特許第6090981号(P6090981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6090981
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】プリンティング装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 15/02 20060101AFI20170227BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20170227BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20170227BHJP
   H01L 51/50 20060101ALN20170227BHJP
   H05B 33/10 20060101ALN20170227BHJP
   G02B 5/20 20060101ALN20170227BHJP
【FI】
   B05B15/02
   B05C11/00
   B05C5/00 101
   !H05B33/14 A
   !H05B33/10
   !G02B5/20 101
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-246053(P2012-246053)
(22)【出願日】2012年11月8日
(65)【公開番号】特開2014-14812(P2014-14812A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年10月20日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0073552
(32)【優先日】2012年7月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100159042
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 徹二
(72)【発明者】
【氏名】趙 晟 煥
(72)【発明者】
【氏名】李 相 祚
【審査官】 富永 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−061417(JP,A)
【文献】 特開平09−289161(JP,A)
【文献】 特開2010−214315(JP,A)
【文献】 実開昭60−183051(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C5/00−21/00
B41J2/01;2/165−2/20;2/21−2/215
B05B15/00−15/12
B05B1/00−3/18;7/00−9/08
H05B33/00−33/28
G02B5/20−5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液タンクと、
前記溶液タンクと第1管で連結している分配路、及び前記分配路と連結している複数のノズルを含むノズル部と、
前記ノズル部と第2管で連結しているガス供給部と、
前記ノズル部と第3管で連結している排出部と、
を含み、
前記分配路は前記第2管から第3管に向かう方向に対して垂直でありながら前記ノズルの形成方向に互いに異なる幅を有する第1部分と第2部分を含む、プリンティング装置。
【請求項2】
前記第1部分は前記ノズルと対応し、前記第2部分は前記ノズルとノズルの間と対応する、請求項1に記載のプリンティング装置。
【請求項3】
前記第1部分の幅は前記第2部分の幅よりも大きい、請求項2に記載のプリンティング装置。
【請求項4】
前記第1部分の幅に対する前記第2部分の幅は10:8.2〜10:9である、請求項3に記載のプリンティング装置。
【請求項5】
前記第2部分の幅は漸進的に変化する、請求項3に記載のプリンティング装置。
【請求項6】
前記第2部分の幅は前記第2管から前記第3管に行くほど狭くなる、請求項5に記載のプリンティング装置。
【請求項7】
前記第1部分の幅に対する前記第2部分の最も狭い部分の幅は10:8.2〜10:9である、請求項6に記載のプリンティング装置。
【請求項8】
前記分配路は、前記第1管と連結する上部面に対して傾いた傾斜部を有する、請求項1に記載のプリンティング装置。
【請求項9】
前記傾斜部の傾斜面を延長して前記上部面と接してなす角度は30°以下である、請求項8に記載のプリンティング装置。
【請求項10】
斜面は曲面を有する、請求項8に記載のプリンティング装置。
【請求項11】
斜面は階段をなす、請求項8に記載のプリンティング装置。
【請求項12】
前記階段の幅は等間隔で形成される、請求項11に記載のプリンティング装置。
【請求項13】
前記階段の幅は漸進的に変化する、請求項11に記載のプリンティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンティング装置に関し、特に、表示装置を製造するためのプリンティング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のカラーフィルタ、有機EL装置の成膜のために機能性材料を含む溶液を吐出するプリンティング方法が使用されている。
【0003】
プリンティング方法は、溶液を吐出するプリンティング装置を用いて形成することができ、プリンティング装置は、溶液タンクを加圧させて溶液をノズルに送って液状体を吐き出させる方法である。
【0004】
このようなプリンティング装置のノズル直径は非常に小さいためパーティクルに脆弱であり、ノズル詰まり現象が発生する。また、溶液タンクを交換する際に空気が入り、バブルが発生する現象も時々起こる。
【0005】
このような場合、ノズル先端部の方向に強い圧力を加えてパーティクルまたはバブルを除去しているが、ノズル入口に行くほど直径がさらに狭くなり、高い圧力を加えてもバブルやパーティクルが簡単に除去されないという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、上述した問題点を解決するために案出されたものであって、本発明は、ノズルの直径が狭くなっても、ノズル内のパーティクルやバブルを容易に除去することができるプリンティング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプリンティング装置は、溶液タンク、溶液タンクと第1管で連結している分配路、分配路と連結している複数のノズルを含むノズル部、ノズル部と第2管で連結しているガス供給部、ノズル部と第3管で連結している排出部を含み、分配路は互いに異なる幅を有する第1部分と第2部分を含む。
【0008】
前記第1部分はノズルと対応し、第2部分はノズルとノズルの間と対応してもよい。
【0009】
前記第1部分の幅は、第2部分の幅よりも大きくてもよい。
【0010】
前記第1部分の幅に対する第2部分の幅は、10:8.2〜9であってもよい。
【0011】
前記第2部分の幅は漸進的に変化してもよく、第2部分の幅は第2管から第3管に行くほど狭くなってもよい。
【0012】
前記第1部分の幅に対する第2部分の最も狭い部分の幅は、10:8.2〜9であってもよい。
【0013】
前記分配路は、第1管と連結した上部面に対して傾いた傾斜部を有してもよい。
【0014】
前記傾斜部の傾斜面を延長して上部面と接してなす角度は、30°以下であってもよい。
【0015】
前記傾斜面は、曲面を有してもよい。
【0016】
前記傾斜面は階段をなしてもよく、階段の幅は等間隔で形成されてもよい。
【0017】
前記階段の幅は、漸進的に変化してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のようなプリンティング装置を利用すれば、ノズル内に位置するパーティクルやバブルを容易に除去することができる。
【0019】
従って、ノズル損傷を減少させ、プリンティング装置の使用期限を延長することができると共に、パーティクルを除去するための時間を短縮して工程時間の増加を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンティング装置の概略的なブロック図である。
図2図1のノズル部を具体的に拡大して示した断面図である。
図3】本発明の一実施形態によってパーティクルを除去する方法を説明するための図である。
図4】本発明の他の実施形態に係るノズル部の断面図である。
図5】本発明の他の実施形態に係るノズル部の断面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係るノズル部の断面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係るノズル部の断面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係るノズル部の断面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係るノズル部の断面図である。
図10】本発明の他の実施形態に係るノズル部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参考とし、本発明の多様な実施形態について、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は多様に異なる形態で実現でき、ここで説明する実施例に限定されない。
【0022】
本発明を明確に説明するために説明上で不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似する構成要素については同一する参照符号を付与した。
【0023】
図面では、多様な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。また、図面において、説明の便宜のために、一部層および領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上に」あるとするとき、これは他の部分の「直ぐ上に」ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。
【0024】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書全体において、「上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味し、必ずしも重力方向を基準に上側に位置することを意味するのではない。
【0025】
以下、図1および図2を参照しながら、本発明の一実施形態に係るプリンティング装置について具体的に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係るプリンティング装置の概略的なブロック図であり、図2は、図1のノズル部を具体的に拡大して示した断面図である。
【0027】
図1に示したように、本発明の一実施形態に係るプリンティング装置1001は、溶液タンク100、溶液タンク100と連結しているガス供給部200、およびノズル部300を含む。
【0028】
溶液タンク100は、ノズルを通じて噴出しようとする溶液を含んでいる。
【0029】
溶液タンク100は、ノズル部300と第1管10で連結しており、第1管10には溶液タンク100からノズル部300に伝達される溶液の流量を調節するためのバルブ12および質量流量器(図示せず)が連結している。
【0030】
ガス供給部200は、溶液タンク100と管で連結しており、溶液タンク100内の溶液が吐き出されるように溶液を加圧するためのものであって、1気圧〜10気圧の範囲内で溶液を加圧する。このとき、ガスは窒素ガスであってもよい。
【0031】
また、ガス供給部200は、第2管20を通じてノズル部300と連結しており、バルブ22によってノズル部300に供給されるガス量を調節する。
【0032】
ノズル部300は、第1管10と連結している分配路302および複数のノズル304を含む。分配路302の両端はそれぞれ、第2管20および第3管30と連結している。
これについては、図2を参照しながらより具体的に説明する。
【0033】
図2に示したように、ノズル部300は、溶液タンク100と第1管10で連結している分配路302、分配路302と連結している複数のノズル304を含む。
【0034】
また、分配路302の両端はそれぞれ、ガスが流入する第2管20とガスが排出される第3管30と連結している。
【0035】
分配路302において、それぞれのノズル304と対応する第1部分(A1)の幅(W1)は全て同じであり、ノズル304とノズル304の間に位置する第2部分(A2)の幅(W2)は漸進的に増加するか減少する。すなわち、第2部分(A2)に位置する分配路302は、第1管10と連結した分配路302の上部面(S1)に対して斜めに傾いた傾斜部(S2)を含む。このとき、第1部分(A1)は、第2管または第3管と連結した部分の幅と同じであってもよい。
【0036】
このとき、第1部分(A1)の幅(W1)と第2部分(A2)の最も小さい幅(W2)の比率は、W1:W2=10:8.2〜9であってもよく、傾斜部(S2)の傾斜面を延長して分配路302の上部面(S1)と接してなす角度は、30°以下の傾きを有してもよい。
【0037】
本発明の一実施形態のように、分配路302の幅を周期的に増減させれば、分配路内に流入するガスの圧力差による渦流を利用することにより、ノズル内に位置するパーティクルおよびバブルを容易に除去することができる。
【0038】
再び図1を参照すれば、第3管30は、排出部400と連結している。排出部400は、ノズル部内に位置するパーティクルと共にノズル部に流入したガスを回収するためのものであって、ガスとパーティクルを分離し、ガスは再使用できるようにする。
【0039】
それでは、図1および図2のプリンティング装置におけるパーティクルおよびバブルを除去する方法について、図3を参照しながら具体的に説明する。
【0040】
図3は、本発明の一実施形態によってパーティクルを除去する方法を説明するための図である。
【0041】
図3に示したように、ノズル304内に存在するパーティクル2を除去するために、ノズル部300に溶液を供給する第1管10のバルブを閉める。これにより、ノズル部300にはこれ以上の溶液が供給されない。
【0042】
その後、ノズル部300にガスが供給されて排気されるように、第2管20および第3管30のバルブを開く。
【0043】
これにより、第2管20を通じてガスがノズル部に流入して分配路302を通過し、分配路302の端に連結した第3管30を通じて排出される。
【0044】
本発明の実施形態のように分配路302の幅を変化させれば、分配路に流入したガスが排出口に流れながら、分配路の幅の変化によって分配路内で圧力差を発生させる。
【0045】
このような圧力差は、分配路の幅の狭いところから広いところにガスが速い速度で移動するようにすることによって渦流を形成し、形成された渦流によってパーティクル2が分配路側に移動できるように加速させ、分配路を通過して排出口に移動するガスと共にノズル部を抜け出るようにする。
【0046】
このとき、注入されるガスの流入量または流入速度が増加するほど渦流の強さが増加するため、パーティクル2の除去状態によってガスの流入量または流入速度を変化させてもよい。
【0047】
パーティクルを全て除去した後、第2管20および第3管30のバルブを閉めてこれ以上のガス流れが発生しないようにした後、第1管10を開けて溶液を流入させる。
【0048】
一方、図1の実施形態では、傾斜部(S2)を直線で形成したが、図4図11のように多様な形状を有するように形成してもよい。
【0049】
以下、図4図10を参照しながら、本発明の他の実施形態に係るプリンティング装置について説明する。
【0050】
図4図10は、本発明の他の実施形態に係るノズル部の断面図である。
【0051】
図4の実施形態は、図1に示された実施形態と比較し、傾斜部(S2)が曲面形状を有することを除いては実質的に同じであるため、重複する説明は省略する。
【0052】
図4に示したように、本発明の他の実施形態に係る分配路302の傾斜部(S2)は、曲がった曲面形状を有する。
【0053】
また、傾斜部(S2)は、図5図9のように階段をなしてもよい。このとき、それぞれの階段の幅は、図5および図6のように等間隔で配置されてもよく、図7および図8のように漸進的に広くなったり漸進的に狭くなるように(図示せず)配置されてもよい。
【0054】
図5図8の実施形態では、第1管に向かう方向に突出するように傾斜面を形成したが、図9に示したように、反対方向に凹むように傾斜面を形成してもよい。
【0055】
このとき、第1部分(A1)の幅(W1)と第2部分(A2)の最も小さい幅(W2)の比率は、W1:W2=10:8.2〜9であってもよく、傾斜部(S2)の傾斜面を延長して分配路302の上部面(S1)と接してなす角度は、30°以下の傾きを有してもよい。
【0056】
図5図9の実施形態では、傾斜部(S2)を3等分して階段を形成したが、2等分または4等分以上に分割して形成してもよい。
【0057】
一方、以上のような実施形態は、第2部分(A2)の分配路が傾斜を有するように形成し、第2部分(A2)の幅が漸進的に変化するようにした。
【0058】
しかし、図10のように、第2部分(A2)の分配路は、上部面(S1)と平行な面を有するように形成し、同じ幅を有するように形成してもよい。
【0059】
このように、第2部分(A2)の幅(W3)が同じであってもガスが注入される分配路302の幅(W4)に比べて狭く形成されるため、ガスの流れによる圧力差が発生し、これによる渦流が形成されるため、ノズル内に位置するパーティクルおよびバブルを容易に除去することができる。
【0060】
このとき、分配路の幅(W4)と第2部分(A2)の幅(W3)の比率は、W4:W3=10:8.2〜9であってもよい。
【0061】
本発明を上述したような好ましい実施形態を通じて説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、添付する特許請求の範囲の概念と範囲を逸脱しない限り多様な修正および変形が可能であることは、本発明が属する技術分野に従事する者であれば簡単に理解できるであろう。
【符号の説明】
【0062】
2:パーティクル
10:第1管
12:第1バルブ
20:第2管
22:第2バルブ
30:第3管
32:第3バルブ
100:溶液タンク
200:ガス供給部
300:ノズル部
302:分配路
304:ノズル
400:排出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10