(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記観察相対角算定部は、前記基準位置において前記前眼部観察光学系の光軸を前記被検眼の前記視軸と同じ向きにした状態で前記基準観察相対角を算定することを特徴とする請求項1に記載の眼科用検査装置。
前記検査光学系は、前記前眼部観察光学系に加えて、照明光によって前記被検眼の前眼部を斜め前方から照明する照明光学系、及び前記被検眼の前眼部で前記照明光が反射された反射光を受光する撮影光学系を備え、
前記前眼部観察光学系の光軸は、前記照明光学系の照明光軸と前記撮影光学系の撮影光軸との交差角を二分する方向の軸であり、
前記撮影光学系は、前記検査条件に基づく前記光学系移動機構による前記検査光学系の移動完了後に前記被検眼を撮影し、
前記観察相対角算定部は、前記撮影光学系が前記被検眼を撮影した時点における前記移動後観察相対角の算定が可能な構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の眼科用検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3に開示された装置によれば、固定されたスタンドボックス内に固視灯が設置されており、被検者は常時この固視灯に視線を向けておくことで、視方向が固定化される。そして、光学系を上下左右前後方向に移動させ、或いは所定点を中心に回転移動させることで、光軸と視軸のなす角度が変化して被検部位を任意の位置に設定することができる。
【0008】
しかし、この装置では、被検者が点灯された固視灯に視線を向け続けている場合には、視方向が固定化されるために正確に被検部位を観察することができるが、仮に観察中に被検者が視方向を変化させてしまったとしても、そのことを装置側で認識することはできない。このため、被検部位とは異なる部位が観察されているにも関わらず、得られた画像が被検部位の画像であるとして誤って記録されてしまうということが起こり得る。
【0009】
確かに、被検者にとって、正面に点灯している固視灯を見続けること自体は特に困難なことではない。すなわち、被検者が視方向を常に固定し続けてくれさえすれば、特許文献3に記載の装置によって正しく観察対象部位を観察できる。しかし、同装置は、その固視灯を見続けている間に光学系が移動する構成であり、正面の固視灯を凝視している間に光学系が回転移動し、例えば右上方付近において光学系の装置が移動していることが視野に入ると、被検者が思わずその装置の方向に視線を移動させてしまう可能性は否定できない。また、移動後であっても、光学系が斜め前方に位置していると、思わずそちらの方向を見てしまうという心理が被検者に働く可能性もある。
【0010】
つまり、たとえ正面に固定された固視灯が配置されているとしても、そのことのみをもって、検査中に被検者が常時その固視灯を見続けてくれていることが完全に保証されるわけではない。このため、被検部位が正しく観察されているかどうかについて、装置側で把握する必要性が存在する。
【0011】
本発明は、上記の問題点を鑑み、予め設定された被検部位を正しく観察できているかどうかを装置側で検出可能な眼科用検査装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成すべくなされた本発明は、被検者の被検眼を検査するための眼科用検査装置であって、
前記被検眼の前眼部を観察する前眼部観察光学系を含む検査光学系と、
指定された検査条件に基づいて前記検査光学系を回転移動させる光学系移動機構と、
前記検査条件の下で、前記前眼部観察光学系において観察された前記被検眼の前眼部画像から得られる情報に基づいて、観察された前記被検眼の眼軸と前記検査条件の下での前記前眼部観察光学系の光軸との間の角度である観察相対角を算定する観察相対角算定部と、前記被験者の前記被検眼とは反対眼で固視可能な位置に配置された外部固視灯を備えることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、検査条件下での観察時における被検眼の眼軸と前眼部観察光学系の光軸のなす角度である観察相対角を、観察相対角算定部によって算定できる。このため、検査条件下で本来眼軸と光軸がなすべき角度と前記観察相対角の比較を行うことができるようになり、この比較結果に基づいて、観察時に被検者が視方向を正しく固定できていたかどうかを装置側で判断することが可能となる。
【0014】
また、反対眼によって固視可能な外部固視灯を備えることで、被験者は視方向を容易に固定化しやすくすることができる。
【0015】
特に、この外部固視灯は、前記光学系移動機構の回転移動の開始前から完了後までの間にわたって、前記被験者の前記被検眼とは反対眼で固視可能な位置に配置されているものとするのが好適である。
【0016】
被検眼の正面に検査光学系が位置している状態から、当該検査光学系が回転移動すると、被験者は被検眼を向ける目標を失ってしまう。このため、操作者が被験者に対して視方向を固定するように指示したとしても、思わず検査光学系を見てしまうことで、視方向が変動する可能性がある。本装置によれば、視方向が正しく固定できているかを検証することができるため、仮に変動していたとしても、補正や警告を発した後、再検査等を行うことで、被検部位とは異なる箇所が知らないうちに撮影されてしまうというおそれは少ない。
【0017】
しかし、これに加えて、上記構成のように反対眼によって固視可能な外部固視灯を備えることにより、被験者の視方向が変動する可能性を低減することが可能となる。よって、この構成を組み合わせることで、被験者に対して再検査を行わせる必要性を少なくすることができる。
【0018】
ここで、外部固視灯は、反対眼によって無限遠視できる構成とするのが好適である。外部固視灯が被検眼に極めて近い位置に存在する場合、輻輳が生じて、被検眼の視方向を目標とする方向に移動させるのが難しいことがある。このため、外部固視灯ができるだけ遠くに存在するように反対眼に視覚的に感じさせて、被検眼と反対眼の双方の視方向をほぼ平行にさせる。これにより、被験者は、反対眼で外部固視灯を固視することで、被検眼も正面をまっすぐ見続けることができ、視方向を固定させやすくなる効果が高まる。
【0019】
このとき、前記観察相対角算定部は、前記前眼部画像上に表示されるプルキンエ像の相対位置に基づいて前記観察相対角を算定する構成とすることができる。
【0020】
より具体的には、一例として、前記観察相対角算定部が、前記前眼部画像より瞳孔の中心位置を読み取ると共に、当該瞳孔の中心位置と前記プルキンエ像の相対位置関係に基づいて前記観察相対角を算定する構成とすることができる。
【0021】
また、本発明に係る眼科用検査装置は、上記の特徴に加えて、
前記被検眼の被検部位の位置の指定を受け付ける位置指定部と、
前記検査光学系を所定の基準位置から前記検査条件を充足する位置に移動を完了させる迄の間の、前記被検眼の視方向の変化の有無を検出する視方向変化検出部と、
指定された前記被検部位の位置情報に基づいて、前記被検部位の検査時に満たすべき前記被検眼の視軸と前記前眼部観察光学系の光軸の間の角度を回転角として算定する回転角算定部と、を有し、
前記観察相対角算定部は、前記基準位置での前記観察相対角を基準観察相対角として算定すると共に、前記検査条件を充足する位置での前記観察相対角を移動後観察相対角として算定し、
前記視方向変化検出部は、前記基準観察相対角と前記回転角に基づいて、前記検査条件下での前記被検眼の眼軸と前記前眼部観察光学系の光軸がなす理論的な角度を理論相対角として算定すると共に、前記移動後観察相対角と前記理論相対角の比較結果に基づいて前記被検眼の視方向の変化の有無を検出することを別の特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、観察相対角算定部によって、基準位置における観察相対角、すなわち、基準位置における眼軸と前眼部観察光学系の光軸がなす角度が基準観察相対角として得られる。このため、回転角算定部によって算定された回転角と、前記基準観察相対角に基づいて、指定された前記被検部位を撮影する際に満たすべき、被検眼の眼軸と前眼部観察光学系の光軸がなす角度(理論相対角)を、理論的に算出することができる。そして、観察相対角算定部は、移動後においても観察相対角(移動後観察相対角)を算定する構成である。従って、この移動後観察相対角と理論相対角とを比較することで、検査光学系が基準位置から検査条件充足位置への移動を完了する迄の間に、被検眼の視軸の向き(視方向)が変化したか否かを検出することが可能となる。
【0023】
ここで、前記観察相対角算定部は、前記基準位置において前記前眼部観察光学系の光軸を前記被検眼の前記視軸と同じ向きにした状態で前記基準観察相対角を算定する構成とすることができる。
【0024】
特にこの場合、観察相対角算定部は、被検眼の眼軸と視軸のずれ角を、基準観察相対角として算定することが可能となる。
【0025】
被検眼の正面に前眼部観察光学系を配置して、当該光学系をまっすぐ見るように指定、すなわち、被検眼の視軸の向きを前眼部観察光学系の光軸の向きに一致させた場合であっても、もともと存在する視軸と眼軸のズレや、輻湊(両眼視状態)の発生、斜視の存在、或いは瞳孔が厳密な真円ではないこと等に由来して、眼軸が当該光学系の光軸に平行とならず、一定の角度を有する場合が想定される。この角度は、被検眼毎に異なる態様として現れる。このため、上記構成によれば、この被検眼毎の特徴を考慮して、被検眼の視方向の変化の有無を判定することができる。
【0026】
また、本発明に係る眼科用検査装置は、上記の特徴に加えて、
前記検査光学系の補正変位角度を算定して前記光学系移動機構に与える補正条件設定部を備え、
前記視方向変化検出部は、前記移動後観察相対角が前記理論相対角から所定値以上離れている場合には、前記補正条件設定部に補正指示を与え、
前記補正条件設定部は、前記移動後観察相対角を前記理論相対角に等しくするために必要な前記補正変位角度を算定することを特徴とする。
【0027】
検査光学系の移動中に被検眼の視方向に変化があった場合、検査条件充足位置に移動された検査光学系によって映し出される被検眼の画像は、本来の被検位置とは異なる位置のものとなってしまう。しかし、上記構成によれば、視方向の変化が検出されると、自動的に当該変化を打ち消すための補正変位角度が補正条件設定部によって算定されるため、この補正変位角度に応じて検査光学系を回転させることで、正しく被検位置が撮影対象となるように自動補正することが可能となる。
【0028】
また、本発明に係る眼科用検査装置は、上記の特徴に加えて、
前記検査光学系は、前記前眼部観察光学系に加えて、照明光によって前記被検眼の前眼部を斜め前方から照明する照明光学系、及び前記被検眼の前眼部で前記照明光が反射された反射光を受光する撮影光学系を備え、
前記前眼部観察光学系の光軸は、前記照明光学系の照明光軸と前記撮影光学系の撮影光軸との交差角を二分する方向の軸であり、
前記撮影光学系は、前記検査条件に基づく前記光学系移動機構による前記検査光学系の移動完了後に前記被検眼を撮影し、
前記観察相対角算定部は、前記撮影光学系が前記被検眼を撮影した時点における前記移動後観察相対角の算定が可能な構成であることを別の特徴とする。
【0029】
上記構成によれば、撮影光学系によって撮影された画像が被検位置を正しく撮影したものであるかどうかを、装置側において認識することが可能となる。なお、前記前眼部観察光学系の光軸の方向は、前記照明光学系の照明光軸と前記撮影光学系の撮影光軸との交差角を必ずしも二等分する方向である必要はない。
【0030】
また、本発明に係る眼科用検査装置は、上記の特徴に加えて、
前記検査条件が複数設定された場合、前記検査条件毎に順次前記光学系移動機構による移動処理と前記撮影光学系による撮影処理が行われ、
前記回転角算定部は、前記検査条件毎に前記回転角を算定し、
前記観察相対角算定部は、前記検査条件毎に、前記撮影光学系が前記被検眼を撮影した時点における前記観察相対角の算定が可能であり、
前記視方向変化検出部は、前記検査条件毎に前記理論相対角を算定すると共に、前記検査条件毎に前記理論相対角と前記移動後観察相対角との比較が可能な構成であることを別の特徴とする。
【0031】
上記の構成によれば、複数の被検位置を指定して連続的に検査する場合において、当該複数の被検位置が夫々正しく撮影できているかどうかを、個別に判断することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、被検眼の眼軸と前眼部観察光学系の光軸とがなす観察相対角が装置側で認識できるため、検査条件下で本来眼軸と光軸がなすべき角度と前記観察相対角の比較を行うことができるようになり、この比較結果に基づいて、観察時に被検者が視方向を正しく固定できていたかどうかを装置側で判断することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係る眼科用検査装置(以下、適宜「本装置」という。)の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面において、実際の寸法比と図面上の寸法比は必ずしも一致するものではない。
【0035】
[外観の構成]
図1及び
図2は、本装置の一実施形態の外観を示す概念図であり、
図1は側方から見たときの図面、
図2は正面から見たときの図面である。
【0036】
本装置1は、XYZ架台(三軸架台ともいう。)3に搭載された本体部5を備え、この本体部5内に観察・撮影用の光学系部材が収納されている。本実施形態では、本装置1が角膜内皮細胞の撮影を行うための装置であるものとして説明する。
【0037】
本体部5は、支持枠7に支持された状態でXYZ架台3に搭載されている。XYZ架台3は基台11を有し、この基台11上にX軸方向にスライド可能なXテーブル13が形成されている。そして、このXテーブル13上には、Z軸方向にスライド可能なZテーブル15が形成され、更にこのZテーブル15上にはY軸方向にスライド可能なYテーブル17が形成されている。なお、この各テーブルの配置方法は、
図1の形態に限られるものではない。
【0038】
図1に示すように、本実施形態では、被検者から見て左右方向を「X軸方向」、上下方向(鉛直方向)を「Y軸方向」、前後方向を「Z軸方向」と規定する。つまり、Xテーブル13は左右方向にスライド可能であり、Zテーブル15は前後方向にスライド可能であり、Yテーブル17は鉛直方向に昇降可能である。各軸方向の移動機構は、送りネジ方式等の公知の機構を採用することができる。
【0039】
また、Z軸方向に関し、本装置1から見て被検者側を「前方」、その反対側を「後方」と記載する。
【0040】
図1に示すように、本装置1は、被検者10が額当て部33に額を当て、更に顎乗せ台35に顎を乗せることで、被検者10の顔を固定した状態で利用される。本体部5内には後述する光学系(検査光学系)が備えられており、この光学系に含まれる発光素子からの放射光が照明レンズ43を介して被検眼2に照射される。そして、この光が、被検眼2の前眼部にて反射され、その反射光が撮影レンズ41を介して本体部5内の光学系に取り込まれて、後述する処理が行われる。なお、
図1において、撮影レンズ41を含む撮影光学系の光軸を符号51として表し、照明レンズ43を含む照明光学系の光軸を符号53として表している。
【0041】
額当て部33は、支持部材34に固定されている。この支持部材34は基台11
に固定されており、後述するように、フレキシブルチューブ32を介して外部固視灯36が取付けられる(
図5参照)。
【0042】
更に、
図1には図示していないが本体部5内には前眼部2を撮影するための前眼部撮影レンズが備えられており、このレンズを介しても放射光が被検眼2に照射される。この前眼部撮影レンズについては
図7を参照して後述される。
【0043】
本実施形態では、支持枠7がU字フレーム形状を示す構造であり、本体部5をX軸の回りに回転可能に支持している。より具体的にいえば、本装置1は、支持枠7の前方(被検者10側)に設定された基準点31を中心とした公転動作が可能となっている。この基準点31は、後述する検査光学系の光学基準軸上に設定されており、Z軸もこの基準点31を通るように設定されている。
【0044】
支持枠7の側面には、基準点31を中心とした円弧形状のガイド溝9が形成されている。また、本体部5から外方に突出した複数の案内部材19が備えられており、この案内部材19は、ガイド溝9の縁に接しながら移動することができる。そして、本体部5には、基準点31を中心とした円弧形状のラック21が形成されている。支持枠7にはY回転駆動部23が設けられており、このY回転駆動部23によって回転駆動されるピニオンギア25がラック21に咬合している。Y回転駆動部23からの制御によってピニオンギア25を回転駆動することにより、基準点31を左右方向に通過するX軸の回りに本体部5を回転移動させることができる。これにより、本体部5をY軸方向(鉛直方向)に振ることができる(θy回転移動)。
【0045】
図3は、本体部5における上記X軸回りのY軸方向への回転移動(θy回転移動)を模式的に示した側面図である。本体部5の位置を区別するために、位置に応じて異なる符号を付している(5a,5b,5c)。太い実線で示された本体部5aは、被検眼2と同じ高さに位置している状態を表している。また、細い二点鎖線で示された本体部5bは、本体部5aよりも高い位置に移動した状態を表しており、同様に細い二点鎖線で示された本体部5cは、本体部5aよりも低い位置に移動した状態を表している。
【0046】
再び
図1に戻り、支持枠7は、更に基準点31を通過するY軸の回りにも回転可能に構成されている。具体的には、Yテーブル17に連結されて前方に延びた延長板部18にX回転駆動部27が設けられている。そして支持枠7の前部がX回転駆動部27の回転軸部28と連結されている。本体部5が移動して撮影状態のときに、この回転軸部28は基準点31を通過するY軸に共通化されている。この構成により、基準点31を上下(鉛直)方向に通過するY軸の回りに本体部5を回転移動させることができる。より具体的には、本体部5を、基準点31に向かうZ軸を中心振り分けとして水平面上を左右(X軸方向)に旋回移動させることができる(θx回転移動)。
【0047】
図4は、本体部5における上記Y軸回りのX軸方向への回転移動(θx回転移動)を模式的に示した平面図である。
図3と同様に、本体部5の位置を区別するために、位置に応じて異なる符号を付している(5d,5e,5f)。なお、
図4では、位置関係を明瞭化するために、上から見た場合に被検者10や本体部5によって隠れる領域を有する、基台11,Xテーブル13,Zテーブル15についても意図的に図示している。なお、
図4には、被検眼2とは逆の反対眼8によって固視されるための外部固視灯36を併せて図示している。
【0048】
図4において、太い実線で示された本体部5dは、被検眼2に向かう方向とZ軸が一致する状態を表している。また、細い二点鎖線で示された本体部5eは、本体部5dを基準にして被検者10から見て左側に振った状態を表しており、同様に細い二点鎖線で示された本体部5fは、本体部5dを基準にして被検者10から見て右側に振った状態を表している。
【0049】
以上にて説明したように、本体部5のX軸回りのY軸方向への回転駆動はY回転駆動部23によって自動的に行われ、Y軸回りのX軸方向への回転駆動はX回転駆動部27によって自動的に行われる。
【0050】
図5は、本装置1を被験者10側から見たときの模式的斜視図である。また、
図6は、
図1と同様に、本装置1を被験者10の側方から見た時の模式的正面図である。なお、
図6では、説明の都合上、外部固視灯36に関連する箇所以外の図示を省略している。
【0051】
上述したように、支持部材34は基台11に固定されており、この支持部材34に額当て部33が固定されている。なお、顎乗せ台35は支持部材34と連結されると共に、Y方向の高さ位置の調整が可能な態様で固定されている。
【0052】
本実施形態では、支持部材34が逆U字形状を示しており、X方向に延伸する箇所に連結部材30を介してフレキシブルチューブ32が取付けられている。そして、このフレキシブルチューブ32の先端に外部固視灯36が取付けられている。
【0053】
フレキシブルチューブ32は、一方の先端の位置を自在に調整することのできるチューブであり、その内部には電源供給用のケーブルが含まれている。この先端に外部固視灯36が取付けられることで、本装置1は、外部固視灯36の位置を操作者によって自在に動かすことができる構成である。
図4及び
図6に示すように、この外部固視灯36は、被験者の被検眼2ではなく、その反対眼8によって固視されるために設置されている。
【0054】
また、この外部固視灯36は、反対眼8によって無限遠視が可能な構成である。
【0055】
[光学系の構成]
次に、
図7を参照して本体部5に内蔵される光学系(検査光学系)の詳細な説明を行う。
図7は、本体部5に内蔵された光学系の光路図である。なお、
図7の構成は、あくまで一実施形態を示すものであり、この構成に限定されるものではない。例えば、後述するように、本体部5内の各光学系にはミラー69,71及び72が備えられているが、これらのミラーは本体部5の構成をできる限りコンパクトな構成とするために配置されたものであって、必ずしもこれらのミラーを備えることが必須要件というわけではない。
【0056】
図7に示すように、本実施形態の本装置1は、本体部5内に撮影光学系52,照明光学系54,前眼部観察光学系56,アライメント指標投影光学系58を備えている。
【0057】
図7によれば、照明光学系の光軸53(以下、「照明光軸53」と略記)と、撮影光学系の光軸51(以下、「撮影光軸51」と略記)とが交差しており、この交点が撮影光学系52の合焦点40に対応する(「合焦」についての説明は後述する)。また、前眼部観察光学系の光軸55(以下、「観察光軸55」と略記)が、照明光軸53と撮影光軸51のなす角を二分する位置となるように各光学系が配置されており、この観察光軸55が本体部5内の光学系の光学基準軸50に対応する。
【0058】
撮影光学系52は、照明光学系54より放射された光が、前眼部2の角膜面4で反射された光を受光する光学系である。より具体的には、照明光軸53と撮影光軸51の交点、すなわち前記合焦点40を被検眼2の角膜面4上に一致させるとき、当該角膜面4で反射した光が撮影光学系52の光路を介して撮像装置62で受光される。従って、本装置1では、角膜面4での反射光を撮像装置62で受光すべく、XYZ架台3をZ方向に移動させることにより、合焦点40を被検眼2の被検部位に一致させる。この動作を「合焦」と呼ぶ。
【0059】
合焦点40及び基準点31は、いずれも光学基準軸50上に位置するように設定されており、基準点31は、合焦点40よりもZ軸方向に関して前方に位置している。そして、この基準点31と合焦点40の間の距離は、一般的な角膜の曲率半径R(
図8(b)参照)に対応させている。なお、
図8は、被検眼を模式的に示した図面であり、(a)が正面図、(b)が断面図(A1−A2線断面)に対応している。
【0060】
合焦点40を被検眼2の角膜面4に位置合わせしたとき、すなわち「合焦」がなされたとき、本装置1における基準点31が被検眼2の角膜の曲率中心20の位置に一致するように設定されている(
図8(b)参照)。よって、基準点31を曲率中心20に一致させた状態の下で、本体部5(すなわち光学系)を、基準点31を中心にX軸回り或いはY軸回りに回転移動させた場合、合焦点40は、被検眼2の角膜面4に沿って円弧状に移動する。
【0061】
再び
図7に戻り、前眼部観察光学系56は、被検眼2の前眼部を観察するための撮像装置61(ここではテレビカメラとする。)を有する光学系である。前眼部観察光学系56は、被検眼2の角膜面4におけるアライメント指標光の反射像である輝点(プルキンエ像)を撮像装置61が受像することにより、前眼部の角膜頂点位置を検出することができるように構成されている。
【0062】
アライメント指標投影光学系58は、前眼部観察光学系56の観察光軸55に沿って被検眼2にアライメント指標光を照射する光学系である。ここで、アライメント指標光とは、観察光軸55(これは光学基準軸50でもある。)を被検眼2の角膜頂点に位置合わせするために用いられる光を指す。
【0063】
以下、各光学系の構成の詳細について説明する。
【0064】
照明光学系54は、角膜照明用光源としての高輝度LED素子63を有し、この高輝度LED素子63から放射された光が集光レンズ65を透過してスリット67を背後から照射する。このスリット光はミラー69で反射された後、照明レンズ43によって被検眼2の角膜面4に結像させられる。
【0065】
本実施形態における撮影光学系52は、角膜内皮細胞を撮影するための撮像装置62(ここではテレビカメラとする。)を有している。
図7に示されるように、本実施形態では、撮影光学系52で得られる像を受像する撮像装置62は、前眼部観察光学系56で得られる像を受像する撮像装置61とは別個の撮像装置である。
【0066】
被検眼2の角膜面4において反射された照明光学系54からの前記スリット光は、撮影レンズ41を透過してミラー71で反射された後、スリット73の位置で結像される。そして、この結像された光が、リレーレンズ75を透過した後、ミラー72にて反射されて撮像装置62によって受光される。
【0067】
アライメント指標投影光学系58は、アライメント指標光の光源としてのLED81を備えている。このLED81からの近赤外光は、ミラー87にて方向を変え、集光レンズ89によって平行光とされ、ハーフミラー91によって被検眼2の前眼部にその正面から照射される。アライメント指標光の被検眼2の角膜面4における反射像であるプルキンエ像は、ハーフミラー91,可視光カットフィルタ92及び前眼部撮影レンズ93を透過して撮像装置61に送られる。
【0068】
この撮像装置61は、撮影光学系52及び照明光学系54の前部(被検者10側)に固定配置された前眼部照明用の赤外LED82からの照明によって照明された被検眼2の前眼部像も撮影している。撮像装置61で撮影された画像は、所定の表示処理が施された後、モニタ110へと送られる(
図9参照、なお
図9についての説明は後述する)。モニタ110では、前眼部観察光学系56で撮影されている前眼部像が、LED81からの放射光の反射像たるプルキンエ像と共に表示される。このプルキンエ像が撮像装置61の表示画面の画面上の所定の位置(光学基準軸50に対応する位置)に達するように、XYZ架台3をXY方向に移動させることで、光学基準軸50を角膜頂点に一致させる。この動作を「アライメント動作」と呼ぶ。このアライメント動作は、撮像装置61上において、その中央位置にプルキンエ像が出現されるように自動的に行われるものとしてよい。
【0069】
固視標投影光学系59は、被検者10に対して被検眼2を固視させるための指標光を発する基準固視灯83、及びこの基準固視灯83からの指標光をアライメント指標投影光学系58の光路に沿わせるためのコールドミラー85(可視光反射・赤外光透過ミラー)を備えている。コールドミラー85で反射された指標光は、ミラー87で光路が変更され、集光レンズ89によって平行光とされて被検眼2に投影される。従って、この基準固視灯83を固視する被検者10は、遠方視することとなる。この基準固視灯83は、後述する「基準位置」における被検者の被検眼2の状態を本装置1に認識させるために利用される。
【0070】
撮影光学系52,照明光学系54,前眼部観察光学系56,アライメント指標投影光学系58,及び固視標投影光学系59を備えた本体部5は、前述のように、XYZの各軸方向に直線移動が可能であり、更に基準点31を中心としたX軸回りのY軸方向への回転移動(θy回転)、及びY軸回りのX軸方向への回転移動(θx回転)が可能である。つまり、光学基準軸50を、上下左右前後方向(XYZ方向)に直線移動させ、更に基準点31を中心として上下方向及び左右方向に傾斜させることが可能である。これらの動作の組み合わせにより、光学基準軸50を被検眼2の角膜面4上の任意の点における法線に一致させることができる。このことは、任意部位の角膜内皮細胞の撮影が可能になることを意味する。
【0071】
なお、初期時においては、光学基準軸50が水平状態となるように本体部5が設定されているものとして構わない。
【0072】
図7に示されるように、本実施形態では、撮影光軸51と照明光軸53とが同一鉛直面内に配置されている。このとき、撮影光学系52と照明光学系54が縦型(鉛直方向)に配置され、光学基準軸50もこれら両光軸51及び53と同一の鉛直面内に位置する。撮影光学系52は、照明光学系54よりも上方に配置され、両光軸51及び53共に、本体部5の幅方向(X軸方向)のほぼ中央に配置される。また、前眼部観察光学系56及びアライメント指標投影光学系58も、ほぼ両光軸51及び53と同一の鉛直面内に配置される。
【0073】
このように光学系を配置することで、本体部5の横幅(X軸方向の幅)を小さくすることができ、コンパクトな構造が実現できる。また、本体部5の回転時において、額当て部33の支柱や顎乗せ台35、或いは被検者10の頭部との干渉が避けられ、大きなθx回転角を確保することが可能になる。ただし、光学系のこのような配置は、あくまで一例であり、必ずしもこの構成に限られるものではない。
【0074】
[制御系の構成及び動作]
次に、本体部5の制御を行うための制御系の構成及び動作について説明する。
図9は、前記制御系の構成を示す概念的ブロック図である。なお、
図9では、制御系の動作内容を明瞭化するために、
図7に示した光学系についても併せて図示している。
【0075】
制御系100は、撮影画像読み出し部101,前眼部画像読み出し部103,表示用処理部105,位置指定部109,回転角算定部111,観察相対角算定部113,視方向変化検出部114,警告出力部115,補正条件設定部117,初期位置設定部119等を備えて構成される。また、図示しないが、必要な情報を格納するためのメモリや全体を制御するためのCPUを備えている。なお、警告出力部115と補正条件設定部117は一方のみを備える構成であっても構わない。
【0076】
図9に示した光学系移動機構95は、本体部5を移動させることで光学系の向きや位置を移動させるための機構群を指しており、
図1に示すXYZ架台3(Xテーブル13,Yテーブル17,Zテーブル15)、Y回転駆動部23、及びX回転駆動部27を含めた概念である。
【0077】
撮影画像読み出し部101は、撮影光学系52で得られた像、すなわち本実施形態であれば被検眼2の角膜内皮細胞を撮影するための撮像装置62で得られた画像の読み出し処理を行う。一方、前眼部画像読み出し部103は、前眼部観察光学系56で得られた像、すなわち被検眼2の前眼部画像を撮影するための撮像装置61で得られた画像の読み出し処理を行う。
【0078】
以下では、撮像装置61で得られた画像を「前眼部画像」と呼び、撮像装置62で得られた画像を「撮影画像」と呼ぶ。
【0079】
各画像読み出し部101及び103で得られた画像は、表示用処理部105において所定の表示処理が施された後、モニタ110に送られる。具体的には、アライメント動作が完了した後においては、前眼部画像読み出し部103によって被検眼の前眼部画像がプルキンエ像と共に読み出され、更に、合焦後においては、撮影画像読み出し部101によって被検部位における角膜内皮細胞の撮影画像が読み出される。本実施形態では、照明光学系54の光源として高輝度LED63を用いており、この高輝度LED63からの放射光が角膜面4にて反射された光を受光している間、撮像装置62では撮影画像が撮影され、その情報が撮影画像読み出し部101を介してモニタ110へと送られる。
【0080】
なお、モニタ110では、撮影画像と前眼部画像を切り替えながら表示することができる構成としても構わないし、両者を並べて表示できる構成としても構わない。
【0081】
以下では、制御系100の動作を説明するに当たり、本装置1を実際に利用する際のフローと共に説明する。
図10は、本装置1を用いて被検部位の検査を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0082】
<ステップS1>
操作者は、まず本装置1に付属の電源(不図示)スイッチを操作して、電源を入れる。
【0083】
<ステップS2>
制御系100は、電源ONを検出すると、制御プログラムが起動し、本体部5を初期位置に移動させるための制御を実行する。具体的には、初期位置設定部119が、内部に記録された初期位置に関する情報を光学系移動機構95に与え、光学系移動機構95が本体部5をXYZ方向に移動し、また必要に応じてθx回転やθy回転を行って、本体部5を初期位置に設定する。
【0084】
ここで、初期位置の一例としては、被検者10が顎乗せ台35に顎を乗せ、額当て部33に額を当てた状態において、本体部5が被検者10のおよそ正面に位置すると共に、被検者から見てZ方向に最も離れた位置(後方の位置)とすることができる。なお、ここでいう「初期位置」は、後述の「基準位置」とは異なる概念である。
【0085】
<ステップS3>
被検者10に対し、本装置1の顎乗せ台35に顎を乗せ、額当て部33に額を当てるよう指示を行う。被検者10に応じて眼の高さは異なるため、この時点では必ずしも本体部5の光学系が被検眼2を捉えているとはいえない。また、仮に捉えていたとしても、アライメント動作が行われているわけではないので、撮像装置61によって被検眼2の前眼部が明瞭に撮影されているわけではない。
【0086】
<ステップS4>
操作者はモニタ110を見ながら、顎乗せ台35の高さ(Y軸方向)や、横方向(X軸方向)の顔の位置を調整し、モニタ110に被検眼2の前眼部が表示されるように被検者10の顔と本体部5の位置関係をマニュアルで調整する(プレ設定)。ただし、本ステップにおいても、あくまでアライメント動作を行っているわけではないので、前眼部画像がモニタ110に表示されるに留まり、プルキンエ像は確認できないか若しくは不鮮明である。
【0087】
<ステップS5>
ステップS4において、被検眼2の前眼部がモニタ110に表示されるようになった後、被検眼2の撮影準備ステップに入る。一例としては、基準固視灯83を点灯し、被検者10にこの基準固視灯83を固視するように指示を行う。
図7を参照して説明したように、この基準固視灯83からの放射光は光学基準軸50と同じ向きに平行光として被検眼2に照射されるため、被検者10はほぼ正面を見続ければよい。これにより、被検者10の視方向がある程度固定される。
【0088】
<ステップS6>
被検者10に対して基準固視灯83を固視させた状態で、操作者は本装置1に付属された撮影準備ボタン(不図示)を押す。これにより、本装置1の本体部5は自動的にアライメントされる。すなわち、被検眼2の前眼部画像のほぼ中央にプルキンエ像が表示されるように、光学系移動機構95(XYZ架台3)がXYZ方向に本体部5を移動させる。
【0089】
より具体的には、まずモニタ110においてプルキンエ像が検出されるまで、本体部5をZ方向に前進させ(被検者10側に近づけ)る。そして、プルキンエ像が検出された後は、このプルキンエ像を前眼部画像上の中心位置に最も近づけるように、本体部5をX及びY方向に移動させる。
【0090】
前述したように、アライメント動作は、プルキンエ像を前眼部画像上の所定位置に設定することである。本実施形態では、当該所定位置を「中心位置」としているが、この所定位置は適宜設定することが可能であり、必ずしも前眼部画像上の中心位置に設定しなければならないものではない。
【0091】
本ステップで行われるアライメント動作は、本体部5を被検者10の正面に配置し、光学基準軸50を水平方向(Z方向)に向け、被検者10に正面を固視させた状態で行われるものである。以下、このような条件下で行われるアライメントを「基準アライメント」と呼ぶ。この基準アライメントが実行された後の本体部5の位置を「基準位置」と呼ぶ。
【0092】
<ステップS7>
本ステップS7では、基準アライメント完了時における、光学基準軸50と被検眼2の眼軸(「眼軸」については後述する。)のなす角度の算定が行われる。以下では、光学基準軸50と眼軸のなす角度のことを「観察相対角」という。この言葉を用いれば、本ステップS7では、基準アライメント完了時における観察相対角が算定される。この内容につき詳細を説明する。
【0093】
図11は、基準アライメント完了時における観察相対角についての説明をするための概念図である。基準アライメント完了時において、被検眼2は、正面に位置している本体部5の方向に視線を向けている。すなわち、視軸96の方向はZ軸方向であり、この方向は光学基準軸50の方向と一致している。しかし、眼球の前極と後極を結ぶ軸(眼軸)は、視軸の方向と必ずしも一致しない。瞳孔中心の位置は眼軸97によって規定される。一方、プルキンエ像の位置は光学基準軸50によって規定される。この結果、基準アライメント完了時においても、前眼部画像上における瞳孔中心とプルキンエ像の位置がずれることになる。
【0094】
図11(a)は、眼軸と視軸の方向が所定角θx1だけX軸方向に振れている場合を図示したものである。一方(b)は、比較のために眼軸と視軸が共に同じ方向(Z軸方向)を向いている場合を図示したものである。いずれの図も被検眼2の視軸96の方向はZ軸方向であることを想定したものである。なお、
図11(a)では、理解のために眼軸97が視軸96に対して極端にずれている場合を図示している。他方で、
図11(b)のように眼軸97が視軸96と同じ方向を向くことも稀である。Z軸方向に視軸96を向けた通常の被検眼2は、
図11(a)と(b)の間の状態を示すことが一般的である。
【0095】
既述のように、プルキンエ像80は、LED81から放射され、ハーフミラー91によって光学基準軸50と同じ向きにされたアライメント指標光(近赤外光)が、角膜面4において反射されることで得られる像である。基準アライメント完了時においては、この光学基準軸50と視軸96が同じ向きである。このため、
図11(b)に示すように、仮に眼軸97が視軸96と同じ方向を向く被検眼2の場合には、アライメント指標光がZ軸方向に放射される角膜面上の点、すなわち角膜頂点84が眼軸97上に存在することとなり、この結果、前眼部画像60上において、瞳孔中心76の位置にプルキンエ像80が現れる。
【0096】
しかし、上述したように、一般的に眼軸97は視軸96に対してズレ角を有している。この場合、
図11(a)に示すように、角膜頂点84は眼軸97上に存在しない。つまり、眼軸97上の点として規定される瞳孔中心76の位置と、光学基準軸50と同じZ軸方向を向いている視軸96上の点として規定されるプルキンエ像80の位置は当然にズレが生じる。
図11(a)では、眼軸97が視軸96に対してX方向にθx1だけズレを有する場合を想定したため、前眼部画像60上において、瞳孔中心76はプルキンエ像80からX軸方向にdだけ離隔した位置に現れている。なお、
図11において、符号64は回旋点を、符号78は瞳孔を、符号74は虹彩を夫々示している。回旋点64とは、眼軸97の向きを変える際に固定される点を指す。
【0097】
なお、
図11(a)のように、前眼部画像60上において瞳孔中心76の位置とプルキンエ像80の位置がずれるのは、上述のように眼軸96が視軸97に対してズレ角を有している理由の他、輻湊(両眼視状態)の発生、斜視の存在、或いは瞳孔が厳密な真円ではないこと等に由来する。
【0098】
言い換えれば、基準アライメント完了時において、プルキンエ像80が瞳孔中心76の位置からがどの程度ずれているかという点は、個々の被検者10の当該被検眼2(右眼か左眼か)に特有の事情であるということが分かる。つまり、基準アライメントを行ったときのプルキンエ像80と瞳孔中心76の位置関係を把握しておくことで、この被検者10の被検眼2の特徴を認識することが可能となる。
【0099】
以上説明したように、本ステップでは、基準アライメント完了時に得られるプルキンエ像80と瞳孔中心76との位置関係に基づいて、基準アライメント完了時における観察相対角を算定することで、被検眼2固有の特徴を本装置1側で認識させる。
【0100】
具体的には、観察相対角算定部113が、基準アライメント終了後に得られる前眼部画像を前眼部画像読み出し部103から読み出し、これによりプルキンエ像80と瞳孔中心76の相対位置関係を認識し、それに応じて観察相対角を算定する。
【0101】
例えば、
図11(a)の構成であれば、観察相対角はX軸方向にθx1と求められる。このθx1の値は、角膜の曲率半径R,プルキンエ像80と角膜頂点84の間の距離L,前眼部画像60上におけるプルキンエ像80と角膜中心76のX軸方向のズレ量dを用いて、θx1=arctan[d/(R−L)]として算定される。ここで、「d」の値は、前眼部画像60から読み取られる。また、RやLの値は、予めメモリに記録されており、観察相対角算定部113がメモリから必要な情報を読み出して演算処理を行うものとして構わない。Lの値としては、一般的な値(例えば3.8mm)を利用することができる他、L≒R/2として演算に用いても構わない。なお、一般的なRはR=7.7mmである。一方で、
図11(b)の構成であれば、観察相対角が0と求められる。
【0102】
本ステップS7で算定された、基準アライメント完了時における観察相対角に関する情報は、被検眼2に固有の情報として記録される。また、本ステップS7において、基準アライメント完了時に得られる前眼部画像60についても、メモリに記録されるものとしても構わない。
【0103】
なお、
図11(a)では、基準アライメント完了時、すなわち視軸96をZ軸の方向に向けたときに、X軸方向にのみ眼軸97が振れている場合を説明したが、Y軸方向にのみ振れている場合もあり得るし、両方向に振れている場合も当然にあり得る。両方向に振れている場合には、X軸方向、Y軸方向双方における観察相対角(θx1,θy1)を算定する。
【0104】
<ステップS8>
次に、操作者は、入力インタフェース102を操作して、任意の被検部位を指定する。具体的には、モニタ110上に表示された被検眼2の前眼部画像を見ながら、被検部位に相当する箇所にポインタを合わせ、マウスにてクリックするか、キーボードやタッチパネル等を操作することでその位置を確定する。
図8(a)では、瞳孔中心76から上方(Y軸方向)に移動した箇所77を被検部位とした場合を示している。
【0105】
<ステップS9>
操作者によって指定された被検部位に関する情報に基づいて、回転角算定部111は被検部位における法線方向を確定する。そして、この法線方向と光学基準軸50を一致させた場合に、被検者の視軸96と光学基準軸50がなすべき角度を算定する。この角度が、本体部5の回転角に相当する。
【0106】
より詳細には、位置指定部109が、入力インタフェース102によって特定された被検部位77の座標に関する情報を認識し、それを回転角算定部111に出力する。回転角算定部111は、前眼部画像上における所定位置(本実施形態であれば中心位置)を基準としたときの被検部位77のX及びY軸方向の変位量を算定する。そして、この変位量と角膜の曲率半径Rに基づいて被検部位77における法線方向70を確定させる演算を行う。
【0107】
図8(b)は、
図8(a)の正面図を、Y軸方向に平行なA1−A2線で切断したときの断面図である。
図8(b)によれば、
図8(a)における被検部位77の下での法線70の方向は、被検眼の曲率中心20を通り、水平状態(Z軸に平行)の光学基準軸50に対して鉛直上方にθy2の角度をなす方向である。ただし、θy2=arcsin(D/R)である。
図8(b)では、法線70の向きの理解のため、被検部位77における角膜接面77sを併せて示している。被検部位77における法線70は、当然に、被検部位77における角膜接面77sに直交する。
図8(a)では、瞳孔中心からみてY方向にのみ変位した箇所を被検部位としたが、X方向にも変位している場合には、左右方向の角度θx2も併せて算定される。
【0108】
なお、回転角算定部111は、メモリより角膜の曲率半径Rに関する情報を読み出して被検部位77における法線70の方向を算定するものとして構わない。そして、算定された角度に関する情報はメモリ内に記録される。
【0109】
<ステップS10>
回転角算定部111は、ステップS10において算定した角度を、回転角に関する情報として光学系移動機構95に出力する。光学系移動機構95は、与えられた回転角(θx2,θy2)だけ基準点31を中心として本体部5(すなわち光学系)を回転移動させる(θx回転,θy回転)。
【0110】
ここで、操作者は、基準固視灯83を消灯すると共に、ステップS10の回転移動の開始前より、回転移動の完了後、好ましくは後述するステップS12の撮影処理までの間、被験者10に対して、反対眼8で外部固視灯36を固視し続けるように指示する。
【0111】
本体部(光学系)5が回転移動を開始すると、被験者10は被検眼2を向ける目標を失ってしまう。このため、操作者が被験者10に対して視方向を固定するように指示したとしても、思わず移動する光学系5を見てしまうなど、視方向が変動する可能性がある。
【0112】
これに対し、反対眼8で外部固視灯36を固視し続けることで、被検眼2の視方向も平行方向に固定しやすくなる。よって、回転移動中に被検眼2の視方向の変動する可能性を低下させる効果が得られる。
【0113】
なお、被検眼2で基準固視灯83を固視していた状態から、反対眼8で外部固視灯36を固視していた状態になるときに、被検眼2の視方向が変化することが考えられる。この場合も、被検眼2の前眼部画像の変化から、視方向の変化情報が得られるので、補正が可能である。
【0114】
光学系の回転移動が完了するまでの間に被検者の視方向が変化していなければ、回転移動後に光学系の光学基準軸50と法線70の向きが一致し、撮像装置61によって撮影された前眼部画像が映し出されているモニタ110上には、ステップS8で指定された被検部位77の位置(例えば
図8参照)に被検眼2のプルキンエ像が出現する。この理由につき、以下説明する。
【0115】
本ステップS10の回転移動によって、光学基準軸50は、被検部位77における法線70と平行な向きとなるため、平行光であるアライメント指標光は、法線70と同じ方向に向けて被検眼2に照射される。従って、被検眼2の表面(角膜表面)における当該アライメント指標光の反射像たるプルキンエ像は、再び光学基準軸50から撮像装置61へと送られる。つまり、モニタ110上に表示されている前眼部画像は、被検眼2を法線70の方向(この時点における光学基準軸50の方向)から見た像である。
【0116】
別の箇所が被検部位と設定された場合につき、
図12を参照して説明する。
図12では、説明の簡単化のために、基準アライメント完了時における被検眼2が
図11(b)のようになっている場合を想定している。
図12(a)は本体部5の回転移動前、すなわち本体部5が基準位置に存在する時点における被検眼2の平面図及び前眼部画像に対応する。また、
図12(b)は、
図12(a)上で指定された被検位置77aを角膜頂点とするように本体部5を回転移動させた後における被検眼2の平面図及び前眼部画像に対応する。
【0117】
図12では、前眼部画像の中心位置からX軸方向にX2だけ移動した位置77aが被検部位として特定された場合を示している(
図12(a))。このとき、ステップS9において回転角(θx2)が算定され、ステップS10においてこのθx2だけ本体部5が回転移動する。この結果、被検部位77aの箇所に生じたプルキンエ像80が前眼部画像60上に現れる(
図12(b))。このとき、被検部位77aが角膜頂点に一致していると判定できる。ただし、これは上述したように、ステップS10の回転移動完了までに被検者の視方向が変化しなかった場合においてであり、もし視方向が変化していた場合には、被検部位77aとは異なる箇所のプルキンエ画像が前眼部画像60の中心位置に現れることとなる。このときは、被検部位77aとは異なる角膜頂点が光学基準軸50に一致している。
【0118】
<ステップS11>
光学基準軸50を被検部位77における法線70と平行な方向に維持したまま、合焦を行い、合焦点40を被検部位77に一致させるように位置合わせを行う。このとき、一例としては、合焦点40を被検部位77に近づけるように、本体部5をZ軸方向に少し移動させ、その後、光学基準軸50を法線70の方向に一致させるべく本体部5をX軸方向或いはY軸方向に移動させるという制御を繰り返し行うものとすることができる。
【0119】
<ステップS12>
合焦が完了すると、撮影光学系52によって得られる撮影画像(ここでは角膜内皮細胞画像)を撮影する。この画像は、撮像装置62を介してモニタ110へと送られる。
【0120】
<ステップS13〜S14>
撮影が完了すると、当該撮影された箇所が、ステップS8で指定した被検部位77に一致しているかどうかの検証を行う。まず、観察相対角算定部113は、ステップS7と同様の方法により、この時点における観察相対角を算定する(ステップS13)。すなわち、前眼部画像60より、プルキンエ像80の位置を基準としたときの瞳孔中心76の相対的な位置関係を読み出して、観察相対角を算定する。すなわち、瞳孔中心76とプルキンエ像80のX方向に係る離間距離d2,角膜の曲率半径R,プルキンエ像80と角膜頂点(ここでは77a)の間の距離Lに基づいて、X方向の観察相対角が求められる。Y方向についての観察相対角も同様に算定できる。なお、本ステップS13で算定される観察相対角と、ステップS7で算定された観察相対角を区別すべく、以下では、前者を「移動後観察相対角」、後者を「基準時観察相対角」と呼ぶ。
【0121】
次に、視方向変化検出部114は、ステップS7で算定された基準時観察相対角、及びステップS9で算定された回転角に基づき、ステップS8で指定された被検位置の法線70に光学基準軸50の向きを一致させた場合に、当該被検眼2が示すであろう、プルキンエ像80の位置を基準としたときの瞳孔中心76の相対的な位置関係を理論的に算定する。そして、この理論的に算定された相対角(以下、「理論相対角」という)と、ステップS13で算定された移動後観察相対角との比較を行う(ステップS14)。そして、その差が十分小さい場合には(ステップS14においてNo)、ステップS12において被検部位77が正しく撮影されていたと判定される。
【0122】
ステップS7で算定された基準時観察相対角は、基準アライメント完了時における光学基準軸50と眼軸97の相対角に対応し、これは、当該被検眼2の視軸96と眼軸97の相対角に対応する。そして、光学基準軸50をステップS9で算定された回転角(θx2,θy2)だけ回転させた場合、被検眼2の視軸96の向きが変化していなければ、光学基準軸50と眼軸97の相対角は、当該回転角に基準時観察相対角を加算したものに相当するはずである。ステップS13で算定される理論相対角は、被検眼2の視軸96の向きがZ軸方向のまま固定されていれば実現するはずの観察相対角に対応する。
【0123】
従って、ステップS13で得られた観察相対角(移動後観察相対角)が、ステップS14で算定される理論相対角に十分近い値を示していれば、視方向変化検出部114によって、ステップS12の撮影時においても被検眼2の視軸はZ軸方向を向いていると判断できる。すなわち、ステップS12の撮影ステップで、ステップS8で指定された被検部位が正しく撮影されたと判断できる。
【0124】
上述したように、本装置1の場合、光学系5の回転移動前から回転移動の完了後までの間にわたって、被験者10の反対眼8に外部固視灯36を固視させることのできる構成である。このため、外部固視灯36がない場合に比べて、本ステップS14において角度ズレが認められる可能性を低下させることができる。
【0125】
<ステップS15>
ステップS14において、被検部位77が正しく撮影されていたと判断された場合には、更に他の被検部位が存在するかどうかを確認する。更に他の被検部位を撮影したい場合には(ステップS15においてYes)、当該他の被検部位を指定するステップS8へと戻り、以後のステップを繰り返す。なお、1回目のステップS8の時点において、複数の被検部位を予め指定する構成である場合には、このステップS8で指定されていた他の被検部位に関する情報に基づく第2相対角算定ステップ(S9)に進み、以後のステップを繰り返す。
【0126】
一方、他の被検部位が存在しない場合には(ステップS15においてNo)、所定の終了処理へ移行する。
【0127】
<ステップS16>
移動後観察相対角と理論相対角の差が無視できない程度の値として認められる場合(ステップS14においてYes)、被検部位77が正しく撮影されていなかったと判断され、警告出力部115がその旨の情報をモニタ110等に出力させる(ステップS16)。操作者は、モニタ110を確認することで、被検眼2の視方向がずれていることが認識できる。この場合、例えば本体部5をいったん基準位置に復帰させて、被検者10に正面に位置する基準固視灯83を確認させ、そのまま視線を固定するように改めて指示をする。そして、直前のステップS9で算定した回転角に基づく回転移動、合焦を行った後、撮影を行う(ステップS10〜S12)。そして、再び移動後観察相対角を算定し(ステップS13)、理論相対角との差が小さくなっていることを確認する(ステップS14)。
【0128】
なお、本体部5の回転移動にも関わらず、検査終了まで被検者10によって固視できる位置に固視灯を設けてもよい。このときの固視灯位置は、ステップS6の基準アライメント時に固視している方向にほぼ等しく、その後の本体部5の回転動作によって移動しない位置であればよい。このような構成の下では、移動後観察相対角と理論相対角の差が無視できない程度の値として認められる場合(ステップS14においてYes)、被検者10に当該固視灯に視線を向けるように指示した状態で、ステップS11に戻るようにしてもよい。
【0129】
更に、制御系100が補正条件設定部117を備える構成の場合には、ステップS16において当該補正条件設定部117が、ステップS13で得られた移動後観察相対角を理論相対角に近づけるために、必要な本体部5の補正変位角度(θx回転、θy回転)を算定し、その情報を光学系移動機構95に出力して補正処理を実行する(ステップS15)。この場合、光学系移動機構95が与えられた補正情報に基づいて再度、本体部5の回転移動とアライメント及び合焦を実行することで、被検部位を撮影対象に再設定することができる。
【0130】
以上説明したように本装置1によれば、被検部位を撮影する際に、基準アライメント時から撮影時までの間に万一被検眼2の視方向が変化したとしても、本装置1側でそのことを認識することができる。これにより、被検部位の再設定或いは自動的な補正処理を行うことで正しく被検部位を撮影することが可能となる。
【0131】
なお、上記実施形態では、角度ズレの有無に関わらず取りあえず撮影を行い、撮影後に警告を行う構成としたが、被検部位の撮影前に角度ズレの有無を判定し(ステップS14)、角度ズレが無視できる程度にまで小さくなった時点で初めて撮影ステップS12に移行する構成としても構わない。
【0132】
[別実施形態の説明]
〈1〉 上記実施形態では、ステップS6における基準アライメント動作の完了後に観察される前眼部画像をモニタ110で見ながら、ステップS8において操作者が入力インタフェース102を操作して被検部位の位置を指定する構成とした。しかし、被検部位の位置を指定する際には必ずしも被検者の前眼部画像が必要であるわけではない。
【0133】
例えば、予めダミーの前眼部画像(以下、「ダミー画像」と略記する)を用意しておき、操作者がモニタ110上に映し出されたダミー画像を見ながら、被検部位を入力インタフェース102で指定する。この指定は、本装置1の電源ON後、ステップS9までのどのタイミングで行っても構わない。
【0134】
この場合、本装置1は、ステップS6において基準アライメントを行い、ステップS7において基準アライメント時における観察相対角(基準時観察相対角)を算定した後、ダミー画像上で指定された被検部位の位置に関する情報に基づいて、ステップS9において回転角を算定する。そして、光学系を移動させて撮影を行った後、観察相対角(移動後観察相対角)を算定する(ステップS13)。そして、基準時観察相対角と回転角より理論相対角を算定して、移動後観察相対角との比較を行い(ステップS14)、被検位置が正しく撮影できているかの検証を行う。
【0135】
〈2〉 上記実施形態では、瞳孔中心とプルキンエ像の相対的位置関係に基づいて被検眼2の観察相対角を算定する構成としたが、これ以外の検出方法を利用して視方向を検出する構成としても構わない。例えば、瞳孔中心に代えて、虹彩(黒目部)と強膜(白目部)の境界、或いは他のプルキンエ像(第4プルキンエ像等)を利用して、プルキンエ像(ここでは第1プルキンエ像に相当する)の位置を把握する構成としても構わない。
【0136】
〈3〉 上記実施形態では、ステップS14において、理論相対角の算定と、この理論相対角及びステップS13で算定された移動後観察相対角の比較とを行う構成とした。しかし、基準時観察相対角及び回転角に関する情報があれば、理論相対角の算定は行える。このため、理論相対角の算定ステップS9以後ステップS14までのどのタイミングで行っても構わない。
【0137】
〈4〉 本実施形態では、本装置1を用いて撮影光学系52において被検眼の角膜内皮細胞の撮影を行う場合を想定して説明したが、本発明の技術は、被検眼上の被検部位を変更しながら検査を行う他の用途にも適用可能である。一例としては、トノメータに利用できる。トノメータとは、角膜表面に向け、瞬間的に細い空気流により加圧し、その動向から眼圧測定をする装置であり、被検部位に対して法線方向に加圧しなければ測定が不正確になるため、被検部位の法線方向を正確に認識することが必要である点において、本実施形態の角膜内皮細胞撮影と共通する。
【0138】
別の例としては、スリットランプ等、前眼部を検査・観察・撮影する装置にも利用できる。本発明の方法を利用することで、装置と被検眼との位置関係が詳細に把握・記録できる。これにより、どの部分をどの方向から観察した結果であるかが認識できるため、観察場所の特定が可能となり、得られた像の歪みの補正が可能となる。
【0139】
その他の例として、角膜光干渉断層計(OCT)にも本発明の技術を利用することが可能である。
【0140】
〈5〉 上記実施形態では、フレキシブルチューブ32に外部固視灯36を連結させることで、操作者によって外部固視灯36の位置を調整できる構成とした。しかし、上記実施形態にて説明したように、視方向の調整を行う目的で外部固視灯36を反対眼8に固視させるためにのみ用いる場合には、外部固視灯36の位置の調整ができない構成であっても構わない。ただし、上記実施形態のように、外部固視灯36の位置を操作者によって調整できる構成とすることで、被験者10の反対眼8に固視させやすい位置に移動したり、視方向を誘導することが可能となる。
【0141】
なお、フレキシブルチューブ32に外部固視灯36を連結して配置した構成は、あくまで一形態であり、反対眼8で固視可能な位置に配置されていれば、どのような構成であっても構わない。特に、光学系5の回転移動の開始前から完了後までの間にわたって、反対眼8で固視可能な位置に配置されているものとするのが好適である。
【0142】
〈6〉 上記の実施形態では、光学系が基準固視灯83を備える構成であるとして説明したが、必ずしも基準固視灯83を備えなくても構わない。この場合、基準アライメント時において反対眼8で外部固視灯36を固視させることにより、被検眼2を正面視させることができる。
【0143】
このとき、観察相対角算定部113は、前眼部画像上の中央位置に瞳孔中心が存在する標準的な正面視状態を予め記憶しておくと共に、この瞳孔中心の位置と、前眼部画像読み出し部103にて読み出された被検眼2の前眼部画像上の瞳孔78の中心位置との乖離から、観察相対角を算定するものとして構わない。