(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表皮材(A)が、ポリオレフィン系ハードセグメントとポリオレフィン系ソフトセグメントとを有するブロック共重合体エラストマー(a)を含有していることを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
前記樹脂発泡体(B)が、ポリオレフィン系樹脂100質量%中に、ポリプロピレン系樹脂を70〜99質量%、ポリエチレン系樹脂を1〜30質量%含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の積層体。
中央のブロック部がエチレン−ブチレン共重合体セグメントであり、両端のブロック部がエチレン重合体セグメント及び/又はスチレン重合体セグメントであるブロック共重合体を、ブロック共重合体エラストマー(b)とした際に、
前記樹脂発泡体(B)が、ブロック共重合体エラストマー(b)を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
前記樹脂発泡体(B)が、樹脂発泡体(B)中のポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、前記ブロック共重合体エラストマー(b)を0.1〜10質量部含むことを特徴とする、請求項4に記載の積層体。
前記樹脂発泡体(B)を厚さが1/2になるようにスライスし、表皮材(A)側に位置するスライスした樹脂発泡体(B)のゲル分率が、30%以上60%以下であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の積層体。
樹脂発泡体(B)は、ポリプロピレン系樹脂で構成される相中に、ポリエチレン系樹脂で構成される相(ポリエチレン系樹脂で構成される相を、以下、ポリエチレン系樹脂相という)が分散した構造であり、
該ポリエチレン系樹脂相の数が、2個/μm2以上10個/μm2以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の積層体は、特定の表皮材(A)と特定の樹脂発泡体(B)とを有する。特に本発明の積層体は、特定の表皮材(A)と特定の樹脂発泡体(B)とを層状に貼り合わせた積層体であることが好ましい。
【0017】
本発明の積層体を構成する表皮材(A)は、示差走査熱量計による吸熱ピークを、95〜110℃の領域及び130〜155℃の領域に少なくとも有することが重要である。表皮材(A)は、95〜110℃の領域及び130〜155℃の領域に少なくとも示差走査熱量計による吸熱ピークを有しさえすれば、表皮材(A)を構成する熱可塑性樹脂に特に制限はない。表皮材(A)を構成する熱可塑製樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−ブチルアクリレート共重合体(EBA)エチレンプロピレンラバー等のエラストマー成分を含むポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂や、これらの樹脂と共重合可能なモノマーで構成された共重合体などが挙げられる。これらの表皮材を構成する熱可塑性樹脂は、2種以上を混合させてもよい。また、加工性や外観性を向上させる目的で、無機充填材、酸化防止剤、炭化水素系オイルなどを添加してもよい。特に、表皮材(A)は、ポリオレフィン系ハードセグメントとポリオレフィン系ソフトセグメントとを有するブロック共重合体エラストマー(a)を含有していると、樹脂発泡体(B)との積層加工が簡易となり、また接触したときの柔軟性もあるために好ましい。また表皮材(A)中にブロック共重合体エラストマー(a)を含有させることで、容易に表皮材(A)の示差走査熱量計による吸熱ピークを95〜110℃の領域及び130〜155℃の領域に有する態様に制御することができる。
【0018】
ここで、表皮材(A)が含有するブロック共重合体エラストマー(a)中のポリオレフィン系ハードセグメントとは、該セグメント100質量%中にプロピレン成分を50質量%以上含有するオレフィン系共重合体のことである。ブロック共重合体エラストマー(a)中のポリオレフィン系ハードセグメントは、具体的には、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン重合体など、2元または3元の共重合体がある。
【0019】
また、表皮材(A)が含有するブロック共重合体エラストマー(a)中の前記ポリオレフィン系ソフトセグメントとは、架橋(部分架橋、完全架橋のいずれの架橋も含む)した、オレフィン系共重合体のことである。具体的には、架橋したエチレン−プロピレンランダム共重合体、架橋したエチレン−プロピレンブロック共重合体、架橋したエチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体、架橋したポリブタジエンなどがある。
【0020】
表皮材(A)中のブロック共重合体エラストマー(a)の含有量は特に制限されないが、表皮材(A)の接触感や成形加工性などから、表皮材(A)100質量%中に50〜100質量%のブロック共重合体エラストマー(a)を含有しているのが好ましい。
【0021】
これらのポリオレフィン系ハードセグメントとなる重合体とポリオレフィン系ソフトセグメントとなる重合体は、互いに重合することでブロック共重合体エラストマー(a)とすることができる。また、これらのセグメントを構成する各重合体を、単軸押出機、二軸押出機、ニーダーミキサー、バンバリーミキサー等の公知の方法を使用して混練することで、重合することができる。
【0022】
本発明の積層体を構成する表皮材(A)の厚さは、特に限定されず、その使用目的に応じた厚みに加工して用いることができる。表皮材(A)の一般的な厚さは、0.1〜1.5mmの範囲である。積層体の−35℃における引張最大強度5000kPa以下に調整し、−40〜−10℃という低温環境での破壊を促進することを考慮すると、表皮材(A)は0.1〜0.6mmが好ましい。
【0023】
本発明の積層体に用いる樹脂発泡体(B)は、示差走査熱量計による吸熱ピークを、140℃以上の領域及び110〜125℃の領域に少なくとも有することが重要である。示差走査熱量計による吸熱ピークが140℃以上の領域について、特にその上限温度には制限はないが、170℃が一般的である。また、樹脂発泡体(B)が、140℃以上の領域及び110〜125℃の領域に少なくとも示差走査熱量計による吸熱ピークを有するためには、樹脂発泡体(B)がポリオレフィン系樹脂を含み、さらに該ポリレオフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を含むことが重要である。
【0024】
樹脂発泡体(B)中のポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体などが挙げられ、必要に応じてプロピレンモノマーと他の共重合可能なモノマーとの共重合体を用いることもできる。樹脂発泡体(B)中のポリプロピレン系樹脂は、1種類のみでなく、2種類以上をブレンドして用いても良い。また、これらのポリプロピレン系樹脂の重合方法には特に制限がなく、高圧法、スラリー法、溶液法、気相法のいずれでも良く、重合触媒についても、チーグラー触媒やメタロセン触媒等、特に限定されるものではない。
【0025】
また、樹脂発泡体(B)中のポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−ブチルアクリレート共重合体(EBA)などが挙げられ、必要に応じてエチレンモノマーと他の共重合可能なモノマーとの共重合体を用いることもできる。これらのポリエチレン系樹脂は、1種類のみでなく、2種類以上をブレンドしても良い。また、これらのポリプロピレン系樹脂の重合方法には特に制限がなく、高圧法、スラリー法、溶液法、気相法のいずれでも良く、重合触媒についても、チーグラー触媒やメタロセン触媒等、特に限定されるものではない。
【0026】
本発明の積層体に用いる樹脂発泡体(B)中のポリオレフィン系樹脂の含有量に制限はないが、樹脂発泡体(B)100質量%中にポリオレフィン系樹脂を80〜99質量%含有するのが好ましい。
【0027】
また、樹脂発泡体(B)中のポリオレフィン系樹脂について、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の含有量に特に制限はないが、樹脂発泡体(B)中のポリオレフィン系樹脂100質量%中に、ポリプロピレン系樹脂を70〜99質量%、ポリエチレン系樹脂を1〜30質量%含むことが好ましい。樹脂発泡体(B)中のポリオレフィン系樹脂100質量%中に、ポリプロピレン系樹脂が70質量%未満、又は、ポリエチレン系樹脂が30質量%より多く含有される場合、60〜100℃の高温環境への耐性維持が十分でないことがあり、さらに−40〜−10℃の低温環境で、積層体の破壊が阻害されやすく、特にエアバックが搭載された自動車内装材では、開裂速度が遅れたり、開裂方向が歪み、直面に出てこないために、安全に機能しない場合がある。また、樹脂発泡体(B)中のポリオレフィン系樹脂100質量%中に、ポリプロピレン系樹脂が99質量%より多い、又は、ポリエチレン系樹脂が1質量%未満の場合、真空成形する際に破れやすくて製品不良率が増加する場合があり、さらに−10〜30℃の常温環境でも脆性破壊しやすく、取扱いが困難になる場合がある。樹脂発泡体(B)中のポリオレフィン系樹脂100質量%中に、ポリプロピレン系樹脂を75〜90質量%、ポリエチレン系樹脂を15〜20質量%含むことがさらに好ましい。
【0028】
また、中央のブロック部がエチレン−ブチレン共重合体セグメントであり、両端のブロック部がエチレン重合体セグメント及び/又はスチレン重合体セグメントであるブロック共重合体を、ブロック共重合体エラストマー(b)とした際に、樹脂発泡体(B)がブロック共重合体エラストマー(b)を含むことが好ましい。樹脂発泡体(B)がブロック共重合体エラストマー(b)を含むことにより、表皮材(A)と樹脂発泡体(B)の間の最大剥離強度を向上させることができる。さらに樹脂発泡体(B)がブロック共重合体エラストマー(b)を含むことにより、積層体が破壊する時に、表皮材(A)と樹脂発泡体(B)とが剥離するような外観不良を生じさせない利点があるため好ましい。ブロック共重合体エラストマー(b)は、両端のブロック部がエチレン重合体セグメントであることが、最大剥離強度を向上させることができる点で好ましい。樹脂発泡体(B)中のブロック共重合体エラストマー(b)の含有量に制限はないが、樹脂発泡体(B)中のポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、ブロック共重合体エラストマー(b)を0.1〜10質量部含むことで、十分な効果を発揮することができるため好ましい。
本発明の積層体に用いる樹脂発泡体(B)を製造する際に使用される発泡剤に特に制限はない。例えば、炭酸水素ナトリウムやアゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロニトリル等の熱分解型発泡剤、または炭酸ガスやフロン、揮発性炭化水素等の物理発泡剤を用いることができる。これらの発泡剤は単独で用いても、2種を混合して用いてもよい。なお、樹脂発泡体(B)はポリオレフィン系樹脂を含むので、発泡時の安定性に優れるという理由から、樹脂発泡体(B)を製造する際に用いる発泡剤としては炭酸水素ナトリウムかアゾジカルボンアミドであることが好ましく、特に、アゾジカルボンアミドであることが好ましい。
【0029】
本発明の積層体に用いる樹脂発泡体(B)は、架橋された樹脂発泡体(架橋発泡体という)、架橋されていない樹脂発泡体(非架橋発泡体という)のいずれも用いることができ、用途に応じて適切な樹脂発泡体を選択すれば良い。しかし、樹脂発泡体の表面に平滑性があり、積層体の外観に優れることとなる点や、成形時に破れにくいためにデザイン性を追求できる点から、樹脂発泡体(B)としては架橋発泡体が好ましい。
【0030】
樹脂発泡体(B)を架橋発泡体にするための方法は特に制限がない。架橋発泡体を得る方法としては、例えば、シラン基、過酸化物、水酸基、アミド基、エステル基などの化学構造を持つ成分を導入することで化学的に架橋する方法、電子線、α線、β線、γ線、紫外線を用いる放射線架橋を行う方法などが挙げられる。発泡体のセルを均一にして、−40〜−10℃の低温環境で積層体の破壊を促進する点と、発泡体の表面外観を平滑にして積層体の外観に優れる点から、樹脂発泡体(B)を架橋発泡体にするためには、電子線による放射線架橋が好ましい。
【0031】
また、本発明の積層体に用いる樹脂発泡体(B)において、電子線架橋では架橋構造を導入することが困難な場合には、樹脂発泡体(B)を製造するための原料中に架橋助剤を含有させることができる。架橋助剤としては特に制限はないが、多官能モノマーを使用するのが好ましい。多官能モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼンなどを使用することができる。これらの多官能モノマーは、それぞれ単独で用いても、あるいは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0032】
本発明の積層体は、樹脂発泡体(B)を厚さが1/2になるようにスライスしたときに、表皮材(A)側に位置するスライスした樹脂発泡体(B)のゲル分率が、30%以上60%以下であることが好ましい。このようにすることで、特に樹脂発泡体(B)として架橋発泡体を用いた場合に、表皮材(A)と樹脂発泡体(B)の間の最大剥離強度を30(N/25mm)以上とすることができ、また、破壊時の引張伸びを300%以下とすることができるので、表皮材(A)と樹脂発泡体(B)が剥離する外観不良を生じさせないために好ましい。樹脂発泡体(B)を厚さが1/2になるようにスライスしたときの、表皮材(A)側に位置するスライスした樹脂発泡体(B)のゲル分率は、45%以上60%以下であることがより好ましい。
【0033】
表皮材(A)側に位置するスライスした樹脂発泡体(B)のゲル分率が、30%以上60%以下にする方法は、特に制限はない。例えば、電子線照射を利用して、樹脂発泡体(B)あるいは発泡前のシート状態を、600〜1200kVの照射電圧を利用して調整することができる。表皮材(A)側に位置するスライスした樹脂発泡体(B)のゲル分率が、45%以上60%以下にするための方法にも特に制限はない。
【0034】
後述するように樹脂発泡体(B)の好適なゲル分率が5%以上60%以下である点を鑑みて、樹脂発泡体(B)の厚み方向におけるゲル分率に差をつけ、ゲル分率が30%以上60%以下となる面を表皮材(A)側に位置するように選択する方法がある。厚み方向へのゲル分率の差をつける方法は、片側の面から約600〜700kVの弱い照射電圧で、樹脂発泡体(B)の厚み方向へのゲル分率差をつける方法、チタン板で電子線照射をシールドして、樹脂発泡体(B)の厚み方向へのゲル分率差をつける方法、照射電圧の異なるエネルギーを両面から照射して、樹脂発泡体(B)の厚み方向へのゲル分率差をつける方法などが挙げられる。
【0035】
樹脂発泡体(B)のゲル分率の値に制限はないが、樹脂発泡体(B)はゲル分率が5%以上60%以下の架橋発泡体であることが好ましい。樹脂発泡体(B)のゲル分率が5%未満であると、発泡体の表面に凹凸ができ、平滑性のない外観になることがある。また、樹脂発泡体(B)のゲル分率が60%より大きいと、深入り形状の成形が困難となりデザイン性を追求できなくなることがある。
【0036】
本発明の積層体に用いる樹脂発泡体(B)の製造法は、公知の製造方法が使用できる。樹脂発泡体(B)が無架橋発泡体の場合は、例えば、炭酸水素ナトリウムやアゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロニトリル等の熱分解型発泡剤、または炭酸ガスやフロン、揮発性炭化水素等の物理発泡剤を、ポリオレフィン系樹脂、さらには各種添加剤等に所定量配合し、サーキュラーダイや丸ダイから押出をして発泡させることで製造することができる。その際の溶融混練温度は、配合する樹脂や発泡剤にもよるが、通常130〜250℃程度である。樹脂発泡体(B)が架橋発泡体の場合は、例えば、ポリオレフィン系樹脂、熱分解型発泡剤、各種添加剤を均一に配合、溶融混練して、シート形状に成形した後、電離性放射線を照射させたシートか、これらの配合原料にジクミルパーオキサイト゛等の有機過酸化物を加えて予め配合させ、溶融混練時にポリオレフィン系樹脂を架橋させたシートについて、熱風や熱媒等に接触させ、熱分解型発泡剤を加熱分解させることで、架橋発泡体を製造することができる。その際のシート化するための溶融混練温度は、配合する樹脂や発泡剤にもよるが、通常130〜200℃の範囲であり、熱分解型発泡剤を分解させ架橋発泡体に変化させる温度は、発泡剤の分解温度以上の範囲で実施する。
【0037】
その他、本発明の積層体に用いる樹脂発泡体(B)には、必要に応じて熱安定剤、耐候剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、流動性改良剤、離型剤、充填剤などの添加剤を含有させても良い。
【0038】
本発明の積層体に用いる樹脂発泡体(B)の発泡倍率は、使用目的に応じて設計すればよく、特に制限されるものではない。樹脂発泡体(B)の一般的な発泡倍率は2〜40(倍)である。本発明の積層体をインストルメントパネルなどの自動車内装材に用いる場合には、樹脂発泡体(B)の発泡倍率は2〜20(倍)が特に好ましい。本発明の積層体の樹脂発泡体(B)の面を、エアバック収納構造を有する樹脂基材と積層した自動車内装材として、さらに該樹脂基材及び樹脂発泡体(B)が、エアバックが開裂するための孔を有する態様の場合には、エアバックが積層体を破壊したときに、表皮材(A)または樹脂発泡体(B)の破損した一部破片が飛散する懸念をなくし、エアバックが積層体を破壊して開裂する速度を速くするために、樹脂発泡体(B)の発泡倍率は2〜15(倍)がさらに好ましい。
【0039】
また、本発明の積層体に用いる樹脂発泡体(B)の厚さについては、使用目的に応じて設計すればよく、特に制限されるものではない。樹脂発泡体(B)の一般的な厚さは0.50〜5.0(mm)である。本発明の積層体を自動車内装材として用いる場合には、樹脂発泡体(B)の厚さは0.50〜4.0(mm)が特に好ましい。本発明の積層体の樹脂発泡体(B)の面を、エアバック収納構造を有する樹脂基材と積層した自動車内装材として、さらに該樹脂基材及び樹脂発泡体(B)が、エアバックが開裂するための孔を有する態様の場合には、エアバックが積層体を破壊したときに、表皮材(A)または樹脂発泡体(B)の破損した一部破片が飛散する懸念をなくし、エアバックが積層体を破壊して開裂する速度を速くするために、樹脂発泡体(B)の厚さは0.50〜2.5(mm)がさらに好ましい。
【0040】
本発明の積層体に用いる樹脂発泡体(B)は、ポリプロピレン系樹脂で構成される相(ポリプロピレン系樹脂で構成される相を、以下、ポリプロピレン系樹脂相という)中に、ポリエチレン系樹脂で構成される相(ポリエチレン系樹脂で構成される相を、以下、ポリエチレン系樹脂相という)が分散した構造であり、該ポリエチレン系樹脂相の数が、2個/μm
2以上10個/μm
2以下であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂相中のポリエチレン系樹脂相の数は、さらに好ましくは、3/μm
2以上8個/μm
2以下である。ポリプロピレン系樹脂相の中に分散しているポリエチレン系樹脂相の数が10個/μm
2以下であると、−40〜−10℃のような低温環境において積層体を破壊するときの衝撃力が、樹脂発泡体(B)中のポリプロピレン系樹脂の破壊を促進させやすく、より短時間で破壊する効果がある。特に、本発明の積層体の樹脂発泡体(B)の面を、エアバック収納構造を有する樹脂基材と積層した自動車内装材として、さらに該樹脂基材及び樹脂発泡体(B)が、エアバックが開裂するための孔を有する態様の場合には、エアバックの開放が速くかつ、エアバックがまっすぐ開放されやすいので、安全面で効果が非常に大きい。ポリプロピレン系樹脂相の中で分散しているポリエチレン系樹脂相の個数が2個/μm
2以上であると、積層体の成形性が向上して、各形状デザインへ対応しやすくなる効果がある。
【0041】
ポリプロピレン系樹脂相中にポリエチレン系樹脂相が分散した構造であり、該ポリエチレン系樹脂相の数を2個/μm
2以上10個/μm
2以下とするためには、樹脂発泡体(B)中のポリオレフィン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂をポリエチレン系樹脂より多く含有させる方法、ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量とポリエチレン系樹脂の重量平均分子量との差を大きくする方法を挙げることができる。後者の方法については、具体的にはポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量とポリエチレン系樹脂の重量分子量との差を25万以上にすることが好ましい。
【0042】
本発明の積層体は、−35℃における最大引張強度が5,000kPa以下であり、かつ、破壊時の引張伸びが300%以下であることが重要である。積層体の−35℃における最大引張強度が5,000kPaより大きいと、低温時の破壊が十分でなく、特にエアバックが搭載された自動車内装材では、エアバックが積層体を破壊して開裂する速度が十分ではなく、エアバックの開裂方向が歪んで、まっすぐ均一に出てこない可能性がある。また、−35℃における破壊時の引張伸びが300%より大きくても、エアバックが積層体を破壊して開裂する速度が十分ではなく、エアバックの開裂方向が歪んで、まっすぐ均一に出てこない可能性がある。積層体の−35℃における最大引張強度は、4500kPa以下であることが好ましく、−35℃における破壊時の引張伸びは270%以下であることが好ましい。なお、積層体の−35℃における最大引張強度は、MD方向及びTD方向の両方向が5,000kPa以下であり、かつ、破壊時の引張伸びがMD方向及びTD方向の両方向において300%以下であることが重要である。
【0043】
積層体の−35℃における最大引張強度を5000kPa以下とするためには、前述の通り、表皮材(A)が、95〜110℃の領域及び130〜155℃の領域に少なくとも示差走査熱量計による吸熱ピークを有し、該表皮材の厚みが0.1〜0.6mmの範囲で設定する方法を挙げることができる。
【0044】
本発明の積層体の−35℃における最大引張強度の下限値に制限はないが、1,000kPa以上になると考えられる。また、−35℃における破壊時の引張り伸びの下限値にも制限がないが、5%以上であると考えられる。
【0045】
積層体の−35℃における破壊時の引張り伸びを300%以下とするためには、前述の通り、樹脂発泡体(B)を厚さが1/2になるようにスライスしたときに、表皮材(A)側に位置するスライスした樹脂発泡体(B)のゲル分率を30%以上60%以下とする方法を挙げることができる。
【0046】
本発明の積層体は、表皮材(A)と樹脂発泡体(B)の間の最大剥離強度が、30(N/25mm)以上であることが重要である。最大剥離強度が、30(N/25mm)より小さいと、破壊する際に、表皮材(A)と樹脂発泡体(B)が剥離して外観不良を生じたり、表皮材(A)や樹脂発泡体(B)の一部位が飛散する問題を発生させたりする懸念がある。特にエアバックが搭載された自動車内装材では、エアバックが積層体を破壊する衝撃で表皮材(A)が樹脂発泡体(B)から剥離すると、樹脂発泡体(B)だけが破壊し、表皮材(A)は破壊しない現象がおき、エアバックが開裂する速度が遅くなることが懸念される。また、エアバックが積層体を破壊したとき、表皮材(A)または樹脂発泡体(B)の破損した一部破片が飛散する懸念があるために好ましくない。積層体の表皮材(A)と樹脂発泡体(B)の間の最大剥離強度は35(N/25mm)以上であることが好ましい。なお本発明の積層体の表皮材(A)と樹脂発泡体(B)の間の最大剥離強度は、MD方向とTD方向の両方向において30(N/25mm)以上であることが重要である。
【0047】
本発明の表皮材(A)と樹脂発泡体(B)の間の最大剥離強度の上限値には制限がないが、150(N/25mm)以下になると考えられる。
【0048】
表皮材(A)と樹脂発泡体(B)の間の最大剥離強度を30(N/25mm)以上とするための方法に制限はないが、表皮材(A)と積層する面側の樹脂発泡体(B)の発泡倍率を下げる方法、表皮材(A)と積層する面側の樹脂発泡体(B)のゲル分率を上げる方法、樹脂発泡体(B)にブロック共重合体エラストマー(b)を含有させる方法、表皮材(A)と樹脂発泡体(B)を公知の接着剤で積層する場合、接着剤と接触する面側の表皮材(A)や樹脂発泡体(B)の表面に放電加工を行い、表面に水酸基を導入して接着性を向上させる方法、表皮材(A)がブロック共重合体エラストマー(a)を含有している場合、樹脂発泡体(B)を積層する融着方法として、発泡樹脂体(B)の積層する面側を、高温側の吸熱ピーク温度に対して−10℃〜+10℃までに加熱して、ロール間隙を、表皮材(A)の厚さと樹脂発泡体(B)の厚さの和よりも−1.5mm〜−0.3mmの範囲でニップしながら積層する方法などが挙げられる。
【0049】
また、本発明の積層体は、表皮材(A)と樹脂発泡体(B)とを有するが、表皮材(A)と樹脂発泡体(B)との間には他の層が介在してもよいし、表皮材(A)と樹脂発泡体(B)とが直接積層されても構わない。つまり本発明の積層体について、表皮材(A)と樹脂発泡体(B)とを積層する方法に特に制限はなく、両者の組成に応じて、公知の接着あるいは融着方法を選択すればよい。例えば、表皮材(A)がブロック共重合体エラストマー(a)を含有している場合、表皮材(A)と熱融着させるポリオレフィン系樹脂を含む樹脂発泡体(B)の表面を、120〜180℃に加熱して、熱融着させる方法がある。表皮材(A)がポリ塩化ビニルを含有する場合は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂発泡体(B)にポリエステル系やウレタン系の溶剤系接着剤やエマルジョン系接着剤を塗布して貼り合わせる方法などがある。
【0050】
本発明の積層体を用いる用途は特に制限されない。例えば、パイプカバーの断熱材、床材などの工業材料用途、インストルメントパネル、ドアパネル、全席シートなどの自動車内装材用途などが挙げられる。特に、低温領域から高温領域までの幅広い温度使用環境の範囲で、厚み方向への破壊を容易にした好適な表皮材と樹脂発泡体からなる特性を有する点は、エアバックを搭載するインストルメントパネル、ドアパネル、全席シートなどの自動車内装材用途において、エアバックの衝撃による積層体の破壊速度を速め、積層体の破壊時でも表皮材(A)と樹脂発泡体(B)の剥離を防止するために、大いに効果を発揮する。エアバックの開裂時の速度や外観への要求度が非常に高い、インストルメントパネルが用途である場合、さらに大きな効果を発揮する。
【0051】
本発明の自動車内装材は、積層体の樹脂発泡体(B)の面を、エアバック収納構造を有する樹脂基材と積層した態様であり、樹脂基材及び樹脂発泡体(B)が、エアバックが開裂するための孔を有する。つまり本発明の自動車内装材は、表皮材(A)、樹脂発泡体(B)、エアバック収納構造を有する樹脂基材の3層以上を有する。このとき本発明の自動車内装材においては、樹脂発泡体(B)の面側を、エアバック収納構造を有する樹脂基材と積層する構造とするのが好ましい。エアバック収納構造を有する樹脂基材の組成に特に制限はなく、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂や、これらに、タルク、マイカ、ワラステナイト、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維などの無機充填材で強化させた複合体を用いることが一般的である。
【0052】
本発明の自動車内装材について、積層体中の樹脂発泡体(B)と樹脂基材とを接着させる接着剤には制限がない。そのため、たとえば、大日本インキ化学工業(株)製の「パンデックスT−5265」、バイエル(株)製「デスモコール♯500」などを接着剤としても用いることができる。
【0053】
また、本発明の自動車内装材は、樹脂基材及び樹脂発泡体(B)がエアバックが開裂するための孔を有するが、エアバックの開裂を促進させる効果を高めるために、樹脂基材及び樹脂発泡体(B)中のエアバックが開裂するための孔を厚さ方向に有することが好ましい。ただし、表皮材(A)が孔を有すると、自動車内装材の外側部分になるためにデザイン性が失われるため好ましくない。樹脂基材及び樹脂発泡体(B)に孔を形成するための方法には特に制限はなく、機械的に孔を開ける方法やレーザーを使用して孔を開ける方法などがある。
【0054】
本発明の自動車内装材では、成型加工する方法に制限はないが、一般的には、前記した表皮材(A)と樹脂発泡体(B)の積層体を、押出成型、真空成型、スタンピング成型、ブロー成型などの公知の成型加工により、内装材の形状となる積層体の成型品を作成し、接着剤や熱媒体を介在して、樹脂発泡体(B)とエアバック収納構造を有する樹脂基材とを接着させる方法がある。これらの成型は、熱溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着などで、必要に応じた形状に二次加工してもよい。
(測定方法)
測定法は以下の通りである
1.表皮材(A)および樹脂発泡体(B)の示差走査熱量計による吸熱ピーク温度
各サンプルを2mg準備し、窒素環境下において、示差走査熱量計の昇温速度を10℃/minとして、25℃から200℃まで昇温させ、200℃で5分間維持する。その後、冷却速度10℃/minとして、−50℃まで冷却し、−50℃で5分間維持する。その後、再度昇温速度を10℃/minとして200℃まで昇温させたときに見られる吸熱ピークの頂点となる温度を測定した。
【0055】
2.樹脂発泡体(B)のゲル分率(%)
0.5〜2mm程度に細かく裁断した樹脂発泡体約50mgを精密に秤量し、130℃のテトラリン25mlに3時間浸漬した後、200メッシュのステンレス製金網で濾過して、アセトンで洗浄して付着しているテトラリン溶解分を除去して、金網上の不溶解分からアセトンを揮発させるように、50℃環境で3時間以上真空乾燥を行った。この不溶解分の質量を精密に秤量して、下記の式(1)に従って算出した。2回測定した値から求めた平均値である。
【0056】
ゲル分率(%)=[不溶解分の質量(mg)/テトラリンに浸漬前の樹脂架橋発泡体の質量(mg)]×100 ・・・・式(1)
3.表皮材(A)側に位置するスライスした樹脂発泡体(B)のゲル分率(%)
樹脂発泡体(B)を厚さ方向に1/2の厚さになるようにスライスカットして得られた2枚の発泡体において、積層体中の表皮材(A)側に位置したスライスされた樹脂発泡体を準備する。その後、前記した樹脂発泡体(B)のゲル分率の測定方法に従って、測定して得られた値である。
【0057】
4.樹脂発泡体(B)の発泡倍率
密度をJIS K6767(1999)「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」に従って測定した。この密度の数値から、式(2)により発泡体の倍率を算出した。3回測定した値から求めた平均値を発泡倍率とした。
【0058】
倍率(倍)=ポリオレフィン系樹脂の密度(kg/m
3)/樹脂発泡体の密度(kg/m
3) ・・・式(2)
5.−35℃における積層体の最大引張強度、及び破壊時の引張伸び
MD方向とTD方向の両方向に切削した積層体の試験片サンプルを、10分間、−35℃の環境に置き、その後、試験速度500mm/minにて、JIS K6767(1999)「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」に準じて引張試験を行い、引張強度の最大値と破壊に至ったときの引張伸びの値とした。
【0059】
装置:テンシロンUCT−500(オリエンテックコーポレーション)
引張速度:500mm/min
得られた引張強度と引張伸びの数値は、2回測定した値から求めた平均値である。
【0060】
6.積層体の最大剥離強度
MD方向とTD方向の両方向において、150mm×25mmに切削した積層体の試験片サンプルを、引張速度が200(mm/min)、剥離角度180(°)、剥離距離80(mm)の条件で、JIS Z 0237(2009)に準拠した剥離試験を行った時の、最大剥離強度の値を求めた。測定温度は23℃、湿度は50%RHである。
【0061】
装置:テンシロンUCT−500(オリエンテックコーポレーション)
引張速度:200mm/min
得られた剥離強度は、剥離距離80mm内の最大剥離強度値であり、2回測定した値から求めた平均値である。
【0062】
7.積層体の高速面衝撃後の外観
以下のテスト条件において、積層体90cm×90cmを樹脂発泡体(B)側から衝撃エネルギーを与えて貫通した後の外観について、破壊形態や、表皮材(A)と樹脂発泡体(B)の剥離状態を目視で評価した。その状態を、以下の通り5段階で評価を行った。
【0063】
〔テスト条件〕
装置:島津製作所製サーボパルサ
測定環境:−35℃、10℃
積層体サンプルは、上記測定環境で10分間保管した後に測定した。
衝撃速度:1m/sec
衝撃錘形態:直径1cmの半球上形態
〔評価基準〕
5:表皮材(A)と樹脂発泡体(B)が剥離せず、両者ともひび割れもなく、衝撃錘と同じ大きさの穴が開いた外観である。
4:表皮材(A)と樹脂発泡体(B)が剥離せず、樹脂発泡体(B)には衝撃錘と同じ大きさの穴から外側に微小なひびが確認された外観である。
3:表皮材(A)と樹脂発泡体(B)が剥離せず、樹脂発泡体(B)には衝撃錘よりもやや大きく穴が開いた外観、またはその穴から外側にひびが確認された外観である。
2:貫通した穴の周辺では、表皮材(A)と樹脂発泡体(B)で剥離した箇所が確認された外観である。樹脂発泡体(B)には衝撃錘と同じ大きさか、やや大きく穴が開いている外観である。
1:2〜5のいずれにも該当しない場合。
【0064】
8.積層体の高速面衝撃による破壊速度
実施例1で使用した積層体を用いて、「7.積層体の高速面衝撃後の外観」の「テスト条件」に記した条件の高速面衝撃試験を実施したときの破壊に至るまでの時間を基準としたときと比較した破壊の速さを、目視により観察した。以下の通り4段階で評価を行った。
【0065】
4:実施例1よりは短い破壊時間で、樹脂発泡体(B)と表皮材(A)とが一気に破壊した。
【0066】
3:実施例1と同じ破壊時間で、樹脂発泡体(B)と表皮材(A)とが一気に破壊した。
【0067】
2:実施例1よりは長い破壊時間で、樹脂発泡体(B)と表皮材(A)とが一気に破壊した。
【0068】
1:実施例1よりも長い破壊時間で、樹脂発泡体(B)が破壊後、表皮材(A)が破壊
するような段階的な破壊であった。
9.ポリプロピレン系樹脂相中のポリエチレン系樹脂相の数
表皮材(A)と樹脂発泡体(B)の両層が確認できるように、積層体を製造加工する方向MD(mechanical direction)に切削する。厚さ方向となるZD方向(z-axis direction)とMDが確認できる断面部において、樹脂発泡体(B)の厚み方向となるZD方向1/2の位置であり、かつセル3箇所以上で囲まれた樹脂の分岐部分を観察箇所として選択する。
【0069】
樹脂発泡体(B)を、四酸化ルテニウムによる染色を行い、加速電圧100kVで透過型電子顕微鏡(日立製H−7100)を用いて観察することで、ポリプロピレン系樹脂相を示す淡染部と、ポリエチレン系樹脂相を示す可染部の色分けが可能になる。ポリプロピレン系樹脂層中に分散するポリエチレン系樹脂相の分散形態を観察した。
【0070】
次に樹脂発泡体(B)の分散構造におけるポリエチレン系樹脂相の数え方について記載する。発泡セル3箇所の各箇所から5μm以上離れた分岐部分において、MD方向に4μm、ZD方向に4μmの正方形16μm
2の範囲を設定し、その範囲に包含されるポリエチレン系樹脂相を数えた。正方形16μm
2の範囲の境界にあるポリエチレン系樹脂相は、この範囲に面積で50%以上包含される場合は1個として数えることとした。得られた個数を、正方形の面積である16μm
2で割ったときの数値を算出して、ポリプロピレン系樹脂相中のポリエチレン系樹脂相の数とした。
【実施例】
【0071】
実施例1
表に示すような組成と特性の積層体を作成した。詳細な内容を示す。表皮材(A)は、示差走査熱量計で103℃と134℃に吸熱ピークを有するブロック共重合体エラストマー(a)(ポリオレフィン系ソフトセグメント:パーオキサイドにより部分架橋したエチレン−プロピレンランダム共重合体。ポリオレフィン系ハードセグメント:エチレン重合体。)からなる厚さ0.5mmのシートを使用した。樹脂発泡体(B)は、ポリプロピレン系樹脂としてエチレン−プロピレンランダム共重合体80質量部、ポリエチレン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン20質量部、発泡剤であるアゾジカルボンアミド7質量部、架橋補助剤であるジビニルベンゼン4質量部を混合したシートを作り、電子線による照射を経て、亜硝酸ナトリウム塩浴とラジエーションヒータで加熱した環境の中、亜硝酸ナトリウム塩浴上に浮かして発泡させることで得られる厚さ2.5mmのシート状発泡体を使用した。この樹脂発泡体(B)は、示差走査熱量計で119℃と147℃に吸熱ピークを有する。
樹脂発泡体(B)は、発泡時にラジエーションヒータ側で加熱した面を146℃に加熱して、ロール間隙を、表皮材(A)の厚さと樹脂発泡体(B)の厚さの和よりも−1.0mmでニップしながら、この加熱面側と表皮材(A)とを熱融着して積層体とした。
【0072】
実施例2
表に示すように、樹脂発泡体(B)のポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の組成を変更した点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0073】
実施例3
表に示すように、樹脂発泡体(B)のポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の組成を変更した点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0074】
実施例4
表に示すように、樹脂発泡体(B)のポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の組成に、ブロック共重合系エラストマー(b)として、以下原料を用いた点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0075】
JSR製「DYNARON 4600P」:中央のブロック部がエチレン−ブチレン共重合体セグメントであり、両端の片側のブロック部がエチレン重合体セグメントであり、もう片側のブロック部がスチレン重合体セグメントから成り立っている。
【0076】
実施例5
表に示すように、樹脂発泡体(B)のポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の組成に、ブロック共重合系エラストマー(b)として、以下原料を用いた点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0077】
JSR製「DYNARON 6200P」:中央のブロック部がエチレン−ブチレン共重合体セグメントであり、両端のブロック部がエチレン重合体から成り立っている。
【0078】
実施例6
表に示すように、樹脂発泡体(B)のポリプロピレン系樹脂を変更した点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。ポリプロピレン系樹脂を変更したことで、樹脂発泡体(B)は、示差走査熱量計での吸熱ピークは121℃と156℃に表出した。
【0079】
実施例7
表に示すように、樹脂発泡体(B)の表皮材(A)と積層する面側半分のゲル分率を47%、樹脂発泡体(B)のゲル分率が42%となるようにした点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0080】
実施例8
表に示すように、発泡剤であるアゾジカルボンアミドの添加量を10質量%に増量したことで樹脂発泡体(B)の発泡倍率20倍となるように差をつけた点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0081】
実施例9
表に示すように、表皮材(A)が示差走査熱量計で107℃と153℃に吸熱ピークを持つブロック共重合体エラストマー(a)に変更した点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0082】
実施例10
表に示すように、表皮材(A)の厚さを1.2mmとした点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0083】
実施例11
表に示すように、樹脂発泡体(B)の厚さを4.0mmとした点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0084】
比較例1
表2に示すように、表皮材(A)が示差走査熱量計で109℃と160℃に吸熱ピークを持つブロック共重合体エラストマー(a)に変更した点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0085】
比較例2
表2に示すように、表皮材(A)が示差走査熱量計で115℃と160℃に吸熱ピークを持つブロック共重合体エラストマー(a)に変更した点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0086】
比較例3
表2に示すように、表皮材(A)と樹脂発泡体(B)を積層するとき、樹脂発泡体(B)を、発泡時にラジエーションヒータ側で加熱した面を130℃に加熱して、ロール間隙を、表皮材(A)の厚さと樹脂発泡体(B)の厚さの和よりも−0.1mmでニップしながら、この加熱面側と表皮材(A)と熱融着した点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0087】
比較例4
表2に示すように、樹脂発泡体(B)のポリエチレン系樹脂として低密度ポリエチレン20質量%とし、示差走査熱量計では106℃と147℃に吸熱ピークを保有したものを使用する点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0088】
比較例5
樹脂発泡体(B)は、ポリプロピレン系樹脂としてエチレン−プロピレンランダム共重合体80質量%、ポリエチレン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン20質量%、発泡剤であるアゾジカルボンアミド7質量%、架橋補助剤であるジビニルベンゼン4質量%、可塑剤としてグリセリンモノステアレートを0.5質量%混合したシートを作り、電子線による照射を経て、亜硝酸ナトリウム塩浴とラジエーションヒータで加熱した環境の中、亜硝酸ナトリウム塩浴上に浮かして発泡させることで得られる厚さ2.5mmtのシート状発泡体を使用した。この点を除いては実施例1と同様にして、積層体を得た。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
実施例及び比較例について、評価結果を表に示した。