特許第6090714号(P6090714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6090714
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
   F03B 7/00 20060101AFI20170227BHJP
   F03B 11/02 20060101ALI20170227BHJP
   F03B 11/00 20060101ALI20170227BHJP
   F03B 17/06 20060101ALI20170227BHJP
   E02B 8/00 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   F03B7/00
   F03B11/02
   F03B11/00 A
   F03B17/06
   E02B8/00
【請求項の数】7
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2013-26861(P2013-26861)
(22)【出願日】2013年2月14日
(65)【公開番号】特開2014-156796(P2014-156796A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】304027556
【氏名又は名称】速水 浩平
(73)【特許権者】
【識別番号】507419172
【氏名又は名称】株式会社音力発電
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】速水 浩平
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−074921(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/157131(WO,A1)
【文献】 実開昭54−147347(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 7/00
E02B 8/00
F03B 11/00
F03B 11/02
F03B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流水のエネルギーを発電手段を介して電気に変換する発電システムであって、
水平方向に略沿って相互に間隔を隔てて並設された一対の水路壁と、
前記一対の水路壁の相互間において、少なくとも一部が水面よりも下方に設けられた回転手段であって、前記流水のエネルギーによって当該回転手段が回転することにより、当該流水のエネルギーを前記発電手段に伝達するための回転手段と、
前記回転手段にて伝達された前記流水のエネルギーによって駆動されることにより発電を行う前記発電手段と、を備え、
前記一対の水路壁の各々における上流側の端部間の距離を維持しながら、前記一対の水路壁の相互間の幅、又は前記一対の水路壁の少なくとも一方と前記回転手段との距離が変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成した、
発電システム。
【請求項2】
前記一対の水路壁の相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、前記流水によって押圧されることにより当該相互間の幅が変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成した、
請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記一対の水路壁の相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、ユーザによって所定操作が行われることにより、前記一対の水路壁の相互間の幅、又は前記一対の水路壁の少なくとも一方と前記回転手段との距離が変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成した、
請求項1又は2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記一対の水路壁の少なくとも一方における隣接する水路壁側の側部の一部を、当該隣接する水路壁に向けて突出する略凸状に形成し、
前記一対の水路壁の少なくとも一方が前記流水によって押圧されることにより、又はユーザによって所定操作が行われることにより、前記一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の位置が、前記隣接する水路壁側又は前記隣接する水路壁側とは反対側に向けて変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成した、
請求項2又は3に記載の発電システム。
【請求項5】
前記一対の水路壁の少なくとも一方における隣接する水路壁側の側部の一部を、当該隣接する水路壁に向けて突出する略凸状に形成し、
ユーザによって所定操作が行われることにより、前記一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の位置が上流側又は下流側に向けて変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成した、
請求項2から4のいずれか一項に記載の発電システム。
【請求項6】
前記一対の水路壁の少なくとも一方における隣接する水路壁側の側部の一部を、当該隣接する水路壁に向けて突出する略凸状に形成し、
ユーザによって所定操作が行われることにより、前記一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の向きが鉛直方向に対して変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成した、
請求項2から5のいずれか一項に記載の発電システム。
【請求項7】
前記一対の水路壁のうち少なくとも一方は、
水路壁本体と、
前記水路壁本体の外形を構成するための複数のフレーム部材と、
前記流水によって押圧されることにより、又はユーザによって所定操作が行われることにより、前記フレーム部材同士の接続位置又は角度を調整するための位置角度調整手段と、を備えた、
請求項2から6のいずれか一項に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流水のエネルギーを利用して発電を行う発電装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。例えば、このような発電装置は、流水を通過させるための管と、管の内部に設けられた水車と、水車と連結された発電機とを備えている。そして、この発電装置は、管の内部を通過する流水によって水車を回転させることにより流水のエネルギーを発電機に伝達し、当該伝達した流水のエネルギーによって発電機を駆動させることにより発電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−240878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した従来の発電装置においては、管の内部を流れる流水の速度(又は圧力)の変化に伴って水車の回転数が変化していた。このため、例えば、この流水の速度が遅い場合(又は圧力が小さい場合)には水車の回転数が低減するので、発電機に伝達される流水のエネルギーも低減するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、発電機の如き発電手段に伝達される流水のエネルギーを維持することが可能となる、発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の発電システムは、流水のエネルギーを発電手段を介して電気に変換する発電システムであって、水平方向に略沿って相互に間隔を隔てて並設された一対の水路壁と、前記一対の水路壁の相互間において、少なくとも一部が水面よりも下方に設けられた回転手段であって、前記流水のエネルギーによって当該回転手段が回転することにより、当該流水のエネルギーを前記発電手段に伝達するための回転手段と、前記回転手段にて伝達された前記流水のエネルギーによって駆動されることにより発電を行う前記発電手段と、を備え、前記一対の水路壁の各々における上流側の端部間の距離を維持しながら、前記一対の水路壁の相互間の幅、又は前記一対の水路壁の少なくとも一方と前記回転手段との距離が変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成している。
【0007】
また、請求項2に記載の発電システムは、請求項1に記載の発電システムにおいて、前記一対の水路壁の相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、前記流水によって押圧されることにより当該相互間の幅が変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成している。
【0008】
また、請求項3に記載の発電システムは、請求項1又は2に記載の発電システムにおいて、前記一対の水路壁の相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、ユーザによって所定操作が行われることにより、前記一対の水路壁の相互間の幅、又は前記一対の水路壁の少なくとも一方と前記回転手段との距離が変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成している。
【0009】
また、請求項4に記載の発電システムは、請求項2又は3に記載の発電システムにおいて、前記一対の水路壁の少なくとも一方における隣接する水路壁側の側部の一部を、当該隣接する水路壁に向けて突出する略凸状に形成し、前記一対の水路壁の少なくとも一方が前記流水によって押圧されることにより、又はユーザによって所定操作が行われることにより、前記一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の位置が、前記隣接する水路壁側又は前記隣接する水路壁側とは反対側に向けて変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成している。
【0010】
また、請求項5に記載の発電システムは、請求項2から4のいずれか一項に記載の発電システムにおいて、前記一対の水路壁の少なくとも一方における隣接する水路壁側の側部の一部を、当該隣接する水路壁に向けて突出する略凸状に形成し、ユーザによって所定操作が行われることにより、前記一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の位置が上流側又は下流側に向けて変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成している。
【0011】
また、請求項6に記載の発電システムは、請求項2から5のいずれか一項に記載の発電システムにおいて、前記一対の水路壁の少なくとも一方における隣接する水路壁側の側部の一部を、当該隣接する水路壁に向けて突出する略凸状に形成し、ユーザによって所定操作が行われることにより、前記一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の向きが鉛直方向に対して変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成している。
【0012】
また、請求項7に記載の発電システムは、請求項2から6のいずれか一項に記載の発電システムにおいて、前記一対の水路壁のうち少なくとも一方は、水路壁本体と、前記水路壁本体の外形を構成するための複数のフレーム部材と、前記流水によって押圧されることにより、又はユーザによって所定操作が行われることにより、前記フレーム部材同士の接続位置又は角度を調整するための位置角度調整手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発電システムによれば、一対の水路壁の相互間の幅、又は一対の水路壁の少なくとも一方と回転手段との距離が変更可能となるように、一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成したので、当該相互間を流れる流水の速度又は圧力が変化した場合であっても、当該相互間の幅又は一対の水路壁の少なくとも一方と回転手段との距離を変更することにより、この流水の速度又は圧力の変動を抑えることができる。これにより、例えば、回転手段の回転数を一定にすることができ、発電手段に伝達される流水のエネルギーを維持することが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の発電システムによれば、一対の水路壁の相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、流水によって押圧されることにより当該相互間の幅が変更可能となるように、一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成したので、当該相互間の幅を自動で変更することができ、ユーザが当該相互間の幅を変更する手間を省くことができる。
【0015】
請求項3に記載の発電システムによれば、一対の水路壁の相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、ユーザによって所定操作が行われることにより、一対の水路壁の相互間の幅、又は一対の水路壁の少なくとも一方と回転手段との距離が変更可能となるように、一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成したので、当該相互間の幅又は一対の水路壁の少なくとも一方と回転手段との距離を手動で変更することができ、状況に応じて流水の速度又は圧力を調整することができる。
【0016】
請求項4に記載の発電システムによれば、一対の水路壁の少なくとも一方が流水によって押圧されることにより、又はユーザによって所定操作が行われることにより、一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の位置が、隣接する水路壁側又は隣接する水路壁側とは反対側に向けて変更可能となるように、一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成したので、当該頂部線の位置を自動又は手動で変更することにより、一対の水路壁の相互間の幅を効果的に変更することができる。
【0017】
請求項5に記載の発電システムによれば、ユーザによって所定操作が行われることにより、一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の位置が上流側又は下流側に向けて変更可能となるように、一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成したので、当該頂部線の位置を手動で変更することにより、一対の水路壁の少なくとも一方と回転手段との距離を効果的に変更することができる。
【0018】
請求項6に記載の発電システムによれば、ユーザによって所定操作が行われることにより、一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の向きが鉛直方向に対して変更可能となるように、一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成したので、当該頂部線の向きを手動で変更することにより、一対の水路壁の少なくとも一方と回転手段との距離を効果的に変更することができる。
【0019】
請求項7に記載の発電システムによれば、一対の水路壁のうち少なくとも一方は、水路壁本体と、水路壁本体の外形を構成するための複数のフレーム部材と、流水によって押圧されることにより、又はユーザによって所定操作が行われることにより、フレーム部材同士の接続位置又は角度を調整するための位置角度調整手段と、を備えたので、簡易な構造にて製造することができ、水路壁の製造性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1に係る発電システムを示す斜視図である。
図2】発電システムを示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図3】発電部を示す側面図である。
図4】浮遊体を示す斜視図であり、(a)は変形前の浮遊体を示す図であり、(b)は変形後の浮遊体を示す図であり、(c)は浮遊体の内部構造を示す図である。
図5】浮遊体の変形状況を示す平面図であり、(a)は流水の速度が通常時の速さである場合(又は流水の圧力が通常時の大きさである場合)を示す図であり、(b)は流水の速度が通常時よりも遅い場合(又は流水の圧力が通常時よりも小さい場合)を示す図であり、(c)は流水の速度が通常時よりも速い場合(又は流水の圧力が通常時よりも大きい場合)を示す図である。
図6】実施の形態2に係る浮遊体を示す斜視図であり、(a)は変形前の浮遊体を示す図であり、(b)は変形後の浮遊体を示す図であり、(c)は浮遊体の内部構造を示す図である。
図7】浮遊体の変形状況を示す平面図であり、(a)は流水の速度が通常時の速さである場合(又は流水の圧力が通常時の大きさである場合)を示す図であり、(b)は流水の速度が通常時よりも遅い場合(又は流水の圧力が通常時よりも小さい場合)を示す図であり、(c)は流水の速度が通常時よりも速い場合(又は流水の圧力が通常時よりも大きい場合)を示す図である。
図8】実施の形態3に係る浮遊体を示す斜視図であり、(a)は変形前の浮遊体を示す図であり、(b)は変形後の浮遊体を示す図であり、(c)は浮遊体の内部構造を示す図である。
図9】浮遊体の変形状況を示す平面図であり、(a)は流水の速度が通常時の速さである場合(又は流水の圧力が通常時の大きさである場合)を示す図であり、(b)は流水の速度が通常時よりも遅い場合(又は流水の圧力が通常時よりも小さい場合)を示す図であり、(c)は流水の速度が通常時よりも速い場合(又は流水の圧力が通常時よりも大きい場合)を示す図である。
図10】実施の形態4に係る浮遊体を示す斜視図であり、(a)は変形前の浮遊体を示す図であり、(b)は変形後の浮遊体を示す図であり、(c)は浮遊体の内部構造を示す図である。
図11】浮遊体の変形状況を示す平面図であり、(a)は流水の速度が通常時の速さである場合(又は流水の圧力が通常時の大きさである場合)を示す図であり、(b)は流水の速度が通常時よりも遅い場合(又は流水の圧力が通常時よりも小さい場合)を示す図であり、(c)は流水の速度が通常時よりも速い場合(又は流水の圧力が通常時よりも大きい場合)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る発電システムの実施の形態を詳細に説明する。ただし、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。なお、各実施の形態に係る発電システムの設置場所は任意であるが、河川、湖、海、水路等に設置することが考えられる。以下では、発電システムが水路に設置された場合を例として説明を行う。
【0022】
〔実施の形態1〕
最初に、実施の形態1について説明する。この形態は、流水によって押圧されることにより一対の水路壁の相互間の幅が変更可能となるように、水路壁を変形可能に形成した形態である。
【0023】
(構成)
まず、実施の形態1に係る発電システムの構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る発電システムを示す斜視図である。図2は、発電システムを示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。図3は、後述する発電部60を示す側面図である。なお、以下の説明では、図1のX方向を発電システムの左右方向、図1のY方向を発電システムの前後方向、図1のZ方向を発電システムの上下方向とする。これら各図に示すように、発電システム1は、浮遊体10a、10bと、接続部20a、20bと、水中翼30a、30bと、係留部材40a、40bと、プロペラ50と、発電部60とを備えて構成されている(なお、浮遊体10a、10bは、相互に区別する必要がない場合には「浮遊体10」と総称する。また、接続部20a、20bは、相互に区別する必要がない場合には「接続部20」と総称する。また、水中翼30a、30bは、相互に区別する必要がない場合には「水中翼30」と総称する。また、係留部材40a、40bは、相互に区別する必要がない場合には「係留部材40」と総称する。)。
【0024】
(構成−浮遊体)
浮遊体10a、10bは、当該浮遊体10a、10bの少なくとも一部を水面上に浮遊させるためのものであり、例えば浮遊する機能を有する部材のみ、及び浮遊する機能を有する部材と浮遊する機能を有しない部材とが組み合わせたもの等を含む概念である。図1図2(a)、(b)に示すように、浮遊体10a、10bは、水平方向に沿って相互に間隔を隔てて並設して配置されている。より具体的には、これら浮遊体10a、10bの並設方向がX方向に略沿うように、これら浮遊体10a、10bが配置されている。
【0025】
ここで、これら浮遊体10a、10bの形状については、例えば、浮遊体10a、10bの相互間の一部において流水の速度を速めることが可能な形状にて形成されている。具体的には、図1図2(a)に示すように、浮遊体10aにおける隣接する浮遊体10b側の側部の一部が当該隣接する浮遊体10bに向けて突出する略凸状となるように(より具体的には、浮遊体10aにおける凸部分の頂部線19が、Z方向に略沿った直線状になるように)、当該浮遊体10aが略三角柱状にて形成されている。また、これと同様に、浮遊体10bにおける隣接する浮遊体10a側の側部の一部(より具体的には、浮遊体10bにおける浮遊体10aの凸部分と対応する部分)が当該隣接する浮遊体10aに向けて突出する略凸状となるように、当該浮遊体10bが略三角柱状にて形成されている。
【0026】
また、これら浮遊体10a、10bの構成については任意であるが、流水に含まれ異物が溜まることを抑制するために、プロペラ50の下方から浮遊体10a、10bの相互間の下方に至る間において、当該相互間の下方が開放状態となる空間部18が形成されてもよい。なお、浮遊体10の詳細については、後述する。また、これら浮遊体10a、10bは、特許請求の範囲における「一対の水路壁」に対応する。
【0027】
(構成−接続部)
接続部20a、20bは、浮遊体10a、10b同士を接続する接続手段である。図1図2(a)、(b)に示すように、接続部20a、20bの各々は、例えば樹脂材料、防錆処理された金属材料等にて形成された略板状体である。また、これら接続部20a、20bの各々は、浮遊体10a、10bの相互間をまたぐように配置されている。より具体的には、これら接続部20a、20bの各々は、浮遊体10a、10bにおける上方側の側面と当接する位置に配置されている。また、この接続部20aは、この接続部20bよりも上流側に配置されている。そして、これら接続部20a、20bの各々は、浮遊体10a、10bに対して固定具等によって接続されている。
【0028】
(構成−水中翼)
水中翼30a、30bは、浮遊体10a、10bの上端から水面に至るまでの高さを所定の高さに保持するためのものである。図1図2(a)に示すように、水中翼30a、30bは、例えば樹脂材料等にて形成された中空体(又は中実体)である。また、浮遊体10の側面上において(図1では、浮遊体10の下流側の端部において)、これら水中翼30a、30bの各々の少なくとも一部が水面よりも下方に位置するように、当該水中翼30a、30bは配置されている。また、これら水中翼30a、30bの各々は、水中翼支持体31と水中翼本体32とを備えている。ここで、水中翼30の形成方法は任意であるが、水中翼支持体31と水中翼本体32とが一体成型されてもよく、あるいは別体に形成されてもよい。
【0029】
水中翼支持体31は、水中翼本体32を支持するものである(図2(a)では、浮遊体10の下流側の端部から点線に至る部分を示す)。この水中翼支持体31は、略棒状体にて形成されており、当該水中翼支持体31の長手方向がY方向に略沿うように配置され、浮遊体10の下流側の端部に対して固定具等にて固定されている。
【0030】
水中翼本体32は、水中翼30の基本構造体であり、流水の抵抗を受けるものである。この水中翼本体32は、略翼状に形成されており(図2(a)では、水中翼30のX方向の長さが下流に行くにしたがって長くなるように形成されている)、水面と略平行となるように配置され、水中翼支持体31に対して接続されている。
【0031】
(構成−係留部材)
係留部材40a、40bは、発電システム1を所定位置に係留するために、支持体41a、41bに発電システム1をつなぎとめるための係留手段である。図1に示すように、係留部材40a、40bは、例えば天然繊維材料若しくは化学繊維材料にて形成されたロープ、防錆処理されたワイヤ、又はこれら材料を組み合わせたもの等にて形成された略棒状体に形成されている。
【0032】
また、この係留部材40aの固定については、係留部材40aの端部の一方が左側の護岸に設けられた支持体41aに固定され、係留部材40aの端部の他方が浮遊体10aに固定されている。また、この係留部材40bの固定については、係留部材40bの端部の一方が右側の護岸に設けられた支持体41bに固定され、係留部材40bの端部の他方が浮遊体10bに固定されている。
【0033】
(構成−プロペラ)
プロペラ50は、流水のエネルギーによって当該プロペラ50が回転することにより、当該流水のエネルギーを発電部60に伝達するための回転手段である。図1図2(a)、(b)に示すように、プロペラ50は、浮遊体10a、10bの相互間において、当該プロペラ50の少なくとも一部が水面よりも下方に位置し、且つプロペラ50のシャフト51がY方向に略沿うように配置されている。
【0034】
(構成−発電部)
発電部60は、プロペラ50のシャフト51を介してプロペラ50にて伝達された流水のエネルギーによって駆動されることにより発電を行う発電手段である。図1図2(a)、(b)、図3に示すように、発電部60は、水面よりも上方位置に配置されている。また、この発電部60は、図1に示す筐体61の内部において、発電機65と、発電基板(図示省略)とを備えている。
【0035】
(構成−発電部−筐体)
筐体61は、発電機65と、発電基板とを外部から保護する保護手段である。図1図2(a)、(b)、図3に示すように、筐体61は、例えば樹脂材料等にて形成された略中空の円柱状体である。また、この筐体61は、一側面(例えば、上側面等)を開放した略中空の円柱状のベース部61aであって、発電機65と、発電基板とを収容するベース部61aと、このベース部61aをその開放面側から略覆うカバー部61bとを備えて構成されており、カバー部61bはベース部61aに対して嵌合構造や固定具等にて固定されている。
【0036】
また、この筐体61には、固定バー62と、支持部63と、連通口64とが設けられている。
【0037】
固定バー62は、筐体61を浮遊体10に固定するための固定手段である。この固定バー62は、筐体61と浮遊体10との相互間に配置されており、筐体61及び浮遊体10に対して固定具等にて固定されている。
【0038】
支持部63は、プロペラ50のシャフト51を支持すると共に、後述する発電部60のシャフト66を収容する支持手段である。この支持部63は、略長尺状の管状に形成されている。また、この支持部63の長手方向がZ方向に略沿うように、この支持部63が配置されている。また、この支持部63の上端部が筐体61と当接するように、この支持部63が筐体61に対して固定具等によって固定されている。また、この支持部63には、開口63aが設けられている。開口63aは、プロペラ50のシャフト51における下流側の端部を支持部63における下端部の内部に収容するための開口である。なお、この支持部63によるプロペラ50のシャフト51の支持方法については、例えば、図3に示すように、このプロペラ50のシャフト51における下流側の端部が開口63aを介して当該支持部63の下端部分の内部に収容されるように、当該プロペラ50を配置する。そして、このプロペラ50のシャフト51を、発電部60の支持部63に対して回転可能な固定具(例えばボールベアリング等)等によって支持する方法等が該当する。
【0039】
連通口64は、筐体61と支持部63とを連通させるための開口である。
【0040】
(構成−発電部−発電機)
発電機65は、プロペラ50によるシャフト51の回転によって駆動されることにより発電を行うものである。この発電機65は、例えば、公知の発電機等を用いて構成されており、筐体61に対して固定具等にて固定されている。
【0041】
また、この発電機65には、シャフト66が設けられている。シャフト66は、プロペラ50のシャフト51から伝達された流水のエネルギーを、発電機65に伝達するためのものである。このシャフト66は、略細長状の棒状体であり、筐体61の連通口64を介して当該支持部63の内部に収容されるように配置されている。また、このシャフト66は、支持部63に対して回転可能な固定具等(例えばボールベアリング等)によって固定されている。
【0042】
ここで、プロペラ50のシャフト51から発電部60のシャフト66への流水のエネルギーを伝達する方法については任意であるが、例えば、プロペラ50のシャフト51における下流側の端部に第1のギア(例えば、かさ歯車等。図示省略)を取り付けると共に、発電部60におけるシャフト66の下端部に第2のギア(例えば、かさ歯車等。図示省略)を取り付け、プロペラ50のシャフト51の回転に伴って発電部60のシャフト66が当該発電部60のシャフト66におけるZ方向の中心軸を中心として回転可能となるように、これら第1のギアと第2のギアとを当接させる方法等が該当する。
【0043】
(構成−発電部−発電基板)
発電基板は、発電部60の各種機能を実現するための電気回路(図示省略)が実装された基板である。この発電基板は、発電機65の近傍位置に配置されており、筐体61に対して固定具等にて固定されている。また、この発電基板には、出力端子(図示省略)も実装されている。ここで、出力端子は、発電機65にて発生した電流を外部機器(図示省略)に出力するためのものであり、外部機器と配線(図示省略)を介して電気的に接続されている。
【0044】
(浮遊体の詳細について)
次に、実施の形態1に係る浮遊体10の構成の詳細については、下記に示す工夫が施されている。図4は、浮遊体10を示す斜視図であり、(a)は変形前の浮遊体10を示す図であり、(b)は変形後の浮遊体10を示す図であり、(c)は浮遊体10の内部構造を示す図である。図2(a)、図4(a)〜(c)に示すように、例えば、浮遊体10a、10bの相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、流水によって押圧されることにより当該相互間の幅が変更可能となるように、当該浮遊体10a、10bは変形可能に形成されることが望ましい。具体的には、浮遊体10a、10bの各々は、浮遊体本体11と、第1のフレーム部材12と、第2のフレーム部材13と、第1のバネ部材14と、第2のバネ部材15とを備えて構成されている。
【0045】
(浮遊体の詳細について−浮遊体本体)
浮遊体本体11は、浮遊体10の基本構造体であり、例えば空気等の気体が密閉された中空体にて形成されている。この浮遊体本体11の形状については、例えば浮遊体10a、10bの一部が水面上に浮遊可能な量の空気等の気体を充填できる形状にて形成されている。また、この浮遊体本体11の材質については、第1のフレーム部材12や第2のフレーム部材13の変位に追従して当該浮遊体本体11が変形可能となるように、伸縮性を有することが好ましく、さらには、衝撃を吸収することが可能となる弾性素材にて形成されることが好ましく、例えばクロロスルフォン化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ゴム材等にて形成されている。なお、この浮遊体本体11は、特許請求の範囲における「水路壁本体」に対応する。
【0046】
(浮遊体の詳細について−第1のフレーム部材)
第1のフレーム部材12は、浮遊体本体11の外形を構成するためのものである。この第1のフレーム部材12は、例えば樹脂材料(具体的には、硬質の樹脂材料)、金属材料にて形成された略棒状体である(なお、第2のフレーム部材13の構成についても同様とする)。また、この第1のフレーム部材12は、浮遊体本体11の内部に収容されており、水平部材12a、12bと、鉛直部材12c、12dとを備えている。
【0047】
水平部材12a、12bは、第1のフレーム部材12の基本構造体の一部である。これら水平部材12a、12bの各々における長手方向がY方向に略沿うように、当該水平部材12a、12bは配置されている。具体的には、これら水平部材12a、12bの並設方向がZ方向に略沿うように、当該水平部材12a、12bは相互に間隔を隔てて並設して配置されている。また、この水平部材12aは、水平部材12bよりも上方に配置されている。
【0048】
また、これら水平部材12a、12bの各々には、第1の貫通孔12e、第2の貫通孔(図示省略)が設けられている。第1の貫通孔12eは、鉛直部材12dがY方向に沿って移動可能となるように、当該鉛直部材12d挿通するための貫通孔である。この第1の貫通孔12eにおけるX方向の径が鉛直部材12dの外径とほぼ同等であり、当該第1の貫通孔12eにおけるY方向の径が鉛直部材12dの外径よりも大きな径となるように、当該第1の貫通孔12eが長孔状に形成されている。また、この第1の貫通孔12eは、水平部材12a、12bの各々における下流側の端部に配置されている。第2の貫通孔は、鉛直部材12cを挿通するための貫通孔である。この第2の貫通孔は、鉛直部材12cの外径とほぼ同等の径となる円孔状に形成されている。また、この第2の貫通孔がZ方向に略直交するように、当該第2の貫通孔は水平部材12a、12bの各々における上流側の端部に配置されている。
【0049】
鉛直部材12c、12dは、第1のフレーム部材12の基本構造体の一部であり、水平部材12a、12b同士を接続するためのものである。これら鉛直部材12c、12dの各々における長手方向がZ方向に略沿うように、当該鉛直部材12c、12dは配置されている。より具体的には、鉛直部材12cの上端部が水平部材12aの第2の貫通孔に挿通され、当該鉛直部材12cの下端部が水平部材12bの第2の貫通孔に挿通されるように、当該鉛直部材12cは配置されている。また、鉛直部材12dの上端部が水平部材12aの第1の貫通孔12eに挿通され、当該鉛直部材12dの下端部が水平部材12bの第1の貫通孔12eに挿通されるように、当該鉛直部材12dは配置されている(すなわち、鉛直部材12cは、鉛直部材12dよりも上流側に配置されている)。
【0050】
また、鉛直部材12c、12dには、脱落防止ナット12fと脱落防止ピン12gとが設けられている。脱落防止ナット12fは、鉛直部材12c(又は鉛直部材12d)が水平部材12a、12bから脱落することを防止するためのものである。脱落防止ナット12fは、鉛直部材12c(又は鉛直部材12d)の上下端部に配置されており、鉛直部材12c(又は鉛直部材12d)に対してネジ構造等によって接続されている(この場合において、これら鉛直部材12c、12dの各々の周縁における脱落防止ピンに対応する部分に対して、ネジ切り加工が施されている)。また、脱落防止ピンは、水平部材12a(又は水平部材12b)のZ方向の移動を拘束するためのものである。この脱落防止ピン12gは、鉛直部材12c(又は鉛直部材12d)の上下端部の近傍位置であって、水平部材12a(又は水平部材12b)よりも中央側の位置において、鉛直部材12c(又は鉛直部材12d)に対して貫通するように配置されている(なお、後述する第2のフレーム部材13の脱落防止ナット13fと脱落防止ピン13gについても同様とする)。
【0051】
(浮遊体の詳細について−第2のフレーム部材)
第2のフレーム部材13は、浮遊体本体11の外形を構成するためのものである。この第2のフレーム部材13は、浮遊体本体11の内部に収容されており、傾斜部材13a、13b、13c、13dと、鉛直部材13eとを備えている。
【0052】
傾斜部材13a、13b、13c、13dは、第2のフレーム部材13の基本構造体の一部である。これら傾斜部材13a、13b、13c、13dは、隣接する浮遊体10に向けて突出するように水平部材12a(又は水平部材12b)に対して傾斜して配置されている。具体的には、傾斜部材13a、13bは傾斜部材13c、13dよりも上流側に配置されていると共に、これら傾斜部材13a、13cは傾斜部材13b、13dよりも上方に配置されている。
【0053】
また、傾斜部材13a、13bの各々には、第3の貫通孔(図示省略)と第4の貫通孔(図示省略)が設けられている。第3の貫通孔は、鉛直部材12cを挿通するための貫通孔である。この第3の貫通孔は、鉛直部材12cの外径とほぼ同等の大きさ径の孔状に形成されている。また、この第3の貫通孔がZ方向に略直交するように、当該第3の貫通孔は傾斜部材13a、13bの各々における鉛直部材12c側の端部に配置されている。第4の貫通孔は、鉛直部材13eを挿通するための貫通孔である。この第4の貫通孔は、鉛直部材13eの外径とほぼ同等の大きさ径の孔状に形成されている。また、この第4の貫通孔がZ方向に略直交するように、当該第4の貫通孔は傾斜部材13a、13bの各々における鉛直部材13e側の端部に配置されている(なお、後述する傾斜部材13c、13dの第4の貫通孔についても同様とする)。
【0054】
ここで、これら傾斜部材13a、13bと鉛直部材12cとの接続方法については、例えば、傾斜部材13a、13bが鉛直部材12cを回転軸として回転可能に接続される方法が該当する。具体的には、傾斜部材13aにおける鉛直部材12c側の端部を水平部材12aと脱落防止ナット12fとの相互間に配置し、傾斜部材13aの第3の貫通孔に鉛直部材12cの上端部を挿通する。また、傾斜部材13bにおける鉛直部材12c側の端部を水平部材12bと脱落防止ナット12fとの相互間に配置し、傾斜部材13bの第3の貫通孔に鉛直部材12cの下端部を挿通する方法等が該当する(なお、傾斜部材13c、13dの各々と鉛直部材12dとの接続方法についても同様とする)。
【0055】
また、傾斜部材13c、13dの各々には、第4の貫通孔(図示省略)と第5の貫通孔(図示省略)が設けられている。第5の貫通孔は、鉛直部材12dを挿通するための貫通孔であり、当該鉛直部材12dの外径とほぼ同等の大きさ径の孔状に形成されている。また、この第5の貫通孔がZ方向に略直交するように、当該第5の貫通孔が傾斜部材13c、13dの各々における鉛直部材12d側の端部に配置されている。
【0056】
鉛直部材13eは、第2のフレーム部材13の基本構造体の一部であり、傾斜部材13a、13b同士を接続すると共に、傾斜部材13c、13d同士を接続するためのものである。この鉛直部材13eは、水平部材12a、12bよりも隣接する浮遊体10側において、当該鉛直部材13eにおける長手方向がZ方向に略沿うように配置されていると共に、プロペラ50よりも上流側に配置されている。
【0057】
また、この鉛直部材13eにおける上下端部には、脱落防止ナット13fと、脱落防止ピン13gとがそれぞれ設けられている。ここで、傾斜部材13a、13b、13c、13dと鉛直部材13eとの接続方法については、例えば、傾斜部材13a、13b、13c、13dが鉛直部材13eを回転軸として回転可能に接続される方法が該当する。具体的には、例えば、傾斜部材13a、13cにおける鉛直部材13e側の端部を脱落防止ナット13fと脱落防止ピン13gとの相互間に配置し、当該傾斜部材13a、13cの各々における第4の貫通孔に鉛直部材13eの上端部を挿通する。また、傾斜部材13b、13dにおける鉛直部材13e側の端部を脱落防止ナット13fと脱落防止ピン13gとの相互間に配置し、当該傾斜部材13b、13dの各々における第4の貫通孔に鉛直部材13eの下端部を挿通する方法等が該当する。
【0058】
(浮遊体の詳細について−第1のバネ部材)
第1のバネ部材14は、第1のフレーム部材12の鉛直部材12dが第1の貫通孔12eにおける上流側の端部に位置するように、第2のフレーム部材13の傾斜部材13aが傾斜している状態では、当該傾斜部材13aを付勢しないが、この鉛直部材12dが第1の貫通孔12eにおける上流側の端部よりも下流側に位置するように、傾斜部材13aが傾斜している状態では、第1のフレーム部材12の水平部材12aと当該傾斜部材13aとの角度が大きくなる方向に向けて付勢するものである。この第1のバネ部材14は、例えば弾性を有するバネ材料(例えばコイルスプリング、板バネ等)にて形成されている(なお、第2のバネ部材15についても同様とする)。また、この第1のバネ部材14は、第1のフレーム部材12における鉛直部材12cの上端部近傍に配置されており、これら水平部材12a及び傾斜部材13aに対して溶接等によって接続されている。
【0059】
(浮遊体の詳細について−第2のバネ部材)
第2のバネ部材15は、第1のフレーム部材12の鉛直部材12dが第1の貫通孔12eにおける上流側の端部に位置するように、第2のフレーム部材13の傾斜部材13bが傾斜している状態では、当該傾斜部材13bを付勢しないが、この鉛直部材12dが第1の貫通孔12eにおける上流側の端部よりも下流側に位置するように、傾斜部材13bが傾斜している状態では、第1のフレーム部材12の水平部材12bと当該傾斜部材13bとの角度が大きくなる方向に向けて付勢するものである。この第2のバネ部材15は、第1のフレーム部材12の鉛直部材12dの下端部近傍に配置されており、これら水平部材12b及び傾斜部材13bに対して溶接等によって接続されている。
【0060】
このような構成により、浮遊体10a、10bが流水によって押圧されることによって、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の位置を隣接する浮遊体10側又は隣接する浮遊体10側とは反対側に向けて変更することが可能となる。
【0061】
なお、浮遊体10a、10bが流水によって押圧されることによって、第1のバネ部材14によって第1のフレーム部材12の水平部材12aと第2のフレーム部材13の傾斜部材13aとの角度が調整されると共に、第2のバネ部材15によって第1のフレーム部材12の水平部材12bと第2のフレーム部材13の傾斜部材13bとの角度が調整される。そしてその後、第1の貫通孔12eによって、第1のフレーム部材12の水平部材12aと第2のフレーム部材13の傾斜部材13cとの接続位置及び第1のフレーム部材12の水平部材12bと第2のフレーム部材13の傾斜部材13dとの接続位置が調整される。これらのことを踏まえると、これら第1の貫通孔12e、第1のバネ部材14、及び第2のバネ部材15は、特許請求の範囲における「位置角度調整手段」に対応すると言える。
【0062】
(発電システムの機能について)
このように構成された発電システム1の機能について説明する。図5は、浮遊体10a、10bの変形状況を示す平面図であり、(a)は流水の速度が通常時の速さである場合(又は流水の圧力が通常時の大きさである場合)を示す図であり、(b)は流水の速度が通常時よりも遅い場合(又は流水の圧力が通常時よりも小さい場合)を示す図であり、(c)は流水の速度が通常時よりも速い場合(又は流水の圧力が通常時よりも大きい場合)を示す図である。
【0063】
図1図2(a)、図5(a)に示すように、浮遊体10a、10bの相互間に上流から流れてきた流水が流入すると、この流水がプロペラ50に衝突することにより、当該流水のエネルギーをプロペラ50のシャフト51及び発電部60のシャフト66を介して発電部60の発電機65に伝達される。これにより、この発電機65に伝達された流水のエネルギーによって当該発電機65が駆動されることにより、発電を行うことが可能となる。なお、この発電システム1によって得られた電流は、例えば、発電部60の発電基板を介して水路周辺に設置されている照明等に供給することが可能になる。
【0064】
また、特に、図5(b)に示すように、流水の速度が通常時よりも遅い場合(又は流水の圧力が通常時よりも小さい場合)には、浮遊体10a、10bは以下のように変形することができる。
【0065】
具体的には、第2のフレーム部材13の傾斜部材13aは、第1のバネ部材14の付勢力によって、第1のフレーム部材12の水平部材12aと当該傾斜部材13aとの角度が大きくなる方向に向けて移動する。また、第2のフレーム部材13の傾斜部材13bは、第2のバネ部材15の付勢力によって、第1のフレーム部材12の水平部材12bと当該傾斜部材13bとの角度が大きくなる方向に向けて移動する。
【0066】
次いで、この傾斜部材13aが移動することにより、第2のフレーム部材13の傾斜部材13cは、この傾斜部材13aと当該傾斜部材13cとの角度が小さくなる方向に向けて移動する。また、この傾斜部材13bが移動することにより、第2のフレーム部材13の傾斜部材13dは、この傾斜部材13bと当該傾斜部材13dとの角度が小さくなる方向に向けて移動する。
【0067】
続いて、これら傾斜部材13c、13dが移動することにより、当該傾斜部材13c、13dと接続された第1のフレーム部材12の鉛直部材12dは上流側に向けて移動する。
【0068】
このような第1のフレーム部材12及び第2のフレーム部材13の移動によって、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の位置は、隣接する浮遊体10に近い位置となる。すなわち、図5(a)の場合に比べて浮遊体10a、10bの相互間の幅が狭くなるように、これら浮遊体10a、10bは変形する。
【0069】
ここで、例えば、流路の形状が矩形状であり、浮遊体10a、10bの相互間を流れる流水の流量と流路の水位とが一定である場合において、浮遊体10a、10bの相互間の幅が狭くなった場合には、流水の速度=流量/流路面積(この場合において、流路面積=流路幅×水深)の関係式より、流水の速度が速くなる(又は流水の圧力が大きくなる)ことが明らかである。このことを踏まえると、上述した浮遊体10a、10bの変形によって、浮遊体10a、10bの相互間を流れる流水の速度(又は圧力)の低減を抑制することができ、プロペラ50の回転数の低減も抑制することができる。
【0070】
なお、流水の速度が通常時の速さに戻った後、浮遊体10(主に、浮遊体10のうち、第1のフレーム部材12の鉛直部材12c、第2のフレーム部材13の傾斜部材13a、13b、及び鉛直部材13eにて囲まれた側面に対応する部分)が流水によって押圧されることによって、浮遊体10の形状は通常時の速さの状態に自動的に復帰する。
【0071】
また、図5(c)に示すように、流水の速度が通常時よりも速い場合(又は流水の圧力が通常時よりも大きい場合)には、浮遊体10a、10bは以下のように変形することができる。
【0072】
具体的には、この傾斜部材13a、浮遊体10が流水によって押圧されることによって、第1のバネ部材14の付勢力に抗して水平部材12aと当該傾斜部材13aとの角度が小さくなる方向に向けて移動する。また、この傾斜部材13b、浮遊体10が流水によって押圧されることによって、第2のバネ部材15の付勢力に抗して水平部材12bと当該傾斜部材13bとの角度が小さくなる方向に向けて移動する。
【0073】
次いで、この傾斜部材13aが移動することにより、傾斜部材13cは、この傾斜部材13aと当該傾斜部材13cとの角度が大きくなる方向に向けて移動する。また、この傾斜部材13bが移動することにより、傾斜部材13dは、この傾斜部材13bと当該傾斜部材13dとの角度が大きくなる方向に向けて移動する。
【0074】
続いて、これら傾斜部材13c、13dが移動することにより、当該傾斜部材13c、13dと接続された第1のフレーム部材12の鉛直部材12dは下流側に向けて移動する。
【0075】
このような第1のフレーム部材12及び第2のフレーム部材13の移動によって、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の位置は、隣接する浮遊体10に遠い位置となる。すなわち、図5(a)の場合に比べて浮遊体10a、10bの相互間の幅が広くなるように、これら浮遊体10a、10bは変形する。
【0076】
ここで、流路の形状が矩形状であり、浮遊体10a、10bの相互間を流れる流水の流量と流路の水位とが一定である場合において、当該相互間の幅が広くなった場合には、上述した流水の速度=流量/流路面積の関係式より、当該相互間を流れる流水の速度が遅くなる(又は流水の圧力が小さくなる)ことが明らかである。このことを踏まえると、上述した浮遊体10a、10bの変形によって、浮遊体10a、10bの相互間を流れる流水の速度(又は圧力)の増加を抑制することができ、プロペラ50の回転数の増加も抑制することができる。
【0077】
なお、流水の速度が通常時の速さに戻った後、第1のバネ部材14及び第2のバネ部材15の付勢力によって、浮遊体10の形状は通常時の速さの状態に自動的に復帰する。
【0078】
以上のことから、浮遊体10a、10bの相互間を流れる流水の速度又は圧力が変化した場合であっても、プロペラ50の回転数を一定にすることができ、発電機65に伝達される流水のエネルギーを維持することが可能となる。
【0079】
(効果)
このように実施の形態1によれば、浮遊体10a、10bの相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、流水によって押圧されることにより当該相互間の幅が変更可能となるように、浮遊体10a、10bを変形可能に形成したので、当該相互間を流れる流水の速度又は圧力が変化した場合であっても、当該相互間の幅を変更することにより、この流水の速度又は圧力の変動を抑えることができる。これにより、例えば、プロペラ50の回転数を一定にすることができ、発電機65に伝達される流水のエネルギーを維持することが可能となる。また、浮遊体10a、10bの相互間の幅を自動で変更することができ、ユーザが当該相互間の幅を変更する手間を省くことができる。
【0080】
また、浮遊体10a、10bが流水によって押圧されることにより、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の位置が、隣接する浮遊体10側又は隣接する浮遊体10側とは反対側に向けて変更可能となるように、浮遊体10a、10bを変形可能に形成したので、当該頂部線19の位置を自動で変更することにより、この流水の速度又は圧力の変動を効果的に抑えることができる。
【0081】
また、浮遊体10a、10bの各々は、浮遊体本体11と、浮遊体本体11の外形を構成するための第1のフレーム部材12及び第2のフレーム部材13と、流水によって押圧されることにより、第1のフレーム部材12と第2のフレーム部材13との接続位置又は角度を調整するための位置角度調整手段と、を備えているので、簡易な構造にて製造することができ、浮遊体10の製造性を向上させることができる。
【0082】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、ユーザによって所定操作が行われることにより、一対の水路壁の相互間の幅が変更可能となるように、水路壁を変形可能に形成した形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0083】
(構成)
まず、実施の形態2に係る発電システムの構成について説明する。図6は、実施の形態2に係る浮遊体10を示す斜視図であり、(a)は変形前の浮遊体10を示す図であり、(b)は変形後の浮遊体10を示す図であり、(c)は浮遊体10の内部構造を示す図である。図6(a)〜(c)に示すように、実施の形態2に係る発電システム101は、実施の形態1に係る発電システム1とほぼ同様に構成されている。ただし、浮遊体10a、10bの構成については、下記に示す工夫が施されている。
【0084】
(構成−浮遊体の構成)
浮遊体10a、10bの構成については、例えば、浮遊体10a、10bの相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、ユーザによって所定操作されることにより当該相互間の幅、又は浮遊体10a、10bとプロペラ50との距離が変更可能となるように、当該浮遊体10a、10bは変形可能に形成される構成が採用されている。具体的には、図6(a)〜(c)に示すように、浮遊体10a、10bの各々は、浮遊体本体11と、第1のフレーム部材12と、第2のフレーム部材13とを備えて構成されている。
【0085】
(構成−浮遊体の構成−浮遊体本体)
浮遊体本体11には、開閉部11aが設けられている。開閉部11aは、浮遊体本体11の内部を開閉自在とするための開閉手段である。この開閉部11aは、公知の開閉機構(例えば、ダイビングスーツ等に用いられる水密性の高いファスナ機構等)を用いて構成されている。
【0086】
ここで、開閉部11aの形状(ここでは、開閉部11aの長さ)については、例えば、浮遊体本体11の内部に収容された第1のフレーム部材12と第2のフレーム部材13との接続位置又は角度を容易に調整する作業をユーザが容易に行うことができる程度の長さに設定されている。
【0087】
また、この開閉部11aの配置については、例えば、流水が当該開閉部11aを介して浮遊体本体11の内部に流入しないように、当該開閉部11aは浮遊体本体11の上側面に配置されている(あるいは、これに限られず、浮遊体本体11の上側面以外の側面に配置されてもよい)。
【0088】
(構成−浮遊体の構成−第1のフレーム部材)
第1のフレーム部材12は、例えば複数の棒状体が組み合わさることによって略矩形リング状に形成されており、Y方向に略沿って配置されている。
【0089】
また、この第1のフレーム部材12には、第6の貫通孔(図示省略)が設けられている。第6の貫通孔は、第1のフレーム部材12と第2のフレーム部材13とを接続するためのボルト16を挿通するための貫通孔である。ここで、この第6の貫通孔の配置については任意であるが、例えば、第2のフレーム部材13がプロペラ50よりも上流側に配置されるように、第6の貫通孔はプロペラ50よりも上流側に配置されている(図6では、第6の貫通孔は、第1のフレーム部材12における矩形リング状の上棒部分の中央部と、当該矩形リング状の下棒部分の中央部とに配置されている)。
【0090】
(構成−浮遊体の構成−第2のフレーム部材)
第2のフレーム部材13は、例えば複数の棒状体が組み合わさることによって略コ字状に形成されている(あるいは、略円弧状の棒状体にて形成されてもよい)。また、この第2のフレーム部材13は、プロペラ50よりも上流側の位置において、第1のフレーム部材12に対して隣接する浮遊体10に向けて突出するように配置されている。より具体的には、この第2のフレーム部材13におけるコ字状の上横棒部分が第1のフレーム部材12における略矩形リング状の上棒部分の中央部と当接し、この第2のフレーム部材13におけるコ字状の下横棒部分が第1のフレーム部材12における略矩形リング状の下棒部分の中央部と当接するように、この第2のフレーム部材13は配置されている。
【0091】
また、この第2のフレーム部材13には、第7の貫通孔(図示省略)が設けられている。第7の貫通孔は、上述したボルト16を挿通するための貫通孔である。この第7の貫通孔は、第2のフレーム部材13におけるコ字状の上横棒部分の先端部と、当該コ字状の下横棒部分の先端部とに配置されている。
【0092】
ここで、第1のフレーム部材12と第2のフレーム部材13との接続方法については、例えば、第1のフレーム部材12と第2のフレーム部材13との角度を調整することが可能な方法が該当する。第1のフレーム部材12における略矩形リング状の上棒部分に設けられた第6の貫通孔及び第2のフレーム部材13におけるコ字状の上横棒部分に設けられた第7の貫通孔にボルト16を挿通し、このボルト16のヘッド部分とナット17とを用いて当該略矩形リング状の上棒部分及び当該コ字状の上横棒部分を締め付ける。また、第1のフレーム部材12における略矩形リング状の下棒部分に設けられた第6の貫通孔及び第2のフレーム部材13におけるコ字状の下横棒部分に設けられた第7の貫通孔にボルト16を挿通し、このボルト16のヘッド部分とナット17とを用いて当該略矩形リング状の下棒部分及び当該コ字状の下横棒部分を締め付ける。なお、これらボルト16及びナット17は、特許請求の範囲における「位置角度調整手段」に対応する。
【0093】
このような構成により、ボルト16及びナット17の締め付けが緩められた状態で、第1のフレーム部材12に対して第2のフレーム部材13を回動させた後、ボルト16及びナット17の締め付けによって第2のフレーム部材13を所定位置で保持するという操作(以下、第2のフレーム部材13の回動操作と称する)がユーザによって行われることで、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の位置を隣接する浮遊体10側又は隣接する浮遊体10側とは反対側に向けて変更することが可能となる。
【0094】
(発電システムの機能について)
このように構成された発電システム101の機能について説明する。図7は、浮遊体10a、10bの変形状況を示す平面図であり、(a)は流水の速度が通常時の速さである場合(又は流水の圧力が通常時の大きさである場合)を示す図であり、(b)は流水の速度が通常時よりも遅い場合(又は流水の圧力が通常時よりも小さい場合)を示す図であり、(c)は流水の速度が通常時よりも速い場合(又は流水の圧力が通常時よりも大きい場合)を示す図である(なお、図7(a)〜(c)については開閉部11aは図示省略する。また、後述する図9(a)〜(c)、及び図11(a)〜(c)についても同様とする。)。なお、発電装置101の機能については、上述した実施の形態1と異なる部分についてのみ、その機能を説明する。
【0095】
図7(b)に示すように、流水の速度が通常時よりも遅い場合(又は流水の圧力が通常時よりも小さい場合)には、浮遊体10a、10bは以下のように変形することができる。具体的には、上述した第2のフレーム部材13の回動操作によって、第2のフレーム部材13が下流側に向けて回動する。これにより、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の位置は、図7(a)の場合に比べて隣接する浮遊体10に近い位置となる。すなわち、図7(a)の場合に比べて浮遊体10a、10bの相互間の幅が狭くなると共に、プロペラ50と浮遊体10a(又は浮遊体10b)との距離が短くなるように、これら浮遊体10a、10bは変形する。
【0096】
ここで、プロペラ50と浮遊体10a(又は浮遊体10b)との距離が短くなると、浮遊体10a、10bの相互間のうちプロペラ50に対応する部分の幅が狭くなるので、上述した流水の速度=流量/流路面積の関係式より、当該プロペラ50に対応する部分を流れる流水の速度が速くなる(又は流水の圧力が大きくなる)ことは明らかである。このことを踏まえると、上述した浮遊体10a、10bの変形によって、浮遊体10a、10bの相互間を流れる流水の速度(又は圧力)の低減を抑制することができ、プロペラ50の回転数の低減も抑制することができる。
【0097】
また、図7(c)に示すように、流水の速度が通常時よりも速い場合(又は流水の圧力が通常時よりも大きい場合)には、浮遊体10a、10bは以下のように変形することができる。具体的には、上述した第2のフレーム部材13の回動操作によって、第2のフレーム部材13が上流側に向けて回動する。これにより、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の位置は、図7(a)の場合に比べて隣接する浮遊体10に遠い位置となる。すなわち、図7(a)の場合に比べて浮遊体10a、10bの相互間の幅が広くなると共に、プロペラ50と浮遊体10a(又は浮遊体10b)との距離が長くなるように、これら浮遊体10a、10bは変形する。
【0098】
ここで、プロペラ50と浮遊体10a(又は浮遊体10b)との距離が長くなると、浮遊体10a、10bの相互間のうちプロペラ50に対応する部分の幅が広くなるので、上述した流水の速度=流量/流路面積の関係式より、当該プロペラ50に対応する部分を流れる流水の速度が遅くなる(又は流水の圧力が小さくなる)ことは明らかである。このことを踏まえると、上述した浮遊体10a、10bの変形によって、浮遊体10a、10bの相互間を流れる流水の速度(又は圧力)の増加を抑制することができ、プロペラ50の回転数の増加も抑制することができる。
【0099】
(効果)
このように実施の形態2によれば、浮遊体10a、10bの相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、第2のフレーム部材13の回動操作がユーザによって行われることにより、当該相互間の幅、又は浮遊体10a(又は浮遊体10b)とプロペラ50との距離が変更可能となるように、浮遊体10a、10bを変形可能に形成したので、当該相互間を流れる流水の速度又は圧力が変化した場合であっても、当該相互間の幅又は浮遊体10a(又は浮遊体10b)とプロペラ50との距離を変更することにより、この流水の速度又は圧力の変動を抑えることができる。また、浮遊体10a、10bの相互間の幅、又は浮遊体10a(又は浮遊体10b)とプロペラ50との距離を手動で変更することができ、状況に応じて流水の速度又は圧力を調整することができる。
【0100】
また、第2のフレーム部材13の回動操作がユーザによって行われることにより、浮遊体10a、10bにおける凸部分の頂部線19の位置が、隣接する浮遊体10側又は隣接する浮遊体10側とは反対側に向けて変更可能となるように、浮遊体10a、10bを変形可能に形成したので、当該頂部線19の位置を手動で変更することにより、浮遊体10a、10bの相互間の幅を効果的に変更することができる。
【0101】
また、第2のフレーム部材13の回動操作がユーザによって行われることにより、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の位置が上流側又は下流側に向けて変更可能となるように、浮遊体10a、10bを変形可能に形成したので、当該頂部線19の位置を手動で変更することにより、浮遊体10a(又は浮遊体10b)とプロペラ50との距離を効果的に変更することができる。
【0102】
また、浮遊体10a、10bの各々は、浮遊体本体11と、浮遊体本体11の外形を構成するための第1のフレーム部材12及び第2のフレーム部材13と、第2のフレーム部材13の回動操作がユーザによって行われることにより、第1のフレーム部材12と第2のフレーム部材13との接続位置又は角度を調整するための位置角度調整手段と、を備えているので、簡易な構造にて製造することができ、浮遊体10の製造性を向上させることができる。
【0103】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について説明する。この形態は、ユーザによって所定操作が行われることにより、一対の水路壁の少なくとも一方と回転手段との距離が変更可能となるように、水路壁を変形可能に形成した形態である。なお、実施の形態2と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態2で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0104】
(構成)
まず、実施の形態3に係る発電システムの構成について説明する。図8は、実施の形態3に係る浮遊体10を示す斜視図であり、(a)は変形前の浮遊体10を示す図であり、(b)は変形後の浮遊体10を示す図であり、(c)は浮遊体10の内部構造を示す図である。図8(a)〜(c)に示すように、実施の形態3に係る発電システム201は、実施の形態2に係る発電システム101とほぼ同様に構成されている。ただし、浮遊体10a、10bの構成については、下記に示す工夫が施されている。
【0105】
(構成−浮遊体の構成)
浮遊体10a、10bの構成については、例えば、浮遊体10a、10bの相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、ユーザによって所定操作されることにより当該浮遊体10a、10bとプロペラ50との距離が変更可能となるように、当該浮遊体10a、10bは変形可能に形成される構成が採用されている。具体的には、図8(a)〜(c)に示すように、浮遊体10a、10bの各々は、浮遊体本体11と、第1のフレーム部材12と、第2のフレーム部材13とを備えて構成されている。
【0106】
(構成−浮遊体の構成−第1のフレーム部材)
第1のフレーム部材12における矩形リング状の上棒部分及び下棒部分には、第6の貫通孔12hがそれぞれ3つ設けられている。
【0107】
ここで、これら第6の貫通孔12hの配置については任意であるが、例えば、プロペラ50よりも上流側の位置において、第1のフレーム部材12における矩形リング状の上棒部分と第2のフレーム部材13におけるコ字状の上横棒部分との接続位置、及び当該矩形リング状の下棒部分と当該コ字状の下横棒部分との接続位置が変更可能となるように配置されている。具体的には、第1のフレーム部材12における矩形リング状の上棒部分に設けられた3つの第6の貫通孔12hは、当該矩形リング状の上棒部分における上流側の端部から中央部に至る範囲に配置されている。また、第1のフレーム部材12における矩形リング状の下棒部分に設けられた3つの第6の貫通孔12hは、当該矩形リング状の下棒部分における上流側の端部から中央部に至る範囲に配置されている。なお、これら第6の貫通孔12hは、特許請求の範囲における「位置角度調整手段」に対応する。
【0108】
このような構成により、ボルト16及びナット17が取り外された状態で、第1のフレーム部材12における矩形リング状の上棒部分に対して第2のフレーム部材13におけるコ字状の上横棒部分をY方向に沿って移動させると共に、当該矩形リング状の下棒部分に対して当該コ字状の下横棒部分をY方向に沿って移動させた後、所定の第6の貫通孔12h及び第7の貫通孔にボルト16を挿通して、ボルト16及びナット17の締め付けによって第2のフレーム部材13を保持するという操作(以下、第2のフレーム部材13のスライド操作と称する)がユーザによって行われることで、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の位置を上流側又は下流側に向けて変更することが可能となる。
【0109】
(発電システムの機能について)
このように構成された発電システム201の機能について説明する。図9は、浮遊体10a、10bの変形状況を示す平面図であり、(a)は流水の速度が通常時の速さである場合(又は流水の圧力が通常時の大きさである場合)を示す図であり、(b)は流水の速度が通常時よりも遅い場合(又は流水の圧力が通常時よりも小さい場合)を示す図であり、(c)は流水の速度が通常時よりも速い場合(又は流水の圧力が通常時よりも大きい場合)を示す図である。なお、発電装置201の機能については、上述した実施の形態2と異なる部分についてのみ、その機能を説明する。
【0110】
図9(b)に示すように、流水の速度が通常時よりも遅い場合(又は流水の圧力が通常時よりも小さい場合)には、浮遊体10a、10bは以下のように変形することができる。具体的には、上述した第2のフレーム部材13のスライド操作によって、第2のフレーム部材13が下流側に向けて移動する。これにより、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の位置は、図9(a)の場合に比べて下流側の位置となる。すなわち、図9(a)の場合に比べて浮遊体10a、10bの相互間の最短幅は変わらないものの、プロペラ50と浮遊体10a(又は浮遊体10b)との距離が短くなるように、これら浮遊体10a、10bは変形する。
【0111】
また、図9(c)に示すように、流水の速度が通常時よりも速い場合(又は流水の圧力が通常時よりも大きい場合)には、浮遊体10a、10bは以下のように変形することができる。具体的には、上述した第2のフレーム部材13のスライド操作によって、第2のフレーム部材13が上流側に向けて移動する。これにより、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の位置は、図9(a)の場合に比べて上流側の位置となる。すなわち、図9(a)の場合に比べて浮遊体10a、10bの相互間の最短幅は変わらないものの、プロペラ50と浮遊体10a(又は浮遊体10b)との距離が長くなるように、これら浮遊体10a、10bは変形する。
【0112】
(効果)
このように実施の形態3によれば、第2のフレーム部材13のスライド操作がユーザによって行われることにより、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の位置が上流側又は下流側に向けて変更可能となるように、浮遊体10a、10bを変形可能に形成したので、当該頂部線19の位置を手動で変更することにより、浮遊体10a(又は浮遊体10b)とプロペラ50との距離を効果的に変更することができる。
【0113】
〔実施の形態4〕
次に、実施の形態4について説明する。この形態は、ユーザによって実施の形態3とは異なる操作が行われることにより、一対の水路壁の少なくとも一方と回転手段との距離が変更可能となるように、水路壁を変形可能に形成した形態である。なお、実施の形態2と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態2で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0114】
(構成)
まず、実施の形態4に係る発電システムの構成について説明する。図10は、実施の形態4に係る浮遊体10を示す斜視図であり、(a)は変形前の浮遊体10を示す図であり、(b)は変形後の浮遊体10を示す図であり、(c)は浮遊体10の内部構造を示す図である。図10(a)〜(c)に示すように、実施の形態4に係る発電システム301は、実施の形態2に係る発電システム101とほぼ同様に構成されている。ただし、浮遊体10a、10bの構成については、下記に示す工夫が施されている。
【0115】
(構成−浮遊体の構成)
浮遊体10a、10bの構成については、例えば、浮遊体10a、10bの相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、ユーザによって所定操作されることにより当該浮遊体10a、10bとプロペラ50との距離が変更可能となるように、当該浮遊体10a、10bは変形可能に形成される構成が採用されている。具体的には、図10(a)〜(c)に示すように、浮遊体10a、10bの各々は、浮遊体本体11と、第1のフレーム部材12と、第2のフレーム部材13とを備えて構成されている。
【0116】
(構成−浮遊体の構成−第1のフレーム部材)
第1のフレーム部材12における矩形リング状の上棒部分には、第6の貫通孔12hが3つ設けられており、当該矩形リング状の下棒部分には、第6の貫通孔12hが1つ設けられている(あるいは、これに限られず、当該矩形リング状の上棒部分に第6の貫通孔12hが1つ設けられ、当該矩形リング状の下棒部分に第6の貫通孔12hが3つ設けられてもよい)。
【0117】
ここで、これら第6の貫通孔12hの配置については任意であるが、例えば、プロペラ50よりも上流側の位置において、第1のフレーム部材12における矩形リング状の上棒部分と第2のフレーム部材13におけるコ字状の上横棒部分との接続位置が変更可能となるように配置されている。具体的には、第1のフレーム部材12における矩形リング状の上棒部分に設けられた3つの第6の貫通孔12hは、当該矩形リング状の上棒部分における上流側の端部から中央部に至る範囲に配置されている。また、第1のフレーム部材12における矩形リング状の下棒部分に設けられた1つの第6の貫通孔12hは、当該矩形リング状の下棒部分における上流側の端部と中央部との中間部に配置されている。なお、これら第6の貫通孔12hは、特許請求の範囲における「位置角度調整手段」に対応する。
【0118】
このような構成により、ボルト16及びナット17が取り外された状態で、第1のフレーム部材12における矩形リング状の上棒部分に対して第2のフレーム部材13におけるコ字状の上横棒部分をY方向に沿って移動させた後、所定の第6の貫通孔12h及び第7の貫通孔にボルト16を挿通して、ボルト16及びナット17の締め付けによって第2のフレーム部材13を保持するという操作(以下、第2のフレーム部材13の傾き調整操作と称する)がユーザによって行われることで、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の向きを鉛直方向(図10ではZ方向に相当)に対して変更することが可能となる。
【0119】
(発電システムの機能について)
このように構成された発電システム301の機能について説明する。図11は、浮遊体10a、10bの変形状況を示す平面図であり、(a)は流水の速度が通常時の速さである場合(又は流水の圧力が通常時の大きさである場合)を示す図であり、(b)は流水の速度が通常時よりも遅い場合(又は流水の圧力が通常時よりも小さい場合)を示す図であり、(c)は流水の速度が通常時よりも速い場合(又は流水の圧力が通常時よりも大きい場合)を示す図である。なお、発電装置301の機能については、上述した実施の形態2と異なる部分についてのみ、その機能を説明する。
【0120】
図11(b)に示すように、流水の速度が通常時よりも遅い場合(又は流水の圧力が通常時よりも小さい場合)には、浮遊体10a、10bは以下のように変形することができる。具体的には、上述した第2のフレーム部材13の傾き調整操作によって、第2のフレーム部材13におけるコ字状の上横棒部分が下流側に向けて移動する。これにより、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の向きは、図11(a)の場合に比べて、当該頂部線19の上端部が当該頂部線19の下端部よりも下流側に位置するように傾いた向きとなる。すなわち、図11(a)の場合に比べて浮遊体10a、10bの相互間の最短幅は変わらないものの、プロペラ50と浮遊体10a(又は浮遊体10b)との距離が短くなるように、これら浮遊体10a、10bは変形する。
【0121】
この場合において、プロペラ50のZ方向の位置が浮遊体10の上端部側に位置する場合には、プロペラ50と浮遊体10との距離が、図11(a)の場合に比べて短くなる。このため、浮遊体10a、10bにおけるプロペラ50に対応する部分を流れる流水の速度が速くなるので、プロペラ50の回転数の低減を抑制することができる。
【0122】
また、図11(c)に示すように、流水の速度が通常時よりも速い場合(又は流水の圧力が通常時よりも大きい場合)には、浮遊体10a、10bは以下のように変形することができる。具体的には、上述した第2のフレーム部材13の傾き調整操作によって、第2のフレーム部材13におけるコ字状の上横棒部分が上流側に向けて移動する。これにより、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の向きは、図11(a)の場合に比べて、当該頂部線19の上端部が当該頂部線19の下端部よりも上流側に位置するように傾いた向きとなる。すなわち、図11(a)の場合に比べて浮遊体10a、10bの相互間の最短幅は変わらないものの、プロペラ50と浮遊体10a(又は浮遊体10b)との距離が長くなるように、これら浮遊体10a、10bは変形する。
【0123】
この場合において、プロペラ50のZ方向の位置が浮遊体10の上端部側に位置する場合には、プロペラ50と浮遊体10との距離が、図11(a)の場合に比べて長くなる。このため、浮遊体10a、10bにおけるプロペラ50に対応する部分を流れる流水の速度が遅くなるので、プロペラ50の回転数の増加を抑制することができる。
【0124】
(効果)
このように実施の形態4によれば、第2のフレーム部材13の傾き調整操作がユーザによって行われることにより、浮遊体10a、10bの各々における凸部分の頂部線19の向きがZ方向に対して変更可能となるように、浮遊体10a、10bを変形可能に形成したので、当該頂部線19の向きを手動で変更することにより、浮遊体10a(又は浮遊体10b)とプロペラ50との距離を効果的に変更することができる。
【0125】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0126】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、一対の水路壁の少なくとも一方が変形可能に形成しづらい場合であっても、当該水路壁の形成を、従来とは異なる技術により従来と同様に達成できている場合には、本願発明の課題が解決されている。
【0127】
(各実施の形態の相互関係)
上記実施の形態1〜4に示した特徴は、相互に入れ替えたりしてもよい。例えば、実施の形態1に係る浮遊体10bの構成に代えて、実施の形態2に係る浮遊体10bの構成(あるいは、実施の形態3又は4に係る浮遊体10bの構成)を採用してもよい。
【0128】
また、実施の形態1に係る鉛直部材12c、12dに設けられた脱落防止ナット12fと脱落防止ピン12gに代えて、実施の形態2に係るボルト16及びナット17を採用すると共に、第1のバネ部材14及び第2のバネ部材15を省略してもよい。これにより、ボルト16及びナット17の締め付けが緩められた状態で、第1のフレーム部材12の鉛直部材12d、及び第2のフレーム部材13の傾斜部材13a、13b、13c、13d、鉛直部材13eを移動させた後、ボルト16及びナット17の締め付けによって第2のフレーム部材13を所定位置で保持するという操作がユーザによって行われることで、浮遊体10a、10bの相互間の幅を変更することが可能となる。
【0129】
(水路壁について)
上記実施の形態1〜4では、水路壁は、浮遊体10であると説明したが、これに限られない。例えば、水面上に浮遊しないものであって、樹脂材料等にて形成された水路壁であってもよい。
【0130】
(接続部の個数について)
上記実施の形態1〜4では、発電システムは、接続部20は2体備えていると説明したが、例えば単体であってもよく、又は3体以上であってもよい。あるいは、例えば浮遊体10aが水路の左側壁部に固定されており、浮遊体10bが水路の右側壁部に固定されている場合には、接続部20を省略してもよい。
【0131】
(水中翼及び係留部材について)
上記実施の形態1〜4では、発電システムは、水中翼30と係留部材40とを備えていると説明したが、例えば、水中翼30と係留部材40とを省略してもよい。
【0132】
(回転手段について)
上記実施の形態1〜4では、回転手段は、プロペラ50であると説明したが、これに限られず、例えば、回転軸と、この回転軸に接続された複数の羽根部とを有する水車(いわゆる開放周流形水車)であってもよい。
【0133】
(発電部について)
上記実施の形態1〜4では、発電部60は、回転手段や浮遊体10a、10bの近傍位置に設けられていると説明したが、例えば、回転手段や浮遊体10a、10bから離れた位置(例えば陸上等)に設けられてもよい。
【0134】
(浮遊体について)
上記実施の形態1〜4では、浮遊体10a、10bの相互間の幅、又は浮遊体10a(又は浮遊体10b)とプロペラ50との距離が変更可能となるように、浮遊体10a、10bが変形可能に形成されていると説明したが、例えば、浮遊体10a(又は浮遊体10b)のみが変形可能に形成されてもよい。
【0135】
また、上記実施の形態1〜4では、浮遊体10a、10bの形状について、浮遊体10における隣接する浮遊体10側の側部の一部が略凸状になるように、浮遊体10a、10bが形成されていると説明したが、例えば、浮遊体10aにおける隣接する浮遊体10b側の側部の一部が略平坦状になるように、浮遊体10aが形成されてもよい。
【0136】
(第2のフレーム部材の配置について)
上記実施の形態2〜4では、第2のフレーム部材13は、プロペラ50よりも上流側に配置されていると説明したが、例えば、プロペラ50よりも下流側に配置されてもよい。この場合において、第6の貫通孔12hもプロペラ50よりも下流側に配置される。
【0137】
(第1のフレーム部材と第2のフレーム部材との接続について)
上記実施の形態2〜4では、第1のフレーム部材12と第2のフレーム部材13との接続については、ボルト16とナット17とが用いられていると説明したが、例えば公知のクランプ(具体的にはC型のクランプ)が用いられてもよい。あるいは、上記実施の形態3、4では、嵌合構造が用いられてもよい。なお、上述した変形例では、第6の貫通孔12hを省略することができる。
【0138】
(第2のフレーム部材の構成について)
上記実施の形態1では、第2のフレーム部材13は硬質の樹脂材料にて形成されていると説明したが、これに限られない。例えば、水深に応じて流水の速度に差異が生じないように、第2のフレーム部材13が形成されてもよい。具体的には、水深が浅い箇所における流水の速度変化に対応可能となるように、第2のフレーム部材13の傾斜部材13a、13c、鉛直部材13eが可撓性材料(例えば可撓性に富んだ樹脂材料等)にて形成されてもよい。これにより、例えば、下層に比べて上層の流速が速い場合には、上層の傾斜部材13a、13cが押圧されて全体として縮小し、これに伴って鉛直部材13eはその上端が水平部材12aに近づくように伸びながら傾斜するので、浮遊体10は、図10(b)に示す変形と似た変形を行うことが可能となる。このように、上下方向における流速分布に応じて傾斜部材13a、13c、鉛直部材13eが伸縮や変形することで、浮遊体10は、図10(a)〜(c)、図11(a)〜(c)に示す変形と似た変形を行うことが可能となる。また、水深が深い箇所における流水の速度変化に対応可能となるように、第2のフレーム部材13の傾斜部材13b、13d、鉛直部材13eが可撓性材料にて形成されてもよい。また、水深が浅い箇所及び深い箇所における流水の速度変化に対応可能となるように、第2のフレーム部材13の傾斜部材13a〜13d、鉛直部材13eが可撓性材料にて形成されてもよい。あるいは、第2のフレーム部材13の鉛直部材13eのみが可撓性材料にて形成されてもよい。さらには、鉛直部材13eは、上下方向における中央部部のみが、水平部材12aに近づくように、あるいは、水平部材12aから離れるように、円弧上に湾曲してもよい。
【0139】
(第1の貫通孔の形状について)
上記実施の形態1では、第1の貫通孔12eの形状が長孔状であると説明したが、これに限られず、例えば円孔状であってもよい。この場合において、浮遊体10a、10bが流水によって押圧されることによって、浮遊体10a、10bの相互間の幅を変更することが可能となるように、第2のフレーム部材13の傾斜部材13c、13dは可撓性材料(例えば可撓性に富んだ樹脂材料等)にて形成される。このような構成により、第2のフレーム部材13の傾斜部材13a、13bが隣接する浮遊体10側に向けて移動した場合には、第2のフレーム部材13の鉛直部材13eを介して傾斜部材13c、13dを上流側に向けて変形させ、この傾斜部材13a、13bが隣接する浮遊体10側とは反対側に向けて移動した場合には、鉛直部材13eを介して傾斜部材13c、13dを下流側に向けて変形させることができる。
【0140】
(第6の貫通孔の個数について)
上記実施の形態3では、第1のフレーム部材12における矩形リング状の上棒部分及び下棒部分には、第6の貫通孔12hがそれぞれ3つ設けられていると説明したが、例えば、それぞれ2つ設けられてもよく、あるいはそれぞれ4つ以上設けられてもよい(なお、上記実施の形態4に係る第1のフレーム部材12における矩形リング状の上棒部分に設けられた第6の貫通孔12hの個数についても同様とする)。
(付記)
付記1の発電システムは、流水のエネルギーを発電手段を介して電気に変換する発電システムであって、水平方向に略沿って相互に間隔を隔てて並設された一対の水路壁と、前記一対の水路壁の相互間において、少なくとも一部が水面よりも下方に設けられた回転手段であって、前記流水のエネルギーによって当該回転手段が回転することにより、当該流水のエネルギーを前記発電手段に伝達するための回転手段と、前記回転手段にて伝達された前記流水のエネルギーによって駆動されることにより発電を行う前記発電手段と、を備え、前記一対の水路壁の相互間の幅、又は前記一対の水路壁の少なくとも一方と前記回転手段との距離が変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成している。
付記2の発電システムは、付記1に記載の発電システムにおいて、前記一対の水路壁の相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、前記流水によって押圧されることにより当該相互間の幅が変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成している。
付記3の発電システムは、付記1又は2に記載の発電システムにおいて、前記一対の水路壁の相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、ユーザによって所定操作が行われることにより、前記一対の水路壁の相互間の幅、又は前記一対の水路壁の少なくとも一方と前記回転手段との距離が変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成している。
付記4の発電システムは、付記2又は3に記載の発電システムにおいて、前記一対の水路壁の少なくとも一方における隣接する水路壁側の側部の一部を、当該隣接する水路壁に向けて突出する略凸状に形成し、前記一対の水路壁の少なくとも一方が前記流水によって押圧されることにより、又はユーザによって所定操作が行われることにより、前記一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の位置が、前記隣接する水路壁側又は前記隣接する水路壁側とは反対側に向けて変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成している。
付記5の発電システムは、付記2から4のいずれか一項に記載の発電システムにおいて、前記一対の水路壁の少なくとも一方における隣接する水路壁側の側部の一部を、当該隣接する水路壁に向けて突出する略凸状に形成し、ユーザによって所定操作が行われることにより、前記一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の位置が上流側又は下流側に向けて変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成している。
付記6の発電システムは、付記2から5のいずれか一項に記載の発電システムにおいて、前記一対の水路壁の少なくとも一方における隣接する水路壁側の側部の一部を、当該隣接する水路壁に向けて突出する略凸状に形成し、ユーザによって所定操作が行われることにより、前記一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の向きが鉛直方向に対して変更可能となるように、前記一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成している。
付記7の発電システムは、付記2から6のいずれか一項に記載の発電システムにおいて、前記一対の水路壁のうち少なくとも一方は、水路壁本体と、前記水路壁本体の外形を構成するための複数のフレーム部材と、前記流水によって押圧されることにより、又はユーザによって所定操作が行われることにより、前記フレーム部材同士の接続位置又は角度を調整するための位置角度調整手段と、を備えている。
(付記の効果)
付記1に記載の発電システムによれば、一対の水路壁の相互間の幅、又は一対の水路壁の少なくとも一方と回転手段との距離が変更可能となるように、一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成したので、当該相互間を流れる流水の速度又は圧力が変化した場合であっても、当該相互間の幅又は一対の水路壁の少なくとも一方と回転手段との距離を変更することにより、この流水の速度又は圧力の変動を抑えることができる。これにより、例えば、回転手段の回転数を一定にすることができ、発電手段に伝達される流水のエネルギーを維持することが可能となる。
付記2に記載の発電システムによれば、一対の水路壁の相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、流水によって押圧されることにより当該相互間の幅が変更可能となるように、一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成したので、当該相互間の幅を自動で変更することができ、ユーザが当該相互間の幅を変更する手間を省くことができる。
付記3に記載の発電システムによれば、一対の水路壁の相互間を流れる流水の速度又は圧力を維持するために、ユーザによって所定操作が行われることにより、一対の水路壁の相互間の幅、又は一対の水路壁の少なくとも一方と回転手段との距離が変更可能となるように、一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成したので、当該相互間の幅又は一対の水路壁の少なくとも一方と回転手段との距離を手動で変更することができ、状況に応じて流水の速度又は圧力を調整することができる。
付記4に記載の発電システムによれば、一対の水路壁の少なくとも一方が流水によって押圧されることにより、又はユーザによって所定操作が行われることにより、一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の位置が、隣接する水路壁側又は隣接する水路壁側とは反対側に向けて変更可能となるように、一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成したので、当該頂部線の位置を自動又は手動で変更することにより、一対の水路壁の相互間の幅を効果的に変更することができる。
付記5に記載の発電システムによれば、ユーザによって所定操作が行われることにより、一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の位置が上流側又は下流側に向けて変更可能となるように、一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成したので、当該頂部線の位置を手動で変更することにより、一対の水路壁の少なくとも一方と回転手段との距離を効果的に変更することができる。
付記6に記載の発電システムによれば、ユーザによって所定操作が行われることにより、一対の水路壁の少なくとも一方における凸部分の頂部線の向きが鉛直方向に対して変更可能となるように、一対の水路壁の少なくとも一方を変形可能に形成したので、当該頂部線の向きを手動で変更することにより、一対の水路壁の少なくとも一方と回転手段との距離を効果的に変更することができる。
付記7に記載の発電システムによれば、一対の水路壁のうち少なくとも一方は、水路壁本体と、水路壁本体の外形を構成するための複数のフレーム部材と、流水によって押圧されることにより、又はユーザによって所定操作が行われることにより、フレーム部材同士の接続位置又は角度を調整するための位置角度調整手段と、を備えたので、簡易な構造にて製造することができ、水路壁の製造性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0141】
1、101、201、301 発電システム
10、10a、10b 浮遊体
11 浮遊体本体
11a 開閉部
12 第1のフレーム部材
12a、12b 水平部材
12c、12d、13e 鉛直部材
12e 第1の貫通孔
12f、13f 脱落防止ナット
12g、13g 脱落防止ピン
12h 第6の貫通孔
13 第2のフレーム部材
13a、13b、13c、13d 傾斜部材
14 第1のバネ部材
15 第2のバネ部材
16 ボルト
17 ナット
18 空間部
19 頂部線
20、20a、20b 接続部
30、30a、30b 水中翼
31 水中翼支持体
32 水中翼本体
40、40a、40b 係留部材
41a、41b 支持体
50 プロペラ
51、66 シャフト
60 発電部
61 筐体
61a ベース部
61b カバー部
62 固定バー
63 支持部
63a 開口
64 連通口
65 発電機
図1
図2
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