(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(A)沸点が100℃以上180℃以下である水溶性の有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノールから選ばれる何れかを含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の水性インクジェット用インキ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明について説明する。
【0014】
本発明ではポリシロキサン系界面活性剤と有機溶剤として沸点が100℃以上180℃以下である水溶性の有機溶剤(溶剤A)と沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤(溶剤B)を組み合わせることで、印刷時の吐出安定性、乾燥速度、印刷品質を向上させている。
【0015】
原理としては以下のように考えられる。インクジェット印刷時に印刷媒体上でインキ滴は水が揮発しながら濡れ広がるが、この濡れ広がりが遅いと水の揮発で溶剤濃度が上がることによる顔料凝集が発生し、インキが十分に濡れ広がらずに白抜けやビーディング等の印刷欠陥が生じる。これを解消するためにインキの印刷媒体に対して濡れ広がる速度を高め、顔料凝集が発生する前に十分に濡れ広がらせることが重要となる。本発明者らは高沸点かつ低表面張力の溶剤(溶剤B)とポリシロキサン系界面活性剤を組み合わせることで、濡れ広がりの速度が向上することを確認した。また、合わせて低沸点の溶剤(溶剤A)を併用することでインキの乾燥性を速め、印刷の滲みを解消し、高い品質の印刷物を高速で印刷することを可能とした。
【0016】
以下に本発明の主要となる各成分について述べる。
【0017】
ポリシロキサン系界面活性剤としては一般にインキ、塗料などに使用されるものであれば、特に限定はされないが、一般式1、一般式2で表される構造の界面活性剤を使用することで高い吐出安定性、印刷品質を得ることができる。また、一般式3で表される構造の界面活性剤を併用することでより高い吐出安定性を得ることが可能となる。
【0018】
インキ中の界面活性剤の配合量としては0.5〜3重量%が好ましい。より好ましくは0.8〜2重量%であり、更に好ましくは1〜1.5重量%である。
【0019】
以下に一般式1〜3のポリシロキサン系界面活性剤について説明する。
【0020】
[一般式1]
【化9】
式中aは1〜500の整数、bは0〜10の整数。R1はアルキル基、またはアリール基を示す。R2は下記(A), (B), (C), (D)の内の何れかの置換基で示され、R2の内、少なくとも一つは(A)を含む。
【0021】
(A)
【化10】
cは1〜20の整数であり、dは0〜50の整数であり、eは0〜50の整数である。R3は水素原子またはアルキル基を示し、R4は水素原子、アルキル基、アシル基の何れかを示す。
【0022】
(B)
【化11】
fは2〜20の整数である。R5は水素原子、アルキル基、アシル基、ジメチルプロピル骨格を有するエーテル基の何れかをす。
【0023】
(C)
【化12】
gは2〜6の整数であり、hは0〜20の整数であり、iは1〜50の整数であり、jは0〜10の整数であり、kは0〜10の整数である。R6は水素原子、アルキル基、アシル基の何れかを示す。
【0024】
(D) アルキル基、またはアリール基である。
【0025】
一般式1で表される化合物の市販品としてはエボニックデグサ社製のTegotwin4000やTegotwin4100が挙げられる。
【0026】
[一般式2]
【化13】
式中lは10〜80の整数を示す。R7は下記(E)の置換基で示される。
【0027】
(E)
【化14】
mは1〜6の整数、nは0〜50の整数、oは0〜50の整数であり、n+oは1以上の整数で示される。R8は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、または(メタ)アクリル基である。
【0028】
一般式2で表される化合物の市販品の例としては、東レ・ダウコーニング社製のBY16-201, SF8427, ビックケミー社製のBYK-331, BYK-333, BYK-UV3500, エボニックデグサ社製のTegoglide410, Tegoglide432, Tegoglide435, Tegoglide440, Tegoglide450等が挙げられる。
【0029】
[一般式3]
【化15】
(pおよびqは1以上の整数であり、p+qは3〜50の整数で示される。R9は下記(F)の置換基で示され、R10は炭素数1〜6のアルキル基で示される。)
【化16】
(rは1〜6の整数、sは0〜50の整数、tは0〜50の整数であり、s+tは1以上の整数で示される。R11は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、または(メタ)アクリル基である)
【0030】
一般式3で表される化合物の市販品の例としては、東レ・ダウコーニング社製のSF8428, FZ-2162, 8032ADDITIVE, SH3749, FZ-77, L-7001, L-7002, FZ-2104, FZ-2110, F-2123, SH8400, SH3773M, ビックケミー社製のBYK-345, BYK-346, BYK-347, BYK-348, BYK-349, エボニックデグサ社製のTegowet250, Tegowet260, Tegowet270, Tegowet280, 信越化学工業社製のKF-351A, KF-352A, KF-353, KF-354L, KF355A, KF-615A, KF-640, KF-642, KF-643等が挙げられる。
【0031】
本発明では、さらに有機溶剤として沸点が100℃以上180℃以下である水溶性の有機溶剤である溶剤Aと、沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下の有機溶剤である溶剤Bとを必須成分として含む。インキ中の溶剤Aと溶剤Bの添加量は、溶剤Aと溶剤Bの総量として10〜45重量%であることが好ましい。あまりにも添加量が少ない場合は乾燥性、印刷媒体への濡れ性が乏しくなり、印刷媒体によっては印刷品質が低下する場合がある。また、45重量%よりも多い場合にはインキの保存安定性が低下する場合がある。溶剤添加量としてより好ましくは15〜30重量%であり、更に好ましくは18〜28重量%であり、最も好ましくは20〜26重量%である。また、溶剤Aと溶剤Bのそれぞれの添加量としては5〜25重量%であることが好ましい。より好ましくは8〜20重量%であり、更に好ましくは10〜15重量%である。
【0032】
溶剤Aと溶剤Bの含有重量比としては溶剤A:溶剤B = 1:5〜5:1が好ましく、より好ましくは溶剤A:溶剤B = 1:4〜4:1であり、更に好ましくは溶剤A:溶剤B = 1:3〜2:1であり、最も好ましくは溶剤A:溶剤B = 1:2〜2:1である。
【0033】
溶剤Aとしては沸点が100℃以上180℃以下である水溶性の有機溶剤であればどのような溶剤でも使用可能であるが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ジエチレングリコージメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等が挙げられる。これらの中でもプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノールが乾燥性、印刷品質の点から好ましい。より好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノールであり、更に好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシブタノールであり、最も好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルである。
【0034】
溶剤Bとしては沸点が200℃以上280℃以下かつ表面張力が20mN/m以上30mN/m以下である有機溶剤であればどのような溶剤でも使用可能であるが、例えば、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。中でもアルカンジオール系や末端の炭素鎖の炭素数が3以上のグリコールエーテル系溶剤が好ましく、より好ましくはアルカンジオール系溶剤が好ましく、更に好ましくは1,2-ヘキサンジオールである。
【0035】
本発明では粘度の調整や、吐出性の改良のために他の溶剤を添加することも可能である。他の溶剤としてはグリセリン、両末端ジオール、2-ピロリドン、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N-メチルオキサゾリジノン、N-エチルオキサゾリジノン、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、N, N-ジメチル-β-メトキシプロピオンアミド等が挙げられる。
【0036】
本発明では着色剤を使用することもできる。着色剤としては、例えば、染料、顔料等が挙げられる。これらの色材は1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。印刷物の耐水性、耐候性を向上させるためにも顔料を使用することが好ましい。色材の含有量はインキの全重量に対して0.1%以上20重量%以下、好ましくは1%以上10重量%以下、より好ましくは2%以上7重量%以下である。
【0037】
染料を使用する場合には、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料等の通常インクジェット記録に使用する各種染料を使用することができる。
【0038】
更に詳しくは、シアン染料としてはC. I. Acid Blue 1, 7, 9, 15, 22, 23, 25, 27, 29, 40, 41, 43, 45, 54, 59, 60, 62, 72, 74, 78, 80, 82, 83, 90, 92, 93, 100, 012, 103, 104, 112, 113, 117, 120, 126, 127, 129, 130, 131, 138, 140, 142, 143, 151, 154, 158, 161, 166, 167, 168, 170, 171, 182, 183, 184, 187, 192, 199, 203, 204, 205, 229, 234, 236, 249, C. I. Direct Blue 1,2, 6, 15, 22, 25, 41, 71, 76, 77, 78, 80, 86, 87, 90, 98, 106, 108, 120, 123, 158, 160, 163, 165, 168, 192, 193, 194, 195, 196, 199, 200, 201, 202, 203, 207, 225, 226, 236, 237, 246, 248, 249, C. I. Reactive Blue 1, 2, 3, 4, 5, 7, 8, 9, 13, 14, 15, 17, 18, 19, 20, 21, 25, 26, 27, 28, 29, 31, 32, 33, 34,37, 38, 39, 40, 41, 43, 44, 46, C. I. Food Blue 1, 2, C. I. Basic Blue 9, 25,28, 29, 44等が挙げられる。マゼンタ染料としてはC. I. Acid Red 1, 6, 8, 9, 13, 14, 18, 26, 27, 32, 35, 37, 42, 51, 52, 57, 75, 77, 80, 82, 85, 87, 88, 89, 92, 94, 97, 106, 111, 114, 115, 117, 118, 119, 129, 130, 131, 133, 134, 138, 143, 145, 154, 155, 158, 168, 180, 183, 184, 186, 194, 198, 209, 211, 215, 219, 249, 252, 254, 262, 265, 274, 282, 289, 303, 317, 320, 321, 322, C. I. Direct Red 1, 2, 4, 9, 11, 13, 17, 20, 23, 24, 28, 31, 33, 37, 39, 44, 46, 62, 63, 75, 79, 80, 81, 83, 84, 89, 95, 99, 113, 197, 201, 218, 220, 224, 225, 226, 227, 228, 229, 230, 231, C. I. Reactive Red 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 11, 12, 13, 15, 16, 17, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 28, 29, 31, 32, 33, 34,35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 45, 46, 49, 50, 58, 59, 63, 64, C. I. Food Red 7, 9, 14等が挙げられる。イエロー染料としてはC. I. Acid Yellow 1, 3, 11, 17, 19, 23, 25, 29, 36, 38, 40, 42, 44, 49, 59, 61, 70, 72, 75, 76, 78, 79, 98, 99, 110, 111, 127, 131, 135, 142, 162, 164, 165, C. I. Direct Yellow 1, 8, 11, 12, 24, 26, 27, 33, 39, 44, 50, 58, 85, 86, 87, 88, 89, 98, 110, 132, 142, 144, Reactive Yellow 1, 2, 3, 4, 6, 7, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 37, 42, C. I. Food Yellow 3, 4等が挙げられる。ブラック染料としてはC. I. Direct Black 1, 7, 19, 32, 51, 71, 108, 146, 154, 166等が挙げられる。
【0039】
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック以外の染料としてはC. I. Acid Green 7, 12, 25, 27, 35, 36, 40, 43, 44, 65, 79, C. I. Direct Green 1, 6, 8, 26, 28, 30, 31, 37, 59, 63, 64, C. I. Reactive Green 6, 7, C. I. Direct Violet 2, 48, 63, 90, C. I. Reactive Violet 1, 5, 9, 10等が挙げられる。
【0040】
顔料を使用する場合には、無機顔料、有機顔料の何れも使用することができる。無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエ ロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、 群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等を 挙げることができる。
【0041】
有機顔料としてはアゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料等が挙げられる。
【0042】
更に詳しくは、シアン顔料としてはC. I. Pigment Blue 1, 2, 3, 15:1, 15:3, 15:4, 15:6, 16, 21, 22, 60, 64等が挙げられる。マゼンタ顔料としてはC. I. Pigment Red 5, 7, 9, 12, 31, 48, 49, 52, 53, 57, 97, 112, 120, 122, 146, 147, 149, 150, 168, 170, 177, 178, 179, 184, 188, 202, 206, 207, 209, 238, 242, 254, 255, 264, 269, 282、C. I. Pigment Violet 19, 23, 29, 30, 32, 36, 37, 38, 40, 50等が挙げられる。イエロー顔料としてはC. I. Pigment Yellow 1, 2, 3, 12, 13, 14, 16, 17, 20, 24, 74, 83, 86, 93, 94, 95, 109, 110, 117, 120, 125, 128, 129, 137, 138, 139, 147, 148, 150, 151, 154, 155, 166, 168, 180, 185, 213等が挙げられる。
【0043】
ブラック顔料としては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックが挙げられる。例えば、これらのカーボンブラックであって、一次粒子径が11〜40nm、BET法による比表面積が50〜400m2/g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜10等の特性を有するものが好適である。このような特性を有する市販品としては下記のものが挙げられる。例えば、No.33、40、45、52、900、2200B、2300、MA7、MA8、MCF88(以上、三菱化学製)、RAVEN1255(コロンビアンカーボン製)、REGA330R、400R、660R、MOGUL L、ELFTEX415(以上、キャボット製)、Nipex90、Nipex150T、Nipex160IQ、Nipex170IQ、Nipex75、Printex85、Printex95、Printex90、Printex35、PrintexU(以上、エボニックデグサ製)等があり、何れも好ましく使用することができる。
【0044】
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック以外の顔料としてはC. I. Pigment Green 7, 10, 36、C. I. Pigment Brown 3, 5, 25, 26、C. I. Pigment Orange 2, 5, 7, 13, 14, 15, 16, 24, 34, 36, 38, 40, 43, 62, 63, 64, 71等が挙げられる。
【0045】
これらの顔料を使用する場合には長期間のインキ安定性を維持するためにも、インキ媒体中に分散して使用することが好ましい。顔料の分散方法としては、顔料を酸化処理等により表面改質し、分散剤なしで顔料を分散させる方法や、界面活性剤や樹脂を分散剤として顔料を分散させる方法がある。より安定なインキとするためにも分散樹脂を使用して顔料を分散させることが好ましい。
【0046】
顔料分散樹脂としてはアクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、αオレフィンマレイン酸樹脂、ウレタン樹脂、エステル樹脂等が挙げられる。なかでもアクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂を使用することが好ましい。
【0047】
顔料分散樹脂の酸価は50〜400mgKOH/gであることが好ましい。酸価が50mgKOH/gよりも小さいと樹脂が水に対し溶解しづらくなるため、インキの粘度が高くなり吐出に影響が出る場合がある。また、400mgKOH/gよりも大きい場合であっても樹脂間での相互作用が強まり、粘度が高くなる場合がある。顔料分散樹脂の酸価は、より好ましくは100〜350mgKOH/gであり、更に好ましくは150〜300mgKOH/gである。
【0048】
顔料分散樹脂の重量平均分子量は5000〜100000であることが好ましい。分子量5000以下では分散安定性が低下する場合があり、分子量100000以上では吐出に影響が出る場合がある。より好ましくは分子量10000〜50000であり、更に好ましくは分子量15000〜30000である。
【0049】
顔料と顔料分散樹脂の重量比率は2/1〜100/1であることが好ましい。顔料分散樹脂の比率が2/1よりも大きいとインキの粘度が高くなる傾向が見られる。また、100/1よりも小さいと分散性が低下し、安定性が低下する場合がある。顔料と顔料分散樹脂の比率としてより好ましくは4/1〜50/1、更に好ましくは5/1〜25/1であり、最も好ましくは10/1〜20/1である。
【0050】
また、本発明のインキは上記成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインキとするために、消泡剤、増粘剤、pH調整剤、防腐剤等の添加剤を適宜添加することができる。これらの添加剤の添加量としては、インキの全質量に対して0.01%以上10重量%以下、好ましくは0.05%以上5重量%以下、より好ましくは0.1%以上3重量%以下である。
【0051】
本発明のインキは単色で使用してもよいが、用途に合わせて複数の色を組み合わせたインキセットとして使用することもできる。組み合わせは特に限定されないが、シアン、マゼンタ、イエローの3色を使用することでフルカラーの画像を得ることができる。また、ブラックインキを追加することで黒色感を向上させ、文字等の視認性を上げることができる。更にオレンジ、グリーン等の色を追加することで色再現性を向上させることも可能である。白色以外の印刷媒体へ印刷を行う際にはホワイトインキを併用することで鮮明な画像を得ることができる。
【0052】
本発明のインキを顔料を着色剤としてシアン、マゼンタ、イエローの組み合わせで使用するときには、シアンの顔料としてC. I. Pigment Blue15:3, 15:4, マゼンタ顔料としてC. I. Pigment Red 122, 202, 209, 269, C. I. Pigment Violet 19, イエロー顔料としてC. I. Pigment Yellow 74, 120, 150, 155, 185から選ばれる顔料を組み合わせて使用することで高い色再現性を得ることができる。
【0053】
本発明のインキを使用しインクジェット印刷装置にて印刷を行う場合には印刷媒体を40〜80℃に加温しながら印刷を行うことが好ましい。加温しながら印刷することで、インキ滴が印刷媒体へ着弾した後、直ちに乾燥するため滲みが生じにくく、高い品質の印刷物を得ることが可能となる。
【0054】
本発明のインクジェット用インキで印刷する印刷媒体は公知のものが使用可能である。例えば、上質紙、コート紙、アート紙、キャスト紙、合成紙、インクジェット専用紙などの紙媒体や、ポリ塩化ビニルシート、PETフィルム、PPフィルムなどのプラスチック媒体である。これらは印刷媒体の表面が滑らかであっても、凹凸のついたものであっても良いし、透明、半透明、不透明のいずれであっても良い。また、これらの印刷媒体の2種以上を互いに張り合わせたものでも良い。更に印字面の反対側に剥離粘着層等を設けても良く、又印字後、印字面に粘着層等を設けても良い。