特許第6090826号(P6090826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6090826
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】眼瞼圧センサ
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/16 20060101AFI20170227BHJP
   A61B 3/00 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   A61B3/16
   A61B3/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-178017(P2012-178017)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-33906(P2014-33906A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】504147254
【氏名又は名称】国立大学法人愛媛大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000138082
【氏名又は名称】株式会社メニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】大橋 裕一
(72)【発明者】
【氏名】白石 敦
(72)【発明者】
【氏名】太田 清彦
【審査官】 山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−307275(JP,A)
【文献】 特開昭57−206424(JP,A)
【文献】 米国特許第05179953(US,A)
【文献】 国際公開第2012/052765(WO,A2)
【文献】 特表2009−535102(JP,A)
【文献】 特開2009−254779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/16
A61B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状に形成されたフレキシブルな基板の先端部の上面眼瞼の圧力を検出するための圧力検出部を設けるとともに、その圧力検出部を覆うように硬質材料よりなる凸部を設け
前記凸部の表面を球面状に形成し、前記凸部の厚さは1.0〜3.0mmであることを特徴とする眼瞼圧センサ。
【請求項2】
前記凸部の周縁を断面凸状曲面に形成したことを特徴とする請求項1に記載の眼瞼圧センサ。
【請求項3】
前記凸部を硬質合成樹脂によって構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の眼瞼圧センサ。
【請求項4】
前記基板の先端部に支持部を形成し、その支持部に前記圧力検出部と凸部とを設けたことを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の眼瞼圧センサ。
【請求項5】
度検出部を前記基板の先端部の下面に設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の眼瞼圧センサ。
【請求項6】
前記基板をハンドル兼用のケースに対して出し入れ可能に設けたことを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の眼瞼圧センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、角膜を覆う上眼瞼及び下眼瞼の圧力を検出する場合に用いられる眼瞼圧センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の眼瞼圧センサとしては、例えば特許文献1に開示されるような構成が提案されている。この従来構成においては、長尺状に形成されたフレキシブルな基板の先端部に、圧力を検出するための静電容量型の圧力検出部が設けられている。そして、基板の先端部を上眼瞼と角膜との間の隙間または下眼瞼と角膜との間の隙間に挿入し、圧力検出部を上眼瞼または下眼瞼の内面に接触させた状態で、圧力検出部により上眼瞼または下眼瞼の圧力を検出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−307275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来の眼瞼圧センサにおいては、基板の先端部に設けられた圧力検出部が平板状をなすように構成されている。このため、圧力検出部を上眼瞼または下眼瞼の内面に接触させて、上眼瞼または下眼瞼の圧力を検出する際に、眼瞼が湾曲面状の角膜上に位置して湾曲しているため、上眼瞼または下眼瞼の内面と圧力検出部の表面との間に空間域が生じる。よって、上眼瞼または下眼瞼の圧力が圧力検出部に伝わり難くて、眼瞼圧を正確に検出することができないという問題があった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、圧力検出部に対して眼瞼の圧力を十分に伝えることができて、眼瞼圧を安定かつ正確に検出することができる眼瞼圧センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、長尺状に形成されたフレキシブルな基板の先端部の上面眼瞼の圧力を検出するための圧力検出部を設けるとともに、その圧力検出部を覆うように硬質材料よりなる凸部を設け、前記凸部の表面を球面状に形成し、前記凸部の厚さは1.0〜3.0mmであることを特徴としている。
【0007】
従って、この発明の眼瞼圧センサにおいては、基板の先端部を眼瞼と角膜との間の隙間に挿入して、圧力検出部により眼瞼圧を検出する際に、圧力検出部上の凸部が眼瞼の内面に接触される。これにより、眼瞼の内面と圧力検出部の表面との間に空間域が発生することは抑制され、眼瞼の圧力が凸部を介して圧力検出部に対し適正に伝えられる。よって、圧力検出部により眼瞼圧を安定かつ正確に検出することができる。
【0008】
前記の構成において、前記凸部の周縁を断面凸状曲面に形成するとよい。
記の構成において、前記凸部を硬質合成樹脂によって構成するとよい。
【0009】
前記の構成において、前記基板の先端部に支持部を形成し、その支持部に前記圧力検出部と凸部とを設けるとよい
【0010】
前記の構成において、温度検出部を前記基板の先端部の下面に設けるとよい。
前記の構成において、前記基板をハンドル兼用のケースに対して出し入れ可能に設けるとよい。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、この発明によれば、圧力検出部に対して眼瞼の圧力を十分に伝えることができて、眼瞼圧を安定かつ正確に検出することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の眼瞼圧センサを示す分解斜視図。
図2図1の眼瞼圧センサの基板を下面側から見た斜視図。
図3】同眼瞼圧センサのカバーを包装状態で示す斜視図。
図4図5の5−5線における断面図。
図5】眼瞼圧センサの圧力検出部の部分にカバーを装着する際の状態を示す斜視図。
図6】(a)は圧力検出部の部分を拡大して示す部分断面図、(b)は圧力検出部の拡大断面図。
図7】眼瞼圧センサの検出時の状態を示す斜視図。
図8】眼瞼圧センサを眼瞼圧測定装置に接続した状態を示すブロック図。
図9】眼瞼圧センサにより上眼瞼の圧力を検出する状態を示す説明図。
図10】第2実施形態の眼瞼圧センサの圧力検出部を示す部分断面図。
図11】第3実施形態の眼瞼圧センサの圧力検出部を示す部分平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下に、この発明を具体化した眼瞼圧センサの第1実施形態を図1図9に従って説明する。
【0014】
図1に示すように、この実施形態の眼瞼圧センサ21は、回路基板22と、その回路基板22に図示しない連結部を介して一体状に連結されたフレキシブルな検出基板23とを備えている。
【0015】
回路基板22は、ガラスエポキシ樹脂,ポリオレフィン樹脂等の硬質の合成樹脂製の薄板よりなる。回路基板22上には、集積回路24やコネクタ25等が搭載されている。集積回路24は、増幅回路や整流回路を有する。コネクタ25は後述の眼瞼圧測定制御装置37と電気接続される。
【0016】
検出基板23は、電気絶縁層であるポリオレフィン樹脂等のフィルムに導体である金属箔を下面側にラミネートして、可撓性を有するとともに長尺状をなすように形成されている。検出基板23には、回路基板22側のアーム部231と、そのアーム部231の先端部に形成されたアーム部231よりも幅広の平面円形状をなす支持部232とが一体形成されている。検出基板23の上面には、金属メッシュからなるシート状の導体部材26がラミネートされている。前記支持部232の直径は、2〜15mm程度が好ましく、8〜12mmがさらに好ましい。
【0017】
図1及び図6(a)(b)に示すように、前記検出基板23の支持部232の上面には、眼瞼の圧力を検出するための圧力検出部としての静電容量型の圧力検出子27が積層固定されている。図6(b)に示すように、この圧力検出子27は、シリコーン・ゲル等の電気絶縁性及び弾性を有する絶縁材272を介して積層配置した一対の円形平板状の電極271を備えている。一方の電極は、検出基板23上の前記導体部材26を介して集積回路24の高電位側の回路に接続されている。他方の電極は、検出基板23の前記金属箔を介して集積回路24の低電位側(アース側)の回路に接続されている。そして、圧力検出子27に対する加圧に伴って一対の電極271間の間隔が変化したとき、両電極271間の静電容量が変化して、その静電容量の変化に応じた信号が圧力検出子27から出力される。
【0018】
図1図5及び図6に示すように、前記検出基板23の支持部232の上面には、ポリアセタール,ポリカーボネイト,ポリエチレン,ポリプロピレン,塩化ビニール,エポキシ樹脂等の硬質合成樹脂や銅,アルミ合金等の金属,すなわち硬質材料よりなる凸部としての圧力受け板(以下、単に受け板という)28が圧力検出子27を覆うように接着によって設けられている。受け板28は、圧力検出子27よりも大径の平面円形状をなすように構成されている。この受け板28は、前記支持部232と同径、あるいは支持部232よりやや小径であることが好ましく、従って、その直径は、2〜15mm程度が好ましく、8〜12mmがさらに好ましい。
【0019】
図6に示すように、受け板28の外周縁は断面凸状曲面をなすように形成されるとともに、受け板28の表面は球面状をなすように形成されている。受け板28の厚さは、1.0〜3.0mm程度が好ましく、1.2〜1.5mm程度がさらに好ましい。そして、図9に示すように、検出基板23の先端部の支持部232を上眼瞼または下眼瞼との間の隙間に挿入して、圧力検出子27により眼瞼圧を検出する際に、受け板28が上眼瞼または下眼瞼の内面に接触される。この状態で、上眼瞼または下眼瞼の圧力が受け板28を介して圧力検出子27に伝えられる。
【0020】
図1及び図2に示すように、前記検出基板23の先端部に位置する支持部232の下面には、眼内温度を検出するための温度検出子29が圧力検出子27と対応する同位置となるように設けられている。検出基板23の下面には、温度検出子29をコネクタ25に接続するための導体30が延長配置されている。そして、圧力検出子27により眼瞼圧を検出する際に、その眼瞼圧の検出と同時に、圧力検出子27と同位置において温度検出子29により眼内温度が検出されて、その検出信号が出力される。なお、温度検出子29及び導体30と前記金属箔との間には絶縁部(図示しない)が介在されている。
【0021】
前記圧力検出子27,前記金属箔,導電部材22,温度検出子29を含む検出基板23の厚さは、0.3〜0.7mm程度が好ましい。
図1に示すように、前記回路基板22及び検出基板23は、ハンドル兼用のケース31に対して長さ方向へ移動可能に装着され、検出基板23の部分がケース31の先端の開口311から出し入れされる。ケース31の外側面には、検出基板23に連結されて同検出基板23をケース31に対して出し入れするための操作ノブ32が設けられている。そして、眼瞼圧センサ21の検査使用時には、操作ノブ32を一方向に移動操作することにより、検出基板23がケース31内から突出した位置に移動されて、ケース31を検査時のハンドルとして用いることができる。また、眼瞼圧センサ21の不使用時には、操作ノブ32を他方向に移動操作することにより、検出基板23がケース31内に没入した位置に移動されて保管される。
【0022】
図1及び図3に示すように、前記眼瞼圧センサ21には、眼瞼圧の検出時に検出基板23の先端部に被覆状態に装着して使用するカバー33、及びそのカバー33を検出基板23の先端部に装着するための装着シート34が使い捨ての備品として用意されている。図3に示すように、このカバー33及び装着シート34は殺菌処理されて、装着シート34の先端にカバー33を被せた状態で、アルミ箔や滅菌パックからなる収納袋体35内に密封して収納されている。そして、眼瞼圧の検出時には、収納袋体35を開封するとともに、その収納袋体35内からカバー33及び装着シート34を取り出して使用するようになっている。
【0023】
前記カバー33は、合成ゴムよりなる絶縁性及び伸縮性を有する材料により一端を開口した袋状をなすように形成されている。装着シート34は、絶縁性及び可撓性を有する合成樹脂や紙材により長尺状をなすように形成されている。そして、図4及び図5に示すように、眼瞼圧センサ21による眼瞼圧の検出に先立って、装着シート34の先端にカバー33が被せられた状態で、検出基板23の先端部が装着シート34の上面に沿ってカバー33内に挿入される。その後、装着シート34がカバー33内から抜き取られることにより、図7に示すように、カバー33が収縮されて検出基板23の先端の支持部232及びアーム部231の先端部に密着し、そのカバー33によって圧力検出子27、受け板28及び温度検出子29が被覆される。
【0024】
図8に示すように、前記眼瞼圧センサ21による眼瞼圧の検出時には、眼瞼圧センサ21のコネクタ25に信号線36を介してコンピュータシステムからなる眼瞼圧測定制御装置37が接続される。この眼瞼圧測定制御装置37には、図示はしないディスプレイ等の表示手段やプリンタ等の出力手段が接続され、眼瞼圧センサ21から出力された検出信号に基づいて眼瞼圧が測定されて、その測定結果が表示手段や出力手段に出力される。
【0025】
次に、前記のように構成された眼瞼圧センサの作用を説明する。
この眼瞼圧センサ21を用いて測定対象者の眼瞼圧を測定する場合には、図8に示すように、眼瞼圧センサ21のコネクタ25に信号線36を介して眼瞼圧測定制御装置37を接続する。また、眼瞼圧測定制御装置37には、図示はしないディスプレイ等の表示手段やプリンタ等の出力手段を接続する。さらに、図1に示すように、眼瞼圧センサ21におけるケース31上の操作ノブ32を操作して、検出基板23をケース31内から突出した位置に移動させる。
【0026】
そして、図3図5に示すように、眼瞼圧センサ21による眼瞼圧の検出に先立って、カバー33及び装着シート34を収納袋体35内から取り出し、装着シート34の先端にカバー33が被せられたままの状態で、検出基板23の先端部を装着シート34の上面に沿ってカバー33内に挿入する。その後、装着シート34をカバー33内から抜き取ると、図7に示すように、カバー33が収縮されて検出基板23の支持部232及びアーム部231の先端部に密着し、そのカバー33によって圧力検出子27、受け板28及び温度検出子29が被覆される。
【0027】
この状態で、図9に示すように、測定対象者の上眼瞼の眼瞼圧を測定するために、検出基板23の先端の支持部232を上眼瞼と角膜との間の隙間に挿入して、圧力検出子27を覆う受け板28を上眼瞼の内面に接触させる。そして、上眼瞼の圧力が受け板28を介して圧力検出子27に伝えられて、圧力検出子27により上眼瞼の眼瞼圧を示す静電容量の値が検出され、その検出信号が集積回路24及びコネクタ25を介して眼瞼圧測定制御装置37に出力される。
【0028】
また、この眼瞼圧の検出と同時に、圧力検出子27と同位置において温度検出子29により眼内温度が検出され、その検出信号がコネクタ25を介して眼瞼圧測定制御装置37に出力される。そして、眼瞼圧測定制御装置37において、両検出信号に基づいて眼内温度に即した上眼瞼の眼瞼圧の値が算出される。すなわち、圧力検出子27は静電容量の多寡に従うレベルの検出信号を出力するものであるため、同一圧力であっても高温になるほど高い検出値が得られる。一方、検出温度は、個人差による体温の相違が存在する。このため、眼瞼圧の検出と同時に眼内温度も検出して、眼瞼圧の検出値に検出温度に従う補正を加えれば、正確な眼瞼圧が算出される。そして、その算出結果がディスプレイ等の表示手段やプリンタ等の出力手段に出力される。
【0029】
その後、同一測定対象者の下眼瞼の眼瞼圧を測定する場合には、検出基板23の先端の支持部232を下眼瞼との間の隙間に挿入すれば、前記上眼瞼の眼瞼圧の測定時と同様に、圧力検出子27により眼瞼圧が検出されると同時に、温度検出子29により眼内温度が検出される。そして、両検出信号に基づいて眼瞼圧測定制御装置37により眼内温度に即した下眼瞼の眼瞼圧が測定される。
【0030】
また、測定ごとに使用済みのカバー33を検出基板23の先端部から取り外した後、新しいカバー33を測定ごとに付け替えることによって眼病等の感染を防止することができる。
【0031】
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この眼瞼圧センサにおいては、長尺状に形成されたフレキシブルな検出基板23の先端部に、圧力を検出するための圧力検出子27が設けられている。また、この圧力検出子27を覆うように受け板28が設けられている。このため、検出基板23の先端部を眼瞼と角膜との間の隙間に挿入して、圧力検出子27により眼瞼圧を検出する際には、圧力検出子27上の受け板28が眼瞼の内面に接触される。これにより、眼瞼の内面と圧力検出子27の表面との間に空間域が発生することを防止でき、眼瞼の圧力が受け板28を介して圧力検出子27に対し適正に伝えられる。よって、圧力検出子27により眼瞼圧を安定かつ正確に検出することができる。
【0032】
(2) この眼瞼圧センサにおいては、前記受け板28の周縁が断面凸状曲面に形成されている。このため、検出基板23の先端部を眼瞼と角膜との間の隙間に出し入れする際や眼瞼の圧力を検出する際に、眼瞼の内面と受け板28の周縁との接触による不快感等の負担が測定対象者にかかるおそれを防止することができる。
【0033】
(3) この眼瞼圧センサにおいては、前記受け板28の表面が球面状に形成されている。このため、検出基板23の先端部を眼瞼と角膜との間の隙間に挿入した際に、球面状をなす受け板28の表面を、眼瞼の内面に対して、空間域がほとんど生じることなく、かつ測定対象者が不快さを感じることなく良好に接触させることができる。
【0034】
(4) この眼瞼圧センサにおいては、前記受け板28が硬質合成樹脂によって構成されている。このため、受け板28に弾性変形を生じるおそれがなく、その受け板28を介して眼瞼の圧力を圧力検出子27に対して適正に伝えることができる。
【0035】
(5) この眼瞼圧センサにおいては、前記検出基板23の先端部に平面円形状の支持部232が形成され、その支持部232に同じく円形状の受け板28が設けられている。このため、検出基板23の先端部を測定対象者に負担がかかることなく、眼瞼と角膜との間に容易に出し入れすることができる。
【0036】
(6) この眼瞼圧センサにおいては、前記圧力検出子27が前記検出基板23の一側面に設けられている。そして、この検出基板23の他側面には温度検出子29が設けられている。このため、圧力検出子27による眼瞼圧の検出時に、温度検出子29により眼内温度を同時に検出することができる。よって、眼瞼圧の検出結果を眼内温度に基づいて適切に補正して、測定対象者ごとの眼内温度に即した眼瞼圧を正確に測定することができる。
【0037】
(7) この眼瞼圧センサにおいては、前記検出基板23がハンドル兼用のケース31に対して出し入れ可能に設けられている。このため、眼瞼圧センサ21の使用時には、検出基板23をケース31から突出させた状態で、ケース31をハンドルとして把持して、眼瞼圧の検出を容易に行うことができる。また、眼瞼圧センサ21の不使用時には、検出基板23をケース31内に没入させて、嵩張ることなく衛生的に保管することができる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した眼瞼圧センサの第2実施形態を前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0039】
この第2実施形態においては、図10に示すように、圧力検出子27を覆う受け板28が所定板厚の円板状に形成され、その表面がフラット状をなしている。そして、受け板28の外周縁が断面凸状曲面をなすように形成されている。
【0040】
従って、この第2実施形態によれば、前記第1実施形態における(1)、(2)及び(4)〜(7)に記載の効果とほぼ同様な効果を得ることができる。また、この第2実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0041】
(8) この眼瞼圧センサにおいては、受け板28が平板状に形成されているため、受け板28の製造や支持部232への固着が容易である。
(第3実施形態)
次に、この発明を具体化した眼瞼圧センサの第3実施形態を前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0042】
この第3実施形態においては、図11に示すように、検出基板23の先端に支持部232が円弧状に延びるように形成されている。支持部232の上面には、複数の圧力検出子27が間隔をおいて配置されている。支持部232の下面には、複数の温度検出子29が圧力検出子27と同位置になるように配置されている。支持部232の上面には、円弧状の受け板28が各圧力検出子27を覆うように設けられている。受け板28の外周縁は断面凸状曲面をなすように形成されるとともに、各受け板28の表面は球面状をなすように形成されている。
【0043】
そして、眼瞼圧の測定に際しては、各圧力検出子27及び各温度検出子29から検出信号が出力される。このため、眼瞼の異なる位置の圧力を測定できて、圧力分布を認識できる。
【0044】
従って、この第3実施形態によれば、前記第1実施形態における(1)〜(7)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(9) この実施形態の眼瞼圧センサにおいては、検出基板23の先端部に複数の圧力検出子27及び温度検出子29が同位置で並設されている。このため、検出基板23の先端部を上眼瞼または下眼瞼と角膜との間に1度挿入するのみで、上眼瞼または下眼瞼の複数箇所の眼瞼圧を同時に測定することができて、圧力分布を認識でき、眼瞼圧をより適切に測定できる。
【0045】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 検出基板23の支持部232の裏面(受け板28とは反対側の面、すなわち角膜に当たる面)を角膜・結膜の表面形状に沿うことができる凹面形状に形成すること。
【0046】
・ 検出基板23の基端の一部及び回路基板22を覆うようにハンドル兼用の固定ケースを取り付けるとともに、眼瞼圧センサ21の不使用時に、固定ケースから露出した検出基板23の部分にキャップを着脱可能に被覆装着するように構成すること。
【0047】
・ 圧力検出子27として、前記実施形態とは異なるタイプのもの、例えば圧電素子を用いたものを使用すること。
・ アーム部231の先端部の支持部232を円形状以外の形状、例えば長方形,正方形等の四角形や六角形等の多角形、あるいは楕円形等に変更すること。これらの場合、支持部232は、その付け根部から先端までの距離が2〜15mmが好ましく、8〜12mmがより好ましい。
【0048】
・ 温度検出子29を眼瞼の温度検出が可能であって、圧力検出子27の位置から外れた位置に設けること。
・ 圧力検出子27と温度検出子29とを基板23の支持部232の上面に重ねて設けること。
【0049】
(別の技術的思想)
さらに、上記実施形態により把握される技術的思想について、以下にそれらの効果とともに記載する。
【0050】
(A) 長尺状に形成されたフレキシブルな基板の先端部に圧力を検出するための圧力検出部を設けた眼瞼圧センサにおいて、
前記圧力検出部と同位置には温度検出部を設けたことを特徴とする眼瞼圧センサ。
【0051】
この構成によれば、圧力検出部による眼瞼圧の検出時に、圧力検出部と同位置において温度検出部により眼内温度を同時に検出することができる。よって、眼瞼圧及び眼内温度の検出結果に基づいて、測定対象者ごとの眼内温度に即した眼瞼圧を測定することができる。
【0052】
(B) 前記圧力検出部を基板の一側面に設けるとともに、前記温度検出部を基板の他側面に設けたことを特徴とする前記技術的思想(A)項に記載の眼瞼圧センサ。
この構成によれば、圧力検出部と温度検出部とを基板の両側面の同一位置に相互干渉することなく容易に配置することができる。
【符号の説明】
【0053】
21…眼瞼圧センサ、23…検出基板、232…支持部、27…圧力検出部、28…凸子29…温度検出部、31…ケース。
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