(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
重ね合わされた状態で相対的に変位する複数枚のシートであって、不透明又は半透明のシート本体に規則性を持って設けられた多数の透光部を有し、光源から発せられた光が前記透光部を透過することで変容する模様を投影するようにした複数枚のシート体を備え、該複数枚のシートのいずれかは、磁性体によって形成され、他のいずれかは、マグネットによって形成されていることを特徴とする照明装置。
前記いずれかのシートは、回転運動及び直進運動がそれぞれ、独立して運動できるとともに、独立して停止することができ、更に連動した運動が自在とされていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一項に記載の照明装置による投影模様の変容方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
模様を投影する従来の照明装置は、通常、投影された模様を変容させたり大きさを変容させたりする事は無い。また、特許文献1に記載された光透過スクリーンを照明装置に組み込んだとしても、模様の変容は、単調かつ予想される範囲内となり勝ちとなるため、雰囲気を醸し出したり、盛り上げたりするには十分なものとならない。
【0007】
そこで本発明は、投影された模様が万華鏡の様に或いはそれ以上に千変万化し、その様相が様々なシーンにふさわしい雰囲気を醸し出すように照明する照明装置及び投影模様の変容方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る照明装置は、重ね合わされた状態で相対的に変位する複数枚のシートであって、不透明又は半透明のシート本体に規則性を持って設けられた多数の透光部を有し、光源から発せられた光が前記透光部を透過することで変容する模様を投影するようにした複数枚のシート体を備え
、該複数枚のシートのいずれかは、磁性体によって形成され、他のいずれかは、マグネットによって形成されていることを特徴としている。
【0009】
この照明装置によれば、不透明又は半透明のシート本体に形成された多数の透光部が規則性を持った位置に設けられていることにより、複数枚のシートが重ね合わされたたときに、各透光部が重なり合って連通する部分と、連通しない部分が現れることで被投影面などに投影される模様が出現する。そして重ね合わされた複数枚のシートが相対的に面内で変位することにより、連通する透光部の位置や形状などが変化し、これにより、被投影面などに投影された模様が千変万化のごとく変容する。
【0010】
すなわち、本発明のシートの通過する透光部が作る模様は、照明装置によって被投影面に投影された模様の原型である。そして、投影された模様が、照明装置と被投影面との相対位置や角度で変容することは言うまでもない。
そして、この照明装置によれば、複数枚のシートが磁気吸着され、重なり合った所定の相対位置の状態を維持することができる。
【0011】
また、前記本発明に係る照明装置の一態様として、前記各シートの透光部は、各シートそれぞれの全面において同じ規則性を持って設けられていてもよい。この照明装置によれば、各シートの透光部が各シートそれぞれの全面において同じ規則性を持って設けられていることにより、規則性のある同じ大きさの同じ模様をシート全面に出現させることができる。
【0013】
この照明装置によれば、基本ユニットが長方形の角部の4点と、長方形の中心の1点の合計5点の透光部で構成されることにより、比較的複雑で比較的細部まで図形化した幾何学模様を出現させることができる。なお、長方形は、隣り合った辺の長さが異なる狭義の長方形だけでなく、四辺の長さが等しい正方形の両方を含む。
【0014】
また、前記本発明に係る照明装置の異なる他態様として、前記透光部の繰り返しのピッチ、透光部の形状及び透光部の径が各シートそれぞれの全面で単一とされていてもよい。この照明装置によれば、シートが変位したときに孔部によって出現する模様を全面で統一して繰り返すことができる。
【0015】
また、前記本発明に係る照明装置のさらに異なる他態様として、前記透光部の全ての面積をシート本体の面積(透光部の面積を含む)で除した開口率が0.1以上、0.75以下とされていることがより好ましい。この照明装置によれば、開口率が0.1以上とされていることにより、光の大部分を遮蔽する機能を持たせることが出来る。開口率が0.4前後とした照明装置は、見やすい模様を出現させることが出来る。開口率が0.75以下とした照明装置は、メリハリの付いた模様を出現させるとともに、シート本体が必要な機械的強度を有することができる。
【0017】
また、本発明に係る照明装置による投影模様の変容方法は、前記いずれかのシートを他のシートに対して相対的に回転運動させ、及び/又は前記いずれかのシートを他のシートに対して相対的に直進運動させることを特徴としている。
【0018】
この照明装置による投影模様の変容方法によれば、いずれかのシートを他のいずれかのシートに対して相対的に回転運動させることにより、又は、相対的に直進運動させることにより、又は、相対的に回転運動と直進運動とをさせることにより、重なり合った複数枚のシートの各透光部の重なった状態が変容し、連通する透光部によって出現する幾何学模様を万華鏡のように千変万化させることができる。また、いずれかのシートを、回転した後、回転が停止した状態で直進するようにすれば、いずれかのシートが回転することで出現した模様が、少なくとも肉眼で変容することなく、そのシートの直進方向と直交する方向に直進・移動させることが出来る。
【0019】
また、前記本発明に係る照明装置による投影模様の変容方法の一態様として、前記いずれかのシートの回転運動及び/又は直進運動の速度を可変としていてもよい。この照明装置による投影模様の変容方法によれば、シートの回転運動及び/又は直進運動の速度が可変とされていることにより、連続的に変容する模様を予測できないように出現させることができる。或いは模様が著しく緩やかな変容でもって、静かでくつろいだ雰囲気を出現させることが出来る。
【0020】
また、前記本発明に係る照明装置による投影模様の変容方法の他態様として、前記いずれかのシートは、任意の位置で一時的に停止するようにしてもよい。この照明装置による模様の変容方法によれば、連続的に変容していた模様が停止するので、次の移動や変容を想像又は期待意識が芽生えるようにすることができると共に、一時的に変容の無い静寂の空間を演出することも出来る。
【0021】
また、前記本発明に係る照明装置による投影模様の変容方法の異なる他態様として、前記いずれかのシートは、回転運動及び直進運動がそれぞれ、独立して運動できるとともに、独立して停止することができ、更に連動した運動が自在とされていてもよい。この照明装置による模様の変容方法によれば、いずれかのシートが独立して運動し、停止し、更に連動した運動が自在とされることにより、連続的に変容する模様に加えて一時的な静止という変容が加えられる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、投影された模様が万華鏡の様に或いはそれ以上に様相が千変万化し、様々なシーンにふさわしい雰囲気を醸し出すように照明する照明装置及び投影模様の変容方法を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る照明装置及びこの照明装置による投射模様の変容方法の実施形態について
図1ないし
図16を参照しながら説明する。
【0025】
図1ないし
図3は本発明に係る照明装置をランプとして使用する例である。このランプは、吊り下げ型で、鉛直姿勢の円筒状のシェード100と、このシェード100内の中間部中心に配置された発光面積の小さな上向きの光源103と、この光源103上方であって、シェードの上部に設けられた複数枚のシート102を備えている。
【0026】
シート102は、
図10及び
図11に示すように(同図のシート10,20は、四角形に形成されているため、
図1のランプに適用する場合のシート102は、円形に形成される。また、シート102は、3枚以上であっても良い。)、不透明又は半透明のシート本体11,21に規則性をもって設けた多数の透光部12,22を有している。シート102は、金属板で成形されると、透光部12,22が貫通孔で構成され、プラスチックで成形されると、透光部12,22が透明で、シート本体11,21が不透明又は半透明に形成される。
【0027】
このランプは、光源103から上向きに発せられた光が複数枚のシート102を透過することで、
図2に示すような模様Pを天井面に投影する。なお、
図2では、模様の一部がランプで隠されており、その隠された部分には、ランプを吊り下げている電気コード108やシート102の中心に吊下げコード108を挿通するための孔部102aなどの投影模様が隠されている。
【0028】
光源103は、シェード101内に架設されたバー107の中心部に上向きで固定される。
【0029】
そして、照明装置は、
図3に示すように、複数枚の円形のシート102の少なくとも1枚のシート102の外周部を囲む従動歯車104と、回転をコントロールされているモーター105と、このモーター105の回転軸に設けられた原動歯車106とを組み合わせた駆動機構を備え、原動歯車106が回転することで、シート102を相対的に回転させる。駆動機構は、減速機を備えても良く、モーター105は、ステッピングモータでもよい。
【0030】
この実施形態において、「コントロール」とは、複数枚のシート102の相対的運動(回転・直進・速度変化・停止及びそれらの連動)をコントロールすることを言う。また、「コントローラ」とは、予め決められた運動パターンを自立的に遂行する装置、又は外部からの信号を運動に変換する装置を言う。なお、
図1には、駆動機構やコントローラ、あるいはそれらの保持手段のような特に説明を要しない部分を描いていない。
【0031】
そして、本発明に係る照明装置は、
図4及び
図5に示すような角筒状のシェード200を備えた吊り下げ型のランプとしても良い。図示した角筒状のシェード201は、4枚の平板201を有する四角筒状であるが、三角筒状体であっても、五角以上の筒状であっても良い。いずれにしても各平板201には、円形の開口部201aが設けられている。また、各平板201の内側に複数枚のシート202,203が配置され、開口部201aから露出する。シート202,203は、
図5に示すように、円形のシート202と長尺状のシート203とが配置されている。
【0032】
そして、このランプは、円形のシート202の外周部を囲む従動歯車204と、この従動歯車に噛み合って円形のシート202を回転させる2個以上の原動歯車205とを組み合わせた駆動機構を備えている。そして、長尺のシート203は、平行に配置された一対のローラ206,207に巻かれ、例えば一方のローラ206から繰り出されつつ他方のローラ207に巻き取られる。一対のローラ206,207の間隔は、当然ながら円形のシート202の直径よりも広くされている。なお、図示した一対のローラ206,207は上下方向に配置されているが、左右方向に配置されても良い。
【0033】
また、角筒状のシェード200内の中心には、全周に向けて発光する光源(図示せず)が配備されている。この光源から発せられた光が複数枚のシート202,203を透過することで、壁面に
図6(a)〜(d)に示すような模様Pa〜Pdが投影される。各平板201の裏面で重なっている複数枚のシート202,203の状態が異なることで、該シート202,203によって出現した模様Pa〜Pdは、
図6(a)〜(d)に示すようにそれぞれ室内の各壁面に異なって投影される。
【0034】
次に、本発明に係る照明装置の一実施形態について
図7を参照しながら説明する。この照明装置は、投光機能を備えた吊り下げ型で、ほぼ水平姿勢の有底筒状のカバー300と、このカバー300内に配置された光源(図示せず)と、カバー300の開口部に配置された複数枚のシート302と、カバー300内に収納され、シート302を相対的に回転させる駆動機構(図示せず)を備えている。駆動機構は、
図3に示した駆動機構のように構成され、さらに、カバー300の向きを変更させる機構を備えていても良い。
【0035】
この照明装置も、光源から発せられた光が複数枚のシート302を透過することで、
図8(a)(b)に示すような模様Pが床面や壁面などに投影される。2枚のシート302の相対角度が0°の場合は、
図8(a)に示すように、2枚のシートがあたかも1枚の様に見え、一方のシート302を他方のシート302に対して25°傾けた場合は、
図8(b)に示すような花柄模様が出現する。
【0036】
ここで、前記各照明装置に備えられたシート102,202,203,302,402(以下、第1シート10と第2シート20の2枚として説明する。)について
図9ないし
図14を参照しながら説明する。第1シート10と第2シート20は、重ね合わされて相対的に変位するもので、それぞれ不透明又は半透明のシート本体11,21に多数の透光部12,22を設けたものである。透光部12,22は、
図9(a)〜(e)に示すような基本ユニットA〜Eが規則性をもってシート本体の一部又は全面に2次元に広がった位置に設けられている。
【0037】
基本ユニットA〜Eは、長方形(長方形は、隣り合った辺の長さが異なる狭義の長方形だけでなく、四辺の長さが等しい正方形の両方を含む。)の角部の4点と、長方形の中心の1点の合計5点を基本ユニットとし、長方形の2辺の長さ及びその比でもって区別している。
【0038】
中心の1点は、長方形の対角線の交点であり、換言すれば、長方形の向き合った各縦の辺の中心同士と各横の辺の中心同士を結んだ2本の直線の交点のことである。そして、各基本ユニットA〜Eのいずれか1つが第1シート10の全面又は一部に繰り返し並んでいて、更に各基本ユニットA〜Eのいずれか一つが第2シート20の全面又は一部に繰り返し並ぶ様に設けている。勿論、基本ユニットA〜Eが
図9の5種類に限定されることは無い。
【0039】
なお、1枚のシート10,20の中に形成されている基本ユニットA〜Eは、一つであっても良い。
【0040】
具体的に説明すると、
図9(a)に示す基本ユニットAは、長方形の長辺が4.34mm、短辺が2.5mmであり、
図9(b)に示す基本ユニットBは、長方形の長辺が3.27mm、短辺が2.1mmであり、
図9(c)に示す基本ユニットCは、長方形の長辺が3.9mm、短辺が2.1mmであり、
図9(d)に示す基本ユニットDは、長方形の長辺が2.5mm、短辺が2.17mmであり、
図9(e)に示す基本ユニットEは、各辺が2.5mmの正方形である。
【0041】
そして、いずれの基本ユニットA〜Eにおいても、透光部12,22は円形であり、その径Φは、見やすい模様が出現するように、例えば1.0mm、1.4mm、2.0mm、2.1mmなどに形成される。また、透光部12の全ての面積をシート本体11の面積(透光部12の面積を含む。)で除した値を開口率kとすると、基本ユニットAにおいて、第1シート10における透光部12の径Φが2.2mmであれば、開口率kは0.700となり、透光部12の口径Φが1.0mmであれば、開口率kは0.145となる。第2シート20における透光部22とシート本体21についても同様である。
【0042】
同様に、基本ユニットBにおいて、透光部12の径Φが1.5mmであれば、開口率kは0.514となる。基本ユニットCにおいて、透光部12の径Φが1.7mmであれば、開口率kは0.554となる。基本ユニットDにおいて、透光部12の径Φが1.4mmであれば、開口率kは0.567となる。基本ユニット(e)において、透光部12の径Φが1.4mmであれば、開口率kは0.492となる。他の基本ユニットについても、同様に開口率kが計算できる。
【0043】
ここで、本発明の重要な要素である投影模様が出現する理由について、
図10及びその部分拡大図である
図11を参照しながら説明する。
【0044】
第1シート10と第2シート20とが、
図10に示すように、相対的に少し回転した場合には、境界がはっきりしない六角形の模様が、隙間無く規則正しく現れる。
【0045】
図10、
図11では、2枚のシート10,20の透光部12,22が重なって連通している部分を光が透過し、シート本体11,21が重なっている部分を光が透過しないことで影となり、模様が出現する。
【0046】
2枚のシートの透光部12,22の重なり具合は、拡大すると
図11に示すようになる。
【0047】
ここで、第1シート10と第2シート20によって出現する模様について
図12ないし
図16を参照しながら説明する。ここでは、第1シート10を固定し、第2シート20を変位(回転運動又は直線往復動のような動作)させる場合について説明する。第2シート20は、
図3に示した駆動機構によって回転運動することで変位し、
図5に示した駆動機構によって回転運動と直線運動することで変位する。なお、
図5に示した駆動機構が従動歯車204及び原動歯車205を備えないことにより、又は、駆動しないようにすることにより、第2シート20が直線運動することで変位するようにすることもできる。
【0048】
例えば、第1シート10と第2シート20がともに基本ユニットAに径Φ2.2mmの透光部12,22を形成したもの(A2.2)である場合において、第1シート10を固定し、第2シート20を2°回転したときは、
図10及び
図11に示すような模様が出現する。
【0049】
このような第1シート10と第2シート20とを備えた照明装置は、
図5に示す各シート10,20の透光部12,22のみを光が透過して、天井面や壁面、床面、スクリーンなどに投影される。この事は以下の模様、及び本発明の模様全てが当てはまる。
【0050】
このシートが着色された半透明とされておれば、投影された模様もまた、その一部が加色される。
【0051】
第1シート10と第2シート20がともに基本ユニットDに径Φ1.4mmの透光部12,22を形成したもの(D1.4)において、第1シート10を固定し、第2シート20を−10°から+10°までの範囲の角度で回転したときに出現する模様は、それぞれ
図12(a)〜(g)に示すように変容する。
【0052】
また、第1シート10と第2シート20がともに基本ユニットAに径Φ2.2mmの透光部12,22を形成したもの(A2.2)において、第1シート10を固定し、第2シート20を+2°、−2°、+5°、−5°、+10、−10°、+15°、−15°、+20°、−20°と回転したときに出現する模様は、それぞれ
図13(a)〜(k)に示すように変容する。第2シート20の回転角度の絶対値が同じ場合は、同じ模様が出現する。
【0053】
また、第1シート10が基本ユニットAに径Φ2.2mmの孔部12,22を形成したもの(A2.2)であり、第2シート20が基本ユニットAに径Φ1.4mmの透光部12,22を形成したもの(A1.4)において、第1シート10を固定し、第2シート20を第1シート10に対して2°傾斜(回転後に回転を停止)させ、基本ユニットの短辺方向(図面において上下方向)に+1mmから−1mmまで移動したときに出現する模様は、
図14(a)〜(g)に示すように変容する。
図14の例においては、第2シートを上方(プラス表示)へ移動すると、比例して模様が右方へ移動する。
【0054】
この模様は、六角形状の比較的明るい部分が最密充填的に積み重なるように出現し、基本ユニットAの長辺方向(図面において左右方向)に移動(直進運動)しているように見える。すなわち、第2シート20が傾斜することで出現した模様が、少なくとも肉眼で変容することなく、第2シート20の直進方向と直交する方向に移動する。そして、この模様が移動する速度は上記第2シート20が移動する速度に比例・連動しており、第2シート20の移動方向が逆転すると、模様の移動方向も逆転する。
【0055】
更に、
図5に示した駆動装置を使用することで、第1シート10と第2シート20の相対角度が変容し、照明装置によって出現する幾何学模様は千変万化する。
【0056】
以上の実施形態は、シート10,20が2枚の場合であるが、3枚以上のシートを備えても差し支えない。
【0057】
例えば、
図9に示す基本ユニットCで経Φ1.0の透光部を明けた3枚のシート10,20,30を重ねた場合では、
図15に示すような模様Pが出現する。この模様Pは、1枚目のシート10に対して2枚目のシート20が3°、3枚目のシート30が10°回転している。3枚のシート10,20,30によって出現する模様Pは、2枚のシート10,20では出現できない複雑で美しいものとなる。
【0058】
該3枚目のシート30の角度を変えると模様Pも連続的に変容する。例えば、1枚目のシート10に対して2枚目のシート20の角度を3°、3枚目のシート30の角度を30°とした場合には、
図16に示す模様Pが出現する。
【0059】
更に3枚のシート10,20,30によって出現する模様は、連続的に変容するのであり、これらの変容に出発も終点も無い。
【0060】
このような回転したり移動したりする複数枚のシート10,20(,30,…)が備えられた照明装置は、壁面や天井、床面などに出現する模様Pの形状や大きさが変容したり、その模様Pの位置を右・左或いは上・下へ流れさせたりすることが出来る。
【0061】
また、重なり合った複数枚のシート10,20(,30,…)が相対的に変位することにより、出現する模様が万華鏡のように千変万化する。この千変万化は連続的であり、同時に変容のスピードが速まったり落ちたり止まったりしてから、最初の模様に戻ることも可能である。
【0062】
他方で、幾何学模様の形態は変えずにその大きさだけをきわめてゆっくりと変容させることが出来、さらにその変容を停止し、そしてその変容を逆に辿ることが出来る。この様な変容は落ち着いた雰囲気を醸し出すことが出来る。
【0063】
なお、本発明は、上記実施形態に限定することなく種々変更することができる。すなわち、基本ユニットA〜E及び繰り返し単位の大きさ、並びに透光部12,22の径Φのサイズは、上記具体例に限定されないことはいうまでもない。
【0064】
また、透光部12,22は、円形に限定することなく、楕円形、星形、多角形、ハート形などの異形としてもよい。ただし、異形の透光部12,22は、その面積換算重心が円形の透光部12,22の面積換算重心と同じ位置に形成される。また、異形の透光部12,22の径Φは、1個の透光部12,22の開口面積と同等な面積を想定した円の直径とする。仮に、これらの透光部12,22が隣の透光部12,22と干渉(重なる)すると、シートの機械強度が著しく低下するので好ましく無い。
【0065】
また、透光部12,22の径Φは任意であり、照明装置の目的や投影面の広さなどを考慮して設計される。開口率kは、0.1以上、0.75以下であることが好ましい。開口率kが0.1未満であると、模様が暗くなるなど見にくくなる。開口率kが0.75よりも大きいと、シート10,20の機械的強度が弱くなり、耐久性が乏しくなるだけでなく、模様が明るくなりすぎることで、模様の変容にメリハリが付きにくくなる。なお、一方のシート10(20)の開口率kが0.1に近いと、他方のシート20(10)の開口率kが0.4を超えるようにすることで、模様を視認しやすくすることができる。
【0066】
また、仮に、透光部12,22の径Φを1mm未満とした場合に必要な開口率kを得られるように、隣り合った透光部12,22の間隔を短くすると、幾何学模様独特の図柄が小さくなってしまうが、本発明の照明装置においては拡大された模様が投影される。
【0067】
一方、透光部12,22の径Φの上限は、照明装置の使用場所や用途によって異なり、適宜、設定される。ただしいずれの用途であっても、透光部12,22同士が干渉しないように形成されることはいうまでもない。
【0068】
また、上記実施形態では、基本ユニットA〜Eが同じ第1シート10と第2シート20とを重ね合わせたもの、そして、異なる基本ユニットA〜Eの第1シート10とを第2シート20を重ね合わせたものとした。この異なる基本ユニットA〜Eの第1シート10の透光部12,22と第2シート20の透光部12,22の各径Φが異なる場合において、大きい径Φを小さい径Φで除した径比は、2以下であることが好ましい。径比が2を超えると、大きな径の透光部12,22を通過する光量が支配的となり、2枚のシートの相対的な移動で出現する模様が単調になるからである。
【0069】
また、本発明に係る照明装置は、第1シート10と第2シート20の基本ユニットA〜Eが同じで且つ径が同じの照明装置において、径を変更せずにいずれか片方のシート10(若しくは20)の透光部12(若しくは22)の繰り返しのピッチを異なるようにしてもよい。このような照明装置にあっては、大きなピッチを小さなピッチで除した値を「繰返し寸法の比」とすると、この繰返し寸法の比は1.3以下であることが好ましい。繰返し寸法の比が1.3よりも大きいと幾何学的模様が現れにくく、あるいは現れても不鮮明になるからである。
【0070】
また、上記実施形態では、第1シート10と第2シート20の全面に基本ユニットA〜Eのそれぞれを、それぞれの長辺の長さと短辺の長さ(正方形の場合は一辺の長さ)でもって2次元的に繰り返すことで規定される位置において、シート全面を埋めるように設けた。ただし、基本ユニットA〜Eは、シート本体11,21の一部分に設けられてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、各シート10,20は全て同じ基本ユニットA〜Eを備えているとした。ただし、第1シート10及び第2シート20は、ある部分に基本ユニットA、他の部分に基本ユニットBというように異なる基本ユニットを組み合わせたものとしてもよい。また、上記実施形態では、各ユニットA〜Eの透光部12,22それぞれは、すべて同じ径Φに形成した。ただし、透光部12,22は、シート10,20の或る一部分を異なる径Φに形成してもよいし、円形と異形とを組み合わせたもの、さらに、異形だけを組み合わせたものとしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態の基本ユニットA〜Eは、2辺の長さを規定した長方形の角部の4点と、長方形の中心の1点の合計5点に透光部12,22を形成した。ただし基本ユニットA〜Eは、一辺の長さとその辺を基準とした角度でもって規定される長方形の頂点4点とその中心の1点の計5点としても良い。
【0073】
なお、透光部12,22を四角形の辺の長さに基づいて形成した場合において、シート10,20を回転させたときは、回転中心から離れる透光部12,22ほどずれて重なり合う状態となる。ただし、シート10,20が回転運動をしていることにより、透光部12,22同士がずれていることに気付かれにくく、また、模様の千変万化にかき消されてしまう。
【0074】
また、上記実施形態では、第1シート10と第2シート20のいずれか一方は、磁性体によって形成され、他方は、マグネットによって形成しても良い。こうすることにより、第1シート10と第2シート20とが磁気吸着され、移動した第2シート20を確実に一時停止させることができる
。
【0075】
本発明において、シート本体11,21を半透明又は着色された半透明とすることはより好ましい実施態様である。投影された模様の一部が薄い影であったり、或いは着色されたりするのでより複雑な投影模様、或いは華やかな投影模様を実現することが出来る。
【課題】投影された模様が万華鏡の様に或いはそれ以上に様相が千変万化し、様々なシーンにふさわしい雰囲気を醸し出すように演出する照明装置、及びその投影模様の変容方法を提供する。
【解決手段】この照明装置は、重ね合わされた状態で相対的に変位可能な複数枚のシート102を備えている。複数枚のシート102は、不透明又は半透明のシート本体21を備え、シート本体21には多数の透光部が規則性をもって設けられている。透光部22は、長方形の角部の4点と、その中心の1点の合計5点を基本ユニットとして、基本ユニットが2次元(シート全面)に規則正しく繰り返されている。複数枚のシート102は、相対的に回転、及び/又は平行移動可能で、且つ速度可変、停止可能であり、それらの変位が連動しても良い。複数枚のシート102の透光部22が連通している部分を光が透過し、その光の集合が成す幾何学模様が照明光として投影される。