(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動部は、前記レンズホルダを電磁力によって駆動するためのコイルと磁石とを有し、前記コイルと前記磁石とのうちのいずれか一方が前記レンズホルダに搭載されていることを特徴とする請求項2に記載のレンズ駆動装置。
前記弾性部は、前記レンズホルダの可動範囲の途中位置に、前記レンズホルダに対して前記シャフトに平行な方向の力が加わらない中立位置を有することを特徴とする請求項3に記載のレンズ駆動装置。
前記補正処理部は、前記レンズが移動可能な範囲と、前記移動検出部による検出結果とに基づいて、前記駆動部の駆動設定値を求めるために利用する1次式を算出することを特徴とする請求項5又は6に記載のレンズ駆動装置。
前記異常除去動作には、前記通常動作範囲の端部まで前記レンズを移動させるために必要となる電圧の絶対値よりも大きな絶対値を有する電圧を、前記コイルに印加する動作が含まれることを特徴とする請求項9に記載のレンズ駆動装置。
前記異常除去動作には、前記レンズが第1の方向と該第1の方向と反対となる第2の方向とに少なくとも1回ずつ動くように、前記コイルに電圧を印加する動作が含まれることを特徴とする請求項9又は10に記載のレンズ駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明のレンズ駆動装置及び光ディスク装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の実施形態に係る光ディスク装置は、以下に説明する光ピックアップを備え、光ディスクの再生(情報の読み取り)及び記録(情報の書き込み)のうちの少なくとも一方を行える装置である。その基本的な構成は、公知の光ディスクレコーダーや光ディスクプレイヤーの構成と同様であるので、当該基本的な構成の詳細説明は省略する。
<実施形態に係る光ピックアップの概略構成>
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る光ピックアップ1の外観構成を示す概略斜視図である。光ピックアップ1はピックアップベース10を備える。ピックアップベース10には、光ピックアップ1を構成する各種の部材が搭載される。なお、ピックアップベース10の下面側には、ピックアップベース10に搭載されるデバイス(例えば、詳細は後述する光源、対物レンズアクチュエータ、光検出器等)を動作させるために必要となる回路が形成されたプリント基板(不図示)が取り付けられてよい。
【0030】
ピックアップベース10の左右の端部には軸受け部10a、10bが設けられている。ピックアップベース10は、この軸受け部10a、10bを利用して、ガイドシャフト(不図示)に摺動可能に支持される。ここでいうガイドシャフトは、光ディスク装置(光ディスクの再生及び/又は記録を行うための装置)が備えるものである。光ディスク装置に搭載される光ピックアップ1は、ガイドシャフトに沿って移動しながら、回転する光ディスクの所望のアドレスにアクセスする。所望のアドレスにアクセスした光ピックアップ1は、光ディスクに光を照射して、光ディスクから情報を読み取ったり、光ディスクに情報を書き込んだりする。
【0031】
図2は、本発明の実施形態に係る光ピックアップ1の光学構成を示す概略図である。
図2に示すように、光ピックアップ1は半導体レーザ11(本発明の光源の一例)を備える。半導体レーザ11の種類は、光ピックアップ1が対応する光ディスクの種類によって適宜決定される。例えば、光ピックアップ1がブルーレイディスク(BD)に対応する場合には、半導体レーザ11として、波長405nm帯のレーザ光を出射する半導体レーザが使用される。また、例えば、光ピックアップ1がDVDに対応する場合には、半導体レーザ11として、波長650nm帯のレーザ光を出射する半導体レーザが使用される。
【0032】
なお、光ピックアップ1が一種類の光ディスクのみではなく、複数種類の光ディスク(例えばBD、DVD、CDの3種類等)に対応する場合には、半導体レーザの数は複数とされてもよいし、複数波長のレーザ光を切り換えて出射できる半導体レーザが使用されてもよい。この場合には、光学構成も、本実施形態の構成から適宜変更されて構わず、例えば、光源からの光を光ディスクの情報記録層に集光する対物レンズの数を複数にする等しても構わない。
【0033】
光ピックアップ1が備える回折素子12は、半導体レーザ11から出射されるレーザ光を主光と2つの副光とに分ける(計3つの光に分ける)。回折素子12は、トラッキングエラー(TE)信号をDPP(Differential Push-Pull)方式で得る目的で配置されている。ただし、TE信号はDPP方式以外で得てもよく、この回折素子12は適宜抹消されても構わない。
【0034】
光ピックアップ1が備える偏光ビームスプリッタ13は、半導体レーザ11からの光を光ディスク(不図示;
図2おいて紙面手前側に配置される)に至る側に向けて反射するとともに、光ディスクからの戻り光を透過する。この機能は、後述の1/4波長板14と協働して得られる。なお、場合によっては、偏光ビームスプリッタ13に代えて、偏光成分を分離できる機能を有さないビームスプリッタや、ハーフミラー等が配置されても構わない。
【0035】
光ピックアップ1が備える1/4波長板14は、半導体レーザ11から出射される直線偏光を円偏光に変換する。また、1/4波長板14は、光ディスクからの戻り光(円偏光)を直線偏光に変換する。この直線偏光の偏光方向は、半導体レーザ11から出射される直線偏光の偏光方向を90°回転した方向である。
【0036】
光ピックアップ1が備えるコリメートレンズ15は、詳細は後述するレンズ駆動装置30によって、光軸方向(X方向)に所定の範囲移動可能となっている。コリメートレンズ15の光軸方向の位置によって、コリメートレンズ15から出射される光(光ディスクへと向かう光)は平行光となったり、収束光或いは発散光となったりする。なお、レンズ駆動装置30は、他の光学部材等と同様、ピックアップベース10に内蔵されており、概ね、
図1の破線で囲まれた領域に配置される。
【0037】
光ピックアップ1が備える立ち上げミラー16は、コリメートレンズ15からの光を反射して、光の進行方向を変更する。
図2においては、コリメートレンズ15から入射した後に立ち上げミラー16によって反射された光は、紙面手前側に向かう方向に進行する。
【0038】
光ピックアップ1が備える対物レンズ17は、立ち上げミラー16に対して離間配置され(
図2では立ち上げミラー16の手前側にある)、立ち上げミラー16からの光を光ディスクの情報記録層(不図示)に集光する。対物レンズ17は、ピックアップベース10上に配置される対物レンズアクチュエータ40(
図1参照)に搭載される。対物レンズアクチュエータ40は、対物レンズ17をフォーカス方向(Z方向)及びトラッキング方向(Y方向)に移動可能とする装置である。なお、対物レンズアクチュエータ40は、場合によっては、フォーカス方向及びトラッキング方向に対物レンズ17を移動させる機能に加えて、対物レンズ17を傾ける機能を備えてもよい。
【0039】
光ピックアップ1においては、情報の読み取りや書き込みを行う際に、対物レンズ17の焦点位置が常に光ディスクの情報記録層に合うようにフォーカシング制御を行う必要がある。また、光ピックアップ1においては、情報の読み取りや書き込みを行う際に、対物レンズ17によって光ディスクの情報記録層に集光される光スポットの位置が、光ディスクのトラックに常に追随するようにトラッキング制御を行う必要がある。対物レンズアクチュエータ40は、例えば、これらフォーカシング制御及びトラッキング制御を行う際に用いられる。
【0040】
対物レンズアクチュエータ40は、対物レンズ17を保持するレンズホルダ41を有し、レンズホルダ41をワイヤ42で揺動可能に支持する構成のものである。そして、コイル及び磁石を利用して発生させた力でレンズホルダ41を動かす(すなわち対物レンズ17を動かす)ものである。このようなタイプの対物レンズアクチュエータは公知であるので、ここでは、詳細な説明は省略する。なお、対物レンズアクチュエータは、他のタイプのもの(例えば軸摺動型)であっても構わない。
【0041】
光ピックアップ1が備えるセンサーレンズ18は、光ディスクからの戻り光に非点収差を与えて、光検出器19の検出面に戻り光を集光させる。センサーレンズ18に非点収差を付与する機能を持たせるのは、非点収差方式でフォーカスエラー(FE)信号を得るためである。ただし、FE信号は非点収差方式以外の方法で得られてもよく、この場合には、非点収差を付与する機能を備えたセンサーレンズ18は配置されなくてもよい。なお、センサーレンズ18に入射する戻り光は、対物レンズ17を透過後、立ち上げミラー16で反射され、コリメートレンズ15、1/4波長板14、偏光ビームスプリッタ13を、この順で透過した光である。
【0042】
光ピックアップ1が備える光検出器19は、受光した光信号を電気信号に変換する光電変換手段として機能する。光検出器19から出力された電気信号は信号処理部20に送られる。信号処理部20において、再生信号、FE信号、TE信号等が生成される。制御部(制御LSI)21は、信号処理部20から得られる信号に基づいて、例えばレンズ駆動装置30や対物レンズアクチュエータ40等の制御処理を行う。
【0043】
上述のように、光ピックアップ1は、コリメートレンズ15を光軸方向に移動可能とするレンズ駆動装置30を備える。コリメートレンズ15を光軸方向に移動可能とする理由は、対物レンズ17に入射する光の収束・発散度合いを調節して、球面収差の影響を適切に抑制するためである。例えば、BDには、厚み方向に複数の情報記録層を有するものがある。情報の読み取り等の対象となる情報記録層が異なると、カバー層の厚みの違いが原因となって球面収差の発生量が変動する。また、特にBD対応の場合、対物レンズ17が樹脂製であると温度変化に伴う球面収差の発生量の変動が無視できなくなる。このような理由等のために、例えば光ピックアップ1がBD対応の場合、球面収差を補正する手段が必要となる。すなわち、レンズ駆動装置30は、球面収差補正手段として光ピックアップ1に導入されている。以下、レンズ駆動装置30の構成について詳細に説明する。
<第1実施形態のレンズ駆動装置>
【0045】
ピックアップベース10内に設けられるレンズ駆動装置30は、
図3及び
図4に示すように、レンズホルダ31と、ガイドシャフト32と、駆動部33と、弾性部34と、ガイドレール35と、を備える。なお、
図3においては、弾性部34及びガイドレール35は省略されている。
【0046】
レンズホルダ31は、例えば樹脂成形によって得られる。レンズホルダ31の形状は、光ピックアップ1の設計段階で適当な形状に決められてよく、本実施形態の形状に限定されるものではない。レンズホルダ31には、コリメートレンズ15を保持する保持部31aが設けられている。また、レンズホルダ31の長手方向(Y方向)の一端部寄りには、ガイドシャフト32が挿通される挿通穴31b(本発明の軸受部の一例)が設けられている。また、レンズホルダ31の長手方向の他端部には、突起部31cが設けられている。
【0047】
レンズホルダ31の挿通穴31bに挿通されるガイドシャフト32は、その両端部がピックアップベース10に固定される。ガイドレール35は、ピックアップベース10の壁面10cに設けられる溝であり、レンズホルダ31に設けられる突起部31cと係合する(後述の
図6も参照)。レンズホルダ31は、保持部31a(コリメートレンズ15)を挟むように設けられる、ガイドシャフト32及びガイドレール35によって移動可能に支持されている。ガイドシャフト32及びガイドレール35は、レンズホルダ31がコリメートレンズ15の光軸方向と平行な方向に移動するようにガイドする。すなわち、レンズホルダ31に保持されるコリメートレンズ15の光軸方向と、ガイドシャフト35が延びる方向とは互いに平行になっている。
【0048】
なお、ガイドシャフト32及びガイドレール35は、本発明の支持部の一例である。また、本実施形態では、レンズホルダ31(コリメートレンズ15)が光軸方向へ移動可能な範囲(最大移動範囲)は、ガイドレール35の長さによって決まる構成になっている。ここで言うガイドレール35の長さは、コリメートレンズ15の光軸方向と平行な方向(ガイドシャフト32と平行な方向)の長さである。ただし、この構成に限定されず、レンズホルダ31(コリメートレンズ15)の最大移動範囲は、別の壁面等を用いて決定される構成であっても構わない。
【0049】
また、本実施形態では、ガイドレール35が溝である構成を採用しているが、この構成に代えて、ガイドレールが凸部(この凸部は、例えばピックアップベース10の壁面10cに設けられる)である構成が採用されてもよい。この場合、レンズホルダ31には、突起部31cではなく、凸形状に設けられるガイドレールに係合する溝部が設けられるようにすればよい。また、ガイドレール35を設ける代わりに、ガイドシャフト32に平行配置されるとともにレンズホルダ31の軸受部(挿通孔31bとは別物)に挿通される他のガイドシャフトが設けられても構わない。この場合には、レンズホルダ31に設けられる突起部31cは不要である。
【0050】
駆動部33は、コイル331と、磁石332と、ヨーク333と、を備える。コイル331は、ピックアップベース10に固定配置される。コイル331は、配線を介して電力供給部(不図示)に接続されており、これにより、コイル331に電圧を印加して電流を流すことが可能になっている。磁石332及びヨーク333は、レンズホルダ31の長手方向(Y方向)の一端部側(挿通穴31bが設けられる側の端部)に固定配置される。すなわち、磁石332及びヨーク333は、レンズホルダ31と一緒に動く。
【0051】
ヨーク333は、例えば断面視略L字状の2つの磁性片を組み合わせて構成され、平面視略矩形の中空構造体(筒型構造体)になっている。磁石332は、中空構造のヨーク333の内部に配置され、2つの磁極(N極とS極)のうちの一方の極側332aが、ヨーク333の側壁333aに磁着している。ピックアップベース10に固定されるコイル331は、ヨーク333の側壁333b(側壁333aに対向する側壁)を取り囲むように巻回されている。このために、磁石332の他方の極側332bは、コイル331に対向配置されている。
【0052】
コイル331、磁石332、及び、ヨーク333は磁気回路を形成する。コイル331に電流を流すと、コイル331に流れる電流と、磁石332が形成する磁界との間の相互作用によって電磁力が発生する。そして、この発生した電磁力によって、移動可能に設けられる磁石332が動く。すなわち、コイル331に電流を流すことによって、磁石332が固定配置されるレンズホルダ31が移動する。コイル331に流す電流(コイル331に印加する電圧)の向きを変えることによって、レンズホルダ31の移動方向が反対となる。また、コイル331に流す電流(コイル331に印加する電圧)の大きさによって、発生する電磁力の大きさが変わるために、レンズホルダ31の移動量も変わる。
【0053】
弾性部34は、引っ張りバネによって形成されている。引っ張りバネ34の一端は、レンズホルダ31に設けられるホルダ側フック部31dに引っ掛けられている。ホルダ側フック部31dは、レンズホルダ31の長手方向(Y方向)の一端部(挿通穴31bが設けられる側の端部)寄りに設けられている。
【0054】
引っ張りバネ34の他端は、ピックアップベース10に設けられるベース側フック部10eに引っ掛けられている。
図4に示すように、ベース側フック部10eは、ホルダ側フック部31dから、コリメートレンズ15の光軸方向に平行な方向(X方向)に離れている。また、ベース側フック部10eは、ホルダ側フック部31dから、コリメートレンズ15の光軸方向に垂直な第1の方向(Y方向)にも離れている。更に、
図5に示すように、ベース側フック部10eは、ホルダ側フック部31dから、コリメートレンズ15の光軸方向に垂直な第2の方向(Z方向)にも離れている。
【0055】
なお、
図5は、本発明の第1実施形態に係るレンズ駆動装置が備える弾性部(引っ張りバネ)34の取り付け構成を説明するための概略側面図で、Y方向に沿って見た図である。
【0056】
ホルダ側フック部31dとベース側フック部10eとが以上のような関係にあるために、レンズホルダ31には、引っ張りバネ34によって、コリメートレンズ15の光軸方向と平行な方向(X方向;ガイドシャフト32と平行な方向)の力Fx1(
図4及び
図5参照)が加えられる。また、レンズホルダ31には、引っ張りバネ34によって、コリメートレンズ15の光軸方向に垂直な第1の方向(Y方向;ガイドシャフト32に垂直な方向)に力Fy1(
図4参照)が加えられる。更に、レンズホルダ31には、引っ張りバネ34によって、コリメートレンズ15の光軸方向に垂直な第2の方向(Z方向;ガイドシャフト32に垂直な方向)に力Fz1(
図5参照)が加えられる。すなわち、レンズホルダ31には、互いに直交する3方向の力が加わることになる。
【0057】
駆動部33がレンズホルダ31を駆動していない場合には、レンズホルダ31は、力Fx1によって、その可動範囲の一方側に寄せられた状態となる。
図4は、この状態を示している。コリメートレンズ15(レンズホルダ31)を光軸方向に動かす場合には、駆動部33によって、レンズホルダ31に力Fx1と反対向き力を与える。コイル331に電流を流すことによって発生する電磁力と、引っ張りバネ34の力Fx1との力関係によって、レンズホルダ31の位置(X方向の位置)が決まる。
【0058】
レンズホルダ31とガイドシャフト32との間には、レンズホルダ31が移動できるようにクリアランスが設けられる。このクリアランスが原因となって、レンズホルダ31にがたつきや振動が発生する可能性がある。この点、引っ張りバネ34によって、レンズホルダ31には、Y方向の力Fy1とZ方向の力Fz1(いずれもX方向と垂直な方向の力)が加わっているために、レンズホルダ31はガイドシャフト32に常に押し付けられた状態となる。この結果、レンズホルダ31とガイドシャフト32との間に存在するクリアランスが原因となって生じる、がたつき等を抑制できる。
【0059】
レンズホルダ31とガイドレール35との間にも、レンズホルダ31が移動できるようにクリアランスが設けられる。このクリアランスが原因となって、レンズホルダ31にがたつきや振動が発生する可能性がある。この点、引っ張りバネ34によって、レンズホルダ31には、ガイドシャフト32とからずれた位置で、Y方向の力Fy1とZ方向の力Fz1が加わる。すなわち、
図6に示すように、レンズホルダ31には、ガイドシャフト31を中心としてレンズホルダ31を回転させる方向の力Frが加わることになる。このために、レンズホルダ31の突起部31cはガイドレール35の壁面に常に押し付けられる。この結果、レンズホルダ31とガイドレール35との間に存在するクリアランスが原因となって生じる、がたつき等を抑制できる。
図6は、本発明の第1実施形態に係るレンズ駆動装置の概略正面図で、X方向に沿って見た図である。
【0060】
このように構成されるレンズ駆動装置30では、レンズホルダ31のがたつきや振動が抑制される。このために、球面収差を適切に抑制するためのレンズ駆動装置30を導入したにも拘わらず、コリメートレンズ15が光軸に対して垂直な方向に位置ずれを起こす可能性が低い。すなわち、光ピックアップ1の読み取りや書き込み性能の向上が期待できる。
【0061】
なお、コリメートレンズ15の光軸方向と直交する方向の力(Fy1、Fz1)が大きくなり過ぎると、レンズホルダ31をスムーズに動かせなくなる。この点、本実施形態では、引っ張りバネ34は、コリメートレンズ15の光軸方向に平行な方向に対して斜めに配置されている。このために、コリメートレンズ15の光軸方向と直交する方向の力が大きくなり過ぎることを避け易い。
【0062】
また、レンズホルダ31をスムーズに動かすために、引っ張りバネ34はガイドシャフト32の近傍に配置するのが好ましい。また、レンズホルダ31をスムーズに動かすために、ホルダ側フック部31dは、X方向に平行な平面内の回転(レンズホルダ31の回転)が生じ難いように配置するのが好ましい。本実施形態では、ホルダ側フック部31dは、レンズ駆動装置30を上面視した場合において、ガイドシャフト32が挿通される挿通穴31bの中央部に設けられている。
【0063】
また、本実施形態では、レンズホルダ31に対して互いに直交する3つの方向(X、Y、Z方向)に力を付与する弾性部34を引っ張りバネで構成したが、この構成に限定される趣旨ではない。例えば、引っ張りバネに代えて、圧縮バネ等の他のバネ部材が用いられてもよいし、場合によってはゴム部材等が用いられても構わない。また、弾性部を構成するバネの数は複数であっても構わない。例えば作業性や耐久性等を考慮すると、コイルバネが好ましく、特に引っ張りバネが好ましい。
<第2実施形態のレンズ駆動装置>
【0064】
次に、第2実施形態のレンズ駆動装置について説明する。第2実施形態のレンズ駆動装置の構成は、第1実施形態のレンズ駆動装置30の構成と概ね同様である。以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と重複する部分については同一の符号を付し、特に必要がない場合には、その説明を省略する。
【0065】
図7は、本発明の第2実施形態に係るレンズ駆動装置30の構成を示す概略平面図である。
図7に示すように、第2実施形態のレンズ駆動装置30では、レンズホルダ31に対して所定方向の力を付与可能な弾性部36が2つの引っ張りバネ36a、36bによって構成される点が、第1実施形態の構成と異なる。本実施形態では、2つの引っ張りバネ36a、36bは、同一種類のものとしている。
【0066】
2つの引っ張りバネ36a、36bの一端は、いずれも、レンズホルダ31に設けられるホルダ側フック部31dに引っ掛けられている。第1実施形態の場合と同様に、ホルダ側フック部31dは、レンズホルダ31の長手方向(Y方向)の一端部(挿通穴31bが設けられる側の端部)寄りに設けられている。また、ホルダ側フック部31dは、レンズ駆動装置30を上面視した場合において、ガイドシャフト32が挿通される挿通穴31bの中央部に設けられている。
【0067】
第1の引っ張りバネ36aの他端は、ピックアップベース10に設けられる第1のベース側フック部10eに引っ掛けられている。第1のベース側フック部10eの構成は、第1実施形態と同様である(
図4、
図5参照)。第2の引っ張りバネ36bの他端は、ピックアップベース10に設けられる第2のベース側フック部10fに引っ掛けられている。第2のベース側フック部10fは、第1のベース側フック10eと対称配置されている。このために、2つの引っ張りバネ36a、36bも対称配置された状態となる。なお、ここでは、駆動部33がレンズホルダ31を駆動していない状態を想定しており、
図7は、そのような状態を想定した図である。また、2つの引っ張りバネ36a、36bは、ホルダ側フック部31dを通過する、X方向に垂直な平面を基準として対称配置となっている。
【0068】
2つの引っ張りバネ36a、36bが、レンズホルダ31に対してコリメートレンズ15の光軸方向と平行な方向(X方向;ガイドシャフト32と平行な方向)に及ぼす力は、互いに逆向きとなる。このために、駆動部33がレンズホルダ31を駆動していない場合には、レンズホルダ31は、2つの引っ張りバネ36a、36bのX方向の力が釣り合う中立位置に位置することになる。
【0069】
一方、2つの引っ張りバネ36a、36bが、コリメートレンズ15の光軸方向に垂直な第1の方向(Y方向;ガイドシャフト32と垂直な方向)及び第2の方向(Z方向;ガイドシャフト32と垂直な方向)に及ぼす力は、それぞれ、互いに同じ向きとなる。このために、レンズホルダ31には、Y方向の力Fy1と、Z方向の力Fz1とが常に加わることになる。すなわち、レンズホルダ31は、第1実施形態の場合と同様に、ガイドシャフト32と、ガイドレール35の壁面とに常に押し付けられた状態になり、がたつき等が抑制される。
【0070】
図8A、
図8B、及び、
図8Cは、第2実施形態のレンズ駆動装置30における、弾性部36及びその周辺を示す概略平面図である。
図8Aは、駆動部33に駆動力(電磁力)が発生していない状態を示す図である。
図8Bは、駆動部33に一方の向きの駆動力が発生している状態を示す図である。
図8Cは、駆動部33に他方の向きの駆動力が発生している状態を示す図である。
【0071】
図8Aにおいては、駆動部33に駆動力が発生していないために、レンズホルダ31は、X方向の中立位置(2つのバネ36a、36bのX方向の力が釣り合った位置)に位置する。本実施形態では、この中立位置は、レンズホルダ31の可動範囲の中点位置とほぼ一致するように設けられている。たたし、この構成に限定されず、中立位置は、レンズホルダ31の可動範囲の中点位置からずれた位置に配置される構成であっても構わない。
【0072】
図8Bでは、駆動部33がレンズホルダ31をX方向の一方向き(左向き)に動かす力を加えている。この力によってレンズホルダ31が中立位置から動き、第1の引っ張りバネ36aは縮められ、第2の引っ張りバネ36bは伸ばされる。この結果、2つの引っ張りバネ36a、36bのX方向の力の釣り合いが解消され、レンズホルダ31に対して、X方向の他方向き(右向き)の力Fx1(弾性部36による力)が加わる。この力Fx1と、駆動部33によって発生される駆動力との関係に基づいてレンズホルダ31の位置が決まる。
図8Bでは、中立位置から左方向にずれた位置P1にレンズホルダ31は位置する。
【0073】
図8Cでは、駆動部33がレンズホルダ31をX方向の他方向き(右向き)に動かす力を加えている。この力によって、レンズホルダ31が中立位置から動き、第1の引っ張りバネ36aは伸ばされ、第2の引っ張りバネ36bは縮められる。この結果、2つの引っ張りバネ36a、36bのX方向の力の釣り合いが解消され、レンズホルダ31に対して、X方向の一方向き(左向き)の力Fx2(弾性部36による力)が加わる。この力Fx2と、駆動部33によって発生される駆動力との関係に基づいてレンズホルダ31の位置が決まる。
図8Cでは、中立位置から右方向にずれた位置P2にレンズホルダ31は位置する。
【0074】
このような構成では、可動範囲の中点近傍を基準としてレンズホルダ31を移動するために、可動範囲の一端側を基準としてレンズホルダ31を移動する第1実施形態の構成に比べて、レンズホルダ31(コリメートレンズ15)を目的の位置に素早く設定し易い。このために、光ピックアップ1における読み取り動作等が開始されるまでの待ち時間が短くなることが期待できる。また、レンズホルダ31を駆動する際に必要となる駆動電力の低減も図れる。そして、第1実施形態と同様に、レンズホルダ31のがたつきや振動を抑制できるために、光ピックアップ1の読み取りや書き込み性能の向上が期待できる。
【0075】
なお、本実施形態では、レンズホルダ31に対して互いに直交する3つの方向(X、Y、Z方向)に力を付与可能な弾性部36を2本の引っ張りバネ36a、36bで構成したが、この構成に限定される趣旨ではない。2本の引っ張りバネ36a、36bは、
図9に示すように一纏め(見かけ上、1本のバネ)とされてよい。
図9において、符号RPは、フック部に引っ掛けるためのリング部を表す。このように構成することで、部品点数を減らせるために、作業性の向上が期待できる。また、本実施形態でも、弾性部は、引っ張りバネに代えて、圧縮バネ等の他のバネ部材が用いられてもよいし、場合によってはゴム部材等が用いられても構わない。例えば作業性や耐久性等を考慮すると、コイルバネが好ましく、特に引っ張りバネが好ましい。
<第3実施形態のレンズ駆動装置>
【0076】
次に、第3実施形態のレンズ駆動装置について説明する。第3実施形態のレンズ駆動装置の構成は、第1実施形態のレンズ駆動装置30の構成と概ね同様である。以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と重複する部分については同一の符号を付し、特に必要がない場合には、その説明を省略する。
【0077】
図10は、本発明の第3実施形態に係るレンズ駆動装置30の構成を示す概略平面図である。また、
図11は、本発明の第3実施形態に係るレンズ駆動装置30が備える弾性部37の取り付け構成を説明するための概略側面図である。なお、
図10及び
図11は、駆動部33がレンズホルダ31を駆動していない状態を示している。
【0078】
図10及び
図11に示すように、第3実施形態のレンズ駆動装置30では、レンズホルダ31に対して所定方向の力を付与可能な弾性部37が引っ張りバネ37aと圧縮バネ37bとによって構成される点が、第1実施形態の構成と異なる。引っ張り37a、及び、それを取り付けるための構成(ベース側フック部10eやホルダ側フック部31d)は、第1実施形態における引っ張りバネ34の場合と同様の構成になっている。このため、引っ張りバネ37aに関する取付構成の説明は省略する。
【0079】
圧縮バネ37bは、ガイドシャフト32に遊嵌されている。圧縮バネ37bの一端はレンズホルダ31に当接し、圧縮バネ37bの他端はピックアップベース10の壁10gに当接している。
【0080】
引っ張りバネ37aと圧縮バネ37bとが、レンズホルダ31に対してコリメートレンズ15の光軸方向と平行な方向(X方向;ガイドシャフト32と平行な方向)に及ぼす力は、互いに逆向きとなる。駆動部33がレンズホルダ31を駆動していない場合には、レンズホルダ31は、2つのバネ37a、37bのX方向の力が釣り合う中立位置に位置する。
【0081】
なお、引っ張りバネ37aは、第1実施形態における引っ張りバネ34と同様に、コリメートレンズ15の光軸方向に垂直な第1の方向(Y方向;ガイドシャフト32と垂直な方向)及び第2の方向(Z方向;ガイドシャフト32と垂直な方向)に力を及ぼす。すなわち、レンズホルダ31には、Y方向の力Fy1(
図10参照)と、Z方向の力Fz1(
図11参照)とが常に加わることになる。このために、レンズホルダ31は、第1実施形態の場合と同様に、ガイドシャフト32と、ガイドレール35の壁面とに常に押し付けられた状態になり、がたつき等が抑制される。
【0082】
図12A、
図12B、及び、
図12Cは、第3実施形態のレンズ駆動装置30における、弾性部37及びその周辺を示す概略平面図である。
図12Aは、駆動部33に駆動力(電磁力)が発生していない状態を示す図である。
図12Bは、駆動部33に一方の向きの駆動力が発生している状態を示す図である。
図12Cは、駆動部33に他方の向きの駆動力が発生している状態を示す図である。
【0083】
図12Aにおいては、駆動部33に駆動力が発生していないために、レンズホルダ31は、X方向の中立位置(2つのバネ37a、37bのX方向の力が釣り合った位置)に位置する。本実施形態では、この中立位置は、レンズホルダ31の可動範囲の中点位置とほぼ一致するように設けられている。たたし、この構成に限定されず、中立位置は、レンズホルダ31の可動範囲の中点位置からずれた位置に配置される構成であっても構わない。
【0084】
図12Bでは、駆動部33がレンズホルダ31をX方向の一方向き(左向き)に動かす力を加えている。この力によってレンズホルダ31が中立位置から動き、引っ張りバネ37a及び圧縮バネ37bは、いずれも、中立位置にある状態に比べて長さが伸びた状態になる。この結果、引っ張りバネ37aと圧縮バネ37bとの間のX方向の力の釣り合いが解消され、レンズホルダ31に対して、X方向の他方向き(右向き)に力Fx1(弾性部37による力)が加わる。この力Fx1と、駆動部33によって発生される駆動力との関係に基づいてレンズホルダ31の位置が決まる。
図12Bでは、中立位置から左方向にずれた位置P1にレンズホルダ31は位置する。
【0085】
図12Cでは、駆動部33がレンズホルダ31をX方向の他方向き(右向き)に動かす力を加えている。この力によってレンズホルダ31が中立位置から動き、引っ張りバネ37a及び圧縮バネ37bは、いずれも、中立位置にある状態に比べて長さが縮んだ状態になる。この結果、引っ張りバネ37aと圧縮バネ37bとの間のX方向の力の釣り合いが解消され、レンズホルダ31に対して、X方向の一方向き(左向き)に力Fx2(弾性部37による力)が加わる。この力Fx2と、駆動部33によって発生される駆動力との関係に基づいてレンズホルダ31の位置が決まる。
図12Cでは、中立位置から右方向にずれた位置P2にレンズホルダ31は位置する。
【0086】
このような構成では、第2実施形態の場合と同様に、可動範囲の中点近傍を基準としてレンズホルダ31を移動するために、可動範囲の一端側を基準としてレンズホルダ31を移動する第1実施形態の構成に比べて、レンズホルダ31(コリメートレンズ15)を目的の位置に素早く設定し易い。このために、光ピックアップ1における読み取り動作等が開始されるまでの待ち時間が短くなることが期待できる。また、レンズホルダ31を駆動する際に必要となる駆動電力の低減も図れる。そして、第1実施形態と同様に、レンズホルダ31のがたつきや振動を抑制できるために、光ピックアップ1の読み取りや書き込み性能の向上が期待できる。また、この第3実施形態の構成では、弾性部37を構成する2つのコイルバネ37a、37bが、片側に集めて配置される。このために、第3実施形態の構成によれば、省スペースでレンズ駆動装置30を構成することが可能である。
<第4実施形態のレンズ駆動装置>
【0087】
次に、第4実施形態のレンズ駆動装置について説明する。第4実施形態のレンズ駆動装置の構成は、第3実施形態のレンズ駆動装置の構成と概ね同様である。以下、第3実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、第3実施形態と重複する部分については同一の符号を付し、特に必要がない場合には、その説明を省略する。
【0088】
第4実施形態のレンズ駆動装置30では、コイル331と磁石332とを用いて発生される電磁力を利用して、コリメートレンズ15を光軸方向に移動する構成になっている。このようなレンズ駆動装置30では、例えばコイル331の抵抗値のばらつきや、磁石332の磁束のばらつき等の部品の特性ばらつきが原因となって、駆動設定値(例えば駆動電圧値、駆動電流値等)に対するコリメートレンズ15の移動量にばらつきが生じることがある。なお、部品の特性ばらつきは、製造時ばかりではなく、レンズ駆動装置30(光ピックアップ1)が置かれる環境(例えば温度や湿度)の変動によっても生じることがある。この点を考慮して、第4実施形態のレンズ駆動装置30は、コリメートレンズ15の移動量のばらつきを補正して、コリメートレンズ15の位置精度を向上する機能を備える。以下、これについて説明する。
【0089】
レンズ駆動装置30の駆動を制御する制御部21は、
図13に示すように、コリメートレンズ15の移動量のばらつきを補正する機能を発揮する補正処理部211を備える。補正処理部211は、
図14に示すフローに従って、コリメートレンズ15の移動量のばらつきを補正する処理を実行する。
【0090】
なお、この補正処理を行うタイミングとしては、例えば、装置毎のばらつきを補正すること、及び/又は、環境変動に伴う部品特性の変動が原因となって生じるばらつきを補正することを考慮して、次のようなタイミングが挙げられる。第1のタイミング例として、光ピックアップ1(又はレンズ駆動装置30)の電源がオンされた直後が挙げられる。
【0091】
第2のタイミング例として、例えば温度や湿度といった環境の変動を示すパラメータが所定の基準値からずれていると判断された場合が挙げられる。この場合、環境変化を検出するセンサ(温度センサや湿度センサ等)が必要となるが、これらはレンズ駆動装置30の近傍に設けられるのが好ましい。なお、光ピックアップ1には、それに含まれるプリント基板(不図示)上に光ピックアップ1の周辺温度を検出するサーミスタが配置されることがあるが、このサーミスタが前述の温度センサとして用いられてもよい。
【0092】
第3のタイミング例として、光ピックアップ1によって情報の読み取りや情報の書き込みを行うように指令が出された後であって、これらの動作が開始されるまでの或るタイミングが挙げられる。
【0093】
その他のタイミング(補正処理を行うタイミング)として、光ピックアップ1が姿勢変更されたと判断される場合が挙げられる。光ピックアップ1が搭載される光ディスク装置は、例えば、縦置きされたり、横置きされたりする場合がある。例えば、縦置きの場合と、横置きの場合とでは、重力による影響が異なるために、上述のレンズホルダ31(コリメートレンズ15)の中立位置が変動するし、コリメートレンズ15を移動するための駆動設定パターンも変動する。このために、光ピックアップが姿勢変更されたと判断される場合には、コリメートレンズ15の移動量のばらつきを補正する処理が行われるのが好ましい。
【0094】
なお、光ピックアップ1の姿勢変更は、例えばジャイロセンサのような姿勢変更検出手段を用いて検出する構成としてもよい。ただし、姿勢変更検出手段を用いなくても、例えば、所定の姿勢毎に駆動機構の駆動設定条件を予め準備(例えばテーブル化)しておき、設定条件の適不適によって姿勢変更の有無を判断してもよい。
【0095】
以下、
図14及び
図15を参照しながら、補正処理部211によって実行される補正処理について詳しく説明する。なお、
図15は、本発明の第4実施形態に係るレンズ駆動装置30において補正処理が実行されている間における、コリメートレンズ15の位置、コイル331に印加される電圧(駆動電圧)、及び、逆起電力の時間変化を示すグラフである。
図15の上側のグラフにおいて、実線は駆動電圧の時間変化を示し、破線はコリメートレンズ15の位置の時間変化を示す。なお、コイル331に印加される電圧値(駆動電圧値)は、本発明における、駆動部の駆動設定値の一例である。
【0096】
補正処理部211は、補正処理を行うタイミングであると判断すると、まず、コリメートレンズ15を駆動範囲(移動可能な範囲)の一端部近傍まで移動させる(ステップS1)。
図15に示す例では、1Vの駆動電圧を印加した状態が該当する。コイル331への駆動電圧の印加によりコイル331に電流が流れ、上述のように電磁力が発生してコリメートレンズ15が移動する。なお、ここで与える駆動電圧は、ばらつきも考慮した上で、コリメートレンズ15が駆動範囲の一端(限界位置)まで至らない(一端の少し手前に位置する)ように決定するのが好ましい。
【0097】
ところで、コリメートレンズ15(レンズホルダ31に保持される)が移動すると、レンズホルダ31に固定される磁石332が移動するために、レンツの法則により、逆起電力e(e=Bvl、B:磁石332の磁束密度、v:磁石332の移動速度、l:コイル331の有効長)が発生する(
図15参照)。制御部21には、この逆起電力を検出する逆起電力検出部212が備えられている(
図13参照)。逆起電力は、例えば、与えた駆動電圧値と、実測の電圧値との差に基づいて求めることが可能である。
【0098】
逆起電力検出部212によって、逆起電力が検出された場合にはコリメートレンズ15が移動したと判断でき、逆起電力が検出されなかった場合(逆起電力ゼロの場合)にはコリメートレンズが移動しなかったと判断できる。また、逆起電力のパターンによって、場合によっては、コリメートレンズ15の移動量を求めることも可能である。すなわち、逆起電力検出部212は、本発明の移動検出部の一例である。
【0099】
コリメートレンズ15が駆動範囲の一端部近傍まで移動されると、次に、所定量だけ駆動電圧(コイル331に印加される電圧)がアップされる(ステップS2)。
図15に示す例では、前述の所定量は0.5Vとされている。そして、駆動電圧が所定量だけアップされると、その際に逆起電力検出部212によって検出された逆起電力がゼロであるか否かが確認される(ステップS3)。逆起電力がゼロでないと判断された場合(ステップS3でNo)、ステップS2に戻って、更に、所定量だけ駆動電圧がアップされる。すなわち、逆起電力がゼロであると検出されるまで、
図15に示すように、段階的に(階段状に)駆動電圧が所定量ずつ上げられていくことになる。
【0100】
逆起電力がゼロであると判断された場合(ステップS3でYes)、補正処理部211は、コリメートレンズ15の位置は、駆動電圧をこれ以上大きくしても移動できない限界位置に達していると判断する。補正処理部211は、この場合、当該駆動電圧(
図15に示す例では3.5V)を図示しない記憶手段(メモリ)に記憶させる(ステップS4)。
【0101】
次に、補正処理部211は、コリメートレンズ15を駆動範囲の他端部近傍まで移動させる(ステップS5)。
図15に示す例では、−0.5Vの駆動電圧を印加した状態が該当する。なお、ここで与える駆動電圧も、ばらつきも考慮した上で、コリメートレンズ15が駆動範囲の他端(限界位置)まで至らない(他端の少し手前に位置する)ように決定するのが好ましい。
【0102】
コリメートレンズ15が駆動範囲の他端部近傍まで移動されると、次に、所定量だけ駆動電圧がダウンされる(ステップS6)。
図15に示す例では、前述の所定量は−0.5Vとされている。そして、駆動電圧が所定量だけダウンされると、その際に逆起電力検出部212によって検出された逆起電力がゼロであるか否かが確認される(ステップS7)。逆起電力がゼロでないと判断された場合(ステップS7でNo)、ステップS6に戻って、更に、所定量だけ駆動電圧がダウンされる。すなわち、逆起電力がゼロであると検出されるまで、
図15に示すように、段階的に(階段状に)駆動電圧が所定量ずつ下げられていくことになる。
【0103】
逆起電力がゼロであると判断された場合(ステップS7でYes)、補正処理部211は、コリメートレンズ15の位置は、駆動電圧をこれ以上小さくしても移動できない限界位置に達していると判断する。補正処理部211は、この場合、当該駆動電圧(
図15に示す例では−2.5V)を図示しない記憶手段(メモリ)に記憶させる(ステップS8)。
【0104】
次に、補正処理部211は、駆動電圧と、コリメートレンズ15の移動量(移動距離)との間の関係式(対応関係)を算出する(ステップS9)。具体的には、補正処理部211は、ステップS4で記憶させた駆動電圧の一段前の駆動電圧(3V)を最大駆動限界電圧(Vmax)とし、ステップS8で記憶させた駆動電圧の一段前の駆動電圧(−2V)を最小駆動限界電圧(Vmin)とする。ここで、最大駆動限界電圧とは、コリメートレンズ15を駆動範囲の一端に至らしめる電圧が想定されている。また、最小駆動限界電圧とは、コリメートレンズ15を駆動範囲の他端に至らしめる電圧が想定されている。
【0105】
そして、中立位置から一端までの距離がLmax、中立位置から他端までの距離がLminとされる場合、補正処理部211は、例えば以下の式(1)を算出する。なお、この場合、補正処理部211は、
図16に示すように、駆動電圧Vと移動距離Xとが1次関数で表せることを前提として演算処理を行っている。また、式(1)を算出することによって、単位駆動電圧値当たりのコリメートレンズ15の移動量を得ることができる。更に、Lmax−Lminは、本実施形態では、ガイドレール35の長さ(コリメートレンズ15の光軸方向に平行な方向の長さ)に該当する。
V=(Vmax−Vmin)/(Lmax−Lmin)×X (1)
【0106】
以上により、コリメートレンズ15の移動量のばらつきを補正する処理が終了する。そして、以後においては、式(1)に従って、レンズ駆動装置30を駆動させるための駆動電圧値が決定される。
【0107】
以上によれば、駆動範囲の限界(両端)に至る実測の電圧を求めることによって得られた関係式(1)によって、印加する駆動電圧値が決定されることになる。このために、部品特性のばらつきに由来するコリメートレンズ15の移動量のばらつきを補正(低減)して、コリメートレンズ15の位置精度を向上できる。また、以上に示す構成は、駆動部33の駆動時に発生する逆起電力を利用して補正を行う構成であるために、移動量を測定するための専用のセンサを追加する必要もなく、低コスト化、小型化に有利な構成である。
【0108】
なお、
図15に示す例では、0.5Vずつ、駆動電圧を増減する構成としたが、増減する駆動電圧の大きさを更に小さくすることにより、より正確な最大駆動限界電圧及び最小駆動限界電圧を得ることができる。すなわち、増減する駆動電圧の大きさをより細かく設定することで、コリメートレンズ15の位置精度を更に向上可能である。
【0109】
ところで、コリメートレンズ15の駆動範囲(可動範囲)が以上に示した実施形態の場合よりずっと大きいと仮定すると、
図17に示すように、コイル331に印加される電圧(駆動電圧)とコリメートレンズ15の移動距離との関係は、1次関数で表すことができなくなる。これは、コリメートレンズ15の移動距離が大きくなると、磁石332がコイル331に対して及ぼす磁力が小さくなることが関係している。
【0110】
逆に言うと、本実施形態では、レンズ駆動装置30は、コイル331に印加される電圧とコリメートレンズ15の移動距離との関係が1次関数で表せるように、コイル331、磁石332、及び駆動範囲を設計している。このために、上述のような関係式(1)を算出して、コリメートレンズ15の移動量のばらつきが補正できる。そして、この構成では、補正処理部211は、駆動電圧と、コリメートレンズ15の移動量(移動距離)との間の関係式を簡単に算出できるので、関係式の算出に要する時間を短くできる。
【0111】
なお、コリメートレンズ15の駆動範囲内において、コイル331に印加される電圧(駆動電圧)とコリメートレンズ15の移動距離との関係が1次関数で表せない構成となっているレンズ駆動装置(光ピックアップ)にも、本発明は適用可能である。この場合には、例えば、最大及び最小の駆動限界電圧を上述の場合と同様に求めるとともに、逆起電力の大きさの変化も加味して、適切な関係式(1次関数ではない)を算出すればよい。
【0112】
また、以上においては、コリメートレンズ15を駆動範囲の端部近傍にまで移動してから、段階的に駆動電圧を増減する構成とした。しかし、この構成に限らず、中立位置から段階的に駆動電圧を増減し、駆動範囲の限界に至る電圧値を求める構成としてもよい。ただし、以上に示したように構成すると、駆動範囲の限界に至る電圧値の検出を短時間で完了できるので好ましい。
【0113】
また、以上に説明した、コリメートレンズ15の移動量のばらつきを補正してコリメートレンズ15の位置精度を向上する機能は、第3実施形態のレンズ駆動装置に限らず、例えば、第1実施形態や第2実施形態のレンズ駆動装置等に適用されても構わない。なお、第1実施形態のレンズ駆動装置に適用する場合には、上述した駆動限界電圧値を求めるための処理は、駆動範囲の一方端についてのみ行われればよい。
<第5実施形態のレンズ駆動装置>
【0114】
次に、第5実施形態のレンズ駆動装置について説明する。第5実施形態のレンズ駆動装置の構成は、第3実施形態のレンズ駆動装置の構成と概ね同様である。以下、第3実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、第3実施形態と重複する部分については同一の符号を付し、特に必要がない場合には、その説明を省略する。
【0115】
第5実施形態のレンズ駆動装置30では、互いに別々の部材に固定配置されるコイル331と磁石332とを用いて発生される電磁力を利用して、コリメートレンズ15を光軸方向に移動する構成になっている。このようなレンズ駆動装置30は、ステッピングモータを用いてレンズを移動させる従来のレンズ駆動装置に比べて、レンズ(レンズホルダ)を動かす力(推力)が小さくなる傾向がある。このために、例えばガイドシャフト32とレンズホルダ31の軸受部31bとの間に埃等の異物が挟まる等によって、コイル331に電圧を印加しているにもかかわらず、コリメートレンズ15が狙い通り動かないといった事態(駆動異常)が発生する場合が有り得る。第5実施形態のレンズ駆動装置30は、このような駆動異常を検出し、更に、このような駆動異常を解消することが可能に設けられている。以下、これについて説明する。
【0116】
レンズ駆動装置30の駆動を制御する制御部21は、
図18に示すように、駆動部33の駆動によって発生する逆起電力を検出する機能を備える逆起電力検出部212を含む。
【0117】
駆動部33が駆動する(コイル331に電圧が印加される)と、レンズホルダ31に固定される磁石332が移動する。このために、レンツの法則により、逆起電力e(e=Bvl、B:磁石332の磁束密度、v:磁石332の移動速度、l:コイル331の有効長)が発生する。逆起電力検出部212は、この逆起電力(逆起電圧)を検出可能になっている。逆起電圧は、例えば、コイル331に与えた駆動電圧値と、実測の電圧値との差に基づいて求めることが可能である。駆動電圧が与えられた場合において、逆起電力検出部212によって逆起電力が検出された場合にはコリメートレンズ15が移動したと判断でき、逆起電力が検出されない場合(逆起電力ゼロの場合)にはコリメートレンズ15が移動していないと判断できる。
【0118】
制御部21は、コリメートレンズ15の駆動に異常(駆動異常)が発生したか否かを判断する機能を備える異常判断処理部213を含む(
図18参照)。異常判断処理部213は、特定の条件下(後述の内容から明らかになる)において、駆動部33を駆動させたにもかかわらず、逆起電力検出部212からの情報に基づいてコリメートレンズ15が移動していないと判断される場合に、駆動異常が発生したと判断する。また、異常判断処理部213は、駆動異常が発生したと判断した場合に、当該異常状態から通常状態へと回復するための異常除去動作をレンズ駆動装置30に実行させる。
【0119】
本実施形態では、例えば、光ピックアップ1(レンズ駆動装置30)の電源がオンされた場合、及び/又は、光ピックアップ1を用いて光ディスクから情報の読み取り(或いは、光ディスクへの情報の書き込み)を行う前に、駆動異常の有無が確認される。なお、駆動異常の有無を確認する処理は、本実施形態のタイミングに限らず、他のタイミングで実行されても構わない。また、この確認処理は、例えばレンズ駆動装置30の駆動限界位置を確認するための処理等の他の処理と合わせて行われても構わない。
【0120】
図19は、本発明の第5実施形態に係るレンズ駆動装置30において、駆動異常の有無を確認するために実行される処理の流れを示すフローチャートである。この
図19を参照しながら、駆動異常の有無を確認する処理について、以下説明する。なお、この説明にあたって、
図20及び
図21についても適宜参照する。
図20及び
図21は、本発明の第5実施形態に係るレンズ駆動装置30において確認処理(駆動異常の有無の確認処理)が実行されている間における、コリメートレンズ15の位置、コイル331に印加される電圧(駆動電圧)、及び、逆起電力の時間変化を示すグラフである。
図20は駆動異常が発生しない場合のグラフ、
図21は駆動異常が発生した場合のグラフである。なお、
図20及び
図21の上側のグラフにおいて、実線は駆動電圧の時間変化を示し、破線はコリメートレンズ15の位置の時間変化を示す。
【0121】
図19に示すように、まず、異常判断処理部213の指令によって、コイル331に所定の駆動電圧が印加される(ステップN1)。駆動異常は、コリメートレンズ15の通常動作範囲内で発生するか否かが確認される。ここで、通常動作範囲は、コリメートレンズ15の可動範囲(上述の最大移動範囲)より狭く設定される範囲であり、所望の目的(本実施形態では球面収差の補正)を達成するために必要な動作範囲である。
【0122】
上述のように、通常動作範囲内で駆動異常が発生するか否かを確認する必要があるために、上記所定の駆動電圧は、コリメートレンズ15が通常動作範囲内から外れない電圧値とされる。ここで、駆動電圧の絶対値が大きい場合には駆動異常が発生しないが、駆動電圧の絶対値が小さい場合には駆動異常が発生するといった事態が起こることが懸念される。この点を考慮して、上記所定の駆動電圧は、通常動作範囲の端部からはみ出すことがない、絶対値の小さな電圧値とされる。なお、以下の記載で明らかになるように、上記所定の駆動電圧は、その後、絶対値の大きな電圧に段階的に変更されながら、駆動異常の有無が確認されることになる。また、
図20及び
図21に示す例では、この所定の駆動電圧は0.5Vとなっている。
【0123】
所定の駆動電圧が印加されると、異常判断処理部213は、逆起電力検出部212から「逆起電力に関する情報」を取得する(ステップN2)。そして、異常判断処理部213は、所定の駆動電圧が印加された際に逆起電力が発生したか否かを確認する(ステップN3)。逆起電力が発生している場合(逆起電力がゼロでない場合;ステップN3でYes)、異常判断処理部213は、コリメートレンズ15が正常に移動しており、駆動異常が発生していないと判断する。そして、異常判断処理部213は、異常確認処理が終了であるか否かを確認する(ステップN4)。
【0124】
本実施形態では、異常確認の処理は、コリメートレンズ15を通常動作範囲の一端から他端までを移動させた時点で終了する構成になっている。コリメートレンズ15が通常動作範囲の端部まで移動したか否かの判断は、コイル331に印加される電圧値の大きさで判断される。すなわち、この判断を可能とする閾値が予め、図示しないメモリに記憶されている。なお、本実施形態では、コリメートレンズ15の中立位置(駆動電圧が印加されていない状態の位置)が、通常動作範囲の中点近傍(最大移動範囲の中点近傍とも一致)である。このために、中立位置から通常動作範囲の一端までコリメートレンズ15を移動させ、その後、他端までコリメートレンズ15を移動させることによって異常確認処理が終了するようになっている(
図20参照)。
【0125】
異常確認処理が終了でないと判断される場合(ステップN4でNo)、駆動電圧値が変更される(ステップN5)。中立位置から通常動作範囲の一端に向けて動いたコリメートレンズ15が当該一端に至っていない場合には、所定量の電圧(絶対値)が、その時点で印加されている駆動電圧の絶対値を大きくするように加えられる。通常動作範囲の一端に至っている場合には、中立位置から通常動作範囲の他端に向けてコリメートレンズ15が動くように駆動電圧が変更される。中立位置から通常動作範囲の他端に向けて動いたコリメートレンズ15が、当該他端に至っていない場合には、所定量の電圧(絶対値)が、その時点で印加されている駆動電圧の絶対値を大きくするように加えられる。
【0126】
なお、
図20及び
図21において、上記所定量の電圧(絶対値)は0.5Vである。また、コリメートレンズ15が通常動作範囲の他端に向かう方向に変更される場合に最初に印加される電圧は−0.5Vである。コリメートレンズ15が、通常動作範囲の一端に至る電圧値は2Vであり、他端に至る電圧値は−2Vである。ただし、これらの値は一例であり、適宜変更してもよい。
【0127】
駆動電圧値が変更されると、ステップN2に戻って、変更した各駆動電圧において駆動異常が発生していないか否かが確認される。駆動異常が発生しない場合(
図20の場合)、ステップN3において、逆起電力が発生しないという状態が生じないために、異常判断処理部213は異常を検出しない。
【0128】
一方、駆動異常が発生する場合、ステップN3において、逆起電力が発生しないという状態が発生する(ステップN3でNo)。例えば、
図21において、駆動電圧を1Vから1.5Vに変更した場合に逆起電力が発生していない。逆起電力が発生しない場合、コリメートレンズ15が移動していないと判断されるために、異常判断処理部213は駆動異常が発生したと判断して、異常除去動作を行う(ステップN6)。なお、異常判断処理部213は、駆動異常を検出した時点で、コイル331への電圧の印加を停止させる処理を行っても構わないし、特に印加電圧の停止処理を行わせることなく、異常除去動作を実行させてもよい。
図21では、一旦に印加電圧の停止処理が行われている。
【0129】
異常除去動作は、異常状態から正常状態へと回復させるための動作であればよく、その動作は特に限定されるものではない。本実施形態では、駆動異常が、ガイドシャフト32と軸受部31bとの間に異物(埃等)が挟まることによって生じる場合が多いことを想定して、次のような動作を行うことにしている。
【0130】
すなわち、異常判断処理部213は、異常除去動作として、コイル331に大きな駆動電圧を印加する。この駆動電圧は、通常動作範囲の端部(2つある)までコリメートレンズ15を移動させるために必要となる電圧の最大絶対値(
図20に示す例では2V)よりも大きな電圧である。例えば、可動範囲(最大移動範囲)の端部に至る電圧(リミット電圧)が印加される。このリミット電圧は、予め記憶されているものであってもよいし、後に更新されたものであってもよい。
【0131】
そして、
図22に示すように、リミット電圧(例えば、絶対値3.5V)の符号を所定の時間於きに反転させて、コリメートレンズ15(レンズホルダ31)が往復動作(第1の方向と、該第1の方向と反対となる第2の方向とに交互に動く動作)を行うことを狙った電圧をコイル331に印加してもよい。この場合、狙いの往復回数は1回であってもよいが、複数回であってもよい。このように、コリメートレンズ15に往復運動をさせることを狙った駆動電圧をコイル331に印加することによって、異物を除去できる可能性を高められる。
【0132】
なお、
図22では、印加電圧のパターンが矩形波とされているが、これに限定される趣旨ではなく、例えば
図23に示すようなSIN波であっても構わない。また、コリメートレンズ15の往復動作を狙って
図22や
図23のようなパターンの電圧を印加するにあたって、高周波(例えば数百〜数千Hzオーダー)のAC(交流)電圧を重畳させながら電圧印加を行っても構わない(
図24参照)。これにより、レンズホルダ31(コリメートレンズ15)が微細な振動を行う力が与えられることになり、異物が除去される可能性を高められる。なお、
図24では、SIN波に高周波のAC電圧が重畳された構成になっている。当然ながら、
図22に示すような矩形波に高周波のAC電圧が重畳されても構わない。また、場合によっては、一定の直流電圧に交流成分が重畳される構成であっても構わない。
【0133】
以上に示すように、本実施形態によれば、レンズ駆動装置30の駆動異常を検出できる。そして、駆動異常を検出した場合に、異常の原因を除去することが可能になっている。このために、本実施形態によれば、光ピックアップ1及びレンズ駆動装置30の安定した動作が期待できる。また、逆起電力を用いて駆動異常を検出する構成のために、駆動異常を検出するために別途センサ等を追加する必要がなく、本実施形態のレンズ駆動装置30は低コスト化、小型化に有利である。
【0134】
以上においては、発生すべき逆起電力が発生しない場合に駆動異常を検出する構成とした。しかし、本発明はこの構成に限定されず、検出された逆起電力のパターンが想定外のパターンである場合に、駆動異常が発生したと判断するようにしてもよい。
【0135】
また、以上においては、光ピックアップ1による情報の読み取り等を行う前に、駆動異常の有無を検出する構成とした。しかし、本発明は、光ピックアップ1による情報の読み取り等が行われている場合に、駆動異常を検出する構成にも適用可能である。
【0136】
また、以上に説明した、駆動異常を検出する機能と、駆動異常を解消する機能は、第3実施形態のレンズ駆動装置に限らず、例えば、第1実施形態や第2実施形態のレンズ駆動装置等に適用されても構わない。
<その他>
【0137】
以上に示した実施形態は本発明の例示であり、本発明の適用範囲は、以上に示した実施形態の構成に限定されるものではない。
【0138】
例えば、以上に示した実施形態では、弾性部34、36、37は、互いに直交する3つの方向の力をレンズホルダ31に対して付与可能な構成とした。しかし、場合によっては、互いに直交する2つの方向(例えばX方向及びY方向等)の力のみをレンズホルダ31に対して付与可能な構成でもよい。レンズ駆動装置30が備える弾性部は、レンズホルダ31に対して、レンズ15の光軸方向(ガイドシャフト32)に平行な力と、レンズ15の光軸(ガイドシャフト32)に垂直な方向の力と、ガイドシャフト32を中心としてレンズホルダ31を回転させる方向の力と、を付与可能であるのが好ましい。
【0139】
また、以上に示した実施形態におけるレンズ駆動装置30は、コイル331が固定され、磁石332が動く構成(いわゆるムービングマグネット)とされた。しかし、本発明の適用範囲は、これに限られるものではない。すなわち、本発明は、磁石が固定され、コイルが動く構成(いわゆるムービングコイル)のレンズ駆動装置にも適用可能である。更には、本発明は、場合によっては、駆動源としてモータを用いるレンズ駆動装置にも適用可能である。
【0140】
また、以上に示した実施形態では、レンズ駆動装置30はコリメートレンズ15を移動する構成とされた。しかし、レンズ駆動装置30が動かすレンズは、コリメートレンズ以外のレンズ(例えば、エキスパンダーレンズを構成する可動レンズ)であっても構わない。
【0141】
その他、本発明のレンズ駆動装置は、光ピックアップ以外の光学装置(例えばカメラ等)に適用されても構わない。