特許第6090903号(P6090903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6090903-ロータリースクリーン印刷機 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6090903
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】ロータリースクリーン印刷機
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/12 20060101AFI20170227BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20170227BHJP
   B41F 13/00 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   B41F15/12 B
   B41F15/08 302D
   B41F13/00
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-236236(P2012-236236)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-83816(P2014-83816A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000184735
【氏名又は名称】株式会社小森コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】日下 明広
【審査官】 亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−085096(JP,A)
【文献】 特開2007−331223(JP,A)
【文献】 特開平09−239946(JP,A)
【文献】 特表2003−520708(JP,A)
【文献】 特開2004−025690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/12
B41F 13/00
B41F 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを送給する給紙ユニットと、
前記給紙ユニットからの前記シートを上方で受け取って保持して搬送する第一の圧胴と、前記第一の圧胴の、前記給紙ユニット側の側方に対接して当該第一の圧胴に保持されている当該シートにスクリーン印刷を施す第一のロータリースクリーン胴とを有する第一のスクリーン印刷ユニットと、
前記第一のスクリーン印刷ユニットの前記シートの搬送方向下流側に配設され、前記第一のスクリーン印刷ユニットの前記第一の圧胴からの前記シートを上方で受け取って保持して搬送する第二の圧胴と、前記第二の圧胴の、前記給紙ユニット側の側方に対接して当該第二の圧胴に保持されている前記シートにスクリーン印刷を施す第二のロータリースクリーン胴とを有する第二のスクリーン印刷ユニットと、
前記第二のスクリーン印刷ユニットの前記シートの搬送方向上流側に配設されて前記第一のスクリーン印刷ユニットで印刷された前記シートの印刷面を乾燥させる第一の乾燥手段と
を備えていることを特徴とするロータリースクリーン印刷機。
【請求項2】
請求項1に記載のロータリースクリーン印刷機において、
前記第一の乾燥手段が、前記第一のスクリーン印刷ユニットの前記第一の圧胴に対向するように配設されている
ことを特徴とするロータリースクリーン印刷機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のロータリースクリーン印刷機において、
前記第一のスクリーン印刷ユニットと前記第二のスクリーン印刷ユニットとの間に配設されて、当該第一のスクリーン印刷ユニットからの前記シートの一方面と他方面とを反転させて当該第二のスクリーン印刷ユニットへ受け渡すように当該シートを保持して搬送する反転ユニットを備えている
ことを特徴とするロータリースクリーン印刷機。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のロータリースクリーン印刷機において、
前記第一のスクリーン印刷ユニットの前記第一のロータリースクリーン胴及び前記第二のスクリーン印刷ユニットの前記第二のロータリースクリーン胴が、
絵柄に応じた小孔を形成された円筒状の版材と、
前記版材の内部に配設されて当該版材の回転に伴って上部に溜まるスクリーン印刷用液体を先端部で当該版材の前記小孔から押し出して前記圧胴側へ供給するスキージと
を備えていることを特徴とするロータリースクリーン印刷機。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のロータリースクリーン印刷機において、
前記第一のスクリーン印刷ユニットの前記第一の圧胴の前記第一のロータリースクリーン胴との対接位置よりも回転方向下流側に対接して当該第一の圧胴からの前記シートの受け取りを行う胴が、下側から上側へ向かって回転する側で当該第一の圧胴に対接する位置に配設され、
前記第二のスクリーン印刷ユニットの前記第二の圧胴の前記第二のロータリースクリーン胴との対接位置よりも回転方向下流側に対接して当該第二の圧胴からの前記シートの受け取りを行う胴が、下側から上側へ向かって回転する側で当該第二の圧胴に対接する位置に配設されている
ことを特徴とするロータリースクリーン印刷機。
【請求項6】
請求項5に記載のロータリースクリーン印刷機において、
前記第一のスクリーン印刷ユニットの前記第一の圧胴からの前記シートの受け取りを行う前記胴及び前記第二のスクリーン印刷ユニットの前記第二の圧胴からの前記シートの受け取りを行う前記胴が、前記シートを保持して搬送するものである
ことを特徴とするロータリースクリーン印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリースクリーン印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
シートにスクリーン印刷を施すロータリースクリーン印刷機としては、例えば、下記特許文献1等に記載されたものが知られている。この特許文献1等に記載されているロータリースクリーン印刷機は、一つの圧胴に二つのロータリースクリーン胴を対接させており、シートに対して二種類のスクリーン印刷を施すことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4260885号公報
【特許文献2】特開2002−011847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したような特許文献1等に記載されているロータリースクリーン印刷機においては、最初のロータリースクリーン胴でシートに印刷されたインキが、次のロータリースクリーン胴に接触してしまうと、押さえ付けられたり擦られたりしてしまい、印刷不良を生じてしまうことから、最初のロータリースクリーン胴によってシートに印刷する領域と、次のロータリースクリーン胴によってシートに印刷する領域とが重ならないようにしなければならず、各ロータリースクリーン胴によってシートに印刷可能な上記各領域に制限を生じてしまっていた。
【0005】
このようなことから、本発明は、複数のロータリースクリーン胴によってシートに印刷する領域が重なっても、シートに問題なくスクリーン印刷を施すことができるロータリースクリーン印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するための、本発明に係るロータリースクリーン印刷機は、シートを送給する給紙ユニットと、前記給紙ユニットからの前記シートを上方で受け取って保持して搬送する第一の圧胴と、前記第一の圧胴の、前記給紙ユニット側の側方に対接して当該第一の圧胴に保持されている当該シートにスクリーン印刷を施す第一のロータリースクリーン胴とを有する第一のスクリーン印刷ユニットと、前記第一のスクリーン印刷ユニットの前記シートの搬送方向下流側に配設され、前記第一のスクリーン印刷ユニットの前記第一の圧胴からの前記シートを上方で受け取って保持して搬送する第二の圧胴と、前記第二の圧胴の、前記給紙ユニット側の側方に対接して当該第二の圧胴に保持されている前記シートにスクリーン印刷を施す第二のロータリースクリーン胴とを有する第二のスクリーン印刷ユニットと、前記第二のスクリーン印刷ユニットの前記シートの搬送方向上流側に配設されて前記第一のスクリーン印刷ユニットで印刷された前記シートの印刷面を乾燥させる第一の乾燥手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るロータリースクリーン印刷機は、上述したロータリースクリーン印刷機において、前記第一の乾燥手段が、前記第一のスクリーン印刷ユニットの前記第一の圧胴に対向するように配設されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るロータリースクリーン印刷機は、上述したロータリースクリーン印刷機において、前記第一のスクリーン印刷ユニットと前記第二のスクリーン印刷ユニットとの間に配設されて、当該第一のスクリーン印刷ユニットからの前記シートの一方面と他方面とを反転させて当該第二のスクリーン印刷ユニットへ受け渡すように当該シートを保持して搬送する反転ユニットを備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るロータリースクリーン印刷機は、上述したロータリースクリーン印刷機において、前記第一のスクリーン印刷ユニットの前記第一のロータリースクリーン胴及び前記第二のスクリーン印刷ユニットの前記第二のロータリースクリーン胴が、絵柄に応じた小孔を形成された円筒状の版材と、前記版材の内部に配設されて当該版材の回転に伴って上部に溜まるスクリーン印刷用液体を先端部で当該版材の前記小孔から押し出して前記圧胴側へ供給するスキージとを備えていることを特徴とする。
また、本発明に係るロータリースクリーン印刷機は、上述したロータリースクリーン印刷機において、前記第一のスクリーン印刷ユニットの前記第一の圧胴の前記第一のロータリースクリーン胴との対接位置よりも回転方向下流側に対接して当該第一の圧胴からの前記シートの受け取りを行う胴が、下側から上側へ向かって回転する側で当該第一の圧胴に対接する位置に配設され、前記第二のスクリーン印刷ユニットの前記第二の圧胴の前記第二のロータリースクリーン胴との対接位置よりも回転方向下流側に対接して当該第二の圧胴からの前記シートの受け取りを行う胴が、下側から上側へ向かって回転する側で当該第二の圧胴に対接する位置に配設されていることを特徴とする。
また、本発明に係るロータリースクリーン印刷機は、上述したロータリースクリーン印刷機において、前記第一のスクリーン印刷ユニットの前記第一の圧胴からの前記シートの受け取りを行う前記胴及び前記第二のスクリーン印刷ユニットの前記第二の圧胴からの前記シートの受け取りを行う前記胴が、前記シートを保持して搬送するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るロータリースクリーン印刷機によれば、第一のスクリーン印刷ユニット第一のロータリースクリーン胴でスクリーン印刷されたシートを第一の乾燥手段で乾燥してから、第二のスクリーン印刷ユニットの第二のロータリースクリーン胴でスクリーン印刷できることから、第一のスクリーン印刷ユニットの第一のロータリースクリーン胴でシートに印刷されたスクリーン印刷用液体が、第二のスクリーン印刷ユニットの第二のロータリースクリーン胴に接触して、押さえ付けられたり擦られたりしても、印刷不良を生じてしまうことを著しく抑制することができるので、第一のスクリーン印刷ユニットの第一のロータリースクリーン胴によってシートにスクリーン印刷する領域と第二のスクリーン印刷ユニットの第二のロータリースクリーン胴によってシートにスクリーン印刷する領域との間に制限を生じることがないので、上記領域が重なっても、シートに問題なくスクリーン印刷を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るロータリースクリーン印刷機の主な実施形態の概略構成図である。
図2図1のロータリースクリーン印刷機の第一のスクリーン印刷ユニットの要部の概略構成図である。
図3図1のロータリースクリーン印刷機の第二のスクリーン印刷ユニットの要部の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るロータリースクリーン印刷機の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は、図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0013】
[主な実施形態]
本発明に係るロータリースクリーン印刷機の主な実施形態を図1〜3に基づいて説明する。
【0014】
図1に示すように、給紙台111上のシート1を一枚ずつ送給する給紙ユニットである給紙装置110のフィーダボード112の先端側には、渡胴120aが配設されており、当該渡胴120aは、スイング装置113を介して上記フィーダボード112からのシート1を一枚ずつ受け取ることができるようになっている。前記渡胴120aには、渡胴120bが対接している。前記渡胴120bには、渡胴120cが対接している。前記渡胴120cには、渡胴120dが対接している。
【0015】
前記渡胴120dの下方には、第一のスクリーン印刷ユニット120の圧胴(第一の圧胴)121が対接している。言い換えれば、前記渡胴120dは、前記圧胴121の上方に位置するように対接している。前記圧胴121の、前記渡胴120dとの対接位置よりも回転方向下流側の側方には、ロータリースクリーン胴(第一のロータリスクリーン胴)122が対接しており、当該ロータリースクリーン胴122は、その軸心位置が上記圧胴121の軸心位置と略同じ高さ位置となるように設定されている。
【0016】
図2に示すように、前記ロータリースクリーン胴122は、前記渡胴120dから前記圧胴121のくわえ装置(シート保持装置)121bにくわえ替えされて当該圧胴121上を搬送されるシート1の外側の面にスクリーン印刷を施すことができるようになっている。
【0017】
前記ロータリースクリーン胴122は、絵柄に応じた小孔をエッチングした円筒状の版材であるスクリーン122aが巻装され、その内部に、径方向へ移動できるように両端側をフレームに支持されてインキやニス等(スクリーン印刷用液体)を供給するスキージシャフト122bと、当該スキージシャフト122bから供給されたインキやニス等を前記スクリーン122aの小孔から押し出して前記圧胴121側に供給するスキージ122cとが設けられ、当該スキージ122cと当該スキージシャフト122bとによってスキージ部が構成されており、当該スキージ122cの先端部を通る水平面Hと当該スキージ122cとのなす角度(スキージ設置角度)θが、0°以上(θ≧0°)となるように当該スキージ部が設定されている。
【0018】
前記圧胴121の切欠き部121aの一方側の端部と他方側の端部との間には、当該圧胴121の外周面と略同一の曲率を有する案内面121caを有するギャップガード121cが当該切欠き部121aを覆って当該圧胴121の外周面を連続させるように配設されている。
【0019】
また、前記くわえ装置121bは、前記圧胴121の切欠き部121a内に配設されており、爪軸121baの回動により爪121bbが開閉してシートを保持及び解放することができるようになっている。前記爪121bbの外側面には、前記切欠き部121aの一方側端部で前記圧胴121の外周面と連続するように当該圧胴121の外周面と略同一の曲率を有する案内面121bbaが形成されており、前記ロータリースクリーン胴122が上記切欠き部121a内に落ち込んだり、上記爪121bbによってへこまされたりすることを防止でき、前記スクリーン122aの長寿命化を図ることができるようになっている。
【0020】
図1に示すように、前記第一のスクリーン印刷ユニット120の前記圧胴121の、前記ロータリースクリーン胴122との対接位置よりも回転方向下流側には、反転ユニット130の吸着胴131が対接している。前記吸着胴131の、前記圧胴121との対接位置よりも回転方向下流側には、反転胴132が対接している。前記反転胴132の、前記吸着胴131との対接位置よりも回転方向下流側には、渡胴140aが対接している。
【0021】
上記反転ユニット130は、前記第一のスクリーン印刷ユニット120の前記圧胴121から受け渡された前記シート1を、一方面と他方面とを反転させることなく保持して搬送して、前記渡胴140aに受け渡すことと、一方面と他方面とを反転させるように保持して搬送して、前記渡胴140aに受け渡すこととを、必要に応じて選択切換することができるようになっている(具体的な構造は、例えば、前記特許文献2等参照)。
【0022】
前記圧胴121の、前記ロータリースクリーン胴122との対接位置よりも回転方向下流側と前記吸着胴131との対接位置よりも回転方向上流側との間には、前記ロータリースクリーン胴122によってシート1にスクリーン印刷した印刷面のインキやニス等(スクリーン印刷用液体)を乾燥させる第一の乾燥手段である第一の乾燥器151が当該圧胴121に対向するようにして配設されている。
【0023】
前記渡胴140aの、前記反転胴132との対接位置よりも回転方向下流側には、第二のスクリーン印刷ユニット140の圧胴(第二の圧胴)141が対接している。言い換えれば、前記渡胴140aは、前記圧胴141の上方に位置するように対接している。前記圧胴141の、前記渡胴140aとの対接位置よりも回転方向下流側の側方には、ロータリースクリーン胴(第二のロータリースクリーン胴)142が対接しており、当該ロータリースクリーン胴142は、その軸心位置が上記圧胴141の軸心位置と略同じ高さ位置となるように設定されている。
【0024】
図3に示すように、前記第二のスクリーン印刷ユニット140は、前記第一のスクリーン印刷ユニット120と同様にして構成されている。具体的には、前記ロータリースクリーン胴142は、前記ロータリースクリーン胴122と同様に、前記渡胴140aから前記圧胴141のくわえ装置(シート保持装置)141bにくわえ替えされて当該圧胴141上を搬送されるシート1の外側の面にスクリーン印刷を施すことができるようになっている。
【0025】
そして、前記ロータリースクリーン胴142は、前記ロータリースクリーン胴122と同様に、スクリーン142aと、スキージシャフト142bと、スキージ142cとを備え、当該スキージ142cと当該スキージシャフト142bとによってスキージ部が構成され、当該スキージ142cの先端部を通る水平面Hと当該スキージ142cとのなす角度(スキージ設置角度)θが、0°以上(θ≧0°)となるように当該スキージ部が設定されている。
【0026】
また、前記圧胴141は、前記圧胴121と同様に、案内面141caを有するギャップガード141cが切欠き部141aに配設されている。
【0027】
また、前記くわえ装置141bは、前記くわえ装置121bと同様に、前記圧胴141の切欠き部141a内に配設され、爪軸141baの回動により爪141bbが開閉してシートを保持及び解放することができると共に、上記爪141bbの外側面に案内面141bbaが形成されることにより、前記ロータリースクリーン胴142が上記切欠き部141a内に落ち込んだり、上記爪141bbによってへこまされたりすることを防止でき、前記スクリーン142aの長寿命化を図ることができるようになっている。
【0028】
図1に示すように、前記第二のスクリーン印刷ユニット140の前記圧胴141の、前記ロータリースクリーン胴142との対接位置よりも回転方向下流側には、排紙ユニットである排紙装置160の排紙胴161が対接している。前記排紙胴161には、図示しないスプロケットが同軸をなして設けられている。前記スプロケットには、爪竿を複数設けたエンドレスの排紙チェーン162が巻き掛けられている。前記排紙チェーン162の下方には、当該排紙チェーン162の走行方向に沿って複数(本実施形態では3つ)の積載部である排紙台163A〜163Cが配設されている。
【0029】
前記排紙チェーン162の上方には、当該排紙チェーン162の前記爪竿に加えられたシート1をバタつかせることなく搬送案内するシートガイド164が配設されている。前記シートガイド164の下方には、前記第二のスクリーン印刷ユニット140の前記ロータリースクリーン胴142によってシート1にスクリーン印刷した印刷面のインキやニス等(スクリーン印刷用液体)を乾燥させる第二の乾燥手段である第二の乾燥器152が前記排紙チェーン162を間に介在させるようにして配設されている。
【0030】
また、前記第二のスクリーン印刷ユニット140の前記圧胴141の、前記ロータリースクリーン胴142との対接位置よりも回転方向下流側と前記排紙胴161との対接位置よりも回転方向上流側との間には、当該圧胴141に保持されて搬送されている前記シート1の外側の面の印刷状態を検査する検査カメラ171が配設されている。
【0031】
このような本実施形態に係るロータリースクリーン印刷機100の作動を次に説明する。
【0032】
例えば、シート1の一方面のみに二種類のスクリーン印刷を施す場合には、まず、前記第一のスクリーン印刷ユニット120の前記圧胴121からの前記シート1の一方面と他方面とを反転させることなく前記渡胴140aに受け渡すように前記反転ユニット130を設定する。
【0033】
そして、前記給紙装置110から前記給紙台111上のシート1を一枚ずつ送給すると、当該シート1は、前記フィーダボード112から前記スイング装置113によって前記渡胴120aに受け渡されてから前記渡胴120b〜120dを介して前記第一のスクリーン印刷ユニット120の前記圧胴121に受け渡されて一方面を外側に向けるようにして保持されて搬送されながら前記ロータリスクリーン胴122で一方面にインキやニス等(スクリーン印刷用液体)をスクリーン印刷された後、前記第一の乾燥器151で乾燥されてから、前記反転ユニット130の前記吸着胴131及び前記反転胴132並びに前記渡胴140aを介して前記第二のスクリーン印刷ユニット140の前記圧胴141に一方面を外側に向けるように保持されながら搬送される。
【0034】
前記圧胴141に一方面を外側に向けるように保持された前記シート1は、前記ロータリースクリーン胴142で一方面にインキやニス等(スクリーン印刷用液体)をさらにスクリーン印刷される。このとき、前記第一のスクリーン印刷ユニット120の前記ロータリースクリーン胴122で上記シート1の一方面に先にスクリーン印刷されていたインキやニス等(スクリーン印刷用液体)は、前記第一の乾燥器151で既に乾燥されていることから、当該ロータリースクリーン胴142が接触して押さえ付けられたり擦られたりしても、印刷不良となることがない。
【0035】
このようにして前記第二のスクリーン印刷ユニット140で一方面にスクリーン印刷をさらに施された前記シート1は、前記検査カメラ171で検査されてから、前記排紙装置160の前記排紙胴161を介して前記排紙チェーン162の前記爪竿に保持されて搬送され、前記シートガイド164でバタつきを抑えられながら前記第二の乾燥器152によって、前記第二のスクリーン印刷ユニット140の前記ロータリースクリーン胴142で一方面にさらにスクリーン印刷されたインキやニス等(スクリーン印刷用液体)を乾燥される。
【0036】
このようにしてスクリーン印刷されたインキやニス等(スクリーン印刷用液体)をすべて乾燥された前記シート1は、前記検査カメラ171での検査結果に基づき、印刷状態が正常である場合、前記排紙台163A,163B上に排紙されて積載される一方、印刷状態が不良である場合、前記排紙台163C上に排紙されて積載される。
【0037】
他方、例えば、シート1の一方面と他方面とにそれぞれスクリーン印刷を施す場合には、前記第一のスクリーン印刷ユニット120の前記圧胴121からの前記シート1の一方面と他方面とを反転させて前記渡胴140aに受け渡すように前記反転ユニット130を設定する。
【0038】
そして、前記給紙装置110から前記給紙台111上のシート1を一枚ずつ送給すると、当該シート1は、先に説明した場合と同様に、前記フィーダボード112から前記スイング装置113によって前記渡胴120aに受け渡されてから前記渡胴120b〜120dを介して前記第一のスクリーン印刷ユニット120の前記圧胴121に受け渡されて一方面を外側に向けるようにして保持されて搬送されながら前記ロータリスクリーン胴122で一方面にインキやニス等(スクリーン印刷用液体)をスクリーン印刷された後、前記第一の乾燥器151で乾燥されてから、前記反転ユニット130の前記吸着胴131及び前記反転胴132で反転され(具体的な作動は、例えば、前記特許文献2等参照)、前記渡胴140aを介して前記第二のスクリーン印刷ユニット140の前記圧胴141に他方面を外側に向けるように保持されながら搬送される。
【0039】
前記圧胴141に他方面を外側に向けるように保持された前記シート1は、前記ロータリースクリーン胴142で他方面にインキやニス等(スクリーン印刷用液体)をスクリーン印刷される。このとき、前記第一のスクリーン印刷ユニット120の前記ロータリースクリーン胴122で上記シート1の一方面にスクリーン印刷されていたインキやニス等(スクリーン印刷用液体)は、前記第一の乾燥器151で既に乾燥されていることから、当該ロータリースクリーン胴142が当該シート1に接触して前記圧胴141に押さえ付けられたり擦られたりしても、印刷不良となることがない。
【0040】
このようにして前記第二のスクリーン印刷ユニット140で他方面にスクリーン印刷をさらに施された前記シート1は、先に説明した場合と同様に、前記検査カメラ171で検査されてから、前記排紙装置160の前記排紙胴161を介して前記排紙チェーン162の前記爪竿に保持されて搬送され、前記シートガイド164でバタつきを抑えられながら前記第二の乾燥器152によって、前記第二のスクリーン印刷ユニット140の前記ロータリースクリーン胴142で他方面にスクリーン印刷されたインキやニス等(スクリーン印刷用液体)を乾燥される。
【0041】
このようにしてスクリーン印刷されたインキやニス等(スクリーン印刷用液体)をすべて乾燥された前記シート1は、先に説明した場合と同様に、前記検査カメラ171での検査結果に基づき、印刷状態が正常である場合、前記排紙台163A,163B上に排紙されて積載される一方、印刷状態が不良である場合、前記排紙台163C上に排紙されて積載される。
【0042】
つまり、本実施形態に係るロータリースクリーン印刷機100においては、前記第一のスクリーン印刷ユニット120の前記ロータリスクリーン胴122でインキやニス等(スクリーン印刷用液体)をスクリーン印刷されたシート1を前記第一の乾燥器151で乾燥してから、前記第二のスクリーン印刷ユニット140の前記ロータリースクリーン胴142でインキやニス等(スクリーン印刷用液体)をスクリーン印刷するようにしたのである。
【0043】
このため、本実施形態に係るロータリースクリーン印刷機100においては、前記第一のスクリーン印刷ユニット120の前記ロータリースクリーン胴122でシート1に印刷されたインキやニス等(スクリーン印刷用液体)が、前記第二のスクリーン印刷ユニット140の前記ロータリースクリーン胴142に接触して、押さえ付けられたり擦られたりしても、印刷不良を生じてしまうことを著しく抑制することができる。
【0044】
したがって、本実施形態に係るロータリースクリーン印刷機100によれば、前記第一のスクリーン印刷ユニット120の前記ロータリースクリーン胴122によってシート1にスクリーン印刷する領域と前記第二のスクリーン印刷ユニット140の前記ロータリースクリーン胴142によってシート1にスクリーン印刷する領域との間に制限を生じることがないので、上記領域が重なっても、シート1に問題なくスクリーン印刷を施すことができる。
【0045】
このため、例えば、前記特許文献1等に記載されているように、ロータリースクリーン胴の、円筒状の版材であるスクリーンを凹凸状に形成したり、スキージを櫛状に形成したりする必要がないので、スクリーンやスキージにかかるコストの上昇を抑えることができるのはもちろんのこと、スクリーンやスキージの劣化を抑制することができると共に、スクリーンに対するスキージの押圧力の低下を防止して高品質なスクリーン印刷を維持することができる。
【0046】
また、前記第一,二のスクリーン印刷ユニット120,140の前記ロータリースクリーン胴122,142が、前記圧胴121,141の側方に対接するように配設されている、すなわち、前記ロータリースクリーン胴122,142の下部に前記圧胴121,142が位置していないので、印刷時に何らかの原因で前記ロータリースクリーン胴122,142の前記スクリーン122a,142aが万が一破損したとしても、当該ロータリースクリーン胴122,142の内部のインキやニス等(スクリーン印刷用液体)による被害が当該圧胴121,141等に及ぶことを最小限に抑えることができ、信頼性を高めることができる。
【0047】
また、前記第一のスクリーン印刷ユニット120と前記第二のスクリーン印刷ユニット140との間に前記反転ユニット130を配設しているので、シート1の一方面及び他方面の片方又は両方にスクリーン印刷を施すことができる。
【0048】
[他の実施形態]
なお、前述した実施形態においては、前記第一の乾燥器151を前記第一のスクリーン印刷ユニット120の前記圧胴121に対向させるようにして配設することにより、当該第一のスクリーン印刷ユニット120の前記ロータリースクリーン胴122でシート1にスクリーン印刷されたインキやニス等(スクリーン印刷用液体)を乾燥させるようにしたが、他の実施形態として、前記反転ユニット130を省略して、例えば、前記吸着胴131及び前記反転胴132に代えて二つの渡胴を配設した場合には、前記反転胴132に代えて配設した渡胴に対向させるようにして第一の乾燥器151を配設することにより、前記第一のスクリーン印刷ユニット120の前記ロータリースクリーン胴122でシート1にスクリーン印刷されたインキやニス等(スクリーン印刷用液体)を乾燥させるようにすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係るロータリースクリーン印刷機は、第一のスクリーン印刷ユニットの第一のロータリースクリーン胴によってシートにスクリーン印刷する領域と第二のスクリーン印刷ユニットの第二のロータリースクリーン胴によってシートにスクリーン印刷する領域との間に制限を生じることがなく、上記領域が重なっても、シートに問題なくスクリーン印刷を施すことができるので、印刷産業において、極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 シート
100 ロータリースクリーン印刷機
110 給紙装置
111 給紙台
112 フィーダボード
113 スイング装置
120 第一のスクリーン印刷ユニット
120a〜120d 渡胴
121 圧胴(第一)
122 ロータリースクリーン胴(第一)
130 反転ユニット
131 吸着胴
132 反転胴
140 第二のスクリーン印刷ユニット
140a 渡胴
141 圧胴(第二)
142 ロータリースクリーン胴(第二)
151 第一の乾燥器
152 第二の乾燥器
160 排紙装置
161 排紙胴
162 排紙チェーン
163A〜163C 排紙台
164 シートガイド
171 検査カメラ
図1
図2
図3