(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6090049
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】電子機器ユニット
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
H05K5/02 A
H05K5/02 L
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-162887(P2013-162887)
(22)【出願日】2013年8月6日
(65)【公開番号】特開2015-32764(P2015-32764A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】山川 均
【審査官】
石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−106273(JP,U)
【文献】
実開昭55−029283(JP,U)
【文献】
実開昭58−077086(JP,U)
【文献】
実開昭58−126251(JP,U)
【文献】
実開昭55−173719(JP,U)
【文献】
特開2004−253591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未接続の電気コネクタを閉塞する閉塞板を取り付け、該閉塞板により前記電気コネクタを閉塞した電子機器ユニットにおいて、
前記閉塞板に意匠銘板を使用し、該意匠銘板の前記電気コネクタの対向部に、一箇所以上の連結部を有する環状のスリットと、前記連結部を切断する切断工具の先端を挿入する切断工具挿入孔を設けることにより形成されていることを特徴とする電子機器ユニット。
【請求項2】
前記環状のスリットは、矩形状に形成され、前記切断工具挿入孔は、矩形状のスリットの一辺の中央部に円形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器ユニット。
【請求項3】
前記環状のスリットは、矩形状に形成され、前記切断工具挿入孔は、矩形状のスリットの一辺のスリット幅を拡大させることにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未接続の電気コネクタを閉塞する閉塞板を取り付け、該閉塞板により前記電気コネクタを閉塞することにより、輸送時等において外部からの静電気によってユニット内部の部品類の破損を防止する電子機器ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
前記電気コネクタを閉塞する方法として、以下の3つの方法が採られている。
(1)電気コネクタに合わせたキャップを樹脂成形等により形成する。電気コネクタを接続使用する場合には、キャップを外す。
(2)電気コネクタの上を板金や樹脂製の閉塞板で塞ぐ。電気コネクタを接続使用する場合には、閉塞板を外す。
(3)電気コネクタの上からシールを貼り付ける。電気コネクタを接続使用する場合には、シールを剥がす。
【0003】
上記(2)の電気コネクタの上を板金や樹脂製の閉塞板で塞ぐ方法としては、
特許文献1,2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案出願公開 昭58−126251号
【特許文献2】特開2004−253591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の電気コネクタの閉塞方法には、次に述べるような問題点があった。
(1)キャップを使用する場合は、キャップを別パーツとすることで部品点数が増えてコストアップの原因になる。電気コネクタの種類や極数に応じたものを用意する必要があるので、パーツの種類が多くなる。パーツを樹脂成形品で製作する場合、金型費が掛かり、イニシャルコストが発生する。
(2)板金や樹脂製の閉塞板を使用する場合も、閉塞板を別パーツとすることで部品点数が増えてコストアップの原因になる。また、閉塞板を取り付けるネジ等が必要となる。閉塞板を取り付けるための取付孔などを設ける必要があり、その取付孔のためのスペースが必要となる。また、電気コネクタの周辺に閉塞板を取り付けるためのスペースが必要となり電子機器ユニットの小型化の妨げになる。
(3)シールを使用する場合も、シールを別パーツとすることで部品点数が増えてコストアップの原因になる。シールの密着性が悪いと剥がれてしまう危険性がある。密着性を確保するためには、シールのサイズを電気コネクタの孔よりも大きくする必要がある。そのために、電気コネクタの周辺にはスペースが必要となり電子機器ユニットの小型化の妨げになる。
【0006】
本発明は、上記閉塞板として、コネクタの用途や取り付けられる電子機器の機器名等の識別子を記載した意匠銘板を用いることにより部品点数の削減を図るとともに、該意匠銘板の一部を切断、除去して、電気コネクタの閉塞を解除可能にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、未接続の電気コネクタを閉塞する閉塞板を取り付け、該閉塞板により前記電気コネクタを閉塞した電子機器ユニットにおいて、
前記閉塞板に意匠銘板を用い、該意匠銘板の前記電気コネクタ対向部に、一箇所以上の連結部を有する環状のスリットと、該スリットの一部を拡大して前記連結部を切断する切断工具の先端を挿入する切断工具挿入孔を設けた。
【発明の効果】
【0008】
閉塞板に意匠銘板を用いて、閉塞板と意匠銘板を一体化したので、従来の閉塞板と意匠銘板を別々に形成したもの、例えば、特許文献2の段落[0015]〜[0017]に記載されている閉塞板上に識別子を表示したシールを貼り付けるものに比べて部品点数の削減を図ることができる。
【0009】
また、切断工具の一端部を切断工具挿入孔に挿入し、切断工具の他端部を電子機器ユニット側に押し付ければ、切断工具は、梃子のように作用して、意匠銘板を内側から加圧して、前記連結部を切断されたスリットの内側部分を意匠銘板の外側に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】意匠銘板を取り外した電子機器ユニットの斜視図。
【
図3】意匠銘板を取り付けた電子機器ユニットの斜視図。
【
図8】スリットと切断工具挿入孔の他の実施例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、電子機器ユニット1を示す。電子機器ユニット1は、一側面1aの下部に、コネクタ配置部2を備えている。コネクタ配置部2には、各種の機器を接続する複数の機器接続コネクタ3…3及び電気コネクタ4が設けられている。前記コネクタ配置部2の前面には、前記機器接続コネクタ3…3および電気コネクタ4を覆う意匠銘板11が取り付けられる。
【0012】
図2に示すように、意匠銘板11には、前記機器接続コネクタ3…3に対向する位置にそれぞれ貫通孔12…12が形成されているとともに、これら貫通孔12…12の側方には、前記機器接続コネクタ3…3の用途や取り付けられる機器名等を表示する識別子13…13が表示されている。
【0013】
また、意匠銘板11は、前記電気コネクタ4と対向する位置に環状のスリット14を備え、該スリット14の一部に後記する切断工具18の先端部を挿入する切断工具挿入孔15を備えている。前記環状のスリット14の外側には、電気コネクタ4を表示する識別子16が形成されている。
【0014】
図3,
図4に示すように、コネクタ配置部2に意匠銘板11を取り付けると、前記複数の貫通孔12…12が前記電子機器ユニット1の複数の機器接続コネクタ3…3に連なって、各種の機器が接続可能になるとともに、前記電気コネクタ4の前面側は、意匠銘板11で覆われて、輸送時等に静電気が電気コネクタ4からユニットに入力されてユニット内部の部品類が破損するのを防止する。
【0015】
図5に拡大して示すように、前記スリット14は、電気コネクタ4の外形に沿わせて形成した第1スリット構成部14a〜第4スリット構成部14dにより構成されている。
【0016】
前記切断工具挿入孔15は、前記第1スリット構成部14aの中央部に円形状
に形成されている。
【0017】
第1スリット構成部14aと第2スリット構成部14bの間、第2スリット構成部14bと第3スリット構成部14cの間、第3スリット構成部14cと第4スリット構成部14dの間、第4スリット構成部14dと第1スリット構成部14aの間には、それぞれ連結部17が設けられている。
【0018】
図6は、
図5のA−A断面図であり、前記連結部17の肉厚Tは、0.3mm前後に形成されている。なお、前記スリット14の幅Wは、前記肉厚Tと同程度に形成されている。
【0019】
図7は、切断工具18で前記連結部17を切断して、意匠銘板11の電気コネクタ対向部を開放する方法の一例を示す説明図である。
図7に示すように、切断工具18は、金属等で丸棒状に形成されている。そして、丸棒状の切断工具18の一端部(先端部)を切断工具挿入孔15に挿入して他端部を矢頭A方向に押して、電子機器ユニット1側に押し付けるようにすれば、切断工具18は、梃子作用により意匠銘板11の電気コネクタ対向部を内側から加圧して前記連結部17を破断して、電気コネクタ対向部を除去、開放し、電気コネクタ4への電源の接続を可能にする。
【0020】
実施形態の電子機器ユニット1は、上述のような構成であり、コネクタ配置部2に意匠銘板11を取り付け、該意匠銘板11で、電気コネクタ4の前面側を覆うことにより、輸送時等に静電気が電気コネクタ4からユニットに入力されてユニット内部の部品類が破損するのを防止することができる。
【0021】
また、輸送終了後、電気コネクタ4に電源を接続する際には、上述したように、切断工具18の一端部を切断工具挿入孔15に挿入して切断工具18の他端部を電子機器ユニット1側に押し付ければ、切断工具18の梃子作用で意匠銘板11の電気コネクタ対向部は、内側から加圧されて前記連結部17を破断して、電気コネクタ対向部は除去、開放されて、電気コネクタ4への電源の接続が可能になる。
【0022】
図8、
図9は他の実施の形態を示す。この実施形態においては、切断工具挿入孔15は、前記第1スリット構成部14aのスリット幅Wを拡大させることにより形成されている。切断工具挿入孔15は、第1スリット構成部14aの長さ方向の広域にわたって形成されているので、切断工具18として幅の広い箆(へら)状のものを使用することができる。なお、上記実施形態においては、連結部17を環状のスリット14の4箇所に設けた場合を示したが、連結部17は何個設けても良い。また、連結部17の肉厚Tやスリット14の幅Wは、意匠銘板11の材質や肉厚等を考慮して適宜設定される。
【符号の説明】
【0023】
1…電子機器ユニット
2…コネクタ配置部
3…機器接続コネクタ
4…電気コネクタ
11…意匠銘板
12…機器接続コネクタ
13…識別子
14…環状のスリット
14a…第1スリット構成部
14b…第2スリット構成部
14c…第3スリット構成部
14d…第4スリット構成部
15…切断工具挿入孔
16…識別子
17…連結部
18…切断工具