特許第6090909号(P6090909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6090909
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】スパウト及び容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/38 20060101AFI20170227BHJP
   B65D 47/10 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   B65D33/38
   B65D47/10
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-280337(P2012-280337)
(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2014-122067(P2014-122067A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100112818
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 昭久
(73)【特許権者】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 真司
(72)【発明者】
【氏名】石井 理恵
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 文人
(72)【発明者】
【氏名】稲川 義則
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−220835(JP,A)
【文献】 特開2010−195457(JP,A)
【文献】 特開2003−095287(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/024579(WO,A1)
【文献】 特開2011−51644(JP,A)
【文献】 特開平11−263354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D30/00−33/38
B65D35/44−35/54
B65D39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の本体部にスパウトが固定されて注出部が形成されている容器であって、
前記注出部は、切断されて注出口を生じるものであり、
前記スパウトは、台座部と、可撓性シートからなる開封筒状部とを有し、
前記台座部は、前記本体部に接合される接合基部とノズル部とを有し、前記開封筒状部は、前記ノズル部の周壁に固定された固定部分と、該ノズル部の先端から延出した延出部分を有しており、
前記ノズル部は、円筒状であり、
前記開封筒状部に、前記ノズル部の開口面に対して傾斜した封緘部が形成されており、 前記封緘部においては、前記開封筒状部の内面どうしが接合されている、容器。
【請求項2】
前記開封筒状部に、開封予定部が、前記ノズル部の開口面に対して傾斜した開口部が生じるように形成されている、請求項記載の容器。
【請求項3】
請求項1又は2の容器に使用するスパウトであって、
前記容器の本体部に固定されて、該容器に、切断されて注出口を生じる注出部を形成するものであり、
前記スパウトは、台座部と、可撓性シートからなる開封筒状部とを有し、
前記台座部は、前記本体部に接合される接合基部と円筒状のノズル部とを有し、
前記開封筒状部は、前記ノズル部の周壁に固定された固定部分と、該ノズル部の先端から延出した延出部分とを有し、該延出部分に、前記ノズル部の開口面に対して傾斜している封緘予定部が設けられてる、スパウト。
【請求項4】
前記開封筒状部は、前記延出部分の内面がヒートシール性を有し、該延出部分に前記封緘予定部を有している、請求項3記載のスパウト。
【請求項5】
前記開封筒状部は、前記ノズル部の先端から前記封緘予定部までの距離が15mm以上である、請求項3又は4記載のスパウト。
【請求項6】
前記開封筒状部は、封緘後に切断される開封予定部を有しており、
前記ノズル部の基端から前記開封予定部までの距離が、該ノズル部の基端から該ノズル部の先端までの距離より長い、請求項3〜5の何れか1項記載のスパウト。
【請求項7】
前記ノズル部は、周方向の一部に直径方向の外方に張り出した突出部を有し、該突出部が、前記可撓性シートが合掌状に接合した部分の内側に当接している、請求項3〜6の何れか1項記載のスパウト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパウト、及びスパウトが固定されて注出部が形成されている容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、シャンプーやコンディショナーなどの液状内容物を包装する軟包材で作られた容器(以下、軟包材容器)には、内容物を注出するための注出部が設けてあり、軟包材容器の注出部としては、軟包材容器の一部を切断することで注出口を形成するものや、合成樹脂の成形品からなる成形パーツなどの軟包材容器以外の別部材を、軟包材容器に取り付けて注出部としたものがある。
【0003】
軟包材容器の一部を切断することで注出口を形成するものには、切断のために道具を必要とするタイプや、軟包材容器を手で切断するタイプなどがあるが、道具を必要とするものは、道具を用意したり片付けたりする煩わしさがある。また、軟包材容器の一部を切断することで注出口を形成するものの場合には、形成した注出口は軟包材袋自身からなる為、注出口の保形が困難となる。従って、液状内容物をボトル容器へと詰め替える際にボトル容器へと差し込みにくく、差し込んだ後に軟包材容器とボトル容器との接続が不安定となり、安定して詰め替えることが困難となり、詰め替え時に注出口が閉塞し内容物が流れ出なくなるといった不具合がある。
【0004】
一方、成形パーツなどの部材を軟包材容器に取り付けて注出口を形成するものには、スクリューキャップやストロー状の成形パーツをその部材としたものがある。このタイプでは、注出口のボトル容器への差し込みにくさや軟包材容器とボトル容器との接続の不安定性、注ぎ時の閉塞による内容物の停滞は解決できる。しかしながら成形パーツに使用している樹脂量が多く、容器の焼却時に排出されるCO2量が多くなる等の問題がある。
【0005】
これらに対して、2枚のフィルムを貼り合わせて注出部の膨らんだ形状が維持されるようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−96813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の注出部によれば、2枚のフィルムを貼り合わせて形成したフランジをアダプタ(スパウト)に固定することで、アダプタとフィルムとの空間を形成し膨らみ形状を維持した注出部となる。これによりこの注出部を軟包材容器に取り付けた詰め替えパウチでは、被詰め替え容器であるボトル容器への注出口の差し込みにくさや注ぎ時の閉塞の不都合を解決でき、また、詰め替えパウチの開口部がフィルムで構成されていることより、開口性が向上し、また、廃棄時のCO2排出量を少量にすることができる。しかし、上述の注出部がフィルムで構成されているため、注出部をボトル容器へ差し込んだ後に、ボトル容器と注出部との安定性が維持できない等の不都合がある。
【0008】
本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る、スパウト及び容器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、容器の本体部に固定されて、該容器に、切断されて注出口を生じる注出部を形成するスパウトであって、前記スパウトは、台座部と、可撓性シートからなる開封筒状部とを有し、前記台座部は、前記本体部に接合される接合基部とノズル部とを有し、前記開封筒状部は、前記ノズル部の周壁に固定された固定部分と、該ノズル部の先端から延出した延出部分とを有している、スパウトを提供するものである。
【0010】
本発明は、容器の本体部にスパウトが固定されて注出部が形成されている容器であって、前記スパウトは、台座部と、可撓性シートからなる開封筒状部とを有し、前記台座部は、前記本体部に接合される接合基部とノズル部とを有し、前記開封筒状部は、前記ノズル部の周壁に固定された固定部分と、該ノズル部の先端から延出した延出部分しており、前記開封筒状部の内面どうしが接合されて封緘されている、容器を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ノズル部によって注出口の開口状態が安定に維持され、内容物の注出操作を、開口部の閉塞を防止しつつ安定して行うことができる。また、ノズル部の一部を被詰め替え容器の開口部に差し込むことにより、被詰め替え容器との接続が安定し、一層安定して詰め替え操作を行うことができる。
また、開封筒状部が、可撓性のシートからなり、該シートの切断により注出口が生じるようにしたため、キャップを用いたものに比して少ない樹脂で吐出部を形成することができ、焼却時のCO2排出量の削減やゴミの減容化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明のスパウトの一実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すスパウトの説明図である。
図3図3は、本発明の容器の一実施形態である詰め替え用パウチ容器を示す斜視図である。
図4図4は、本発明のスパウトの他の実施形態を示す縦断面図である。
図5図5は、本発明のスパウトのノズル部及び開封筒状部のより好ましい形態を示す横断面図である。
図6図6は、本発明のスパウトの更に他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本実施形態の一実施形態であるスパウト1は、例えば、図3に示すような、詰め替え用パウチ容器10(以下、単に「パウチ容器10」ともいう)に、切断されて注出口を生じる注出部11を形成するものである。
本実施形態のスパウト1は、図1に示すように、剛性を備えた台座部2と、可撓性シートからなる開封筒状部3とを有している。
台座部2は、パウチ容器10の軟包材容器部分12(本体部)に接合されるフランジ部4(接続基部)とノズル部5とを有しており、開封筒状部3は、ノズル部5の周壁の外面に固定された固定部分31と、該ノズル部5の先端から延出した延出部分32とを有している。
【0014】
ノズル部5は、上下端が開口した円筒状をなし、フランジ部4は、そのノズル部5の外周面の下端部からその全周において外方に向かって張り出すように環状に形成されている。
開封筒状部3は、その下端部が、ノズル部5の外周面に全周に亘って接合されており、それによって、ノズル部5と一体化している。開封筒状部3とノズル部5との接合には、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、接着剤等の各種公知の接合方法を用い得るが、ヒートシールで接合することが好ましい。
本実施形態のスパウト1は、図2に示すように、フランジ部4を、軟包材容器部分12(本体部)に設けたスパウト取付用孔13の周囲に接合することによって、軟包材容器部分12に固定される。この接合には、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、接着剤等の各種公知の接合方法を用い得るが、ヒートシールで接合することが好ましい。
また、本実施形態のスパウト1を、軟包材容器部分12に取り付けるとともに、開封筒状部3に後述する封緘部35’を形成することによって、本発明の容器の一実施形態であるパウチ容器10も提供される。
【0015】
本実施形態では、スパウト1の台座部2は、合成樹脂の成形品であり、フランジ部4とノズル部5とが一体となっている。フランジ部4とノズル部5とは、射出成形等により一体成形されていることが好ましい。
また、フランジ部4とノズル部5とは、中心線が一致していることが、望ましいが、場合によっては、中心線が一致しない左右非対称の形状を有していてもよい。
【0016】
本実施形態のスパウト1における開封筒状部3は、2枚の可撓性シート33,34を、互いの両側部を合掌状に接合して形成されている。この接合には、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、接着剤等の各種公知の接合方法を用い得るが、ヒートシールで接合することが好ましい。
可撓性シートからなる開封筒状部3は、図1に示すように、ノズル部5の外面に接合されて一体化されていることにより、ノズル部5の立体形状をノズル部5の中心軸に沿って延長したようなスリーブ状の形態となっている。また、開封筒状部3は、本実施形態におけるようにノズル部5の外面6と接合させるのに代えて、図4に示すように、ノズル部5の内面7に接合されることによって、ノズル部5と一体化されていても良い。
【0017】
開封筒状部3は、ノズル部5の先端51から延出した延出部分32に、封緘予定部35を有しており、該延出部分32の内面は、ヒートシール性を有している。より具体的には、延出部分32における図2中に符号35で示す部分が封緘予定部となっており、該部分における開封筒状部3の内面同士を、例えばヒートシールなどで一体化することにより、図3に示すように、先端部に封緘部35’を有し、開口部が生じていない注出部11を形成することができる。封緘予定部35は、開封筒状部3における、後に内面どうしが接合されて封緘される部分である。
【0018】
開封筒状部3を構成する可撓性シート33,34は、それぞれ、合成樹脂製のシートであることが好ましく、例えば、ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP)、ポリブテン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリアミド(Ny)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ乳酸(PLA)等からなるシートやフィルムが好ましく用いられる。また、同種又は異種材料からなる複数の層を有する積層シートを、可撓性シート33,34として用いることもできる。
開封筒状部3の内面どうしのヒートシール性を向上させる観点からは、開封筒状部3を構成する可撓性シートは、厚み方向の全体又は互いに接合される内面が、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)などの熱融着できる樹脂からなることが好ましい。
【0019】
開封筒状部3は、ノズル部5の先端51の近傍においては、ノズル部5の外形に略等しい円筒形を有している。そのため、封緘予定部35において、開封筒状部3の内面どうしを歪みなく平面で接合させるためには、封緘予定部35は、開封筒状部3におけるノズル部5の先端51より延出した延出部分32であって、しかも該先端51からある程度離れた部位にあることが好ましい。
開封筒状部3の内面どうしを歪みなく平面で接合する観点から、ノズル部5の先端51から封緘予定部35(又は封緘後の封緘部35’)までの距離h(図2参照)は、好ましくは15mm以上であり、更に好ましくは20mm以上である。
また、前記距離hは、ノズル部5の上端における外径の、好ましくは60%以上、更に好ましくは80%以上であり、また、好ましくは100%以下、更に好ましくは90%以下である。斯かる範囲であると、開封筒状部3を無駄に長くすることなく、開封筒状部3の内面どうしを歪みなく平面で接合することができる。
【0020】
また、封緘予定部35又は封緘部35’は、図2及び図3に示すように、ノズル部5の開口面51aに対して傾斜していることが好ましい。封緘予定部35又は封緘部35’を傾斜させることで、開封筒状部3の内面どうしを歪みなく平面で接合することが一層容易となる。また、封緘予定部35より上方の部分36は、図2に示すように、それらの傾きと同方向に傾斜した切断線36aで切断して除去することが好ましい。ノズル部5の開口面51aは、ノズル部5の先端の開口部が開口する平面である。
【0021】
また、開封筒状部3は、封緘部35’の形成後に、手で切断して開口部を生じさせ得ることが好ましく、そのためには、開封筒状部3は、可撓性シート33,34として、特定方向への破断性が向上したカット性PPフィルム、PETフィルム等を用いることが好ましい。また、図2に示すように、手での切断を容易とするために、一本又は複数本の切断案内線からなる開封予定部37を形成しておくことも好ましく、切断案内線としては、例えば、レーザー光線やカッター刃等により一対の可撓性シート33,34のそれぞれに線状の溝を形成しておくことが好ましい。なお、開封予定部は、ハサミ等を用いて切断すべき箇所を印刷により線で表示したものであっても良い。
【0022】
開封予定部37も、図2に示すように、ノズル部5の開口面51aに対して傾斜していることが好ましく、封緘予定部35又は封緘部35’と同様の角度で傾斜していることがより好ましい。開封予定部37が、ノズル部5の開口面に対して傾斜していると、注出部11の開封予定部37を切断したときに、ノズル部5の開口面に対して傾斜した注出口(開口部)を生じる。注出口が形成された注出部11を、その注出口におけるノズル部5の上端からの距離が遠い側を下側にして、ボトル容器等の被詰め替え容器の開口部に挿入すると、該注出部11の挿入時や注入後の引き出し時等に液だれ等が生じることを防止することができる。
【0023】
本実施形態のスパウト1について更に説明すると、フランジ部4の外径は、ノズル部5の外径よりも大きくなっている。フランジ部4の外径は、ノズル部5の外径の好ましくは1.5倍以上、更に好ましくは2倍以上である。斯かる範囲であると、スパウト1を軟包材容器部分(本体部)12に安定的に固定することができる。なお、フランジ部4の外径の上限値は、軟包材容器部分(本体部)12の各寸法により制限される。
【0024】
また、フランジ部4の外径は、被詰め替え容器の開口部の内径よりも大きいことが好ましい。そうすることで、詰め替えパウチ容器10に設けたスパウト1を、ボトル容器等の被詰め替え容器の開口部へと差し込んだときの、両者の間での安定感を向上させることができる。
なお、フランジ部4は、図1に示すような、平面視円形状のものに限られず、他の形態のものであっても良く、例えば外縁の形が円形以外の楕円や四角形状等であっても良い。フランジ部4の大きさや形態は、スパウト1を固定する、詰め替えパウチ容器の本体部12の取り付け部分の大きさや形状に応じて適宜に決定することができる。
【0025】
また、本実施形態のスパウト1におけるノズル部5は、円筒状であり、内容物の流路となる中空部を中央に有している。ノズル部5の外径は、ボトル容器等の被詰め替え容器の開口部の内径よりも小さい値とする。ノズル部5の高さT1(図2参照)は、スパウト1をボトル容器等の被詰め替え容器の開口部に挿入した状態における安定性の向上の観点から、好ましくは15mm以上である。また、ノズル部5の高さT1は、15mm以上30mm以下であることが好ましい。かかる範囲であると、ノズル部5に使用される樹脂量を適正にでき、スパウト1をボトル容器等の被詰め替え容器の開口部に安定的に挿入することができる。
【0026】
また、ノズル部5の基端52から開封予定部37までの距離Dは、ノズル部5の高さT1、即ちノズル部5の基端52から該ノズル部5の先端51までの距離より長いことが、開封予定部37を手で切断する操作のし易さや、スパウト1を被詰め替え容器の開口部に挿入する際の挿入のし易さが向上する点から好ましい。
【0027】
また、ノズル部5は、図5に示すように、周方向の一部に直径方向の外方に突出した突出部53,53を有し、該突出部53が、可撓性シート33,34が合掌状に接合した部分39の内側に当接していることが、開封筒状部3とノズル部5との間に隙間が生じないようにする観点から好ましい。
【0028】
本実施形態のスパウト1は、例えば、種々の構成、形態の容器の本体部に固定することができ、それにより、その容器に、切断されて注出口を生じる注出部を形成することができる。図3に示す詰め替え用パウチ容器10は、軟包材からなる本体部12(軟包材容器部分)に、前述したスパウト1を固定して注出部11を形成してなる。
詰め替え用パウチ容器10の本体部12は、重ね合わされた一対の側壁フィルム14,14の側縁部どうしをヒートシールにより接合して筒状体に形成するとともに、該筒状体の上下端に天面フィルム15及び底面フィルム16を接合して、内部に内容物の収容空間を形成した自立可能な袋状の容器である。そして、その天面フィルム15からなる天面部に、前述したスパウト取付用孔13が形成されている。スパウト1は、封緘予定部35をヒートシール等により封緘した後に、スパウト取付用孔13の周囲にそのフランジ部4を接合しても良いし、スパウト取付用孔13の周囲にそのフランジ部4を接合した後に、封緘予定部35をヒートシール等により封緘しても良い。
【0029】
詰め替え用パウチ容器10内に収容する内容物としては、シャンプー、コンディショナー、リンス等の液状のヘアケア剤の他、衣類用や食器用の液体洗剤、衣類用の柔軟剤、漂白剤、食品等が挙げられる。側壁フィルム14,14、天面フィルム15、底面フィルム16としては、それぞれ、従来パウチ容器の形成材料として用いられているもの等を特に制限なく用いることができ、合成樹脂製の単層又は多層のフィルムや、合成樹脂からなる層に加えてアルミニウム等の金属の金属泊や金属の蒸着膜を有するもの等を用いることができる。
【0030】
本発明は、上記の実施形態に制限されず、種々の変形が可能である。
例えば、開封筒状部3は、図6に示すように、1枚の可撓性シート33から形成されていても良い。また、開封筒状部3は、合成樹脂を筒状に押出形成して得た継ぎ目のない筒状の可撓性シートから形成されていても良い。
また、図2に示すノズル5は、開封筒状部3とフランジ部4との間に、パウチを生産ライン上で搬送する際、工程間でのパウチの持ち替えを目的として2段の環状張り出し部55を有しているが、本発明における台座部は、そのような環状張り出し部55は無くても良く、例えば、高さ方向の全域に亘って外径が均一なノズル部を有するものであっても良い。
【符号の説明】
【0031】
1 スパウト
2 台座部
3 開封筒状部
31 固定部分
32 延出部分
33,34 可撓性シート
35 封緘予定部
35’ 封緘部
37 開封予定部
4 フランジ部(接合基部)
5 ノズル部
51 先端
51a 開口面
52 基端
53 突出部
10 詰め替え用パウチ容器
11 注出部
12 軟包材容器部分(本体部)
13 スパウト取付用孔
14,14 側壁フィルム
15 天面フィルム
16 底面フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6