特許第6090854号(P6090854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6090854
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】コラーゲン産生促進用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/744 20150101AFI20170227BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20170227BHJP
   A61K 8/97 20170101ALI20170227BHJP
   A61K 8/99 20170101ALI20170227BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20170227BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   A61K35/744
   A61K35/74 A
   A61K8/99
   A61Q19/08
   A61Q19/00
   A61Q17/00
   A61P43/00 105
   A61P43/00 107
   A61P17/16
   A61P17/00
   A61P19/02
   A61P19/10
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-237108(P2013-237108)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-96475(P2015-96475A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2015年12月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物(パンフレット)の名称:「乳酸菌」配布場所:「ifia JAPAN 2013 第18回国際食品素材/添加物展・会議 HFE JAPAN 2013 第11回ヘルスフードエキスポ」(主催:株式会社食品化学新聞社、東京都江東区有明3丁目 東京ビッグサイト)配布日:平成25年5月15日〜同17日
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】小野 絵里
(72)【発明者】
【氏名】古賀 裕章
(72)【発明者】
【氏名】友澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】永峰 里花
(72)【発明者】
【氏名】鍔田 仁人
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【審査官】 佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−070305(JP,A)
【文献】 特開2005−307150(JP,A)
【文献】 特開2005−015348(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/025938(WO,A1)
【文献】 特開2001−316240(JP,A)
【文献】 特開2003−137807(JP,A)
【文献】 特開2010−143885(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/071132(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/002322(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00−35/768
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−99/00
A23L 5/40− 5/49
A23L 31/00−33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)の菌体又はその処理物を含有するコラーゲン産生促進用組成物。(コラーゲンを発現するように形質転換したペディオコッカス・アシディラクティシを含む組成物を除く)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲン産生促進用組成物に関する。また本発明は、美容用組成物、美容用食品添加物、美容用食品補助剤、美肌料、肌改善組成物、肌質改善性組成物、肌質向上製品、肌荒れ改善用経口料、抗老化組成物、加齢症状に伴う障害の改善/予防用組成物、皮膚弾力改善用組成物、皮膚弾力性組成物、皮膚柔軟化品、シワ改善用組成物、タルミ改善用組成物、皮膚コラーゲン増加用組成物、コラーゲン繊維増強製品、経口用皮膚強化用組成物、骨粗鬆症予防/改善用組成物、骨密度向上用組成物、骨強化用組成物、骨強度改善物、関節痛低減用組成物、紫外線障害による皮膚水分量低下抑制用組成物、抗UV用調製品、繊維芽細胞活性化組成物、細胞保護用組成物、美容方法及びスキンケアのための使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、生体タンパク質の約30%を占める生体骨格の主たる構造タンパク質である。コラーゲンを産生する細胞は、皮膚に存在する線維芽細胞、軟骨に存在する軟骨細胞、骨を形成する骨芽細胞などである。コラーゲンは、生体の支持組織として構造維持に重要な役割を果たしているほか、皮膚、血管、腱、歯など体内の殆どの組織に存在して細胞を保護し、細胞間因子として細胞の結合など重要な生理的役割を果たしている。このように、生体において重要な役割をもつコラーゲンも加齢による新陳代謝の低下に伴い減少し、老化の進行、病気や慢性疾患の回復の遅延など、加齢変化等に伴う様々な障害、疾患、疾病等の機能低下を引き起こすと考えられている。特に皮膚の老化は進行しやすく、老化の兆候も観察されやすい。皮膚老化を象徴するシワ及びタルミは皮膚の弾力性、柔軟性の低下が原因とされ、このような皮膚の老化はコラーゲンの減少に基づいている。
【0003】
更に、コラーゲンはカルシウムと共に骨を構成する成分としても重要で、強い骨を作るためにはコラーゲン合成が活発である必要があることが認識されてきており、骨粗鬆症の予防にも重要である。
【0004】
コラーゲン産生を促進する作用を有する組成物としてこれまでに様々なものが提案されている。例えば、特許文献1には、特定のラクトバチルス属乳酸菌の培養物とグルコサミン等とを含む美容組成物によりコラーゲン産生が促進されることが記載されている。また、特許文献2には、ラクトバチルス属等の特定の乳酸菌の菌体又は培養物が、コラーゲン産生促進作用を有することが記載されている。
【0005】
また、コラーゲンの摂取は、各種の組織に好ましい影響を与えうることが知られている。経口摂取したコラーゲンが吸収される過程として、消化管でコラーゲンが消化酵素によってアミノ酸又はアミノ酸が複数結合したオリゴペプチドに分解され、血液中へ移行するという過程が知られている。非特許文献1には、コラーゲンの経口摂取により、骨密度が向上したり、関節痛が低減したり、真皮の線維芽細胞数が増えコラーゲン線維の直径及び密度が大きくなったり、紫外線障害による皮膚の水分量低下が抑制された等が報告されている。したがって、体内へのコラーゲン吸収量を増加させることにより、骨や皮膚等の各種の組織を強化し、これにより、加齢変化等に伴う様々な障害、疾患、疾病等の機能低下を防止できる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−80340号公報
【特許文献2】特開2010−143885号公報
【特許文献3】WO2008/108298号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】皮革科学 Vol.56,No. 2,pp. 71 〜 79(2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、有効なコラーゲン産生促進用組成物を提供することにある。美容用組成物、美容用食品添加物、美容用食品補助剤、美肌料、肌改善組成物、肌質改善性組成物、肌質向上製品、肌荒れ改善用経口料、抗老化組成物、加齢症状に伴う障害の改善/予防用組成物、皮膚弾力改善用組成物、皮膚弾力性組成物、皮膚柔軟化品、シワ改善用組成物、タルミ改善用組成物、皮膚コラーゲン増加用組成物、コラーゲン繊維増強製品、経口用皮膚強化用組成物、骨粗鬆症予防/改善用組成物、骨密度向上用組成物、骨強化用組成物、骨強度改善物、関節痛低減用組成物、紫外線障害による皮膚水分量低下抑制用組成物、抗UV用調製品、繊維芽細胞活性化組成物、細胞保護用組成物を提供することにある。
【0009】
また、本発明は、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)の菌体又はその処理物を経口摂取する、美容方法を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)の菌体又はその処理物を経口的に摂取することを含む、美容方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)の菌体又はその処理物を経口的に摂取することを含む、スキンケアのための使用方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)の菌体又はその処理物を含有するコラーゲン産生促進用組成物、美容用組成物、美容用食品添加物、美容用食品補助剤、美肌料、肌改善組成物、肌質改善性組成物、肌質向上製品、肌荒れ改善用経口料、抗老化組成物、加齢症状に伴う障害の改善/予防用組成物、皮膚弾力改善用組成物、皮膚弾力性組成物、皮膚柔軟化品、シワ改善用組成物、タルミ改善用組成物、皮膚コラーゲン増加用組成物、コラーゲン繊維増強製品、経口用皮膚強化用組成物、骨粗鬆症予防/改善用組成物、骨密度向上用組成物、骨強化用組成物、骨強度改善物、関節痛低減用組成物、紫外線障害による皮膚水分量低下抑制用組成物、抗UV用調製品、繊維芽細胞活性化組成物、細胞保護用組成物を提供するものである。また本発明は、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)の菌体又はその処理物を経口摂取する又は経口的に摂取することを含む、美容方法及びスキンケアのための使用方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、有効なコラーゲン産生促進用組成物、美容用組成物、美容用食品添加物、美容用食品補助剤、美肌料、肌改善組成物、肌質改善性組成物、肌質向上製品、肌荒れ改善用経口料、抗老化組成物、加齢症状に伴う障害の改善/予防用組成物、皮膚弾力改善用組成物、皮膚弾力性組成物、皮膚柔軟化品、シワ改善用組成物、タルミ改善用組成物、皮膚コラーゲン増加用組成物、コラーゲン繊維増強製品、経口用皮膚強化用組成物、骨粗鬆症予防/改善用組成物、骨密度向上用組成物、骨強化用組成物、骨強度改善物、関節痛低減用組成物、紫外線障害による皮膚水分量低下抑制用組成物、抗UV用調製品、繊維芽細胞活性化組成物、細胞保護用組成物、美容方法及びスキンケアのための使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施例及び参考例におけるコラーゲン産生試験の結果を示すグラフである。
図2図2は、実施例及び参考例における線維芽細胞の生存率(乳酸菌投与24時間後)の結果を示すグラフである。
図3図3は、実施例及び参考例における線維芽細胞の生存率(乳酸菌投与6日後)の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。本発明はコラーゲン産生促進用組成物に関するものである。このような組成物は、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)の菌体又はその処理物が有するコラーゲンの産生促進作用を利用して、例えば、美容用組成物、美容用食品添加物、美容用食品補助剤、美肌料、肌改善組成物、肌質改善性組成物、肌質向上製品、肌荒れ改善用経口料、抗老化組成物、加齢症状に伴う障害の改善/予防用組成物、皮膚弾力改善用組成物、皮膚弾力性組成物、皮膚柔軟化品、シワ改善用組成物、タルミ改善用組成物、皮膚コラーゲン増加用組成物、コラーゲン繊維増強製品、経口用皮膚強化用組成物、骨粗鬆症予防/改善用組成物、骨密度向上用組成物、骨強化用組成物、骨強度改善物、関節痛低減用組成物、紫外線障害による皮膚水分量低下抑制用組成物、抗UV用調製品、繊維芽細胞活性化組成物、細胞保護用組成物として用いることができる。
以下、これらを全て本発明の組成物ともいう。
また、本発明は、これらの組成物を用いた美容方法及びスキンケアのための使用方法(以下、単に本発明の方法ともいう)に関する。
以下の説明は、特に断らない限り、本発明のコラーゲン産生促進用組成物、美容用組成物、美容用食品添加物、美容用食品補助剤、美肌料、肌改善組成物、肌質改善性組成物、肌質向上製品、肌荒れ改善用経口料、抗老化組成物、加齢症状に伴う障害の改善/予防用組成物、皮膚弾力改善用組成物、皮膚弾力性組成物、皮膚柔軟化品、シワ改善用組成物、タルミ改善用組成物、皮膚コラーゲン増加用組成物、コラーゲン繊維増強製品、経口用皮膚強化用組成物、骨粗鬆症予防/改善用組成物、骨密度向上用組成物、骨強化用組成物、骨強度改善物、関節痛低減用組成物、紫外線障害による皮膚水分量低下抑制用組成物、抗UV用調製品、繊維芽細胞活性化組成物、細胞保護用組成物、美容方法及びスキンケアのための使用方法のいずれにも当てはまる。
【0016】
本発明の組成物は、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)を含有する。ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)は、発酵食品に由来する乳酸菌の一種であり、その免疫賦活作用や抗酸化作用等が人体に良い影響を与える微生物、つまりプロバイオティクスとして知られている。
【0017】
本発明の組成物は、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)のうち、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)AC−K3株(以下、「AC−K3株」ともいう)を用いることを特徴の一つとする。AC−K3株はマッコリから分離された菌株であり、KCTC12039として韓国生命工学研究院のKorean
Collection for Type Culturesに登録されている菌株である。
【0018】
本発明で用いるペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)を培養する培地としては、特に制限はなく通常乳酸菌に使用される培地やその改変培地から適宜選択して用いることができる。例えば用いることができる培地成分としては、グルコース、オリゴ糖等の炭素源;ポリペプトン、酵母エキス、カゼイン等の窒素源;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の無機塩類などの乳酸菌の生育に好適な成分などが挙げられる。ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)を培養する培養形式は、特に限定されるものではなく、培養スケール等によって決められる。また、培地のpHや培養温度、培養時間等の培養条件は、従来ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)の培養に用いられていた条件を採用できる。
【0019】
本発明の組成物に含有させるペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)の菌体は、生菌であってもよく、死菌であってもよい。死菌である場合、本発明の組成物の品質管理が容易であるため好ましい。死菌は、例えば、生菌に対し、加熱処理、UV照射処理、細胞破砕等の殺菌処理を施すことにより得られる。
【0020】
本発明で用いるペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)の菌体の処理物としては、本発明で用いるペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)が有するコラーゲン産生促進作用等を損なわない限度で菌体に各種の処理を施したものを用いることができる。当該処理物としては、菌体に対し、抽出処理、超音波処理、破砕処理、酵素処理、有機溶媒(アセトン、エタノール等)による処理、乾燥処理等の処理を施したものを挙げることができる。本発明の組成物に用いる菌体の処理物としては、これらの処理のうち1種又は2種以上の処理を組み合わせて施したものを用いることができる。
【0021】
例えば、本発明のコラーゲン産生促進作用等を一層効果的に奏させる観点から、本発明の組成物で用いる菌体の処理物は、菌体に乾燥処理及び/又は抽出処理を施したものであることが好ましく、菌体の乾燥物又はその抽出物であることが特に好ましい。例えば、菌体の乾燥物としては、生菌をそのまま、又は殺菌後に凍結乾燥処理、噴霧乾燥処理若しくはドラム乾燥処理等により乾燥させた乾燥粉末等を挙げることができる。また、乾燥物の抽出物は、菌体の乾燥物を抽出液媒により抽出して得られる。この抽出物としては、乾燥粉末を抽出溶媒に懸濁し、得られた懸濁物を固液分離することにより得られた液体等を挙げることができる。懸濁には菌体の破砕を伴ってもよい。抽出溶媒としては、水性溶媒を用いることができる。水性溶媒としては、水、又は水に各種成分を溶解してなる水溶液、例えば各種の培地等を挙げることができる。
【0022】
前記の抽出物は、そのまま又は濃縮若しくは希釈して、液状、ゲル状又はペースト状の形状で用いることができる。あるいは抽出物は、更にこれらを乾燥した乾燥物の形状で用いることもできる。乾燥は、噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥、流動乾燥等の当業者が通常用いる方法により行われる。抽出物は、当業者が通常用いる精製方法により更に精製してもよい。
【0023】
本発明の組成物は、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)の菌体又はその処理物のみからなるものであってもよいが、コラーゲン産生促進効果又はこれらの効果に加えて他の効果も発現させる点から、該菌体又はその処理物以外のその他の成分を1又は2以上含んでいてもよい。その他の成分としては、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、特に制限はなく、本発明の組成物の剤形や求められるコラーゲン産生促進効果等のレベルや内容等に応じて適宜選択することができる。その他の成分の使用量は、本発明の組成物のコラーゲン産生促進効果等が十分に発現するように適宜調整される。
【0024】
本発明の組成物は、経口摂取するものであってもよく、経皮摂取するものであってもよい。本発明の組成物を経口摂取するものとする場合、前記のその他の成分としては、例えば、ビタミン類、タンパク質、水溶性食物線維、オリゴ糖、ミネラル類、ムコ多糖類、乳製品、豆乳製品、植物又は植物加工品、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)以外の乳酸菌、納豆菌、酪酸菌、麹菌、酵母などの微生物を配合することができる。更に必要に応じて通常食品分野で用いられる、糖類、甘味料、酸味料、着色料、増粘剤、光沢剤、製造用剤等を挙げることができる。その他の成分としては、これら以外にも、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料などを挙げることができる。その他の成分の含有量は、本発明の組成物の形態等に応じて適宜選択することができる。
【0025】
また、本発明の組成物を経口摂取するものとした場合、本発明の組成物の剤形としては、例えば、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、液状、飴状、ペースト状、クリーム状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、クッキー状、チュアブル状、シロップ状、スティック状等の各形態が挙げられる。
【0026】
本発明の組成物を経皮摂取するものとした場合、例えば、前記のその他の成分としては、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、水、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、機能性成分、動植物成分、酸化防止剤、キレート剤等を挙げることができる。
【0027】
また、本発明の組成物を経皮摂取するものとした場合、本発明の組成物の剤形としては、ローション、乳剤、ゲル、クリーム、軟膏剤、粉末、顆粒等を挙げることができる。これらは、医薬品・医薬部外品類、皮膚・頭髪用化粧品類、浴用剤等とすることができる。
【0028】
前記の皮膚・頭髪用化粧品類としては、柔軟性化粧水、収れん性化粧水、洗浄用化粧水等の化粧水類、エモリエントクリーム、モイスチュアクリーム、マッサージクリーム、クレンジングクリーム、メイクアップクリーム等のクリーム類、エモリエント乳液、モイスチュア乳液、ナリシング乳液、クレンジング乳液等の乳液類、ゼリー状パック、ピールオフパック、洗い流しパック、粉末パック等のパック類、美容液、洗顔料、養毛剤、育毛剤、パック、口紅、リップクリーム、ファンデーション、ションプー、リンス、トリートメント等を挙げることができる。
【0029】
以下では、本発明のコラーゲン産生促進用組成物について更に述べる。本発明のコラーゲン産生促進用組成物は、これを経口又は経皮摂取することにより、コラーゲンの産生を有効に促進させることができる。特に本発明のコラーゲン産生促進用組成物は、後述する実施例の記載から明らかな通り、線維芽細胞の生存率を6日間も向上させるという線維芽細胞の持続的な活性化作用を有し、これにより、線維芽細胞による皮膚中のコラーゲンの産生を効果的に増強することができる。これにより、本発明の組成物は加齢変化等に伴う皮膚の様々な障害、疾患、疾病等の機能低下を防止することができる。例えば、皮膚のターンオーバーを促して皮膚のハリ及び弾力性を改善すると共に潤いを与え、皮膚のたるみ、かさつき、肌荒れ、シワ等の皮膚トラブルを改善する効果を奏しうる。
【0030】
本発明の組成物におけるペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)の含有量は該組成物の用途や剤形、摂取方法の違いや求められる効果のレベル等によっても異なるが、一般に、本発明の組成物全体に対するペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)の菌体又は処理物の割合は、乾燥質量で0.0001質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
【0031】
また、本発明の組成物は、後述する実施例で示された線維芽細胞活性化やコラーゲン産生促進等の作用を奏することにより、美容用組成物、美容用食品添加物、美容用食品補助剤、美肌料、肌改善組成物、肌質改善性組成物、肌質向上製品、肌荒れ改善用経口料、抗老化組成物、加齢症状に伴う障害の改善/予防用組成物、皮膚弾力改善用組成物、皮膚弾力性組成物、皮膚柔軟化品、シワ改善用組成物、タルミ改善用組成物、皮膚コラーゲン増加用組成物、コラーゲン繊維増強製品、経口用皮膚強化用組成物、骨粗鬆症予防/改善用組成物、骨密度向上用組成物、骨強化用組成物、骨強度改善物、関節痛低減用組成物、紫外線障害による皮膚水分量低下抑制用組成物、抗UV用調製品、繊維芽細胞活性化組成物、細胞保護用組成物としても有効である。また、本発明の方法は、後述する実施例で示された線維芽細胞活性化やコラーゲン産生促進等の作用を奏することにより、美容方法及びスキンケアのための使用方法として有効である。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。しかし本発明の範囲はかかる実施例に限定されない。以下、特に断らない場合「%」は質量%、「部」は質量部を表す。
【0033】
〔実施例1〕
ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici) ACK−3株(KCTC12039。製品名「AMANLAC ACE1」。amBio社より入手)の死菌の粉末を用いた。
まず、エッペンドルフチューブに、5%のウシ胎児血清(Life
Technologies社製)を含有するHam-F12培地(シグマ社製)(以下、5%FBS含有Ham-F12培地と記載する)を1 mL入れた。このエッペンドルフチューブに、前記の粉末を10mg(1.0 x 109 cfu)入れた。エッペンドルフチューブを1時間ボルテックスミキサーにかけて懸濁液を調製した。次に、エッペンドルフチューブを10,000 x g、10 min、4℃の条件で遠心分離にかけた。得られた上清を回収して、5%FBS含有Ham-F12培地で10倍希釈した。得られた希釈物を、0.2 μmのフィルターでろ過滅菌し、得られたろ液を原液とした。この原液を、5%FBS含有Ham-F12培地で10倍、100倍、1000倍にそれぞれ希釈して10倍希釈サンプル、100倍希釈サンプル、1000倍希釈サンプルとした。
【0034】
〔参考例1〕
5%FBS含有Ham-F12培地をそのままサンプルとして用いたものを、陰性コントロールである参考例1とした。
【0035】
〔参考例2〕
アスコルビン酸Na(和光純薬社製)を、5%FBS含有Ham-F12培地に溶解後、得られた溶液を同培地で希釈して、アスコルビン酸の濃度が100μg/mLとなるように調製した。
【0036】
前記で供した実施例1のサンプル及び参考例1及び2の各サンプルを以下の<コラーゲン産生試験及び線維芽細胞試験>に供した。
【0037】
<コラーゲン産生試験及び線維芽細胞試験>
(1)線維芽細胞の前培養
理化学研究所から入手した胎児皮膚由来正常線維芽細胞(HFSKF-II)を用いた。この線維芽細胞を、15%FBS含有Ham-F12培地で継代し、2.0 x 104
cells/wellの密度で96 well plateに播種した。この線維芽細胞を24時間、37℃で前培養した。
【0038】
(2)コラーゲン量の測定
(1)で前培養した96 well plate中の培地を、実施例1、参考例1、2のサンプル(実施例1の場合は100倍希釈のサンプル)に置換した後、24時間、37℃で本培養した。その後、各wellから培地上清を180μLずつ、3wellの上清を1つにまとめるようにしてエッペンチューブに回収した。得られた培地上清を50倍希釈した。この希釈した培地上清中のコラーゲン量を、Procollagen Type
I C-peptide(PIP) EIA Kit (タカラバイオ社製)を用いて測定した。測定の手順はキット付属のプロトコールに記載の通りとした。実施例1及び参考例2で得られたコラーゲン量を、参考例1で得られたコラーゲン量を100としたときの該コラーゲン量に対する比(%)として図1に示す。
【0039】
(3)細胞生存率の測定
(1)で前培養した96 well plate中の培地を、実施例1、参考例1、2のサンプル(実施例1の場合は10倍、100倍及び1000倍希釈の各サンプル)で置換した。培地置換後の線維芽細胞を24時間及び144時間(6日間)それぞれ本培養した。その後、各wellから培地上清を除去した。次いで、無血清Ham-F12培地100 μLで各well中の線維芽細胞を洗浄した。その後、無血清Ham-F12培地で30倍希釈したWST-8試薬 (同仁化学社製)を各wellに150 μLずつ添加した。37℃で2時間インキュベーションした後、450 nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Thermo electron製VARIOSKAN)で測定した。得られた吸光度の平均値(n=3)を求め、参考例1で得られた吸光度の平均値を100としたときの該吸光度に対する比(%)を算出し、これを細胞生存率とした。サンプル添加後、24時間培養した線維芽細胞の生存率を図2に示す。また、サンプル添加後、6日間培養した線維芽細胞の生存率を図3に示す
【0040】
図1に示すように、AC−K3株を線維芽細胞に添加した実施例1では、アスコルビン酸ナトリウムを用いた陽性コントロールである参考例2と同様に、コラーゲン産生量が増加することが判る。また、AC−K3株を線維芽細胞に添加した実施例1では、図2に示すように、添加24時間後において線維芽細胞の生存率が向上していた。この線維芽細胞の生存率の向上は、図3に示すように、添加6日後においても示された。これに対して、陽性コントロールであるアスコルビン酸ナトリウムは、添加6日後に細胞生存率が大きく低下していた。以上から、AC−K3株には、線維芽細胞を活性化してコラーゲン産生量を増加させること、特に、線維芽細胞を持続的に活性化できることにより、コラーゲン産生を持続的に増加させうることが判る。


図1
図2
図3