特許第6090733号(P6090733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6090733
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】送風機用シャフト及び送風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/053 20060101AFI20170227BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20170227BHJP
   F04D 29/05 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   F04D29/053 Z
   F04D25/08 303
   F04D29/05 C
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-122293(P2012-122293)
(22)【出願日】2012年5月29日
(65)【公開番号】特開2013-245657(P2013-245657A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】成田 透
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−016820(JP,A)
【文献】 特開2003−120678(JP,A)
【文献】 特開2003−106294(JP,A)
【文献】 特開2001−245452(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0073280(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/053
F04D 25/08
F04D 29/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機用シャフトであって、
送風機の軸受によって支持される本体部と、先端部と、前記本体部と前記先端部との間に設けられ、送風機の止め輪が取り付けられる溝部と、からなり、
前記本体部が、当該本体部の外周面と当該溝部の溝面が交差する端部を有し、
前記端部が、円弧の面となるように形成されており、
前記先端部は先が窄まっており、
前記先端部の最大径が、前記本体部の径よりも小さくなるように形成されている
ことを特徴とする送風機用シャフト。
【請求項2】
前記円弧の面が、前記外周面と前記溝面のそれぞれの面と連続するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の送風機用シャフト。
【請求項3】
前記円弧の面が、前記外周面と前記溝面のそれぞれの面と交差するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の送風機用シャフト。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の送風機用シャフトは、
予め定められた形状のケーシングの中央部に一対の軸受を収納するための軸受箱部が設けられ、当該軸受に挿入されたシャフトの本体部が前記軸受によって回転自在に支持され、当該シャフトの溝部に止め輪が取り付けられ固定されるように形成された送風機に用いられるシャフトであることを特徴とする送風機用シャフト。
【請求項5】
予め定められた形状のケーシングの中央部に軸受を収納する軸受箱部を有し、当該軸受により回転自在に支持したシャフトに回転子を保持し、前記軸受箱部の外周部にステ−タ鉄心及びコイルからなる固定子を保持し、前記回転子には、当該固定子から予め設定された空隙を空けてリング状のマグネットを設け、前記コイルの引出し端子に当該コイルに対する電流制御を行う電子回路を備えたPCボードを接続した送風機であって、
更に前記シャフトの抜け止め用の止め輪を有し、
前記シャフトは、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の送風機用シャフトであり、
前記シャフトの本体部は前記軸受によって支持され、そして、
前記シャフトの溝部に前記止め輪が取り付けられていることを特徴とする送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は送風機に関し、特に送風機用シャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パソコン、サーバ、複写機、事務機器などの各種機器においては、冷却のために送風機が用いられている。このような各種機器には、多数の電子部品がケーシング内に収納されており、これらの電子部品が、ケーシング内部で熱を発生することにより、破損してしまうということが起こりうる。この破損を避けるために、ケーシングの側壁に通気口を設け、この通気口に送風機が取り付けられ、ケーシング内部の熱を外部に放出するようにしている。
【0003】
このような従来の技術は、例えば、特許文献1に記載されている。以下、特許文献1に記載の送風機について、図5図6を用いて説明する。図5に示すとおり、ケーシング1は筒状のベンチュリー部2を形成している。ベンチュリー部2の内側には環状の絞り部としての突部となるように緩い傾斜角度の斜面が形成されている。図5の下側に位置するベンチュリー部2の一端側の中央部分には、モータベース3が一体的に成形されている。
【0004】
モータベース3は、環状のベース本体4の孔の部分に垂設された筒状の軸受箱部5と、このベース本体4の外周縁部に軸受箱部5と同方向に曲げて形成されたベースフランジ6とを有する。軸受箱部5の内側には、環状の床の中央床部7が形成されており、軸受箱部5内を上側の室を第1室、下側の室を第2室として2つの室に区画されている。
【0005】
軸受箱部5には、第1室及び第2室のそれぞれに配置されるように第1軸受10と第2軸受11が嵌合され、これら第1軸受10と第2軸受11は、中央床部7の孔を通して挿通されたシャフト12を、2箇所で回転自在に支持している。軸受箱部5の中央床部7より下側の基端側部分5aに比して上側の先端端側部分5bは肉厚が薄く設定されており、軸受箱部5の外周側には段差が形成されている。
【0006】
シャフト12の一端部には抜け止め用の止め輪13が装着され、シャフト12の他端部にはローレット14が刻設されている。シャフト12のローレット14の形成部分にはカップ状のモータヨーク15が、インサート成形により保持されている。モータヨーク15には、インペラ16が嵌挿されている。このインペラ16は、筒状でモータヨーク15に嵌合するインペラ本体と、インペラ本体の外周に形成された複数枚の羽根からなる羽根18とを有する。モータヨーク15の内周側には、リング状のマグネット19が接着固定されている。
【0007】
軸受箱部5の外側には固定子20が接着固定されている。この固定子20は、ステ−タ鉄心21と、このステ−タ鉄心21に巻回されたコイル22と、ステ−タ鉄心21とコイル22との間の絶縁体23とから構成されている。固定子20の一端側にはPCボード24が配置されている。
【0008】
PCボード24は、コイル22に設けたターミナル25を介してコイル22に接続した電子回路を有する。この電子回路には、PCボード24に搭載される電子部品を含むものとなっている。この電子回路は、コイル22に対する電流制御を行ってマグネット19との間の電磁力によりマグネット19とインペラ16を回転制御する。
【0009】
すなわち、マグネット19及びモータヨーク15などを有する回転子と固定子20とがブラシレスモータとしての機能を有する。ターミナル25とPCボード24とは半田付けにより接続されている。また、電子回路を介してコイル22に電力供給するリード線26、及び第1軸受10のスラスト荷重用のコイルスプリング27が設けられている。
【0010】
上記の送風機は、ベンチュリー部2内で、インペラ16の羽根18が回転することにより軸方向に風の流れを作るようにしており、この風により、各種機器のケーシングの内部を冷却し、各種機器に設けられた電子部品の発熱による損傷を防止するようにしている。
【0011】
以上が従来の送風機についての説明である。次に、図6を用いて従来の送風機に用いられるシャフトについて説明する。図6に示すとおり、従来の送風機用シャフトであるシャフト12は、第1軸受10と第2軸受11で支持される本体部50、止め輪13を嵌着するための溝部51、及び先端部52から構成されている。溝部51は矩形状の側面を有しており、本体部50の溝部51側には端部60が形成され、先端部52の溝部51側には端部61が形成されている。また、先端部52は溝部51側が本体部50と同じ外形寸法の円柱形状であり、図示下方向はシャフト12を第1軸受10へ挿入する際の案内のために円錐台形状となっている。
このようなシャフト12を送風機に取り付ける構造として、シャフト12の一端部の溝部51に対して、抜け止め用の止め輪13が装着されるようになっている。
【0012】
小型の送風機に用いられるシャフト12は、直径が4mm以下のものがあり、適応する止め輪13は、厚さが0.25mmから0.4mm程度の薄いものである。このような止め輪13に適する溝部51の軸方向長さである幅は0.3mmから0.5mmとなる。
【0013】
このように溝部51の幅が狭いことから、本体部50と溝部51との境界及び溝部51と先端部52との境界に発生したバリの除去が困難であり、バレル研磨でも、メディアが境界部に接触し難いため、バリの除去に時間を要する。また、軸受挿入時に、第1軸受10などが端部60に引っかかってしまうことより、第1軸受10などに大きな負荷がかかることになり、軌道面や転動体が損傷してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2001−245452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記のとおり、従来の送風機用シャフトは、溝部の幅が狭いため、本体部と溝部との境界及び先端部と溝部との境界に発生したバリの除去が困難であるという問題がある。また、溝面と本体部の外周面が交差する部分はエッジを有しており、軸受挿入時に引っかかることがあり、転がり軸受に大きな負荷がかかることで、軌道面や転動体が損傷するという問題がある。本体部のエッジが軸受挿入時に引っかかることを防ぐため、本体部のガイドとして、先端部の溝部側外径を本体部の外径と同じ寸法にし、さらに、先端部の溝部側を軸受へ挿入し易くするためのガイドとして、先端部の一端側を円錐台形状としている。このように、送風機用シャフトを軸受へ挿入し易くするためのガイド構造を先端部に重ねて設ける必要があるため、シャフトの全長が長くなってしまう問題がある。
【0016】
本発明は上記の課題に鑑み、シャフト製作時のバリ取り処理が容易となる送風機用シャフト及び送風機を提供することを目的としている。また、シャフトの軸受挿入時の引っかかりがなくなるような送風機用シャフト及び送風機を提供することを目的としている。さらに、シャフトの軸受挿入時の引っかかりがなく、全長の短い送風機用シャフト及び送風機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る送風機用シャフトは、本体部と溝部と先端部とからなり、当該本体部の外周面と当該溝部の溝面が交差する端部を有する送風機用シャフトであって、前記端部が、円弧の面又は角度をもって交差する直線の面となるように形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る送風機用シャフトは、前記円弧の面が、前記外周面と前記溝面のそれぞれの面と連続するように形成されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る送風機用シャフトは、前記円弧の面が、前記外周面と前記溝面のそれぞれの面と交差するように形成されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る送風機用シャフトは、前記先端部の径が、前記本体部の径よりも小さくなるように形成されていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る送風機用シャフトは、予め定められた形状のケーシングの中央部に一対の軸受を収納するための軸受箱部が設けられ、当該軸受に挿入されたシャフトが回転自在に支持され、当該シャフトの先端に設けられた溝に止め輪が取り付けられ固定されるように形成された送風機のシャフトとして用いられることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る送風機は、予め定められた形状のケーシングの中央部に軸受を収納する軸受箱部を有し、当該軸受により回転自在に支持したシャフトに回転子を保持し、前記軸受箱部の外周部にステ−タ鉄心及びコイルからなる固定子を保持し、前記回転子には、当該固定子から予め設定された空隙を空けてリング状のマグネットを設け、前記コイルの引出し端子に当該コイルに対する電流制御を行う電子回路を備えたPCボードを接続した送風機であって、前記シャフトは、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の送風機用シャフトであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る送風機用シャフトは、送風機の軸受によって支持される本体部と、先端部と、前記本体部と前記先端部との間に設けられ、送風機の止め輪が取り付けられる溝部からなり、前記本体部が、当該本体部の外周面と当該溝部の溝面が交差する端部を有し、前記端部が、円弧の面又は角度をもって交差する直線の面となるように形成されていることを特徴とする。
【0024】
また、本発明によれば、溝面とシャフト外周面が交差するエッジ部分を、円弧の面又は角度をもって交差する直線の面となるように形成したことで、軸受の挿入時に引っかかりのない送風機用シャフト及びこのシャフトを用いた送風機を提供することができる。
【0025】
また、本発明によれば、シャフトの先端部の径を本体部の径よりも小さくすることで、軸受にシャフトを挿入する際に、軸受がエッジに引っかかり、噛みこんでしまうということのない構成とすることができ、シャフトの軸受への挿入が容易な全長の短い送風機用シャフト及びこのシャフトを用いた送風機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態の送風機を示す断面図である。
図2】実施形態の送風機用シャフトを示す側面図である。
図3】実施形態の送付機用シャフトを示す拡大側面図である。
図4】実施形態の送風機用シャフトを示す拡大側面図である。
図5】従来の送風機を示す断面図である。
図6】従来の送風機用シャフトを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
また、本発明に係る送風機用シャフトは、予め定められた形状のケーシングの中央部に一対の軸受を収納するための軸受箱部が設けられ、当該軸受に挿入されたシャフトの本体部が前記軸受によって回転自在に支持され、当該シャフトの溝部に止め輪が取り付けられ固定されるように形成された送風機に用いられるシャフトであることを特徴とする。
【0028】
本発明に係る送風機は、予め定められた形状のケーシングの中央部に軸受を収納する軸受箱部を有し、当該軸受により回転自在に支持したシャフトに回転子を保持し、前記軸受箱部の外周部にステ−タ鉄心及びコイルからなる固定子を保持し、前記回転子には、当該固定子から予め設定された空隙を空けてリング状のマグネットを設け、前記コイルの引出し端子に当該コイルに対する電流制御を行う電子回路を備えたPCボードを接続した送風機であって、更に前記シャフトの抜け止め用の止め輪を有し、前記シャフトは、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の送風機用シャフトであり、前記シャフトの本体部は前記軸受によって支持され、そして、前記シャフトの溝部に前記止め輪が取り付けられていることを特徴とする。
【0029】
ケーシング1は、例えば筒状であり、中央部に一対の第1軸受10と第2軸受11を収納するための軸受箱部5が設けられている。第1軸受10と第2軸受11には、シャフト12aが隙間嵌めで挿入され、回転自在に支持される。シャフト12aは先端に溝を有し、この溝が下側の軸受内輪下部に面した位置で、この溝に止め輪13が取り付けられて、下側の軸受内輪下端部に軸方向に固定される。シャフト12の上側の軸受内輪上端部には、軸受を定圧予圧するための弾性体であるコイルスプリング27が取り付けられている。止め輪13とコイルスプリング27により、軸受には背面組合せの予圧が与えられる。
【0030】
軸受箱部5の外周部に、ステ−タ鉄心21及びコイル22からなる固定子20を保持し、回転子8には、固定子20から予め定められた空隙を空けて、リング状のマグネット19が設けられており、コイル22の引出し端子に、この22コイルに対する電流制御を行う電子回路を備えたPCボード24が接続されている。
【0031】
シャフト12aについては、後述のとおり、止め輪13を取り付ける溝の形状に特徴を有している。この送風機の基本的な構成は、従来の例で説明した送風機と同様の構成であり、詳細な説明は省略する。以下、本発明の送風機用シャフトであるシャフト12aについて説明する。
【0032】
図2から図4を用いて、本発明の送風機用シャフトの実施形態について説明する。図2は、図1に示す送風機に用いられるシャフト12aを拡大した図であり、このシャフト12aは、実施形態に係る送風機用シャフトである。シャフト12aは、図2に示すとおり、第1軸受10と第2軸受で支持される本体部50a、止め輪13を嵌着するための溝部51a、及び先端部52aから構成されている。
【0033】
本体部50aは、従来の例において端部60であった部分が加工され、端部70を有している。すなわち、端部70は、本体部50aの外周面と溝部51aの溝面が交差する部分において円弧の面となるように形成されている。上記の従来の例では、溝部51が矩形の側面を有しており本体部50と溝部51との境界及び溝部51と先端部52との境界に発生したバリの除去が困難であった。
【0034】
しかし、エッジを有する端部60を、上記のとおり円弧の面を有する端部70とすることで、本体部50aと溝部51aとの境界及び溝部51aと先端部52aとの境界に発生したバリの除去が可能となる。すなわち、バレル研磨であっても、メディアが境界部に接触しやすくなり、バリの除去が容易となる。
【0035】
また、軸受挿入時に、第1軸受10などが端部70に引っかかってしまうということはなく、第1軸受10などに大きな負荷がかかることがなく、軌道面や転動体が損傷してしまうということを避けることができる。この例においては、シャフト12aは、従来のシャフト12と同様に、直径が4mm以下のものであるが、これに限定されず、直径が4mmを超えるシャフトに本実施形態の構成を用いてもよい。
【0036】
なお、シャフト12aを送風機に取り付ける構造としては、このシャフト12aの一端部である溝部51aに対して、抜け止め用の止め輪13が装着される。このような装着において、先端部52aの端部61は、止め輪13の抜け止めに必要なエッジであり、従来の例と同様な構成となっている。
【0037】
すなわち、止め輪13をシャフト12aの溝部51aに装着すると、止め輪13の上面は転がり軸受内輪の下面に接し、止め輪13の下面はシャフト12aの溝部51aの下側面、すなわち先端部52aの上側面に接する。このように溝部51aに近接する本体部50aの端部70を円弧形状としても、止め輪13は端部61と接し、シャフト12aの抜け止めとしての機能を有している。
【0038】
次に、図3図4を用いてシャフト12aの具体的な例について説明する。図3はシャフト12aを示す拡大図であり、端部70aは、図2に示す端部70の具体的な一例を示している。端部70aは、円弧の面であり、本体部50aと溝部51aとの境界に配置されるように形成され、図3に示すように、本体部50aのシャフト外周面と溝部51aの溝面とのそれぞれの面と連続するように形成されている。
【0039】
このような端部70aを有するシャフト12aは、本体部50aと溝部51aとの境界が円弧の面で連続するように形成されており、メディアがこの境界に接触しやすくなり、バリの除去が容易となり、軸受挿入時の引っかかりのない構成とすることができる。すなわち、図3に示すように、本体部50aと溝部51aとの境界面である境界71aと境界71bとにおいて、接線が一致する形状となっている。このような円弧の面が連続している境界71aと境界71bを有することにより、シャフト12aは、特に、これらの部分での引っかかりのない構成とすることができる。
【0040】
図4は、シャフト12aを示す拡大図であり、端部70bは、図2に示す端部70の具体的な他の一例を示している。端部70bは、円弧の面であり、本体部50aと溝部51aとの境界に配置されるように形成され、図4に示すように、本体部50aのシャフト外周面と溝部51aの溝面とのそれぞれの面と交差するように形成されている。このような端部70bを有するシャフト12aは、上記の端部70aを有するシャフト12aと同様の効果を有する。すなわち、図4に示すように、本体部50aと溝部51aとの境界面である境界72aと境界72bとにおいて、接線がある角度をもつような形状となっている。このような円弧の面が交差する境界72aと境界72bを有することにより、シャフト12aは、特に、端部70bを形成するための加工を、境界72aと境界72bを交差のない連続した面とする必要がないことより、容易に行うことができる。
【0041】
また、上記の端部70bは、円弧の面であるが、角度をもって交差する直線の面であってもよい。すなわち、この構成は、角度をもって交差する直線の面が、本体部50aのシャフト外周面と溝部51aの溝面とのそれぞれの面と交差するように形成されている。このような端部を有するシャフト12aは、上記の端部70a又は70bを有するシャフト12aと同様の効果を有する。
【0042】
なお、ここでいう円弧の面とは、図3図4に示すように、本体部50aのシャフト外周面と溝部51aの溝面との境界の部分に形成された溝部の形状が、側面(断面)において円弧になることをいう。また、角度をもって交差する直線の面とは、本体部50aのシャフト外周面と溝部51aの溝面との境界の部分に形成された溝部の形状が、側面(断面)において直線になることをいう。また、ここでいう円弧とは、直線でない線、すなわち、曲線を含む線をいう。
【0043】
次に、実施形態のシャフト12aについてさらに説明する。上記の従来のシャフト12においては、先端部52の径を本体部50の径よりも小さくした場合に、第1軸受10と第2軸受11にこのシャフト12を挿入する際、これらの軸受が端部60に引っかかり、噛みこんでしまうということが生じる。しかし、上記のように端部60を端部70とすることにより、端部60のエッジがなくなり、このような噛みこみは生じない。このような実施形態の構成とすることで、シャフト12aの先端部52aの径である図2に示す径d2を、本体部50aの径である図2に示す径d1よりも小さくすることが可能となる。
【0044】
すなわち、先端部52aの径d2は、本体部50aの径d1よりも小さくなるように形成される。このような構成において、軸受にシャフトを挿入する際に、軸受がエッジに引っかかり、噛みこんでしまうということに対して、シャフトの先端部の径を本体部の径よりも小さくすることで、引っ掛かりや噛みこみのない構成とすることができる。また、このような構成により、シャフトの軸受への挿入が容易かつ、全長の短いシャフトとすることができる
【符号の説明】
【0045】
1 ケーシング
2 ベンチュリー部
3 モータベース
4 ベース本体
5 軸受箱部
5a 基端側部分
5b 先端側部分
6 ベースフランジ
7 中央床部
8 回転子
10 第1軸受
11 第2軸受
12,12a シャフト
13 止め輪
14 ローレット
15 モータヨーク
16,16a インペラ
17a ボス部
17b ハブ
18 羽根
19 マグネット
20 固定子
21 ステータ鉄心
22 コイル
23 絶縁体
24 PCボード
25 ターミナル
26 リード線
27 コイルスプリング
50,50a 本体部
51,51a 溝部
52,52a 先端部
60,61,70,70a,70b 端部
71a,71b,72a,72b 境界
d1,d2 径
図2
図3
図4
図5
図6
図1