することができる。また,クッションシート14を形成する不織布は,KES曲げ剛性計測器(カトーテック社製:KES−FB2)によって測定した曲げ剛性が,0.010g・cm
2/cm以下であり,KES風合い計測器(カトーテック社製:KES−SE)によって測定した平均摩擦係数が,0.25以下であることが好ましい。例えば,クッションシート14を形成する不織布は,曲げ剛性が0.001〜0.010g・cm
2であり,平均摩擦係数が0.01〜0.25であることが好ましい。このような物理的特性の不織布を利用することで,クッションシート14の柔らかさが向上する。
【0042】
(2−2.吸収性本体)
吸収性本体20は,外装体10の股下域3を中心に前身頃1及び後身頃2にかけて配置され,使い捨ておむつ100の着用時おいて,着用者の股下に当接して尿などの液体を吸収保持する。
図2の展開図や
図3の断面図に示されるように,吸収性本体20は,吸収体21と,トップシート22と,バックシート23と,立体ギャザー24を基本構成としている。
【0043】
吸収体21は,尿などの液体を吸収し,吸収した液体を保持するための部材である。吸収体21は,液透過性のトップシート22と,液不透過性のバックシート23の間に配置される。吸収体21は,トップシート22を透過した液体を吸収する機能を有し,吸収性材料により構成される。吸収体21を構成する吸収性材料には,公知の材料を採用することができる。吸収性材料としては,例えば,フラッフパルプ,高吸収性ポリマー,又は親水性シートを用いることとしてもよい。また,吸収性材料には,フラッフパルプ,高吸収性ポリマー,又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし,2種類以上を併用することとしてもよい。吸収性材料は,通常,単層又は複数層のマット状に形成され,用いられる。吸収性材料は,コアラップシート25よって,肌対向面側及び肌非対向面側から被包することが好ましい。コアラップシート25は,肌対向面側及び肌非対向面側から,吸収性材料を被覆し,吸収性材料が外側へ漏出することを防止する。コアラップシート25としては,ティシュペーパー,吸収紙,親水化処理を行った不織布等を適宜用いることができる。
【0044】
トップシート22は,着用者の股下の肌に直接接し,尿などの液体を吸収体21へ透過させるための部材である。このため,トップシート22は,柔軟性が高い液透過性材料で構成される。また,トップシート22は,吸収体21の肌対向面側を被覆するように配置される。トップシート22を構成する透過性材料の例は,織布,不織布,又は多孔性フィルムである。また,例えばポリプロピレンやポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
【0045】
バックシート23は,トップシート22を透過し吸収体21に吸収された液体が,おむつの外側へ漏出することを防止するための部材である。このため,バックシート23は,液不透過性材料によって構成される。そして,バックシート23は,吸収体21の底面からの液漏れを防止するため,吸収体21を肌非対向面側から被覆する。バックシート23を構成する液不透過材料の例は,ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。特に,0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
【0046】
立体ギャザー24は,吸収体21の両側縁部に沿って起立し,着用者が排泄した尿の横漏れを防止するための部材である。一対の立体ギャザー24のそれぞれには,その先端部に,複数の立体ギャザー伸縮部材26が配置されており,立体ギャザー伸縮部材26が収縮した際に,着用者の肌当接方向に向かって立ち上がる。このため,一対の立体ギャザー24は,尿の防漏壁となり,トップシート22を透過しなかった尿や,吸収体21により吸収しきれなった尿が,使い捨ておむつの脚部周り開口部などから漏出する横漏れを防止する。立体ギャザー24は,従来の使い捨ておむつに用いられている公知の構成を採用することができる。立体ギャザー24は,例えば,疎水性シートの層間に伸張状態の立体ギャザー伸縮部材26を挟み込んで固定することにより,形成することができる。疎水性シートとしては,例えば,カードエンボスやスパンボンド等の製法により得られた不織布シートを使用することができ,特に防水性が高いSMSやSMMS等の不織布シートを用いることが好ましい。
【0047】
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を中心に説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。