(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、分かりやすいように、図面は寸法を適宜変更している。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態のロータリーアクチュエータ1を示す外観図であり、
図1(a)は平面図、
図1(b)は正面図である。
図2は、
図1(a)のII−II線で切断した模式縦断面図である。
図3は、
図1(b)のIII−III線で切断した模式横断面図である。
図4は、第1実施形態のロータリーアクチュエータ1の構成を示す模式図である。
図5は、ステータ突極21のグループ構成を示す模式図である。
図6は、ステータ突極21の配置を示す模式図である。
【0020】
ロータリーアクチュエータ1は、
図1〜
図5に示すように、操作軸15と一体回転可能に支持されたロータ10と、コイル25が卷回されたステータ20と、角度センサ40と、通電制御部50と、を有する。
【0021】
なお、狭義でのロータリーアクチュエータとは自立回転力や回転抵抗の発生機構を指し、本実施形態の角度センサ40及び通電制御部50を含まない。本実施形態のロータリーアクチュエータ1は、通電制御と組み合わせた動作(回転抵抗を変化させたクリック感)に特徴があるので、角度センサ40及び通電制御部50を含めた構成としている。しかしながら、角度センサ40や通電制御部50が一体に組み込まれている必要はない。例えば、通電制御部50が他の電子機器に組み込まれたものであってもよい。
【0022】
操作軸15は、上ケース5aと下ケース5bとに回転導入部材7を介して取り付けられている。回転導入部材7によって、操作軸15は回転可能に支持される。
【0023】
ロータ10は鉄製で、操作軸15を挿入して固定可能な挿入孔を有している。ロータ10は、回転軸10aを中心として、操作軸15が挿入された状態で操作軸15と一体回転可能に支持される。ロータ10の径方向外周部10bには、
図3に示すように、径方向の外側に向かって延びる複数のロータ突極11が設けられている。それぞれのロータ突極11は、
図5に示すように、径方向外周部10bの円周方向に等ピッチ角(ピッチ角θ1)で配設されている。
【0024】
ステータ20は鉄製で、
図3に示すように、複数のステータ突極21がロータ10の径方向外周部10bと径方向に空隙を有して対向するように配置されている。ステータ突極21には、ロータ10の回転に伴って、
図5に示すように、等ピッチ角(ピッチ角θ1)で配設されたロータ突極11が径方向に微小空隙を有して近接対向する。
【0025】
ステータ20は、複数のステータ突極21がそれぞれ、コア部23に接続されて内側に突出した形状である。それぞれのコア部23には、コイル25が巻かれている。なお、
図1〜
図6では、コイル25に接続される配線部分は省略している。
【0026】
図3及び
図5に示すように、ロータ突極11の等ピッチ角(ピッチ角θ1)に対し、ステータ突極21は4つのグループA1、A2、B1、B2に分けられて配置されている。なお、
図3では、グループA2、B1、B2内の符号を省略している。本実施形態のロータリーアクチュエータ1は、グループA1、A2、B1、B2の各グループ内はステータ突極21がピッチ角θ1の間隔で配置され、隣接する異なるグループとはピッチ角θ1のハーフピッチだけ大きな間隔(角度θ2)で配置される構成である。ステータ20におけるステータ突極21の配置は、
図6に示す角度θ2がピッチ角θ1の1.5倍の角度である。
図5及び
図6においては、ピッチ角θ1が36度であり、角度θ2が54度である。
【0027】
図5に示すように、ロータ突極11は円周方向に等ピッチ角(ピッチ角θ1)で配設されているので、グループA1、A2のステータ突極21とロータ突極11とが近接対向しているタイミングでは、グループB1、B2のステータ突極21にロータ突極11が対向しない。また、グループB1、B2のステータ突極21とロータ突極11とが近接対向しているタイミングでは、グループA1、A2のステータ突極21にロータ突極11が対向しない状態である。
【0028】
角度センサ40は、ステータ20とロータ10との相対角度を検出するための回転位置センサである。回転軸10aを中心として、ロータ10と一体で回転する操作軸15に取り付けられた磁石41がロータ10の回転とともに回転し、下ケース5bに取り付けられた磁気センサ42の出力変化を得られるように構成されている。なお、本実施形態において角度センサ40は磁気式としたが、これに限らず、例えば光学式であってもよい。
【0029】
通電制御部50は、角度センサ40による検出結果を判断し、選択的にコイル25への通電制御を行なう。通電制御部50は、ステータ突極21のグループA1、A2、B1、B2に分けられて、コイル25に通電する。選択的に通電されたコイル25は、ステータ突極21に磁気吸引力を発生させて、ロータ突極11を吸引する力を発生させる。また、通電制御部50は、角度センサ40が検出した相対角度に応じた操作信号を出力する。操作部60の回転角度によって通電制御部50から出力される操作信号は、例えば、電子機器の表示画面を制御するために使用される。また、電子機器の電源スイッチや切り替えスイッチを操作する制御信号として使用される。
【0030】
図4に示す操作部60が回転操作されると、回転軸10aを中心として、操作軸15を介してロータ10が回転する。ロータリーアクチュエータ1は、後述する通電制御によりステータ20とロータ10との磁気吸引力を発生させるので、操作部60の回転操作を妨げるように操作軸15の回転抵抗を付与し、回転操作に必要なトルクに変化をもたせた操作感触とすることができる。例えば、操作部60が回転操作されて所定の相対角度になったことが角度センサ40によって検出されると、通電制御部50から、コイル25に通電する通電制御が行われるとともに、操作信号が出力される。これにより、操作部60を回転操作した操作者へ所定の回転角度において操作感触をフィードバックするとともに、その回転角度に応じた操作信号によって電子機器等の制御が実行される。
【0031】
操作感触として、ある位置までは必要な回転トルクが大きく、その位置に達するとトルクが小さくなるものが、スイッチ等で使用されている。クリック感とは、このような操作感触のことであり、本実施形態においては磁気吸引力によって回転トルクの変化を作り出している。
【0032】
通電制御部50にてコイル25に通電する電流を大きくすれば、ステータ20とロータ10との磁気吸引力を大きくすることができる。これにより、操作感触に適した磁気吸引力の大きさに調整することができる。
【0033】
次に、本実施形態のロータリーアクチュエータ1における、通電制御部50の制御モードと、その通電制御による動作について、
図7〜
図11を参照して説明する。
【0034】
図7は、磁気吸引力を発生させているグループA1、A2のステータ突極21がロータ10のロータ突極11に近接対向している状態の模式図である。
図8は、
図7の状態からロータ10がわずかに回転した状態の模式図である。
図9は、磁気吸引力を発生させているグループA1、A2のステータ突極21がロータ突極11に近接対向していない状態の模式図である。
図10は、グループB1、B2のステータ突極21がロータ10のロータ突極11に近接対向している状態で磁気吸引力を発生させた模式図である。
図11は、操作軸15の回転抵抗を模式的に示したグラフである。
【0035】
第1制御モードでは、グループA1、A2、B1、B2のうちロータ10を介して互いに向かい合った2つのグループのステータ突極21に連続的に磁気吸引力を発生させる。
図7では、グループA1、A2のステータ突極21に磁気吸引力を発生させているので、グループA1、A2のステータ突極21とロータ突極11とが近接対向しているタイミングで磁気吸引力が最大となる。
図7の状態ではロータ10を回転させない作用である。
【0036】
このとき、
図7に示すように、グループA1の一対のステータ突極21は互いに逆向きの磁束となる電流がコイル25に連続通電されている。これにより、発生した磁束が閉回路を形成し、外部へ漏洩する磁界は最小になる。また、ステータ突極21とロータ突極11との磁気吸引力におけるロスが少なくなる。なお、グループA1とグループA2とに、対称な磁気吸引力を発生させるので、ロータ10は偏心しない。
【0037】
図7に示す状態から、ロータ10を回転させる外力を操作軸15に加えると、ステータ突極21とロータ突極11との磁気吸引力が、回転させようとしている操作軸15の回転抵抗となる。例えば、
図8に示すように、ステータ突極21とロータ突極11とが近接対向する位置から回転させようとすると、磁気吸引力によって元の位置(
図7)に戻ろうとする回転力(回転抵抗)が発生する。この回転力のトルクが外力のトルクより大きければ、操作軸15を回転させることはできない。より大きな外力が加えられるとロータ10が回転し、
図9に示すように、グループA1、A2のステータ突極21とロータ突極11とが対向しない角度を通過する。
【0038】
図9においては、ひとつのロータ突極11に対して、ふたつのステータ突極21からの磁気吸引力が作用し、この瞬間の回転力がゼロになっている。この状態からどちらかの回転方向に少し回転させると、グループA1、A2のステータ突極21とロータ突極11とが対向する方向に回転力が発生する。すなわち、回転させようとした外力の方向と同方向の回転力を生じるので、ステータ突極21とロータ突極11とが近接対向する位置に引き込まれる操作感触を生じる。
【0039】
したがって、
図7の位置からピッチ角θ1だけ回転させたときには、回転トルク(回転抵抗)が大きな状態(
図8)から、回転トルクの方向が反転する状態(
図9)を経由して、ピッチ角θ1の位置に急激に引き込まれる操作感触を生じる。これにより、操作者が回転操作する操作軸15に対して、ピッチ角θ1に等しいクリック感を発生する。同方向に回転操作を続けると、ピッチ角θ1毎のクリック感を発生する。さらに、コイル25に連続通電している電流量により、クリック感の強弱を制御することができる。
【0040】
第2制御モードでは、ロータ10を介して互いに向かい合った2つのグループ毎に、ステータ突極21に間欠的に磁気吸引力を発生させる。すなわち、
図9において通電しているグループA1、A2から、グループB1、B2に通電を切り替えると、
図10に示すようにグループB1、B2のステータ突極21に発生した磁束が磁気吸引力を発生させる。
図10では、グループB1、B2のステータ突極21に磁気吸引力を発生させているので、グループB1、B2のステータ突極21とロータ突極11とが近接対向しているタイミングで磁気吸引力が最大となる。
【0041】
こうして、
図8及び
図9を用いて説明したことと同様の磁気吸引力を、グループB1、B2の通電に切り替えることによって得ることができる。このとき、グループB1、B2の通電によって生じたクリック感は、グループA1、A2の通電によって生じたクリック感とピッチ角θ1のハーフピッチ分ずれている。このため、グループA1、A2の連続通電によるクリックピッチに対して、グループA1、A2とグループB1、B2との通電を切り替える間欠通電のクリックピッチは半分のハーフピッチ(θ1/2)となる。
【0042】
また、
図8に示す状態で、通電しているグループA1、A2から、グループB1、B2に通電を切り替える場合には、グループB1、B2の通電開始とともにグループB1、B2のステータ突極21にロータ突極11が対向する方向に回転力が発生する。このため、クリックピッチが等ピッチ角(ピッチ角θ1)のハーフピッチ(θ1/2)であるとともに、ハーフピッチ(θ1/2)毎に急激に引き込まれる操作感触を生じる。このように、通電を切り替えるタイミングを異ならしめて、操作感触を変化させることもできる。
【0043】
図11〜
図14は、本実施形態のロータリーアクチュエータ1における操作軸15の回転トルクを模式的に示したグラフである。
【0044】
図11〜
図14において、横軸はグループA1のステータ突極21とロータ突極11とが近接対向した位置を基準(0度)にした相対角度、上のグラフの縦軸は電流量、下のグラフの縦軸は回転トルクの大きさである。縦軸のプラス(+)は操作軸15の回転操作を補助する回転方向の回転トルク(自立回転力)を、縦軸のマイナス(−)は操作軸15の回転操作を妨げる回転方向の回転トルク(回転抵抗)を、意味する。
【0045】
図11(a)は、第1制御モードにおいて、グループA1、A2に電流量I1で連続通電した場合である。グループA1のステータ突極21とロータ突極11とが近接対向した位置から、例えば時計回りに回転操作しようとすると、操作軸15の回転操作を妨げる回転方向の回転トルク(回転抵抗)が増加し、マイナス側のピーク値をもった後に、ハーフピッチ(θ1/2)の回転角度で回転トルクがゼロに減少する。さらに時計回りに回転させようとすると、回転方向と同じ方向の回転トルク(自立回転力)が増加し、ピーク値をもった後に、ピッチ角θ1の回転角度で最初の状態と同じ状態になる。
【0046】
図11(b)は、通電する電流量を大きくした電流量I2の場合であり、
図11(a)の電流量I1と回転トルクを点線で比較して示している。
図11(b)から分かるように、通電する電流量を大きくすると、回転トルクが大きくなるので、電流量を調整することで操作感触を変化させることができる。また、電流量を一定にした制御に限らず、例えば回転操作が連続しているときには徐々に電流量を増やしていく制御とすることも可能である。こうすれば、回転操作に対して、だんだん重くなる操作感触にすることができる。
【0047】
図12は、第1制御モードにおいて、グループB1、B2に連続通電した場合である。
図12(a)は
図11(a)と同様であるが、グループA1、A2に通電せずに、グループB1、B2に連続通電した場合である。グループB1、B2のステータ突極21とロータ突極11とが対向しない角度を基準(0度)にしているため、例えば時計回りに回転操作しようとすると、操作軸15の回転操作の回転方向と同じ方向の回転トルク(自立回転力)が増加し、
図11(a)に対してハーフピッチ(θ1/2)ずれた操作感触が得られる。すなわち、同じ基準位置から回転操作しても、グループA1、A2に連続通電しているとき(
図11)と、グループB1、B2に連続通電しているとき(
図12)とで、回転トルクが大きくなる回転角度が異なっている。同様に、
図12(b)は電流量を大きくした場合である。
【0048】
図13〜
図14は、第2制御モードで間欠通電した場合であり、グループA1、A2の通電とグループB1、B2の通電との切り替えタイミングを変えた事例である。
図13に示すように、回転トルクの繰り返しのピッチがハーフピッチ(θ1/2)であり、
図11及び
図12の場合よりも細かくなっている。また、通電を切り替えたタイミングで急峻に回転方向が反転する回転トルクを発生させることができる。さらに、
図14(a)及び
図14(b)に示すように、回転方向と同じ方向の回転トルク(自立回転力)や、回転方向と逆方向の回転トルク(回転抵抗)の繰り返しとなる操作感触にすることができる。
図13〜
図14の事例のように、操作軸15の回転トルクを変化させることにより、多彩なクリック感を発生することができる。
【0049】
図5及び
図6に示すように、ピッチ角θ1が36度であり、角度θ2が54度である場合、ロータ10を360度回転させると元の(0度の)状態に戻る。ロータ10には配線のような回転を阻害する部品が不要であるから、操作軸15を360度以上回転させることができる。こうすれば、操作軸15を360度以上回転させてもクリック感を発生できる。
【0050】
なお、ロータ10、ステータ20は、上述する磁束によって磁気吸引力を発生させることができる磁性材料製であればよい。
【0051】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0052】
本実施形態のロータリーアクチュエータ1は、ステータ突極21が4つのグループA1、A2、B1、B2に分けられて配置される。このとき、グループA1、A2、B1、B2の各グループ内は、ステータ突極21が同じタイミングで磁気吸引力を発生するとともに、ピッチ角θ1の間隔で配置され、隣接する異なるグループとはピッチ角θ1のハーフピッチだけ大きな間隔で配置される構成である。そして、通電制御部50は、グループA1、A2、B1、B2のうちロータ10を介して互いに向かい合った2つのグループのステータ突極21に、連続的に磁気吸引力を発生させる第1制御モードを有している。さらに、ロータ10を介して互いに向かい合った2つのグループ毎に、ステータ突極21に間欠的に磁気吸引力を発生させる第2制御モードを有している。これにより、操作軸15を外力にて回転させた際に、第1制御モードまたは第2制御モードによって、操作軸15の回転抵抗を変化させている。
【0053】
これによれば、簡単な構成で第1制御モードと第2制御モードを切り替えることで、クリックピッチをロータ10の突極ピッチとハーフピッチとに切り替えられるので、多彩なクリック感を提供できる。
【0054】
また本実施形態のロータリーアクチュエータ1において、通電制御部50にてコイル25への通電の電流量を制御することにより、クリック感の強弱を制御することができる。コイル25への通電の電流量によって、回転抵抗のピッチとともに強弱も制御することで、より多彩なクリック感を発生することができる。
【0055】
本実施形態のロータリーアクチュエータ1では、等ピッチ角(ピッチ角θ1)が36度である。この構成によれば、操作軸15を360度以上回転させても、安定してクリック感を発生できる。
【0056】
[第2実施形態]
図15は、第2実施形態のロータリーアクチュエータ2を示す模式縦断面図である。
図16は、第2実施形態のロータリーアクチュエータ2を示す模式横断面図である。
図17は、第2実施形態のステータ突極22のグループ構成を示す模式図である。なお、第2実施形態のロータリーアクチュエータ2の外観及び構成材料は第1実施形態のロータリーアクチュエータ1と同じであり、ステータ突極22とロータ突極12以外は第1実施形態と同じ符号を用いた。
【0057】
ロータリーアクチュエータ2は、第1実施形態と同様、回転軸10aを中心として、操作軸15と一体回転可能に支持されたロータ10と、コイル25が卷回されたステータ20と、角度センサ40と、通電制御部50と、を有する。
【0058】
なお、狭義でのロータリーアクチュエータとは自立回転力や回転抵抗の発生機構を指し、本実施形態の角度センサ40及び通電制御部50を含まない。本実施形態のロータリーアクチュエータ2は、通電制御と組み合わせた動作(回転抵抗を変化させたクリック感)に特徴があるので、角度センサ40及び通電制御部50を含めた構成としている。しかしながら、角度センサ40や通電制御部50が一体に組み込まれている必要はない。例えば、通電制御部50が他の電子機器に組み込まれたものであってもよい。
【0059】
操作軸15は、上ケース5aと下ケース5bとに回転導入部材7を介して取り付けられている。回転導入部材7によって、操作軸15は回転可能に支持される。
【0060】
ロータ10は、操作軸15を挿入して固定可能な挿入孔を有している。ロータ10は、回転軸10aを中心として、操作軸15が挿入された状態で操作軸15と一体回転可能に支持される。ロータ10の径方向外周部10bには、
図16に示すように、径方向の外側に向かって延びる複数のロータ突極12が設けられている。それぞれのロータ突極12は、
図17に示すように、径方向外周部10bの円周方向に等ピッチ角(ピッチ角θ3)で配設されている。
【0061】
図16に示すように、本実施形態のロータリーアクチュエータ2は、ステータ20のステータ突極22がロータ10の径方向外周部10bと径方向に空隙を有して対向するように配置されている。ステータ20は、複数のコア部23から各々2個ずつ分岐するように接続されたステータ突極22が内側に突出した形状である。それぞれのコア部23には、コイル25が巻かれている。なお、
図15〜
図17では、コイル25に接続される配線部分は省略している。
【0062】
図17に示すように、ステータ突極22には、ロータ10の回転に伴って、等ピッチ角(ピッチ角θ3)で配設されたロータ突極12が径方向に微小空隙を有して近接対向する。ロータ突極12の等ピッチ角(ピッチ角θ3)に対し、ステータ突極21は4つのグループA1、A2、B1、B2に分けられて配置されている。なお、
図17では、グループA2、B1、B2内の符号を省略している。本実施形態のロータリーアクチュエータ1は、グループA1、A2、B1、B2の各グループ内はステータ突極22がピッチ角θ3の間隔で配置され、隣接する異なるグループとはピッチ角θ3のハーフピッチだけ大きな間隔(角度θ4)で配置される構成である。ステータ20におけるステータ突極22の配置は、角度θ4がピッチ角θ3の1.5倍の角度である。
図17においては、ピッチ角θ3が20度であり、角度θ4が30度である。
【0063】
図17に示すように、ロータ突極12は円周方向に等ピッチ角(ピッチ角θ3)で配設されているので、グループA1、A2のステータ突極22とロータ突極12とが近接対向しているタイミングでは、グループB1、B2のステータ突極22にロータ突極12が対向しない。また、グループB1、B2のステータ突極22とロータ突極12とが近接対向しているタイミングでは、グループA1、A2のステータ突極22にロータ突極12が対向しない状態である。
【0064】
角度センサ40は、ステータ20とロータ10との相対角度を検出するための回転位置センサである。ロータ10と一体で回転する操作軸15に取り付けられた磁石41がロータ10の回転とともに回転し、下ケース5bに取り付けられた磁気センサ42の出力変化を得られるように構成されている。なお、本実施形態において角度センサ40は磁気式としたが、これに限らず、例えば光学式であってもよい。
【0065】
通電制御部50は、角度センサ40による検出結果を判断し、選択的にコイル25への通電制御を行なう。通電制御部50は、ステータ突極22のグループA1、A2、B1、B2に分けられて、コイル25に通電する。選択的に通電されたコイル25は、ステータ突極22に磁気吸引力を発生させて、ロータ突極12を吸引する力を発生させる。また、通電制御部50は、角度センサ40が検出した相対角度に応じた操作信号を出力する。操作部60の回転角度によって通電制御部50から出力される操作信号は、例えば、電子機器の表示画面を制御するために使用される。また、電子機器の電源スイッチや切り替えスイッチを操作する制御信号として使用される。
【0066】
本実施形態のロータリーアクチュエータ2は、第1実施形態と同様、通電制御部50の制御モードによって、操作感触を変化させることができる。
【0067】
第1制御モードでは、グループA1、A2、B1、B2のうちロータ10を介して互いに向かい合った2つのグループのステータ突極22に、連続的に磁気吸引力を発生させる。第2制御モードでは、ロータ10を介して互いに向かい合った2つのグループ毎に、ステータ突極22に間欠的に磁気吸引力を発生させる。
【0068】
図18〜
図19は、本実施形態のロータリーアクチュエータ2における操作軸15の回転トルクを模式的に示したグラフである。
【0069】
図18〜
図19において、横軸はグループA1のステータ突極22とロータ突極12とが近接対向した位置を基準(0度)にした相対角度、上のグラフの縦軸は電流量、下のグラフの縦軸は回転トルクの大きさである。縦軸のプラス(+)は操作軸15の回転操作を補助する回転方向の回転トルク(自立回転力)を、縦軸のマイナス(−)は操作軸15の回転操作を妨げる回転方向の回転トルク(回転抵抗)を、意味する。
【0070】
図18(a)は、第1制御モードにおいて、グループA1、A2に電流量I1で連続通電した場合である。グループA1のステータ突極22とロータ突極12とが近接対向した位置から、例えば時計回りに回転操作しようとすると、操作軸15の回転操作を妨げる回転方向の回転トルク(回転抵抗)が増加し、マイナス側のピーク値をもった後に、ハーフピッチ(θ3/2)の回転角度で回転トルクがゼロに減少する。さらに時計回りに回転させようとすると、回転方向と同じ方向の回転トルク(自立回転力)が増加し、ピーク値をもった後に、ピッチ角θ3の回転角度で最初の状態と同じ状態になる。同様に、第1制御モードにおいて、グループB1、B2に電流量I1で連続通電した場合には、
図18(a)に対してハーフピッチ(θ3/2)ずれた回転角度で、
図18(a)と同様に回転トルクが変化する。
【0071】
図18(b)は、通電する電流量を大きくした電流量I2の場合であり、
図18(a)の電流量I1と回転トルクを点線で比較して示している。
図18(b)から分かるように、通電する電流量を大きくすると、回転トルクが大きくなるので、電流量を調整することで操作感触を変化させることができる。また、電流量を一定にした制御に限らず、例えば回転操作が連続しているときには徐々に電流量を増やしていく制御とすることも可能である。こうすれば、回転操作に対して、だんだん重くなる操作感触にすることができる。
【0072】
図19は、第2制御モードで、グループA1、A2の通電とグループB1、B2の通電とを間欠通電した事例である。
図19(a)と
図19(b)とでは、通電を切り替えるタイミングを変えている。
図19に示すように、回転トルクの繰り返しのピッチがハーフピッチ(θ3/2)であり、
図18(a)の場合よりも細かくなっている。また、通電を切り替えたタイミングで急峻に回転方向が反転する回転トルクを発生させることができる。さらに、通電を切り替えるタイミングを変化させることにより、回転方向と同じ方向の回転トルク(自立回転力)や、回転方向と逆方向の回転トルク(回転抵抗)の繰り返しとなる操作感触にすることができる。
図19に示すように、操作軸15の回転抵抗を変化させることにより、多彩なクリック感を発生することができる。
【0073】
図18〜
図19を
図11〜
図14と比較すると、本実施形態のロータリーアクチュエータ2は、より細かいクリック感を発生できることが分かる。
【0074】
図17に示すように、ピッチ角θ3が20度であり、角度θ4が40度である場合、ロータ10を360度回転させると元の(0度の)状態に戻る。ロータ10には配線のような回転を阻害する部品が不要であるから、操作軸15を360度以上回転させることができる。こうすれば、操作軸15を360度以上回転させても、安定してクリック感を発生できる。
【0075】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0076】
本実施形態のロータリーアクチュエータ2は、ステータ突極22が4つのグループA1、A2、B1、B2に分けられて配置される。このとき、グループA1、A2、B1、B2の各グループ内は、ステータ突極22が同じタイミングで磁気吸引力を発生するとともに、ピッチ角θ1の間隔で配置され、隣接する異なるグループとはピッチ角θ1のハーフピッチだけ大きな間隔で配置される構成である。そして、通電制御部50は、グループA1、A2、B1、B2のうちロータ10を介して互いに向かい合った2つのグループのステータ突極22に、連続的に磁気吸引力を発生させる第1制御モードを有している。さらに、ロータ10を介して互いに向かい合った2つのグループ毎に、ステータ突極22に間欠的に磁気吸引力を発生させる第2制御モードを有している。これにより、操作軸15を外力にて回転させた際に、第1制御モードまたは第2制御モードによって、操作軸15の回転抵抗を変化させている。
【0077】
これによれば、簡単な構成で第1制御モードと第2制御モードを切り替えることで、クリックピッチをロータ10の突極ピッチとハーフピッチとに切り替えられるので、多彩なクリック感を提供できる。
【0078】
また本実施形態のロータリーアクチュエータ2において、通電制御部50にてコイル25への通電の電流量を制御することにより、クリック感の強弱を制御することができる。コイル25への通電の電流量によって、回転抵抗のピッチとともに強弱も制御することで、より多彩なクリック感を発生することができる。
【0079】
本実施形態のロータリーアクチュエータ2では、等ピッチ角(ピッチ角θ3)が20度である。この構成によれば、操作軸15を360度以上回転させても、安定してクリック感を発生できる。また、第1実施形態のロータリーアクチュエータ1に比べて、より細かいピッチのクリック感を発生できる。
【0080】
以上のように、本発明の実施形態のロータリーアクチュエータを具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらも本発明の技術的範囲に属する。
【0081】
(1)第1実施形態及び第2実施形態において、ステータ20は一体でなく、分割された部品を組み合わせたものであってもよい。例えば、回転力発生コイル25を容易に巻き付けられる組み立て構造とすることが好ましい。
【0082】
(2)第1実施形態及び第2実施形態において、等ピッチ角をさらに小さくしてもよい。例えば、第2実施形態において、コア部23及びコイル25は各々8個のまま、ステータ突極22の分岐個数を増加させてもよい。また、コア部23及びコイル25を8個の整数倍で増加させてもよい。等ピッチ角をさらに小さくすることによって、さらに細かいピッチのクリック感を発生できる。
【0083】
(3)第1実施形態及び第2実施形態において、角度センサ40と通電制御部50とを有する構成としたが、これらが分離された構成であってもよい。例えば、取り付ける電子機器側に通電制御部50の機能をもたせたり、操作部60側に角度センサ40を取り付けたりしてもよい。この場合でも、角度センサ40で検出された相対角度に応じて、通電制御部50にてコイル25への通電を制御することにより、多彩なクリック感を発生することができる。
【0084】
(4)第1実施形態及び第2実施形態において、グループA1、A2に通電する電流と、グループB1、B2に通電する電流を同じ電流量としたが、グループ間で異なる電流量を印加するように制御してもよい。こうすれば、異なる回転角度での操作感触が同じクリック感の繰り返しでなく、より多彩なクリック感とすることができる。