(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記距離画像処理部がいずれかの空間において検出した代表距離と、前記移動体種別判定部が判定した移動体の種別によって、この移動体が予め定めた許容範囲内に位置するかどうかを判定する位置判定部を備えた請求項1、または2に記載の移動体管理装置。
距離画像入力部に入力された、上方からのアングルで軌道に沿って走行する移動体の背面、または前面を撮像した距離画像を処理し、前記軌道に沿って走行する移動体の高さ方向に重ならないように3つ以上に区分した空間毎に、その空間における移動体までの代表距離を検出する距離画像処理ステップと、
予め設定した空間の組み合わせ毎に、その組み合わせにかかる空間について前記距離画像処理ステップで検出した代表距離の距離差に基づく判定値を算出する判定値算出ステップと、
予め設定した空間の組み合わせ毎に、前記判定値算出ステップで算出した判定値を複数用いて、前記距離画像入力部に入力された距離画像に撮像されている移動体の種別を判定する移動体種別判定ステップと、を備えた移動体管理方法。
距離画像入力部に入力された、上方からのアングルで軌道に沿って走行する移動体の背面、または前面を撮像した距離画像を処理し、前記軌道に沿って走行する移動体の高さ方向に重ならないように3つ以上に区分した空間毎に、その空間における移動体までの代表距離を検出する距離画像処理ステップと、
予め設定した空間の組み合わせ毎に、その組み合わせにかかる空間について前記距離画像処理ステップで検出した代表距離の距離差に基づく判定値を算出する判定値算出ステップと、
予め設定した空間の組み合わせ毎に、前記判定値算出ステップで算出した判定値を複数用いて、前記距離画像入力部に入力された距離画像に撮像されている移動体の種別を判定する移動体種別判定ステップと、をコンピュータに実行させる移動体管理プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1は、駅ホームに停車した列車の停止位置が適正であるかどうかを判定する停止位置判定システムを示す概略図である。この例にかかる停止位置判定システムは、列車位置判定装置1と、TOF(Time Of Flight)カメラ2と、ビデオカメラ3と、超音波センサ4と、を有する。
【0023】
この停止位置判定システムは、駅ホームに進入してきた列車の種別を判定する。また、列車の位置が予め定めている目標停止位置の範囲内であるかどうかを判定した判定結果を出力する。この判定結果の表示は、列車の運転士や駅係員等から見えやすい位置に設置した表示器や表示灯等で行われる。これにより、列車の位置が目標停止位置であるかどうかを列車の運転士や、駅係員等に簡単に確認させることができる。ここで言う目標停止位置は、駅ホーム面に規定した目標基準位置の前後数十cm(例えば、全体で20〜30cm程度)の許容範囲を有する。駅ホーム面上における列車の後端(または前端)の位置が、その列車の位置である。
【0024】
列車位置判定装置1は、駅ホームに進入してきた列車の種別を判定するとともに、ここで判定した種別に応じて列車の位置を算出(検出)する。そして、列車位置判定装置1は、駅ホームに進入してきた列車の位置が目標停止位置(許容範囲内)であるかどうかを判定し、その判定結果を出力する。この列車位置判定装置1が、この発明の実施形態にかかる移動体管理装置に相当する。また、列車位置判定装置1は、この発明の実施形態にかかる移動体管理方法を実行する装置に相当する。また、列車位置判定装置1は、この発明の実施形態にかかる移動体管理プログラムを実行するコンピュータを有する。
【0025】
列車位置判定装置1には、TOFカメラ2が撮像した距離画像、ビデオカメラ3が撮像した可視画像、超音波センサ4の検出出力が入力される。列車位置判定装置1の詳細については、後述する。
【0026】
TOFカメラ2は、駅ホームの上方に取り付けている。また、TOFカメラ2は、目標停止位置付近に位置する列車の背面を撮像するアングルで取り付けている。TOFカメラ2は、公知のように、撮像エリアに赤外光を照射する光源、およびn×m個の受光素子をマトリクス状に配置した撮像素子(n×m画素の撮像素子)を有する。TOFカメラ2は、撮像エリアの距離画像、および受光強度画像を同じタイミングで撮像する。TOFカメラ2は、赤外光を撮像エリアに照射してから、反射光を受光するまでの時間(飛行時間)を画素毎に計測することによって、この撮像エリアの距離画像を撮像する。また、TOFカメラ2は、各画素の受光光量によって、撮像エリアの受光強度画像を撮像する。TOFカメラ2は、撮像エリアを撮像した距離画像(以下、距離フレーム画像と言う。)を列車位置判定装置1に入力する。このTOFカメラ2のフレームレートは、例えば、10フレーム/秒である。
【0027】
なお、この例では、TOFカメラ2は、撮像した撮像エリアの受光強度画像を列車位置判定装置1に入力しないものとして説明するが、撮像エリアの受光強度画像を入力してTOFカメラ2で撮像した受光強度画像、および距離画像の各画素について、その画素がノイズの影響を受けたノイズ画素であるかどうかを判定するようにしてもよい。例えば、受光強度が予め定めた閾値未満であれば、その画素をノイズ画素として判定する。列車の表面は金属であるので、この閾値をある程度高く設定することができる。このようにすれば、後述の処理において、ノイズ画素にかかる処理負荷を低減することができ、また、処理結果の信頼性の向上が図れる。
【0028】
ビデオカメラ3も、上述したTOFカメラ2と同様に、駅ホームの上方に取り付けている。また、ビデオカメラ3は、目標停止位置付近に位置する列車の背面を撮像するアングルで取り付けてもよいし、駅ホームに位置する列車の側面を撮像するアングルで取り付けてもよい。ビデオカメラ3のフレームレートは、例えば、30フレーム/秒である。ビデオカメラ3は、撮像エリアを撮像した可視画像(以下、可視フレーム画像と言う。)を列車位置判定装置1に入力する。
【0029】
TOFカメラ2のアングルと、ビデオカメラ3のアングルとは、同じではない。
【0030】
超音波センサ4は、線路の枕木等に取り付けており、検知エリア内に位置する列車の有無を検知する。超音波センサ4は、列車の有無を示す2値の列車検知信号を列車位置判定装置1に入力する。
【0031】
図2は、列車位置判定装置の主要部の構成を示すブロック図である。列車位置判定装置1は、距離画像入力部11と、距離画像処理部12と、可視画像入力部13と、可視画像処理部14と、検知信号入力部15と、演算部16と、出力部17と、を備える。
【0032】
距離画像入力部11には、接続されているTOFカメラ2が撮像した距離フレーム画像が入力される。距離画像処理部12は、距離画像入力部11入力された距離フレーム画像を処理する。距離画像処理部12は、距離画像入力部11に入力された距離フレーム画像の3軸(x軸、y軸、およびz軸)を、列車の走行方向に応じて定めた3軸(X軸、Y軸、およびZ軸)の距離フレーム画像に変換する座標変換処理を行う。距離フレーム画像の3軸である、x軸は撮像素子の幅方向であり、y軸は撮像素子の高さ方向であり、z軸は撮像素子の撮像面に直交する方向である。また、列車の走行方向に応じて定めた3軸である、X軸は列車の幅方向であり、Y軸は列車の高さ方向であり、Z軸は列車の走行方向である。x軸とX軸とのなす角度α、y軸とY軸とのなす角度β、およびz軸とZ軸とのなす角度γは、TOFカメラ2の設置時に計測している。距離画像処理部12は、入力された距離フレーム画像について、x軸回りに角度α回転させ、y軸回りに角度β回転させ、さらに、z軸回りに角度γ回転させる座標変換を行うことによって、列車の走行方向に応じて定めた3軸(X軸、Y軸、およびZ軸)の距離フレーム画像を得る。距離フレーム画像の基準位置は、TOFカメラ2の撮像レンズの中心である。
【0033】
距離画像処理部12は、上述の座標変換処理を行った距離フレーム画像(列車の走行方向に応じて定めた3軸の距離フレーム画像)を用いて、予め設定している第1の空間における列車までの代表距離A、予め設定している第2の空間における列車までの代表距離B、および予め設定している第3の空間における列車までの代表距離Cを検出する。
【0034】
図3は、第1の空間、第2の空間および第3の空間を説明する図である。
図3(A)は、列車の背面図であり、
図3(B)、(C)、(D)は、列車の背面付近の側面図である。
図3(B)、(C)、(D)では、種別の異なる列車を示している。第1の空間は、
図3に示すように、列車の上端部が位置する空間を含むように設定している。第2の空間は、第1の空間の下側に設定している。また、第3の空間は、第2の空間の下側に設定している。このように、第1の空間、第2の空間、および第3の空間は、列車の高さ方向に並んでいる。また、第1の空間、第2の空間、および第3の空間は、他の空間と重なっていない。
【0035】
第1の空間、第2の空間、および第3の空間は、駅ホームに設置されているホームドア等の構造物が障害になることなく、目標停止位置付近に位置する列車の背面がTOFカメラ2で撮像できる空間である。一方、
図3に示す、第4の空間は、駅ホームに設置されているホームドア等の構造物が障害になって、目標停止位置付近に位置する列車の背面がTOFカメラ2で撮像できない空間であってもよい。
【0036】
駅ホームにおける列車の位置は、
図3(B)〜(D)に示すように、駅ホーム面上における列車の後端(または前端)の位置である。駅ホーム面上における列車の後端(または前端)は、第4の空間に属する。また、
図3(B)〜(D)に示すように、列車の種別によって、背面の形状が異なるため、駅ホームにおける列車の位置が同じであっても、第1の空間における列車までの距離(代表距離A)、第2の空間における列車までの距離(代表距離B)、および第3の空間における列車までの距離(代表距離C)が列車の種別によって異なる。
【0037】
代表距離A、代表距離B、および代表距離Cを検出する処理の詳細については後述する。
【0038】
可視画像入力部13には、接続されているビデオカメラ3が撮像した可視フレーム画像が入力される。可視画像処理部14は、可視画像入力部13に入力された時間的に連続する2つの可視フレーム画像の差分画像(所謂、フレーム間差分画像)を生成し、列車が停止しているかどうかを判定する。
【0039】
検知信号入力部15には、接続されている超音波センサ4から列車の有無を示す列車検知信号が入力される。
【0040】
演算部16は、距離画像処理部12から入力された代表距離A、代表距離B、代表距離Cを用いて、駅ホームに進入している列車(入力された距離画像に撮像されている列車)の種別を判定する。また、演算部16は、ここで判定した列車の種別に応じて、駅ホームにおける列車の位置が目標停止位置であるかどうかを判定する。
【0041】
演算部16は、メモリ(不図示)を有し、このメモリに
図4に示す列車種別テーブルを記憶している。このメモリが、この発明で言う基準距離記憶部に相当する。
図4に示すように、列車種別テーブルには、列車の種別毎に、上述した第1の空間、第2の空間、および第3の空間のそれぞれについて、基準距離(AA_TP1等)を記憶している。この基準距離は、列車の種別毎に、TOFカメラ2で列車の背面を撮像した距離画像を処理して検出した各空間の代表距離である。この基準距離を得た距離画像は、上述した第1の空間、第2の空間、および第3の空間のそれぞれにおいて、列車の背面が撮像されていればよく(各空間の代表距離(基準距離)が検出できればよく)、TOFカメラ2と列車との距離を定めていない。また、基準距離を検出した距離画像におけるTOFカメラ2と列車との距離は、列車の種別毎に異なっていてもよい。また、列車種別テーブルには、列車の種別毎に、補正値(Q1等)が登録されている。この補正値は、検出した代表距離A、代表距離B、または代表距離Cのいずれかから(この例では代表距離Aから)、駅ホームにおける列車の位置を算出するのに用いる値である。
【0042】
距離画像処理部12、および演算部16が、この発明の実施例にかかる移動体管理プログラムを実行するコンピュータに相当する。
【0043】
出力部17は、演算部16が判定した判定結果に応じて、駅ホームにおける列車の位置が目標停止位置であるかどうかを出力する。出力部17から出力された判定結果は、列車の運転士や駅係員等から見えやすい位置に設置した表示灯の点灯制御等に使用される。したがって、列車の運転士や駅係員等は、この表示灯の点灯/消灯を確認することにより、駅ホームにおける列車の位置が目標停止位置であるかどうかの確認が行える。
【0044】
また、演算部16は、駅ホームに設置されているホームドアの開閉を許可するかどうかを判定する機能を有している。出力部17は、ホームドアの開閉の許可/禁止を示す開閉許可信号を、ホームドアの開閉を制御する装置(不図示)に対して出力する。さらに、演算部16は、列車位置判定装置1本体各部の動作を制御する。さらに、列車位置判定装置1は、TOFカメラ2やビデオカメラ3に対して、撮像の開始や、撮像の停止を指示する機能も有している。
【0045】
以下、この例にかかる列車位置判定装置1の動作について説明する。
図5は、列車位置判定装置の動作を示すフローチャートである。
【0046】
列車位置判定装置1は、駅ホームへの列車の進入を待つ(s1)。この時点では、列車位置判定装置1は、TOFカメラ2、およびビデオカメラ3に対して撮像の停止を指示している。列車位置判定装置1は、検知信号入力部15に入力されている超音波センサ4の列車検知信号により、駅ホームへの列車の進入を判定する。具体的には、列車位置判定装置1は、検知信号入力部15に入力されている超音波センサ4の列車検知信号が、列車無しを示す信号から、列車有りを示す信号に切り替わると、駅ホームに列車が進入したと判定する。
【0047】
列車位置判定装置1は、s1で駅ホームに列車が進入したと判定すると、TOFカメラ2、およびビデオカメラ3に対して撮像の開始を指示する(s2)。これにより、TOFカメラ2は距離画像の撮像を開始するとともに、ビデオカメラ3は可視画像の撮像を開始する。TOFカメラ2は、撮像した距離フレーム画像を順次距離画像入力部11に入力する。また、ビデオカメラ3は、撮像した可視フレーム画像を順次可視画像入力部13に入力する。TOFカメラ2のフレームレートと、ビデオカメラ3のフレームレートとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0048】
列車位置判定装置1は、列車の位置が目標停止位置であるかどうかを判定する列車位置判定処理を開始する(s3)。また、列車位置判定装置1は、列車が停止したかどうかを判定する停止判定処理を開始する(s4)。s3で開始する列車位置判定処理、およびs4で開始する停止判定処理の詳細については後述する。s3、およびs4にかかる処理の順番は、逆であってもよい。
【0049】
列車位置判定装置1は、その時点における列車の位置が目標停止位置であり、且つ列車が停止していれば、ホームドアの開閉を許可する開閉許可信号を出力部17から出力する(s5、s6、s7)。一方、列車位置判定装置1は、その時点における列車の位置が目標停止位置でない場合、または、列車が停止していない場合、ホームドアの開閉を禁止する開閉許可信号を出力部17から出力する(s5、s6、s8)。
【0050】
列車位置判定装置1は、駅ホームから列車が発車したと判定するまで(s9)、上述のs5〜s8にかかる処理を繰り返す。列車位置判定装置1は、検知信号入力部15に入力されている超音波センサ4の列車検知信号により、駅ホームからの列車の発車を判定する。具体的には、列車位置判定装置1は、検知信号入力部15に入力されている超音波センサ4の列車検知信号が、列車有りを示す信号から、列車無しを示す信号に切り替わると、駅ホームから列車が発車したと判定する。
【0051】
列車位置判定装置1は、s9で駅ホームから列車が発車したと判定すると、本システムを初期状態に設定し(s10)、本処理を終了し、s1に戻る。s10では、TOFカメラ2、およびビデオカメラ3に撮像の停止を指示する。また、s3で開始した列車位置判定処理、およびs4で開始した停止判定処理を停止する。
【0052】
次に、s3で開始する列車位置判定処理について説明する。
図6は、列車位置判定処理を示すフローチャートである。この列車位置判定処理は、距離画像入力部11に入力された距離フレーム画像を用いる処理である。
【0053】
距離画像処理部12は、処理対象の距離フレーム画像を取り込む(s21)。距離画像処理部12は、距離画像入力部11に入力された距離フレーム画像の中で、時間的に最新であって、且つ未処理の距離フレーム画像を処理対象の距離フレーム画像として取り込む。
【0054】
距離画像処理部12は、処理対象の距離フレーム画像を、列車の走行方向に応じて定めた3軸(X軸、Y軸、およびZ軸)の距離フレーム画像に変換する座標変換処理を行う(s22)。
【0055】
距離画像処理部12は、座標変換処理を行った距離フレーム画像から、
図3に示した第1の空間における代表距離Aを検出する(s23)。
【0056】
s23では、座標変換処理を行った距離フレーム画像において、第1の空間に位置し、且つ後述する処理でノイズ画素と判断されていない画素の中で、Z軸方向の最少距離を代表距離Aとして仮検出する。距離画像処理部12は、仮検出した代表距離Aの画素の周囲に位置する所定数の画素(例えば、10画素程度)についてZ軸方向の距離の平均値を算出する。この平均値の算出においても、すでにノイズ画素と判断されている画素の距離を用いない。そして、距離画像処理部12は、ここで算出した平均値と、仮検出した代表距離Aと、の差の絶対値が予め定めた範囲内(例えば、10〜20mm程度)でなければ、今回仮検出した代表距離Aにかかる画素をノイズ画素と判断し、再度、上述した代表距離Aの仮検出を行う。一方、距離画像処理部12は、ここで算出した平均値と、仮検出した代表距離Aと、の差の絶対値が予め定めた範囲内であれば、仮検出した代表距離Aを、今回の処理における代表距離Aに確定する。
【0057】
これにより、空間に飛来している塵、埃や雨滴等で反射された反射光を受光した画素で計測した距離を代表距離Aとして誤って検出するのを防止できる。
【0058】
なお、上記の例では、仮検出した代表距離Aにかかる画素の周囲に位置する所定数の画素におけるZ軸方向の距離の平均値を用いて、この仮検出した代表距離Aの画素がノイズ画素であるかどうかを判定するとしたが、仮検出した代表距離Aの画素の周囲に位置する所定数の画素におけるZ軸方向の距離の2乗平均値や中間値等を用いて、この仮検出した代表距離Aの画素がノイズ画素であるかどうかを判定してもよい。
【0059】
距離画像処理部12は、座標変換処理を行った距離フレーム画像から、
図3に示した第2の空間に位置する画素を全て抽出し、代表距離Bを検出する(s24)。また、距離画像処理部12は、座標変換処理を行った距離フレーム画像から、
図3に示した第3の空間に位置する画素を全て抽出し、代表距離Cを検出する(s25)。
【0060】
s24、およびs25にかかる処理は、対象とする空間が第1の空間ではなく、第2の空間、または第3の空間である点で異なるだけで、上述のs23と実質的に同じである。
【0061】
なお、列車位置判定装置1に対して、TOFカメラ2で撮像した受光強度画像も入力する構成であれば、上述のs23にかかる処理の前に、受光強度が予め定めた閾値未満である画素をノイズ画素として判定するステップを追加することによって、上述のs23、s24、およびs25にかかる処理負荷を低減できるとともに、処理結果の信頼性の向上が図れる。
【0062】
距離画像処理部12は、s23で検出した代表距離A、s24で検出した代表距離B、およびs25で検出した代表距離Cを演算部16に入力する。
【0063】
演算部16は、距離画像処理部12から入力された代表距離A、代表距離B、および代表距離Cを用いて、列車の種別の判定に用いる判定値を算出する(s26)。s26では、列車の種別毎に判定値を算出する。また、この例では、第1の空間と第2の空間との組み合わせにかかる第1の判定値と、第2の空間と第3の空間との組み合わせにかかる第2の判定値を算出する。すなわち、この例では、第1の空間と、第3の空間との組み合わせにかかる判定値については算出しない。
【0064】
第1の空間と第2の空間との組み合わせ、および第2の空間と第3の空間との組み合わせが、この発明で言う予め設定した空間の組み合わせである。また、判定値を算出する空間の組み合わせは、複数であればよく、3つ以上であってもよい。
【0065】
s26で算出する判定値は、組み合わせにかかる空間において検出した代表距離の差分である距離差と、算出する種別の列車における該当する組み合わせにかかる空間の基準距離(
図4に示した列車種別テーブルに登録されている基準距離)の差分である距離差と、のさらなる差分である。
【0066】
具体的には、組み合わせにかかる空間が第1の空間と、第2の空間とである場合、
列車種別AAの判定値=(代表距離A−代表距離B)−(AA_TP1−AA_TP2)
列車種別BBの判定値=(代表距離A−代表距離B)−(BB_TP1−BB_TP2)
列車種別CCの判定値=(代表距離A−代表距離B)−(CC_TP1−CC_TP2)
である。また、組み合わせにかかる空間が第2の空間と、第3の空間とである場合、
列車種別AAの判定値=(代表距離B−代表距離C)−(AA_TP2−AA_TP3)
列車種別BBの判定値=(代表距離B−代表距離C)−(BB_TP2−BB_TP3)
列車種別CCの判定値=(代表距離B−代表距離C)−(CC_TP2−CC_TP3)
である。
【0067】
上式における、AA_TP1、AA_TP2、AA_TP3、BB_TP1、BB_TP2、BB_TP3、CC_TP1、CC_TP2、およびCC_TP3は、
図4に示した列車種別テーブルに登録されている。
【0068】
なお、この例では、判定値を算出しないが、組み合わせにかかる空間が第1の空間と、第3の空間とである場合、
列車種別AAの判定値=(代表距離A−代表距離C)−(AA_TP1−AA_TP3)
列車種別BBの判定値=(代表距離A−代表距離C)−(BB_TP1−BB_TP3)
列車種別CCの判定値=(代表距離A−代表距離C)−(CC_TP1−CC_TP3)
である。
【0069】
このs26にかかる処理が、この発明で言う判定値算出部にかかる構成である。
【0070】
演算部16は、s26で算出した判定値を用いて、今回処理した距離フレーム画像に撮像されている列車の種別を判定する列車種別判定処理を行う(s27)。
【0071】
上記の例は、列車種別がAA、BB、CCの3つについて判定値を算出する場合の説明である。判定値は、上述したように、判定すべき列車の種別毎に算出する。また、列車の種別毎に、複数の判定値が算出される(予め定めた空間の組み合わせ毎に、判定値が算出される。)。
【0072】
図7は、列車種別判定処理を示すフローチャートである。この列車種別判定処理では、判定する列車の種別毎に、今回処理した距離フレーム画像に撮像されている列車が、その種別の列車である可能性があるかどうかを判定し、ここで可能性があると判定した種別の中から、今回処理した距離フレーム画像に撮像されている列車の種別を最終的に判定する。
【0073】
演算部16は、対象種別の列車にかかる判定値(s26で算出した判定値)のそれぞれが適正であるかどうかを判定する(s41)。このs41にかかる判定は、その判定値が予め定めた下限値よりも大きく、且つ上限値よりも小さい値であれば適正であると判定し、その他の場合に不適正であると判定する。また、s41では、判定値が上限値、または下限値であっても適正であると判定するようにしてもよい。下限値と上限値とは、その絶対値が同じ値(例えば、下限値が−10mm、上限値が10mm)であってもよいし、その絶対値が異なる値(例えば、下限値が−5mm、上限値が10mm)であってもよい。
【0074】
演算部16は、対象種別の列車についてs26で算出した判定値の全てが適正であれば、今回処理した距離フレーム画像に撮像されている列車が、その種別の列車である可能性があると判定する(s42、s43)。一方、演算部16は、その列車の種別についてs26で算出した判定値の少なくとも1つが不適正であれば、今回処理した距離フレーム画像に撮像されている列車が、その種別の列車である可能性がないと判定する(s42、s44)。
【0075】
演算部16は、判定する全種別の列車について、上述のs41〜s44の処理を繰り返す(s45)。
【0076】
演算部16は、s43で可能性があると判定した列車の種別が1つもなければ、列車種別判定不能と判定する(s46、s48)。例えば、TOFカメラ2が撮像した距離フレーム画像に列車の背面が撮像されていない場合に、列車種別判定不能となる。
【0077】
一方、演算部16は、s43で可能性があると判定した列車の種別があれば、この可能性があると判定した種別毎に、各判定値の二乗の総和を算出し、ここで算出した各判定値の二乗の総和が最小である列車の種別を、今回処理した距離フレーム画像に撮像されている列車の種別と判定する(s46、s47)。
【0078】
このs47にかかる処理を設けたことで、背面形状(または前面形状)が似ている種別の列車があっても、列車種別の判定精度を十分に確保できる。また、s47では、各判定値の二乗の総和ではなく、各判定値の絶対値の総和を用いてもよい。
【0079】
図6に戻って、演算部16は、s27で列車種別が判定できると、列車位置を推定する(s28、s29)。演算部16は、s27で列車種別が判定できなければ、s21に戻る。s29では、代表距離Aから、s29で判定した列車種別に対応付けられている補正値を加えた距離(代表距離A+補正値)を、駅ホームにおける列車位置と推定する。s29で推定する列車位置は、TOFカメラ2の設置位置が基準である。
【0080】
演算部16は、s29で推定した駅ホームにおける列車位置が、駅ホームに予め規定した目標停止位置であるかどうかを判定する(s30)。演算部16は、TOFカメラ2の設置位置から、目標停止位置までの距離を記憶している。演算部16は、s29で推定した列車位置と、記憶している目標停止位置と、を対比することにより、s30にかかる判定を行う。
【0081】
出力部17は、演算部16がs30で判定した判定結果を出力する(s31)。この出力部17から出力された判定結果は、列車の運転士や駅係員等から見えやすい位置に設置した表示灯の点灯制御等に使用される。したがって、列車の運転士や駅係員等は、この表示灯の点灯/消灯を確認することにより、駅ホームにおける列車の位置が目標停止位置であるかどうかの確認が行える。また、上記の説明から明らかなように、列車位置判定装置1が、この
図6に示す列車位置判定処理を列車が停止していないときも繰り返し実行しているので、列車を停止させる位置を列車の運転士に認識させることができる。すなわち、列車の運転士に対して、列車を停止させる位置のナビゲーションが行える。
【0082】
次に、s4で開始する停止判定処理について説明する。
図8は、停止判定処理を示すフローチャートである。この停止判定処理は、可視画像入力部13に入力された可視フレーム画像を用いる処理である。
【0083】
可視画像処理部14は、可視画像入力部13に入力された時間的に連続する一対の可視フレーム画像の差分画像(所謂、フレーム間差分画像)を生成する(s51)。フレーム間差分画像は、公知のように、一対の可視フレーム画像間の変化をあらわす画像である。
【0084】
可視画像処理部14は、変化の度合が予め定めた閾値よりも小さいフレーム間差分画像が所定フレーム数(例えば5フレーム)連続したかどうかを判定する(s52)。可視画像処理部14は、s52で所定フレーム数連続したと判定すると、列車が停止したと判定する(s53)。一方、可視画像処理部14は、s52で所定フレーム数連続していないと判定すると、列車が停止していないと判定する(s54)。
【0085】
このように、この例にかかる停止位置判定システムは、列車の種別を判定することができる。また、ここで判定した列車の種別に応じて列車の位置を検出するので、列車の位置の検出が精度よく行える。
【0086】
また、上述したように、TOFカメラ2を駅ホームの上方に取り付けるので、TOFカメラ2の撮像レンズに塵や埃等が付着するのを抑えられる。また、列車の運行状況に関係なく、TOFカメラ2の撮像レンズに付着した塵や埃等を拭き取るメンテナンス(清掃作業)が行える。
【0087】
また、列車が目標停止位置に停止していないときには、ホームドアの開閉を禁止するので、乗降客の安全を一層高めることができる。
【0088】
また、上記の例におけるTOFカメラ2は、距離画像が得られる他の機器に置きかえてもよい。例えば、特許文献1のように、レーザ光を走査して、その反射光を検出することにより、レーザ光を走査した領域の距離画像を得る測距センサや、視差を有する2つの撮像部を備えるステレオカメラ等で置き換えてもよい。
【0089】
また、駅ホームへの列車の進入判定は、TOFカメラ2が撮像している受光強度画像や、距離画像におけるフレーム間の変化から検出するように構成してもよいし、ビデオカメラ3が撮像している可視光画像におけるフレーム間の変化から検出するように構成してもよい。このようにすれば、超音波センサ4を不要にできる。ただし、この場合には、駅ホームへの列車の進入判定に用いる画像を撮像するTOFカメラ2、またはビデオカメラ3については、撮像を常時行い、撮像した画像を処理する構成にする。
【0090】
また、
図8に示した停止判定処理については、TOFカメラ2が撮像した時間的に連続する一対の距離フレーム画像の差分画像(所謂、フレーム間差分画像)を生成し、行うようにしてもよい。この場合には、ビデオカメラ3を不要にできる。
【0091】
また、上記の例では、代表距離を検出する空間を3つとした場合を例にしたが、4つ以上であってもよい。また、上記の例では、判定値を算出する空間の組み合わせを2つにしたが、判定値を算出する空間の組み合わせを3つ以上にしてもよい。また、代表距離を検出する空間を多くし、判定値を算出する空間の組み合わせの総数を多くすることによって、列車種別の判定精度の向上が図れる。
【0092】
また、TOFカメラ2は、上述したように、列車の背面ではなく、前面を撮像するアングルで取り付けていてもよい。また、列車種別テーブに登録している補正値は、代表距離Bに対する値であってもよいし、代表距離Cに対する値であってもよい。