(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記圧搾部の回転負荷が小さな被圧搾物ほど前記圧搾部を低速で回転させ、前記圧搾部の回転負荷が大きい被圧搾物ほど前記圧搾部を高速で回転させるものとすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧搾装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における圧搾装置の好ましい実施例を説明する。
【0018】
図1〜
図7は、本発明の一実施例における圧搾ジューサーとしての圧搾装置を示している。先ず、圧搾装置1の全体的な構成について、
図1を参照しながら説明すると、圧搾装置1は、駆動手段としてのモータ2が内蔵された装置本体3と、装置本体3と駆動軸4を介して連結される食材などの被圧搾物Pを破砕・圧搾する圧搾部5からなる。ここで、モータ2の出力軸2Aは、ギア群(図示せず)からなる減速部2Bに連結されており、この減速部2Bに前記駆動軸4は連結可能に備えている。
【0019】
装置本体3は、正面部の上部に圧搾部5が取り付けられる取付部6を備えるとともに、正面部の下部には圧搾後の被圧搾物Pの搾り汁を受ける搾汁用容器7が載置される載置部8を備えている。
【0020】
また、装置本体3の背面部には、モータ2に外部のコンセント(図示せず)から電源を供給する電源コード(図示せず)を備えている。
【0021】
圧搾部5は、投入口11と円筒体12とから構成されたドラム部13と、円筒体12内部の先端側に収容され、内周壁に筒側粉砕用刃14が形成された裁頭円錐形状の粉砕用筒体15と、円筒体12及び粉砕用筒体15の内部に装着されるスクリュー本体16と、円筒体12の先端側の開口部12Aに閉塞自在に装着され、ドラム部13と粉砕用筒体15とを結合するキャップ17とを備えている。
【0022】
投入口11は、円筒体12の基端側の上部に接続された円筒部材からなり、この投入口11には棒状部材からなる押し棒18を挿通自在に備えている。
【0023】
押し棒18の基端には、投入口11の開口面積より大きな面積を有する鍔部19を設けている。ここで、押し棒18の本体部分は、押し棒18が投入口11に挿入されて鍔部19が投入口11の開口縁部分に当接した場合に、押し棒18の本体部分の先端部分が円筒体12内のスクリュー本体16に当接しない長さに形成されている。ここで、鍔部19は、平面形状を円形状以外の楕円形状、多角形状等の鍔部19に方向性を有し、かつ引っ掛かりの良い形状に形成されている。
【0024】
円筒体12の下部には圧搾後の被圧搾物Pの搾り汁を排出する搾汁用排出口20を備えている。
【0025】
粉砕用筒体15には、粉砕用筒体15の拡径側の縁部分の一部を延設し複数の貫通孔を有する網片部21を備えている。円筒体12内部に収容された粉砕用筒体15は、この網片部21を搾汁用排出口20に対向させて配置される。
【0026】
装置本体3の取付部6と円筒体12は、円筒体12の基端側が嵌合可能な凹部からなる取付部6の内周壁に設けた複数の本体側係止爪22と円筒体12の基端側に設けた複数の圧搾部側係止爪23との係合によって取り付けられる。
【0027】
スクリュー本体16は、セラミック製の棒状部材からなり、その表面には螺旋状に突設されたスクリュー側粉砕用刃26を備えている。このスクリュー側粉砕用刃26は、スクリュー本体16の駆動軸4を有する基端側から先端側にかけて螺旋の間隔を漸次狭めて形成されるとともに、前記基端側から先端側にかけて突条の高さが漸次低く形成されている。さらに、スクリュー本体16の先端側は、粉砕用筒体15の内周面に嵌合可能なテーパ状に形成されている。
【0028】
またスクリュー本体16の基端には、装置本体3の取付部6においてモータ2の減速部2Bに連結して備えた凹部としてのコネクタ27に係合可能な駆動軸4を備えている。取付部6には、取付部6の壁面に出し入れ自在に備え、モータ2への電力の通電/遮断の切換えを行う着脱検知手段としてのスイッチ29を備えている。
【0029】
ドラム部13の先端部分の下部には、上方を開放した有底箱型状に形成され、ドラム部13の先端部分から排出される圧搾後の被圧搾物Pの滓を収容する滓処理用容器35が配置される。尚、滓処理用容器35は、搾汁用容器7内に収納可能な大きさに形成されている。
【0030】
また、粉砕用筒体15の先端側の下部には、被圧搾物Pの滓を排出する筒側排出口15Aを備えている。また、キャップ17の先端側の下部にも、前記筒側排出口15Aと連通して被圧搾物Pの滓を外部へ排出するキャップ側排出口17Aを備えている。さらに、キャップ側排出口17Aには、被圧搾物Pの滓等が外部からキャップ17内部へ逆流して浸入するのを防止する逆止弁17Bを備えている。
【0031】
また、投入口11の開口部分には、案内皿36を取り付け自在に備えている。案内皿36は、平面形状を長方形状とした有底角皿状の皿部材であり、長手方向の一方に投入口11に嵌合自在に形成された貫通孔からなる取り付け孔37を備えるとともに、前記長手方向の他方には取り付け孔37へ向けて収容面を下り傾斜とした傾斜部38を備えている。
【0032】
図2は、ユーザーが操作可能な操作手段46と、その周辺の構成を示したものである。同図において、操作手段46は、圧搾ジューサーとしての運転を開始または運転する際に押動操作される停止/運転キー46aの他に、リンゴやニンジンなどの硬い食材を被圧搾物とする際に押動操作される硬食材キー46bや、トマトなどの柔らかい食材を被圧搾物とする際に押動操作される柔食材キー46cや、葉物野菜などを被圧搾物とする際に押動操作される葉物キー46dなどを備えて構成される。
【0033】
特に、硬食材キー46b,柔食材キー46cおよび葉物キー46dは、モータ2ひいてはスクリュー本体16の回転数を段階的に切替えるための切替部として設けられる。この切替部とは別に、モータ2ひいてはスクリュー本体16の回転数を連続して任意に設定可能にする設定部として、例えば回転操作可能なダイヤル46eを操作手段46に付加してもよい。こうした切替部と設定部は、どちらか一方を備えてあればよく、両方を備えたものでも構わない。また本実施例では、切替部により回転数を三段階に切替える構成となっているが、切替える段階数は限定されない。さらに、操作手段46は実施例で示したものに限られず様々な形態とすることができ、例えば後述する表示手段47と組み合わせたタッチパネルの入力部としてもよい。
【0034】
47は、ユーザーが視認可能な表示手段である。この表示手段47は、操作手段46の近傍に位置して、装置本体3の上面に配設され、少なくともモータ2ひいてはスクリュー本体16の回転数を表示するための回転表示部47aを有する。本実施例では、複数のバーセグメントによる回転表示部47aとなっているが、例えば回転数を数字で直接示す回転表示部47aとしてもよく、その形態は限定されない。
【0035】
図3は、前述したモータ2の制御に係る回路構成を示したものである。同図において、51は装置本体3にAC100Vなどの交流電源電圧を印加する商用電源、52はその電源電圧に含まれるノイズ成分を除去するラインフィルタ、53はラインフィルタ52を通した電源電圧を整流する整流器であり、ラインフィルタ52と整流器53との間の電源電圧ライン54には、半導体スイッチ素子の一種であるトライアック(双方向三端子サイリスタ)55と、電流検出器としての電流検出抵抗56がそれぞれ挿入接続される。また、整流器53の出力端間には、抵抗57とコンデンサ58との直列回路が接続され、この直列回路の両端間にモータ2が接続される。これにより、トライアック55のオン期間中にのみ、商用電源51からの電源電圧が、ラインフィルタ52を経て整流器53にモータ印加電圧として印加され、当該整流器53で整流されたモータ印加電圧をコンデンサ57で平滑し、その平滑された直流電圧を負荷であるモータ2に供給することで、直流電圧値に応じた速度でモータ2を回転させる構成となっている。なお58は、整流器53とモータ2との間に接続する逆流防止用のダイオードである。
【0036】
61は、前記交流入力電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出回路である。ここでのゼロクロス検出回路61は、電源電圧ライン54にアノードを接続したダイオード62と、ダイオード62のカソードに一端を接続した抵抗63と、抵抗63の他端にベースを接続するエミッタ接地されたNPN型のトランジスタ64と、トランジスタ64のベース・エミッタ間に接続する抵抗65と、図示しない電源回路からの例えばDC5Vの動作電圧ラインとトランジスタ64のコレクタとの間に接続する抵抗66と、により構成され、トランジスタ64のコレクタに発生する電圧を、ゼロクロス信号として後述するマイコン71に送出する構成となっている。
図3に示すゼロクロス検出回路61はあくまでも一例であり、同等の機能が発揮できればどのような回路構成でも構わない。
【0037】
73は、モータ2に流れる電流を検出するモータ電流検出回路である。このモータ電流検出回路73は、前述した電流検出抵抗56の他に、この電流検出抵抗56を流れる電流に見合う電圧(電流検出電圧)を生成するために、電流検出抵抗56の一端にカソードが接続されるダイオード74と、電流検出抵抗56の他端とダイオード74のアノードとの間に接続する抵抗75,76の直列回路と、抵抗75,76の接続点に一端を接続し、他端を接地したコンデンサ77と、により構成され、ダイオード74のアノードに発生する電流検出電圧を、電流検出信号としてマイコン71に送出する構成となっている。
図3に示すモータ電流検出回路73はあくまでも一例であり、同等の機能が発揮できればどのような回路構成でも構わない。
【0038】
81は、マイコン71から与えられるモータ制御信号によって、トライアック55の制御端子であるゲートに、当該トライアック55をターンオンさせるためのトリガパルスを加えるパルス生成回路である。このパルス生成回路81は、モータ制御信号の入力端子に一端が接続される抵抗82と、この抵抗82の両端間に接続するコンデンサ83,84の直列回路と、抵抗82の他端とコンデンサ83,84の接続点とに間に接続する抵抗85と、抵抗82の他端にベースを接続し、エミッタ接地されたNPN型のトランジスタ86と、トランジスタ86のコレクタとトライアック55のゲートとの間に挿入接続する抵抗87と、トライアック55の一端とゲートとの間に接続する抵抗88と、により構成される。
図3に示すモータ電流検出回路81はあくまでも一例であり、同等の機能が発揮できればどのような回路構成でも構わない。
【0039】
71は、圧搾装置1の各部を制御するマイコン(マイクロコンピュータ)である。マイコン71は周知のように、演算処理手段としてのCPUや、記憶手段としてのメモリや、入出力デバイスなどを備えており、ここでは特にメモリに組み込まれたプログラムを実行することにより、モータ2を制御する制御手段としての機能を備えている。また操作手段46は、ユーザーからの入力操作に伴い、マイコン71に各種の操作信号を送出して、マイコン71を指令するものである。マイコン71の入力ポートには、操作手段46からの操作信号や、スイッチ29からの着脱検知信号や、ゼロクロス検出回路61からのゼロクロス信号や、モータ電流検出回路73からの電流検出信号が送出されるようになっており、またマイコン71の出力ポートからは、表示手段47に表示制御信号が送出され、パルス生成回路81にモータ制御信号が送出される。マイコン71は、ゼロクロス検出回路61からのゼロクロス信号によって、電源電圧のゼロクロス点から一定時間後にモータ制御信号を送出し、トライアック55を電源電圧の半周期毎に所定のタイミングでターンオンさせ、この電源電圧のゼロクロス点からモータ制御信号が送出され始めるまでのトライアック55のオフ時間を調整することで、モータ2に印加される平均印加電圧ひいてはモータ2の回転数を可変制御する構成となっている。
【0040】
本実施例のマイコン71は、操作手段46の硬食材キー46b,柔食材キー46cまたは葉物キー46dの何れかを操作することにより、その操作したキーに応じて、モータ2に連結するスクリュー本体16の回転数が切替わるようになっている。またマイコン71は、圧搾部5に加えられる被圧搾物の負荷に応じて、モータ2に連結するスクリュー本体16の回転数を可変することもできる。この被圧搾物の負荷の程度は、モータ電流検出回路73からの電流検出信号によって、マイコン71が判断できる。したがって、モータ電流検出回路73を具備することで、マイコン71はモータ電流検出回路73で検出したモータ2の検出電流に基づき、圧搾部5に加えられる被圧搾物の負荷の程度を判断して、モータ2ひいてはスクリュー本体16の回転数を可変することが可能になる。このときマイコン71は、圧搾部5の回転負荷が小さい例えば葉物のような被圧搾物であるほど、圧搾部5のスクリュー本体16を低速で回転させ、逆に圧搾部5の回転負荷が葉物よりも大きい例えば根菜類などの被圧搾物であるほど、圧搾部5のスクリュー本体16を高速で回転させるのが好ましい。
【0041】
さらにマイコン71は、モータ2の運転開始から所定時間が経過するまでは、被圧搾物の負荷に応じた所望の回転数よりも低速でスクリュー本体16を回転させ、所定時間が経過した後には、被圧搾物の負荷に応じた所望の回転数でスクリュー本体16を回転させる機能を付加してもよい。
【0042】
以上の構成の圧搾装置1の使用方法について説明する。最初に、圧搾部5を装置本体3の取付部6に装着して、投入口11に案内皿36を取り付けて、搾汁用容器7をドラム部13の搾汁用排出口20下方の載置部8に載置するとともに、滓処理用容器35をドラム部13の先端部分の下方に配置して、圧搾装置1の準備を行う。
【0043】
次に、装置本体3に備えた操作手段46の中で、停止/運転キー46aを押動操作すると、マイコン71に組み込まれたモータ2の制御手段が起動する。
図4は、この制御手段が動作しているときの装置本体3に印加される電源電圧と、ゼロクロス検出回路61からマイコン71に送出されるゼロクロス信号と、マイコン71からパルス生成回路81に送出されるモータ制御信号と、整流器53の入力端間に発生するモータ印加電圧の各波形を示している。
【0044】
同図において、停止/運転キー46aの押動操作に伴う操作信号がマイコン71に送出されると、マイコン71は、硬食材キー46bを押動操作した場合には高速で、柔食材キー46cを押動操作した場合は中速で、また葉物キー46dを押動操作した場合には低速で、モータ2ひいてはスクリュー本体16が回転するようなモータ制御信号を生成するために、ゼロクロス検出回路61からのゼロクロス信号を取り込む。
【0045】
このときゼロクロス検出回路61は、ダイオード62のアノードを接続した一方の電源電圧ライン54の電位が、他方の電源電圧ライン54の電位よりも高くなると、ダイオード62が導通状態となってトランジスタ64がオンし、ゼロクロス信号が立ち上がる一方で、一方の電源電圧ライン54の電位が、他方の電源電圧ライン54の電位よりも低くなると、ダイオード62が非導通状態となってトランジスタ64がオフし、ゼロクロス信号が立ち下がる。つまりゼロクロス検出回路61は、電源電圧のゼロクロス点に同期して、立ち上がりと立ち下がりを繰り返すゼロクロス信号をマイコン71に送出する。
【0046】
これを受けてマイコン71は、ゼロクロス信号の立ち上がりと立ち下がりからスクリュー本体16の回転速度に応じたモータ制御時間tc後に、トライアック55のゲートオン時間tonに相当する時間幅のモータ制御信号を生成して、これをパルス生成回路81に送出する。
図4に示すように、硬食材キー46bを押動操作した「モータ高速」の場合のモータ制御時間tc3は、柔食材キー46cを押動操作した「モータ中速」の場合のモータ制御時間tc2よりも長く、このモータ制御時間tc2は、葉物キー46dを押動操作した「モータ低速」の場合のモータ制御時間tc1よりも長い。一例として、ゲートオン時間ton=1msであり、モータ制御時間tc(tc1,tc2,tc3)は、1ms≦tc≦6msである。
【0047】
パルス生成回路81は、マイコン71からのモータ制御信号を受けて、トランジスタ86がターンオンし、抵抗87,88を通してトライアック55のゲートにマイナスのトリガパルスを供給する。トライアック55は、パルス生成回路81からのトリガパルスが与えられるとターンオンし、電源電圧の極性が反転するまでオン状態を継続する。こうした一連の動作が、電源電圧の半周期毎に繰り返され、
図4に示すようなモータ印加電圧が整流器53に印加される。
【0048】
ここでは、マイコン71で設定したモータ制御時間tcが長くなる程、電源電圧のゼロクロス点からトライアック55がターンオンするまでのオフ時間も長くなり、その分だけモータ印加電圧の平均値も低下して、モータ2ひいてはスクリュー本体16が低速に回転する。逆に、モータ制御時間tcが短くなれば、電源電圧のゼロクロス点からトライアック55がターンオンするまでのオフ時間は短くなり、モータ印加電圧の平均値は上昇して、モータ2ひいてはスクリュー本体16を高速で回転する。このように本実施例では、操作手段46のキー操作に応じて、スクリュー本体16を異なる回転数で回転させることができる。
【0049】
そして、操作手段46のキー操作に応じた回転速度でモータ2を回転させると、案内皿36から投入口11に投入された被圧搾物は、押し棒18によってスクリュー本体16に押し付けられ、スクリュー本体16の回転に伴い被圧搾物は粉砕用筒体15へ移送されるとともに、スクリュー側粉砕用刃26と筒側粉砕用刃14によって粉砕・圧搾される。ここで、粉砕・圧搾された被圧搾物の搾り汁は、網片部21を介して搾汁用排出口20から搾汁用容器7へと排出される。
【0050】
また、粉砕用筒体15内の圧搾後の被圧搾物の搾り滓は、スクリュー本体16の回転に伴い、筒側排出口15A、キャップ側排出口17Aを介して、下方の滓処理用容器35へと排出される。
【0051】
図5は、食材として葉物以外の被圧搾物Pを圧搾部5で砕くときの状態を示している。また
図6は、特に葉物の被圧搾物Pを圧搾部5に投入したときの状態を示している。
図5に示すように、葉物以外の被圧搾物Pでは、スクリュー本体16が回転して一周する毎に、円筒体12の内面とスクリュー側粉砕用刃26に被圧搾物Pが挟まれて、モータ2へのトルクが上がる。それに対して、
図6に示す葉物の被圧搾物Pでは、被圧搾物Pがスクリュー側粉砕用刃26に最初に触れる円筒体12の基端側上部の粉砕部でトルクを必要としない。何れにせよ、粉砕部で粉砕された被圧搾物Pは、スクリュー本体16の回転に伴い、テーパ状に形成された粉砕用筒体15とスクリュー本体16との間の搾汁部に送られ、次第に体積を小さくして搾られてゆく。この搾汁部のトルクは平滑で一定であるが、被圧搾物Pに応じて異なり、硬い被圧搾物Pである程、高トルクとなる。また、葉物の被圧搾物Pは、搾汁部で葉物の茎部分P’が絡み付く。
【0052】
図7は、被圧搾物Pの違いに応じたモータ2に流れる電流と時間との関係を示す波形図である。同図において、ir1とi1は、葉物の被圧搾物Pを圧搾部5に投入した場合の電流リップル(脈動)とその実効値を示し、ir2とi2は、柔らかい食材の被圧搾物Pを圧搾部5に投入した場合の電流リップルとその実効値を示し、ir3とi3は、硬い食材の被圧搾物Pを圧搾部5に投入した場合の電流リップルとその実効値を示している。
【0053】
前述したモータ2のトルクと、モータ電流検出回路73で検出されるモータ2に流れる電流とは相関関係があり、高トルクとなる硬い被圧搾物Pである程、モータ2に流れる電流値ひいてはモータ電流検出回路73からの電流検出信号のレベルも上昇する。また、被圧搾物Pの硬さに応じて、電流リップルの高さも変わるが、これは粉砕部におけるトルクの違いに依存していている。葉物,硬い食材,硬い食材のそれぞれについて、
図7に示す被圧搾物Pの実効値i1,i2,i3は、搾汁部におけるトルク(電流)と、粉砕部においてスクリュー本体16が一回転する毎に変化するトルクリップルの実効値を加えた値となる。
【0054】
したがってマイコン71は、予め用意した一乃至複数のしきい値と、モータ電流検出回路73から取り込んだ電流検出信号とを比較して、被圧搾物Pの硬さ(例えば葉物、硬い食材、柔らかい食材の何れか)を判定し、その判定結果に応じて前述のモータ制御時間tcを調整することにより、実際に粉砕される被圧搾物Pの硬さに適した回転数で、スクリュー本体16を回転させることが可能になる。
【0055】
なお本実施例では、被圧搾物Pを圧搾部5に投入する前に、操作手段46からの操作入力により、葉物,柔らかい食材,硬い食材の何れかに対応した所望の回転数で、スクリュー本体16を回転させることができるが、停止/運転キー46aによりモータ2の運転を開始してから所定の時間、或いはモータ電流検出回路73からの電流検出信号により、被圧搾物Pが圧搾部5に投入されたとマイコン71が判断するまでは、スクリュー本体16が所望の回転数よりも低速で回転するように、マイコン71がモータ制御時間tcを調整するのが好ましい。これにより、被圧搾物Pの投入直後における被圧搾物Pの飛び散りを防止し、且つ圧搾部5の内部に被圧搾物Pを確実に送り込むことが可能になる。
【0056】
また、操作手段46にダイヤル46eが設けられている場合、そのダイヤル46eを回転操作すれば、スクリュー本体16の回転数を段階的にではなく連続的に可変設定でき、よりきめ細かくスクリュー本体16の回転数を変えることが可能になる。
【0057】
こうして、被圧搾物を全て粉砕・圧搾したら、停止/運転キー46aを再度操作してモータ2の回転を停止させる。使用後の圧搾装置1では、押し棒18や案内皿36を投入口11から取り外して、圧搾部5を装置本体3から取り外して分解・洗浄を行なうことができる。
【0058】
さらにマイコン71は、スイッチ29からの着脱検知信号に基づき、圧搾部5が装置本体3に装着されスイッチ29が押圧状態となると、モータ2の回転を許可する一方で、圧搾部5が装置本体3から取り外されスイッチ29の押圧状態が解除されると、モータ2の回転を停止する。
【0059】
以上のように本実施例では、装置本体3に備えた駆動手段としてのモータ2と、このモータ2を制御する制御手段としてのマイコン71と、マイコン71に指令する操作手段46と、モータ2と駆動軸4を介して装置本体3に接続され、被圧搾物Pが投入される圧搾部5とを備えた圧搾装置1であって、マイコン71は、圧搾部5の回転体であるスクリュー本体16の回転数を可変可能にする構成を有している。
【0060】
この場合、マイコン71によるモータ2への制御により、スクリュー本体16の回転数を任意に可変でき、被圧搾物Pの種類に応じた最適な回転数で、圧搾部5に投入した被圧搾物Pを圧搾することが可能になる。
【0061】
また、本実施例の操作手段46は、スクリュー本体16の回転数を切り替える切替部として、例えば硬食材キー46bや、柔食材キー46cや、葉物キー46dを備えている。
【0062】
この場合、ユーザーが切替部である硬食材キー46bや、柔食材キー46cや、葉物キー46dを操作するだけで、スクリュー本体16の回転数を容易に切り替えることができる。
【0063】
また本実施例では、圧搾部5に投入される被圧搾物Pの負荷に応じて、スクリュー本体16の回転数を可変可能にする構成を有している。
【0064】
この場合、実際に圧搾部5に投入される被圧搾物Pの負荷に応じて、スクリュー本体16の回転数を可変できるようになり、被圧搾物Pの種類ごとの回転負荷に応じた最適な回転数でスクリュー本体16を回転させて、被圧搾物Pを圧搾することができる。
【0065】
また本実施例では、モータ2の電流を検出する検出手段として、モータ電流検出回路73を備え、マイコン71は、モータ電流検出回路73の検出電流に基づいて、スクリュー本体16の回転数を可変可能にする構成を有している。
【0066】
この場合、モータ2の電流を検出するモータ電流検出回路73からの検出結果は、実際に圧搾部5に投入される被圧搾物Pの負荷に応じた値となる。したがって、このモータ電流検出回路73からの検出結果を利用することにより、被圧搾物Pの種類ごとの回転負荷に応じた最適な回転数でスクリュー本体16を回転させて、被圧搾物Pを圧搾することができる。
【0067】
また、本実施例のマイコン71は、スクリュー本体16の回転負荷が小さな被圧搾物Pほど、そのスクリュー本体16を低速で回転させる一方で、スクリュー本体16の回転負荷が大きな被圧搾物Pほど、そのスクリュー本体16を高速で回転させる構成を有している。
【0068】
この場合、例えばリンゴのようなスクリュー本体16の回転負荷が大きな被圧搾物Pでは、スクリュー本体16を高速で回転させることで、圧搾部5で粉砕・圧搾された搾り汁の色を鮮やかにすることができ、葉類やトマトのようなリンゴよりもスクリュー本体16の回転負荷が小さな被圧搾物Pでは、スクリュー本体16を低速で回転させることで、搾り汁と搾り滓を圧搾部5で確実に分離させることができる。つまり、被圧搾物Pの種類に適した回転数でスクリュー本体16を回転させることにより、圧搾装置1として最適な圧搾性能を得ることが可能となる。
【0069】
また本実施例では、スクリュー本体16の回転数を任意に設定可能とするダイヤル46eを、操作手段46に設けている。
【0070】
この場合、スクリュー本体16の回転数を連続的に任意に可変設定することができ、被圧搾物Pの種類に応じたより最適な回転数でスクリュー本体16を回転させて、被圧搾物Pを圧搾することが可能となる。
【0071】
また、本実施例のマイコン71は、モータ2の運転開始から所定時間までは、スクリュー本体16を所望の回転数よりも低速に回転させ、その所定時間が経過すると、被圧搾物の負荷に応じて、スクリュー本体16を所望の回転数に切り替える構成を有している。
【0072】
この場合、運転開始から所定時間まではスクリュー本体16を低速回転させることで、被圧搾物Pの投入直後に被圧搾物Pが圧搾部5から飛び散り、周囲を汚すことを防止するとともに、圧搾部5の内部に被圧搾物Pを確実に送り込み、被圧搾物Pを確実に圧搾することができる。
【0073】
さらに本実施例では、スクリュー本体16の回転数を表示する表示手段47を、装置本体3に視認可能な状態で備えている。
【0074】
この場合、ユーザーがスクリュー本体16の回転数を確認しながら、回転数の変更を確実に行なうことができる。
【0075】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。