【実施例1】
【0017】
図面において、1は引裂き式容器蓋であり、この引裂き式容器蓋1は、天板2と、この天板2の外周から垂下したスカート部3と、このスカート部3および天板2の少なくともスカート部3を引裂ライン4にて区画し、その区画したスカート部3の端部から延出した引裂き片5と、この引裂き片5を包囲状態で固定すると共に引裂ライン4にて区画したスカート部3の内面3aに接する延出片6を有した引剥がし部材7と、からなる容器8の口部9を閉じるためのものであって、引剥がし部材7の延出片6はスカート部3の内面3aに弱接着し、且つ引剥がし部材7にて引裂き式容器蓋1を開封する際、延出片6はスカート部3の内面3aから剥がれ、容器口部9の外側面9aに当接して、引裂き片5が所定角度以上曲がるのを阻止するものである。
【0018】
前記容器8は、その口部9に引裂き式容器蓋1を打栓により、装着できるものであれば特に限定がなく、どのようなタイプ、材質でも良い。この実施例1の容器8では、ビンタイプを想定し、その口部9の端部にリムフランジ10を設けてあり、容器口部9に引裂き式容器蓋1のスカート部3をあてがい、打栓して容器口部9の上面およびリムフランジ10にスカート部3を変形させて密着状態で装着する。
【0019】
前記引裂き式容器蓋1は、上述のとおり、その天板2とこれから垂下したスカート部3とで主要部を形成していて、その材質はアルミニュウムなどの金属製であり、天板2とスカート部3の内面はポリオレフィン系樹脂と接着可能な塗膜で被覆されている。円盤状シール材11は、低密度ポリエチレンのような軟質樹脂またはエラストマーで形成することができ、溶融状態の必要量を天板2の内面2aに落下して型で押圧し、円盤状に形成される。低密度ポリエチレンのような軟質樹脂またはエラストマーを使用することで円盤状シール材11の成形歪みは速やかに緩和して、下面の全体または中央部を含む一部は天板2の内面2aの塗膜と強固に接着固定される。上記の通り容器口部9に引裂き式容器蓋1を打栓した際、容器口部9の上面およびリムフランジ10に密着して、容器8を完全にシールすることになる。引剥がし部材7の素材としては高結晶性または剛性のある樹脂が用いられ、成形歪みが残留することから、延出片6とスカート部3の内面3aは界面の接着力が経時的に低下することで弱接着の状態で固定される。高結晶性の樹脂の例としては高密度ポリエチレン、剛性のある樹脂の例としてはポリプロピレンが挙げられる。
【0020】
前記引裂ライン4は、スカート部3および天板2に設けてあり、これらを区画し、この区画したスカート部3の端部から前記引裂き片5を延出させている。なお、この引裂き片5の基端両側に位置するスカート部3にはV字状切欠12が設けられ、このV字状切欠12は、引裂ライン4に繋がり、開封の際、V字状切欠12に力が集中して、引裂ライン4に沿い切り裂け易くする。また、引裂ライン4は、少なくともスカート部3に設けてあれば良く、引裂き式容器蓋1の開封をほぼ達成できるが、この実施例1では、スカート部3に加えて天板2にも引裂ライン4を設けて、上記開封性を良好にしている。
【0021】
前記引裂き片5は、引裂ライン4により区画したスカート部3の端部から延出させたものであるから、その材質は当然スカート部3と同じアルミニウムなどの金属製である。そして、この引裂き片5は、前記引剥がし部材7に包囲状態で固定される。
【0022】
この引剥がし部材7は、手指を掛けて力を加えるための指掛け部13と、引裂き片5を包囲状態で固定し、その指掛け部13に加えたその力を引裂き片5に伝えるための基端部14と、からなり、その材質は剛性のある樹脂で構成されるのが望ましい。そして、引剥がし部材7は、指掛け部13に加えた力を基端部14を介して引裂き片5に伝え、この引裂き片5を通じて引裂ライン4を引き裂き、最終的に引裂き式容器蓋1を引き剥がすためのものである。
【0023】
また、この引剥がし部材7の基端部14にはすでに述べた延出片6が有り、この延出片6は、スカート部3の内面3aに弱接着し、引裂き式容器蓋1を開封するために指掛け部13に力を加えると、速やかにスカート部3の内面3aから剥がれるようになっている。
そして、剥がれた延出片6は、
図5に示すように、その剛性によりその先端部6aが容器口部9の外側面9aに当接し、突っ張る状態になって、引裂き片5が所定角度以上曲がるのを阻止し、開封の際の引裂き片5のちぎれを防ぐ。上記所定角度とは、鋭角にならない程度の角度を意味する。さらに、この延出片6の先端部6aは、開封の際、上記の当接部位がてこ作用の支点ともなって、スカート部3および天板2を引裂ライン4に沿い速やかに引き裂くことが出来るようになり、引裂き式容器蓋1を容易に開封することができる。
【0024】
なお、前記延出片6の先端部6aの位置P1は、
図2に示すように、容器8の口部9に打栓するための不図示の打栓ヘッドが、スカート部3をクリンプする高さ位置P2よりも高くしたものである。したがって、打栓ヘッドにより、容器口部9に引裂き式容器蓋1を打栓すると、そのスカート部3を容器口部9のリムフランジ10に延出片6の先端部6aも含んだ状態でクリンプすることになる。
【0025】
次に、上記構成になる引裂き式容器蓋1の利用方法について説明する。
この引裂き式容器蓋1は、
図1ないし3に示す状態のものがユーザーに納品される。 ユーザーは、引裂き式容器蓋1を装着する容器8に内容液を充填したあと、その容器口部9に引裂き式容器蓋1のスカート部3をあてがい、打栓して容器口部9の上面およびリムフランジ10にスカート部3を変形させて密着状態で装着する。その際、引裂き式容器蓋1における延出片6の先端部6aの位置P1が、打栓ヘッドによりスカート部3を完全にクリンプする高さ位置P2よりも高くしてあるから、容器口部9のリムフランジ10にスカート部3を延出片6の先端部6aも含んだ状態でクリンプし、容器口部9を引裂き式容器蓋1により完全に密封することになる。また、この状態で打栓すると、打栓時の外力で延出片6とスカート部3の内面3aの弱接着部位が容易に剥離し、上記効果をより発揮し得るものとなる。
【0026】
開封に際しては、引剥がし部材7の指掛け部13に手指を掛けて力を開封方向に加えれば、引裂き片5を通じてスカート部3のV字状切欠12に力が集中し、スカート部3および天板2の引裂ライン4を引き裂き、最終的に容器口部9から引裂き式容器蓋1を引き剥がし開封することができる。なお、その際、引剥がし部材7の延出片6は、スカート部3の内面3aに弱接着しているため、速やかにスカート部3の内面3aから剥がれ、その剛性によりその先端部6aが容器口部9の外側面9aに当接し、突っ張り状態になって引裂き片5が所定角度以上曲がるのを阻止し、開封の際の引裂き片5のちぎれを防ぎ、且つ、延出片6の先端部6aがてこ作用の支点になって、スカート部3および天板2を引裂ライン4に沿い速やかに引き裂き、引裂き式容器蓋1を容易に開封することができる。
【0027】
次に、本発明の引裂き式容器蓋と従来例の引裂き式容器蓋との性能の比較をしたので、その状況を示す。
〈試験例1〉
空のビンタイプの容器口部に、
図1ないし
図3に示す本発明の引裂き式容器蓋を打栓したあと、引剥がし部材の指掛け部に手指を掛けて力を開封方向に加えて、目視観察した。 その結果、
図5に示すように、剥がし部材の延出片はスカート部内面から速やかに剥がれ、その先端部が容器口部の外側面に当接し突っ張り状態になって、引裂き片が所定角度以上曲がるのを阻止し、引裂き片の曲率が大きくなった。
〈試験例2〉
さらに、試験例1と同じように作製したサンプルにおいて、剥がし部材の指掛け部に手指を掛けて力を開封方向および閉鎖方向に繰り返して行い、すなわち、引裂き片の折り曲げを繰り返し行って、引裂き片のちぎれ状況を観察した。なお、この引裂き片のちぎれは5例につき行った。
その結果、引裂き片のちぎれは、折り曲げ回数平均35回で起きた。
【0028】
〈比較例1〉
空のビンタイプの容器口部に、
図6ないし
図7に示す従来例の引裂き式容器蓋を打栓したあと、引剥がし部材の指掛け部に手指を掛けて力を開封方向に加えて、目視観察した。 その結果、
図7に示すように、引裂き片が所定角度以上曲がるのを阻止するものが無いから、引裂き片の曲率が小さくなった。
〈比較例2〉
さらに、比較例1と同じように作製したサンプルにおいて、剥がし部材の指掛け部に手指を掛けて力を開封方向および閉鎖方向に繰り返して行い、すなわち、引裂き片の折り曲げを繰り返し行って、引裂き片のちぎれ状況を観察した。なお、この引裂き片のちぎれは5例につき行った。
その結果、引裂き片のちぎれは、折り曲げ回数平均20回で起きた。
【0029】
以上、本発明の実施例1を説明したが、具体的な構成はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更は、適宜可能であることが理解されるべきである。