特許第6090924号(P6090924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6090924
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】ユーザ分類装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   G06F17/30 210D
   G06F17/30 170Z
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-105362(P2013-105362)
(22)【出願日】2013年5月17日
(65)【公開番号】特開2014-228877(P2014-228877A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】小川 圭介
(72)【発明者】
【氏名】松本 一則
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真幸
【審査官】 田中 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/070831(WO,A1)
【文献】 特開2006−247255(JP,A)
【文献】 特開2002−049832(JP,A)
【文献】 特開2013−069017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザよりスケジュール情報を受け取るスケジュール取得部と、
前記スケジュール情報を解析して、各ユーザにおける活動種別の各々と、当該活動種別に対する消費時間及び当該活動種別がユーザの時間を拘束する度合いと、を当該ユーザの活動パターン情報として抽出する活動パターン抽出部と、
前記複数のユーザを、前記抽出された活動パターン情報に基づいて分類するユーザ分類部と、を備えることを特徴とするユーザ分類装置。
【請求項2】
前記スケジュール取得部は、各ユーザにおけるスケジュール項目ごとにスケジュール情報を受け取り、
前記活動パターン抽出部が、さらに、
各スケジュール項目に費やされた消費時間を取得する消費時間取得部と、
各スケジュール項目の内容単語を取得し、所定辞書を参照することで当該内容単語に対応する活動種別を取得する活動種別取得部と、
所定データベースを参照することで前記取得した活動種別に対応する前記度合いを算出する拘束度合い算出部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のユーザ分類装置。
【請求項3】
前記活動パターン抽出部が、さらに、所定辞書を参照することで各スケジュール項目における場所を取得する場所取得部を含み、
同一ユーザにおいて隣り合うスケジュール項目において前記場所取得部により取得された場所が異なる場合に、前記消費時間取得部と、前記活動種別取得部と、がそれぞれ、当該スケジュール項目間に対応する消費時間と、場所の移動の活動種別と、を取得することを特徴とする請求項2に記載のユーザ分類装置。
【請求項4】
前記スケジュール取得部では、各ユーザのプロフィールと共に前記スケジュール情報を受け取り、当該プロフィールには各ユーザの各時間帯における所定の所在場所が含まれ、
前記場所取得部は、スケジュール項目から前記所定辞書の参照によって場所を取得できない場合に、前記所定の所在場所を場所として取得することを特徴とする請求項3に記載のユーザ分類装置。
【請求項5】
前記スケジュール取得部では、各ユーザのプロフィールと共に前記スケジュール情報を受け取り、
前記消費時間取得部は、スケジュール項目において開始時間のみが記載され、終了時間が記載されていない場合に、
プロフィールが共通のユーザにおけるスケジュール項目の中から、開始時間及び内容単語並びに場所が同一であり、終了時間が記載されているものを検索すると共に、当該内容単語及び場所に対する所定の確実性辞書を参照して、当該終了時間に関する確実度合いを求める他者情報取得部と、
当該ユーザ自身のスケジュール項目の中から、内容単語及び場所が同一であり、開始時間及び終了時間が記載されているものを検索する自己情報取得部と、
前記他者情報取得部で取得した終了時間及び確実度合いと、前記自己情報取得部で取得した終了時間と、に基づいて、前記記載されていない終了時間を推定する推定部と、を含むことを特徴とする請求項3または4に記載のユーザ分類装置。
【請求項6】
前記複数のユーザより所定事項についての活動実績を受け取る活動実績取得部と、
前記受け取った活動実績に対する当該ユーザの成績情報を、前記分類部によって分類されたユーザのグループ毎に作成する成績作成部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のユーザ分類装置。
【請求項7】
前記所定事項が、ユーザの健康増進活動に関するものであることを特徴とする請求項6に記載のユーザ分類装置。
【請求項8】
前記抽出された活動パターン情報に応じた所定の情報をユーザに提供する情報提供部をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のユーザ分類装置。
【請求項9】
前記複数のユーザは、1つ以上の団体におけるユーザとして構成され、前記スケジュール取得部は、各ユーザより所属団体の区別の情報と共に、スケジュール情報を受け取ることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のユーザ分類装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ分類装置に関し、特に、スポーツ実績によるユーザ間での健康競争を促すシステムなどへの適用に好適であり、ユーザのモチベーション等の観点から適切なユーザのグループ分けを自動で可能とするユーザ分類装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のユーザが関係するゲームなどにおいて、以下のような従来技術が存在する。
【0003】
特許文献1では、他の人からのゴルファータイプ評価から計算されたゴルファータイプ度ポイント等を用いてマッチングを行なっている。また、非特許文献1では、ユーザがスポーツを継続的に行うためにユーザのトップランキングをシステムとして導入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-021104号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】http://au-sports.auone.jp/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1は、健康や運動へとユーザの意識を向けることでユーザの健康度を高めることを目的とし、具体的には、ランニング走行距離ランキング、腹筋回数ランキング等のユーザ同士の競争を煽るような健康競争のコンテンツを用意している。
【0007】
しかしながら、ユーザに区別を設けずに、総参加方式でランク付けを行う健康競争では、次のような課題が生じることもある。すなわち、ランク(特に高順位側のランク)に掲載されるのがユーザ全体の中の一部でしかなく、ほとんどのユーザにとってはモチベーションの向上が促進されることがないという事態が発生しうる。
【0008】
このようなモチベーションの向上の妨げとなっている要因として、次がある。すなわち、健康競争をするにあたって、一般に各ユーザの条件がバラバラであるという点である。
【0009】
図1に、当該モチベーションの阻害要因を模式的に示す。条件の異なるユーザの例として、自ら使用出来る時間が多く、運動等を十分に行うことができるユーザU1〜U3と、自ら使用出来る時間が少なく、運動を十分に行うことが難しいユーザU4と、を同じランキング内で競わせたとしても、時間が少ない方のユーザU4は下位となるばかりで、モチベーションの向上が得られない。
【0010】
ここで、上記のように使用できる時間が多いか少ないかの差異を生じさせる大きな要因の一つとして、以下のような社会的条件の差異がある。
【0011】
例えば、自らの健康に対して投資できる時間(自由になる時間)は、一般的なサラリーマンと引退した就業していない人では大きく異なっており、このような人達を同一ランキング内で競わせるようなマッチングは、そもそも平等とはいえない。このような不平等なマッチングでは、モチベーションが意図した通りに向上しない可能性が高い。また、同じサラリーマンであっても部署ごとに業務の量が異なるため、一律に同じ土俵に立たせる(同じランキング内で競わせる)ことは好ましくない。
【0012】
そこで、比較的条件が近いユーザ同士をグループ化して、健康・運動についての競争を行わせることで、多くのユーザのモチベーション向上につなげるようにすることが望まれる。しかしながら、上記特許文献1のような一般的なマッチング手法・グループ化手法においては、このようなモチベーションの向上は考慮されていない。
【0013】
本発明は、上記のような従来技術の課題に鑑み、ユーザを条件によって分類することのできるユーザ分類装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は、ユーザ分類装置であって、複数のユーザよりスケジュール情報を受け取るスケジュール取得部と、前記スケジュール情報を解析して、各ユーザにおける活動種別の各々と、当該活動種別に対する消費時間及び拘束度合いと、を当該ユーザの活動パターン情報として抽出する活動パターン抽出部と、前記複数のユーザを、前記抽出された活動パターン情報に基づいて分類するユーザ分類部と、を備えることを第一の特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記ユーザ分類装置がさらに、前記複数のユーザより所定事項についての活動実績を受け取る活動実績取得部と、前記受け取った活動実績に対する当該ユーザの成績情報を、前記分類部によって分類されたユーザのグループ毎に作成する成績作成部と、を備えることを第二の特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
前記第一の特徴によれば、各ユーザをスケジュールにおける時間利用の特性に応じて分類することが可能となる。
【0017】
前記第二の特徴によれば、さらに、時間利用の特性が似たユーザのグループ内において、所定事項の活動実績の成績を作成可能となるので、ユーザの当該活動に対する意欲を増進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】モチベーションの阻害要因を模式的に示す図である。
図2】健康競争システムに適用する場合を例として、本発明の概要を説明するための図である。
図3】一実施形態に係るユーザ分類装置の機能ブロック図である。
図4】ユーザの入力スケジュールから、記載されていない「移動」、「睡眠時間」及び「自由時間」の項目を自動補足する例を、その手順例と共に示す図である。
図5】一実施形態に係る消費時間取得部の機能ブロック図である。
図6】一実施形態に係る場所取得部の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図2は、健康競争システムに適用する場合を例として、本発明の概要を説明するための図である。本発明では、ユーザが使用するライフログ、特にスケジュール帳のデータから、ユーザが自らの健康に対して投資できる時間を割り出し、対戦する際に自ら使用出来る時間が出来る限り平等になるようなグループを特定し、マッチメイクを行う。
【0020】
例えば、業務があるか否か、また業務がある場合であればさらに、業務中のスタイル(電車移動が多いか、歩きでの移動が多いか、ミーティングが多いか等)と時間によって、ユーザを分類する。
【0021】
すなわち、図2に模式的に示すように、ユーザのスケジュールより、「自由人」であると想定されるグループG1と、「外回りn時間以上の営業系サラリーマン」であると想定されるグループG2と、「出張m時間以上のサラリーマン」であると想定されるグループG3と、「内勤中心のサラリーマン」であると想定されるグループG4と、いったようなグループ分けが可能となる。
【0022】
こうして、各グループ内においては、時間の使い方に関する制約が似たユーザ間同士で有意義な競争が可能となる。なお、当該グループ分けをする際に利用する時間においては、空き時間の性質等も考慮に入れる。例えば細切れの時間がたくさんある人なのか、比較的まとまった時間がある人なのかによって、適した運動は異なってくる。また時間に限らず、家族構成やコミュニティの性質等、ライフログから推定できる属性データを利用すると、さらに精度の向上が見込めるため好ましい。
【0023】
図3は、一実施形態に係るユーザ分類装置の機能ブロック図である。ユーザ分類装置1は、スケジュール取得部2、活動パターン抽出部3、ユーザ分類部4、活動実績取得部5、成績作成部6及び情報提供部7を備える。活動パターン抽出部3はさらに、時間単語辞書301を含む消費時間取得部31と、種別単語辞書302を含む活動種別取得部32と、場所単語辞書303を含む場所取得部33と、拘束度合いデータベース(拘束度合いDB)304を含む拘束度合い算出部34と、を含む。
【0024】
スケジュール取得部2は、複数のユーザの各々よりスケジュール情報を取得する。当該スケジュール情報については、各ユーザが入力したテキスト(コンピュータ読み取り可能なテキスト)で構成されていればよいが、少なくとも各スケジュール項目の区別が予め設けられて、取得されるものとする。
【0025】
スケジュール項目には、典型的には以下の3種類の情報が記載されている。本発明においては以下の活動パターン抽出部3において、これらを区別して自動取得する。
・時間を表す単語 … 例:午前、午後、9:00〜10:30
・場所を表す単語 … 例:T大学、I社
・内容を表す単語 … 例:打合せ、ミーティング、外出、出張
【0026】
例えば、あるユーザのスケジュールにおけるある1つの項目が、「9:00〜10:30 ミーティング@T大学」といったようにして記載されている。スケジュール項目とはこのように、スケジュールを構成しているイベント単位で記載されたものである。
【0027】
なお、スケジュール取得部2でスケジュール情報を取得する際は、各ユーザから個別に取得してもよいが、図示するように、複数ユーザのスケジュールが記録されたスケジュール管理システム10から取得してもよい。スケジュール管理システム10は、会社等の事業者において利用され、対応する団体に所属するユーザが業務上利用するものであってもよい。特に、具体例としては企業単位で健保に加入しているような場合に、当該企業で利用するシステムと連動させ、健康競争を促進することが好ましい。
【0028】
このような会社システム等と連動している場合は特に、スケジュール取得部2では各ユーザのプロフィール等も併せて取得してもよい。例えば、各ユーザの所属部署や職種などを取得してもよい。また、会社等の事業者毎にスケジュール管理システム10が運用され、当該複数のシステムからスケジュール取得部2でスケジュールその他を取得してもよい。この場合、各ユーザの勤務先の会社と、当該会社における所属部署などと、をプロフィールとして取得してもよい。
【0029】
すなわち、スケジュール取得対象のユーザは1つ以上の団体(各会社など)におけるユーザであって、プロフィールにおいてユーザの所属団体の区別を取得するようにしてもよい。後述する各部301〜304の辞書やデータベースは、当該団体毎に用意され、さらに、各団体内におけるユーザの職種区別ごとに用意されていてもよい。こうして例えば、健保に加入している一連の企業における各ユーザを対象としても、本発明を適用可能である。
【0030】
なおまた、スケジュール取得部2で複数ユーザからスケジュールを取得する際は、各ユーザにおいて共通の所定期間内におけるスケジュールを取得することが好ましい。
【0031】
活動パターン抽出部3は、スケジュール取得部2で取得したスケジュール情報を所定の辞書やデータベース(後述する各部301〜304)を用いて解析して、各ユーザのスケジュール(すなわち、各ユーザにおける上記スケジュール項目の集まり)を構成している活動種別の各々と、当該活動種別の各々に対する消費時間及び拘束度合いと、を抽出して、各ユーザの活動パターン情報とする。当該抽出の際に、さらに、各スケジュール項目の場所を取得して、活動パターン情報を求めてもよい。
【0032】
当該活動パターン情報を構成している各項目(消費時間、活動種別、場所、拘束度合い(場所は省略されてもよい))は、活動パターン抽出部3に含まれる各部31〜34によって、以下のように求められる。
【0033】
消費時間取得部31は、各スケジュール項目に費やされた消費時間を取得する。このため、第一処理として、各スケジュール項目より時間を表す単語を抽出してから、第二処理として、当該スケジュール項目に対して費やされた消費時間を取得する。
【0034】
第一処理では、時間を表す単語について、時間単語辞書301に予め登録してある単語及びその記載ルール(「コロン:」で時分の値を区切るなど)を参照して自動抽出し、開始時間及び終了時間を取得する。第二処理では、当該開始時間と終了時間との差として消費時間を取得する。
【0035】
例えば、上記例のスケジュール項目「9:00〜10:30 ミーティング@T大学」からは、開始時間「9:00」と終了時間「10:30」を取得し、それらの差として消費時間を「90分」として取得する。
【0036】
活動種別取得部32は、各スケジュール項目の活動種別を取得する。活動種別とは、スケジュール項目における内容に対して、所定の種類区分を与えたものである。活動種別の取得に際しては、スケジュール項目の記載より、種別単語辞書302に予め登録されている内容を表す単語を抽出し、且つ種別単語辞書302に予め登録されている当該単語の活動種別を参照することで、取得がなされる。
【0037】
種別単語辞書302には、例えば以下のような「内容を表す各単語」及び各単語の「活動種別」が登録されている。従って、種別単語辞書302を参照する活動種別取得部32により、同一種類の活動であるが別の名称で記載されているものに対しても、同一の活動種別が取得されることとなる。
単語「ミーティング」、「会議」、「打合せ」、… →活動種別「打合せ」
単語「セミナー」、「研修」、「講習会」、… →活動種別「セミナー」
単語「有給休暇」、「年休」、… →活動種別「有給休暇」
【0038】
例えば、上記例のスケジュール項目「9:00〜10:30 ミーティング@T大学」からは、内容を表す単語「ミーティング」が抽出されたのち、活動種別として「打合せ」が取得される。
【0039】
場所取得部33は、場所を表す単語及びその記載ルール(例えば、記号「@」の後ろに場所を表す単語が現れるなど)が予め登録されている場所単語辞書303を参照して、各スケジュール項目の場所を取得する。なお、「@」等の記載ルールが発見されない場合には、単語検索のみにより場所を取得する。
【0040】
なお、場所の単語は基本的には、都道府県名、あるいは駅名が最も概念として大きく、次に市区町村、さらに会社名等の事業者名、事業所名、建物の中の階数、会議室名等と続く。場所単語辞書303では、単語をそのまま登録するのではなく、こうした階層性も紐付けた上で、登録する。当該階層構造を参照することで、会社名等がわかればその会社名から場所を抽出することができるため、都道府県市区町村等をスケジュール項目内から読み取る処理を省略可能となる。場所取得部33では、当該階層構造を利用して、可能な限り詳細な場所を取得する。
【0041】
なお、スケジュール項目に場所の記載が含まれず、場所の記載を抽出できない場合には、場所取得部33は、ユーザのプロフィールとして時間帯ごとに予め登録された所定場所(例えば、昼間は仕事場所、昼間以外は自宅、など)を場所として取得してもよい。
【0042】
なお、場所取得部33の一つの目的は、あるユーザにおいて時間上隣り合う2つのスケジュール項目(ただし、時間は連続してなくともよい)が存在し、当該スケジュール項目間において取得された場所が異なる場合に、その旨を活動種別取得部32に伝えることによって、当該スケジュール項目間に、活動種別としての「移動」を自動取得させるようにすることにある。またこの際、「移動」の自動取得と連動して、消費時間取得部31は、当該「移動」に費やした時間を取得する。
【0043】
場所取得部33の処理は省略されてもよいが、省略しない場合は、次のような効果が得られる。すなわち、「移動」に関しては、通常、ユーザはスケジュールに記載することを省略するが、場所取得部33により「移動」が自動検出可能となる。「移動」が多いか少ないかは、ユーザ特性に大きく影響するので、グループ分けをするに際して「移動」を考慮することで、より的確なグループ分けが可能となる。なお、「移動」の旨がユーザによってスケジュール項目内に記載されていれば、消費時間取得部31及び活動種別取得部32において当該記載より直接に自動検出可能である。
【0044】
以下、場所取得部33による「移動」の自動検知例を説明する。あるユーザのある日について記載された一連のスケジュール項目が以下であるとする。
(項目1)10:00〜12:00 グループミーティング
(項目2)13:30〜14:00 開発者同士での打合せ
(項目3)16:00〜18:00 T大学(宮城)で打合せ
【0045】
(項目1)及び(項目2)については場所の記載が抽出されないので、ユーザのプロフィールとして登録された昼間の居所である所属事業所の場所として「埼玉」を抽出する。(項目3)については、記載内容を解析して「宮城」を抽出する。従って、当該抽出結果を受け、活動種別取得部32は、場所の変化した(項目2)と(項目3)との間に、活動種別として「移動」を自動取得する。また、当該抽出結果を受け、消費時間取得部31は、当該「移動」がなされた時間帯「14:00〜16:00」を取得し、その消費時間「2時間」を取得する。
【0046】
あるいは、消費時間取得部31は、上記のように項目間での時間差を算出する代わりに、移動前後の場所「埼玉」及び「宮城」を用いて、場所移動に要する時間が記載されたデータベース(場所単語辞書303に追加情報として記載可能である)を参照することによって、当該移動に要した消費時間を求めるようにしてもよい。
【0047】
なお、プロフィールにおける所属事業所の場所の登録はより一般には、各時間帯におけるユーザの所定の所在場所として、登録することができる。例えば、就業時間内においては所属事業所の場所、就業時間以外においては自宅の場所、として、ユーザの所定の所在場所を登録しておき、場所の記載がない場合に利用することができる。さらに、例えば休日は終日自宅など、時間帯及び曜日ごとに同様に登録しておいてもよい。なお、以下では、時間帯毎の所定所在場所の例として、職場及び自宅によって説明する。
【0048】
以上、場所取得部33と連動することで、消費時間取得部31及び活動種別取得部32が「移動」に関する内容を自動取得したのと同様に、以下2つの自動取得処理も可能である。
【0049】
第一処理として、ユーザのプロフィールとして登録しておく通常の就業時間帯並びに職場及び自宅の場所の情報を参照して、記載が存在しない時間帯のスケジュール内容を「移動」(通勤のための「移動」)に関して取得することが可能である。
【0050】
当該第一処理の後にさらに、睡眠時間をユーザのプロフィール又は一般情報(一般情報は、ユーザ分類装置1の管理者などによって人為的に設定される)として取得して、第二処理として、未処理の時間帯につき活動種別として「睡眠時間」および「自由時間」を、その消費時間と共に取得してもよい。
【0051】
図4に、当該第一処理及び第二処理の例を示す。図4では、(1)がユーザの入力スケジュールであり、(2)がそのプロフィールであり、(3)に示すような移動時間データが与えられている場合に、第一処理によって(4)のように活動種別「移動」が自動検出され、補足される。ここで、(項目B1)は前述のように、ユーザ入力項目の(項目B)及び(項目C)における場所の違いから取得される。(項目A0)及び(項目C1)は、就業時間と事業所・自宅の所在地と、移動時間データから取得される。
【0052】
すなわち、(項目A)の場所は事業所所在地「埼玉」であり、且つ就業時間の開始と開始時間が一致しているので、その前段階は自宅「東京」から「埼玉」への移動(通勤)であるとして、(項目A0)が自動検出される。同様に、(項目C)の場所は「宮城」であり、且つ終了時間と就業時間との間に90分しかなく、当該「宮城」から自宅の「東京」に戻るのに要する120分よりも短いので、(項目C1)が自動検出される。
【0053】
あるいは、(項目C1)は勤務時間終了時点から「17:30〜19:30」として定めて、「16:00〜17:30」は空欄あるいは「定型業務」等の所定の活動種別を配置してもよい。就業時間の開始及び終了時点の付近における以上のような自動補足処理については、自宅の場所、当該付近時点の直近のスケジュール項目における場所、空白となっている時間の長さ、に応じた所定のルールを設けておき、当該ルールに従って自動で処理すればよい。
【0054】
さらに、(5)に示す睡眠時間データを用いて、第二処理によって(6)に示すように(項目E3)が取得され、当該1日内における終業時間帯以外で当該睡眠時間以外の部分を所定の活動種別「自由時間」として、(項目E1)及び(項目E2)が取得される。すなわち、就業時間以外の時間帯においても、ユーザのプロフィール等に応じた所定のルールで自動補足が可能である。(7)については後述する。
【0055】
なお、図4の例では、(1)に示すユーザ入力で特定されていない時間帯の内容を全て自動検出した。全て検出することで、ユーザの特性(活動パターン情報)をより詳細に把握可能となるが、(1)の入力のみを解析対象として当該自動検出による補足は全く適用しない、あるいは当該補足を部分的に適用するようにしても、本発明は実施可能である。
【0056】
図4の例では、時間帯毎の所定の所在場所や、就寝時間といった所定の活動内容に基づいて、スケジュール項目に記載されていない部分を自動検出した。同様にして、プロフィール等として取得可能な定型的な情報に基づいた自動検出処理がユーザ毎に可能である。
【0057】
なおまた、以上の消費時間取得部31、活動種別取得部32及び場所取得部33がスケジュール項目に記載のテキストから各事項を取得するに際しては、所定の順番で取得を行い、既に取得された記載事項を以降取得する際の検索対象から除外しながら、取得を行う。
【0058】
記載内容の定型性を考慮した一例では、時間、場所、活動種別(に対応する内容)、の順番で取得してもよい。上記例のスケジュール項目「9:00〜10:30 ミーティング@T大学」に当該順番を適用すると、最初に時間「9:00〜10:30」が抽出され、当該時間の記載部分を除外した「ミーティング@T大学」から場所「T大学」が抽出され、残った「ミーティング」から直ちにその内容「ミーティング」を判別し、活動種別「打合せ」を得ることができる。
【0059】
あるいは、スケジュールが予め所定のテーブル形式で入力されるなどしており、スケジュール項目の記載において予め時間、場所、活動種別の項目分けがなされている場合であれば、当該項目分けに従って各項目の内容を取得してもよい。
【0060】
拘束度合い算出部34は、各スケジュール項目に対して活動種別取得部32が取得した活動種別に対する拘束度合いを、拘束度合いDB304を参照して求める。拘束度合いとは、活動種別の各々がユーザの時間を拘束する度合いを、(ユーザ分類装置1の管理者などによって別途に、)予め人為的に決定して数値化しておいたものである。拘束度合いは、拘束度合いDB304においてその値の取りうる範囲と共に、以下に掲げる例のようにして記録されている。
活動種別:拘束度合い(最小値0,最大値100)
打合せ: 80
セミナー: 40
有給休暇: 0
【0061】
なお、スケジュール取得部2にてユーザのプロフィールを取得している場合、同じ活動種別であっても、プロフィールに応じて拘束度合いの値が異なるように、プロフィール毎に値を定義したうえで拘束度合いDB304を設けておき、拘束度合い算出部34はユーザのプロフィールを参照して、当該プロフィールに応じた拘束度合いを求めるようにしてもよい。
【0062】
例えば、プロフィールで職種を与えるようにした場合、活動種別「商談」について、職種「営業」においては、売り込む側の立場であり重要な意味を持つため、拘束度合いの値を大きく「90」と設定しておき、職種「研究」においては、売り込まれる側の立場でありそれほど重大ではないため、拘束度合いの値を小さく「20」と設定しておいてもよい。
【0063】
拘束度合い算出部34は、一実施形態においては以上のように拘束度合いDB304を参照して、活動種別(及びユーザプロフィール)に対応した一律な値として拘束度合いを求める。別の一実施形態においてはさらに、当該一律に求めた値を、活動種別における活動の内容の詳細を加味することによって、実情に応じた値へと、拘束度合いを修正するようにしてもよい。
【0064】
当該修正のためには、拘束度合いDB304にさらに追加情報として、活動種別に応じて実情を反映するために参酌する1つ以上の所定項目と、当該項目の内容に応じて修正される拘束度合いの値と、を定義しておく。所定項目は活動種別取得部32で活動種別を取得する際に、及び/又は、場所取得部33で場所を取得する際に、追加処理として拘束度合いDB304を参照して、取得することができる。拘束度合い算出部34は、拘束度合いDB304を参照して、当該取得された活動種別及び所定項目に対応する修正された拘束度合いを算出することができる。
【0065】
例えば、活動種別として「打合せ」においては、修正しない場合の拘束度合いが「80」であったのを、以下のように修正することができる。「打合せ」の実情(参加するユーザにとっての重要度)を反映する所定項目として、自社内で閉じた打合せではなく他社が関連しているか、という観点で、所定の「会社名」が存在する場合に、拘束度合いを「90」としてもよい。「会社名」は活動種別取得部32において活動内容の記載から抽出されてもよいし、場所取得部33で場所の記載から抽出されてもよい。
【0066】
例えば、「B社とミーティング」という活動内容の記載からは、活動種別「打合せ」及び会社名「B社」が抽出され、「ミーティング@B社」という活動内容及び場所の記載からは、場所として会社名「B社」が抽出され、いずれの場合も、拘束度合いが「80」ではなく修正された「90」として与えられる。
【0067】
また、例えば、活動種別「打合せ」に対してさらに、参加人数を活動種別取得部32にて抽出し、その規模に応じた値に拘束度合いを修正した値を拘束度合い算出部34が取得するようにしてもよい。この場合、参加人数が多いほど拘束度合いを上げるなど、人数範囲に応じた拘束度合いの修正方式を、拘束度合いDB304に定義しておく。
【0068】
なお、参加人数は、スケジュール項目に記載されている場合には、上記のように活動種別取得部32にて抽出することができる。記載されていない場合は、図5で後述する他者情報取得部311における検索処理と同様にして、当該ユーザと共通プロフィールで且つ同一スケジュールを記載しているユーザの人数(例えば、同一部署で同一会議のスケジュールを記載している人数に相当する)を求めてもよい。
【0069】
ユーザ分類部4は、活動パターン抽出部3が以上のようにして抽出した各ユーザの活動パターン情報(消費時間、活動種別、場所、拘束度合い)に基づいて、ユーザをグループに分類する。当該各グループは、活動パターンが似ているユーザで構成されるので、健康競争のランキングを提供するような場合において、適切なグループとなる。
【0070】
一例では、次のようにして活動パターン情報に基づいたユーザの分類を行う。各ユーザi(i=1, 2, ..., N)において、活動種別j(j=1, 2, ..., n(i))に対して費やされた消費時間の合計をh(j)とし、当該活動種別jに対する拘束度合いをg(j)とする。以下の(式1)及び(式2)によりそれぞれ、当該ユーザiの拘束度合いの時間平均mi及び分散Viを求める。なお、図4の(7)は(6)より求まった活動種別、消費時間(各活動種別における合計値)、拘束度合いの例である。
【0071】
【数1】
【0072】
当該求まった平均及び分散(mi, Vi)を、当該ユーザiの活動パターンを集約した値として用いることで、ユーザをグループ分けする。例えば、2次元平面上に各ユーザiの平均及び分散(mi, Vi)を点として与えて、周知の手法によって当該複数のユーザに対応する複数の点を対象としてクラスタリングを行い、グループ分けを行うことができる。なお、点として与える際には、定数a,bにより適宜、スケール変換を行って(ami, bVi)を対象としてクラスタリングを行ってもよい。
【0073】
活動実績取得部5は、スケジュール取得部2でスケジュールを取得した各ユーザから、所定事項についての活動実績を受け取る。成績作成部6は、当該受け取った活動実績におけるユーザの成績を、ユーザ分類部4で分類されたグループ毎に作成し、対応するユーザへと通知する。
【0074】
ここで、所定事項についての活動実績と、グループに分類された後の成績作成との具体例としては、非特許文献1等に開示の健康競争システムにおける各手法、例えばスポーツ活動実績とそのランキングなど、を利用してよい。あるいは、スポーツ等の健康増進活動に限らず、例えば社内オンライン研修システムにおける学習実績(各科目の学習時間・達成度合いなど)を対象として、ランキングを行うなどしてもよい。本発明は特に、図2で概説したように、グループ分けした後に当該周知手法によるランキングなどを適用することに意義を有する。
【0075】
なお、活動実績取得部5では、各ユーザからさらに、活動実績に関連するユーザ属性(スポーツであれば、ユーザのバイタルデータなど)を受信して、成績作成部6においては、ユーザ分類部4で分類されたグループ内においてさらに、当該受信したユーザ属性が共通であるユーザ毎に、成績を作成するようにしてもよい。なお、ユーザ属性からグループ分けを行う基準は予め用意しておく。こうして、例えば、スポーツであれば時間の使い方と基礎体力とが共通するユーザ同士で、ランキングを作成することができる。
【0076】
情報提供部7は、各ユーザに対して、そのユーザ特性に応じた所定の情報をユーザに提供する。このため、ユーザ特性に応じた提供情報を予め用意しておくものとする。ユーザ特性は、ユーザ分類部4で分類されたグループ及び/又は活動パターン抽出部3で抽出された活動パターンとして得ることができる。あるいは、(式1)及び(式2)による平均及び分散のような、ユーザ分類部4で分類する際に用いた量をユーザ特性として用いてもよい。さらに、上記活動実績に関連するユーザ属性を、ユーザ特性に含めてもよい。
【0077】
提供情報は、例えば、推薦するスポーツの種別としてもよい。例えば、(式1)の拘束度合い時間平均が所定閾値判定で大きいとされるユーザについては、移動時間などが多いことが想定され、ランニングを勧めるのは効率的ではないため、電車の中でも実現可能な簡易スクワットを勧めるようにする、といったことが可能である。この場合、拘束度合い時間平均の値の各範囲と、各範囲に属するユーザに推薦するスポーツ種別と、をペアで記載したデータベースを用意しておけば、提供情報を自動で準備できる。
【0078】
本発明を健康競争システムに適用する場合であれば、ユーザに対して情報提供部7でユーザ特性に合ったスポーツを推薦して、ユーザは当該推薦されたスポーツの活動実績を活動実績取得部5に送信し、条件の似通ったユーザ内における当該推薦されたスポーツにおけるランキングを成績作成部6より取得する、といったことが可能である。
【0079】
次に、消費時間取得部31における追加的な実施形態を説明する。以上の説明では、ユーザの入力したスケジュール項目においては、開始時間及び終了時間が明記されているものとの前提を用いた。当該実施形態では、開始時間のみ記され、終了時間が明記されていない場合に、終了時間を自動検出する。
【0080】
一実施形態では、当該ユーザの入力した次のスケジュール項目(時間の並びにおける次のスケジュール項目)の開始時間を、明記されていない終了時間であるとみなしてもよい。例えば、(項目a)「9:00〜 ミーティング」の次に(項目b)「12:00〜13:00 昼休み」が記載されていれば、開始時間「9:00」のみが明記されたミーティングの終了時間は「12:00」であるとみなしてもよい。
【0081】
この際、前述の場所取得部33で取得した場所が、終了時間が明記されていない当該スケジュール項目(項目a)とその次のスケジュール項目(項目b)とで異なっている場合には、前述のように「移動」及びその消費時間を自動検出すると共に、当該「移動」に要した時間を減算して消費時間を求める。
【0082】
別の一実施形態では、第一方針として、当該ユーザの同僚などが、同じスケジュール項目に参加しており、当該スケジュール項目を正確に入力していることを想定して、そのような入力を自動検出する。また、第二方針として、当該ユーザが、同じスケジュール項目について過去あるいは未来においては終了時間を含めて正確に入力していることを想定して、そのような入力を自動検出する。当該第一及び第二方針を総合的に考慮して、終了時間を推定する。
【0083】
図5は、当該実施形態に係る消費時間取得部31の機能ブロック図である。消費時間取得部31は前述の時間単語辞書301に加えてさらに、確実性辞書3011を含み前記第一方針の処理を担う他者情報取得部311と、ゆらぎ辞書3012を含み前記第二方針の処理を担う自己情報取得部312と、当該第一及び第二方針を総合的に考慮して最終結果を与える推定部313と、を含む。
【0084】
他者情報取得部311は、当該終了時間の明記されていないスケジュール項目を記載したユーザ以外の他者のスケジュール項目から、自身と同一のスケジュール項目であると想定されるものを、その確実度と共に求める。この際、他者のスケジュールを以下のように検索する。なお、当該他者のスケジュールは、スケジュール取得部2にて取得したスケジュールの中に存在している。
【0085】
第一に、検索対象となる他者は、当該ユーザと所定プロフィールが共通である範囲とする。例えば、所属する会社その他事業者、あるいは当該会社内における事業部が共通の他者を、スケジュールの検索対象とする。
【0086】
第二に、検索キーは、少なくとも当該明記された開始の日時及び当該スケジュール項目の内容を表す用語とし、さらに、場所を取得している場合は、場所も検索キーとして用いることが好ましい。ここで、内容を表す用語は、活動種別取得部32にて「活動種別」に変換される前の、「内容を表す各単語」を用いる。また、ここで、当該検索キーを与えているユーザの記載自体が、イベントを特定するに際して曖昧性を有しているので、その確実度合いを各単語につきあらかじめ定義しておき、確実性辞書3011に予め登録しておく。
【0087】
以下は、確実性辞書3011に記載の内容の例である。
(内容を表す単語について)
ミーティング…確実度合い0.4、会議…確実度合い0.5、...
(場所を表す単語について)
T大学…確実度合い0.8、宮城…確実度合い0.4、東北…確実度合い0.2、...
【0088】
例えば、Aさんのスケジュール項目が「9:00〜 ミーティング@T大学」と記載され、他者情報取得部311による日時、内容「ミーティング」及び場所「T大学」をキーとした検索によって、共通プロフィールを有するBさんの同日同時刻開始のスケジュール項目が「9:00〜10:00 ミーティング@T大学」と検索された場合、上記確実度合いの例によれば、当該「10:00」に終了するという検索結果の確実度合いを、以下のように計算することができる。ここで、「ミーティング」の不確実度合いが「1−0.4=0.6」であり、「T大学」の不確実度合いが「1−0.8=0.2」である。
1−(0.6*0.2)=0.88
【0089】
なお、上記のような手法で確実度合いを計算することで、「ミーティング」及び「T大学」の片方のみが含まれた検索結果については、当該両者が含まれる場合よりも低い確実度合いが算出されるようにすることができる。例えば、「9:00〜10:00 ミーティング」という記載の確実度合いは、以下のように「0.4」(「ミーティング」の単独での確実度合いと一致)となり、上記「0.88」よりも低い値となる。両者を含む検索結果が得られない場合に、このように片方のみを含む場合をさらに検索対象としてもよく、いずれの片方を採用するかを決定する際に、当該確実度合いの高い側を採用してもよい。
1−0.6=0.4
【0090】
なお、複数の異なる終了時間の結果がヒットした場合は、終了時間として、それらの平均を用いる。検索ヒット数及び/又は検索ヒットしたユーザのプロフィールの近さ(組織上近い位置にあるなど)に応じて、確実度合いを増加させるようにしてもよいし、上記複数ヒットした場合は、平均を取る際の重みづけに用いてもよい。
【0091】
自己情報取得部312は、自分自身の過去及び未来のスケジュール内より、内容(及び場所)が共通で且つ開始時間及び終了時間が明記されたものを検索し、その消費時間(開始時間と終了時間の差)を求めて当該推定対象のスケジュール項目における開始時間に足すことで、当該記載されていない終了時間に対応するものを求める。検索が複数ヒットした場合は、当該求まった複数の終了時間の平均を、結果となす。なお、自分自身のスケジュールは、他者のスケジュールと同様に、スケジュール取得部2にて取得されている。
【0092】
なお、他者情報取得部311の場合と同様に、自己情報取得部312による検索の際に、内容を表す用語は、活動種別取得部32にて「活動種別」に変換される前の、「内容を表す各単語」を用いる。この際、同一の内容(及び場所)であるが、表現が異なる場合がある。例えば、場所に関して、「T大学」、「T大」といった語のゆらぎが存在する。こうしたゆらぎを吸収して、表現が異なるが同一内容であるものを検索可能とすべく、ゆらぎ辞書3012を予め構築しておき、自己情報取得部312による検索の際は当該ゆらぎ辞書3012を参照してもよい。
【0093】
推定部313は、他者情報取得部311によって取得された終了時間T1及び確実度合いp1と、自己情報取得部312によって取得された終了時間T2と、を、当該確実度合いp1に応じて以下のように按分比例して、終了時間Tを推定する。
T=p1*T1 + (1−p1)*T2
【0094】
なお、推定部313は、他者情報取得部311及び自己情報取得部312のうち、片方のみしか終了時間を取得できなかった場合は、当該片方で取得された終了時間を推定結果となす。また同様に、予め他者情報取得部311及び自己情報取得部312のうちの片方のみを適用して、終了時間を取得するようにしておいてもよい。
【0095】
なお、他者情報取得部311及び自己情報取得部312の両者における検索において、取得された終了時間が当該検索しているスケジュール項目における次のスケジュール項目の開始時間を超えているものは、検索結果から除外する。
【0096】
以上、図5で説明した消費時間取得部31による終了時間の自動推定と同様の手法で、スケジュール項目において場所が取得できない場合に、場所取得部33が当該場所を自動推定することもできる。なお、前述のように一実施形態においては、場所を取得できない場合には、場所取得部33はユーザのプロフィールに記載の職場などの、時間帯に応じた所定場所を自動で決定してもよい。
【0097】
図6は、当該自動推定のための場所取得部33の機能ブロック図であり、同一名称及び対応する参照番号を付与するように、図5の消費時間取得部31の各部に対応した機能を有する。
【0098】
他者情報取得部331では、当該場所推定対象となるユーザとプロフィールが共通のユーザのスケジュールを検索対象として、内容及び日時を検索キーとして、検索を行う。内容の単語については、確実性辞書3031において確実度合いを保持しておき、確実度合いと共に検索結果を得る。複数ユーザから検索された場合も、図5で説明したのと同様にすればよい。
【0099】
自己情報取得部332では、当該ユーザ自身の過去及び未来のスケジュールを対象として、内容及びスケジュール項目の継続時間を検索キーとして、検索を行う。当該検索の際、内容に関して、同一内容で異なる表現となっているものを吸収すべく、ゆらぎ辞書3032を参照する。検索キーは内容のみでもよい。推定部333では、他者情報取得部331の取得した場所と、自己情報取得部332で取得した場所と、を按分比例して、推定された場所を得る。あるいは、当該2つの結果のうち、いずれかのみの結果を利用してもよい。
【0100】
以上のようなユーザ分類装置1によれば、ユーザ分類部4での分類結果を用いて、活動実績取得部5、成績作成部6及び情報提供部7で説明したように、典型的には健康競争関連のサービスを提供可能となる。当該健康競争に関して、さらに具体的には、以下のような形でサービスを提供してもよい。
【0101】
(1)同一社内での健康競争ゲーム
例えば、内勤の人と外回りの人では歩く量がまったく異なる。このような人達同士で健康競争をさせると、そのライフスタイルから外回りの人が有利なのは明らかである。そのため、上記のようなスケジュール等の社内データから、似たような時間の使い方ができる人を探し、ラベル付けする。ラベル付されたグループの中での競争を行うことで競争が促進される。このラベルは例えば、「移動距離〜km以上の営業」や「打ち合わせがたくさんある内勤者」・・・等で良い。
【0102】
(2)似たような部署、会社同士での健康競争ゲーム
例えば、A社及びB社の営業では人数構成等が似通っていて、仕事のスタイルも非常に似ているような場合にそれらの部署をマッチングする。「全体で1トン脂肪を減らしたら勝利」といった指標を見せても良い。
【符号の説明】
【0103】
1…ユーザ分類装置、2…スケジュール取得部、3…活動パターン抽出部、4…ユーザ分類部、5…活動実績取得部、6…成績作成部、7…情報提供部
図1
図2
図3
図4
図5
図6