【文献】
関本 義秀 ,”携帯電話を活用した人々の流動解析技術の潮流”,情報処理,日本,一般社団法人情報処理学会,2011年11月15日,第52巻 第12号 ,P1522-1530
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
携帯端末の測位情報に基づいて対象期間内に対象エリアに滞在又は対象エリアを通過したと判定され、かつ、前記対象期間内の対象時期にいずれかのエリアにおいて測位された携帯端末である第1の携帯端末を、前記対象期間内の初期及び終期におけるいずれかのエリアでの測位の有無に応じて設定されたカテゴリに分類し、各カテゴリに分類された前記第1の携帯端末の数を、対象エリア分類別端末数として算出する第1のカウント手段と、
前記対象時期にいずれかのエリアにおいて測位した携帯端末である第2の携帯端末を、前記カテゴリに分類し、各カテゴリに分類された前記第2の携帯端末の数を、全エリア分類別端末数として算出する第2のカウント手段と、
携帯端末の測位情報に基づいて前記対象時期に対象エリアに滞在又は対象エリアを通過した携帯端末の数を特定し、前記対象時期における前記カテゴリのそれぞれについての、前記第1の携帯端末の総数に対する前記対象エリア分類別端末数の割合である第1の割合と、前記第2の携帯端末の総数に対する前記全エリア分類別端末数の割合である第2の割合とを用いて、前記特定された携帯端末の数に対して補正を行い、当該補正により得られた値を用いて前記対象時期の前記対象エリアへの滞在者数の推定値を算出する推定値算出手段と
を備えたことを特徴とする推定値算出装置。
前記カテゴリは、前記対象期間の初期に測位があり終期に測位がないパターンA、前記対象期間の初期に測位があり終期に測位があるパターンB、前記対象期間の初期に測位がなく終期に測位があるパターンC、及び前記対象期間の初期に測位がなく終期に測位がないパターンDのうち、少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の推定値算出装置。
前記推定値算出手段は、前記第1の割合と、前記第2の割合との間の比率を用いて、前記特定された携帯端末の数に対して前記補正を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の推定値算出装置。
前記推定値算出手段は、前記対象期間の初期の前記全エリア分類別端末数と、前記対象時期の前記全エリア分類別端末数との間の比率をさらに用いて、前記特定された携帯端末の数に対して前記補正を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の推定値算出装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、発明の範囲をこれらに限定するものではない。
【0013】
図1を参照して、一実施形態に係る推定値算出システムの構成について説明する。推定値算出システム1は、推定値算出装置10及び複数の携帯端末20などの情報処理装置を主に備える。推定値算出装置10と複数の携帯端末20は、ネットワークNを介して相互に通信することができる。なお、
図1では、3つの携帯端末20が記載されているが、推定値算出装置10と通信可能な携帯端末20の数は、任意である。
【0014】
推定値算出装置10は、携帯端末20の測位情報を用いて対象エリアに存在する携帯端末20の数を特定し、特定された携帯端末20の数から、対象エリアの滞在者数の推定値など、各種の推定値を算出する。
【0015】
推定値算出装置10は、ハードウェア構成として、制御部11、通信部14、及び記憶部15を主に備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)12及びメモリ13を主に備えて構成される。推定値算出装置10は、専用又は汎用のサーバ・コンピュータなどの情報処理装置を用いて実現することができ、例えば、CPU12がメモリ13等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能実現手段として機能する。なお、推定値算出装置10は、単一の情報処理装置より構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数の情報処理装置より構成されるものであってもよい。
【0016】
制御部11では、CPU12は、記憶部15等に記憶されたプログラムをメモリ13に展開して実行することにより、推定値算出装置10が備える各種構成の動作を制御し、また、各種処理の実行を制御する。制御部11において実行される処理の詳細は後述する。
【0017】
通信部14は、ネットワークNを介して携帯端末20等の各種情報処理装置と通信するための通信インタフェースである。通信部14は、例えば、携帯端末20からの測位情報を受信する。
【0018】
記憶部15は、ハードディスク等の記憶装置によって構成される。記憶部15は、制御部11における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報を記憶する。記憶部15に記憶されている情報の具体例については後述する。
【0019】
ネットワークNは、推定値算出装置10と携帯端末20との間で情報を送受信するための通信回線である。例えば、インターネット、LAN、専用線、パケット通信網、電話回線、企業内ネットワーク、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0020】
携帯端末20は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータなどの現在位置を測位した測位情報を所定時間間隔でアップロードする機能を備えた情報端末を適用することができる。携帯端末20は、図示しないが、主制御部、通信部、表示部、操作部、記憶部、測位処理部などの各種機能実現手段を主に備える。
【0021】
図2を参照して、一実施形態に係る推定値算出装置10の機能構成を説明する。推定値算出装置10は、機能構成として、対象エリア端末数カウント部111、全エリア端末数カウント部112、推定値算出部113、及びデータベース120を主に備える。これらの機能は、例えば、制御部11において、CPU12が、記憶部15等に記憶されたプログラムをメモリ13に展開して実行することにより実現される。
【0022】
対象エリア端末数カウント部111は、データベース120に記憶された携帯端末20の測位情報及び地図情報を参照して、対象期間内に対象エリアに滞在又は対象エリアを通過したと判定され(または、対象期間内に対象エリアにおいて1度でも測位され)、かつ、対象期間内の対象時期にいずれかのエリアにおいて測位された携帯端末20(第1の携帯端末)を特定する。なお、対象期間内に対象エリアに滞在した携帯端末20の判定は、例えば、測位情報を参照して、対象期間内における対象エリアへの滞在時間及び測位回数が所定値以上である携帯端末20を識別することによって行う。また、対象期間内に対象エリアを通過した携帯端末20の判定は、例えば、測位情報を参照して、対象期間内における対象エリアへの滞在時間が所定値以下であり、かつ、測位回数が所定値以上である携帯端末20を識別することによって行う。対象エリア端末数カウント部111は、さらに、当該特定された携帯端末20を、対象期間内の初期及び終期におけるいずれかのエリアでの測位の有無に応じて設定された携帯端末20の分類(カテゴリ)ごとに分類し、当該分類ごとの携帯端末20の数を対象エリア分類別端末数として算出する。対象エリア端末数カウント部111は、分類ごとに算出した対象エリア分類別端末数をデータベース120に記憶する。なお、上記において、対象期間内に対象エリアに滞在又は対象エリアを通過したと判定され、という条件は、これに限定するものではなく、対象期間内に対象エリアにおいて1度でも測位された携帯端末20のうち所定の条件を満たす、という条件であれば他の条件であってもよい。
【0023】
ここで、エリアとは、緯度経度に基づいて地図を分割して得られる複数の分割領域であり、仕様や設計に応じて適宜分割領域の形状やサイズを設定することができる。例えば、メッシュ領域の形状は、四角形、六角形、ひし形等の多角形や、円等の曲線で囲まれた領域とすることができる。また、エリアのサイズは一定でなくてもよい。例えば、都市部のエリアはより小さく(細かく)するようにしてもよい。また、エリアを行政区画の形状にしてもよい。また、人口統計情報によって地域毎にエリアのサイズを変えたり(例えば人口が多い地域のエリアは小さくする。)、市区町村の分類、宅地種別、日常圏(日常の生活圏)の情報などに基づいてサイズを設定してもよい。以降の説明におけるエリアについても同様である。設定されたエリアの情報は、地図情報と共にデータベース120に記憶されている。
【0024】
図3は、データベース120に記憶された測位情報の例を示している。この例では、測位情報は、携帯端末20が測位された時刻である測位時刻、携帯端末20の識別情報である端末装置ID、携帯端末20が測位された位置である測位位置(緯度、及び経度)の情報を含む。
【0025】
対象期間内の初期及び終期におけるいずれかのエリアでの測位の有無に応じて設定された携帯端末20の分類(カテゴリ)は、任意の方法で設定することができる。例えば、当該分類は、次のようなパターンの少なくともいずれかを含むことができる。
パターンA:対象期間の初期に測位があり終期に測位がない携帯端末20。
パターンB:対象期間の初期に測位があり終期に測位がある携帯端末20。
パターンC:対象期間の初期に測位がなく終期に測位がある携帯端末20。
パターンD:対象期間の初期に測位がなく終期に測位がない携帯端末20。
【0026】
図4は、測位した携帯端末20の数の時間の経過に伴う推移を上記のパターンAからパターンDの分類ごと概念的に示している。
図4に示すように、パターンAに属する携帯端末20の数は、時間の経過とともに減少し、対象期間の終期には0になる。パターンBに属する携帯端末20の数は、対象期間の全体を通じて、ほぼ同じ値となる。パターンCに属する携帯端末20の数は、対象期間の初期は0であるが、時間の経過とともに増加する。パターンDに属する携帯端末20の数は、初期と終期においては0であるが、その間の期間において増減する。
【0027】
図2の全エリア端末数カウント部112は、データベース120に記憶された携帯端末20の測位情報及び地図情報を参照して、携帯端末20の上記の分類ごとに、対象時期にいずれかのエリア(例えば、全国のいずれかのエリア)において測位した携帯端末20(第2の携帯端末)の数を全エリア分類別端末数として算出する。全エリア端末数カウント部112は、分類ごとに算出した全エリア分類別端末数をデータベース120に記憶する。
【0028】
推定値算出部113は、データベース120に記憶された携帯端末20の測位情報及び地図情報と、対象エリア端末数カウント部111及び全エリア端末数カウント部112による算出結果とを参照して、対象期間中の対象時期の対象エリアへの滞在者数の推定値を算出する。具体的には、推定値算出部113は、まず、データベース120に記憶された携帯端末20の測位情報及び地図情報を参照して、対象期間中の対象時期に対象エリアに滞在又は対象エリアを通過した携帯端末20の数(または、対象期間中の対象時期に対象エリアで測位した携帯端末20の数)を特定する。推定値算出部113は、当該特定された携帯端末20の数に対して補正を行い、当該補正により得られた値を用いて、当該対象時期の対象エリアへの滞在者数の推定値を算出する。当該補正は、対象時期における上記の分類ごとの上記第1の携帯端末の総数に対する対象エリア分類別端末数の割合(第1の割合)と上記第2の携帯端末の総数に対する全エリア分類別端末数の割合(第2の割合)とを用いて行われる。また、当該補正は、上記の各分類について、対象期間中の初期の時期における全エリア分類別端末数と、対象期間中の対象時期における全エリア分類別端末数との間の比率をさらに用いて行うこともできる。特定された携帯端末20の数に対する補正の処理及び滞在者数の推定値の算出の具体的な例については後述する。推定値算出部113は、算出した滞在者数の推定値の情報をデータベース120に記憶する。
【0029】
データベース120は、推定値算出装置10において実行される上記の処理に必要な情報、及び当該処理により生成された情報など、各種情報を記憶する。データベース120は、例えば、測位情報、地図情報、対象エリア分類別端末数情報、全エリア分類別端末数情報及び推定値情報を記憶している。
【0030】
次に、
図5から
図7を参照して、推定値算出装置10において実行される処理のフローの具体的な例を説明する。なお、以下に説明する処理フローに含まれる各処理ステップは、処理内容に矛盾を生じない範囲で、任意に順番を変更して又は並列に実行することができるとともに、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、便宜上1ステップとして記載されているステップは、複数ステップに分けて実行することができる一方、便宜上複数ステップに分けて記載されているものは、1ステップとして把握することができる。また、各処理ステップは、制御部11による制御により行われる。
【0031】
ここでは、2011年1月から2012年12月までを対象期間として、当該対象期間において測位があった携帯端末20の数を用いて、対象期間内における複数の対象時期のそれぞれにおける対象エリアの滞在者数の推定値を算出する処理の例を説明する。
【0032】
まず、
図5のステップS11において、対象エリア端末数カウント部111は、データベース120に記憶された携帯端末20の測位情報及び地図情報を参照して、対象期間内に対象エリアに滞在又は対象エリアを通過したと判定され(または、対象期間内に対象エリアにおいて1度でも測位され)、かつ、対象期間内の対象時期にいずれかのエリアにおいて測位された携帯端末20を特定する。対象エリア端末数カウント部111は、さらに、当該特定された携帯端末20を、対象期間内の初期及び終期におけるいずれかのエリアでの測位の有無に応じて設定された携帯端末20の分類ごとに分類し、当該分類ごとの携帯端末20の数を対象エリア分類別端末数として算出する。当該分類として、例えば、上記のパターンAからパターンDを含めることができる。
【0033】
図6(A)〜(C)を参照して、対象期間を2011年1月から2012年12月としたときに、対象エリア端末数カウント部111によって分類ごとに算出された対象エリア分類別端末数の例を説明する。
【0034】
まず、
図6(A)を参照して、対象期間内における推定値算出の対象時期を2011年1月とした時に、対象エリア端末数カウント部111によって算出される携帯端末20の分類ごとの対象エリア分類別端末数の例を説明する。
図6(A)には、対象期間内に対象エリアにおいて1度でも測位した携帯端末20のうち、いずれかのエリアにおいて、対象期間の初期(2011年1月)に測位があり終期(2012年12月)に測位がないパターンAの携帯端末20の数(対象エリア分類別端末数)が4000であることが示されている。また、対象期間内に対象エリアにおいて1度でも測位した携帯端末20のうち、いずれかのエリアにおいて、対象期間の初期に測位があり終期に測位があるパターンBの携帯端末20の数(対象エリア分類別端末数)が6000であることが示されている。なお、
図6(A)の例では、対象時期を対象期間の初期である2011年1月としているため、対象期間の初期に測位がない分類である上記のパターンC及びパターンDの対象エリア分類別端末数は、0となる。
【0035】
図6(B)を参照して、対象期間内の対象時期を2011年8月とした時に算出された携帯端末20の分類ごとの対象エリア分類別端末数の例を説明する。
図6(B)には、対象期間内に対象エリアにおいて1度でも測位した携帯端末20の数のうち、パターンAの対象エリア分類別端末数が2300であることが示されている。なお、携帯端末20のユーザが携帯端末20の契約を解約した場合、その携帯端末20の測位情報は得られない。そのため、パターンAの場合、対象時期が2011年1月である
図6(A)の例の場合と比較して、対象時期が2011年1月より後の時期である
図6(B)の例の方が対象エリア分類別端末数は少ない。
【0036】
さらに、
図6(B)には、対象期間内に対象エリアにおいて1度でも測位した携帯端末20の数のうち、パターンBの対象エリア分類別端末数が6000であることが示されている。なお、パターンBは、対象期間の初期に測位があり、かつ、終期に測位がある携帯端末20を対象としているため、対象期間内全体を通じて(例えば、
図6(A)の例と
図6(B)の例とで)、対象エリア分類別端末数は変化しない。
【0037】
また、
図6(B)には、対象期間内に対象エリアにおいて1度でも測位した携帯端末20の数のうち、対象期間の初期に測位がなく終期に測位があるパターンCの対象エリア分類別端末数が1300であることが示されている。なお、携帯端末20は新規にユーザによって契約されることがあるため、パターンCの対象エリア分類別端末数は、時間の経過とともに増加する。また、
図6(B)には、対象期間内に対象エリアにおいて1度でも測位した携帯端末20の数のうち、対象期間の初期に測位がなく終期に測位がないパターンDの対象エリア分類別端末数が1500であることが示されている。
【0038】
図6(C)を参照して、対象期間内の対象時期を2012年12月とした時に算出された携帯端末20の分類ごとの対象エリア分類別端末数の例を説明する。
図6(C)には、対象期間内に対象エリアにおいて1度でも測位した携帯端末20の数のうち、パターンBの対象エリア分類別端末数が6000であることが示されている。また、
図6(C)には、対象期間内に対象エリアにおいて1度でも測位した携帯端末20の数のうち、パターンCの対象エリア分類別端末数が2000であることが示されている。なお、対象時期を対象期間の終期である2012年12月としているため、パターンA及びパターンDの対象エリア分類別端末数は、0となる。
【0039】
次に、
図5のステップS12において、全エリア端末数カウント部112は、データベース120に記憶された携帯端末20の測位情報及び地図情報を参照して、携帯端末20の上記の分類ごとに、対象時期にいずれかのエリア(例えば、全国のいずれかのエリア)において測位した携帯端末20の数を全エリア分類別端末数として算出する。
【0040】
図6(A)〜(C)を参照して、全エリア端末数カウント部112によって分類ごとに算出された全エリア分類別端末数の例を説明する。まず、
図6(A)には、対象期間内の対象時期を2011年1月とした時に、対象時期にいずれかのエリアにおいて測位した携帯端末20の数(全エリア分類別端末数)は、パターンAが20万であり、パターンBが50万であることが示されている。
図6(B)には、対象時期を2011年8月とした時の全エリア分類別端末数は、パターンAが14万であり、パターンBが50万であり、パターンCが12万であり、パターンDが6万であることが示されている。
図6(C)には、対象時期を2012年12月とした時の全エリア分類別端末数は、パターンBが50万であり、パターンCが30万であることが示されている。
【0041】
次に、
図5のステップS13において、推定値算出部113は、ステップS11及びS12において分類ごとに算出された対象エリア分類別端末数の割合及び全エリア分類別端末数の割合を用いて、対象時期の対象エリアへの滞在者数の推定値を算出するための補正係数を算出する。当該補正係数は、上記の分類ごとの携帯端末20の数の割合は、対象エリアで測位したことがある携帯端末20における割合(すなわち、上記の分類ごとの対象エリア分類別端末数の割合)よりも、いずれかのエリアで測位したことがある携帯端末20における割合(すなわち、上記の分類ごとの全エリア分類別端末数の割合)の方が実測値に近い割合であることを前提として、対象時期に対象エリアで測位した携帯端末20の数を後述するように補正するための係数である。
【0042】
補正係数の算出方法の具体例として、まず、対象期間における初期である2011年1月を対象時期とする
図6(A)の例の場合、次のように算出する。この例では、対象エリア分類別端末数のうち、パターンAの割合は、40%(=4000/(4000+6000)×100)である。また、全エリア分類別端末数のうち、パターンAの割合は、28.56%(=200000/(200000+500000)×100)である。このとき、推定値算出部113は、パターンAに関して、補正係数を0.714(=パターンAの全エリア分類別端末数の割合/パターンAの対象エリア分類別端末数の割合=28.56%/40%)として算出する。すなわち、推定値算出部113は、分類ごとの対象エリア分類別端末数の割合と全エリア分類別端末数の割合との間の比率を用いて補正係数を算出する。
【0043】
同様に、パターンBに関して、対象エリア分類別端末数のうち、パターンBの割合は、60%(=6000/(4000+6000)×100)であり、全エリア分類別端末数のうち、パターンBの割合は、71.43%(=500000/(200000+500000)×100)である。このとき、推定値算出部113は、パターンBに関して、補正係数を1.191(=71.43%/60%)として算出する。
【0044】
対象期間の開始から一定時間が経過した2011年8月を対象時期とする
図6(B)の例の場合、例えば、次のように補正係数を算出する。この例では、上記の前提に加えて、対象期間の初期からの時間の経過に伴うユーザによる携帯端末20の契約や解約による携帯端末20の数の増減の割合も、対象エリアで測位したことがある携帯端末20における割合よりも、いずれかのエリアで測位したことがある携帯端末20の契約や解約による携帯端末20の数の増減の割合(すなわち、全エリアにおける携帯端末20の数の増減の割合)の方が正しい値に近い割合であることを前提として、補正係数を算出する。
【0045】
まず、上記の新たな前提に従って補正係数を算出するために、いずれかのエリアで測位したことがある携帯端末20(全エリア分類別端末数の総数)のうち対象エリアで測位したことがある携帯端末20(対象エリア分類別端末数の総数)の割合について、対象期間の初期と対象時期との間の割合を次の式1により算出する。
【0046】
(初期の対象エリア分類別端末数の総数/初期の全エリア分類別端末数の総数)/(対象時期の対象エリア分類別端末数の総数/対象時期の全エリア分類別端末数の総数) ・・・(式1)
【0047】
すなわち、式1による算出は、対象期間中の初期の全エリア分類別端末数と、対象時期の全エリア分類別端末数との間の比率を用いたものとなる。
【0048】
図6(B)の例の場合における式1による算出の結果は次のとおりである。
((4000+6000)/(200000+500000))/((2300+6000+1300+1500)/(140000+500000+120000+60000))=1.06
【0049】
このようにして得られた式1による算出結果と、
図6(A)の例の場合と同様の方法により算出された補正係数とを乗ずることによって、
図6(B)の例の場合のパターンA及びパターンBのそれぞれに関して、補正係数を次のように算出することができる。
【0050】
パターンA:
1.06(140000/(140000+500000+120000+60000))/(2300/(2300+6000+1300+1500))=0.873
【0051】
パターンB:
1.06(500000/(140000+500000+120000+60000))/(6000/(2300+6000+1300+1500))=1.196
【0052】
また、パターンC及びパターンDについては、携帯端末20の初期の測位がないため、補正係数は、
図6(A)の例の場合と同様の方法により次のように算出する。
【0053】
パターンC:
(120000/(140000+500000+120000+60000))/(1300/(2300+6000+1300+1500))=1.325
【0054】
パターンD:
(60000/(140000+500000+120000+60000))/(1500/(2300+6000+1300+1500))=0.573
【0055】
図6(C)の例の場合の補正係数は、
図6(B)の例と同様の方法により次のように算出することができる。
【0056】
まず、式1による算出結果は、次のとおりである。
((4000+6000)/(200000+500000))/((6000+2000)/(500000+300000))=1.43
【0057】
補正係数の算出結果は、次のとおりである。
パターンB:
1.43(500000(500000+300000))/(6000/(6000+2000))=1.19
【0058】
パターンC:
1.43(300000(500000+300000))/(2000/(6000+2000))=2.15
【0059】
次に、
図5のステップS14において、推定値算出部113は、データベース120に記憶された測位情報を参照して、対象期間中の対象時期に対象エリアに滞在又は対象エリアを通過した携帯端末20の数(または、対象期間中の対象時期に対象エリアで測位した携帯端末20の数)を特定し、特定された数に対して、ステップS13にて算出した補正係数を用いて補正を行う。推定値算出部113は、補正により得られた値を全エリアにおける携帯端末20の所持率で除することで、対象時期の対象エリアへの滞在者数の推定値を算出する。すなわち、次の式2により、対象時期の対象エリアへの滞在者数の推定値を算出する。
【0060】
対象時期の対象エリアの滞在者数の推定値=対象時期に対象エリアで測位した携帯端末の数×補正係数÷携帯端末の所持率 ・・・(式2)
【0061】
図7を参照して、
図6の例の場合における対象時期の対象エリアへの滞在者数の推定値の算出方法の具体例を説明する。
【0062】
まず、対象時期を2011年1月とする
図6(A)及び
図7(A)の例の場合、対象時期の全エリア分類別端末数20の総数は、70万(=20万+50万)であるため、日本の人口を1.3億人とすると、対象時期の携帯端末20の所持率は、次のとおりである。
700000/130000000=1/185.71
【0063】
このとき、
図7(A)に示すように、対象時期に対象エリアで測位したパターンAの携帯端末20の数が66であった場合、対象時期の対象エリアの滞在者数の推定値は、次のとおりである。
66×0.714×185.71=8751.6(人)
【0064】
また、対象時期に対象エリアで測位したパターンBの携帯端末20の数が68であった場合、対象時期の対象エリアの滞在者数の推定値は、次のとおりである。
68×1.071×185.71=13127.4(人)
【0065】
以上より、対象時期を2011年1月とする対象エリアの滞在者数の合計の推定値は、パターンA及びパターンBの推定値を合算した値であり、次のとおりである。
8751.6+13127.4=21879(人)
【0066】
次に、対象時期を2011年8月とする
図6(B)及び
図7(B)の例の場合、対象時期の全エリア分類別端末数の総数は、82万(=14万+50万+12万+6万)であるため、対象時期の携帯端末20の所持率は、次のとおりである。
820000/130000000=1/158.54
【0067】
このとき、
図7(B)に示すように、対象時期に対象エリアで測位したパターンAの携帯端末20の数が35であった場合、対象時期の対象エリアの滞在者数の推定値は、次のとおりである。
35×0.873×158.54=4846.5(人)
【0068】
同様に、
図7(B)に示すように、対象時期に対象エリアで測位したパターンB、C及びDの携帯端末20のそれぞれの数がそれぞれ、70、24、18であった場合、対象時期の対象エリアの滞在者数の推定値は、次のとおりである。
パターンB:70×1.196×158.54=13269.2(人)
パターンC:24×1.325×158.54=4756.32(人)
パターンD:18×0.573×158.54=1543.86(人)
【0069】
以上より、対象時期を2011年8月とする対象エリアの滞在者数の合計の推定値は、パターンAからパターンDの推定値を合算した値であり、次のとおりである。
4846.5+13269.2+4756.32+1543.86=24416(人)
【0070】
次に、対象時期を2012年12月とする
図6(C)及び
図7(C)の例の場合、対象時期の全エリア分類別端末数の総数は、80万(=50万+30万)であるため、対象時期の携帯端末20の所持率は、次のとおりである。
800000/130000000=1/162.5
【0071】
このとき、
図7(C)に示すように、対象時期に対象エリアで測位したパターンB及びCの携帯端末20の数がそれぞれ、64、40であった場合、対象時期の対象エリアの滞在者数の推定値は、次のとおりである。
パターンB:64×1.43×162.5=12763.1(人)
パターンC:40×1.43×162.5=13127.4(人)
【0072】
以上より、対象時期を2012年12月とする対象エリアの滞在者数の合計の推定値は、パターンB及びパターンCの推定値を合算した値であり、次のとおりである。
12763.1+13127.4=25891(人)
【0073】
以上のように、本実施形態によれば、対象期間内にいずれかのエリアおいて1度でも測位した時期に応じて設定された携帯端末20の分類ごとに算出された対象エリア分類別端末数及び全エリア分類別端末数を用いて、対象時期に対象エリアで測位した携帯端末20の数に対して補正を行い、対象時期の対象エリアへの滞在者数の推定値を算出する。当該補正は、上記の分類ごとの携帯端末20の数の比率は、対象エリアで測位したことがある携帯端末20における比率(すなわち、上記の分類ごとの対象エリア分類別端末数の比率)よりも、いずれかのエリアで測位したことがある携帯端末20における比率(すなわち、上記の分類ごとの全エリア分類別端末数の比率)の方が実測値に近い比率であることを前提として行う。その結果、測位情報を用いて算出される対象エリアへの滞在者数の推定値などの推定値をより適切に算出することができる。
【0074】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。